(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055145
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ポンプ槽
(51)【国際特許分類】
E03F 5/22 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
E03F5/22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162579
(22)【出願日】2020-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】520376579
【氏名又は名称】株式会社クリーンテックサービス東京
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】徳永 晋
(72)【発明者】
【氏名】川内 洸
(72)【発明者】
【氏名】川村 将明
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 純希
(72)【発明者】
【氏名】穴澤 誠
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063DC04
(57)【要約】
【課題】流入した汚水を外部の処理槽へ排出させるポンプ槽において、槽内に残る汚水をより確実に排出することを可能としたポンプ槽を提供する。
【解決手段】汚水が流入するポンプ槽であって、ポンプ槽内に配置され、ポンプ槽内へ流入した汚水を吸引するポンプと、ポンプ槽内においてポンプの排水口に接続され、ポンプで吸引された汚水をポンプ槽外の処理槽へ流出させる排水管と、ポンプ槽内において排水管に設けられ、排水管を通る汚水の一部をポンプ槽内へ排出させる吐き出し口と、を備え、吐き出し口からポンプ槽内に流出される汚水によって、ポンプ槽内の汚水に旋回流を発生させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水が流入するポンプ槽であって、
前記ポンプ槽内に配置され、前記ポンプ槽内へ流入した汚水を吸引するポンプと、
前記ポンプ槽内において前記ポンプの排水口に接続され、前記ポンプで吸引された汚水を前記ポンプ槽外の処理槽へ流出させる排水管と、
前記ポンプ槽内において前記排水管に設けられ、前記排水管を通る汚水の一部を前記ポンプ槽内へ排出させる吐き出し口と、を備え、
前記吐き出し口から前記ポンプ槽内に流出される汚水によって、前記ポンプ槽内の汚水に旋回流を発生させることを特徴とするポンプ槽。
【請求項2】
前記吐き出し口は、前記ポンプ槽内の汚水中に位置する請求項1に記載のポンプ槽。
【請求項3】
前記吐き出し口は、前記ポンプ槽の底部付近に位置する請求項2に記載のポンプ槽。
【請求項4】
前記吐き出し口の内径は、前記排水管の内径より小さい請求項3に記載のポンプ槽。
【請求項5】
前記ポンプは、前記ポンプ槽内に複数配置されており、それぞれのポンプに接続された排水管に設けられた吐き出し口は、それぞれが発生させる前記旋回流が、前記ポンプ槽内で一定方向の流れを形成するように位置している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【請求項6】
前記ポンプ槽内の汚水の表面に位置するフロートスイッチと、
前記フロートスイッチの位置に応じて前記ポンプの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記フロートスイッチの位置に基づいて前記汚水の表面の位置を検知し、この検知結果に基づいて、前記吐き出し口が前記ポンプ槽内の汚水中に位置するように、前記ポンプを制御する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【請求項7】
前記ポンプ槽は、前記汚水が流入する空間を構成する内面に、前記旋回流が部分的に停滞することを防止する曲面を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【請求項8】
前記制御部は遅延タイマー機能を有し、前記フロートスイッチの位置が前記ポンプを停止すべき位置まで低下してから、所定時間後まで前記ポンプの動作の停止を遅延させて前記ポンプの駆動を継続させる請求項6に記載のポンプ槽。
【請求項9】
