(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058187
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/042 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
H01S5/042 630
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135011
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2020166497
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】今井 武史
(72)【発明者】
【氏名】中垣 政俊
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MB04
5F173MC18
5F173MD58
5F173MD59
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME32
5F173MF28
5F173MF39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の発光素子をワイヤで直列に接続する発光素子において、その内の1つの発光素子が故障した場合にも、他の発光素子へと給電することができる発光装置を提供する。
【解決手段】第1発光素子及び第2発光素子と、第1発光素子が接合される第1台部材及び第2発光素子が接合される第2台部材と、第1保護素子及び第2保護素子と、複数の配線とを備え、複数の配線には、一端が第1発光素子、第2発光素子または発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第1配線と、一端が第1発光素子、第2発光素子または発光素子が載置される台部材に接合され他端が他方の発光素子または他方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第2配線と、一端が第1保護素子または第1保護素子が載置される台部材に接合される第3配線と、一端が第2保護素子または第2保護素子が載置される台部材に接合される第4配線とが含まれる発光装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1発光素子及び第2発光素子を含み、それぞれがp電極とn電極とを有する、複数の発光素子と、
少なくとも前記第1発光素子が接合される第1台部材及び前記第2発光素子が接合される第2台部材を含み、前記複数の発光素子のそれぞれが載置される複数の台部材と、
少なくとも第1保護素子及び第2保護素子を含み、前記複数の発光素子を保護する複数の保護素子と、
複数の配線と、
を備え、
前記複数の配線には、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または前記一方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第1配線と、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または前記一方の発光素子が載置される台部材に接合され他端が他方の発光素子または前記他方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第2配線と、両端のうちの一端が前記第1保護素子または前記第1保護素子が載置される台部材に接合される第3配線と、両端のうちの一端が前記第2保護素子または前記第2保護素子が載置される台部材に接合される第4配線とが含まれ、
前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通る電流経路であって、かつ、前記第1発光素子の前記n電極から前記第2発光素子の前記p電極へと電流が流れる電流経路である第1電流経路と、
前記第3配線を通る電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2発光素子の前記p電極へと電流が流れる電流経路である第2電流経路と、
前記第3配線及び前記第4配線を通り、かつ、前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2保護素子へと電流が流れる電流経路である第3電流経路と、が形成される発光装置。
【請求項2】
少なくとも第1発光素子及び第2発光素子を含み、それぞれが第1面と前記第1面の反対側にある第2面とを有する、複数の発光素子と、
少なくとも前記第1発光素子の前記第1面が接合される第1台部材及び前記第2発光素子の前記第1面が接合される第2台部材を含み、前記複数の発光素子のそれぞれが載置される複数の台部材と、
少なくとも第1保護素子及び第2保護素子を含み、前記複数の発光素子を保護する複数の保護素子と、
複数の配線と、
を備え、
前記複数の配線には、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子の前記第2面に接合される1以上の第1配線と、両端のうちの一端が前記一方の発光素子が載置される台部材に接合され他端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの他方の発光素子の前記第2面または前記他方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第2配線と、両端のうちの一端が前記第1保護素子に接合される第3配線と、両端のうちの一端が前記第2保護素子に接合される第4配線とが含まれ、
前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通り、かつ、前記第3配線及び前記第4配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1発光素子から前記第2発光素子へと電流が流れる電流経路である第1電流経路と、
前記第3配線を通り、かつ、前記1以上の第1配線または前記1以上の第2配線のうち、前記第1発光素子の前記第2面に接合される配線を通らない電流経路であって、前記第1保護素子から前記第2発光素子へと電流が流れる電流経路である第2電流経路と、
前記第3配線及び前記第4配線を通り、かつ、前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2保護素子へと電流が流れる電流経路である第3電流経路と、が形成される発光装置。
【請求項3】
前記第1保護素子は、前記第1台部材に載置される請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記1以上の第2配線は、前記第2発光素子に接合される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第4配線は、前記第1台部材の導通領域に接合される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第3配線は、前記第1配線よりも太い請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の発光素子は、直列接続で電気的に接続される3以上の発光素子を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
直列接続で電気的に接続される前記3以上の発光素子は、並んで配置され、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、隣り合って配置される請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1発光素子は、並べて配置される前記3以上の発光素子の一方の端に配置される請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2発光素子は、並べて配置される前記3以上の発光素子の一方の端に配置される請求項8に記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数の発光素子は、第3発光素子を含み、
前記第1発光素子は、一方の隣りに前記第2発光素子が配置され、他方の隣りに第3発光素子が配置される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第3配線は、前記第1発光素子の直上を通過しない、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記1以上の第1配線は、前記第1保護素子の直上を通過せず、
前記1以上の第2配線は、前記第2保護素子の直上を通過しない、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1保護素子は、前記第1発光素子の光出射面となる第1側面と当該光出射面の反対側の側面である第2側面のうち、前記第1側面に近い位置に配置され、
