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特開2022-61426シュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置、及び再生紙製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061426
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】シュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置、及び再生紙製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21F 3/02 20060101AFI20220411BHJP
   D21C 5/02 20060101ALI20220411BHJP
   D21F 7/08 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
D21F3/02 Z
D21C5/02
D21F7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169424
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】520389317
【氏名又は名称】山口 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】山口 智史
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055BA11
4L055BD03
4L055BD04
4L055BD05
4L055BD06
4L055CA07
4L055CA09
4L055CD01
4L055CD30
4L055CE25
4L055CE36
4L055CE51
4L055CE63
4L055CE79
4L055CF03
4L055DA09
4L055DA17
4L055EA40
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】シンプル構造でコンパクト化を図り、シュレッダーによる裁断屑紙の発生場所であるオフィスなど、設置スペースの限られた場所に設置することができ、紙リサイクルの各種工程を実現して良好な再生紙を製造できるシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置、及び再生紙製造方法を提供する。
【解決手段】薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルトと、薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルトと、第1フエルトベルトの含有水分を吸引する負圧式吸水ケースと、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルトと、薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備え、第2フエルトベルトは、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性が低くなることとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水にシュレーダーからの裁断屑紙を溶解させた混合原液を薄膜状に抄いて、薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルトと、
前記メッシュベルトの搬送終端部に当接して前記薄膜シートを受け取る搬送始端部を有し、同薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルトと、
前記第1フエルトベルトの搬送中途部の裏面に当接し、前記第1フエルトベルトの含有水分を吸引する負圧式吸水ケースと、
前記第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シートの表面に面当接する当接面部を有し、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルトと、
前記第1フエルトベルトの搬送終端部に近接離反すると共に近接状態で当接して前記薄膜シートを受け取る当接周面部としての搬送始端部を有し、同薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備え、
前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも薄膜シートに対する吸着性が低いことを特徴とするシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置。
【請求項2】
前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ上方位置に配設され、前記混合原液を攪拌すると共に貯溜して前記メッシュベルトに攪拌された混合原液を供給する攪拌槽と、
前記前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ下方位置に配設され、前記メッシュベルト及び前記負圧式吸水ケースにより薄膜シートから脱水された水分を貯溜する排水槽と、を有することを特徴とする請求項1に記載のシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置。
【請求項3】
前記回転式加熱ドラムの熱温度異常を検知して前記回転式加熱ドラムを前記第1フエルトベルトから自動的に離反制御する安全機構を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置。
【請求項4】
前記第1フエルトベルトが連続する搬送過程で正常搬送姿勢から搬送方向を徐々に左側偏寄傾斜又は右側偏寄傾斜させた蛇行搬送姿勢となった場合に、同第1フエルトベルトを蛇行搬送姿勢から正常搬送姿勢へ矯正復帰するためのベルト蛇行防止機構を備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置。
【請求項5】
前記メッシュベルトは、一対のローラに懸架され、搬送始端部から搬送終端部にかけて上昇する搬送傾斜上面を有し、前記搬送傾斜上面を後方側から前方側へむけて上昇移動させるように搬送駆動するように構成し、
前記第1フエルトベルトは、前記メッシュベルトよりも前方位置で複数のローラに側面視略三角環状に懸架され、後方側三角斜辺の略中央部を前記メッシュベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とすると共に、三角頂部を前記回転式加熱ドラムの搬送始端部に当接対応する搬送終端部とし、前記メッシュベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、
前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも下方位置で複数のローラに側面視略逆三角環状に懸架され、三角上辺部を前記第1フエルトベルトの三角底辺部分の中途部に当接対応する当接面部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、
