(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058714
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】LPT-723と免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせおよび処置の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/444 20060101AFI20220405BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220405BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022007869
(22)【出願日】2022-01-21
(62)【分割の表示】P 2020152003の分割
【原出願日】2016-06-28
(31)【優先権主張番号】62/186,157
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514063906
【氏名又は名称】バイオメッド バレー ディスカバリーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サウラブ サハ
(72)【発明者】
【氏名】リンピン ザン
(72)【発明者】
【氏名】シャオヤン マイケル ザン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの処置のための組成物および方法を提供すること。
【解決手段】被験体における障害の結果を処置または改善するための方法であって、有効量の下記式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを該被験体に投与するステップを含む方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年6月29日に出願された米国仮出願第62/186,157号の利益を主張する。上記出願の内容全体は、本明細書に全体が引用されるように、参照によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、がんおよびがん治療の分野に関する。より具体的には、本開示は、がんの処置のためのPI3Kγ阻害剤と少なくとも1種の免疫チェックポイント阻害剤との組合せを含む組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
がんと炎症の間には周知の関連がある。慢性の炎症性疾患は、腫瘍を発症するリスクを増大させることが公知であり、腫瘍は、免疫系による検出および破壊を避けるために複数の炎症反応を誘発する(Pardoll、2012年;Grivennikovら、2010年)。がんは、血管新生、免疫抑制および転移を促進する、調節性免疫系のメカニズムを利用することができる(Duら、2008年;Linら、2006年;Bronteら、2000年;Buntら、20
06年;Kimら、2009年)。これらの調節メカニズムとしては、骨髄由来抑制細胞(
MDSC)および免疫チェックポイント経路の活性化が挙げられる(Kormanら、2006年;Nagarajら、2013年;TalmadgeおよびGabrilovich、2013年)。
【0004】
programmed cell death-1(PD1)および細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)に対する抗体を使用する、これらの受容体を含む免疫チェックポイントの破壊は、最近の臨床試験において、患者のサブセットで有望な応答を示した(Hodiら、2010年;Topalianら、2012年;Brahmerら、2012年;Wolchokら、2013年)。しかしながら、これらの試験における患者および腫瘍型の大半は、この免疫療法に無応答のままである。Kimら(2014年)による研究は、MDSCの上
昇したレベルが、CD8+T細胞の機能を直接阻害することにより、チェックポイント阻害剤による処置を妨害しうることを示した。先に、自然発生乳がんのモデルにおいて、PI3キナーゼ(PI3K)アイソフォームp110γの遮断が、MDSCを抑制することにより腫瘍の炎症、成長および転移を阻害しうることが報告された(Schmid、2011年)。
【0005】
1つの報告によって、pan-PI3K阻害剤とPD1/CTLA4に対する免疫チェックポイントブロッカーとの間の相乗作用の証拠が提供される(Kimら、2014年)。
その報告は、同系マウス乳房腫瘍モデルおよび結腸腫瘍モデルにおいて、PI3Kの阻害を介するMDSCの低減が、チェックポイントの遮断との相乗作用に寄与することを実証した。pan-PI3K阻害剤は、最近、臨床試験において試験されたが、これらはすべてのPI3Kアイソフォームを広く阻害し、多くの有害な副作用を有することが示された(ClearyおよびShapiro、2010年)。
【0006】
上述のことを考慮すると、免疫チェックポイントの遮断の間にMDSCを低減するための、新しくより優れた組成物の開発が必要とされている。本発明は、これらの必要および他の必要を満たすことを対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、pan-PI3K分子は、PI3Kγアイソフォームによるシグナル伝達の破壊によりMDSCを低減すると考えられている。PI3Kγ阻害剤は、腫瘍細胞に直接的に影響を及ぼすことなく、腫瘍の炎症および血管新生を阻害することによって、腫瘍の成長を遮断することができる(Schmidら、2011年)。本発明において、選択的PI3Kγ阻害剤を、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、相乗的抗腫瘍効果を生じさせる。
【0008】
したがって、本発明は、被験体における障害の結果(effect)を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化1】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0009】
本発明は、被験体におけるがんの結果を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化2】
の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与するステップを含む方法も提供する。
【0010】
本発明は、がんの間質微小環境を調節するための方法であって、がんの間質微小環境を、式(I):
【化3】
の化合物または薬学的に許容される塩と接触させるステップを含む方法も提供する。
【0011】
本発明は、被験体における障害の結果を処置または改善するための組成物であって、式(I):
【化4】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを含む組成物も提供する。
【0012】
本発明は、式(I):
【化5】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを、これらの使用のための指示とともに含むキットも提供する。
【0013】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに示すために組み入れられる。本発明は、本明細書で提示される具体的な実施形態についての詳細な記載と組み合わせて、これらの図面のうちの1または複数を参照することにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、インタクトな免疫系を有する同系マウス結腸がんモデル(Colon26)におけるビヒクルおよびチェックポイント阻害剤対照群についての腫瘍体積中央値のグラフを示す。57日間の処置についてのデータを示す。第1群のマウス(n=10)に、ビヒクルを3日目からエンドポイントまで1日2回経口で、および、ハムスターポリクローナルIgGを腹腔内に(i.p.)(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)与えた。第2群(n=10)は、抗CTLA-4をi.p.で受けた(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)。第3群(n=10)は、抗PD-1をi.p.で受けた(3日目から開始して、週に2回、100μg/動物)。第4群(n=5)は、抗PD-1をi.p.で(3日目から開始して、週に2回、100μg/動物)および抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。
【0015】
【
図2】
図2は、Colon26マウスにおける、75日間までの処置についての平均腫瘍体積のグラフを示す。第1~4群は、比較のために
図1から繰り返した対照群である。第11群のマウスに、LPT-723(MR237)を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で与えた。第12群のマウスに、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、30mg/kg、経口で与えた。第13群は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で、および抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。第14群は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、30mg/kg、経口で、および抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。第15群は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で、および抗PD-1をi.p.で(3日目から開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。第16群は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、30mg/kg、経口で、および抗PD-1をi.p.で(3日目から開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。すべての群についてN=10。
【0016】
【
図3】
図3は、75日間の処置についての、第1~3群および第11~16群のKaplan-Meier生存プロットを示す。第13~16群は、LPT-723および免疫チェックポイント阻害剤抗体を受け、グラフでは矢印で強調される。グラフは、生存している動物のパーセンテージを示し、いずれかの処置単独では存在しない、LPT-723とチェックポイント阻害剤抗体との間の相乗作用の証拠を提供する。
【0017】
【
図4】
図4は、試験の経過の間の、第2群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。
【0018】
【
図5】
図5は、試験の経過の間の、第3群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、抗PD-1をi.p.で(3日目に開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。
【0019】
【
図6】
図6は、試験の経過の間の、第4群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)および抗PD-1をi.p.で(3日目に開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。
【0020】
【
図7】
図7は、試験の経過の間の、第11群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で受けた。
【0021】
【
図8】
図8は、試験の経過の間の、第12群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、30mg/kg、経口で受けた。
【0022】
【
図9】
図9は、試験の経過の間の、第13群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で、抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。
【0023】
【
図10】
図10は、試験の経過の間の、第14群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、30mg/kg、経口で、抗CTLA-4をi.p.で(100μg/動物、8日目;50μg/動物、11および14日目)受けた。
【0024】
【
図11】
図11は、試験の経過の間の、第15群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で、抗PD-1をi.p.で(3日目に開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。
【0025】
【
図12】
図12は、試験の経過の間の、第16群からの個別の動物における腫瘍体積を示すグラフである。これらの動物は、LPT-723を3日目からエンドポイントまで1日2回、10mg/kg、経口で、抗PD-1をi.p.で(3日目に開始して、週に2回、100μg/動物)受けた。
【0026】
【
図13】
図13は、治療的Colon26がんモデルにおける15日間にわたる腫瘍体積中央値を示す。紫色の線は、LPT-723(1日目に開始して1日2回、30mg/kg)および抗PD-1抗体の組合せの相乗効果を実証する。1群当たりN=10匹の動物。
【0027】
【
図14】
図14は、Lewis肺がん(LLC)同系マウスモデルにおける腫瘍体積中央値のグラフである。抗PD1と組み合わせたLPT-723(2日目に開始して、1日2回、30mg/kg)は、抗PD-1単独と比較して有意に腫瘍成長を阻害した。1群当たりN=10匹の動物。
【0028】
【
図15】
図15は、LLC同系マウスモデルにおける腫瘍体積中央値のグラフである。抗CTLA-4と組み合わせたLPT-723(2日目に開始して、1日2回、30mg/kg)は、抗CTLA-4単独と比較して有意に腫瘍成長を阻害した。1群当たりN=10匹の動物。
【0029】
【
図16-1】
図16A~
図16Bは、Pan02膵臓がん同系マウスモデルにおけるLPT-723の効果を示す。