前記1以上の第1配線は、前記第1発光素子の前記光出射面から250μm以上離れた位置で、前記第1発光素子と接合する、請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記複数の保護素子は、Siで形成されたツェナーダイオードである請求項1乃至14のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の発光素子が直列接続され定電流駆動される発光装置において、発光素子に並列接続されるツェナーダイオードを、オープンモード故障時のバイパス電流経路に利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、複数の発光素子間をワイヤ配線で繋ぐ具体的な形態が開示されていない。従って、配線を利用する場合の配線の接合態様については改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
また、実施形態に開示される発光装置は、少なくとも第1発光素子及び第2発光素子を含み、それぞれがp電極とn電極とを有する、複数の発光素子と、少なくとも前記第1発光素子が接合される第1台部材及び前記第2発光素子が接合される第2台部材を含み、前記複数の発光素子のそれぞれが載置される複数の台部材と、少なくとも第1保護素子及び第2保護素子を含み、前記複数の発光素子を保護する複数の保護素子と、複数の配線と、を備え、前記複数の配線には、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または前記一方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第1配線と、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または前記一方の発光素子が載置される台部材に接合され他端が他方の発光素子または前記他方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第2配線と、両端のうちの一端が前記第1保護素子または前記第1保護素子が載置される台部材に接合される第3配線と、両端のうちの一端が前記第2保護素子または前記第2保護素子が載置される台部材に接合される第4配線とが含まれ、前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通る電流経路であって、かつ、前記第1発光素子の前記n電極から前記第2発光素子の前記p電極へと電流が流れる電流経路である第1電流経路と、前記第3配線を通る電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2発光素子の前記p電極へと電流が流れる電流経路である第2電流経路と、前記第3配線及び前記第4配線を通り、かつ、前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2保護素子へと電流が流れる電流経路である第3電流経路と、が形成される。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置は、少なくとも第1発光素子及び第2発光素子を含み、それぞれが第1面と前記第1面の反対側にある第2面とを有する、複数の発光素子と、少なくとも前記第1発光素子の前記第1面が接合される第1台部材及び前記第2発光素子の前記第1面が接合される第2台部材を含み、前記複数の発光素子のそれぞれが載置される複数の台部材と、少なくとも第1保護素子及び第2保護素子を含み、前記複数の発光素子を保護する複数の保護素子と、複数の配線と、を備え、前記複数の配線には、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子の前記第2面に接合される1以上の第1配線と、両端のうちの一端が前記一方の発光素子が載置される台部材に接合され他端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの他方の発光素子の前記第2面または前記他方の発光素子が載置される台部材に接合される1以上の第2配線と、両端のうちの一端が前記第1保護素子に接合される第3配線と、両端のうちの一端が前記第2保護素子に接合される第4配線とが含まれ、前記1以上の第1配線及び前記1以上の第2配線を通り、かつ、前記第3配線及び前記第4配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1発光素子から前記第2発光素子へと電流が流れる電流経路である第1電流経路と、前記第3配線を通り、かつ、前記1以上の第1配線または前記1以上の第2配線のうち、前記第1発光素子の前記第2面に接合される配線を通らない電流経路であって、前記第1保護素子から前記第2発光素子へと電流が流れる電流経路である第2電流経路と、前記第3配線及び前記第4配線を通り、かつ、前記第1配線1以上の及び前記1以上の第2配線を通らない電流経路であって、かつ、前記第1保護素子から前記第2保護素子へと電流が流れる電流経路である第3電流経路と、が形成される。
【発明の効果】
【0007】
複数の発光素子間の電気的な接続にワイヤ配線を利用した上で、直列に接続される複数の発光素子において、その内の1つの発光素子が故障した場合にも、他の発光素子へと給電することができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における発光装置の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線における発光装置の断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための上面図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態に係る発光装置の一部を示す、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図6B】
図6Bは、第1実施形態に係る発光装置の一部を示す、配線接合の様子を説明するための他の上面図である。
【
図6C】
図6Cは、第1実施形態に係る発光装置の一部を示す、配線接合の様子を説明するための他の上面図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図11】
図11は、第5変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図12】
図12は、第6変形例に係る発光装置に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る発光装置の上面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0010】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥などの表現は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。
【0013】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される対象があり、本明細書の“第1”及び“第3”のみを対象として特許請求の範囲を記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2”と付記して区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された対象が、本明細書において“第1”“第3”と付記された対象を指すことになる。
【0014】
以下に、図面を参照しながら、本明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0015】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る発光装置について説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置の一例である発光装置1の斜視図である。
図2は、発光装置1の上面図である。
図3は、
図2のIII-III線における発光装置1の断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線における発光装置1の断面図である。
図5は、内部構造を説明するために発光装置1から一部の構成要素を除いた上面図である。
図6Aは、発光装置1において第1方向に並んで配置される複数の発光素子20の電気的な接続に関し、配線接合の様子を説明するための上面図である。なお、
図6Aにおける矢印「I」は、電流が流れる方向を示している。
【0016】
発光装置1は、基体10、複数の発光素子20、複数の台部材30、1または複数の光反射部材40、複数の保護素子50、複数の配線60、封止部材70、及び、レンズ部材80を含む複数の構成要素を備える。なお、発光装置1は、さらに他の構成要素を有していてもよい。
【0017】
次に、各構成要素について説明する。
(基体10)
基体10は、基部12と、基部12から上方に突出する側壁14と、を有する。基部12と側壁14とによって、側壁14の内側が窪んだ凹形状が形成される。基体10は、凹形状を規定する凹部10aを有する、ということもできる。
