IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058079
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20220404BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20220404BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20220404BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220404BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/60
H01L33/54
H01L23/28 D
G02B5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005599
(22)【出願日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2020166544
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 彰良
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚人
【テーマコード(参考)】
2H148
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA19
4M109AA02
4M109BA03
4M109CA22
4M109EA02
4M109EA10
4M109EA17
4M109EC11
4M109GA01
5F142AA13
5F142BA03
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB15
5F142CB22
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE02
5F142CE16
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA14
5F142DB18
5F142FA21
5F142FA42
5F142GA01
5F142GA11
5F142GA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輝度ムラを軽減させることができる発光装置の提供。
【解決手段】発光装置1は、第1A面101と、前記1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面201と、前記第1A面と前記第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子100と、第2A面と、前記第2A面の反対側に位置する第2B面と、前記第2A面と前記第2B面との間に位置する第2側面と、を有し、前記第2B面が前記発光素子の前記第1A面に対向するように配置された透光部材30と、前記発光素子の側面を覆う第1導光部材61と、前記第1導光部材61を覆い、前記第1導光部材61よりも屈折率の小さい第2導光部材62と、前記第2導光部材62を覆う光反射部材と、を備え、前記第1導光部材61と前記第2導光部材62との界面F1は、発光素子100の上面側に向かうにつれ発光素子側面に近づく傾斜面61S、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1A面と、前記第1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面と、前記第1A面と前記第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子と、
第2A面と、前記第2A面の反対側に位置する第2B面と、前記第2A面と前記第2B面との間に位置する第2側面と、を有し、前記第2B面が前記発光素子の前記第1A面に対向するように配置された透光部材と、
前記発光素子の前記第1側面を覆う第1導光部材と、
前記第1導光部材を覆い、前記第1導光部材よりも屈折率の小さい第2導光部材と、
前記第2導光部材を覆う光反射部材と、を備え、
前記第1導光部材と前記第2導光部材との界面は、前記発光素子の前記第1側面から垂直な方向における距離が、前記発光素子の前記第1A面側よりも前記第1B面側が長い傾斜面を含む発光装置。
【請求項2】
前記第2導光部材は、前記透光部材の前記第2B面を覆う第3A面と、前記第3A面と反対側に位置する第3B面と、前記第3A面と前記第3B面との間に位置し前記第1導光部材を覆う第3側面と、を有し、
前記第2導光部材の前記第3B面は、前記発光素子の前記第1B面よりも前記透光部材の前記第2B面側に位置する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1導光部材は、前記第2導光部材の第3B面の少なくとも一部を覆うように延在する請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2導光部材の第3A面は、前記透光部材の前記第2B面と接しており、
前記第2導光部材の屈折率は、前記透光部材の屈折率と同等である請求項1又は請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子は、前記第1A面側に位置する支持基板と、前記第1B面側に位置する半導体積層体と、を有し、
前記第1導光部材の外側上端は、前記発光素子の前記半導体積層体よりも前記第2導光部材の第3B面側に位置する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光反射部材は、前記透光部材の前記第2側面を覆う請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光部材は、蛍光体を含有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の電極が接続される配線が形成される基板をさらに備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記基板の下面は長手方向と前記長手方向と直交する短手方向に延長し、
前記基板の下面には第1A部と、前記第1A部と前記長手方向に並んで配置される第2A部と、前記第1A部と前記第2A部を連結する第3A部と、を備える第1配線部が配置され、
前記短手方向における前記第3A部の最大長さは、前記短手方向における前記第1A部の最大長さ及び前記短手方向における前記第2A部の最大長さよりも短い請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1A部から離れて、前記第2A部を覆う絶縁膜をさらに備える請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記短手方向における前記第1A部の最大長さは、前記短手方向における前記第2A部の最大長さよりも長い請求項9又は請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記短手方向における前記第3A部の最大長さは、前記短手方向における前記第1A部の最大長さの0.1倍以上0.5倍以下である請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