図16Aは、LPT-723単独療法および抗PD-1との併用療法についての、24日間にわたる腫瘍体積中央値を示すグラフである。第1群(ビヒクル)は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を毎週2回、i.p.で、および、脱イオン(DI)水中、0.2% MC/1% SLSを毎日2回、経口で受けた。第2群は、抗PD-1を毎週2回、i.p.で10mg/kg受けた。第3群は、LPT-723を1日2回、口から30mg/kg受けた。第4群は、上記用量で、LPT-723および抗PD-1を受けた。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図16Bは、LPT-723が直接的にPan02細胞を殺滅しないこと(IC
50=26.57μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【
図16-2】
図16A~
図16Bは、Pan02膵臓がん同系マウスモデルにおけるLPT-723の効果を示す。
図16Aは、LPT-723単独療法および抗PD-1との併用療法についての、24日間にわたる腫瘍体積中央値を示すグラフである。第1群(ビヒクル)は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を毎週2回、i.p.で、および、脱イオン(DI)水中、0.2% MC/1% SLSを毎日2回、経口で受けた。第2群は、抗PD-1を毎週2回、i.p.で10mg/kg受けた。第3群は、LPT-723を1日2回、口から30mg/kg受けた。第4群は、上記用量で、LPT-723および抗PD-1を受けた。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図16Bは、LPT-723が直接的にPan02細胞を殺滅しないこと(IC
50=26.57μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【0030】
【
図17-1】
図17A~
図17Bは、A20リンパ腫がん同系モデルにおけるLPT-723単独療法および併用療法を示す。
図17Aは、
図16におけるマウスと同じ投薬スケジュールの第1~4群についての腫瘍体積中央値を示す。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図17Bは、LPT-723が直接的にA20細胞を殺滅しないこと(IC
50=84.1μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【
図17-2】
図17A~
図17Bは、A20リンパ腫がん同系モデルにおけるLPT-723単独療法および併用療法を示す。
図17Aは、
図16におけるマウスと同じ投薬スケジュールの第1~4群についての腫瘍体積中央値を示す。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図17Bは、LPT-723が直接的にA20細胞を殺滅しないこと(IC
50=84.1μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【0031】
【
図18-1】
図18A~
図18Bは、MBT-2膀胱がん同系モデルにおけるLPT-723単独療法および併用療法を示す。
図18Aは、
図16におけるマウスと同じ投薬スケジュールの第1~4群についての腫瘍体積中央値を示す。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図18Bは、LPT-723が直接的にMBT-2細胞を殺滅しないこと(IC
50=45.49μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【
図18-2】
図18A~
図18Bは、MBT-2膀胱がん同系モデルにおけるLPT-723単独療法および併用療法を示す。
図18Aは、
図16におけるマウスと同じ投薬スケジュールの第1~4群についての腫瘍体積中央値を示す。体重の有意な変化はなかった。1群当たりN=10匹の動物。
図18Bは、LPT-723が直接的にMBT-2細胞を殺滅しないこと(IC
50=45.49μM)を示す、in vitroの細胞生存アッセイを示す。
【0032】
【
図19-1】
図19A~
図19Bは、ビヒクルおよびLPT-723(30mg/kg)のみを用いて試験したHCT116結腸異種移植モデルにおけるLPT-723単独療法を示す。in vitroで培養中のHCT116細胞に対しては、30μMまでLPT-723は活性がなかったが(
図19B)、LPT-723単独療法の活性は、45%の腫瘍成長阻害を実証した(
図19A)。腫瘍成長阻害の結果は、LPT-723が、直接的な腫瘍細胞効果を介して作用するのではなく、腫瘍間質微小環境を調節することを示唆する。
【
図19-2】
図19A~
図19Bは、ビヒクルおよびLPT-723(30mg/kg)のみを用いて試験したHCT116結腸異種移植モデルにおけるLPT-723単独療法を示す。in vitroで培養中のHCT116細胞に対しては、30μMまでLPT-723は活性がなかったが(
図19B)、LPT-723単独療法の活性は、45%の腫瘍成長阻害を実証した(
図19A)。腫瘍成長阻害の結果は、LPT-723が、直接的な腫瘍細胞効果を介して作用するのではなく、腫瘍間質微小環境を調節することを示唆する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態は、被験体における障害の結果を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化6】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを被験体に投与するステップを含む方法である。
【0034】
本明細書で使用される「~を処置する」、「~を処置すること」、「処置」という用語、およびこれらの文法的変化形は、個別の被験体を、その被験体、例えば、患者における生理学的応答または生理学的転帰を得ることが所望される、プロトコール、レジメン、プロセス、または治療に供することを意味する。特に、本発明の方法および組成物を使用して、疾患症状の発症を緩徐化するか、または疾患もしくは状態の発症を遅延させるか、または疾患発症の進行を止めることができる。しかし、処置されたどの被験体も、特定の処置プロトコール、処置レジメン、処置過程、または処置治療に応答しない場合があるため、処置することは、所望の生理学的応答または生理学的転帰が、各被験体において、かつ、どの被験体においても、または被験体集団、例えば、患者集団においても達成されることを必要としない。したがって、所与の被験体または被験体集団、例えば、患者集団は、処置に応答しない場合もあり、処置への応答が不十分な場合もある。
【0035】
本明細書で使用される「~を改善する」、「~を改善すること」という用語、およびこれらの文法的変化形は、被験体における疾患の症状の重症度を低下させることを意味する。
【0036】
本発明の組合せに関して本明細書で使用される「投与すること」、「投与」という用語、およびこれらの変形(特に、化合物を「投与すること」)は、このような処置を必要とする、ヒトなどの被験体の体の中へ成分を導入することを意味する。
【0037】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、第1および第2の薬剤は単一の単位用量として投与される。他の態様では、第1および第2の薬剤は、共投与される。さらに他の態様では、第1の薬剤は、第2の薬剤の前に投与される。さらに他の態様では、第2の薬剤
は、第1の薬剤の前に投与される。
【0038】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、第1および第2の薬剤の被験体への投与は、障害の処置において相乗効果を提供する。
【0039】
本明細書で使用される「被験体」とは、哺乳動物、好ましくは、ヒトである。ヒトに加えて、本発明の範囲内の哺乳動物の類別は、例えば、農場動物(farm animal)、家庭動物(domestic animal)、実験動物などを含む。農場動物の一部の例は、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギなどを含む。家庭動物の一部の例は、イヌ、ネコなどを含む。実験動物の一部の例は、霊長動物、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなどを含む。
【0040】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、被験体は哺乳動物である。好ましくは、哺乳動物は、ヒト、霊長動物、農場動物および飼育動物からなる群から選択される。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0041】
本発明において、本明細書で開示される薬剤、モノクローナル抗体もしくはその断片または化合物または組成物の「有効量」または「治療有効量」は、被験体に投与された場合に、本明細書で記載されている、有益な結果または所望の結果をもたらすのに十分な、このような材料の量である。有効な剤形、投与方式および投与量は、経験的に決定することができ、このような決定を下すことは、当技術分野における技術の範囲内にある。当業者により、投与量は、投与経路、排出速度、処置期間、投与される他の任意の薬物の種類(identity)、哺乳動物、例えば、ヒト患者の年齢、サイズおよび種ならびに、医学および獣医学の技術分野で周知の類似の因子で変化することが理解される。一般に、本明細書で開示される任意の活性剤またはこれを含有する組成物の適切な用量は、活性剤または組成物の量であり、その量は、所望の効果を提供するのに有効な最低用量である。
【0042】
本明細書で開示される、本発明の化合物およびモノクローナル抗体、または抗原結合断片の投薬量の適切で非限定的な例は、1日当たり、約50mg/kg~約1200mg/kgを含む、1日当たり、約1mg/kg~約1200mg/kgなどの1日当たり、約1mg/kg~約2400mg/kgである。このような薬剤の他の代表的な投薬量は、1日当たり、約5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、400mg/kg、500mg/kg、600mg/kg、700mg/kg、800mg/kg、900mg/kg、1000mg/kg、1100mg/kg、1200mg/kg、1300mg/kg、1400mg/kg、1500mg/kg、1600mg/kg、1700mg/kg、1800mg/kg、1900mg/kg、2000mg/kg、2100mg/kg、2200mg/kgおよび2300mg/kgを含む。本明細書で開示される化合物、抗体および抗体断片の有効用量は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはこれを超える部分用量(sub-dose)であって、1日を通して、適切な間隔で、個別に投与される部分用量として投与することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の塩であって、本明細書で定義されるとおりに薬学的に許容でき、所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。このような塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などの無機酸により形成されるか;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、
マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸などの有機酸により形成される酸付加塩を含む。薬学的に許容される塩は、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応することができる場合に形成されうる塩基付加塩も含む。許容できる無機塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムを含む。許容できる有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN-メチルグルカミンなどを含む。
【0044】
本明細書で使用される「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、免疫応答を減弱することに関与する分子の活性を遮断する物質を指す。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、CTLA-4、PD-1、LAG-3、B7-H3、B7-H4、TIM3、A2ARおよびIDOの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体およびこれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、アレルマブ(Merck Serono)、イピリムマブ(YERVOY、(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech,Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Bristol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CellDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen
Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP 12(Aurigene and Pierre Fabre)、インドキシモド(NewLink
Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「抗体」および「その抗原結合断片」は、天然に存在する免疫グロブリン(例えば、IgM、IgG、IgD、IgA、IgEなど)だけでなく、例えば、単鎖抗体、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体)、Fab’、F(ab’)2、Fab、FvおよびrIgGを含む天然に存在しない免疫グロブリンを包含する。例えば、Pierce CatalogおよびHandbook、1994~1995年、(Pierce Chemical Co.、Rockford、Ill.);Kubyら、1998年を参照されたい。本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」は、抗原を
特異的に認識する能力を保持する完全長抗体の部分だけでなく、このような部分の様々な組合せである。