前記ポンプ槽の底部付近には、油脂分を含む汚水が滞留し、前記吐き出し口から流出される汚水によって、前記油脂分を含む汚水に旋回流が発生する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入した汚水を外部の処理槽へ排出させるポンプ槽において、槽内に残る汚水、特に油脂分の量を大幅に低減可能としたものに関し、例えば、家庭や工場からの排水が流れる下水設備に設けられるポンプ槽や、家庭内のキッチン排水に設置されるポンプ槽を含む。
【背景技術】
【0002】
家庭や工場から排出される汚水を処理槽に送るには自然流下が経済的であるが、処理槽までの距離が長い場合、途中にポンプ槽が設置される。そのポンプ槽は、一般に、水位制御(フロートスイッチ)によりポンプが起動し、ポンプによって汚水が吸引されてポンプ槽の外部の処理槽に送られる。
【0003】
また、ディスポーザーを有するキッチン排水に設置されるポンプ槽は、ディスポーザーで粉砕された生ゴミから出る油脂分がポンプ槽に堆積し、水位制御(フロートスイッチ)の誤作動(不作動・不停止)を引き起こし、満水警報やポンプ故障を発する事象が多く起こっている。これに対しては、警報が発せられるたびに、堆積した油脂分を手作業で引き上げ、燃えるゴミとして処分するか、バキューム車で引き抜く方法が一般的であり、不経済な回収・処分活動が行われている。
【0004】
下水設備におけるポンプ槽としては、例えば特許文献1に記載の下水用ポンプシステムが挙げられる。この下水用ポンプシステムは、油脂分を多く含まない汚水排水や雑排水に用いられており、ポンプ槽の内部に段差を設けた予旋回槽により旋回流を発生し、ポンプ槽内の貯留汚水を排水するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者らは、キッチン排水のポンプ槽において油脂分が堆積するために生じる上記不経済な上記回収・処分活動による負担を大幅に減少させるために、鋭意研究の結果、ポンプ槽に残る油脂分を大幅に低減可能な構成を創出するに至った。これにより、油脂分を処理槽で浄化して下水道に流すことが可能となるため、ゴミの減量や収集運搬の削減が可能となり二酸化炭素削減に大いに寄与することとなる。このような作用効果は、キッチン排水におけるポンプ槽以外の下水設備においても同様であり、ポンプ槽内に停滞しやすい成分を確実に下流の処理槽へ流出させることができ、汚水を処理槽で浄化して下水道に流すことを可能としている。
【0007】
そこで本発明は、流入した汚水を外部の処理槽へ排出させるポンプ槽において、槽内に残る汚水と油脂分をより確実に排出することを可能としたポンプ槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のポンプ槽は、汚水が流入するポンプ槽であって、ポンプ槽内に配置され、ポンプ槽内へ流入した汚水を吸引するポンプと、ポンプ槽内においてポンプの排水口に接続され、ポンプで吸引された汚水をポンプ槽外の処理槽へ流出させる排水管と、ポンプ槽内において排水管に設けられ、排水管を通る汚水の一部をポンプ槽内へ排出させる吐き出し口と、を備え、吐き出し口からポンプ槽内に流出される汚水によって、ポンプ槽内の汚水に旋回流を発生させることを特徴としている。
【0009】
本発明のポンプ槽において、吐き出し口は、ポンプ槽内の汚水中に位置することが好ましい。
【0010】
本発明のポンプ槽において、吐き出し口は、ポンプ槽の底部付近に位置することが好ましい。
【0011】
本発明のポンプ槽において、吐き出し口の内径は、排水管の内径より小さいことが好ましい。
【0012】
本発明のポンプ槽において、ポンプは、ポンプ槽内に複数配置されており、それぞれのポンプに接続された排水管に設けられた吐き出し口は、それぞれが発生させる旋回流が、ポンプ槽内で一定方向の流れを形成するように位置していることが好ましい。
【0013】
本発明のポンプ槽は、さらに、ポンプ槽内の汚水の表面に位置するフロートスイッチと、フロートスイッチの位置に応じてポンプの動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、フロートスイッチの位置に基づいて汚水の表面の位置を検知し、この検知結果に基づいて、吐き出し口がポンプ槽内の汚水中に位置するように、ポンプを制御することが好ましい。
【0014】
本発明のポンプ槽において、ポンプ槽は、汚水が流入する空間を構成する内面に、旋回流が部分的に停滞することを防止する曲面を有することが好ましい。