第1A面と、前記第1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面と、前記第1A面と前記第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子を準備する工程と、
第2A面と、前記第2A面の反対側に位置する第2B面と、前記第2A面と前記第2B面との間に位置する第2側面と、を有する硬化状態の透光部材を準備する工程と、
前記透光部材の前記第2B面上に、半硬化状態の第2導光部材を配置する工程と、
前記発光素子の前記第1A面または前記第2導光部材の上面に、前記第2導光部材よりも屈折率が大きな第1導光部材を配置する工程と、
前記第2導光部材の上面と前記発光素子の前記第1A面とが対向するように、前記第2導光部材上に前記第1導光部材を介して前記発光素子を載置する工程と、
前記第2導光部材の内部に前記発光素子の少なくとも一部が埋設されるとともに前記電極が露出されるように、前記発光素子に荷重をかける工程と、
前記第1導光部材および前記第2導光部材を硬化する工程と、
前記透光部材の前記第2A面が露出されるとともに前記透光部材の前記第2側面と前記第2導光部材とが覆われるように、光反射部材を配置する工程と、を含む発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置として、発光素子の光取出面側に、光取出面よりも大きな面積の透光性部材を接着剤を介して接合し、その接着剤が発光素子の側面を覆うものが開示されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-201089
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、輝度ムラを軽減させることができる発光装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される発光装置は、第1A面と、前記1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面と、前記第1A面と前記第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子と、第2A面と、前記第2A面の反対側に位置する第2B面と、前記第2A面と前記第2B面との間に位置する第2側面と、を有し、前記第2B面が前記発光素子の前記第1A面に対向するように配置された透光部材と、前記発光素子の前記第1側面を覆う第1導光部材と、前記第1導光部材を覆い、前記第1導光部材よりも屈折率の小さい第2導光部材と、前記第2導光部材を覆う光反射部材と、を備え、前記第1導光部材と前記第2導光部材との界面は、前記発光素子の前記第1側面から垂直な方向における距離が、前記発光素子の前記第1A面側よりも前記第1B面側が長い傾斜面を含む。
【0006】
実施形態に開示される発光装置の製造方法は、第1A面と、前記1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面と、前記第1A面と前記第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子を準備すると共に、第2A面と、前記第2A面の反対側に位置する第2B面と、前記第2A面と前記第2B面との間に位置する第2側面と、を有する硬化状態の透光部材を準備する工程と、前記透光部材の前記第2B面上に、半硬化状態の第2導光部材を配置する工程と、前記発光素子の前記第1A面または前記導光部材の上面に、前記第2導光部材よりも屈折率が大きな第1導光部材を配置する工程と、前記第2導光部材の上面と前記発光素子の前記第1A面とが対向するように、前記第2導光部材上に前記第1導光部材を介して前記発光素子を載置する工程と、前記第2導光部材の内部に前記発光素子の少なくとも一部が埋設されるとともに前記電極が露出されるように、前記発光素子に荷重をかける工程と、前記第1導光部材および前記第2導光部材を硬化する工程と、前記透光部材の前記第2A面が露出されるとともに前記透光部材の前記第2側面と前記第2導光部材とが覆われるように、光反射部材を配置する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、輝度ムラを軽減させることができる発光装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態に係る発光装置の模式斜視図である。
図1B】実施形態に係る発光装置の図1Aと異なる向きの模式斜視図である。
図2図1AのII-II線における模式断面図である。
図3図1AのIII-III線における模式断面図である。
図4】実施形態に係る発光装置を部分的に示す模式拡大断面図である。
図5】実施形態に係る発光装置における導光方向を示す模式断面図である。
図6】実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図7A】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7B】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7C】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7D】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7E】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である、
図7F】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7G】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図7H】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図8】実施形態に係る発光装置の変形例を部分的に示す模式拡大断面図である。
図9A図8で示す発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図9B図8で示す発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図9C図8で示す発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図10A】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式平面図である。
図10B】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式正面図である。
図10C】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式背面図である。
図10D】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式左側面図である。
図10E】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式底面図である。
