(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056362
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】光学シート、バックライトユニット、及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20220401BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220401BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220401BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220401BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02F1/13357
F21S2/00 481
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131403
(22)【出願日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2020163602
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100174827
【弁理士】
【氏名又は名称】治下 正志
(72)【発明者】
【氏名】松野 有希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大平
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA12
2H042BA20
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AB39
2H391AC04
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC26
2H391DA07
3K244AA02
3K244BA01
3K244BA26
3K244BA48
3K244DA01
3K244DA13
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA10
3K244GA17
3K244GA20
(57)【要約】
【課題】好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】蛍光剤13を含有する色変換層11と、前記色変換層11の少なくとも一方の表面上に固着された複数の光拡散粒子12とを備える光学シート10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光剤を含有する色変換層と、
前記色変換層の少なくとも一方の表面上に固着された複数の光拡散粒子とを備えることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記光拡散粒子は、ガラスビーズ及び樹脂ビーズの少なくとも一方である請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記樹脂ビーズは、スチレン系樹脂を含む中空粒子である請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記光拡散粒子の体積平均粒子径は、0.1~5μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光拡散粒子は、前記色変換層に樹脂を介して固着しており、
前記樹脂に対する前記光拡散粒子の比率は、10~300質量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
前記複数の光拡散粒子が、前記色変換層の両面上に固着されている請求項1~5のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項7】
前記蛍光剤は、緑色蛍光剤と赤色蛍光剤とを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項8】
前記色変換層は、光拡散剤をさらに含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項9】
前記光拡散剤は、シリコーンビーズ及び酸化チタン粒子の少なくとも一方を含む請求項8に記載の光学シート。
【請求項10】
前記光学シートが、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートである請求項1~9のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項11】
複数の光源と、
プリズムシートと、
前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、
前記光学シートが、請求項1~10のいずれか1項に記載の光学シートであることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項12】
前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子である請求項11に記載のバックライトユニット。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載のバックライトユニットと、
前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、バックライトユニット、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びタブレット等の各種情報機器における表示装置として、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)が広く利用されている。液晶ディスプレイに用いられるバックライトとしては、例えば、液晶パネルの背面側に複数の光源を配置する直下型方式等が挙げられる。
【0003】
直下型方式のバックライトでは、前記光源として、発光ダイオード(LED)素子を用いることが多く、例えば、青色光を発光する、いわゆる青色LED素子等が用いられる。前記光源として、LED素子を用いた場合、この光源から照射された光が白色光に近づくように色変換されて出射する発光装置等が用いられる。
【0004】
このような色変換する発光装置としては、例えば、特許文献1に記載のバックライトユニット等が挙げられる。特許文献1には、青色光を面発光する面発光部と、該面発光部から発せられた前記青色光が入射されることにより該青色光よりも長波長側の光を発光し、かつ、前記青色光の一部を透過する波長変換層を備えたシート型波長変換部材と、該シート型波長変換部材を挟んで前記面発光部と対向配置される再帰反射性部材群と、前記面発光部を挟んで前記シート型波長変換部材と配向配置される反射板とを備え、前記再帰反射性部材群における前記青色光の反射率が70%超であるバックライトユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、ユニットの薄膜化と良好な色味の白色光の出力を実現することができる旨が開示されている。また、特許文献1には、前記再帰反射性部材群による励起光反射率を高めることで、白色光の出力等を実現できる旨が開示されており、このような再帰反射性部材群としては、プリズムシート、反射型偏光板、及び青色光を選択的に反射する選択反射層を備えてなることが例示されている。