【0015】
本発明のポンプ槽において、制御部は遅延タイマー機能を有し、フロートスイッチの位置がポンプを停止すべき位置まで低下してから、所定時間後までポンプの動作の停止を遅延させてポンプの駆動を継続させることが好ましい。
【0016】
本発明のポンプ槽において、ポンプ槽の底部付近には、油脂分を含む汚水が滞留し、吐き出し口から流出される汚水によって、油脂分を含む汚水に旋回流が発生することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
、
本発明によると、流入した汚水を外部の処理槽へ排出させるポンプ槽において、槽内に残る汚水、特に堆積しやすい油脂分、をより確実に排出することができるため、ポンプ槽の下流に位置する処理槽において確実に処理することができ、これにより、従来ポンプ槽に溜まっていた油脂分を含んだ汚水を回収して処分するという、人的負担や経済的負担を大幅に軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係るポンプ槽の概略内部構成を側方から示す図である。
【
図2】
図1に示すポンプ槽を上方から示す図である。
【
図3】第1実施形態の変形例1に係るポンプの概略内部構成を上方から示す図である。
【
図4】第1実施形態の変形例2に係るポンプの概略内部構成を上方から示す図である。
【
図5】第2実施形態に係るポンプの概略内部構成を上方から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るポンプ槽について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るポンプ槽10の概略内部構成を、制御部40及び処理槽50とともに示す図であって、図面中の上下がポンプ槽の上下方向となる。
図2は、
図1に示すポンプ槽10の概略内部構成を上側から見た図である。
【0020】
図1と
図2に示すように、第1実施形態にかかるポンプ槽10は、槽本体11内に、ポンプ20と、排水管30と、フロートスイッチ41とが設けられた構成を備える。
【0021】
図1と
図2に示すように、槽本体11は、その側壁部11aに汚水の流入口12を備える。流入口12は、槽本体11内において汚水の堆積が想定されるよりも上側であれば、
図1と
図2に示す以外の位置に設けてもよい。汚水は流入口12から槽本体11内へ流入する。
図1と
図2では槽本体11の上壁部を省略しているがポンプ槽10の設置形態に応じた形態で閉じられており、この上壁部に流入口12を設けることもできる。
【0022】
図2に示すように、槽本体11は、平面視(上下方向に沿って上側から見た状態)で、4つの角部に曲面11rを有する略矩形状をなしている。曲面11rの形成は、槽本体11の製造時に側壁部11aに湾曲加工を施す方法のほか、平面視矩形状の槽本体11(
図2の破線で示す形状を有する槽本体)に対して曲面形状を有する板材等を挿入・固定する方法も可能である。槽本体11の平面視形状は、後述する旋回流Fの停滞を防止できるような曲面を有していることが好ましく、
図2に示す形状のほか、全体として、楕円形状、円形状、曲面を含む多角形形状が可能である。
【0023】
図1に示すように、槽本体11の底面11bは平面をなしており、この底面11bにおいて、ポンプ20は、槽本体11内において平面視略中央に配置されている。ポンプ20は底面11bに対して、スペーサ(不図示)を配置することにより、上下方向において所定の距離を置くように配置されており、底面11b側へ向けて開いた吸引口21を備える。
【0024】
ポンプ20は上部に排水口22を備え、排水口22に排水管30が上向きに接続されている。
図1に示すように、排水管30は上下方向に沿って上側へ延び、槽本体11の上部から外部へ延出した管部は、ポンプ槽10に隣り合うように設けられた処理槽50側へ延び、処理槽50の流入口33に接続される。排水管30は槽本体11に対する位置が変化しないように不図示の固定具によって固定されている。
【0025】
これにより、吸引口21は槽本体11内に溜まった汚水中に位置し、ポンプ20の駆動によって吸引口21から汚水が吸引される。吸引された汚水は、排水口22から排水管30へ排出され、排水管30を通じて槽本体11内においては上方向へ流れ、ポンプ槽10の外部の処理槽50へ排出される。
【0026】