図10F】絶縁膜を省略した実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式底面図である。
図11図10AのXI-XI線における模式断面図である。
図12A】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式底面図である。
図12B】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式底面図である。
図13】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式平面図である。
図14図13のXIV-XIV線における模式断面図である。
図15】実施形態に係る発光装置の変形例を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて詳細に説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
また、各図は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態にも適用可能である。さらに、構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。各図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などが誇張、部材の一部の図示が省略、又は、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
なお、本明細書中および図面中において、X方向は、+X方向および-X方向の双方を含む。また、Y方向は、+Y方向および-Y方向の双方を含む。さらに、Z方向は、+Z方向及び-Z方向の双方を含む。
【0010】
図1A図4に示すように、発光装置1は、第1A面101と、第1A面101の反対側に位置し、電極26が配置された第1B面201と、第1A面101と第1B面201との間に位置する第1側面301と、を有する発光素子100と、第2A面102と、第2A面102の反対側に位置する第2B面202と、第2A面102と第2B面202との間に位置する第2側面302と、を有し、第2B面202が発光素子100の第1A面101に対向するように配置された透光部材30と、発光素子100の第1側面301を覆う第1導光部材61と、第1導光部材61を覆い、第1導光部材61よりも屈折率の小さい第2導光部材62と、第2導光部材62を覆う光反射部材40と、を備えている。さらに、発光装置1では、第1導光部材61と第2導光部材62との界面F1は、発光素子100の第1側面301から垂直な方向(直交方向)における距離が、発光素子100の第1A面101側の距離D1よりも第1B面201側の距離D2が長い傾斜面61Sを含んでいる。なお、発光装置1は、本実施形態において必須ではないが基板10をさらに備えていてもよい。
以下、発光装置1の各構成について説明する。
【0011】
(基板)
基板10は、発光素子100が配置される部材である。基板10は、基材11と配線12とを備え、基材11に設けられた貫通孔内に配置された導電性部材15を有している。なお、以下では、基板10の上面が矩形の場合、基板10の上面の長辺方向を長手方向(X方向)、長手方向に直交する方向を短手方向(Y方向)とする。
基材11の材料は、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン若しくはポリイミドなどの樹脂、又はセラミックス若しくはガラスなどの絶縁性部材を用いることができ、特に発光素子100の線膨張係数に近い物性を有する材料を用いることが好ましい。
なお、基材11の厚さの下限値は、基材11の強度の観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。基材11の厚さの上限値は、発光装置1の厚さの観点から、0.6mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.4mm以下であることがさらにより好ましい。
【0012】
配線12は、基板10の上面及び下面に配置され、発光素子100に電力を供給する経路となる。基板10の上面の配線と下面の配線とは導電性部材15を介して接続される。配線12は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、チタン、パラジウム、ロジウム、銀、白金、金などの金属又はこれらの合金で形成することができる。また、配線12は、これらの金属又は合金の単層でも多層でも形成することができる。
導電性部材15の材料としては、例えば配線12と同様の金属材料を用いることができる。導電性部材15は、基材11の貫通孔内の全体を占めていてもよいし、貫通孔内の一部、例えば貫通孔の表面上に配置された導電膜であってもよい。また、貫通孔を規定する表面上に導電膜が配置される場合、貫通孔内の導電膜よりも内側の領域に、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料が充填されてもよい。
基板10の下面には、絶縁性の確保及び短絡の防止を図るために、絶縁膜70が配置されてもよい。絶縁膜70の材料は、公知の樹脂材料を用いることができ、例えば熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等が挙げられる。
また、図1Bに一例を示すように、基板10の下面に外部の実装基板に固定するための窪み14を設け、配線12である電極を窪み14に沿って配置することができる。窪み14内の配線と外部の実装基板とは、例えば半田などの接合部材を介して電気的に接続することができる。
【0013】
(発光素子)
発光素子100は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、例えばLEDチップである。発光素子100は、その上面を第1A面101とし、その下面を第1B面201とし、その側面を第1側面301としている。発光素子100は、第1A面101及び第1側面301を第1導光部材61で覆われており、第1B面201が光反射部材40で覆われている。そして、発光素子100の第1A面101には、少なくとも第1導光部材61を介して透光部材30が配置されている。また、発光素子100の第1側面301側には、第1導光部材61及び第2導光部材62が配置されている。
【0014】