【0047】
天然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成を使用して構築することができ、組換えにより産生することができ、または例えば、参照により本明細書に組み込まれるHuseら、Science、246巻:1275~1281頁(1989年)により記載されているような、
可変の重鎖および可変の軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDRグラフト化抗体、単鎖抗体および二機能性抗体を作製するこれらおよび他の方法は、当業者に周知である(そのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれるWinterおよびHarris、Immunol. Today、14巻:243~246頁、(1993年); Wardら、Nature、341巻:54
4~546頁、(1989年); HarlowおよびLane、上記、1988年;Hilyardら、Protein Engineering: A practical approach (IRL Press、1992年);Borrabeck、Antibody Engineering、2版(Oxford University Press、1995年)。
【0048】
完全長抗体は、タンパク質分解により、抗原を認識する能力を保持する別々の数個の機能的抗体断片に消化することができる。例えば、完全長免疫グロブリンを2つのFab断片およびFc断片に切断するために、酵素パパインを使用することができる。したがって、Fab断片は、典型的に、重鎖および軽鎖由来の2つの可変ドメインと2つの定常ドメインから構成される。Fv領域は、通常、Fab領域の成分と認識され、典型的に1つが、重鎖(本明細書で使用される、VH「重鎖可変領域」)および軽鎖(本明細書で使用される、VL「軽鎖可変領域」)の各々に由来する2つの可変ドメインを含む。酵素ペプシンがヒンジ領域の下で切断して、F(ab’)2断片とpFc’断片を形成する。F(ab’)2断片は、消化されて、定常(Fc)領域が除去されたインタクトな抗体である。次いで、2つのFab’断片が、F(ab’)2断片のさらなる消化の結果として生じうる。抗体結合断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、トリボディ、scFvおよびシングルドメイン抗体(dAb)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
典型的に、完全長抗体は、少なくとも1つの重鎖および少なくとも1つの軽鎖を有する。各重鎖は、可変ドメイン(VH)および典型的に3つまたはそれを超える定常ドメイン(CH1、CH2、CH3など)を含有するが、各軽鎖は、可変ドメイン(VL)および定常ドメインCLを含有する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が間に挿入された(interrupted)、4つの「
フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている。例えば、Kabatら、U.S. Dept. of Health and Human Services, Sequences
of Proteins of Immunological Interest、(1983年)およびChothiaら、J. Mol. Biol.、196巻;901~917頁(1987年)を参照されたい。異なる軽鎖
または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域は、三次元空間においてCDRの位置を定め、それを整列させる役目を果たす。
【0050】
CDRは、主に、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的に、N末端から始まって連続的に番号付けされてCDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれ、典型的に、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、VH CDR3は、抗体の重鎖の可変ドメインに位置するが、VL CDR1は、抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。
【0051】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、微量に存在しうる
、天然に存在する可能性のある変異以外は同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一の抗原エピトープに対するものである。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られたという抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法による抗体の産生を要求するとも解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、最初にKohlerら、Nature、256巻:495頁、(1975年)に記載され、上述の体細胞ハイブリダイゼーション方法により改変された、ハイブリドーマ方法によって作製しうるか;または他の組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)により作製しうる。
【0052】
本発明のモノクローナル抗体の一部でありうる追加の種類の抗体としては、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ヒトにおける適用のためには、マウスのような他の種に起源を有する抗体の免疫原性を低減することが望ましいことが多い。これは、キメラ抗体の構築により、または「ヒト化」と呼ばれるプロセスによって行われうる。これに関連して、「キメラ抗体」は、異なる種(例えば、ヒト)に由来するドメイン(例えば、定常ドメイン)に融合された1つの種(例えば、マウス)に由来するドメイン(例えば、可変ドメイン)を含む抗体であると理解される。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体だけでなく、ヒト抗体に由来する配列を含有する抗体の形態を指す。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、その中で非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応する超可変ループのすべてまたは実質的にすべてと、フレームワーク(FR)領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれも含む(Jonesら、Nature、
321巻:522~525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323
~329頁(1988年);およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol、2巻:593
~596頁(1992年))。ヒト化は、例えば、Winterおよび共同研究者らの方法(Jonesら、Nature、321巻:522~525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323~327頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻、1534~1536頁(1988年))に従って、げっ歯類CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって、本質的に実施することができる。
【0054】
さらに、例えば、ファージディスプレイによりまたはトランスジェニック動物を使用して、ヒトゲノム由来の配列に基づいて抗体を作製するための技術が開発された(例えば、国際公開第WO90/05144号;D. Marks、H. R. Hoogenboom、T. P. Bonnert、J. McCafferty、A. D. GriffithsおよびG. Winter、(1991年)「By-passing
immunisation. Human antibodies from V-gene libraries displayed on phage.」、J. Mol. Biol.、222巻、581~597頁;Knappikら、J. Mol. Biol.、
296巻:57~86頁、2000年;S. CarmenおよびL. Jermutus、「Concepts in
antibody phage display」、Briefings in Functional Genomics and Proteomics、2002年、1巻(2号):189~203頁;Lonberg N、Huszar D.、「Human
antibodies from transgenic mice」、Int Rev Immunol.、1995年;13巻(1号):65~93頁;Bruggemann M、Taussig M J.、「Production of human antibody repertoires in transgenic mice」、Curr Opin Biotechnol.、1997年8月;8巻(4号):455~8頁を参照されたい)。このような抗体は、本発明との関連において「ヒト抗体」である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「組換え」抗体は、その産生が、所望の抗体構造をコードする非天然のDNA配列の生物体における発現を含む、任意の抗体である。本発明におい
て、組換え抗体は、タンデムscFv(taFvまたはscFv2)、ダイアボディ、dAb2/VHH2、ノブ・イントゥ・ホールズ(knob-into-holes)誘導体、SEED-IgG、ヘテロFc-scFv、Fab-scFv、scFv-Jun/Fos、Fab’-Jun/Fos、トリボディ、DNL-F(ab)3、scFv3-CH1/CL、Fab-scFv2、IgG-scFab、IgG-scFv、scFv-IgG、scFv2-Fc、F(ab’)2-scFv2、scDB-Fc、scDb-CH3、Db-Fc、scFv2-H/L、DVD-Ig、tandAb、scFv-dhlx-scFv、dAb2-IgG、dAb-IgG、dAb-Fc-dAbおよびこれらの組合せを含む。
【0056】
抗体の可変領域は、典型的に、単鎖Fv(scFv)またはFab断片として単離される。scFv断片は、短い10~25アミノ酸リンカーにより連結されたVHドメインおよびVLドメインから構成される。単離されると、scFv断片は、例えば、Ala-Ala-Ala、Gly-Gly-Gly-Gly-Serなどの1または複数のリピートなどのフレキシブルなペプチドリンカーと遺伝的に連結することができる。結果として得られたペプチド、タンデムscFv(taFvまたはscFv2)は、taFvの各scFvについてVH-VLまたはVL-VHの順序に様々な方法で配置することができる。(Kontermann, R.E. In:Bispecific Antibodies. Kontermann RE(編)、Springer
Heidelberg Dordrecht London New York、1~28頁、(2011年))。
【0057】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体または抗原結合断片により認識される、抗原の一部を指す。(抗原ポリペプチドなどの)単一の抗原は、1つより多いエピトープを有しうる。エピトープは、構造的エピトープまたは機能的エピトープとして定義しうる。機能的エピトープは、一般に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接寄与する残基を有する。エピトープは、立体構造エピトープである、すなわち、非線状アミノ酸から構成されることもある。ある特定の実施形態では、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基群(surface groupings)である決定基を含むことができ、ある特定の実施形態では、特定の三次元構造特性および/または特定の荷電特性を有することができる。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的に、変性溶媒への曝露において保持されるが、三次フォールディングにより形成されたエピトープは、典型的に、変性溶媒による処理で失われる。
【0058】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、式(I)の化合物は、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびにR-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される。
【0059】
好ましくは、式(I)の化合物は、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化7】
または薬学的に許容されるその塩である。
【0060】
本明細書における化合物の開示は、その化合物のすべての立体異性体を包含すると理解される。本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、同じ結合により結合された同じ原子から作られるが、互換的でない異なる三次元構造を有する化合物を指す。三次元構造は立体配置と呼ばれる。立体異性体は、エナンチオマー、光学異性体およびジアステレオマーを含む。
【0061】
「ラセミ化合物」または「ラセミ混合物」という用語は、等量のエナンチオマーの混合物を指す。「キラル中心」という用語は、4つの異なる基がそこに結合した炭素原子を指す。本明細書で使用される「エナンチオマー富化」という用語は、他方のエナンチオマーと比較した一方のエナンチオマーの量の増加を指す。
【0062】
キラル中心を有する本発明の化合物が、光学活性体およびラセミ体で存在し、その形態で単離されうることが理解される。一部の化合物は多形を示しうる。本発明が、本明細書に記載されている有用な性質を有する、本発明の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、ジアステレオマー体、多形体または立体異性体、あるいはその混合物を包含することは理解されるべきであり、光学活性体を調製する方法(例えば、再結晶化技術によるラセミ体の分割による、光学活性を有する出発材料からの合成による、キラル合成による、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離による)は当技術分野において周知である。