【0007】
直下型方式のバックライトでは、例えば、前記光源とプリズムシートとの間に、前記光源であるLED素子から照射された光を透過させることによって、透過された光の色を変換可能な光学シートを配置することによって、前記光源から照射される光を白色光に近づくように色変換することも考えられる。このような色変換可能な光学シートとしては、蛍光剤を含有させることが考えられる。具体的には、例えば、緑色蛍光剤として、β-SiAlONを含み、赤色蛍光剤として、KSFを含む光学シートを用いることで、DCI-P3規格で90%を超える色再現性を発現させることも可能である。一方で、このような光学シートで、LED素子から照射された光を透過させて白色光を得るためには、蛍光剤を高充填させる必要がある。また、青色光を白色光に好適に変換する光学シートを得るために蛍光剤を高充填させると、β-SiAlONやKSF等の蛍光剤は、非常に高価であることから、得られた光学シートが非常に高価になってしまう。これらのことから、蛍光剤の使用量を減らしても、好適な色変換ができる光学シートが求められている。すなわち、蛍光剤の含有量が比較的少なくても、好適な色変換が可能な程度、色変換効率の高い光学シートが求められている。
【0008】
特許文献1に記載のバックライトユニットのように、プリズムシート、反射型偏光板、及び選択反射層等を備えることによって、蛍光剤の使用量を増量させた、色変換可能な光学シートを用いなくても、白色光が照射されるバックライトとすることが考えられる。なお、特許文献1には、前記再帰反射性部材群は前記シート型波長変換部材と光学的に接触してもよい旨が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、前記シート型波長変換部材は、波長変換層が透明基材に挟持されていることから、前記再帰反射性部材群と前記波長変換層とが一体の光学シートではないと考えられる。すなわち、特許文献1に記載の発明では、前記再帰反射性部材群と前記シート型波長変換部材とが別に備えられていると考えられる。
【0009】
一方で、バックライトユニットは、薄型化が求められている。このため、前記色変換可能な光学シートとして、色変換性に優れた光学シートが求められる。色変換性に優れた光学シートを備えることによって、プリズムシート等を薄くすることができ、バックライトユニットの薄型化も実現できる。これらのことから、蛍光剤の含有量を高めるのではなく、好適な色変換ができるほど、色変換性に優れた光学シートが求められている。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされた発明であって、好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
【0012】
本発明の一態様に係る光学シートは、蛍光剤を含有する色変換層と、前記色変換層の少なくとも一方の表面上に固着された複数の光拡散粒子とを備えることを特徴とする光学シートである。
【0013】
このような構成によれば、好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。すなわち、前記光学シートでは、表面上に光拡散粒子を固着させない場合と同程度の色変換を実現するために、前記蛍光剤の含有量を低下させることができる。よって、前記光学シートは、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換が可能なほど、好適な色変換が実現できる。
【0014】
また、前記光学シートにおいて、前記光拡散粒子は、ガラスビーズ及び樹脂ビーズの少なくとも一方であることが好ましい。また、前記樹脂ビーズは、スチレン系樹脂を含む中空粒子であることがより好ましい。
【0015】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。
【0016】
また、前記光学シートにおいて、前記光拡散粒子の体積平均粒子径は、0.1~5μmであることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。
【0018】
また、前記光学シートにおいて、前記光拡散粒子は、前記色変換層に樹脂を介して固着しており、前記樹脂に対する前記光拡散粒子の比率は、10~300質量%であることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。
【0020】
また、前記光学シートにおいて、前記複数の光拡散粒子が、前記色変換層の両面上に固着されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。
【0022】
また、前記光学シートにおいて、前記蛍光剤は、緑色蛍光剤と赤色蛍光剤とを含むことが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートが得られる。具体的には、前記光学シートを透過する光が青色光である場合、その光学シートを透過する青色光が前記光学シートの色変換層に含まれる緑色蛍光剤に吸収されることによって、前記青色光より緑色側に変換された光を前記緑色蛍光剤から放射することができる。また、前記光学シートを透過する青色光が前記光学シートの色変換層に含まれる赤色蛍光剤に吸収されることによって、前記青色光より赤色側に変換された光を前記赤色蛍光剤から放射することができる。これらの変換された光の混色光は、黄色側に変換されることになる。よって、前記光学シートを透過した青色光は、この黄色側に変換された混色光によって、白色側に変換されることになる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができる。
【0024】
また、前記光学シートにおいて、前記色変換層は、光拡散剤をさらに含むことが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、蛍光剤の含有量が比較的少なくても、好適な色変換ができる光学シートが得られる。すなわち、光拡散剤を含まない場合と同程度の色変換を実現するために、蛍光剤の含有量を少なくすることができる。
【0026】
また、前記光学シートにおいて、前記光拡散剤は、シリコーンビーズ及び酸化チタン粒子の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、光拡散剤を含まない場合と同程度の色変換を実現するために、蛍光剤の含有量をより少なくすることができる。よって、色変換性により優れた光学シートが得られる。
【0028】
また、前記光学シートにおいて、前記光学シートが、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートであることが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、前記液晶表示装置において、前記光学シートを適用することにより、好適に画像表示された液晶表示装置が得られる。