前記回転式加熱ドラムは、前記第1フエルトベルトよりも上方位置に配設され、外周底面部を前記第1フエルトベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に回転駆動するように構成し、
前記混合原液から再生紙シートを製造する搬送処理経路を側面視略S字状に形成したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置。
【請求項6】
シュレッダーからの裁断屑紙と水とを混合して屑紙を水に溶解する混合原液生成工程と、混合原液を攪拌槽に移送して攪拌する攪拌工程と、攪拌された混合原液を一対のローラに懸架した無端状のメッシュベルト上に薄膜状に抄いて薄膜シートに形成しながら搬送する抄き搬送工程と、メッシュベルトの搬送終端部で薄膜シートを受け、複数のローラに懸架した無端状の第1フエルトベルトにより含有水分を吸水しながら搬送する吸水搬送工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で第1フエルトベルトの裏面に当接した負圧式吸水ケースにより第1フエルトベルトの含有水分を強制的に吸水する強制吸水工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シート表面に当接し、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性を低くすると共に複数のローラに懸架した無端状の第2フエルトベルトにより薄膜シートの含有水分を吸水する搾り処理工程と、第1フエルトベルトの搬送終端部で薄膜シート表面に面当接する所定位置に配設され、同薄膜シートを周面で受ける回転式加熱ドラムにより薄膜シートの乾燥を行う乾燥処理工程と、より構成したことを特徴とするシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シュレッダーで裁断された屑紙を加工して再生紙を生成する再生紙製造装置、及び再生紙製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばオフィスなどで大量に廃棄される使用済のコピー用紙やタイプ用紙等をシュレッダーにより裁断処理した屑紙を、例えばトイレットペーパーや新しい事務用紙などの再生紙へ加工する紙リサイクルが行われている。
【0003】
この紙リサイクルは、基本的に、回収した裁断屑紙を水と混合してスラリー状の混合原液を作成する混合原液生成工程と、混合原液を所定の網(ワイヤー)の上に広げ抄いて地合を整えた薄膜シートを形成する抄き工程と、薄膜シートを無端状の繊維ベルトで搬送しながら搬送中途部の上下に設けた2つの圧延ローラ同士の間で挟圧して含有水分を強制的に圧搾すると共に所定の厚みに圧延するプレス工程と、脱水した薄膜シートを複数の加熱式乾燥ドラムに懸架して伸延しながら乾燥することにより再生紙を製造するドライヤー工程と、を有する。
【0004】
かかる紙リサイクルの各種工程のうち、例えば抄き工程を実行するワイヤーの代わりに混合原液を噴射装置により無端状の繊維ベルトに吹き付けて薄膜シートを形成するように構成したもの(例えば、特許文献1参照。)や、ドライヤー工程を実施する複数の乾燥ドラムの代わりに熱空気を充満させた乾燥チャンバー内に薄膜シートを搬送して同薄膜シートを完全乾燥して再生紙を製造するように構成したもの(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0005】
これらの技術によれば、紙リサイクルの工程を実行する抄紙装置のコンパクト化を図り、同装置をスペースに制限のあるオフィスなどに設置して紙屑の発生場所で再生紙を得ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-317290号公報
【特許文献2】特開2012-67406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、いずれの紙リサイクルの技術も、コンパクト化を図るための構成が不十分で実現性に乏しいばかりか、却って装置構成の複雑化や大型化を招き、メンテナンス費用や装置費用などのコスト面で不利となる恐れがあった。
【0008】
すなわち、特許文献1に開示の技術によれば、抄き工程の代替する噴射装置は混合原液中のパルプ原料を搬送ベルト面に対して均一噴射する特別の機構を備える必要があり、装置構成が複雑化するだけなくパルプ原料が射出部分で目詰まりを起こしたり不用意に飛散したりするなど、設備の不用意な汚損を招来する恐れがある。
【0009】
また、特許文献2に開示の技術によれば、ドライヤー工程を代替する乾燥チャンバーは薄膜シートを完全乾燥させるのに必要十分な距離を確保する必要があり大型化するだけなく、同チャンバー内に薄膜シートの完全乾燥できる十分な熱空気を充満させる必要がありエネルギーコストが余分にかかる。
【0010】
さらに、乾燥チャンバーに入った薄膜シートは熱空気により急激に含有水分を奪われるため緩慢な含水率コントロールをすることを困難とし、結果、乾燥に伴う収縮率の差が生じやすくなり乾燥生成された再生紙に皺やヨレなどの斑が生起する可能性がある。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、シンプル構造でコンパクト化を図り、シュレッダーによる裁断屑紙の発生場所であるオフィスなど、設置スペースの限られた場所に設置することができ、紙リサイクルの各種工程を実現して良好な再生紙を製造できるシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置、及び再生紙製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る再生紙製造装置では、(1)水にシュレーダーからの裁断屑紙を溶解させた混合原液を薄膜状に抄いて、薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルトと、前記メッシュベルトの搬送終端部に当接して前記薄膜シートを受け取る搬送始端部を有し、同薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部の裏面に当接し、前記第1フエルトベルトの含有水分を吸引する負圧式吸水ケースと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シートの表面に面当接する当接面部を有し、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送終端部に近接離反すると共に近接状態で当接して前記薄膜シートを受け取る当接周面部としての搬送始端部を有し、同薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備え、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも薄膜シートに対する吸着性が低いことに特徴を有する。
【0013】
また、本発明に係る再生紙製造装置は以下の(2)~(4)の点で特徴を有する。
(2)前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ上方位置に配設され、前記混合原液を攪拌すると共に貯溜して前記メッシュベルトに攪拌された混合原液を供給する攪拌槽と、前記前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ下方位置に配設され、前記メッシュベルト及び前記負圧式吸水ケースにより薄膜シートから脱水された水分を貯溜する排水槽と、を有すること。