【0018】
基部12は、凸部12aを有する。凸部12aは、側壁14に囲まれる。凸部12aの突出部分は、凹部10aに含まれる。凸部12aの最上面は、凹部10aの最上面よりも下方にある。凸部12aの最上面は、他の構成要素が実装される実装面である。基部12が凸部12aを有する形状であることにより、基部12と側壁14とが異なる材料からなる場合にも、実装面の反りを抑制することができる。なお、基体10の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、平板状であってもよい。
【0019】
基体10は、複数の配線部14aを有する。配線部14aは、凹部10aの内側に設けられる内側配線領域と、凹部の外側に設けられる外側配線領域と、を有する。配線部14aにおける内側配線領域と外側配線領域は導通している。内側配線領域は、凹部10a内に配置される構成要素と接合する。
【0020】
配線部14aは、側壁14に設けられる。例えば、側壁14を貫通するリードピンによって配線部14aを設けることができる。基体10は、側壁14の互いに対向する壁面において、それぞれ1以上の配線部14aを有することができる。
【0021】
基体10は、例えば鉄、鉄合金、若しくは銅などの金属材料から形成することができる。また、AlN、SiC、 若しくはSiNなどのセラミック材料から形成することができる。また、基体10は、基部12と側壁14とをそれぞれ異なる材料で形成し、これらを接合して形成することもできる。配線部14aには、金属のリードピンを採用することができる。
【0022】
(発光素子20)
発光素子20は、光を出射する光出射面を有する。発光素子20には、例えば、半導体レーザ素子を採用することができる。発光素子20は、上面、下面、及び、1または複数の側面を有する。発光素子20の1の側面は、光出射面である。なお、発光素子20の光出射面は、その他の面にあってもよい。
【0023】
発光素子20は、第1面21と、第1面21の反対側にある第2面22と、を有する。第1面21または第2面22は、他の構成要素と接合する接合面となり得る。発光素子20の下面は第1面21であり、発光素子20の上面は第2面22である。第1面21及び第2面22は、光出射面ではない。なお、光出射面であってもよい。
【0024】
発光素子20は、p電極及びn電極を有する。例えば、発光素子20において、第1面21にp電極が設けられ、第2面22にn電極が設けられる。また例えば、発光素子20において、第1面21にn電極が設けられ、第2面22にp電極が設けられる。また例えば、発光素子20において、第1面21に、p電極及びn電極が設けられる。
【0025】
発光素子20の発光ピーク波長は、320nm~530nmの範囲、典型的には、430nm~480nmの範囲にある。このような発光素子20として、例えば、窒化物半導体を含む半導体素子を採用することができる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。なお、発光素子20の発光ピーク波長はこの波長範囲に限らなくてよい。
【0026】
ここで、発光素子20の一例である半導体レーザ素子について説明する。半導体レーザ素子から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
【0027】
FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、と呼ぶものとする。また、光軸を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2(eはネイピア数)以上の強度を有する光を、「主要部分」の光と呼ぶものとする。
【0028】
半導体レーザ素子から出射される光のFFPの楕円形状において、楕円の短径方向をFFPの遅軸方向、長径方向をFFPの速軸方向というものとする。半導体レーザ素子を構成する活性層を含んだ複数の層が積層される積層方向がFFPの速軸方向と同じである半導体レーザ素子を、発光素子20に採用することができる。
【0029】
半導体レーザ素子のFFPの光強度分布に基づき、ピーク強度の1/e2に相当する強度での角度幅を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角と呼ぶものとする。半導体レーザ素子は、速軸方向の光の拡がり角の方が、遅軸方向の光の拡がり角よりも大きい。
【0030】
(台部材30)
台部材30は、下面、上面、及び、1または複数の側面を有する。また、台部材30は上下方向の幅が最も小さい。また、台部材30は、直方体の形状で構成される。なお、形状は直方体に限らなくてよい。
【0031】
台部材30は、他の構成要素が載置されるサブマウントとなり得る。また、台部材30は、電気的な接続に利用することができる。台部材30は、電気的な接続のための導通領域を有する。台部材30は、接合領域31と、この接合領域31と電気的に接続する導通領域32と、を有する。接合領域31及び導通領域32は、台部材30の同じ面に形成される。台部材30のこの面に、他の構成要素を載置することができる。接合領域31において他の構成要素が接合される。導通領域32と、接合領域31に接合された他の構成要素とは、電気的に接続し得る。
【0032】
接合領域31と導通領域32は繋がっている。言い換えれば、接合領域31と導通領域32は、1つの領域を区分する領域として定義することができる。なお、台部材30は、接合領域31と繋がっていない導通領域32を有していてもよい。この場合、例えば、接合領域31と繋がっていない導通領域32と、接合領域31と繋がっている導通領域32とが、配線を介して電気的に接続され得る。
【0033】
台部材30は、複数の接合領域31を有し得る。複数の接合領域31は、台部材30の同じ面に形成される。導通領域32は、複数の接合領域31と電気的に接続することができる。複数の接合領域31には、導通領域32と繋がる接合領域31と、導通領域32と繋がっていない接合領域31と、を含んでいてもよい。
【0034】
台部材30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成される。なお、他の材料を用いてもよい。台部材30の導通領域32は、例えば、Ti/Pt/Auを設けて形成することができる。台部材30の接合領域31は、例えば、Ti/Pt/Auが設けられた領域の一部に、Pt/AuSnを設けて形成することができる。
【0035】
(光反射部材40)
光反射部材40は、光反射面41とを有する。光反射面41は、例えば、照射された光のピーク波長に対して90%以上の反射率を有する。ここでの光反射率は100%以下あるいは100%未満とすることができる。
【0036】
光反射部材40は、その外形を形成する主材料に、ガラスや金属などを用いることができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSiを用いることができる。また、光反射面は、例えば、Ag、Al等の金属やTa2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。なお、主材料とは、複数の材料が用いられる場合には最も割合の多い材料を指すが、1つの材料が用いられる場合にはその材料を指す。
【0037】
(保護素子50)
保護素子50は、特定の素子(例えば発光素子20)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐための回路要素である。保護素子50は、上面及び下面を有する。保護素子50の典型例は、ツェナーダイオードなどの定電圧ダイオードである。ツェナーダイオードとしては、例えば、Siダイオードを用いることができる。
【0038】
(配線60)
配線60は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線60は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線60は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線60としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。金属の例は、金、アルミニウム、銀、銅などを含む。
【0039】
(封止部材70)
封止部材70は、上面及び下面を有する。封止部材70は、上面から下面に亘って透光性を有する。なお、透光性を有するとは、そこに入射する主要な光の透過率が80%以上である性質を意味する。
【0040】
封止部材70は、部分的に透光性を有していてもよい。例えば、封止部材70は、1または複数の開口が設けられた、透光性を有していない枠体と、枠体の1または複数の開口を覆う、透光性を有した1または複数の透光性部材と、を有していてもよい。
【0041】
封止部材70の主材料には、例えば、ガラス、サファイア、石英などの透光性材料を用いることができる。また、枠体の主材料には、例えば、金属を用いることができ、透光性部材には、上述の透光性材料を用いることができる。
【0042】
(レンズ部材80)