【0030】
また、本発明の他の一態様に係るバックライトユニットは、複数の光源と、プリズムシートと、前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、前記光学シートが、上述した光学シートであることを特徴とするバックライトユニットである。
【0031】
このような構成によれば、好適に色変換された光を照射することができるバックライトユニットを提供することができる。
【0032】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子であることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、前記光源から青色光を照射し、その照射した青色光を好適に色変換した白色光を照射することができるバックライトユニットを提供することができる。
【0034】
また、本発明の他の一態様に係る液晶表示装置は、前記バックライトユニットと、前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0035】
このような構成によれば、前記バックライトユニットから、好適に色変換された光が照射されるので、前記液晶パネルに好適な画像表示をすることができる液晶表示装置が得られる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る光学シートの構成の一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る光学シートの構成の他の一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る光学シートの構成の他の一例を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る光学シートの構成の他の一例を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る光学シートを備えるバックライトユニットの構成の一例を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すバックライトユニットを備える液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、光学シートに固着させた光拡散粒子の種類と色度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、光学シートの構成と色度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の一実施形態に係る光学シートは、蛍光剤を含有する色変換層と、前記色変換層の少なくとも一方の表面上に固着された複数の光拡散粒子とを備える。この光学シートの一例としては、
図1に示すように、蛍光剤13を含有する色変換層11と、前記色変換層11の一方の表面上に固着された複数の光拡散粒子12とを備える光学シート10等が挙げられる。また、前記光学シートの他の一例としては、
図2に示すように、蛍光剤13を含有する色変換層11と、前記色変換層11の両方の表面(両面)上に複数の光拡散粒子12が固着された光学シート20等が挙げられる。また、前記色変換層11には、
図3及び
図4に示すように、前記蛍光剤13だけではなく、光拡散剤17も含んでいてもよい。すなわち、前記色変換層11は、前記蛍光剤13を含み、前記光拡散剤17をさらに含んでいてもよい。なお、
図1は、本実施形態に係る光学シートの構成の一例(光学シート10)を示す概略断面図である。また、
図2は、本実施形態に係る光学シートの構成の他の一例(光学シート20)を示す概略断面図である。また、
図3は、本実施形態に係る光学シートの構成の他の一例(光学シート30)を示す概略断面図である。また、
図4は、本実施形態に係る光学シートの構成の他の一例(光学シート40)を示す概略断面図である。
【0040】
前記光学シート10、20、30、40(以下、前記光学シート10、20、30、40を、単に、前記光学シートとも称する)は、例えば、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられる液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートとして用いることができる。より具体的には、前記光学シートとしては、例えば、
図5及び
図6に示すように、液晶表示装置60に備えられるバックライトユニット50において、前記液晶表示装置60の背面側に分散して設けられた複数の光源22と、プリズムシート24,25との間に位置する光学シートである。また、前記光学シートが、
図1に示すような、前記色変換層11の一方の表面上に前記複数の光拡散粒子12を固着させる場合、
図5に示すように、前記光学シート10を、前記色変換層11が前記光源22側(入光側)に、前記複数の光拡散粒子12が前記プリズムシート24,25側(出光側)になるように配置することが好ましい。なお、
図5は、本実施形態に係る光学シートの一例である光学シート10を備えるバックライトユニット50の構成の一例を示す概略断面図である。また、
図6は、
図5に示すバックライトユニット50を備える液晶表示装置60の構成の一例を示す概略断面図である。
【0041】
前記光学シートは、蛍光剤13を含有する色変換層11の表面上に、複数の光拡散粒子12を固着させることによって、透過させた光を好適に色変換させることができる。すなわち、前記光学シートでは、表面上に光拡散粒子を固着させない場合と同程度の色変換を実現するために、前記蛍光剤13の含有量を低下させることができる。
【0042】
このことは、以下のことによると考えられる。まず、前記光学シートに備えられる前記色変換層11を光が透過する際、その透過中の光が前記色変換層11に含有される蛍光剤13にあたることにより、光の色が変換される。そして、前記色変換層11を透過された光が、前記色変換層11の表面上に固着された光拡散粒子12にあたると反射される。この反射された光が、前記色変換層11に含有される蛍光剤13にあたることもある。このような光拡散粒子12にあたることにより反射された光も前記色変換層11に含有される蛍光剤13にあたることにより、前記蛍光剤13への光の接触頻度が高まると考えられる。このような前記蛍光剤13への光の接触頻度の増加により、色変換効率が高まると考えられる。よって、前記光学シートは、蛍光剤13の含有量が比較的低くても、好適な色変換が可能なほど、好適な色変換が実現できると考えられる。
【0043】
ここで色変換とは、具体的には、光学シートに青色光を透過させることによって、その青色光を白色光に近づくような色変換等が挙げられる。
【0044】