(3)前記回転式加熱ドラムの熱温度異常を検知して前記回転式加熱ドラムを前記第1フエルトベルトから自動的に離反制御する安全機構を備えること。
(4)前記第1フエルトベルトが連続する搬送過程で正常搬送姿勢から搬送方向を徐々に左側偏寄傾斜又は右側偏寄傾斜させた蛇行搬送姿勢となった場合に、同第1フエルトベルトを蛇行搬送姿勢から正常搬送姿勢へ矯正復帰するためのベルト蛇行防止機構を備えること。
(5)前記メッシュベルトは、一対のローラに懸架され、搬送始端部から搬送終端部にかけて上昇する搬送傾斜上面を有し、前記搬送傾斜上面を後方側から前方側へむけて上昇移動させるように搬送駆動するように構成し、前記第1フエルトベルトは、前記メッシュベルトよりも前方位置で複数のローラに側面視略三角環状に懸架され、後方側三角斜辺の略中央部を前記メッシュベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とすると共に、三角頂部を前記回転式加熱ドラムの搬送始端部に当接対応する搬送終端部とし、前記メッシュベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも下方位置で複数のローラに側面視略逆三角環状に懸架され、三角上辺部を前記第1フエルトベルトの三角底辺部分の中途部に当接対応する当接面部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記回転式加熱ドラムは、前記第1フエルトベルトよりも上方位置に配設され、外周底面部を前記第1フエルトベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に回転駆動するように構成し、前記混合原液から再生紙シートを製造する搬送処理経路を側面視略S字状に形成したこと。
【0014】
また、本発明では、シュレッダーからの裁断屑紙と水とを混合して屑紙を水に溶解する混合原液生成工程と、混合原液を攪拌槽に移送して攪拌する攪拌工程と、攪拌された混合原液を一対のローラに懸架した無端状のメッシュベルト上に薄膜状に抄いて薄膜シートに形成しながら搬送する抄き搬送工程と、メッシュベルトの搬送終端部で薄膜シートを受け、複数のローラに懸架した無端状の第1フエルトベルトにより含有水分を吸水しながら搬送する吸水搬送工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で第1フエルトベルトの裏面に当接した負圧式吸水ケースにより第1フエルトベルトの含有水分を強制的に吸水する強制吸水工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シート表面に当接し、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性を低くすると共に複数のローラに懸架した無端状の第2フエルトベルトにより薄膜シートの含有水分を吸水する搾り処理工程と、第1フエルトベルトの搬送終端部で薄膜シート表面に面当接する所定位置に配設され、同薄膜シートを周面で受ける回転式加熱ドラムにより薄膜シートの乾燥を行う乾燥処理工程と、より構成したことを特徴とするシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造方法についても提供する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、水にシュレーダーからの裁断屑紙を溶解させた混合原液を薄膜状に抄いて、薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルトと、前記メッシュベルトの搬送終端部に当接して前記薄膜シートを受け取る搬送始端部を有し、同薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部の裏面に当接し、前記第1フエルトベルトの含有水分を吸引する負圧式吸水ケースと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シートの表面に面当接する当接面部を有し、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送終端部に近接離反すると共に近接状態で当接して前記薄膜シートを受け取る当接周面部としての搬送始端部を有し、同薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備えて構成したため、すでに裁断処理された裁断紙であるために水との溶解混合を円滑に短時間で行うことができ、負圧式吸水ケースや第2フエルトベルトにより効率的に薄膜シートの脱水を行って乾燥ドラムによる乾燥時間を可及的短縮化でき、薄膜シートから再生紙を製造するための搬送処理経路を可及的短くして装置をコンパクト化することができると共に再生紙を短時間で製造することができる効果がある。
【0016】
特に、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性が低いため、第1フエルトベルトと共に薄膜シートを挟圧した際に、薄膜シートを圧搾して薄膜シートから効果的に含有水分を吸水すると共に薄膜シートの厚みや地合を均一に整えることができる。また、薄膜シートを第1フエルトベルトから搬送途中で不用意に剥離脱落させることがなく、安定且つ連続的な再生成製造を行うことができ、成形性の良好な再生成を製造できる効果がある。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ上方位置に配設され、前記混合原液を攪拌すると共に貯溜して前記メッシュベルトに攪拌された混合原液を供給する攪拌槽と、前記前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ下方位置に配設され、前記メッシュベルト及び前記負圧式吸水ケースにより薄膜シートから脱水された水分を貯溜する排水槽と、を有することとしたため、攪拌調製されたばかりの混合原液を攪拌槽から即座にメッシュベルトに供給することができると共に薄膜シートから脱水された余分な水分を排水槽に貯溜することができ、シュレッダーからの裁断紙屑を再生紙にするための各種製造処理を一か所で一度に行うことができ、装置をコンパクト化して限られたスペースに設置することができる効果がある。
【0018】
また、請求項3に係る発明によれば、前記回転式加熱ドラムの熱温度異常を検知して前記回転式加熱ドラムを前記第1フエルトベルトから自動的に離反制御する安全機構を備えることとしたため、ドラムの異常熱による薄膜シートや再生紙の燃焼火災や焼け焦げ損傷などの火災損傷事故を未然に防止することができる効果がある。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、前記第1フエルトベルトが連続する搬送過程で正常搬送姿勢から搬送方向を徐々に左側偏寄傾斜又は右側偏寄傾斜させた蛇行搬送姿勢となった場合に、同第1フエルトベルトを蛇行搬送姿勢から正常搬送姿勢へ矯正復帰するためのベルト蛇行防止機構を備えることとしたため、第1フエルトベルトをメッシュベルトや第2フエルトベルトや負圧式吸水ケースや回転式加熱ドラムに対して正姿勢で対応配置することができ、薄膜シートの含水率を一定にして成形性を良好とすることができる効果がある。
【0020】