【0063】
光学活性材料を得る方法の例としては、当技術分野で公知であり、少なくとも以下が挙げられる:
i)結晶の物理的分離 -- 個別のエナンチオマーの巨視的結晶が手動で分離される技術。この技術は、別個のエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち、材料が集合体であり、結晶が視覚的にはっきり見える場合に、使用できる;
ii)同時結晶化 -- 個別のエナンチオマーがラセミ化合物の溶液から個別に結晶化される技術であり、後者が固体状態において集合体である場合にのみ可能である;
iii)酵素的分割 -- 酵素とエナンチオマーの反応の異なる速度に基づいて、ラセミ化合物が部分的または完全に分離される技術;
iv)酵素的不斉合成 -- 鏡像異性的に純粋なまたは富化された、所望のエナンチオマーの合成前駆体を得るために、合成の少なくとも1つのステップが酵素反応を使用する合成技術;
v)化学的不斉合成 -- 生成物において非対称(すなわち、キラリティー)を生じさせる条件下で、アキラルな前駆体から所望のエナンチオマーが合成される、本明細書でより詳細に開示されるキラル触媒またはキラル補助剤を使用して達成されうる合成技術;
vi)ジアステレオマー分離 -- ラセミ化合物を鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)と反応させて、個別のエナンチオマーをジアステレオマーに変換する技術。結果として生じるジアステレオマーは、次いで、それらの今やより明確なこれらの構造的相違に基づいて、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離され、キラル補助剤は後に除去されて、所望のエナンチオマーを得る;
vii)一次および二次不斉変換 -- ラセミ化合物からのジアステレオマーが平衡化して、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの溶液中の優位がもたらされるか、または最終的に、原則としてすべての材料が所望のエナンチオマーから結晶性ジアステレオマーに変換されるように、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先的な結晶化が平衡を撹乱させる技術。次いで、所望のエナンチオマーはジアステレオマーから放出される;
viii)速度論的分割 -- この技術は、速度論的条件下での、キラルな、非ラセミ試薬または触媒とエナンチオマーとの一様でない反応速度に基づいて、ラセミ化合物の部分的または完全な分割の(または部分的に分割された化合物のさらなる分割の)達成を指す;
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的な合成 -- 所望のエナンチオマーが非キラル出発材料から得られ、立体化学的完全性が、合成の経過にわたって損なわれないかまたは最小限に損なわれる合成技術;
x)キラル液体クロマトグラフィー -- ラセミ化合物のエナンチオマーが、固定相とのそれらの異なる相互作用に基づいて、液体移動相において分離される技術。固定相がキラル材料から作られるか、または移動相が異なる相互作用を引き起こすための追加のキラル材料を含有することができる;
xi)キラルガスクロマトグラフィー -- ラセミ化合物が揮発し、固定された非ラセミキラル吸収相を含有するカラムとの気体移動相におけるそれらの異なる相互作用に基づいて、エナンチオマーが分離される技術;
xii)キラル溶媒による抽出 -- 1つのエナンチオマーの特定のキラル溶媒への優先的な溶解に基づいて、エナンチオマーが分離される技術;
xiii)キラル膜を横切る輸送 -- ラセミ化合物を薄膜障壁と接触させる技術。障壁は、典型的に、一方がラセミ化合物を含有する2つの混和性の流体を分離し、濃度または圧力の差異などの推進力が、膜障壁を横切る優先的な輸送を引き起こす。分離は、ラセミ化合物のただ1つのエナンチオマーが通過することを可能とする、膜の非ラセミのキラル的性質の結果として起こる。
【0064】
立体異性体は、塩基またはこれらの塩の分別結晶化またはLCもしくはフラッシュクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術を含む、当業者に公知の通常の技術によっても分離しうる。(+)エナンチオマーは、J. Jacquesら、antiomers, Racemates, and Resolutions」、John Wiley and Sons, Inc.、1981年により記述されたものなどの当技術分野で周知の技術および手順を使用して、(-)エナンチオマーから分離しうる。例えば、エタノール/アセトニトリルなどの適切な有機溶媒およびChiralpak ADパッキング、20ミクロンを用いるキラルクロマトグラフィーも、エナンチオマーの分離をもたらすために利用しうる。
【0065】
式(I)の化合物は、「LPT-723」と互換的に呼ばれる。本発明が、LPT-723の他のエナンチオマー型およびラセミ混合物も含むことは理解される。R異性体が好ましい薬剤である。
【0066】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、障害はがんである。好ましくは、がんは、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細
胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がん(urinary track cancer)からなる群から選択される。より好ましくは、がんは、膀胱がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫および膵臓がんからなる群から選択される。
【0067】
本発明の別の実施形態は、被験体におけるがんの結果を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化8】
の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与するステップを含む方法である。
【0068】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、がんは、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される。好ましくは、がんは結腸がんである。
【0069】
本発明の別の実施形態は、がんの間質微小環境を調節するための方法であって、がんの間質微小環境を、式(I):
【化9】
の化合物または薬学的に許容される塩と接触させるステップを含む方法である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」および「がん」は、互換的に使用される。腫瘍は、良性または悪性でありうる。本明細書で使用される場合、「間質微小環境」は、腫瘍細胞の微小環境中にあり、腫瘍細胞の成長を支援する間質細胞を含む。
【0071】
この実施形態では、「接触させること」は、例えば、免疫チェックポイント阻害剤、L
PT-723および/または1もしくは複数の追加的治療剤を、間質微小環境にごく接近させることを意味する。これは、例えば、免疫チェックポイント阻害剤、LPT-723および/または1または複数の追加的治療剤を、哺乳動物への薬物送達の従来技術を使用して、またはin vitroの状況においてがん細胞が位置する培地に提供することにより、達成しうる。
【0072】
本発明の別の実施形態は、被験体における障害の結果を処置または改善するための組成物であって、式(I):
【化10】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを含む組成物である。
【0073】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、組成物は、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤をさらに含む医薬組成物である。本発明において、すべての化合物は、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤と組み合わせることができる。
【0074】
本発明の組成物および医薬組成物は、任意の所望される効果的な方式で:経口服用のために、または軟膏もしくは眼への局所投与のための点眼薬として、または非経口投与もしくは他の投与のために、腹腔内投与、皮下投与、局部投与、皮内投与、吸入投与、肺内投与、直腸投与、膣投与、舌下投与、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、髄腔内投与またはリンパ内投与など、任意の適切な方式で投与することができる。さらに、本発明の組成物および医薬組成物は、他の処置とともに投与することができる。本発明の各組成物および医薬組成物は、所望の場合、カプセル化することもでき、あるいは、胃分泌物または他の分泌物に対して他の形で保護することもできる。
【0075】
本発明の組成物および医薬組成物は、1または複数の有効成分を、1または複数の薬学的に許容される希釈剤またはキャリア、ならびに、任意選択で、1または複数の他の化合物、薬物、成分、および/または材料と混合して含み得る。選択される投与経路に関わらず、本発明の薬剤/化合物は、当業者に公知の従来の方法により、薬学的に許容される剤形へと製剤化される。例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(21版、Lippincott Williams and Wilkins、Philadelphia、PA.)を参照されたい。
【0076】
当技術分野では、薬学的に許容される希釈剤またはキャリアが周知であり(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(21版、Lippincott Williams and Wilkins、Philadelphia、PA.)およびThe National Formu
lary(American Pharmaceutical Association、Washington、D.C.)を参照されたい)、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトール)、デンプン、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、およびリン酸水素カルシウム)、クエン酸ナトリウム、水、水溶液(例えば、食塩液、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル注射液)、アルコール(例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびベンジルアルコール)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール)、有機エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびトリグリセリド)、生体分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、およびポリ酸(無水物))、エラストマーマトリックス、リポソーム、マイクロスフェア、油(例えば、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、綿実油、および落花生油)、ココアバター、蝋(例えば、坐剤用蝋)、パラフィン、シリコーン、滑石、サリチル酸塩(silicylate)などを含む。本発明の医薬組成物において使用される、各薬学的に許容される希釈剤またはキャリアは、製剤の他の成分に対して適合性であり、被験体に対して傷害性でないという意味で「許容可能」でなければならない。当技術分野では、選択された剤形および意図された投与経路に適する希釈剤またはキャリアが周知であり、選ばれた剤形および投与法のための許容可能な希釈剤またはキャリアは、当技術分野における通常の技術を使用して決定することができる。
【0077】
本発明の組成物および医薬組成物は、任意選択で、医薬組成物において一般に使用される、追加の成分および/または材料を含有してよい。当技術分野では、これらの成分および材料が周知であり、(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、およびアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリン粘土およびベントナイト粘土などの吸収剤;(9)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、およびラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤;(10)エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガントなどの懸濁化剤;(11)緩衝剤;(12)ラクトース、乳糖、ポリエチレングリコール、動物性脂肪および植物性脂肪、油、蝋、パラフィン、ココアバター、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、滑石、サリチラート、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末などの賦形剤;(13)水または他の溶媒などの不活性希釈剤;(14)防腐剤(preservative);(15)界面活性剤;(16)分散剤;(17)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、生体分解性ポリマー、リポソーム、マイクロスフェア、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、および蝋などの放出制御剤または吸収遅延剤;(18)乳白剤;(19)アジュバント;(20)湿潤剤;(21)乳化懸濁化剤;(22)エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤;(23)クロロフルオロ炭化水
素、およびブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの噴射剤;(24)抗酸化剤;(25)糖および塩化ナトリウムなど、製剤を、意図されるレシピエントの血液と等張性とする剤;(26)増粘剤;(27)レシチンなどのコーティング材料;ならびに(28)甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、および防腐剤(preservative