前記光拡散粒子12は、前記色変換層11を透過された光を拡散させる効果を発揮する粒子であれば、特に限定されない。前記光拡散粒子12としては、例えば、光拡散剤、すなわち、光学シートに含有して光拡散効果を発揮する光拡散剤等が挙げられる。また、前記光拡散粒子12としては、無機粒子であってもよいし、有機粒子であってもよい。前記無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、水酸化アルミニウム粒子、硫酸バリウム粒子、及びガラスビーズ等が挙げられる。また、前記有機粒子としては、アクリルビーズ及びポリスチレンビーズ等の樹脂ビーズであってもよく、前記樹脂ビーズとしては、例えば、アクリル粒子、アクリルニトリル粒子、シリコーンビーズ、ポリスチレン粒子、メラミン粒子、及びポリアミド粒子等が挙げられる。また、前記有機粒子(樹脂ビーズ)は、中空粒子であってもよい。前記中空粒子としては、例えば、スチレン系樹脂を含む中空粒子(中空スチレン粒子)等が挙げられる。また、前記光拡散粒子12は、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記光拡散粒子12としては、これらの中でも、ガラスビーズ、アクリルビーズ、及び中空スチレン粒子等が好ましく、中空スチレン粒子がより好ましい。
【0045】
前記光拡散粒子12の粒径は、光拡散効果を発揮することができれば、特に限定されず、前記光拡散粒子12の種類等によっても異なるが、例えば、体積平均粒子径で、0.1~5μmであることが好ましく、0.5~1μmであることがより好ましい。前記光拡散粒子12が小さすぎても、大きすぎても、色変換を好適に行えない傾向がある。このことは、前記光拡散粒子12が小さすぎる場合は、前記光学シートに備えられる前記色変換層11を透過された光が、前記色変換層11の表面上に固着された光拡散粒子12にあたっても、反射されにくくなることによると考えられる。また、前記光拡散粒子12が大きすぎる場合は、前記光拡散粒子12同士の距離が離れる傾向があるため、前記光学シートに備えられる前記色変換層11を透過された光があたりにくくなることによると考えられる。よって、前記光拡散粒子12は、粒径が上記範囲内であることにより、得られた光学シートの色変換をより好適に行うことができる。なお、前記光拡散粒子12の体積平均粒子径は、一般的な粒度計等で測定することができる。
【0046】
前記光拡散粒子12は、前記色変換層11の表面全体にわたって固着されていることが好ましい。前記光拡散粒子12の被覆率としては、前記光拡散粒子12の粒径等によっても異なるが、例えば、前記色変換層11の面積に対する、前記光拡散粒子12の存在する面積の比で、100%以上であることが好ましい。すなわち、前記光拡散粒子12は、前記色変換層11の面方向において、前記光拡散粒子12同士が重複している部分があることが好ましい。
【0047】
前記光拡散粒子12は、前記色変換層11の表面上に固着されていればよい。前記光拡散粒子12は、例えば、
図1~4に示すように、前記色変換層11に樹脂(バインダ)14を介して固着していてもよい。前記バインダ14としては、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。前記バインダ14である前記透光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、セルロースアセテート、及びポリイミド等が挙げられる。また、前記バインダ14(前記透光性樹脂)としては、紫外線(UV)硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。前記UV硬化型樹脂としては、例えば、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。前記熱硬化型樹脂としては、例えば、熱硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。また、前記バインダ14は、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
前記光拡散粒子12を前記バインダ14で固着させる場合、前記光拡散粒子12の前記バインダ14に対する比率(光拡散粒子/バインダ)が、10~300質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましい。前記比率が低すぎる場合、前記光拡散粒子12が少ない傾向があり、前記光拡散粒子12により奏する効果が不充分になる傾向がある。よって、光学シートの色変換効率が充分に高まらず、好適な色変換ができる光学シートが得られない傾向がある。また、前記比率が高すぎる場合、前記バインダ14が少ない傾向があり、前記光拡散粒子12が好適に固着されない傾向がある。よって、前記比率が上記範囲内になるような量の前記バインダ14で前記光拡散粒子12を固着させることによって、好適な色変換ができる光学シートが得られやすくなる。
【0049】
前記色変換層11は、
図1~4に示すように、前記蛍光剤13を含有し、光を透過させることができる層であれば、特に限定されない。前記色変換層11としては、例えば、前記蛍光剤13を含み、前記色変換層11用のバインダとして、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)をさらに含む層、及び前記蛍光剤13と前記透光性樹脂とからなる層等が挙げられる。
【0050】
前記蛍光剤13は、特に限定されないが、光が吸収され、吸収された光が長波長化されて出射することができる蛍光剤等が挙げられる。前記蛍光剤13としては、例えば、青色光で励起されて黄色光を発する黄色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より黄色側に変換した光を放射可能な黄色蛍光剤)、青色光で励起されて緑色光を発する緑色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より緑色側に変換した光を放射可能な緑色蛍光剤)、及び、青色光で励起されて赤色光を発する赤色蛍光剤等(青色光を吸収して前記青色光より赤色側に変換した光を放射可能な赤色蛍光剤)が挙げられる。前記黄色蛍光剤としては、例えば、YAG、及びLSN等が挙げられる。前記緑色蛍光剤としては、例えば、β-SiAlON、及びLuAG等が挙げられる。前記赤色蛍光剤としては、例えば、KSF、及びCASN等が挙げられる。前記蛍光剤13は、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
前記蛍光剤13としては、