また、前記メッシュベルトは、一対のローラに懸架され、搬送始端部から搬送終端部にかけて上昇する搬送傾斜上面を有し、前記搬送傾斜上面を後方側から前方側へむけて上昇移動させるように搬送駆動するように構成し、前記第1フエルトベルトは、前記メッシュベルトよりも前方位置で複数のローラに側面視略三角環状に懸架され、後方側三角斜辺の略中央部を前記メッシュベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とすると共に、三角頂部を前記回転式加熱ドラムの搬送始端部に当接対応する搬送終端部とし、前記メッシュベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも下方位置で複数のローラに側面視略逆三角環状に懸架され、三角上辺部を前記第1フエルトベルトの三角底辺部分の中途部に当接対応する当接面部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記回転式加熱ドラムは、前記第1フエルトベルトよりも上方位置に配設され、外周底面部を前記第1フエルトベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に回転駆動するように構成し、前記混合原液から再生紙シートを製造する搬送処理経路を側面視略S字状に形成したため、メッシュベルト、第1フエルトベルト、第2フエルトベルト、回転式加熱ドラムを、それぞれが対応する再生紙製造の各種工程順に単に水平直線状に並べて配置するのではなく、可及的密集すると共に側面視略S字状の搬送処理経路を形成するように配置して構成し、薄膜シートから再生紙を製造する搬送処理経路の短縮化を図ると共に装置をコンパクト化させ、省スペース化を図ることができる効果がある。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、シュレッダーからの裁断屑紙と水とを混合して屑紙を水に溶解する混合原液生成工程と、混合原液を攪拌槽に移送して攪拌する攪拌工程とにより、すでに裁断処理された裁断紙であるために水との溶解混合を円滑に短時間で行うことができる効果がある。
【0022】
また、攪拌された混合原液を一対のローラに懸架した無端状のメッシュベルト上に薄膜状に抄いて薄膜シートに形成しながら搬送する抄き搬送工程により、本格的な抄き工程の前にメッシュベルトを介して薄膜シート中の大部分の含有水分を排除して次工程での薄膜シートの排水乾燥を行いやすくすることができる効果がある。
【0023】
また、メッシュベルトの搬送終端部で薄膜シートを受け、複数のローラに懸架した無端状の第1フエルトベルトにより含有水分を吸水しながら搬送する吸水搬送工程により、第1フエルトベルトが連続搬送する薄膜シートから搬送中に独自に一定の吸水処理を行うことができる。
【0024】
また、第1フエルトベルトが一定の水分を含浸保持しているために、同様に一定の水分を含有する薄膜シートが第1フエルトベルトに水の分子間力で密着した状態で搬送されることとなり、薄膜シートが搬送途中で不用意にベルト表面から剥離することを防止することができる効果がある。
【0025】
また、第1フエルトベルトの搬送中途部で第1フエルトベルトの裏面に当接した負圧式吸水ケースにより第1フエルトベルトの含有水分を強制的に吸水する強制吸水工程により、間接的に薄膜シートの含有水分を大部分除去することができるため、薄膜シートの厚みを一定にした乾燥処理工程での乾燥効率を向上することができ、また、搬送過程で薄膜シートの水分除去を行うことができるため搬送処理と共に排水処理の効率化を図ることができる効果がある。
【0026】
また、第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シート表面に当接し、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性を低くすると共に複数のローラに懸架した無端状の第2フエルトベルトにより薄膜シートの含有水分を吸水する搾り処理工程により、薄膜シートから含水水分を急激に奪うことなく薄膜シートの厚みや地合を均一に整えつつ薄膜シートの含水率を確実に低下させることができ、乾燥処理工程に供する薄膜シートの良好なシート形状で成形できる効果がある。
【0027】
また、第1フエルトベルトの搬送終端部で薄膜シート表面に面当接する所定位置に配設され、同薄膜シートを周面で受ける回転式加熱ドラムにより薄膜シートの乾燥を行う乾燥処理工程により、薄膜シートのシート形状を維持しながら乾燥することができ、更には乾燥されたその後の処理が行いやすくドラムの径や幅員の大きさを調整することにより最終の紙の規格形状の調整が容易に行える効果がある。
【0028】
また、これらの各種工程を連続して組み合わせることによりシュレッダーからの裁断屑紙から用紙等の再生紙シートを短時間で容易に作ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施例に係る再生紙製造装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本実施例に係る叩解装置の構成を示す外観斜視図である。
図3】本実施例に係る再生紙製造装置の外観斜視図である。
図4】本実施例に係る再生紙製造装置の内部構成を示す模式的側面図である。
図5】本実施例に係る再生紙製造装置本体の内部構成を示す模式的側面図である。
図6】本実施例に係る再生紙製造装置本体の要部構成を示す模式的斜視図である。
図7】本実施例に係るメッシュベルトと第1フエルトベルトとの当接面部を示す部分拡大側面図である。
図8】本実施例に係る負圧式吸水ケースの構成を示す外観斜視図である。
図9】本実施例に係る第1フエルトベルトと第2フエルトベルトとの当接面部を示す部分拡大側面図である。
図10】本実施例に係る第1フエルトベルトと回転式加熱ドラムとの当接面部を示す部分拡大側面図である。
図11】本実施例に係る回転式加熱ドラムの乾燥稼働状態及び乾燥停止状態を示す模式的部分拡大図である。
図12】本実施例に係る回転式加熱ドラムの安全装置の停止状態を示す模式的側面図である。
図13】本実施例に係る回転式加熱ドラムの安全装置の稼働状態を示す模式的側面図である。
図14】本実施例に係るベルト蛇行防止機構の構成を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の要旨は、水にシュレーダーからの裁断屑紙を溶解させた混合原液を薄膜状に抄いて、薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルトと、前記メッシュベルトの搬送終端部に当接して前記薄膜シートを受け取る搬送始端部を有し、同薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部の裏面に当接し、前記第1フエルトベルトの含有水分を吸引する負圧式吸水ケースと、前記第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シートの表面に面当接する当接面部を有し、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルトと、前記第1フエルトベルトの搬送終端部に近接離反すると共に近接状態で当接して前記薄膜シートを受け取る当接周面部としての搬送始端部を有し、同薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備え、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも薄膜シートに対する吸着性が低いことを特徴とするシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置を提供することにある。