発光素子100は、少なくとも半導体積層体100Aを備えると共に、例えば、サファイア又は窒化ガリウム等の支持基板100Bを備えている。また、発光素子100は、正負一対の電極26を有する。半導体積層体100Aは、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層とを含む。なお、半導体積層体100Aは、支持基板100Bが除去されたものを用いてもよい。また、発光層の構造としては、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW)のように単一の活性層を持つ構造でもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造でもよい。発光層は、可視光又は紫外光を発光可能である。発光層は、可視光として、青色から赤色までを発光可能である。このような発光層を含む半導体積層体100Aとしては、例えばInAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。半導体積層体100Aは、上述した発光色を発光可能な発光層を少なくとも1つ含むことができる。例えば、半導体積層体100Aは、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造であってもよい。半導体積層体100Aが複数の発光層を含む場合、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲、例えば、主波長で数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができ、例えば、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、又は緑色光と赤色光などが挙げられる。
基板10上に配置される発光素子100は、1個でもよく複数でもよい。実施形態に係る発光装置1は、一例として、発光装置1の長手方向に並んで配置される2個の発光素子100を有している。
【0015】
(透光部材)
透光部材30は、発光素子100の第1A面101に対面する位置に配置され、発光素子100を保護すると共に、少なくとも発光素子100からの光を外部に取出すための部材である。透光部材30は、一例として、発光素子100の第1A面101に導光部材60を介して接合される第1透光部材31と、この第1透光部材31の上面に配置される第2透光部材32とを備えている。
なお、透光部材30は、第2透光部材32の上面を第2A面102とし、その第1透光部材31の下面を第2B面202とし、透光部材30(第1透光部材31及び第2透光部材32)の側面を第2側面302としている。そして、透光部材30の第2側面302は、光反射部材40に接して覆われている。また、透光部材30の第2B面202は、第1導光部材61及び第2導光部材62を介して発光素子100と接合されている。透光部材30は、平面視において、発光素子100の第1A面101よりも面積が大きくなるように長方形状を有している。
【0016】
第1透光部材31は、導光部材60を介して発光素子100の第1A面101に対面する位置に配置される。この第1透光部材31は、波長変換物質を含有することができる。
第2透光部材32は、第1透光部材31の上面に配置されている。第2透光部材32の厚さは、第1透光部材31よりも薄い。第2透光部材32は、発光装置1の光取出面である第2A面102を構成している。第2透光部材32は、波長変換物質を含有していてもよい。第1透光部材31に波長変換物質を含有して場合、第2透光部材32に波長変換物質を含有しないことにより、第1透光部材31に含有される波長変換物質を水分等から保護することができるので好ましい。
【0017】
透光部材30は、透光性の母材に波長変換物質を含有させることができる。母材の材料は、例えばシリコーン、エポキシ、フェノール、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂、又はガラスである。母材は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などのフィラーを含んでいてもよい。透光部材30は、これらの母材のうちの1種を単層で、又はこれらの母材のうちの2種以上を積層して構成することができる。透光部材30は、2種類以上を積層した場合には、その最上層となる部分を第2透光部材32としそれ以外を第1透光部材31とすることもできる。
【0018】
波長変換物質は、発光素子100が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。例えば、発光素子100が発する一次光と波長変換物質が発する二次光とを混光することによって、白色光が得られるようにすることができる。このような波波長変換物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム
・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、M(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、CCA系蛍光体(例えば、(Ca,Sr)10(POCl:Eu)、又は、量子ドット蛍光体等を用いることができる。また、波長変換物質は、これらの蛍光体のうちの1種を単体で、又はこれらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
(光反射部材)
光反射部材40は、光反射性を有し、少なくとも発光素子100からの光を反射する部材である。光反射部材40は、基板10の上面側と、発光素子100の第1B面201と、導光部材60の下面と、導光部材60の側面と、透光部材30の第2側面302と、を覆う。光反射部材40は、基板10と共に発光装置1の外壁部分を構成している。光反射部材40は、基板10上に発光素子100が複数配置されている場合には、発光素子100間にも配置される。
光反射部材40の反射率は、発光素子100の発光ピーク波長に対して70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらにより好ましい。
また、光反射部材40は、白色であることが好ましく、光反射部材40の母材中に、例えば酸化チタン、酸化マグネシウムなどの白色顔料を含有してなることが好ましい。光反射部材40の母材は、例えばシリコーン、エポキシ、フェノール、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂又はこれらの変性樹脂が挙げられる。また、光反射部材40は、透光部材30の母材に含有されるフィラーと同様のフィラーを含んでいてもよい。
【0020】
(導光部材)
導光部材60は、発光素子100と透光部材30とを固定し、発光素子100からの光を透光部材30に導光する部材である。導光部材60は、第1導光部材61及び第2導光部材62を備えている。導光部材60は、第2導光部材62の上面を第3A面103とし、第2導光部材62の側面を第3側面303とし、第2導光部材62の下面を第3B面203としている。導光部材60は、第1導光部材61と第2導光部材62とが接する面を界面F1としている。そして、第1導光部材61と第2導光部材62との界面F1の一部を傾斜面61Sとしている。傾斜面61Sは、第2導光部材62の第3側面303に接する部分の面である。
第1導光部材61は、発光素子100の第1側面301を覆うと共に、発光素子100の第1A面101を覆っている。また、第1導光部材61は、第1導光部材61よりも屈折率の小さい第2導光部材62に覆われている。さらに、第1導光部材61は、第2導光部材62の第3B面の少なくとも一部を覆うように延在している。また、第1導光部材61と第2導光部材62との界面F1は、発光素子100の第1側面301から垂直な方向(直交方向)における距離が、発光素子100の第1A面101側の距離D1よりも第1B面201側の距離D2が長い傾斜面61Sを含む。
【0021】
第1導光部材61は、発光素子100の第1A面101を覆う第1A導光部61aと、発光素子100の第1側面301を覆う第1B導光部61bと、第2導光部材62の第3B面203を覆う第1C導光部61cとを備えている。また、第1導光部材61は、第2導光部材62の第3B面203の少なくとも一部を覆う。ここでは、第1C導光部61cにより、第2導光部材62の第3B面203の全部を覆っている。