図1~4に示すように、前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16とを含むことが好ましく、前記蛍光剤13は、前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16とからなるものであってもよい。このような前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16とを含む場合、例えば、前記光学シートを透過させる光が青色光である場合、その光学シートを透過する青色光が前記光学シートの色変換層11に含まれる緑色蛍光剤15に吸収されることによって、前記青色光より緑色側に変換した光を前記緑色蛍光剤15から放射することができる。また、前記光学シートを透過する青色光が前記光学シートの色変換層11に含まれる赤色蛍光剤16に吸収されることによって、前記青色光より赤色側に変換した光を前記赤色蛍光剤16から放射することができる。これらの変換された光の混色光は、黄色側に変換されることになる。そして、前記光学シートを透過した光は、この黄色側に変換された混色光によって、白色光側に変換されることになる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができる。前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16との含有比は、前記蛍光剤13(前記緑色蛍光剤15及び前記赤色蛍光剤16)の種類等によっても異なるが、質量比で、6:3~6:18であることが好ましく、6:6~6:12であることがより好ましく、6:9であることが特に好ましい。前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16との含有比が上記範囲内であれば、前記蛍光剤13にあたって得られた混色光により、前記光学シートを透過した光を白色光側に好適に変換することができる。よって、より好適に色変換できる光学シートが得られる。
【0052】
前記蛍光剤13の含有量は、前記色変換層11の厚みや前記蛍光剤13の種類等によっても異なるが、例えば、前記色変換層11全量に対して、7.5~15質量%であることが好ましい。前記蛍光剤13が少なすぎると、好適な色変換を実現しにくくなる傾向がある。すなわち、前記光学シートでは、前記色変換層11の表面上に前記光拡散粒子12を固着させることにより、色変換効率を高めることができるとは言え、前記蛍光剤13が少なすぎると、好適な色変換を実現しにくくなる傾向がある。また、前記蛍光剤13が多すぎても、前記蛍光剤13による色変換効果が飽和する傾向がある。また、前記蛍光剤13が多すぎても、好適な色変換を実現できるが、蛍光剤の含有量を減らすという要求を満たすこともできていないことになる。よって、本実施形態に係る光学シートでは、前記色変換層11の表面上に前記光拡散粒子12を固着させることにより、前記蛍光剤13の含有量が上記範囲内であっても、好適な色変換が可能な光学シートが得られる。
【0053】
前記蛍光剤13の粒径は、前記蛍光剤13が光学シートに含有されることにより色変換を実現できるのであれば、特に限定されない。前記蛍光剤13の粒径としては、例えば、体積平均粒子径で、5~100μmであることが好ましく、10~40μmであることがより好ましい。前記蛍光剤13が小さすぎても、大きすぎても、色変換を好適に行えない傾向がある。このことは、前記蛍光剤13が小さすぎる場合は、光学シートを透過する光にあたりにくくなることによると考えられる。また、前記蛍光剤13が大きすぎる場合は、前記蛍光剤13同士の距離が離れる傾向があり、それにより、光学シートを透過する光にあたりにくくなることによると考えられる。よって、前記蛍光剤13は、粒径が上記範囲内であることにより、得られた光学シートの色変換をより好適に行うことができる。なお、前記蛍光剤13の体積平均粒子径は、一般的な粒度計等で測定することができる。
【0054】
前記色変換層11用のバインダとしては、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。前記透光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、セルロースアセテート、及びポリイミド等が挙げられる。また、前記色変換層11用のバインダ(前記透光性樹脂)としては、紫外線(UV)硬化型樹脂を用いることが好ましい。前記色変換層11用のバインダは、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記色変換層11用のバインダとして、UV硬化型樹脂を用いると、硬化前のUV硬化型樹脂に、前記蛍光剤13、及び必要に応じて前記光拡散剤17を添加し、これらが添加された硬化前のUV硬化型樹脂を、基材や光拡散層等に塗布して、UVを照射することにより、色変換層11が得られる点で好ましい。前記UV硬化型樹脂としては、例えば、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。
【0055】
前記色変換層11は、上述したように、前記蛍光剤13を含有し、光を透過させることができる層であればよく、
図3及び
図4に示すように、前記蛍光剤13を含有するだけではなく、光拡散剤17も含有してもよい。また、前記色変換層11は、前記蛍光剤13を含んでいればよく、前記光拡散剤17を含んでいなくてもよいが、前記光拡散剤17を含むことが好ましい。このような光拡散剤17も含有する場合、前記色変換層11としては、例えば、前記蛍光剤13と、前記光拡散剤17と、前記色変換層11用のバインダ(前記透光性樹脂)とを含む層、及び前記蛍光剤13と、前記光拡散剤17と、前記色変換層11用のバインダ(前記透光性樹脂)とからなる層等が挙げられる。前記色変換層11は、前記蛍光剤13だけではなく、前記光拡散剤17を含むことにより、前記蛍光剤13の含有量が比較的少なくても、好適な色変換を可能とする。すなわち、前記色変換層11に光拡散剤17も含有する前記光学シート30,40では、前記色変換層11に前記光拡散剤17を含むことによって、色変換層に光拡散剤を含まない場合と同程度の色変換を実現するための前記蛍光剤13の含有量を減らすことができる。このことは、以下のことによると考えられる。前記光学シート30,40に透過する光が、前記光学シート30,40の前記色変換層11に含有される前記光拡散剤17にあたる等によって、その光路が長くなる。そうなると、透過する光が前記蛍光剤13にあたる機会が増える。このことにより、前記蛍光剤13による色変換を好適に行うことができると考えられる。よって、前記蛍光剤13が比較的少量であっても、好適な色変換が実現できると考えられる。
【0056】
前記光拡散剤17は、光学シートに含有して光拡散効果を発揮する光拡散剤であれば、特に限定されない。前記光拡散剤17としては、例えば、一般的な光拡散シートに含有される光拡散剤として含有される無機粒子及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、水酸化アルミニウム粒子、及び硫酸バリウム粒子等が挙げられる。前記有機粒子としては、例えば、アクリル粒子、アクリルニトリル粒子、シリコーンビーズ、ポリスチレン粒子、及びポリアミド粒子等が挙げられる。前記光拡散剤17は、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記光拡散剤17は、これらの中でも、シリコーンビーズ、及び酸化チタン粒子が好ましい。また、前記色変換層11には、上述したように、前記光拡散剤17を含有してもよく、また、前記光拡散剤17を含有していなくてもよい。前記光拡散剤17を含有する場合の前記光拡散剤17の含有量は、前記光拡散剤17の種類等によっても異なるが、例えば、前記色変換層11全量に対して、0.1~30質量%であることが好ましく、0.5~30質量%であることがより好ましい。
【0057】