【0031】
また、前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ上方位置に配設され、前記混合原液を攪拌すると共に貯溜して前記メッシュベルトに攪拌された混合原液を供給する攪拌槽と、前記前記メッシュベルトに隣接する後方位置且つ下方位置に配設され、前記メッシュベルト及び前記負圧式吸水ケースにより薄膜シートから脱水された水分を貯溜する排水槽と、を有することに特徴を有する。
【0032】
また、前記回転式加熱ドラムの熱温度異常を検知して前記回転式加熱ドラムを前記第1フエルトベルトから自動的に離反制御する安全機構を備えることに特徴を有する。
【0033】
また、前記第1フエルトベルトが連続する搬送過程で正常搬送姿勢から搬送方向を徐々に左側偏寄傾斜又は右側偏寄傾斜させた蛇行搬送姿勢となった場合に、同第1フエルトベルトを蛇行搬送姿勢から正常搬送姿勢へ矯正復帰するためのベルト蛇行防止機構を備えることに特徴を有する。
【0034】
また、前記メッシュベルトは、一対のローラに懸架され、搬送始端部から搬送終端部にかけて上昇する搬送傾斜上面を有し、前記搬送傾斜上面を後方側から前方側へむけて上昇移動させるように搬送駆動するように構成し、前記第1フエルトベルトは、前記メッシュベルトよりも前方位置で複数のローラに側面視略三角環状に懸架され、後方側三角斜辺の略中央部を前記メッシュベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とすると共に、三角頂部を前記回転式加熱ドラムの搬送始端部に当接対応する搬送終端部とし、前記メッシュベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記第2フエルトベルトは、前記第1フエルトベルトよりも下方位置で複数のローラに側面視略逆三角環状に懸架され、三角上辺部を前記第1フエルトベルトの三角底辺部分の中途部に当接対応する当接面部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に搬送駆動するように構成し、前記回転式加熱ドラムは、前記第1フエルトベルトよりも上方位置に配設され、外周底面部を前記第1フエルトベルトの搬送終端部に当接対応する搬送始端部とし、前記第1フエルトベルトと相対的に回転駆動するように構成し、前記混合原液から再生紙シートを製造する搬送処理経路を側面視略S字状に形成したことに特徴を有する。
【0035】
また、シュレッダーからの裁断屑紙と水とを混合して屑紙を水に溶解する混合原液生成工程と、混合原液を攪拌槽に移送して攪拌する攪拌工程と、攪拌された混合原液を一対のローラに懸架した無端状のメッシュベルト上に薄膜状に抄いて薄膜シートに形成しながら搬送する抄き搬送工程と、メッシュベルトの搬送終端部で薄膜シートを受け、複数のローラに懸架した無端状の第1フエルトベルトにより含有水分を吸水しながら搬送する吸水搬送工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で第1フエルトベルトの裏面に当接した負圧式吸水ケースにより第1フエルトベルトの含有水分を強制的に吸水する強制吸水工程と、第1フエルトベルトの搬送中途部で薄膜シート表面に当接し、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性を低くすると共に複数のローラに懸架した無端状の第2フエルトベルトにより薄膜シートの含有水分を吸水する搾り処理工程と、第1フエルトベルトの搬送終端部で薄膜シート表面に面当接する所定位置に配設され、同薄膜シートを周面で受ける回転式加熱ドラムにより薄膜シートの乾燥を行う乾燥処理工程と、より構成したことを特徴とするシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造方法についても提供する。
【0036】
本装置は、裁断屑紙の発生現場であるオフィスに設置して、感触が滑らかで温かい紙面を持つ良質な再生紙を製造できる。本装置により生成される再生紙は、例えば事務用紙、トイレットペーパー、厚紙、包装用紙、壁紙などである。
【0037】
混合原液から再生紙シートを製造する搬送処理経路とは、長帯状の薄膜シートがメッシュベルト、第1フエルトベルト、回転式加熱ドラム、に連続的に接触して搬送される、メッシュベルトの搬送始端部から回転式加熱ドラムの搬送終端部までの経路を意図している。
【0038】
すなわち、再生紙の搬送処理経路は、メッシュベルト外周の所定位置で混合原液を薄膜状に抄きながら含有水分を濾過脱落させて略扁平の薄膜シートを形成する「メッシュベルトの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送面部としての搬送抄造経路」と、第1フエルトベルト外周の所定位置で薄膜シートを搬送しながら含有水分を段階的に吸水する「第1フエルトベルトの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送面部としての搬送吸水経路」と、回転式加熱ドラムの外周の所定位置で薄膜シートを回転搬送しながら漸次熱乾燥する「回転式加熱ドラムによる薄膜シートの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送周面部としての搬送乾燥経路」と、を上手側から下手側にかけて順番に連続して形成している。
【0039】
特に本装置に特筆すべき点は、再生紙生成の主要工程となる抄き搬送工程、吸水搬送工程、乾燥処理工程について、抄き搬送工程を構成するメッシュベルトを装置の後方側下半部、吸水搬送工程を構成する第1フエルトベルトを装置の前方側下半部、乾燥処理工程を構成する回転式加熱ドラムを装置の前方側上半部に、それぞれ連続するように配置してオフィス等の限られた設置スペースに設置対応する。
【0040】
すなわち、本装置は、メッシュベルト、第1フエルトベルト、第2フエルトベルト、回転式加熱ドラムを、それぞれが対応する再生紙製造の各種工程順に単に水平直線状に並べて配置するのではなく、可及的密集すると共に側面視略S字状の搬送処理経路を形成するように配置して構成し、混合原液から再生紙を生成する搬送処理経路の短縮化を図ると共に装置をコンパクト化させ、省スペース化を図っている。
【0041】
ここで薄膜シートの搬送処理経路を短縮化した分、薄膜シートの含有水分の含水率コントロールが問題となるが、本装置では強制吸水工程や搾り処理工程を実行する第2フエルトベルトや負圧式吸水ケースを搬送処理経路に間欠的に複数介在させることにより、同薄膜シートからの緩慢且つ安定した脱水を実現する。
【0042】
すなわち、強制吸水工程を構成する負圧式吸水ケースや搾り処理工程を構成する第2フエルトベルトを、メッシュベルトや第1フエルトベルトの搬送中途部に間欠的に配置することにより、搬送される薄膜シートの含有水分の脱水量を微調整して乾燥ドラムによる完全乾燥時の乾燥に伴う収縮率の差を可及的なくすと共に乾燥時間を可及的短縮化した良好な再生紙製造を行うことができる。
【0043】
さらに本装置は、再生紙製造法の各種工程のうち、「抄き搬送工程を構成するメッシュベルト→吸水搬送工程を構成する第1フエルトベルト→乾燥処理工程を構成する回転式加熱ドラム」へと順番に連続して薄膜シートの受け渡し処理搬送を行うべく、薄膜シートの吸着度の差異を設けて構成している点に特徴がある。