レンズ部材80は、上面と下面を有する。レンズ部材80は、複数のレンズ面を有する。複数のレンズ面は、レンズ部材80の上面側に形成される。レンズ部材80の上面は、複数のレンズ面を含んで構成されるということができる。レンズ部材80において、各レンズ面を形成する部分を、レンズ部81と呼ぶものとする。
【0043】
レンズ部材80は、アレイ状に並んだ複数のレンズ面を有し得る。レンズ部材80は、行列状に配置された複数のレンズ面を有し得る。複数のレンズ面は、少なくとも3以上のレンズ面を有する。複数のレンズ面は、少なくとも並べて配置された3以上のレンズ面を有する。レンズ部材80はガラスや合成石英などの透光性を有する材料を用いて形成することができる。
【0044】
(発光装置1)
次に、発光装置1について説明する。
発光装置1において、複数の発光素子20はそれぞれ、台部材30に載置される。1つの台部材30に、1以上の発光素子20が載置される。発光素子20の第1面21が、台部材30の接合領域31に接合される。台部材30の導通領域32は、接合領域31に接合された発光素子20と電気的に接続する。図示される発光装置1の例では、複数の台部材30のそれぞれに1つの発光素子20が載置されている。また、発光素子20として、側面を光出射面とする端面出射型の半導体レーザ素子が採用されている。
【0045】
例えば、発光素子20のp電極が、接合領域31に接合される。また例えば、発光素子20のn電極が、接合領域31に接合される。また例えば、発光素子20のp電極及びn電極が、それぞれ異なる台部材30の接合領域31に接合される。
【0046】
発光装置1において、発光素子20が載置された台部材30は、基体10の実装面に配置される。台部材30は、発光素子20が載置される面と反対側の面で、基体10の実装面に実装される。複数の台部材30が、基体10の実装面に配置される。
【0047】
発光装置1は、発光素子20が載置された台部材30を、3以上備えることができる。また、発光装置1は、発光素子20が載置された台部材30を、10以上備えることができる。図示される発光装置1の例では、発光素子20が載置された台部材30が20個配置されている。
【0048】
発光装置1において、複数の発光素子20が、基体10の実装面の上に配置される。発光素子20は、台部材30を介して基体10の実装面の上に配置される。複数の発光素子20が、凹部10aの内側に配置される。
【0049】
発光装置1は、上面視で、第1方向に並んで配置される複数の台部材30を備える。この複数の台部材30は、第1方向に等間隔で配置される。第1方向に並ぶ複数の台部材30は、上面視で、向きを揃えて配置される。図示される発光装置1の例において「1D」で示されている方向は、第1方向と同じ方向である。
【0050】
発光装置1は、上面視で、第1方向に垂直な第2方向に並んで配置される複数の台部材30を備える。複数の台部材30は、第2方向に等間隔で配置される。第2方向に並ぶ複数の台部材30は、上面視で、向きを揃えて配置される。図示される発光装置1の例において「2D」で示されている方向は、第2方向と同じ方向である。図示される発光装置1の例では、20個の台部材が、4×5の行列状に配置されている。
【0051】
第1方向に並ぶ複数の台部材30に載置される発光素子20の光出射面は、同じ方向を向いて配置される。第1方向に並ぶ複数の発光素子20の光出射面は、仮想的な同一平面に設けられている。第2方向に並ぶ複数の台部材30に載置される発光素子20の光出射面は、同じ方向を向いて配置される。図示される発光装置1の例では、複数の発光素子20(半導体レーザ素子)の光出射面から出射される光の光軸は、第2方向に平行である。
【0052】
複数の台部材30は、第1方向及び第2方向に、行列状に並べて配置される。第1方向に並ぶ台部材30の数は2以上であり得る。第2方向に並ぶ台部材30の数は1以上であり得る。なお、第2方向に並ぶ台部材30の数が1の場合、第1方向に並ぶ台部材30の数は3以上となり得る。
【0053】
発光装置1には、発光素子20が載置されていない台部材30が配置され得る。一対の発光素子20が載置されていない台部材30が、第1方向に並ぶ複数の台部材30に対応して配置される。第1方向に並ぶ複数の台部材30の両端に位置する台部材30から、第1方向に離れた位置に、発光素子20が載置されていない台部材30が配置される。行列状に並べて配置される台部材30の外側に、発光素子20が載置されていない台部材30が配置される。
【0054】
発光装置において、光反射部材40は、基体10の実装面の上に配置される。1または複数の光反射部材40が、基体10の実装面に配置される。光反射部材40は、光反射面41が、発光素子20の光出射面と向かい合うように配置される。
【0055】
複数の発光素子20のそれぞれに対して、個々に光反射部材40を配置することができる。この場合、発光装置1は複数の光反射部材40を備え、その数は発光素子20の数と同数以上となる。
【0056】
第1方向に並ぶ複数の発光素子20から出射される光を、1つの光反射部材40によって反射してもよい。この場合、光反射部材40の第1方向に関する両端の距離は、第1方向に並ぶ複数の発光素子20において両端に位置する2つの発光素子20間の距離よりも大きい。
【0057】
第2方向に並ぶ台部材30の数が2以上の場合、複数の発光素子20と複数の光反射部材40とが、第2方向に交互に並んで配置される。つまり、第2方向に並ぶ2つの発光素子20の間に光反射部材40が配置され、第2方向に並ぶ2つの光反射部材40の間に発光素子20が配置されることになる。
【0058】
発光素子20から出射された主要部分の光が光反射面41によって反射される。反射された光は進行方向を変え、例えば上方に向かって進むことができる。光反射部材40を配置することで、発光素子20の側面に光出射面を配置しつつ、発光装置1から上方に向けて光を出射させることができる。例えば発光素子20が端面出射型の半導体レーザ素子である場合、発光素子20の光出射面は、発光素子20から発せられる熱の主要な熱源となり得るため、光出射面を台部材30や基体10に近付けることで、放熱性を向上させることができる。
【0059】
発光装置1において、保護素子50が基体10の実装面の上に配置される。複数の保護素子50が実装面の上に配置される。保護素子50は、実装面に直接実装されていない。なお、直接実装されていてもよい。保護素子50は、台部材30に実装され得る。
【0060】
複数の保護素子50はそれぞれ、複数の発光素子20に対応して配置される。各保護素子50は、対応する発光素子20の近傍に配置される。例えば、各保護素子50は、対応する発光素子20が載置される台部材30に載置される。保護素子50が対応する発光素子20の近傍に配置される場合、複数の発光素子20のうち対応する発光素子20が、この保護素子50に最も近い位置に配置されている。図示される発光装置1の例では、複数の台部材30のそれぞれに1つの保護素子50が載置されている。
【0061】
保護素子50は、台部材30の接合領域31に接合される。この接合領域31は、発光素子20が接合される接合領域31とは異なる。台部材30の導通領域32は、接合領域31に接合された保護素子50と電気的に接続する。台部材30の導通領域32は、保護素子50が接合された接合領域31及び発光素子20が接合された接合領域31と、電気的に接続する。
【0062】
図示される発光装置1の例では、保護素子50は、発光素子20と第1方向に並ぶようにして配置される。保護素子50の第2方向の長さは、発光素子20の第2方向の長さよりも小さい。保護素子50は、上面視で、第2方向における発光素子20の両端のそれぞれを通り、第1方向に平行な2つの仮想的な直線の間に配置される。
【0063】
発光装置1に備わる保護素子50の数は、第1方向に並ぶ複数の発光素子20の数と同じである。なお、発光装置1は、保護素子50の他に保護素子を備えていてもよい。図示される発光装置1の例では、発光装置1は、保護素子50以外の保護素子を備えておらず、発光装置1に備わる保護素子50の数は、発光装置1に備わる発光素子20の数と同数である。
【0064】
発光装置1において、外部から発光素子20への給電を可能とするために、複数の配線60が用いられる。複数の配線60によって、発光素子20は配線部14aと電気的に接続する。複数の配線60には、両端のうちの一端が内側配線領域に接合されている1以上の配線60が含まれる。
【0065】
複数の配線60によって、複数の発光素子20が電気的に直列に接続される。第1方向に並んで配置される複数の発光素子20が、複数の配線60によって電気的に直列に接続される。複数の発光素子20のうち、第1方向に並んで配置される複数の発光素子20同士が電気的に直列に接続される。第2方向に並んで配置される複数の発光素子20同士は電気的に直列に接続されていない。第2方向に並んで配置される複数の発光素子20同士は電気的に並列に接続される。
【0066】
複数の配線60によって、複数の保護素子50が電気的に直列に接続される。第1方向に並んで配置される複数の保護素子50が、複数の配線60によって電気的に直列に接続される。複数の保護素子50のうち、第1方向に並んで配置される複数の保護素子50同士は電気的に直列に接続される。第2方向に並んで配置される複数の保護素子50同士は電気的に直列に接続されていない。第2方向に並んで配置される複数の保護素子50同士は電気的に並列に接続される。