前記色変換層11の厚みは、前記蛍光剤13の濃度等によっても異なり、特に限定されない。前記色変換層11の厚みの下限値としては、例えば、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、前記色変換層11の厚みの上限値としては、例えば、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが特に好ましい。前記色変換層11が薄すぎる場合、前記色変換層11によって奏される色変換効果を充分に発揮できない傾向がある。また、前記色変換層11が薄すぎても厚すぎても、それによる不具合するおそれがある。例えば、得られた光学シートの加工性が低下するおそれがある。また、前記色変換層11が厚すぎる場合、得られた光学シートが厚くなり、バックライトユニットや、最終的な製品である液晶表示装置の小型化に寄与しにくくなる。
【0058】
前記光学シートは、上記の構成により、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる。また、前記光学シートは、上述したように、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートとして用いることができる。
【0059】
前記光学シートの製造方法は、前記構成の光学シートを製造できれば、特に限定されない。前記光学シートの製造方法としては、例えば、前記蛍光剤13を含む色変換層11の表面上に、前記光拡散粒子12を添加した液状のバインダ14を、前記色変換層11上に塗工した後、前記バインダ14を固化させることによって、前記色変換層11上に前記光拡散粒子12が固着された光学シートを製造する方法等が挙げられる。前記バインダ14として、UV硬化型樹脂を用いる場合、前記固化する方法としては、UVを照射して、前記バインダを硬化させる方法等が挙げられる。
【0060】
前記液晶表示装置に備えられるバックライトユニットは、前記光学シートを備えていれば、特に限定されない。すなわち、本実施形態に係るバックライトユニットは、複数の光源と、プリズムシートと、前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、前記光学シートが、上述した光学シートであるバックライトユニットである。このような前記光学シートを備えるバックライトユニットは、好適に色変換された光を照射することができる。前記バックライトユニット50は、具体的には、
図5に示すように、反射シート21と、複数の光源22と、前記光学シート10と、第1プリズムシート24と、第2プリズムシート25と、偏光シート26とを備える。前記複数の光源22は、前記反射シート21上に2次元状に配置されている。前記光学シート10は、本実施形態に係る光学シートであって、前記光源22と前記第1プリズムシート24との間に位置する。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25は、前記光学シート10と前記偏光シート26との間に位置し、前記光学シート10側に配置されるのが、前記第1プリズムシート24であって、前記偏光シート26側に配置されるのが、前記第2プリズムシート25である。また、ここでは、
図1に示す光学シート10を用いた場合について説明するが、前記光学シート10の代わりに、
図2に示す光学シート20を用いてもよいし、
図3に示す光学シート30を用いてもよいし、
図4に示す光学シート40を用いてもよい。
【0061】
前記反射シート21は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる反射シート等が挙げられる。前記反射シート21としては、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、及び銀蒸着フィルム等が挙げられる。
【0062】
前記光源22は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる光源等が挙げられる。前記光源22としては、いわゆる小型光源を用いることができ、例えば、発光ダイオード(LED)素子、及びレーザ素子等が挙げられる。前記光源22は、これらの中でも、コスト及び生産性等の観点から、LED素子が好ましく用いられる。また、前記光源22として、青色光を照射する青色LED素子であることが好ましい。前記光学シートは、前記光源から照射された青色光を白色光等に好適に色変換することができる。このことから、前記バックライトユニット50は、前記光源から青色光を照射し、その照射した青色光を好適に色変換した白色光を照射することができる。また、前記光源22は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm~20mmであることが好ましく、10μm~10mmであることがより好ましく、50μm~5mmであることがさらに好ましい。前記光源22としてLED素子を用いる場合、LEDチップを一定の間隔をもって前記反射シート21上に配置してもよい。また、前記光源22となるLED素子の出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。
【0063】
前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられるプリズムシート等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25としては、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように形成され、隣り合う一対の溝条からなるプリズムの頂角が90°程度に形成されたフィルム等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25としては、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、UV硬化型アクリル樹脂を用いてプリズム形状をつけたもの等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25とは、前記第1プリズムシート24に形成された各溝条と前記第2プリズムシート25に形成された各溝条とが、互いに直交するように配置される。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25とは、一体に形成されていてもよい。
【0064】
前記偏光シート26は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる偏光シート等が挙げられる。前記偏光シート26としては、市販品を用いることができ、例えば、3M社製のDBEFシリーズ等が挙げられる。
【0065】
前記液晶表示装置は、前記バックライトユニットを備えていれば、特に限定されない。すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置は、前記バックライトユニットと、前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備える液晶表示装置である。このような液晶表示装置は、前記光学シートを備えるバックライトユニットから、好適に色変換された光が照射されるので、前記液晶パネルに好適に画像表示することができる。前記液晶表示装置60は、