【0044】
すなわち、本発明に係る再生紙製造装置は、混合原液から再生成を製造する搬送処理工程順に応じて、薄膜シートの吸着度を「メッシュベルト<第2フエルトベルト<第1フエルトベルト<乾燥ドラム」の順番に高くなるように構成している。これにより、搬送処理経路を短縮化したにも関わらず段階的且つ緩慢的な薄膜シートの含有水分の吸水搬送を行うことができるだけでなく、搬送処理途中で薄膜シートを不用意に脱落させることなく各ベルトや回転式加熱ドラムに薄膜シートを安定的に保持させて各種処理を行うことができ、搬送処理経路の短縮化をすることができる。
【0045】
以下、本発明にかかる再生紙製造装置及び再生紙製造方法の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は再生紙製造装置の全体構成を示す模式図、図2は叩解装置の構成を示す外観斜視図、図3は再生紙製造装置の外観斜視図、図4は再生紙製造装置の内部構成を示す模式的側面図、図5は再生紙製造装置本体部の全体構成を示す模式的側面図、図6の再生紙製造装置本体の要部構成を示す模式的斜視図、図7はメッシュベルトと第1フエルトベルトとの当接面部を示す部分拡大側面図、図8は負圧式吸水ケースの構成を示す外観斜視図、図9は第1フエルトベルトと第2フエルトベルトとの当接面部を示す部分拡大側面図、図10は第1フエルトベルトと回転式加熱ドラムとの当接面部を示す部分拡大側面図、図11は回転式加熱ドラムの乾燥稼働状態及び乾燥停止状態を示す模式的部分拡大図、図12及び図13は回転式加熱ドラムの安全装置の停止状態及び稼働状態を示す模式的側面図、図14はベルト蛇行防止機構の構成を示す模式的平面図である。
【0046】
本実施例の再生紙製造装置Aは、図1に示すように、混合原液生成工程S1を構成する叩解装置Bに隣接して設けられ、混合原液生成工程S1に連続する攪拌工程S2~乾燥処理工程S7を構成し、裁断屑紙から再生紙を連続的に製造する。
【0047】
[1.叩解装置]
叩解装置Bは、いわゆるビーターであって混合原液生成工程S1を構成する。叩解装置Bは、図2に示すように一定深さを有した楕円箱型状の回流槽10と、回流槽10の長軸に沿って底面中央部で立設し、回流槽10内部に楕円環状の回流路を形成する中央仕切板11と、回流槽10の回流路の中途部で縦回転するように設けられ、水中で裁断紙屑に剪断力を付与する回転ローター12と、で構成している。
【0048】
叩解装置Bに投入される裁断紙屑はシュレッダーにより裁断処理した複数の短冊状の裁断紙片からなり、1つの裁断紙片は裁断面積5mm2~2000mm2・細断幅1mm~12mmに形成している。
【0049】
シュレッダーの裁断方式は、特に限定されることはなく、例えば投入した紙を縦方向にのみカットするストレートカット方式、投入した紙をワンカットで縦・横にチップ状にカットするクロスカット方式、細断幅3mm以下の裁断紙片を生成するマイクロカット方式、二段階のカッターで縦横カットして細断幅2mm以下の微細な裁断紙片を生成するマイクロスパイラルカット方式のいずれの方式であってもよい。なお、裁断紙片は、微細であればあるほど混合原液生成工程S1おける水との接触面積を増加させて水への溶解効率が高まる。
【0050】
回流槽10は、図2に示すように方形状に組み上げられた支持フレーム13により所定高さ位置に支持されている。回流槽10の底部の所定位置には、図1に示すように混合原液を回流槽10から吐出するために貫通形成した排出口10aに排出パイプ14を設けている。
【0051】
回転ローター12は、回流槽10の長手両側上端と中央仕切板11の上端との間で回流槽10の短軸方向に沿って軸架した回転軸12aと、回転軸12aを介して回流槽10の長軸一方向に回転するローター部と、ローター部に対応する回流槽10底部からローター部の外底周回りに沿って隆起するステーター部と、で構成している。
【0052】
ローター部の周面には複数の剪断刃を周方向に所定間隔を隔てて設けており、ローター部の回転によりステーター部との間で水中の裁断紙屑に対して機械的剪断力を付与すると共に同剪断された裁断紙屑と水との混合液を回流槽10の回流路内で旋回流を生起して水中にパルプ原料を解繊することを可能としている。
【0053】
なお、ローター部は、昇降ハンドル15を介して上下動可能に構成しており、ローター部周面とステーター部上面との間の上下隙間の微調整でき、裁断紙屑に付与する剪断力をコントロールすることができる。
【0054】
回流槽10の排出パイプ14の下方位置には、図1及び図2に示すように生成した混合原液を一時的に貯溜する貯留槽16を配設しており、同貯留槽16は次工程である攪拌工程S2を構成する攪拌槽20に移送ポンプ17を介して連通している。
【0055】
[2.再生紙製造装置]
再生紙製造装置Aは、図4に示すように縦横フレーム部81、82を組み上げて構成した筐体フレーム80に対し、側面視で、後半上部に攪拌工程S2を構成する攪拌槽20を、後半下部に排水槽22を、前半部に抄き搬送工程S3~乾燥処理工程S7を構成する再生紙製造装置本体A1をそれぞれ配置して構成し、コンパクト化を図っている。
【0056】
攪拌槽20は、上方開口の方形箱型状であって、メッシュベルト30に隣接する後方位置且つ上方位置に配設され、混合原液を攪拌すると共に貯溜してメッシュベルト30に攪拌された混合原液を供給するように構成している。また、攪拌槽20は、貯溜された混合原料と投入された製紙用剤とを攪拌するための攪拌ミキサー21を備えている。
【0057】
製紙用剤は、裁断紙屑に含まれる印刷インクを分離して洗い落とす漂白剤や脱墨剤などの洗浄剤、再生紙着色用の染料剤、再生紙のインクにじみを防止するサイズ剤、混合原液中のパルプ繊維を分散させると共に乾燥時に同パルプ繊維同士を結着させる粘剤、再生紙の保湿性を向上させる柔軟剤等、生成所望とする再生紙の種類や原料となる裁断紙屑の種類に応じて添加する組合せや添加量を適宜選択する。
【0058】
製紙用剤の添加量は、1重量部の裁断紙屑に対して、粘剤0.0020~0.0035重量部と、柔軟剤1重量部に対してサイズ剤3~4重量部で調製した混合溶液0.060~0.075重量部とを、それぞれ添加する。
【0059】
粘剤は、裁断紙屑1重量部に対し、0.0020重量部よりも少ないと混合原液中のパルプ繊維が分散せず乾燥時にパルプ繊維同士が結着しない一方、0.0035重量部よりも多いと粘着性が過度になり各種工程のメッシュベルト30や第1フエルトベルト40、回転式加熱ドラム70から薄膜シートや再生紙シートが正常に剥離することができず、再生紙の成形性を悪化させる恐れがある。
【0060】
また、柔軟剤1重量部に対してサイズ剤3~4重量部で調製した混合溶液は、裁断紙屑1重量部に対し、0.060重量部より少ないと再生紙のインクにじみが生起してしまい、0.075重量部より多いと再生紙の強度(紙力)が低下してしまう恐れがある。
【0061】
なお、粘剤は、0.20~0.35%となるように水に攪拌溶解した粘剤溶液の状態で添加する。かかる粘剤溶液の攪拌時間は約1時間である。
【0062】
攪拌槽20の前壁部には、図1及び図4に示すように攪拌槽20と連通して攪拌ミキサー21により攪拌混練された混合原液を再生紙製造装置本体A1のメッシュベルト30へ供給するための原液移送パイプ23が設けられている。
【0063】
また、攪拌槽20の下方位置には、図4に示すように排水槽22を配設している。排水槽22は、方形箱型状であって、メッシュベルト30に隣接する後方位置且つ下方位置に配設され、メッシュベルト30及び負圧式吸水ケース50により薄膜シートから脱水された水分を貯溜するように構成している。