第1A導光部61aは、発光素子100の第1A面101と透光部材30との間に配置される。この第1A導光部61aは、発光素子100と透光部材30との間に、第2導光部材62の上面である第3A面103と共に、接合部材として機能している。
また、第1A導光部61aと透光部材30との間には、後述する第2導光部材62の一部が延在して配置されていてもよい。その場合、発光素子100と透光部材30との間において、第1A導光部61aと第2導光部材62とが接合部材として機能する。
【0022】
第1B導光部61bは、第1A導光部61aから連続して発光素子100の第1側面301に沿って配置されている。この第1B導光部61bは、第2導光部材62側において、第1側面301に対して傾斜する傾斜面61Sを有する。つまり、第1B導光部61bと、第2導光部材62との界面F1となる傾斜面61Sは、第1側面301から垂直な方向(直交方向)における距離が、第1A面101側の距離D1よりも第1B面201側の距離D2が長くなるような傾斜を有する。第1B導光部61bは、その断面形状が細長い略台形あるいは略三角形を有している。第1B導光部61bは、傾斜面61Sを第2導光部材62との界面F1に備えているので、発光素子100の第1側面301から出射される光を傾斜面61S側あるいは第1C導光部61cに導光させ透光部材30の外縁側に伝播し易くすることができる。つまり、傾斜面61Sがあることで光が透光部材30の外縁側に伝播し易くなり、さらに、第1C導光部61cが第2導光部材の側端側に向かって延びているほど、より透光部材30の外縁側に光が伝播し易くなる。そのため、第1C導光部61cの外側上端P1が発光素子100の第1側面301から遠ざかるように第1C導光部61c(第1導光部材61)が第2導光部材62の第3B面203の少なくとも一部を覆うように配置されることで、より光を透光部材30の外縁側に伝播し易くなる。
【0023】
第1C導光部61cは、第1B導光部61bの下端側から透光部材30の外縁の直下となる位置にある第2導光部材62の下端まで連続するように配置されている。第1C導光部61cは、第1側面301に近い側から遠い側に向かって断面における厚みが徐々に薄くなる形状を有している。この第1C導光部61cの下面が、導光部材60の下面であり、光反射部材40と接している。第1C導光部61cは、第2導光部材62の下面となる第3B面203の一部が覆われていればよく、本実施形態では第3B面203の全部を覆うように配置されている。第1C導光部61cの下面は、発光素子100の下面となる第1B面201の位置を示す延長線L1よりも上方に位置している。
【0024】
また、第1導光部材61の外側上端P1は、発光素子100の半導体積層体100Aよりも第2導光部材62の第3B面203側に位置している。つまり、第1導光部材61の外側上端P1は、半導体積層体100Aよりも上方となる位置で、発光素子100の第1側面301から離れて、第2導光部材62の第3B面203の外縁になる位置としている。そして、第1C導光部61cの上面は、半導体積層体100Aよりも上方となる位置に配置されている。第1C導光部61cの上面が半導体積層体100Aよりも上方に配置されているので、発光素子100の第1側面301からの光が第1導光部材61の第1B導光部61b及び第1C導光部61cに入り易くなる。
【0025】
第2導光部材62は、第1導光部材61よりも屈折率が小さな部材であり、第1導光部材61と併せて光を透光部材30側に導光する。この第2導光部材62は、透光部材30の第2B面202を覆う第3A面103と、第3A面103と反対側に位置する第3B面203と、第3A面103と第3B面203との間に位置し第1導光部材61を覆う第3側面303と、を有している。そして、第2導光部材62の第3B面203は、発光素子100の第1B面201よりも透光部材30の第2B面202側に位置している。つまり、第3B面203は、第1B面201の位置を示す延長線L1よりも上方に位置するように配置されている。
【0026】
第2導光部材62の上面となる第3A面103は、透光部材30の下面となる第2B面202に接している。第2導光部材62は、透光部材30の屈折率と同等になる部材であることが好ましい。第2導光部材62の外側面は、透光部材30の第2側面302と同一平面上に位置する。そして、第2導光部材62の外側面は、光反射部材40に接している。また、第2導光部材62の発光素子100側の側面は、第1導光部材61の傾斜面61Sに接している。そのため、第2導光部材62の発光素子100側の第3側面303は、第2導光部材62の上面から下面に向かうにしたがって、徐々に発光素子100の第1側面301から離れるように形成されている。
第2導光部材62は、第1導光部材61の屈折率よりも小さな部材が選択される。
【0027】
導光部材60は、図5で示すように、発光素子100の第1側面301側からの光を矢印で示す方向に導光させることができる。以下、光が導光される方向について、代表的な2つの光を模式的に、第1の光HA1、及び、第2の光HA2として、その導光方向について、例示的に説明する。
発光素子100の第1側面301からの光HA1は、例えば、第1導光部材61の第1B導光部61bに入射する。第1B導光部61bは、上方に向かうにしたがって断面における幅が狭くなる形状となり、第2導光部材の界面F1である傾斜面61Sを備えることから、第1の光HA1は、反射方向を第1B導光部61b内から透光部材30の第2B面202を介して上方で、かつ発光素子100の上面側となる中央に向かう方向に導光される。
【0028】
また、第2の光HA2は、例えば、第1導光部材61の第1C導光部61cに入射する。第1C導光部61cは、その下面が発光素子100の第1B面201よりも上方に位置すると共に、外縁に向かうにしたがって断面における幅が狭くなる形状である。また、半導体積層体100Aよりも高い位置に第1C導光部61cの上面が位置している。そのため第2の光HA2は、反射角度が一定の角度を越えるまでは第1C導光部61c内で反射して外縁側に向かうように導光され、外縁側で反射角度が一定の角度を越えると第2導光部材62側に導光され、さらに第3A面103、透光部材30の第2B面202から透光部材30の上方に導光される。なお、HA1及びHA2の間の矢印における光についても、透光部材30の外縁側に導光される。
以上、説明したように、本実施形態に係る発光装置1では、第1導光部材61及び第2導光部材62の形状及び位置関係を改善することで、さらなる光取出し効率に優れ輝度ムラを軽減させることができる。
【0029】
[製造方法]
図6及び図7A図7Hを参照して、発光装置の製造方法を説明する。
発光装置の製造方法は、第1A面と、第1A面の反対側に位置し、電極が配置された第1B面と、第1A面と第1B面との間に位置する第1側面と、を有する発光素子を準備すると共に、第2A面と、第2A面の反対側に位置する第2B面と、第2A面と第2B面との間に位置する第2側面と、を有する硬化状態の透光部材を準備する工程S11と、透光部材の第2B面上に、半硬化状態の第2導光部材を配置する工程S12と、発光素子の第1A面または導光部材の上面に、第2導光部材よりも屈折率が大きな第1導光部材を配置する工程S12と、第2導光部材の上面と発光素子の第1A面とが対向するように、第2導光部材上に第1導光部材を介して発光素子を載置する工程S13と、第2導光部材の内部に発光素子の少なくとも一部が埋設されるとともに電極が露出されるように、発光素子に荷重をかける工程S14と、第1導光部材および第2導光部材を硬化する工程S15と、透光部材の第2A面が露出されるとともに透光部材の第2側面と第2導光部材とが覆われるように、光反射部材を配置する工程S16と、を含むこととする。