図6に示すように、バックライトユニット50と、液晶パネル35と、第1偏光板36及び第2偏光板37とを備える。前記液晶パネル35は、前記第1偏光板36と前記第2偏光板37との間に位置し、前記バックライトユニット50側に配置されるのが、前記第1偏光板36である。
【0066】
前記液晶パネル35は、互いに対向するように設けられた薄膜トランジスタ(TFT)基板31及びカラーフィルタ(CF)基板32と、前記TFT基板31と前記CF基板32との間に設けられた液晶層33とを備える。また、前記液晶パネル35には、前記TFT基板31と前記CF基板32との間に前記液晶層33を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)をさらに備える。
【0067】
前記TFT基板31は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるTFT基板等が挙げられる。前記TFT基板31としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、前記TFTのそれぞれを覆うように設けられた層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、前記画素電極のそれぞれを覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0068】
前記CF基板32は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるCF基板等が挙げられる。前記CF基板32としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルタと、前記ブラックマトリクス及び前記カラーフィルタを覆うように設けられた共通電極と、前記共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0069】
前記液晶層33は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる液晶層等が挙げられる。前記液晶層33としては、例えば、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される液晶層等が挙げられる。
【0070】
前記第1偏光板36及び前記第2偏光板37は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる偏光板等が挙げられる。前記第1偏光板36及び前記第2偏光板37としては、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える偏光板等が挙げられる。
【0071】
前記液晶表示装置60の表示画面60aを正面(
図5における上方)から見た形状は、特に限定されない。この形状としては、長方形又は正方形が多いが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)等の任意の形状であってもよい。
【0072】
前記液晶表示装置60は、前記画素電極のそれぞれに対応する各サブ画素において、前記液晶層33に所定の大きさの電圧を印加して前記液晶層33の配向状態を変えるとともに、前記バックライトユニット50から前記第1偏光板36を介して入射した光をその透過率を調整して前記第2偏光板37を介して出射することにより、画像が表示される。
【0073】
前記液晶表示装置60は、種々の情報機器(例えば、カーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、及び現金自動預け払い機等)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0074】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例0075】
[色変換層の製造]
緑色蛍光剤(β-SiAlON、体積平均粒子径16μm)を6質量%、赤色蛍光剤(KSF、体積平均粒子径30μm)を9質量%となるように、それぞれを、硬化前の(液状の)UV硬化型樹脂(UV硬化型アクリル樹脂)に添加した。なお、蛍光剤の含有量は、前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤とを合わせて、15質量%であった。このようにして得られた液体(色変換層形成用塗工液)を基板に塗工した。その際、最終的に得られる色変換層の厚みが約130μmとなるように、前記色変換層形成用塗工液を塗工した。その後、この塗工した色変換層形成用塗工液にUVを照射して、前記UV硬化型樹脂を硬化させることによって、前記基板上に色変換層が形成され、前記基板から剥離することによって色変換層が得られた。
【0076】
[検討例]
まず、光拡散粒子として、以下の粒子を用いた。
【0077】
ガラスビーズ1:ガラスビーズ(ユニチカ株式会社製のUBS-0005E、体積平均粒子径3.76μm)
ガラスビーズ2:ガラスビーズ(ユニチカ株式会社製のUBS-0005MF、体積平均粒子径3.40μm)
アクリルビーズ:アクリルビーズ(大日精化工業株式会社製のラブコロール2307MEJ、体積平均粒子径7μm)
中空スチレン粒子1:ポリスチレンからなる中空粒子(積水化成品工業株式会社製のxx284、多中空粒子、体積平均粒子径7.5μm)
中空スチレン粒子2:ポリスチレンからなる中空粒子(積水化成品工業株式会社製のxx301、単中空粒子、体積平均粒子径4.5μm)
中空スチレン粒子3:ポリスチレンからなる中空粒子(積水化成品工業株式会社製のxx306、単中空粒子、体積平均粒子径0.4μm)
(検討例1)
表1に示す光拡散粒子(ガラスビーズ1)を、バインダ(熱硬化性アクリル樹脂、DIC株式会社製のA807-BA)に分散させた。その際、バインダに対する光拡散粒子の比率(光拡散粒子/バインダ)が、60質量%となるように、混合した。得られた分散液を、PETシート上に、前記光拡散粒子がPETシート全面を覆うように塗工した。そして、温度80℃の条件下で1分間静置して、前記バインダを硬化させることによって、前記PETシート上に光拡散粒子が固着された。
【0078】
検討例1としては、この光拡散粒子が固着されたPETシートを、前記色変換層に重ねた積層体を用いた。
【0079】
(検討例2~6)
検討例2~6としては、光拡散粒子(ガラスビーズ1)を、それぞれ表1に示す光拡散粒子に変更したこと以外、検討例1と同様にして得られた積層体を用いた。
【0080】
(検討例7)
検討例7としては、光拡散粒子を用いないこと以外、検討例1と同様にして得られた積層体を用いた。
【0081】
[評価]
(色度)
アレイ状に並んだ青色LED素子(青色LEDアレイ)の上面から5mmあけて、測定対象物(前記積層体)を設け、前記測定対象物上に、溝条が互いに直交するように配置した2枚のプリズムシートを載せることによって、バックライトユニットを組み立てた。このバックライトユニットから発せられる光の色度(x、y)を、輝度計(株式会社トプコン製の分光放射輝度計SR-3)で測定した。
【0082】
この結果を、表1及び
図7に示す。
図7は、光学シートに固着させた光拡散粒子の種類と色度との関係を示すグラフである。
図7において、プロット51~57は、それぞれ、検討例1~7の結果を示す。