agent)を含む。このような各成分または各材料は、製剤の他の成分に対して適合性であり、被験体に対して傷害性でないという意味で「許容可能」でなければならない。当技術分野では、選択された剤形および意図された投与経路に適する成分および材料が周知であり、選ばれた剤形および投与法のための許容可能な成分および材料は、当技術分野における通常の技術を使用して決定することができる。
【0078】
経口投与に適する本発明の組成物および医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、水性または非水性液体の溶液または懸濁液、水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョン、エリキシルまたはシロップ、トローチ、ボーラス、舐薬、またはペーストの形態でありうる。これらの製剤は、当技術分野で公知の方法により、例えば、従来のパン式コーティング工程、混合工程、造粒工程、または凍結乾燥工程を介して調製することができる。
【0079】
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒剤など)は、例えば、有効成分(複数可)を、1または複数の薬学的に許容される希釈剤またはキャリア、ならびに、任意選択で、1または複数の充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、および/または着色剤と混合することにより調製することができる。適切な賦形剤を使用して、同様の種類の固体組成物を、軟質充填ゼラチンカプセル及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても援用することができる。錠剤は、任意選択で、1または複数の補助成分と共に、圧縮または成型により作製することができる。圧縮錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤、界面活性剤、または分散剤を使用して調製することができる。成型錠剤は、適切な機械により成型することにより作製することができる。錠剤、ならびに、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤など、他の固体剤形は、任意選択で、腸溶性コーティングおよび製薬技術分野で周知の他のコーティングなど、コーティングおよびシェルを伴って得られる(scored)または調製することもできる。それらはまた、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらすように製剤化することもできる。それらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過により滅菌することができる。これらの組成物はまた、任意選択で、乳白剤も含有することが可能であり、有効成分を、消化管のある特定の部分だけにおいて、またはこの部分において優先的に、任意選択で、遅延式により放出するような組成物でありうる。本発明の任意の有効成分はまた、マイクロカプセル化形態でもありうる。
【0080】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。液体剤形は、当技術分野で一般に使用される、適切な不活性希釈剤を含有しえる。不活性希釈剤のほかに、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、および防腐剤などのアジュバントも含みうる。坐剤は、懸濁化剤を含有し得る。
【0081】
直腸投与用または膣投与用の本発明の組成物および医薬組成物は、1または複数の有効成分を、1または複数の適切な非刺激性の希釈剤またはキャリアであって、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸腔または膣腔では融解し、活性化合物を放出する希釈剤またはキャリアと混合することにより調製しうる、坐剤として提供することができる。膣投与に適する本発明の組成物および医薬組成物はまた、適切であることが当技術分野で公知の、このような薬学的に許容されるキャリアを含有する、ペッサリー製剤、タンポン製剤、クリーム製剤、ゲル製剤、ペースト製剤、フォーム製剤、またはス
プレー製剤も含む。
【0082】
局所投与用または経皮投与用の剤形は、粉剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、点眼剤、および吸入剤を含む。活性薬剤(複数可)/化合物(複数可)は、滅菌条件下で、適切な薬学的に許容される希釈剤またはキャリアと混合することができる。軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、およびゲル剤は、賦形剤を含有し得る。粉剤およびスプレー剤は、賦形剤および噴射剤を含有し得る。
【0083】
非経口投与に適する本発明の組成物および医薬組成物は、1または複数の薬学的に許容される滅菌等張性の水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または、使用の直前に滅菌注射用溶液もしくは滅菌注射用分散液へと再構成されうる滅菌粉末であって、適切な抗酸化剤、緩衝剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性とする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有しうる滅菌粉末と組み合わせた、1または複数の薬剤(複数可)/化合物(複数可)を含む。適正な流体性は、例えば、コーティング材料の使用により、分散液の場合は、必要とされる粒子サイズの維持により、かつ、界面活性剤の使用により維持することができる。これらの組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの適切なアジュバントも含有しうる。また、等張剤を含むことも所望され得る。加えて、注射用医薬形態の持続性の吸収も、吸収を遅延させる剤の組入れによりもたらすことができる。
【0084】
場合によって、薬物(例えば、本発明の組成物または医薬製剤)の作用を延ばすために、皮下注射または筋内注射からのその吸収を緩徐化することが所望される。これは、水に難溶性である結晶性材料またはアモルファス材料の液体懸濁物を使用することにより達成することができる。
【0085】
次いで、本発明の活性な任意の活性薬剤/組成物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、さらに、結晶のサイズおよび結晶形態に依存しうる。代替的に、非経口投与された本発明の任意の活性薬剤/組成物の遅延吸収は、活性薬剤/組成物を、油ビヒクル中に溶解するかまたは懸濁することにより達成することができる。注射用デポ形態は、有効成分のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を、生体分解性ポリマー中で形成することにより作製することができる。ポリマーに対する有効成分の比、および採用される特定のポリマーの性質に応じて、有効成分の放出速度は制御されうる。注射用デポ製剤はまた、薬物を、体組織と適合性のリポソーム内またはマイクロエマルジョン内に封入することによっても調製される。注射用材料は、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過により滅菌することができる。
【0086】
製剤は、単位用量または複数回投与用用量(multi-dose)を密封した容器、例えば、アンプルおよびバイアル中において存在することができ、使用の直前に、滅菌の液体希釈剤または液体キャリア、例えば、注射用水の添加だけを必要とする、乾燥凍結状態で保存することができる。即席注射用溶液および即席注射用懸濁液は、上記で記載した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0087】
このおよび他の実施形態の一部の態様では、組成物中の第1および第2の薬剤は、別個の単位剤形中にある。他の態様では、第1および第2の薬剤は、単一の単位剤形中にある。
【0088】
本発明の別の実施形態は、式(I):
【化11】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とをこれらの使用のための指示とともに含むキットである。
【0089】
キットは、(例えば、医薬組成物の形態であることができる)本発明の各薬剤および被験体に薬剤を投与することにおける使用のための他の試薬、例えば、バッファ、平衡塩類溶液などのための適切な保存容器、例えば、アンプル、バイアル、管なども含むことができる。本発明の薬剤および他の試薬は、例えば、溶液でまたは粉末形態でなどの任意の便利な形態でキット中に存在しうる。キットは、医薬組成物および他の任意選択の試薬を収容するための1または複数の区画を任意選択で有する包装容器をさらに含むことができる。
追加的定義
【0090】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で互換的に使用される。これらの用語は、その中で1または複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーだけでなく、天然に存在するアミノ酸ポリマー、修飾された残基を含有するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーにも当てはまる。
【0091】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸だけでなく、天然に存在するアミノ酸に類似して機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによりコードされるアミノ酸だけでなく、後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタミン酸およびO-ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合した炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを意味する。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有することができるが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸に類似して機能する化合物を意味する。
【0092】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合で連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。核酸の多くの変異体が所与の核酸と同じ目的のために使用されうる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその相補体も包含する。
【0093】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であることができ、または二本鎖配列および一本鎖配列両方の部分を含有することもできる。核酸は、ゲノムDNAおよびcDNA両方であるDNA、RNA、または核酸がデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組合せならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシンおよびイソグアニンを含む塩基の組合せを含有しうるハイブリッドであることができる。核酸は、一本鎖分子として合成されるかまたは合成遺伝子を使用して(in vitroまたはin vivoで)細胞において発現されることもできる。核酸は、化学合成方法によりまたは組換え方法により得ることができる。
【0094】
核酸は、例えば、米国特許出願第11/429,720号、同第11/384,049号、同第11/418,870号および同第11/429,720号ならびに公開された国際出願第WO2005/116250号および同第WO2006/126040号に記載されたmRNA、tRNA、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、転写型遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、Piwi-相互作用RNA(Piwi-interacting RNA)、pri-miRNA、pre-miRNA、マイクロ-RNA(miRNA)、またはアンチ-miRNA(anti-mi RNA)などのRNAであることもある。
【0095】
核酸は、アプタマー、イントラマーまたはシュピーゲルマー(spiegelmer)でもありうる。「アプタマー」という用語は、特異的分子標的に結合する核酸またはオリゴヌクレオチド分子を指す。アプタマーは、in vitroの進化プロセスに由来し(例えば、米国特許第5,270,163号に開示されているSELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment))、これは、大きなコンビナトリアルライブラリーから標的特異的なアプタマー配列を選択する。アプタマー組成物は、二本鎖または一本鎖であることができ、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または他のヌクレオチド様分子を含みうる。アプタマーのヌクレオチド成分は、修飾された糖基(例えば、リボヌクレオチドの2’-OH基は2’-Fまたは2’-NH2で置換されうる)を有することができ、これは、所望の性質、例えば、ヌクレアーゼに対する抵抗性または血中のより長い寿命、を改善しうる。アプタマーは、他の分子、例えば、高分子量キャリアにコンジュゲーションされて、循環系からのアプタマーのクリアランスを遅くすることができる。アプタマーは、例えば、架橋剤の光活性化により、これらの同族リガンドに特異的に架橋されうる(Brody, E. N.およびL. Gold、(2000年) J. Biotechnol.
、74巻:5~13頁)。
【0096】
「イントラマー」という用語は、in vivoで発現されるアプタマーを指す。例えば、ワクシニアウイルスに基づくRNA発現系が、特定のRNAアプタマーを白血球の細胞質において高レベルで発現するために使用された(Blind, M.ら、(1999年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96巻:3606~3610頁)。
【0097】
「シュピーゲルマー」という用語は、L-DNA、L-RNAまたは他の左巻きヌクレオチド誘導体またはヌクレオチド様分子を含むアプタマーを指す。左巻きヌクレオチドを含有するアプタマーは、通常、右巻きヌクレオチドを含有する物質に対して作用する、天然に存在する酵素による分解に対して耐性である。