【0030】
(準備する工程)
準備する工程S11は、図7Aに示すように、基板10に載置した発光素子100を準備すると共に、第1透光部材31と第2透光部材32とを接合した透光部材30を準備する。この準備する工程S11では、上面を第1A面101とし、第1A面101の反対側に位置し、電極26が配置された下面を第1B面201とし、第1A面101と第1B面201との間に位置する側面を第1側面301とする発光素子100を基板10に配置して準備する。それと共に、準備する工程S11では、第2A面102と、第2A面102の反対側に位置する下面となる第2B面202と、第2A面102と第2B面202との間に位置する側面を第2側面302とする硬化状態の透光部材30を準備する。この透光部材30は、第1透光部材31と第2透光部材32とが接合されたものである。
【0031】
導光部材を配置する工程S12は、図7Bに示すように、第1導光部材61を発光素子100の第1A面101に配置すると共に、第2導光部材62を硬化状態の透光部材30の第2B面202に配置する工程である。ここでは、第1導光部材61は、各発光装置1の第1A面101に、例えば、ノズルN11により塗布されることで配置される。また、第2導光部材62は、ノズルN12を介して透光部材30の第2B面202に一定の厚みになるように塗布される。または、未硬化状態のシート状の第2導光部材62を、透光部材30の第2B面202を貼り合わせてもよい。ここでいう未硬化状態とは、後述する発光素子に荷重をかける工程S14において、発光素子100を第2導光部材62に埋め込むことができる状態であればよい。
【0032】
第2導光部材上に第1導光部材を介して発光素子を載置する工程S13は、図7Cに示すように、第1透光部材31の第2B面202と発光素子100の第1A面101とが対向するように、第1導光部材61を介して第2導光部材62上に発光素子100を載置する工程である。つまり、この工程S13では、発光素子100上の第1導光部材61と、透光部材30上の第2導光部材62とを対面させて接合させている。このとき、透光部材30側を下にして、基板10側を上にして発光素子100を導光部材60を介して透光部材30に接合することがよい。
【0033】
発光素子に荷重をかける工程S14では、第2導光部材62の内部に発光素子100の少なくとも一部が埋設されるとともに電極26が露出されるように、発光素子100に荷重をかける工程である。この工程S14では、基板10を押して発光素子100に荷重をかけることで、第1導光部材61ごと、発光素子100が第2導光部材62側に埋め込まれ電極26側が第2導光部材62に埋まらない程度に荷重をかけている。そして、この工程S14では、第1導光部材61を発光素子100の第1A面101に載置しているので、第1A面101側では、第1導光部材61は、透光部材30に近接するように薄くなり第1A導光部61aを形成する。また、第1導光部材61は、発光素子100の第1側面301側では、第1A面101側から押されて発光素子100の第1側面301に這い上がった部分が第1B導光部61bとなり、この状態では断面視で逆三角形を形成する。さらに、第1導光部材61は、発光素子100に荷重がかけられて押し込まれることで発光素子100の第1側面301から図7Dでは第2導光部材の上面(図7Eでは下面)に押し広がり第1C導光部61cを形成する。このときに、第2導光部材62及び第1C導光部61cが、発光素子100の第1B面201に対して超えない高さになるように、載置される導光部材60の量が調整されている。したがって、この工程S14では、導光部材60と基板10との間には、空間を有する状態となっている。
【0034】
そして、硬化する工程S15は、第1導光部材61および第2導光部材62を硬化させる工程である。この工程S15では、例えば、加熱させるために、所定の温度の炉内を通過させるか、炉内に一定時間置いておく等、公知の方法で硬化させている。
さらに、導光部材60を硬化させた後、図7Eに示すように、切削工具T11を介して発光装置1の単位ごとに透光部材30の大きさになるように切削される。なお、図7Eは、図7Dの上下反転させた図である。つまり、切削工具T11を使用する場合には、透光部材30側を上にして作業が行われる。
そして、図7Fで示すように、光反射部材を配置する工程S16は、透光部材30の第2A面102が露出されるとともに透光部材30の第2側面302と第2導光部材62とが覆われるように光反射部材40を配置する工程である。この工程S16は、具体的には、基板10上、発光素子100の第1B面201、導光部材60の下面及び側面、透光部材30の第2側面302及び第2A面102を覆うように、光反射部材40が配置される。
【0035】
さらに、図7Gで示すように、透光部材30の第2A面102を露出させ、第2A面102と光反射部材40とを略同一平面になるように、光反射部材40、透光部材30の第2透光部材32の上面を研削あるいは研磨する工程を行うことが好ましい。
そして、図7Hで示すように、個片化工程を行うことで発光装置1を形成する。この個片化工程は、発光装置の集合体を各発光装置1に切断する。切断は、例えばダイシングブレード等の切削工具T12によって行うことができる。
なお、前記した工程16及び研削工程では、透光部材30の上面102を露出させるように反射部材40を配置し、透光部材30の一部および光反射部材40を研削することにより、光反射部材40と透光部材30とを略同一平面にして露出させてもよい。また、透光部材30の上面102を露出させるように反射部材40を配置し、研削工程をすることなく個片化工程を行うようにしてもよい。
【0036】
(変形例)
つぎに、図8を参照して発光装置の変形例を説明する。なお、既に説明した部材及び構成については同じ符号を付して説明を省略する。ここでは、図1図4で示す発光装置1と異なる点を中心に説明する。すなわち、図8で示す発光装置1Aでは、導光部材60Aの第1導光部材61A及び第2導光部材62Aの構成が異なっている。
発光装置1Aは、導光部材60Aが、発光素子100の第1A面101及び第1側面301に沿って配置される第1導光部材61Aと、この第1導光部材61Aの側面となる傾斜面61SAを覆うように配置される第2導光部材62Aとを備えている。第1導光部材61Aは、第2導光部材62Aよりも屈折率が大きい部材である。
【0037】
第1導光部材61Aは、発光素子100の第1A面101と、透光部材30の第2B面202の間に配置される第1A導光部61Aaと、この第1A導光部61Aaに連続して発光素子100の第1側面301に沿って配置される第1B導光部61Abとを備えている。
第1B導光部61Abは、断面形状が略三角形状あるいは略台形状になるように形成されている。第1B導光部61Abは、発光素子100の第1側面301から垂直な方向(直交方向)における距離が、発光素子100の第1A面101側の距離D1よりも第1B面201側の距離D2が長い傾斜面61SAを備えている。この傾斜面61SAは、第1導光部材61Aと第2導光部材62Aとの界面である。