【0064】
再生紙製造装置本体A1は、図1図4及び図5に示すように、薄膜シートから再生紙シートに至る搬送処理の主要経路をなす「後方側下半部の抄き搬送工程S3 → 前方側下半部の吸水搬送工程S4 → 前方側上半部の乾燥処理工程S7」からなる各種工程を一連一体的に実行するように、メッシュベルト30、第1フエルトベルト40、及び回転式加熱ドラム70の各構成部材をそれぞれ配置している構成している。
【0065】
さらに、再生紙製造装置本体A1は、搬送過程で薄膜シートから効果的に吸水を行う「強制吸水工程S5と搾り処理工程S6」とからなる主要経路に間欠的に配置して吸水補助処理を実行するように、負圧式吸水ケース50や第2フエルトベルト60をメッシュベルト30や第1フエルトベルト40の搬送中途部に配設して構成している。
【0066】
すなわち、再生紙製造装置本体A1は、図1図5及び図6に示すように、水にシュレーダーからの裁断屑紙を溶解させた混合原液を薄膜状に抄いて、薄膜シートを形成しながら搬送する無端状のメッシュベルト30と、メッシュベルト30の搬送終端部30bに当接して薄膜シートを受け取る搬送始端部を40a有し、同薄膜シートの含有水分を吸水しながら搬送する無端状の第1フエルトベルト40と、第1フエルトベルト40の搬送中途部40bの裏面に当接し、第1フエルトベルト40の含有水分を吸引する負圧式吸水ケース50と、第1フエルトベルトの搬送中途部40bで薄膜シートの表面に面当接する当接面部を有し、薄膜シートの含有水分を吸水する無端状の第2フエルトベルト60と、第1フエルトベルト40の搬送終端部40dに近接離反すると共に近接状態で当接して薄膜シートを受け取る当接周面部としての搬送始端部70aを有し、同薄膜シートを回転しながら周面で乾燥する回転式加熱ドラムと、を備えて構成している。
【0067】
(1)メッシュベルト
メッシュベルト30は、抄き搬送工程S3を構成しており、混合原液を薄膜状に抄きながら含有水分を濾過脱落させて略扁平の薄膜シートを形成するための「メッシュベルトの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送面部としての搬送抄造経路」をベルト外周に有する。
【0068】
メッシュベルト30は、図5及び図6に示すように一対の前後側ローラ31F、31B同士の間に無端状に懸架され、搬送上面を平坦面にすると共に側面視で搬送始端部30aから搬送終端部30bにかけて上昇する搬送傾斜面30cを有し、モータMの回転駆動に連動して回転駆動する前側ローラ31Fにより搬送上面の搬送方向を再生紙製造装置Aの前方向とする順方向に搬送駆動する。
【0069】
具体的には、メッシュベルト30は、それぞれ回転方向を縦方向且つ順方向とし、後側ローラ31Bと後側ローラ31Bよりも前方位置且つ上方位置に配設された前側ローラ31Fとの間で無端状に懸架することにより、搬送上面30cを平坦面且つ上昇傾斜面に形成している。
【0070】
メッシュベルト30は、一定の幅員を有する環帯状であって、混合原液を載置した場合に水を通過させると共にパルプ素材を通過させない濾過フィルター機能を果たす複数のメッシュ孔を有していればよい。
【0071】
メッシュベルト30の素材は、特に限定されることはないが、例えばポリエステル樹脂やポリアミド樹脂などの撥水性及び弾力性を備えた樹脂素材を採用することにより混合原料中の含有水分の水抜けを良好にすることができると共に一対のローラ31F、31B間での懸架状態で引張させて搬送面を平坦面に保持することができる。
【0072】
また、メッシュベルト30の寸法は、幅員500mm~550mm、全長(環周長さ)1000mm~1300mmとし、特に抄き搬送工程S3の機能中心となる搬送上面30c長さは500mm~650mmとなるようにしている。
【0073】
メッシュベルト30の搬送始端部30aの上方位置には、図1図4図6に示すように攪拌槽20から原液移送パイプ23を介して吐出される混合原液を一時的に貯溜して同原液の整流を行うと共に、同整流された混合原液を搬送駆動するメッシュベルト30の幅方向に沿って均一に噴出するヘッドボックス32を配設している。
【0074】
ヘッドボックス32は、メッシュベルト30の幅員と略同じ長さに形成した上方開口の細長箱型状であって、筐体フレーム80中央の左右側横フレーム部82c同士の間に架設している。ヘッドボックス32の長手後側壁32aの下部には、図5及び図6に示すように長手方向に所定間隔を隔てて同形同大の複数の噴出口32bを形成している。
【0075】
また、ヘッドボックス32の長手後側壁32aの外方位置には、図4及び図5に示すように噴出口32bから吐出された混合原液を受けて流向をメッシュベルト30の搬送順方向へ転換する側面視L字状の原液受ガイド33を設けている。
【0076】
(2)第1フエルトベルト
第1フエルトベルト40は、吸水搬送工程S4を構成し、薄膜シートを搬送しながら含有水分を段階的に吸水する「第1フエルトベルトの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送面部としての搬送吸水経路」をベルト外周に有する。
【0077】
第1フエルトベルト40は、メッシュベルト30よりも前方位置で複数のローラに側面視略三角環状に懸架され、後方側三角斜辺の略中央部を前記メッシュベルト30の搬送終端部30bに当接対応する搬送始端部40aに形成すると共に、三角頂部を回転式加熱ドラム70の搬送始端部70aに当接対応する搬送終端部に形成している。
【0078】
第1フエルトベルト40は、図5に示すように、筐体フレーム80に対して全体として側面視略三角形状となる位置でそれぞれ回転方向を縦方向とするにように配設された複数の回転ローラ41a~41fに対して、側面視略三角環状となるように無端状に懸架しており、モータMの回転駆動に伴って回転駆動する回転ローラにより搬送方向をメッシュベルト30の搬送方向とは逆方向にして搬送駆動する。
【0079】
換言すれば、メッシュベルト30と第1フエルトベルト40とは、図7に示すようにそれぞれのローラ31F、31B、41a~41fの回転方向を互いに逆とした相対回転をすると共に搬送速度を同期させて相対的に搬送駆動する。
【0080】
第1フエルトベルト40は、メッシュベルト30と略同じ幅員を有する肉厚の環帯状であって、薄膜シートを吸着させる吸着機能と一定の水分を保持する吸水機能とを兼用する。
【0081】
第1フエルトベルト40には吸水性及び弾力性を備えた例えば樹脂などの合成繊維や羊毛などの天然繊維からなる不織布を採用しており、各複数の回転ローラ41a~41fへの懸架状態で引張して搬送面を平坦面に保持している。また、第1フエルトベルト40の表面は、微細なフエルト起毛を有した粗面とし、薄膜シートの吸着保持力を向上させている。
【0082】
第1フエルトベルト40の寸法は、幅員500mm~550mm、全長(環周長さ)2000mm~2300mmとし、特に抄き吸水搬送工程S4の機能中心となる搬送吸水経路長さは1800mm~2100mmとなるようにしている。また、第1フエルトベルト40の厚みは、肉厚にして一定水分を十分に吸水保持することできる厚みとし、約5mm~8mmとしている。
【0083】
複数の回転ローラは、筐体フレーム80への側面視略三角形状の配置関係において、後側斜辺内側位置の第1回転ローラ41aと、後側底角位置の第2回転ローラ41bと、底辺略中央位置の第3回転ローラ41cと、前側底角位置の第4回転ローラ41dと、頂角前方位置の第5回転ローラ41eと、頂角後方位置の第6回転ローラ41fと、の6つのローラで構成している。