【0098】
核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有するが、核酸類似体には、少なくとも1つの異なる結合、例えば、ホスホルアミデート結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合またはO-メチルホスホロアミダイト結合ならびにペプチド核酸骨格および結合を有しうるものが含まれうる。他の類似体核酸は、米国特許第5,235,033号および同第5,034,506号に開示されたものを含む、陽性の骨格;非イオン性
の骨格および非リボース骨格を有するものを含む。1または複数の天然に存在しないヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドを含有する核酸も、核酸の定義のうちに含まれる。修飾されたヌクレオチド類似体は、例えば、核酸分子の5’末端および/または3’末端に位置しうる。ヌクレオチド類似体の代表例は、糖修飾されたリボヌクレオチドまたは骨格が修飾されたリボヌクレオチドから選択されうる。しかしながら、核酸塩基が修飾されたリボヌクレオチド、すなわち、5位において修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン;8位において修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば、8-ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン;O-およびN-アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6-メチルアデノシンなどの、天然に存在する核酸塩基の代わりに天然に存在しない核酸塩基を含有するリボヌクレオチドが適切である点にも留意すべきである。2’-OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCNから選択される基により置換することができ、Rは、C1~C6アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロは、F、Cl、BrまたはIである。修飾されたヌクレオチドは、例えば、Krutzfeldtら、Nature、(2005年10月30日)、Soutschekら、Nature、432
巻、173~178頁、(2004年)および米国特許出願公開第20050107325号に開示されているヒドロキシプロリノール結合によりコレステロールとコンジュゲーションしたヌクレオチドも含む。修飾されたヌクレオチドおよび核酸は、米国特許出願公開第20020115080号に開示されたロックド核酸(LNA)も含みうる。追加の修飾されたヌクレオチドおよび核酸は、米国特許出願公開第20050182005号に開示されている。リボース-リン酸骨格の修飾は、様々な理由、例えば、生理学的環境におけるこのような分子の安定性および半減期を増加させるため、細胞膜を横切る拡散を促進するため、またはバイオチップにおけるプローブとして、行われうる。天然に存在する核酸および類似体の混合物を作製することができ;代替的に、異なる核酸類似体の混合物および天然に存在する核酸と類似体の混合物も作製することができる。
【0099】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記述する目的のみのためであり、限定的であることを意図しない。本明細書および添付された特許請求の範囲において使用される単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに別段の定めのない限り、複数の指示対象を含む。
【0100】
本明細書中の数の範囲の記述に関しては、その間に介在する同じ精度の各数値が明示的に考慮される。例えば、6~9の範囲に関して、6および9に加えて7および8の数が考慮され、6.0~7.0の範囲に関して、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0の数が明示的に考慮される。
【0101】
以下の実施例は、本発明の方法をさらに例示する目的で提示される。これらの実施例は、例示的なだけのものであり、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例0102】
以下の実施例は、本発明のある特定の態様をさらに例示するために提供される。これらの実施例は、例示的なだけのものであり、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
(実施例1)
予防的Colon26結腸がんモデル:
【0103】
Charles River(CR)BALB/cマウスに、Colon26マウス結腸がん細胞を1日目に移植し、対照(ビヒクル)、抗CTLA-4(クローン4F10)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、抗CTLA-4/抗PD-1の組合せ、LP
T-723(10mpk、30mpk)、抗CTLA-4/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せ、または抗PD-1/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せを用いて、3日目に処置を開始した。抗CTLA-4は、i.p.により100μg/動物の用量で8日目に、50μg/動物の用量で11および14日目に投薬した。抗PD-1は、i.p.により、3日目に開始して2週間、週に2回、100μg/動物の用量で投薬した。LPT-723は、経口により(p.o.)、3日目に開始して1日2回投薬した。表1は、第1~4群についての応答の概要を示す。
【表1】
【0104】
以下の表2は、第1~3群および第11~16群についての応答の概要を示す。
【表2】
【0105】
減少した腫瘍体積中央値(
図1~2)および増加した生存(
図3)を示す、LPT-7
23(2つの用量コホート)および免疫療法チェックポイント阻害剤(immunotherapy checkpoint inhibitor)(PD1およびCTLA4抗体)の組合せを用いる群において、非常に有意な相乗作用を実証した。試験の終了時に、体重はベースラインの90~115%の範囲であった。対照群2~4ならびにLPT-723単独療法および併用療法群11~16の個別のマウスについての腫瘍体積中央値を、
図4~12に示す。
治療的Colon26結腸がんモデル:
【0106】
Colon26マウス同系結腸がんを保有するCR BALB/cマウスを、対照(ビヒクル)、抗CTLA-4(クローン9H10)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、抗CTLA-4/抗PD-1の組合せ、LPT-723(10mpk、30mpk)、抗CTLA-4/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せ、抗PD-1/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せおよび抗CTLA-4/抗PD-1/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せを用いて処置した。腫瘍体積が約80~120mm
3に到達したときに処置を開始した。抗CTLA-4は、i.p.により100μg/動物で2日目に、50μg/動物で5および8日目に投薬した。抗PD-1は、i.p.により、100μg/動物で週に2回、2週間投薬した。LPT-723は、p.o.により、1日目に開始して1日2回、投薬した。LPT-723と抗PD-1の間の相乗効果を示す、抗PD-1、LPT-723および抗PD-1/LPT-723の併用療法群についての結果を示す(
図13)。
(実施例2)
Lewis 肺がん(LLC)モデル:
【0107】
C57/BL6マウスに、Lewis Lungマウス肺がん細胞を1日目に移植し、対照(ビヒクル)、抗CTLA-4(クローン9H10)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、抗CTLA-4/抗PD-1の組合せ、LPT-723(10mpk、30mpk)、抗CTLA-4/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せ、抗PD-1/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せおよび抗CTLA-4/抗PD-1/LPT-723(10mpk、30mpk)の組合せを用いて、2日目に処置を開始した。抗CTLA-4は、i.p.により100μg/動物で5日目に、50μg/動物で8および11日目に投薬した。抗PD-1は、i.p.により、2日目に開始して2週間、週に2回、100μg/動物で投薬した。LPT-723は、p.o.により、2日目に開始して1日2回投薬した。抗PD-1(
図14)または抗CTLA-4(
図15)と組み合わせた、1日2回、30mpkのLPT-723は、LLC同系マウスモデルにおいて、抗PD-1または抗CTLA-4単独と比較して有意に腫瘍成長を阻害した。
(実施例3)
Pan02膵臓がんモデル:
【0108】
Pan02マウス同系膵臓がんを保有するC57/BL6マウスを、対照(ビヒクル)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、LPT-723および抗PD-1/LPT-723の組合せを用いて処置した。腫瘍体積が約80~120mm3に到達したときに処置を開始した。抗PD-1は、i.p.により、10mpkで週に2回、3週間投薬した。LPT-723は、p.o.により、1日2回、30mpk投薬した。
【0109】
LPT-723単独療法および併用療法は、このモデルにおいて、60%を超える腫瘍体積中央値の減少をもたらした(
図16A)。体重における有意な変化は認められなかった。in vitroの細胞生存アッセイ(CellTiter-Glo発光アッセイ)は、LPT-723が、直接的にPan02細胞を殺滅しないことを示した(
図16B、Pan02細胞におけるLPT-723についてのIC
50は、26.57μMであったのに対し、化学療法剤シスプラチンでは1.09μMであった)。
(実施例4)
A20リンパ腫がんモデル:
【0110】
A20マウス同系B細胞リンパ腫を保有するBALB/cマウスを、対照(ビヒクル)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、LPT-723および抗PD-1/LPT-723の組合せを用いて処置した。腫瘍体積が約80~120mm
3に到達したときに処置を開始した。抗PD-1は、i.p.により、10mpkで週に2回、3週間投薬した。LPT-723は、p.o.により1日2回、30mpk投薬した。15日目に、LPT-723単独療法は、腫瘍体積中央値の43%の減少をもたらし、併用療法は、79%の減少をもたらし(
図17A)、組合せの高い相乗効果を示した。体重における有意な変化は認められなかった。in vitroの細胞生存アッセイは、LPT-723が、直接的にA20細胞を殺滅しないことを示した(
図17B、A20細胞におけるLPT-723についてのIC
50は、84.10μMであったのに対し、シスプラチンについては1.07μMであった)。
(実施例5)
MBT-2膀胱がんモデル:
【0111】
MBT-2マウス同系膀胱がんを保有するC3Hマウスを、対照(ビヒクル)、抗PD-1(クローンRMP1-14)、LPT-723、および抗PD-1/LPT-723の組合せを用いて処置した。腫瘍体積が約80~120mm
3に到達したときに処置を開始した。抗PD-1は、i.p.により、10mpkで週に2回、3週間投薬した。LPT-723は、p.o.により、1日2回、30mpk投薬した。MBT-2モデルにおいては13日目に、対照に比較して、すべての治療群が少なくとも70%の腫瘍体積中央値の低減を示した(
図18A)。体重における有意な変化は認められなかった。in vitroの細胞生存アッセイは、LPT-723が、直接的にMBT-2細胞を殺滅しないことを示した(
図18B、MBT-2細胞におけるLPT-723についてのIC
50は、45.49μMであったのに対し、シスプラチンについては6.867μMであった)。
(実施例6)
HCT-116ヒト結腸直腸がん異種移植モデル:
【0112】
HCT-116ヒト結腸異種移植片を保有するBALB/cヌードマウスを、対照(ビヒクル)およびLPT-723を用いて処置した。腫瘍体積が約80~120mm
3に到達したときに処置を開始した。LPT-723は、p.o.により、1日2回、30mpk投薬した。LPT-723単独療法の活性が実証され、腫瘍成長の45%の阻害をもたらしたが(
図19A)、培養物中のHCT116細胞に対し、in vitroで30μMの用量までLPT-723は活性がなかった(
図19B)。腫瘍成長阻害の結果は、LPT-723が、直接的な腫瘍細胞への作用ではなく、腫瘍間質微小環境を調節することを示唆している。
(実施例7)
Upstateキナーゼパネル:
【0113】
LPT-723の阻害活性を、放射測定アッセイまたは分光測定アッセイのいずれかを使用して試験した、多くのキナーゼの残留キナーゼ活性を追跡することによって決定した。放射測定アッセイにおいて、
【化12】
由来のタンパク質、ホスホペプチドまたはリン脂質生成物に取り込まれた放射能を、時間の関数として追跡した。分光測定アッセイにおいて、ピルベートキナーゼおよびラクテー
トデヒドロゲナーゼを使用して、キナーゼ反応により生成したADPの各モルをNADHから1モルのNADの生成と共役させた。
【0114】
KinaseProfiler(商標)(Eurofins Pharma Discovery)アッセイは、類似の放射測定検出アッセイを採用した。以下の表3は、各キナーゼアッセイにおいて使用したペプチド基質、その濃度、およびATP濃度を列挙する。被験化合物を、DMSO溶液としてアッセイに導入した。指定の反応時間後、反応をクエンチし、生成した
33P標識ホスホペプチド/タンパク質をフィルターにトラップし、放射能計測器において定量した。毒性問題は観察されなかった。
【表3-1】
【表3-2】
(実施例8)
2菌株Ames試験:
【0115】
試験系:使用した2種のテスター菌株は、Amesら(1975年)により記載されたサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)ヒスチジン栄養要求株TA98およびTA100であった。テスター菌株TA98は、フレームシフト型変異原物質により、栄養要求性から原栄養性に復帰するが、テスター菌株TA100は、フレームシフト変異と塩基対置換変異の両方を引き起こす変異原物質により復