【0067】
上面視で、台部材30に載置される発光素子20と、この発光素子20に対応する保護素子50との間の距離は、この台部材30と、この台部材30の隣に並ぶ台部材30との間の距離よりも短い。例えば、長い方の距離は、短い方の距離の2倍以上となり得る。また例えば、例えば、長い方の距離は、短い方の距離の50倍以下となり得る。
【0068】
電流が流れた時に配線60に掛かる負荷は、配線60が短いほど小さい。そのため、保護素子50が発光素子20に近い位置にある場合、発光素子20と保護素子50とを配線で繋ぐことによって電気的な接続を図ることも考えられる。一方で、図示される発光装置1の例では、発光素子20と保護素子50とに接合される配線は存在しない。
【0069】
上面視で、台部材30に載置される発光素子20と、この発光素子20に対応する保護素子50との間の距離は、この保護素子50に接合される配線60の長さよりも短い。例えば、この配線60の長さは、この距離の2倍以上となり得る。また例えば、この配線60の長さは、この距離の3倍以上となり得る。また例えば、この配線60の長さは、この距離の50倍以下となり得る。
【0070】
複数の配線60によって、第1方向に並んで配置される複数の発光素子20は、対応する複数の保護素子50とも、電気的に接続する。複数の配線60は、隣り合う2つの発光素子20のうちの一方の発光素子20に対し、他方の発光素子20を通る電流経路と、他方の発光素子20は通らずに他方の発光素子20に対応する保護素子50を通る電流経路と、を設ける。このようにすることで、複数の発光素子20のいずれかが故障した場合であっても、故障した発光素子20に対応する保護素子50を通る電流経路によって、その他の発光素子20への給電を維持することができる。以下に、複数の配線60の具体的な配置について説明する。
【0071】
複数の配線60には、上面視で、両端のうちの一端が2つの台部材30のうちの一方の台部材30内に位置する1以上の配線60Aが含まれる。配線60Aは、上面視で、その他端が他方の台部材30内に位置する。この2つの台部材30は、隣り合って第1方向に並べて配置されている。配線60Aの両端のうちの一端は、台部材30または発光素子20のいずれかに接合される。他端は、台部材30または発光素子20のいずれかに接合される。
【0072】
複数の配線60には、上面視で、両端のうちの一端が2つの台部材30のうちの一方の台部材30内に位置する1以上の配線60Bが含まれる。配線60Bは、上面視で、その他端が他方の台部材30内に位置する。この2つの台部材30は、隣り合って第1方向に並べて配置されている。配線60Bの両端のうちの一端は、台部材30または保護素子50のいずれかに接合される。他端は、台部材30に接合される。
【0073】
複数の配線60には、配線部14aと、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される1以上の配線60Cが含まれる。複数の配線60には、発光素子20が載置されていない台部材30と、発光素子20が載置されている台部材30またはこの台部材30に載置されている発光素子20あるいは保護素子50とに接合される1以上の配線60Dが含まれる。
【0074】
図示される発光装置1の例では、電流経路に沿って、一対の配線部14aの一方と発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60C、発光素子20が載置されていない台部材30と発光素子20が載置されている台部材30の導通領域32とに接合される配線60D、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30に載置される発光素子20の第2面22と、電流経路が遠い方の台部材30の導通領域32とに接合される1以上の配線A、発光素子20の第2面22と発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、発光素子20が載置されていない台部材30と一対の配線部14aの他方とに接合される配線60C、が設けられる。
【0075】
またさらに、図示される発光装置1の例では、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30に載置される保護素子50の上面と、電流経路が遠い方の台部材30の導通領域32とに接合される1以上の配線B、保護素子50の上面と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。これにより、一方の台部材30から他方の台部材30へと電流が流れる経路として、一方の台部材30に載置された発光素子20を通る経路と、一方の台部材30に載置された保護素子50を通る経路と、が確保される。
【0076】
図示される発光装置1の例では、複数の発光素子20のそれぞれの第2面22に複数の配線60Aが接合される。発光素子20に接合される配線60の数は、対応する保護素子50に接合される配線60の数よりも多い。発光素子20に接合される配線60よりも、対応する保護素子50に接合される配線60の方が太い。発光素子20が故障した場合に発光素子20を通る経路で流れていた電流が保護素子50を通るため、配線60の数が少ない分、配線60を太くすることで、安定して電流経路を確保することができる。
【0077】
なお、一本の配線60が一方の台部材30に載置される発光素子20と、他方の台部材30の導通領域32と、に接合される代わりに、二本の配線60を用いて、一本目の配線60で2つの台部材30に接合し、二本目の配線60で台部材30と発光素子20に接合するようにしてもよい。発光装置1において、隣り合う2つの台部材30に接合する配線60Aは、その一端が一方の台部材30に、他端が他方の台部材30または他方の台部材30に載置される発光素子20に接合され得る。
【0078】
図示される発光装置1の例では、配線60Bの一端が接合される保護素子50は、この保護素子50が載置される台部材30に載置されている発光素子20よりも、この配線60Bの他端が接合される台部材30に近い位置に配置される。上面視で、台部材30に載置される保護素子50と接合する配線60Bの方が、この台部材30に載置される発光素子20と接合する配線60Aよりも短い。保護素子50に係る配線60を、発光素子20に係る配線60よりも短くすることで、保護素子50に係る配線60に掛かる電流負荷を軽減することができる。
【0079】
図示される発光装置1の例では、上面視で、配線60Bは発光素子20と重ならない。従って、配線60Bは、発光素子20の直上を通過しない。台部材30に発光素子20及び保護素子50が載置される場合、例えば、保護素子50が接合される配線60Bがこの発光素子20の直上を通るように配されていると、発光素子20が故障した際に、配線60Bも損傷あるいは切断され得る。配線60Bと発光素子20とが上面視で重ならないように配置することで、このような事態を避けることができる。
【0080】
配線60Aは、上面視で、保護素子50と重ならないように接合することができる。
図6Bは、上面視で配線60Aが保護素子50と重ならないように配置された様子を示した模式的な上面図である。
図6Aにおいても、
図6Bと同様にして配線60を接合することができる。
図6Bに示されるように、発光素子20と接合する複数の配線60Aはいずれも、上面視で、保護素子50と重ならない。従って、配線60Aは、保護素子50の直上を通過しない。
【0081】
上面視で、配線60Aの一端を通り第2方向に平行な仮想線と、他端を通り第2方向に平行な仮想線とに挟まれる領域に、保護素子50が配置される。複数の配線60には、両端のうちの一端が発光素子20に接合される配線60Aであって、他端からこの発光素子20までの距離よりも他端からこの発光素子20に対応する保護素子50までの距離の方が短い配線60Aが含まれる。
【0082】
上面視で配線60Aの一部が保護素子50の外縁に重なる位置に配されると、保護素子50が適当に配置されたか否かを外観検査する際に、この配線60Aによって誤判定がされる可能性がある。つまり、保護素子50は適切な位置で実装されているにもかかわらず、配線60Aが重なることで、保護素子50が適当に実装されていないと判断される可能性がある。よって、上面視で保護素子50に重ならないように配線60Aを配置することで、このような誤判定を抑制することができる。
【0083】
図示される発光装置1の例では、保護素子50は、発光素子20の光出射面に近い位置に配置される。発光素子20の光出射面となる側面(以下、第1側面と呼ぶ。)と、発光素子20の第1側面と反対側の側面(以下、第2側面と呼ぶ。)のうち、保護素子50は第1側面に近い位置に配置される。これにより、第1側面から十分に離れた位置で配線60Aを発光素子20に接合させることができ、発光素子20の頓死を抑制することができる。
【0084】
発光素子20と接合する複数の配線60Aは、上面視で、保護素子50よりも第2側面に近い位置に配置される。複数の配線60Aのうち最も第1側面に近い位置で発光素子20に接合される配線60Aは、第1側面から250μm以上離れている。
【0085】