排水管30の下部には吐き出し口31が設けられている。吐き出し口31は、槽本体11の底部付近(底面11b近傍)に位置し、槽本体11の底面11bに略平行に延びるように設置されている。吐き出し口31は、汚水がポンプ20の排水口22よりも上方の水面レベルL2にあるときは、ポンプ槽10の槽本体11内の汚水中に位置する。
【0027】
図2に示すように、吐き出し口31は、平面視においてL字状に屈曲した管状の形状を有する。その屈曲形状は、平面視において、まず、排水管30から、槽本体11の側壁部11aに向かうように延び、その後側壁部11aに沿って延びるように屈曲させている。このような形状の吐き出し口31を設けることにより、ポンプ20を駆動して吸引された汚水は、排水管30を通じて処理槽50側へ流れるとともに、その一部が吐き出し口31から槽本体11内へ吐き出される。
【0028】
吐き出し口31の内径は、排水管30の内径よりも小さく設定されている。ポンプ20の駆動力、吐き出し口31の内径、及び、吐き出し口31の内径と排水管30の内径との比率などの設定により、吐き出し口31の先端孔32から所定の速度で槽本体11内へ汚水が吐出される。吐き出し口31から吐出された汚水は、槽本体11内の側壁部11aに沿って進行し、側壁部11aに設けた曲面11rに沿って旋回し、旋回流Fを形成する。槽本体11の側壁部11aに曲面11rを設けているため、旋回流Fは、槽本体11内において部分的に停滞することなく進行する。さらに、槽本体11の底面11bは平面であり、また、槽本体11の側壁部11aは、排水管30に関して対称的な形状を有するため、旋回流Fは滞りなく槽本体11内を進行する。これにより、槽本体11の底部に滞留していた汚水が槽本体11内を移動するため、ポンプ20によって確実に吸引されることとなる。特に、油脂分を含む汚水では槽本体11の水面に油脂分が停滞しやすいが、旋回流Fを生じさせることによって、停滞した油脂分を槽本体11内で移動させることができるため、ポンプ20によって吸引する可能性を大幅に高めることができる。
【0029】
ここで吐き出し口31の形状は、平面視L字状に限定されない。例えば、
図3に示す変形例1のポンプ槽110の吐き出し口131のように、一定方向に延びる円筒状の形状であってもよい。この形状の場合には、平面視において、槽本体11の側壁部11aに対して直角となる方向に延伸しないように、側壁部11aに対して斜めの角度に延伸するように先端孔132の向きを配置する。これにより槽本体11内において旋回流Fを生じさせることができる。
【0030】
また、上述の吐き出し口31、131のように、排水管30から筒状に延伸する形態ではなく、排水管30に円形状の孔部の開いた継手を設け、これを吐き出し口とすることもできる。この場合も、槽本体11内に旋回流Fを生じさせるように、吐き出し口からの吐き出し方向が槽本体11の側壁部11aに対して斜めの角度をなすように吐き出し口を設けることが好ましい。
【0031】
槽本体11内には、フロートスイッチ41が設けられている。フロートスイッチ41は、槽本体11内の汚水の水面(表面)上に浮かぶフロート部42と、フロート部42が汚水の水位の変化に応じて上下可能となるように支持する、上下方向に延びる線状の支持体43とからなる。支持体43は、槽本体11に固定されている。
【0032】
フロート部42の位置は、制御部40において検知され、フロート部42の位置が汚水の表面の位置として検知される。制御部40は、フロート部42の位置(フロートスイッチ41の位置)の検知結果に応じて、ポンプ20に対して制御信号を出力し、この制御信号によってポンプ20の動作を制御する。この制御信号により、吐き出し口31が槽本体11内の汚水中に位置するように、ポンプ20による吸引動作が制御される。また、制御部40は、汚水の水位が、ポンプ20において吸引口21が設けられた位置の水位L1より低いときには、動作を停止するようにポンプ20に対して制御信号を出力する。
【0033】
制御部40は遅延タイマー機能を有することが好ましい。この遅延タイマー機能によれば、フロートスイッチ41の位置がポンプ20を停止すべき位置L1まで停止してから、所定時間経過後までポンプ20の動作の停止を遅延させてポンプの駆動を継続させる。これにより、汚水の水位が位置L1に至った後もポンプ20による吸引が所定時間継続されるため、槽本体11内の汚水の水位が底面11bに略等しくなるまで吸引が継続され、槽本体11内の汚水の排水をより確実に行うことができる。ここで、遅延させる時間は、ポンプ槽の容量によって設定し、容量によっては遅延タイマー機能を用いない場合もある。