帰する。
【0116】
実験デザイン:試験系を、最初にMcCannら(1975年)に記載され、MaronおよびAmes(1983年)により改訂されたプレート組み込み方法論(plate
incorporation methodology)を介してLPT-723に曝露した。手短に述べれば、適切なビヒクル対照および陽性対照とともに、LPT-723を8種の用量レベルで試験した。テスター菌株TA98およびTA100の終夜の培養物を、Aroclor誘発ラット肝臓S9の存在下および非存在下で選択最小寒天(selective minimal agar)に蒔いた。LPT-723のすべての用量レベル、ビヒクル対照および陽性対照を2つ組で蒔いた。
【0117】
プレーティングおよびスコアリング手順:LPT-723希釈液を使用直前に調製し、黄色光の下で室温において試験系に送達した。2分の1(0.5)ミリリットルのS9またはシャムミックス(Sham mix)、100μLのテスター菌株および50μLのビヒクルまたはLPT-723希釈液を、45±2℃において、2.0mLの溶融した選択上層寒天(molten selective top agar)に添加した。ボルテックス後、25mLの最小下層寒天(minimal bottom agar)の表面上を混合物で覆った。陽性対照を蒔く場合は、LPT-723のアリコートを適切な陽性対照の50μLアリコートで置き換えた。重層物が固化した後、プレートを反転し、37±2℃で約48~72時間インキュベートした。インキュベーション期間の直後にプレートを計数するか、またはコロニー計数が行えるまで2~8℃で保存した。
【0118】
解剖顕微鏡を使用して、バックグラウンド細菌叢の状態をLPT-723の毒性の証拠に関して評価した。沈殿を、拡大せずに目視検査によって評価した。各テスター菌株および活性化条件に関する復帰変異株コロニーを、プレートが毒性を示さない限り、自動コロニー計測器により全体的に、または手動で全体的に計数した。自動コロニー計数を妨害するのに十分なLPT-723の沈殿を有するプレートは、手動で計数した。
【0119】
溶解性および試験した用量レベル:標的細胞との適合性に基づいて、最適の溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)を選択した。LPT-723は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で、0.03~100mg/mLの溶液を形成した。試験した最大用量は、プレート当たり5000μgであり、この用量を、100mg/mLの濃度および50μLのプレーティングアリコートを使用して達成した。試験した用量レベルは、プレート当たり、1.5、5.0、15、50、150、500、1500および5000μgであった。毒性は観察されなかった。
(実施例9)
小核アッセイ:
【0120】
8日目における剖検の前に、7日間の経口毒性および毒性動態(TK)試験の主要試験群のラットを小核のフロー分析の評価のために、頸静脈から出血させた。毒性は観察されなかった。血液の採取および固定のために使用した手順を以下に概説する。
【0121】
固定液の管の準備:採血の1日前に固定液の管(fixative tube)を準備した。2つの15mLポリプロピレン遠心管(VWR番号21008~103)が試料ごとに必要であった。2mLの超低温固定液-メタノールを、適切にラベルした管それぞれ(管B1およびB2)に添加し、キャップを元に戻した。管のラックを終夜、約-80℃に置いて、固定液の十分な冷却を可能とした。
【0122】
(採血前の)抗凝固剤/希釈剤バイアルの準備:各試料のために1つのバイアル(2mLのクライオバイアル(cryovial);VWR番号66008~728)が必要で
あった。350μLの抗凝固剤/希釈剤(BioRelianceにより提供されたLitronのPrototype Pig-a Mutation Assay Anticoagulant Solution、ロット番号17716)を、適切にラベルしたバイアル(管A)それぞれに無菌的にアリコートした。必要となるまでバイアルを冷蔵した(2~8℃)。
【0123】
血液試料の採取:K2EDTA管へ、約0.3mLの血液を各動物から採取した。反転することによって管をよく混合し、処理の前に最大30分間、その管をウェットアイス(wet ice)上に置いた。約100μLの体積の血液(60~120μLが必要であった)を、K2EDTA管から移し、冷たい抗凝固剤を含有する管(管A)に入れた。抗凝固剤および血液を含有する管(管A)を反転させて穏やかに混合し、固定前に最大30分間、ウェットアイス上に置いた。
【0124】
試料を固定すること:固定液および固定された血液を含有する管が超低温(約-80℃)のままであり、ドライアイスからの蒸気と接触しないことが極めて重要であった。CO2の蒸気は、カーボネーションと細胞の凝集を引き起こす。この同じ理由のために、固定液は、ドライアイスを入れた冷凍庫に保存せず、固定はドライアイス上で実施しなかった。この問題を回避するために、固定液を含有する管を、冷凍庫から直接取り出した。固定液は超低温(約-80℃)の冷凍庫に保持した。以下のステップを(1分未満で)非常に迅速に実施し、冷凍庫の近くで実施した。各試料を2つ組で固定した。2つ組の(バックアップ)試料は、輸送の問題が起きた場合またはフローサイトメトリー分析の問題が生じた場合に重要である。
【0125】
固定の直前に、血液/抗凝固剤混合物を含有するバイアル(管A)を反転させて、均一な懸濁液を確実にした。マイクロピペッターを使用して、180μLの血液を、管Aから超低温の固定液-メタノールを含有する2つ組の管(管B1およびB2)のそれぞれに移した。固定液の約1cm上方にピペッターのチップを保持した。ピペットチップが管の側面または固定液の表面に触れないことを確認しながら、180μLの希釈した血液試料を固定液中へ直接的に力強く排出した。固定した血液の管にきつくキャップをして、短時間(3~5秒のみ)ボルテックスし、超低温の冷凍庫(約-80℃)に戻した。輸送まで、試料を約-80℃で(ドライアイスが保存されない冷凍庫に)保存した。-70℃またはそれ未満で固定液中に保存した(管B1およびB2中の)試料は、温度が維持される限り、少なくとも1年間安定である。冷たい抗凝固剤を含有する2mLのクライオバイアル(管A)中に残った血液は廃棄した。
【0126】
固定した試料のLTSSへの移動:試料が固定液中に少なくとも3日間あった後、試料をLTSS中に移した。各クライオバイアルを適切にラベルした。凍らないが氷冷の温度を達成するために、緩衝溶液を包装して氷上に置いた(約45分間)。氷の容器と以下で使用する緩衝溶液をアリコートするために準備のできた25mLピペットを用いて、以下のステップをできるだけ迅速に実施した(約20秒以内)。固定した血液試料の管(管B1およびB2)を超低温の冷凍庫から取り出した。キャップをした管を迅速に氷上に置き、冷凍庫を閉じた。細胞を再懸濁するために、管を3~5秒間ボルテックスし、管の上でキャップを緩めた。各管に12mLの氷冷の緩衝溶液を直ちに添加した。1つの管から別の管への試料の移動を防ぐために、管がピペットチップと触れないように注意した。キャップを締め、溶液を混合するために管を一回反転させ、すべてが処理されるまで、管を直ちに氷上に置いた。固定した細胞に緩衝溶液を添加した後に、管が氷上または2℃~8℃のままであることが重要であった。管を約300×g~400×gで5分間遠心分離した。遠心分離が完了したら、迅速に管を取り出し、直ちに氷上に戻した。各管からの上清を吸引し、その中で細胞を再懸濁するために50μL未満の上清を残した。再度管にキャップをし、直ちに氷に戻した。一度に1つの試料を扱い、ボルテックスすることにより細胞
を速やかに残った上清に再懸濁した。管を氷上に戻し、残った試料を再懸濁した。1mLの(BioRelianceにより提供された)長期保存溶液(LTSS)を各管に添加し、内容物を適切なクライオバイアルに移し、キャップを締めた。試料を発送まで約-80℃で保存した。試験結果は、有意な毒性のないことを明らかにした。
(実施例10)
サルの心血管(CV)試験
【0127】
ビヒクルおよびLPT-723の調製および実験デザイン:ビヒクル、(脱イオン水中)50mM pH5.0、クエン酸ナトリウムを含む、2% TPGS/1.5% HPMCAS-HF/1.5% PVP-VAを、前製剤化し、各投薬日における使用のために分配した。ビヒクルを投薬のために取得するまで、琥珀色のガラス容器中、室温で撹拌しながら保存した。
【0128】
被験品LPT-723を、25%の薬物を負荷した、不活性賦形剤として75%のHPMC-ASを含む噴霧乾燥分散品として製剤化した。したがって、被験品製剤の濃度は、4の補正因子を使用して遊離塩基として計算した。純度に関する調整は行わなかった。適量のLPT-723をビヒクルと混合して、5および8mg/mLの名目上の濃度を達成した。LPT-723の製剤を必要に応じて各投薬日に調製し、投薬のために取得するまで、琥珀色のガラス容器中、室温で撹拌しながら保存した。
【0129】
ビヒクルおよびLPT-723の投与:同じ3頭または4頭の雄のサルに、ビヒクル(0mg/kg)ならびに25mg/kgおよび40mg/kgの用量レベルのLPT-723を、5mL/kgの投薬体積で経口経管栄養法により投与した(以下の表4)。1頭または2頭の動物/用量レベルに、それぞれの場合に、投与の間に7~14日間の休薬期間を伴い投薬する、クロスオーバーデザインに従ってすべての用量を投与した。動物番号6002には、動物の送信機がもはや適切に機能しないため、25mg/kgでの投薬をしなかった。用量投与の間ずっと、製剤を撹拌した。各投薬後の経管栄養管の取り外し前に、管を10mLの水道水で洗い流した。投薬後のすべての心臓血管のデータおよび体温のデータは、水道水の洗い流しに基づいた。個別の用量は、直近の体重に基づいた。有意な毒性学的所見はなかった。
【表4】
ラットの28日間GLP毒性試験:
【0130】
ビヒクルおよび被験品の調製:ビヒクル、脱イオン水中、50mM pH5.0、クエン酸ナトリウムを含む、2% TPGS/1.5% HPMCAS-HF/1.5% PVP-VAを、毎週の使用のために調製し、使用しないときは室温で保存した。LPT-723製剤を調製するとき、純度に関する調整に4の補正因子を使用した。適量のLPT-723をビヒクルと混合して、0.3、0.6および1.2mg/mLの名目上の濃度を達成した。LPT-723の製剤を毎日調製し、光から保護して室温で保存し、調製の4時間以内に投薬した。
【0131】
動物の取得および順化:全部で98頭の雄性および98頭の雌性CD(登録商標)[Crl:CD(登録商標)(SD)]ラット(受け入れ時に約6~7週齢)をCharles River Laboratories、Portage、Michiganから受け入れた。10日間の順化期間の間、全体的な健康および任意の疾患の兆候について動物を毎日観察した。試験のための選択の前に、すべての動物が詳細な臨床検査を受けた。動物に、偽用量の水道水を同じ方法および試験における使用を目的とする投薬体積で2回、投与した。
【0132】
無作為化、試験への割り当ておよび維持:標準的な体重による測定値の無作為化手順を使用して、85頭の雄性および85頭の雌性動物(無作為化にあたり、それぞれ、体重228~283gおよび170~218g)を、以下の表に特定される対照群および処置群に割り当てた。
【表5】
【0133】
ビヒクルおよびLPT-723の投与:ビヒクルおよびLPT-723を1日1回、主要試験動物について12mg/kg/日で22日間、TK動物について12mg/kg/日で23日間、および、すべての動物について0、3および6mg/kg/日で28日間投与した。経口経管栄養法により、10mL/kgの投薬体積で動物に投薬した。対照群は、処置群と同じ方法でビヒクルを受けた。ビヒクルおよび被験品を、撹拌した製剤から、日ごとに投薬する最初の動物に基づいて、毎日およそ同じ時間に(±2時間)投薬した。個別の用量は、直近の体重に基づいた。
【0134】
結果:無有害量(NOAEL)は、3mg/kg未満であった。AUCは、約35であり、治療指数は4未満であった。ラットにおいて化合物は耐容性が低く:数種の臨床化学パラメーターが影響を受け、最も注目すべきは、循環好中球の大きな増加であった。増加した好中球数は、複数の器官、特に胃腸管における組織蓄積および炎症状態と相関した。
(実施例12)
サルの7日間用量範囲設定試験:
【0135】
対照/ビヒクル品の調製:対照/ビヒクル品(50mMクエン酸ナトリウム緩衝液、pH5.0を含む、2% TPGS/1.5% HPMCAS-HF/1.5% PVP-VA)を、投薬開始の3日前に調製し、試験期間中、直接光を避けて室温で保存した。以下の指示は、2.5Lの最終体積の調製用であった。これらの指示は、必要に応じて調整した。
【0136】
適切なサイズの容器に500mLの10%ビタミンE-TPGSを添加し、撹拌を開始した。同じ容器に750mLの5% HPMCAS-HF/5% PVP-VAを添加し、適切な混合を確実にするために中程度のスピードで30分間撹拌した。1Lの脱イオン水を添加し、30分間撹拌を継続した。125mLの1Mクエン酸ナトリウム緩衝液と125mLの脱イオン水を、撹拌しながら添加した。最終的なビヒクルを、中程度のスピードで1時間撹拌した。ビヒクルは、濁った溶液であって、試験期間中、直接光を避けて室温で保存した。
【0137】
実験デザイン:被験品目および対照/ビヒクル品目を、以下の表6に記載したとおりに経口経管栄養法により連続して7日間、1日1回投与した。各動物に投与した投薬体積は、5mL/kgであった。投薬終了の1日後、主要動物を安楽死させ、8日目に剖検に供
した。
【表6】
*対照動物は、対照/ビヒクル品(50mMクエン酸ナトリウム緩衝液、pH5.0を含む、2% TPGS/1.5% HPMCAS-HF/1.5% PVP-VA)のみを受けた。
**用量レベルおよび濃度は、活性被験品目に関して表し;その結果として、被験品目の粉
末を秤量し、分配するときに、補正因子4を使用した。LPT-723は、25%の活性剤(active
)および75%のHPMCAS-HFポリマーを含有する噴霧乾燥分散品(SDD)として使用した。
【0138】
結果:LPT-723の最高用量は、最大耐用量(MTD)を超えた。骨髄およびリンパ組織における随伴効果を伴う、用量関連のリンパ球数の減少があった。NOAELを約50 AUCと推定すると、予測される治療指数は、低用量で約5となる。
(実施例13)
マウスの7日間用量範囲設定試験:
【0139】
被験品目および対照/ビヒクル品目の調製:ビヒクルは、脱イオン水中、50mMクエン酸ナトリウム(pH5.0)を含む、2% TPGS/1.5% HPMCAS-HF/1.5% PVP-VAである。LPT-723は、25%の活性剤および75%のHPMCAS-HFポリマーを含有する噴霧乾燥分散品(SDD)である。被験品目およびビヒクル品目を、光から保護して室温で保存し、乾燥させた。用量製剤は毎日調製した。別段の指示のない限り、均一な製剤を達成するための適切な混合機を使用して、LPT-723をビヒクルと混合して所望の濃度を達成した。