第1B導光部61Abの下面は、発光素子100の第1B面201の位置L1よりも上方となるように位置している。
【0038】
第2導光部材62Aは、第1B導光部61Abの側面を覆い、透光部材30の第2B面を覆うように配置されている。第2導光部材62の下面は、発光素子100の第1B面201の下面の位置L1よりも上方となるように配置されている。そして、第2導光部材62の外側面は、透光部材30の第2側面302と略同一平面となる。
【0039】
導光部材60Aは、第1B導光部61Abが傾斜面61SAを備えることから、図8で示す太線の矢印のように、発光素子100の第1側面301の下方側からの第1B導光部61Abに入る光は、第2導光部材62A側に導光され、第2導光部材62Aから透光部材30を介して外部に取出すことができる。また、発光素子100の第1側面301の高さ方向の中央より上方から第1B導光部61Abに入る光は、第1B導光部61Ab内で反射を繰り返して第1B導光部61Abから透光部材30に導光され、透光部材30から外部に取出すことができる。つまり、導光部材60Aは、この傾斜方向の傾斜面61SAを備えることで、透光部材30の外縁側まで光を導光し易くなり、第2導光部材62Aの下面を第1導光部材61が覆うように、すでに説明した第1C導光部61cを有することになると(図4参照)、さらに光を透光部材30の外縁側に導光し易くなる。
【0040】
導光部材60Aを備える発光装置1Aを製造する場合には、図9A図9Cで示すように各工程を行うことで実現することができる。なお、発光装置の製造方法では、すでに図7A図7Gで説明した各工程において、発光素子100の第1A面101に塗布される第1導光部材61Aの供給量を、前記した第1導光部材61の供給量と比較して少なくすることで導光部材60Aを形成することができる。
すなわち、図9Aに示すように、発光素子100の第1A面101に供給する第1導光部材61Aの供給量を少なくすると、発光素子100を透光部材30に向かって荷重をかけた場合に、次のような状態となる。
【0041】
すなわち、図9Bに示すように、第1導光部材61Aは、発光素子100を透光部材30側に押し付けるように荷重がかけられると、透光部材30の第2B面202と発光素子100の第1A面101の間では、第1導光部材61Aが押されて薄くなり第1A導光部61Aaを形成する。そして、第1導光部材61Aが押されることで、発光素子100の第1側面301に沿って第1導光部材61Aが押し広げられて這い上がり第1B導光部61Abを形成する。そして、第1B導光部61Abは、その這い上がる量が少ないことから、第2導光部材62A側を覆うところまで広がることがない。そのため、第1B導光部61Abの傾斜面61SAを界面F2として第2導光部材62Aが形成されることになる。
【0042】
図10A図10F及び図11を参照して変形例である発光装置1Bを説明する。なお、既に説明した部材及び構成については同じ符号を付して説明を省略する。図10Aに示すように、平面において発光装置1Bの上面は長手方向(X方向)と長手方向と直交する短手方向(Y方向)に延長している。図10Eに示すように、発光装置1Bの基板10の下面は、長手方向(X方向)と短手方向(Y方向)に延長している。発光装置1Bの上面及び基板10の下面は、長方形状であってもよい。発光装置1Bは、発光素子100を1個備えている。配線12は、基板10の下面に配置される第1配線部12Aと、第1配線部12Aから離れて位置し基板10の下面に配置される第2配線部12Bと、を備える。第1配線部12A及び第2配線部12Bは、発光素子100に電力を供給する経路となる。第1配線部12A及び第2配線部12Bの少なくとも一部は絶縁膜70から露出する。図10Eに示すように、第1配線部12Aは、第1A部121Aと、第1A部121Aと長手方向に並んで配置される第2A部122Aと、第1A部121Aと第2A部122Aを連結する第3A部123Aと、を備えている。第1A部121Aは、絶縁膜70から露出している。換言すると、底面視において第1A部121Aは絶縁膜70から離れて位置している。第2A部122Aは絶縁膜70に覆われている。底面視において第2A部122Aの全てが絶縁膜70と重なっていてもよく、第2A部122Aの一部が絶縁膜70から露出していてもよい。第3A部123Aは、絶縁膜70から露出していてもよく、絶縁膜70に覆われていてもよい。例えば、第3A部123Aの一部が絶縁膜70に覆われていてもよい。図10Fに示すように、短手方向における第3A部123Aの最大長さL3は、短手方向における第1A部121Aの最大長さL1及び短手方向における第2A部122Aの最大長さL2よりも短い。
【0043】
第2A部122Aには、ロット番号、製造日時などを記すことができる。ロット番号、製造日時などを記す方法は公知の方法を用いることができ、例えば、ロット番号等をレーザビームの熱で刻印してもよく、インクで印字してもよい。第1配線部12Aの第2A部122Aにロット番号を記すことで、基材11の材料に関係なくロット番号等を記すことができるので基材11の選定が容易になる。また、第1配線部12Aの第2A部122Aは、絶縁膜70に覆われているので第2A部122Aの損傷を抑制することができる。これにより、第2A部122Aの損傷によってロット番号等が分からなくなることを抑制することができる。底面視において第2A部122Aの全てが絶縁膜70と重なっていることにより第2A部122Aの損傷を更に抑制することができる。
【0044】
図10Fに示すように、短手方向における第3A部123Aの最大長さL3が、短手方向における第1A部121Aの最大長さL1及び短手方向における第2A部122Aの最大長さL2よりも短いことにより、基材の下面が実装基板と対向して立ち上がるマンハッタン現象を抑制しやすくなる。例えば、第2配線部12Bが絶縁膜70に覆われていない場合において、短手方向における第3A部123Aの最大長さL3が第1A部121Aの最大長さL1及び/又は第2A部122Aの最大長さL2よりも長い場合よりも短手方向における第3A部123Aの最大長さL3が短いことにより、底面視において絶縁膜70から露出する部分の第1配線部12Aの面積を第2配線部12Bの面積に近づけやすくなる。これにより、半田などの接合部材を介して第1配線部12A及び第2配線部12Bが外部の実装基板と電気的に接続される場合に、第1配線部12Aと接続される接合部材によって生じる張力と第2配線部12Bと接続される接合部材によって生じる張力の差を小さくしやすくなる。このため、実装時に第1配線部12Aに掛かる張力と第2配線部12Bに掛かる張力の差が大きい場合に発生しやすいマンハッタン現象を抑制しやすくなる。短手方向における第3A部123Aの最大長さL3は、特に限定されないが、短手方向における第1A部121Aの最大長さL1の0.1倍以上0.5倍以下であることが好ましい。短手方向における第3A部123Aの最大長さL3が短手方向における第1A部121Aの最大長さL1の0.1倍以上であることにより、第3A部123Aの形成が容易になる。短手方向における第3A部123Aの最大長さL3が短手方向における第1A部121Aの最大長さL1の0.5倍以下であることにより、絶縁膜70から露出する部分の第1配線部12Aの面積を第2配線部12Bの面積に近づけやすくなる。
【0045】