第1側面までの距離が近すぎると発光素子20の頓死が多くなり、遠すぎると発光素子20の発光特性または温度特性が下がるため、第1側面に最も近い配線60Aは、好ましくは、250μm以上550μm以下の範囲で第1側面から離れているとよい。
図6Cは、
図6Bよりも配線60Aの位置を第2側面側に近付けた発光装置1の例であるが、いずれも、この数値範囲の条件を満たしている。
【0086】
複数の配線60Aは、所定の間隔をあけて発光素子20に接合される。複数の配線60Aは、少なくとも3本の配線60Aを含む。第1側面に最も近い配線60Aの第1側面までの距離は、配線60A間の所定の間隔よりも大きく、かつ、第2側面に最も近い配線60Aの第2側面までの距離よりも大きい。
【0087】
発光素子20に対応する保護素子50は、上面視で、この発光素子20の第1側面と第2側面の中点を通り第1方向に平行な仮想線によって台部材30の上面を二つの領域に分けたときの、第1側面に近い方の領域内に配置される。第2側面に近い方の領域には保護素子50は配置されず、かつ、発光素子20との接合箇所がこの領域内にある配線60Aが1以上存在する。
【0088】
発光装置1は、電流が流れる方向が逆であってもよい。このとき、図示される発光装置1の例では、電流経路に沿って、一対の配線部14aの一方と発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60C、発光素子20が載置されていない台部材30と発光素子20の第2面22とに接合される配線60D、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30の導通領域32と、電流経路が遠い方の台部材30に載置される発光素子20の第2面22とに接合される1以上の配線A、発光素子20が載置されている台部材30の導通領域32と発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、発光素子20が載置されていない台部材30と一対の配線部14aの他方とに接合される配線60C、が設けられる。
【0089】
またさらに、図示される発光装置1の例では、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30の導通領域32と、電流経路が遠い方の台部材30に載置される保護素子50の上面とに接合される1以上の配線B、保護素子50が載置される台部材30の導通領域32と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。
【0090】
ここで、第1方向に並ぶ複数の発光素子20に含まれる2つの発光素子20を対象にして、複数の配線60による電気的な接続の態様を説明する。そのため、この2つの発光素子20をそれぞれ、第1発光素子及び第2発光素子とし、第1発光素子が載置される台部材30を第1台部材、第2発光素子が載置される台部材30を第2台部材とする。また、複数の保護素子50に含まれる2つの保護素子50をそれぞれ、第1保護素子及び第2保護素子とする。このとき、発光装置1において、次のことがいえる。
【0091】
複数の配線60には、両端のうちの一端が前記第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子20の前記第2面22に接合される第1配線が含まれる。複数の配線60には、両端のうちの一端が一方の発光素子20が載置される台部材30に接合され他端が第1発光素子または第2発光素子のうちの他方の発光素子20の第2面22に接合される第2配線が含まれる。複数の配線60には、両端のうちの一端が第1保護素子に接合される第3配線が含まれる。複数の配線60には、両端のうちの一端が第2保護素子に接合される第4配線が含まれる。
【0092】
複数の配線60が接合されることによって、第1配線及び第2配線を通り、かつ、第3配線及び第4配線を通らない電流経路が形成される。この電流経路は、第1発光素子から第2発光素子へと電流が流れる電流経路である。
【0093】
またさらに、複数の配線60が接合されることによって、第3配線を通る電流経路が形成される。この電流経路は、第1保護素子から第2発光素子へと電流が流れる電流経路である。また、この電流経路は、第1配線または第2配線のうち、第1発光素子の第2面22に接合される配線60を通らない。また、この電流経路は、第1配線または第2配線のうち、第2発光素子の第2面22に接合される配線60を通り得る。
【0094】
またさらに、第3配線及び第4配線を通り、かつ、第1配線及び第2配線を通らない電流経路が形成される。この電流経路は、第1保護素子から第2保護素子へと、電流が流れる電流経路である。
【0095】
発光装置1において、封止部材70は、基体10に接合される。封止部材70の下面が、基体10の上面に接合される。封止部材70は、基体10の凹部10aの上面に接合される。封止部材70は、基体10の最上面に接合される。
【0096】
基体10と封止部材70とが接合することで、封止空間が形成される。発光素子20は、この封止空間に閉じ込められる。所定の気体雰囲気下で、基体10と封止部材70を接合することで、気密された封止空間を形成することもできる。このように封止空間に発光素子20を閉じ込めることで、発光素子20の光出射面における集塵を抑制し、発光効率の低下を抑制することができる。
【0097】
光反射部材40によって反射された光は、封止部材70を透過する。主要部分の光は、封止部材70の透光性を有する部分を通過して、封止部材70から出射される。
【0098】
発光装置1において、レンズ部材80は、複数の発光素子20の上方に位置する。レンズ部材80は、封止部材70の上方に配置される。レンズ部材80は、封止部材70に接合される。レンズ部材80は、例えば、UV硬化性接着剤を用いて接合される。UV硬化性接着剤を用いると、レンズ部材80の実装位置を調整してから、所望の位置で接合させることができる。
【0099】
レンズ部材80は、個々の発光素子20から出射された光が、個々のレンズ面を通過して出射されるように配置される。
【0100】
このようにして、複数の光を出射する発光装置1を製造することができる。また、直列に接続される複数の発光素子において、その内の1つの発光素子が故障した場合にも、他の発光素子へと給電することができる発光装置を実現することができる。
【0101】
<変形例>
次に、発光装置1の変形例について説明する。
図7乃至
図11はそれぞれ、変形例の一例を示す発光装置1の上面図である。なお、
図6Aと同様、第1方向に並んで配置される複数の発光素子20の電気的な接続に関し、配線接合の様子を示した上面図としている。また、各図における矢印「I」は、電流が流れる方向を示している。
【0102】
各変形例は、電気的な接続のための発光素子及び保護素子の配置位置や、配線接合の態様などが第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と共通している点もある。また、各変形例における発光装置1において、その他の点については、既に説明した内容と同様である。以下では、各変形例について、第1実施形態と異なっている点を説明する。
【0103】
<第1変形例>
図7は、第1変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第1変形例では、配線60Aまたは配線60Bの一端が接合される台部材30の導通領域32が、第1実施形態の発光装置1のそれよりも大きい。導通領域32が広く確保されることで、配線60の接合が容易になる。
【0104】
図示される発光装置1の第1変形例では、配線60Bの一端が接合される保護素子50は、この保護素子50が載置される台部材30に載置されている発光素子20よりも、この配線60Bの他端が接合される台部材30に遠い位置に配置される。上面視で、台部材30に載置される保護素子50と接合する配線60Bの方が、この台部材30に載置される発光素子20と接合する配線60Aよりも長い。このように配することで、配線60を台部材30に接合するときの領域を広く確保することができる。なお、図示される発光装置1の第1変形例では、上面視で、配線60Bは発光素子20と重なる。
【0105】
<第2変形例>
図8は、第2変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第2変形例では、第1実施形態の発光装置1と比べ、さらに台部材302を備えている。発光装置1に備わる保護素子50と同じ数の台部材302が設けられる。個々の台部材302が、個々の保護素子50に対応する。また、第1変形例と同様に、配線60Aまたは配線60Bの一端が接合される台部材30の導通領域32が、第1実施形態の発光装置1のそれよりも大きい。
【0106】
第1実施形態においても第2変形例においても、配線60Bの両端のうちの一端は、台部材30または保護素子50のいずれかに接合される。一方で、第1実施形態では、他端は、発光素子20及び保護素子50が載置されている台部材30に接合されたが、第2変形例では、他端は、発光素子20及び保護素子50が載置されていない台部材302に接合される。
【0107】
第2変形例においては、複数の配線60には、発光素子20が載置されていない台部材30と、発光素子20が載置されている台部材30に載置されている保護素子50とに接合される配線60Dが含まれない。代わりに、複数の配線60には、発光素子20が載置されていない台部材30と、発光素子20及び保護素子50が載置されていない台部材302とに接合される配線60Dが含まれる。