【0140】
LPT-723およびビヒクルを、連続7日間、1日あたり1回投与した。試験期間の間ずっと、およそ同じ時間に(±2時間)用量を投与した。すべての主要試験動物を、8日目(最終投薬の次の日)に剖検に供した。以下の表7を参照されたい。
【表7】
【0141】
結果:LPT-723は、耐容性は良好であり、リンパ球および単球数は減少した。臨床兆候または組織病理学的所見はなかった。この試験は、実施例11に報告した、明らかに「ラット特異的な」知見の追加的緩和措置を提供した。
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【0142】
上記で引用されるすべての特許、特許出願および刊行物は、本明細書に完全に記載されているように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
本発明はこのように記載されており、これが多くの方法で変更されうることは明らかである。このような変更は、本発明の精神および範囲を逸脱するとみなされるべきではなく、このようなすべての改変は以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図するものである。
【0144】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
被験体における障害の結果を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化13】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを該被験体に投与するステップを含む方法。
(項2)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびに該R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される、上記項1に記載の方法。
(項3)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化14】
または薬学的に許容されるその塩である、上記項1に記載の方法。
(項4)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項1に記載の方法。
(項5)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、アレルマブ(Merck Serono)、イピリムマブ(YERVOY、(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech,Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Brist
ol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CellDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP 12(Aurigene and Pierre Fabre)、インドキシモド(NewLink Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項1に記載の方法。
(項6)
前記第1および第2の薬剤が、単一の単位用量として投与される、上記項1に記載の方法。
(項7)
前記第1および第2の薬剤が、共投与される、上記項1に記載の方法。
(項8)
前記第1の薬剤が、前記第2の薬剤の前に投与される、上記項7に記載の方法。
(項9)
前記第2の薬剤が、前記第1の薬剤の前に投与される、上記項7に記載の方法。
(項10)
前記第1および第2の薬剤の前記被験体への投与が、前記障害の処置において相乗効果を提供する、上記項1に記載の方法。
(項11)
前記障害が、がんである、上記項1に記載の方法。
(項12)
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される、上記項11に記載の方法。
(項13)
前記がんが、膀胱がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、および膵臓がんからなる群から選択される、上記項11に記載の方法。
(項14)
前記被験体が、哺乳動物である、上記項1に記載の方法。
(項15)
前記哺乳動物が、ヒト、霊長動物、農場動物、および飼育動物からなる群から選択される、上記項14に記載の方法。
(項16)
前記哺乳動物が、ヒトである、上記項14に記載の方法。
(項17)
被験体におけるがんの結果を処置または改善するための方法であって、有効量の式(I):
【化15】
の化合物または薬学的に許容されるその塩を該被験体に投与するステップを含む方法。
(項18)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびに該R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される、上記項17に記載の方法。
(項19)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化16】
または薬学的に許容されるその塩である、上記項17に記載の方法。
(項20)
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される、上記項17に記載の方法。
(項21)
前記がんが、結腸がんである、上記項17に記載の方法。
(項22)
前記被験体が、哺乳動物である、上記項17に記載の方法。
(項23)
前記哺乳動物が、ヒト、霊長動物、農場動物、および飼育動物からなる群から選択される、上記項22に記載の方法。
(項24)
前記哺乳動物が、ヒトである、上記項22に記載の方法。
(項25)
がんの間質微小環境を調節するための方法であって、該がんの該間質微小環境を、式(I):
【化17】
の化合物または薬学的に許容される塩と接触させるステップを含む方法。
(項26)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびに該R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される、上記項25に記載の方法。
(項27)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化18】
または薬学的に許容されるその塩である、上記項25に記載の方法。
(項28)
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される、上記項25に記載の方法。
(項29)
前記がんが、結腸がんである、上記項25に記載の方法。
(項30)
前記被験体が、哺乳動物である、上記項25に記載の方法。
(項31)
前記哺乳動物が、ヒト、霊長動物、農場動物、および飼育動物からなる群から選択される、上記項30に記載の方法。
(項32)
前記哺乳動物が、ヒトである、上記項31に記載の方法。
(項33)
被験体における障害の結果を処置または改善するための組成物であって、式(I):
【化19】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを含む組成物。
(項34)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびに該R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される、上記項33に記載の組成物。
(項35)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化20】
または薬学的に許容されるその塩である、上記項34に記載の組成物。
(項36)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項33に記載の組成物。
(項37)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ(Bristol-Myers Sq
uibb)、ペンブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、アレルマブ(Merck Serono)、イピリムマブ(YERVOY、(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech,Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Bristol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CellDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP 12(Aurigene and Pierre Fabre)、インドキシモド(NewLink Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項33に記載の組成物。
(項38)
前記第1および第2の薬剤が、単一の単位用量として投与される、上記項33に記載の組成物。
(項39)
前記第1および第2の薬剤が、共投与される、上記項33に記載の組成物。
(項40)
前記第1の薬剤が、前記第2の薬剤の前に投与される、上記項39に記載の組成物。
(項41)
前記第2の薬剤が、前記第1の薬剤の前に投与される、上記項39に記載の組成物。
(項42)
前記第1および第2の薬剤の前記被験体への投与が、前記障害の処置において相乗効果を提供する、上記項33に記載の組成物。
(項43)
前記障害が、がんである、上記項33に記載の組成物。
(項44)
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される、上記項43に記載の組成物。
(項45)
前記がんが、膀胱がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、および膵臓がんからなる群から選択される、上記項43に記載の組成物。
(項46)
前記被験体が、哺乳動物である、上記項33に記載の組成物。
(項47)
前記哺乳動物が、ヒト、霊長動物、農場動物、および飼育動物からなる群から選択される、上記項46に記載の組成物。
(項48)
前記哺乳動物が、ヒトである、上記項46に記載の組成物。
(項49)
薬学的に許容できるキャリアまたは希釈剤をさらに含む医薬組成物である、上記項33に記載の組成物。
(項50)
前記第1および第2の薬剤が、別個の単位剤形中にある、上記項33に記載の組成物。(項51)
前記第1および第2の薬剤が、単一の単位剤形中にある、上記項33に記載の組成物。(項52)
式(I):
【化21】
の化合物または薬学的に許容されるその塩である第1の薬剤と、免疫チェックポイント阻害剤である第2の薬剤とを、これらの使用のための指示とともに含むキット。
(項53)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なそのR-エナンチオマー、実質的に純粋なそのS-エナンチオマー、ならびに該R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーのラセミ混合物からなる群から選択される、上記項52に記載のキット。
(項54)
式(I)の前記化合物が、実質的に純粋なR-エナンチオマー:
【化22】
または薬学的に許容されるその塩である、上記項52に記載のキット。
(項55)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項52に記載のキット。
(項56)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、アレルマブ(Merck Serono)、イピリムマブ(YERVOY、(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech,Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Bristol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CellDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP 12(Aurigene and Pierre Fabre)、インドキシモド(NewLink Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記項52に記載のキット。
(項57)
前記第1および第2の薬剤が、単一の単位用量として投与される、上記項52に記載のキット。
(項58)
前記第1および第2の薬剤が、共投与される、上記項52に記載のキット。
(項59)
前記第1の薬剤が、前記第2の薬剤の前に投与される、上記項58に記載のキット。
(項60)
前記第2の薬剤が、前記第1の薬剤の前に投与される、上記項58に記載のキット。
(項61)
前記第1および第2の薬剤の前記被験体への投与が、前記障害の処置において相乗効果を提供する、上記項52に記載のキット。
(項62)
前記障害が、がんである、上記項52に記載のキット。
(項63)
前記がんが、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、神経膠芽腫、頭部および頸部がん、肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、ラブドイドがん、肉腫および尿路がんからなる群から選択される、上記項62に記載のキット。
(項64)
前記がんが、膀胱がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、および膵臓がんからなる群から選択される、上記項62に記載のキット。
(項65)
前記被験体が、哺乳動物である、上記項52に記載のキット。
(項66)
前記哺乳動物が、ヒト、霊長動物、農場動物、および飼育動物からなる群から選択される、上記項65に記載のキット。
(項67)
前記哺乳動物が、ヒトである、上記項65に記載のキット。
(項68)
前記組成物が、薬学的に許容されるキャリアをさらに含む医薬組成物である、上記項52に記載のキット。
(項69)
前記第1および第2の薬剤が、別個の単位剤形中にある、上記項52に記載のキット。(項70)
前記第1および第2の薬剤が、単一の単位剤形中にある、上記項52に記載のキット。