図10Fに示すように、第1A部121Aは、底面視において基板10の一方の長辺にまで位置し、基板の他方の長辺から離れていてもよい。第1A部121Aが位置している基板10の長辺を第1長辺E1と呼び、第1A部121Aから離れている基板の長辺を第2長辺E2と呼ぶことがある。短手方向における第3A部123Aから第1長辺E1までの最小距離L4は、短手方向における第3A部から第2長辺E2までの最小距離L5よりも長いことが好ましい。このようにすることで、第1長辺E1を含む発光装置の背面と実装基板を対向させて実装する場合に、半田などの接合部材が第3A部123Aにまで濡れ広がることを抑制できる。これにより、第2配線部12Bが絶縁膜70に覆われない場合には、第1配線部12Aと接続される接合部材によって生じる張力と第2配線部12Bと接続される接合部材によって生じる張力の差を小さくしやすくなる。
【0046】
短手方向における第1A部121Aの最大長さL1は、特に限定されないが、短手方向における第2A部122Aの最大長さL2よりも長いことが好ましい。このようにすることで第1A部121Aの面積が大きくなるので発光素子から発生する熱を第1A部121Aから接合部材を介して実装基板に逃がしやすくなる。これにより、発光装置の放熱性が向上する。
【0047】
図12Aを参照して変形例である発光装置1Cを説明する。発光装置1Cは、発光装置1Bと比較して第1配線部12A及び第2配線部12Bの構成のみが異なっている。第1配線部12Aは、第1A部121Aと、第1A部121Aから長手方向に延びる第4A部124Aと、を備えている。第1A部121Aは、絶縁膜70から露出している。第4A部124Aは絶縁膜70に覆われている。底面視において第4A部124Aの全てが絶縁膜70と重なっていてもよく、第4A部124Aの一部が絶縁膜70から露出していてもよい。第4A部124Aには、ロット番号、製造日時などを記すことができる。発光装置1Cの第1配線部12Aは、発光装置1Bの第1配線部12Aのように短手方向における長さの短い第3A部123Aを有していないので、第4A部124Aの面積を大きくしやすい。これにより、第4A部124Aにロット番号等を記すことが容易になる。
【0048】
発光装置1Cの第2配線部12Bは、第1B部121Bと、第1B部121Bから長手方向に延びる第2B部122Bと、を備えている。第1B部121Bは、絶縁膜70から露出している。第2B部122Bは絶縁膜70に覆われている。底面視において第2B部122Bの全てが絶縁膜70と重なっていてもよく、第2B部122Bの一部が絶縁膜70から露出していてもよい。第1配線部12Aにおいて絶縁膜70から露出する部分と絶縁膜70に覆われる部分の境界部分における短手方向の最大長さL6は、第2配線部12Bにおいて絶縁膜70から露出する部分と絶縁膜70に覆われる部分の境界部分における短手方向の最大長さL7の0.9倍以上1.1倍以下が好ましい。このようにすることで、底面視において絶縁膜70から露出する部分の第1配線部12Aの面積と絶縁膜70から露出する部分の第2配線部12Bの面積を近づけやすくなる。これにより、第1配線部12Aと接続される接合部材によって生じる張力と第2配線部12Bと接続される接合部材によって生じる張力の差を小さくしやすくなる。
【0049】
図12Bを参照して変形例である発光装置1Dを説明する。発光装置1Dは、発光装置1Bと比較して配線12の構成のみが異なっている。発光装置1Dの配線12は、基板10の下面に配置される第1配線部12Aと、第1配線部12Aから離れて位置し基板10の下面に配置される第2配線部12Bと、第1配線部12A及び第2配線部12Bから離れて位置し基板10の下面に配置される第3配線部12Cと、を備える。長手方向において、第3配線部12Cは、第1配線部12Aと第2配線部12Bの間に位置する。第3配線部12Cは、発光素子100に電力を供給する経路であってもよく、経路でなくてもよい。第1配線部12A及び第2配線部12Bの全てが絶縁膜70から露出している。このようにすることで、底面視における第1配線部12Aの面積を第2配線部12Bの面積に近づけやすくなる。これにより、第1配線部12Aと接続される接合部材によって生じる張力と第2配線部12Bと接続される接合部材によって生じる張力の差を小さくしやすくなる。第3配線部12Cは絶縁膜70に覆われている。発光装置1Dの第3配線部12Cには、ロット番号、製造日時などを記すことができる。
【0050】
図13及び図14を参照して変形例である発光装置1Eを説明する。発光装置1Eは、発光装置1Bと比較して光反射部材40の構成のみが異なっている。図14に示すように、Z方向において光反射部材40は、透光部材30の第2A面102よりも上側に位置する第1光反射部401を有していてもよい。換言すると、Z方向において第1光反射部401の上面は、透光部材30の上面よりも基板10の上面から離れて位置している。光反射部材40が第1光反射部401を有することにより、発光装置1Eの光取出面である第2A面102に傷が付くことを抑制することができる。発光装置1Eは、第1光反射部401を1つ備えていてもよく、第1光反射部401を複数備えていてもよい。例えば、図13及び図14に示すように、第1光反射部401は、第1A光反射部401Aと、第1B光反射部401Bと、を備えていてもよい。平面視において、透光部材30の少なくとも一部は第1A光反射部401Aと第1B光反射部401Bの間に位置していることが好ましい。このようにすることで、第2A面に傷が付くことを抑制しやすくなる。図13に示すように、透光部材30は長手方向において第1A光反射部401Aと第1B光反射部401Bの間に位置し、短手方向において第1A光反射部401A及び第1B光反射部401Bと重ならないことが好ましい。このようにすることで、短手方向において発光装置を小型化しやすくなる。また、第1光反射部401の表面は平面でもよく曲面でもよい。尚、図15に示す発光装置1Fのように、透光部材30は短手方向において第1A光反射部401Aと第1B光反射部401Bの間に位置していてもよい。このようにすることで長手方向に発光素子からの光を取り出しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
各実施形態に記載の発光装置は、内視鏡などの医療用光源、プロジェクタ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1A 発光装置
10 基板
11 基材
12 配線
15 導電性部材
26 電極
30 透光部材
31 第1透光部材
32 第2透光部材
40 光反射部材
60、60A 導光部材
61、61A 第1導光部材
61a、61Aa 第1A導光部
61b、61Ab 第1B導光部
61c 第1C導光部
61S、61SA 傾斜面
62、 62A 第2導光部材
70 絶縁膜
100 発光素子
101 第1A面
102 第2A面
103 第3A面
201 第1B面
202 第2B面
203 第3B面
301 第1側面
302 第2側面
303 第3側面
B、C 発光装置(従来)
D1 距離
D2 距離
F1、F2 界面
HA1、HA2 光
L1 第1B面201の位置を示す延長線
N11、N12 ノズル
S11 準備する工程
S12 導光部材を配置する工程
S13 第2導光部材上に第1導光部材を介して発光装置を載置する工程
S14 発光素子に荷重をかける工程
S15 硬化する工程
S16 光反射部材を配置する工程
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15