【0108】
複数の配線60には、上面視で、両端のうちの一端が台部材302内に位置する1以上の配線60Eが含まれる。配線60Eは、上面視で、その他端が台部材30内に位置する。配線60Eの両端のうちの一端は、台部材302に接合される。他端は、台部材30に接合される。
【0109】
図示される発光装置1の第2変形例では、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30に載置される保護素子50の上面と、この保護素子50に対応する台部材302とに接合される配線B、及び、この台部材302と、電流経路が遠い方の台部材30の導通領域32とに接合される1以上の配線E、を一組の配線セットとした場合に、1以上の配線セットが設けられる。
【0110】
電流経路に沿って、1以上の配線セット、台部材30に載置される保護素子50の上面と、この保護素子50に対応する台部材302の導通領域32とに接合される配線B、この台部材302と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。
【0111】
第2変形例では、保護素子50に接合される配線60を、第1実施形態のそれよりも短くできる。これにより、第2変形例では、保護素子50に接合される配線60の太さを、第1実施形態のそれよりも細くできる。そのため、発光素子20に接合される配線60と、保護素子50に接合される配線60とは同じ太さか、保護素子50に接合される配線60の方を細くすることができる。
【0112】
第2変形例では、第1実施形態と同様、上面視で、配線60Bは発光素子20と重ならないことに加えて、第1変形例と同様、配線60Aまたは配線60Bの一端が接合される台部材30の導通領域32が、第1実施形態の発光装置1のそれよりも大きい。
【0113】
第2変形例の発光装置1は、電流が流れる方向が逆であってもよい。このとき、配線セットは、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30に載置される保護素子50の上面と、この保護素子50に対応する台部材302とに接合される配線B、及び、この台部材30と、電流経路が遠い方の台部材30に載置される保護素子50に対応する台部材302とに接合される1以上の配線Eと、で構成される。また、電流経路に沿って、1以上の配線セット、台部材30に載置される保護素子50の上面と、この保護素子50に対応する台部材302の導通領域32とに接合される配線B、この台部材302と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。
【0114】
複数の配線60には、第1配線乃至第4配線に加えて、両端のうちの一端が第1保護素子に対応する台部材302に接合される第5配線が含まれる。またさらに、両端のうちの一端が第2保護素子に対応する台部材302に接合される第6配線が含まれる。
【0115】
複数の配線60が接合されることによって、第1配線及び第2配線を通り、かつ、第3配線、第4配線、第5配線、及び第6配線を通らない電流経路が形成される。この電流経路は、第1発光素子から第2発光素子へと電流が流れる電流経路である。
【0116】
またさらに、複数の配線60が接合されることによって、第3配線及び第5配線を通る電流経路が形成される。この電流経路は、第1保護素子から第2発光素子へと電流が流れる電流経路である。また、この電流経路は、第1配線または第2配線のうち、第1発光素子の第2面22に接合される配線60を通らない。また、この電流経路は、第1配線または第2配線のうち、第2発光素子の第2面22に接合される配線60を通り得る。
【0117】
またさらに、第3配線、第4配線、第5配線、及び第6配線を通り、かつ、第1配線及び第2配線を通らない電流経路が形成される。この電流経路は、第1保護素子から第2保護素子へと、電流が流れる電流経路である。
【0118】
<第3変形例>
図9は、第3変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第3変形例では、第2変形例の発光装置1において台部材30に載置されていた保護素子50を、対応する台部材302に載置したという点で、さらに第1実施形態の発光装置1との違いがある。第3変形例の発光装置1では、発光素子20と保護素子50とを、異なる台部材に載置するため、歩留まりを改善することができる。
【0119】
以下、第1実施形態の発光装置1との相違点について説明するが、第3変形例と第1実施形態の差異点は、第2変形例と第1実施形態で述べた内容と重複する点も多い。第2変形例で説明した内容と重複する点については、図示される第3変形例と、上述の第2変形例についての説明とを対比すれば明白であるため、ここで改めて記載はしない。
【0120】
第3変形例においては、配線60Bの両端のうちの一端は、台部材30に接合される。他端は、台部材302に載置されている保護素子50に接合される。
【0121】
図示される発光装置1の第3変形例では、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30と、この台部材30に載置される発光素子20に対応する保護素子50であって台部材302に載置される保護素子50とに接合される配線B、及び、この台部材302と、電流経路が遠い方の台部材30の導通領域32とに接合される1以上の配線E、を一組の配線セットとした場合に、1以上の配線セットが設けられる。
【0122】
電流経路に沿って、1以上の配線セット、発光素子20が載置される台部材30の導通領域32と、この発光素子20に対応する保護素子50の上面とに接合される配線B、この保護素子50が載置される台部材302と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。
【0123】
第3変形例の発光装置1は、電流が流れる方向が逆であってもよい。このとき、配線セットは、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30の導通領域32と、この台部材30に載置される発光素子20に対応する保護素子50の上面とに接合される配線B、及び、この台部材30と、電流経路が遠い方の台部材30に載置される発光素子20に対応する保護素子50が載置される台部材302とに接合される1以上の配線Eと、で構成される。また、電流経路に沿って、1以上の配線セット、発光素子20が載置される台部材30の導通領域32と、この発光素子20に対応する保護素子50の上面とに接合される配線B、この保護素子50が載置される台部材302と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。
【0124】
<第4変形例>
図10は、第4変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第4変形例では、保護素子50が、下面に両電極を有し、台部材30の2つの接合領域31にそれぞれの電極が接合される。そのため、保護素子50の上面に配線60が接合されない点で、第1実施形態の発光装置1と異なる。
【0125】
図示される発光装置1の第4変形例では、複数の配線60には、上面視で、両端のうちの一端が2つの台部材30のうちの一方の台部材30内に位置する1以上の配線60Bが含まれる。配線60Bは、上面視で、その他端が他方の台部材30内に位置する。この2つの台部材30は、隣り合って第1方向に並べて配置されている。配線60Bの両端のうちの一端は、台部材30において保護素子50の両電極のうち一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32に接合される。他端は、台部材30において保護素子50の両電極のうち他方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32に接合される。
【0126】
またさらに、図示される発光装置1の例では、隣り合って配置される2つの台部材30のうち電流経路が近い方の台部材30に載置される保護素子50の一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32と、電流経路が遠い方の台部材30に載置される保護素子50の他方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32とに接合される1以上の配線B、保護素子50の一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32と、発光素子20が載置されていない台部材30とに接合される配線60D、が設けられる。保護素子50の他方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32は、発光素子20が接合される接合領域31とも電気的に接続する。
【0127】
発光装置1は、電流が流れる方向が逆であってもよい。このとき、保護素子50の一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32は、発光素子20が接合される接合領域31とも電気的に接続する。