【0083】
【0084】
表1及び
図7から、蛍光剤を含む色変換層上に、光拡散粒子を固着させたPETシートを重ねた場合(検討例1~6)は、光拡散粒子を固着させていないPETシートを重ねた場合(検討例7)と比較して、青色光を白色光により近づくように色変換させることができることがわかった。このことから、色変換層上に光拡散粒子を固着させると、好適な色変換ができることがわかる。
【0085】
さらに、中空スチレン粒子3(xx306)を用いる(検討例6)と、上記の色変換がより効果的であることがわかった。このことから、用いる光散乱粒子が小さいほど、好適な色変換を行うことができることがわかる。具体的には、小さい中空粒子(例えば、1μm以下)を用いることによって、中空スチレン粒子1や中空スチレン粒子2を用いた(検討例4及び検討例5)場合より、高い色変換効率を得ることができる。一方で、中空スチレン粒子1や中空スチレン粒子2を用いた(検討例4及び検討例5)場合は、ガラスビーズ1、ガラスビーズ2、及びアクリルビーズ(検討例1~3)と同程度であることから、光拡散粒子の粒径が、色変換効率への影響が大きいとも考えられる。このことは、以下のことによると考えられる。光拡散粒子の粒径が小さいために、単位質量あたりの表面積が大きくなり、青色光の接触頻度が高くなると考えられる。このことにより、前記光拡散粒子が、色変換層に含まれる蛍光剤への接触頻度を高める効果をより奏すると考えられる。よって、光拡散粒子の粒径が小さいほど、光学シートの色変換性を高めることができると考えられる。
【0086】
そこで、以下、中空スチレン粒子3(xx306)を用いて、以下、さらに検討した。
【0087】
[実施例1~3]
光拡散粒子として中空スチレン粒子3(xx306)を、バインダ(熱硬化性アクリル樹脂、DIC株式会社製のA807-BA)に分散させた。その際、バインダに対する光拡散粒子の比率(光拡散粒子/バインダ)が、表2に示す比率(光拡散粒子/バインダ:質量%)となるように、混合した。得られた分散液を、前記色変換層の片面(出光側となる表面)上に、前記光拡散粒子が前記色変換層全面を覆うように塗工した。そして、温度80℃の条件下で1分間静置して、前記バインダを硬化させることによって、前記色変換層の片面上に光拡散粒子が固着された光学シートが得られた。なお、前記色変換層に対する前記粒子の被覆率は、100%であった。
【0088】
[実施例4~6]
光拡散粒子として中空スチレン粒子3(xx306)を、バインダ(熱硬化性アクリル樹脂、DIC株式会社製のA807-BA)に分散させた。その際、バインダに対する光拡散粒子の比率(光拡散粒子/バインダ)が、前記比率(光拡散粒子/バインダ)が100質量%となるように、混合した。得られた分散液(第1の分散液)を、前記色変換層の片面(出光側となる表面)上に、前記光拡散粒子が前記色変換層全面を覆うように塗工した。そして、温度80℃の条件下で1分間静置して、前記バインダを硬化させた。
【0089】
次に、前記第1の分散液とは別に、光拡散粒子として中空スチレン粒子3(xx306)を、前記バインダに、前記比率(光拡散粒子/バインダ)が表2に示す比率(光拡散粒子/バインダ:質量%)となるように混合した。得られた分散液(第2の分散液)を、前記色変換層のもう一方の表面(入光側となる表面)上に、前記光拡散粒子が前記色変換層全面を覆うように塗工した。そして、温度80℃の条件下で1分間静置して、前記バインダを硬化させることによって、前記色変換層の両面上に光拡散粒子が固着された光学シートが得られた。なお、前記色変換層に対する前記粒子の被覆率は、100%であった。
【0090】
[比較例]
比較例に係る光学シートは、光拡散粒子を用いないこと以外、実施例1と同様にして、得られた。
【0091】
[評価]
(色度)
この得られた光学シートの色度を、前記色度の測定方法において、測定対象物として、前記出光側の表面がプリズムシート側となるように設けて測定した。
【0092】
この結果を、表2及び
図8に示す。
図8は、光学シートの構成と色度との関係を示すグラフである。
図8において、プロット61~67は、それぞれ、実施例1~6及び比較例1を示す。
【0093】
【0094】
表2及び
図8からわかるように、色変換層に光拡散粒子を固着させた場合(実施例1~6)は、光拡散粒子を固着させない場合(比較例)と比較して、好適に色変換された。また、光拡散粒子を色変換層の両面に固着させた場合(実施例4~6)は、片面の場合(実施例1~3)より、好適に色変換された。このことから、色変換層の両面に光拡散粒子を固着させるほうが好ましいことがわかる。また、実施例1~3の比較により、バインダに対する光拡散粒子の比率が高いほど、好適に色変換された。このことは、実施例4~6の比較からもわかる。そして、これらのことから、光拡散粒子を色変換層に固着できるのであれば、光拡散粒子が多いほうが好ましいことがわかる。
【0095】
実施例1~6に係る各光学シートにおいて、光拡散剤として、体積平均粒子径2μmのシリコーンビーズを前記色変換層に含有させた場合は、得られた光の色度(x、y)が、実施例1~6に係る各光学シートより高まった。
【0096】
また、実施例1~6に係る各光学シートにおいて、光拡散剤として、体積平均粒子径0.05μmの酸化チタン粒子を前記色変換層に含有させた場合は、得られた光の色度(x、y)が、実施例1~6に係る各光学シートより高まった。
【0097】
これらのことから、前記色変換層に、光拡散剤を含有させることによって、得られた光の色度(x、y)をより高めることができ、よって、より好適に色変換できることがわかった。
【0098】
さらに、実施例は、比較例と比較して、蛍光体を削減できることもわかる。具体的には、実施例6と比較例とのデータを用いて、以下のように算出できる。
【0099】
(青色光との色度差:Δx、Δy)
得られた光の色度(x、y)と、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)との差(Δx、Δy)を、下記式から算出した。なお、ここでは、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)との差(Δx、Δy)を、青色光との色度差とした。
【0100】
Δx=x-x_B
Δy=y-y_B
なお、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)は、x_Bが0.1535、y_Bが0.0269であった。
【0101】
(削減可能率)
まず、青色光との色度差が、蛍光剤の濃度に対して正比例すると仮定して推定し、ここから、色変換性を求めた。具体的には、実施例6に係る光学シートにおける青色光との色度差(Δx_e、Δy_e)と、比較例に係る光学シートにおける青色光との色度差(Δx_c、Δy_c)とを用いて、下記式から算出した。
【0102】
色変換性(%)=0.5×(Δx_e/Δx_c+Δy_e/Δy_c)×100
次に、100をこの色変換性で割ることによって、蛍光剤の削減可能率を算出した。
【0103】
【0104】
表3からわかるように、実施例6に係る光学シートでは、光拡散粒子を固着させていない比較例に係る光学シートと比較して、同程度の色度を得るために、蛍光剤の使用量を17.4%削減することが可能と推定できる。