【0034】
上記第1実施形態においては、槽本体11の側壁部11aの角部に曲面11rを設けたが、
図4に示す変形例2のポンプ槽111のように、槽本体11の側壁部11aに曲面を設けずに平面視矩形状とした構成も可能である。これにより、矩形状の槽本体11の角部で旋回流Fの進行が弱くなるおそれがあるものの、槽本体11を簡便に低コストで製造することが可能となる。
【0035】
<第2実施形態>
第1実施形態においては、槽本体11内に1つのポンプ20と、これに対応する、1つの排水管30及び1つの吐き出し口31を設けていたが、ポンプ、排水管、及び、吐き出し口の数は複数であってもよい。
図5に示すように、これらを2つずつ設けることにより、旋回流Fの速度や流量を大きくすることができるため、槽本体11の水面に溜まった、油脂分などの汚水を移動させることが可能となり、2つのポンプ220a、220bによって、より確実に吸引することができ、槽本体11の底部に汚水が溜まることを防止することが可能となる。
なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略している。
【0036】
図5に示すポンプ槽210は、第1実施形態と同様に、平面視で角部に曲面11rを有する槽本体11を用いている。平面視において、槽本体11の左右方向(
図5の左右方向)の略中央の位置には、前後方向(
図5の上下方向)に並ぶように2つのポンプ220a、220bが設けられている。
【0037】
2つのポンプ220a、220bには、処理槽50側に設けられた排水口(不図示)に排水管230a、230bがそれぞれ接続されている。これらの排水管230a、230bは、第1実施形態の排水管30と同様に、槽本体11内で上向きに延び、槽本体11の上部から外部へ延出した後は処理槽50側へ延び、2つの流入口233a、233bにそれぞれ接続されている。
【0038】
一方の排水管230aには、第1実施形態と同様に、下部に管状の吐き出し口231aが設けられており、平面視においてL字状に屈曲した形状を有する。他方の排水管230bにも、下部に管状の吐き出し口231bが設けられており、平面視においてL字状に屈曲した形状を有する。
ここで、2つの排水管230a、230b、及び、2つの吐き出し口231a、231bの形状は、第1実施形態における、排水管30及び吐き出し口31の形状とそれぞれ同一である。
【0039】
2つの吐き出し口231a、231bは、それぞれの先端孔232a、232bが左右方向において互いに逆向きに開くように配置されている。このような形状の2つの吐き出し口231a、231bを設けることにより、2つのポンプ220a、220bを駆動して吸引された汚水は、2つの排水管230a、230bを通じて処理槽50側へ流れるとともに、その一部が吐き出し口231a、231bから槽本体11内へ吐き出される。吐き出し口231a、231bから吐き出された汚水は、槽本体11内において旋回流Fを生じさせる。第2実施形態の構成においては、旋回流Fの速度や流量を大きくすることができるため、槽本体11の底部に溜まった、油脂分などの汚水をより多く移動させることが可能となり、2つのポンプ220a、220bによって、より確実に吸引することができ、槽本体11の底部に汚水が溜まることを防止することが可能となる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 ポンプ槽
11 槽本体
11a 側壁部
11b 底面
11r 曲面
12 流入口
20 ポンプ
21 吸引口
22 排水口
30 排水管
31 吐き出し口
32 先端孔
33 流入口
40 制御部
41 フロートスイッチ
42 フロート部
43 支持体
50 処理槽
110、111 ポンプ槽
131 吐き出し口
132 先端孔
210 ポンプ槽
220a、220b ポンプ
230a、230b 排水管
231a、231b 吐き出し口
232a、232b 先端孔
233a、233b 流入口
F 旋回流
【手続補正書】
【提出日】2021-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水が流入するポンプ槽であって、
前記ポンプ槽内に配置され、前記ポンプ槽内へ流入した前記汚水を吸引するポンプと、
前記ポンプ槽内において前記ポンプの排水口に接続され、前記ポンプで吸引された前記汚水を前記ポンプ槽外の処理槽へ流出させ、前記ポンプ槽の中央付近で当該ポンプ槽の底面と直交する方向に延びる排水管と、