【0128】
複数の配線60に含まれる第1配線及び第2配線は、第1実施形態の発光装置1と同様であり、かつ、第3配線と第4配線が以下のように異なる。複数の配線60には、両端のうちの一端が第1保護素子の一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32に接合される第3配線が含まれる。複数の配線60には、両端のうちの一端が第2保護素子の一方の電極が接合される接合領域31と電気的に接続する導通領域32に接合される第4配線が含まれる。
【0129】
<第5変形例>
図11は、第5変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第5変形例では、台部材30に載置される発光素子20の光出射面と反対側の側面よりも、この光出射面から第2方向に遠い位置で、保護素子50がこの台部材30に載置される。台部材30に載置される保護素子50の発光素子20に対する配置位置に関して、第1実施形態の発光装置1と異なる。
【0130】
このような位置に保護素子50を配置することで、台部材30の第1方向の幅を小さくすることができる。また、保護素子50に接合される配線60が発光素子20の直上を通過しないように接合できる。
【0131】
<第6変形例>
図12は、第6変形例に係る図面である。図示される発光装置1の第6変形例では、複数の配線60には、発光素子20及び保護素子50が配置される台部材30内において、一端が発光素子20に接合され、他端が導通領域32に接合される配線60Fが含まれる。また、複数の配線60には、発光素子20及び保護素子50が配置される台部材30内において、一端が保護素子50に接合され、他端が導通領域32に接合される配線60Gが含まれる。また、複数の配線60には、隣り合って配置される台部材30同士を繋ぐ配線60Hが含まれる。
【0132】
第6変形例においては、二本の配線60を用いて、一本目の配線60が2つの台部材30に接合し、二本目の配線60が台部材30と発光素子20に接合することで、発光素子20から隣に配置される台部材30までを電気的に接続する。同様に、二本の配線60を用いて、一本目の配線60が2つの台部材30に接合し、二本目の配線60が台部材30と保護素子50に接合することで、保護素子50から隣に配置される台部材30までを電気的に接続する。
【0133】
第1実施形態の発光装置1と比べ、第6変形例の発光装置1では、発光素子20に接合する配線60と、保護素子50に接合する配線60の長さを短くすることができ、配線60に掛かる電流負荷を軽減することができる。
【0134】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光装置について説明する。
図13は、第2実施形態に係る発光装置の一例である発光装置2の斜視図である。
図14は、発光装置2の上面図である。
図15は、内部構造を説明するために発光装置2から一部の構成要素を除いた上面図である。なお、上述してきた第1実施形態に係る発光装置の説明と重複する点については、適宜省略することがある。図示される発光装置2に基づき、上述の第1実施形態についての説明に合致する内容は、第2実施形態の発光装置についても該当する。
【0135】
発光装置2は、基体10、複数の発光素子20、複数の台部材30、1または複数の光反射部材40、複数の保護素子50、複数の配線60、封止部材70、及び、レンズ部材80を含む複数の構成要素を備える。なお、発光装置2は、さらに他の構成要素を有していてもよい。
【0136】
発光装置2において、基体10は、凹部10aにおいて、1以上の段差部16を有する。段差部16は、基体10の凹形状を規定する一部である。ここで、段差部16は、上面及びこの上面と交わり下方に伸びる内側面のみで構成される部分を指すものとする。段差部16は、側壁14の一部と捉えることもできる。基体10の実装面は、上面視で段差部16の内側にある。
【0137】
発光装置2における基体10では、配線部14aは、段差部16の上面に設けられる。配線部14aの内側配線領域が、段差部16の上面に設けられる。配線部14aの外側配線領域は、基体10の下面に設けられる。内側配線領域と外側配線領域は、基体10の内部を貫通するビアホールを介して電気的に接続する。
【0138】
発光装置2における基体10において、段差部16は、第1方向に対向する側壁14の内側面に沿って形成される。またさらに、発光装置2における基体10には、第2方向に対向する側壁14の内側面に沿った段差部16は形成されない。
【0139】
発光装置2においては、発光素子20が載置されておらず、かつ、配線60が接合される台部材30を有していない。そのため、複数の配線60には、第1実施形態における配線60C及び配線60Dが含まれていない代わりに、配線部14aと、発光素子20が載置されている台部材30またはこの台部材30に載置されている発光素子20あるいは保護素子50とに接合される1以上の配線60Cが含まれる。これにより、発光装置2の小型化を実現できる。
【0140】
発光装置2においては、第2実施形態における配線Cが、第1実施形態における配線60C及び配線60Dに代わる点を除けば、その他の配線60の接合については、第1実施形態で説明した内容と同様である。従って、第1実施形態と同様に、第2実施形態に係る発光装 置においても、各変形例を適用することができる。
【0141】
以上の第1実施形態、第2実施形態、及びこれら実施形態における各変形例に共通して、次のことがいえる。
実施形態に係る発光装置における複数の配線60には、両端のうちの一端が第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または一方の発光素子が載置される台部材に接合される第1配線が含まれる。またさらに、両端のうちの一端が第1発光素子または第2発光素子のうちの一方の発光素子または一方の発光素子が載置される台部材に接合され他端が他方の発光素子または他方の発光素子が載置される台部材に接合される第2配線が含まれる。またさらに、両端のうちの一端が第1保護素子または第1保護素子が載置される台部材に接合される第3配線と、両端のうちの一端が第2保護素子または第2保護素子が載置される台部材に接合される第4配線が含まれる。
また、第1配線及び第2配線を通る電流経路であって、かつ、第1発光素子のn電極から第2発光素子のp電極へと電流が流れる電流経路が形成される。またさらに、第3配線を通る電流経路であって、かつ、第1保護素子から前記第2発光素子のp電極へと電流が流れる電流経路が形成される。またさらに、第3配線及び第4配線を通り、かつ、第1配線及び第2配線を通らない電流経路であって、かつ、第1保護素子から第2保護素子へと電流が流れる電流経路が形成される。
【0142】
以上、説明してきたが、明細書により開示された技術的特徴を有した本発明は、明細書の各実施形態で説明した構造に限られるわけではない。例えば、実施形態に開示のない構成要素を有する発光装置においても本発明は適用され得るものであり、開示された構造と違いがあることは本発明を適用できないことの根拠とはならない。また、発明を完成させるための最小の構成要素という観点でみれば、実施形態により開示された発光装置が有する構成要素の中には、必須でない構成要素も含まれ得るといえる。
【0143】
このことはつまり、本明細書の実施形態により開示される発光装置には、発明の完成という観点の他、一つの利用形態を想定した合理的構成の開示という観点も含まれるということである。発明の適用はその例示的な利用形態に限られるものではない一方で、その利用形態に適用することで効果的に作用する側面もある。
【0144】
このような点から、本発明(特許請求の範囲)において、一実施形態において開示された全ての構成要素を備えることは必須ではないこともあり得る。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の一部の構成要素が記載されていなかった場合、その構成要素については、本実施形態に開示されたものに限らず、代替、省略、形状の変形、材料の変更などといった当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを請求するものである。
【産業上の利用可能性】
【0145】
実施形態に記載の発光装置及び光学部材は、プロジェクターに利用することができる。つまり、プロジェクターは、本発明が適用される一つの利用形態といえる。なお、本発明は、これに限らず、照明、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に利用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1、2 発光装置
10 基体
10a 凹部
12 基部
12a 凸部
14 側壁
14a 配線部
16 段差部
20 発光素子
21 第1面
22 第2面
30、302 台部材
31 接合領域
32 導通領域
40 光反射部材
41 光反射面
50 保護素子
60、60A、60B、60C、60D、60E、60F、60G、60H 配線
70 封止部材
80 レンズ部材
81 レンズ部