前記ポンプ槽内において前記排水管に設けられ、前記排水管を通る前記汚水の一部を前記ポンプ槽内へ排出させる吐き出し口と、を備え、
前記吐き出し口は、前記ポンプ槽の底部付近で当該ポンプ槽の底面に略平行に延びており、その先端孔から当該底面に平行する方向に前記汚水の一部を排出し、
前記先端孔は、前記底面に沿った方向において、前記ポンプ槽の中央から所定の距離隔て位置しており、
前記吐き出し口から前記ポンプ槽内に流出される前記汚水によって、前記ポンプ槽内の前記汚水に旋回流を発生させ、
前記ポンプ槽は、前記汚水が流入する空間を形成する内面に、平面視において矩形の4つの角部を丸めた形状で前記旋回流が部分的に停留することを防止する曲面を備え、且つ前記内面に角部がない形状をしており、
前記曲面は、前記排水管側から見て当該排水管を部分的に囲む凹形状をしている、
ことを特徴とするポンプ槽。
【請求項2】
前記吐き出し口は、前記ポンプ槽内の汚水中に位置する請求項1に記載のポンプ槽。
【請求項3】
前記吐き出し口の内径は、前記排水管の内径より小さい請求項2に記載のポンプ槽。
【請求項4】
前記ポンプは、前記ポンプ槽内に複数配置されており、それぞれのポンプに前記排水管が接続されており、
前記それぞれのポンプの前記排水菅の吐き出し口は、前記ポンプ槽内で同一の方向の前記旋回流を生させる向きに前記汚水の一部を排出するように位置している
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【請求項5】
前記ポンプ槽内の汚水の表面に位置するフロートスイッチと、
前記フロートスイッチの位置に応じて前記ポンプの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記フロートスイッチの位置に基づいて前記汚水の表面の位置を検知し、この検知結果に基づいて、前記吐き出し口が前記ポンプ槽内の汚水中に位置するように、前記ポンプを制御する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【請求項6】
前記制御部は遅延タイマー機能を有し、前記フロートスイッチの位置が前記ポンプを停止すべき位置まで低下してから、所定時間後まで前記ポンプの動作の停止を遅延させて前記ポンプの駆動を継続させる請求項5に記載のポンプ槽。
【請求項7】
前記ポンプ槽の底部付近には、油脂分を含む汚水が滞留し、前記吐き出し口から流出される汚水によって、前記油脂分を含む汚水に旋回流が発生する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポンプ槽。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のポンプ槽は、汚水が流入するポンプ槽であって、前記ポンプ槽内に配置され、前記ポンプ槽内へ流入した前記汚水を吸引するポンプと、前記ポンプ槽内において前記ポンプの排水口に接続され、前記ポンプで吸引された前記汚水を前記ポンプ槽外の処理槽へ流出させ、前記ポンプ槽の中央付近で当該ポンプ槽の底面と直交する方向に延びる排水管と、前記ポンプ槽内において前記排水管に設けられ、前記排水管を通る前記汚水の一部を前記ポンプ槽内へ排出させる吐き出し口と、を備え、前記吐き出し口は、前記ポンプ槽の底部付近で当該ポンプ槽の底面に略平行に延びており、その先端孔から当該底面に平行する方向に前記汚水の一部を排出し、前記先端孔は、前記底面に沿った方向において、前記ポンプ槽の中央から所定の距離隔て位置しており、前記吐き出し口から前記ポンプ槽内に流出される前記汚水によって、前記ポンプ槽内の前記汚水に旋回流を発生させ、前記ポンプ槽は、前記汚水が流入する空間を形成する内面に、平面視において矩形の4つの角部を丸めた形状で前記旋回流が部分的に停留することを防止する曲面を備え、且つ前記内面に角部がない形状をしており、前記曲面は、前記排水管側から見て当該排水管を部分的に囲む凹形状をしている。
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【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明のポンプ槽の前記ポンプは、前記ポンプ槽内に複数配置されており、それぞれのポンプに前記排水管が接続されており、前記それぞれのポンプの前記排水菅の吐き出し口は、前記ポンプ槽内で同一の方向の前記旋回流を生させる向きに前記汚水の一部を排出するように位置している。