【0084】
換言すれば、第1フエルトベルト40は、図5に示すように側面視三角環状の後側斜辺下半部に相当し、第1回転ローラ41aと第2回転ローラ41bとの間で引張する搬送始端部40aと、側面視三角環状の底辺部に相当し、第2回転ローラ41b~第4回転ローラ41dの間で引張する搬送中途底部40bと、側面視三角環状の前側斜辺部に相当し、第4回転ローラ41dと第5回転ローラ41eとの間で引張する搬送中途斜辺部40cと、側面視三角環状の頂辺部に相当し、第5回転ローラ41eと第6回転ローラ41fとの間で引張する搬送終端部40dと、により搬送吸水経路を形成している。
【0085】
第4回転ローラ41dの下方位置には、図5に示すように各種ベルト30、40、60や回転式加熱ドラム70に搬送動力や回転動力を付与するためのモータMを付設しており、モータMの駆動回転軸M1と第4回転ローラ41dの従動回転軸410dとにはモータMの回転動力を伝達するためのチェーンM2を無端状に巻き掛けかけている。
【0086】
換言すれば、第4回転ローラ41dは、後述する連結チェーンM3を介して各種ローラを同期回転駆動させるための駆動ローラとして機能する。なお、本実施例では、第4回転ローラ41dを駆動ローラに構成しているが、モータMの回転動力が各種ローラに伝達できればこれに限定されない。また、駆動ローラは、チェーンM2を介さずにモータMの駆動回転軸M1に直接的に設けてもよい。
【0087】
すなわち、第1フエルトベルト40又はメッシュベルト30の複数のローラのうちいずれか1つのローラを駆動ローラに構成すると共に他のローラを従動ローラに構成し、図7に示すようにメッシュベルト30のローラと第1フエルトベルト40とのローラは互いに同期すると共に相対的に駆動回転するように構成している。
【0088】
メッシュベルト30における前側ローラ31Fの回転軸310Fと第1フエルトベルト40における第2回転ローラ41b~第6回転ローラ41fのそれぞれの回転軸410b~410fには、図5に示すように無端状の連結チェーンM3を係回しており、同連結チェーンM3を介してモータMからの回転動力を伝達可能としている。
【0089】
具体的には、連結チェーンM3は、第1フエルトベルト40の第2回転ローラ41b~第6回転ローラ41fに対しては無端環状の内側で接触すると共に、メッシュベルト30の前側ローラ31Fの回転軸310Fに対しては無端環状の外側で接触して掛架され、第1フエルトベルト40の第2回転ローラ41b~第6回転ローラ41fと前側ローラ31Fとを相対回転可能にしている。なお、連結チェーンM3は、各回転軸310F、410b~410fに設けた所定の回転径を有するスプロケットに係回している。
【0090】
これにより、再生紙製造装置本体A1は以下のように作動する。まず、モータMの駆動回転軸M1が駆動回転するに伴いその回転動力は連結チェーンM3を介してその上方位置にある第4回転ローラ41dに伝達し、第4回転ローラ41dは駆動回転軸M1と同期すると共に回転方向を同一方向とする駆動回転する。なお、駆動回転軸M1は、図5に示すように再生紙製造装置本体A1の側面視で前方側から後方側へ向かう反時計回りに回転駆動する。
【0091】
この第4回転ローラ41dの駆動回転に伴い、第1フエルトベルト40の第2回転ローラ41b、第4回転ローラ41d~第6回転ローラ41fは連結チェーンM3を介して第4回転ローラ41dと同期すると共に回転方向を同一方向にして駆動回転する一方、メッシュベルト30の前側ローラ31Fは連結チェーンM3を介して第4回転ローラ41dと同期すると共に回転方向を逆方向にして駆動回転する。
【0092】
第1フエルトベルト40の側面視三角形の後側斜辺は、図5及び図6に示すように中央部でメッシュベルト30の搬送終端部30b(前端部)を三角形のやや内側寄りにせり出し中央部で屈曲した側面視く字形状の頂部を搬送始端部40aとして薄膜シートの受け面部に形成している。
【0093】
具体的には、第1フエルトベルト40における第1回転ローラ41aはメッシュベルト30における前側ローラ31Fに対向して点接触する前側下方位置に配置することにより、図7に示すように第1回転ローラ41aと前側ローラ31Fとを間にメッシュベルト30と第1フエルトベルト40とを挟持介在させる一対の強圧ローラとして構成している。
【0094】
すなわち、メッシュベルト30の搬送終端部30bと第1フエルトベルト40と搬送始端部40aは、図7に示すように互いに前側ローラ31Fと第1回転ローラ41aとの間で薄膜シートを受け渡すと共に挟持当接する当接面部に構成している。
【0095】
(3)負圧式吸水ケース
負圧式吸水ケース50は、強制吸水工程S5を構成し、メッシュベルト30や第1フエルトベルト40の無端環状の内側の所定位置でベルトの幅方向に沿ってベルト裏面に当接するように複数設けられており、バキュームポンプの駆動により搬送駆動するベルトから常時水分を吸引する。
【0096】
複数の負圧式吸水ケース50は、図4及び図5に示すように、一対の前後側ローラ31F、31Bの間でメッシュベルト30の搬送抄造経路の前半部裏面に当接する第1負圧式吸水ケース50Aと、第2回転ローラ41bと第3回転ローラ41cとの間で第1フエルトベルト40の搬送中途底部40bの後側裏面に当接する第2負圧式吸水ケース50Bと、搬送中途底部40bの中央裏面に当接する第3負圧式吸水ケース50Cと、第1フエルトベルト40の搬送中途斜辺部40cの中央裏面に当接する第4負圧式吸水ケース50Dと、からなる。
【0097】
負圧式吸水ケース50は、図6及び図8に示すように、メッシュベルト30や第1フエルトベルト40の幅員と略同じ長さの内部中空の細長方形箱状であって、上面51aを各フエルト裏面との当接面とすると共に同上面51aの長手方向に一定間隔を隔てて内部空間に連通する吸引孔51bを複数貫通して形成している。
【0098】
また、負圧式吸水ケース50の長手一端部52aは閉塞端とすると共に、長手他端部52bは吸水パイプ53を介して図示しないバキュームポンプに連通連設している。負圧式吸水ケース50の上面の長手両端縁には、図8に示すようにフエルト両端縁に当接してフエルトの搬送方向を案内する左右側ガイド板54L、54Rを立設している。
【0099】
なお、複数の負圧式吸水ケース50A~50Dにおける吸水パイプ53はそれぞれ基端で合流すると共に排水槽22に連通する排水パイプ24に接続しており、各ベルトから吸引した水分を集水して排水槽22へ排出するようにしている。
【0100】
(4)第2フエルトベルト
第2フエルトベルト60は、搾り処理工程S6を構成し、第1フエルトベルトよりも薄膜シートへの吸着性が低くなるように構成している。
【0101】
第2フエルトベルト60は、第1フエルトベルト40よりも下方位置で複数のローラ61a~61cに側面視略逆三角環状に懸架され、三角上辺部を第1フエルトベルトの三角底辺部分の搬送中途部40bに当接対応する当接面部に形成し、第1フエルトベルト40と相対的に搬送駆動するように構成している。
【0102】
具体的には、第2フエルトベルト60は、筐体フレーム80に対して全体として側面視略逆三角形状となる位置でそれぞれ回転方向を縦方向とするにように配設された複数の回転ローラcに側面視略逆三角環状となるように無端状に懸架すると共に、同逆三角環状の上辺部分を第1フエルトベルト40の搬送中途部に面当接する当接面部60aとし、回転ローラ61a~61cの回転駆動に伴って搬送方向を第1フエルトベルト40の搬送方向とは逆の順方向にして搬送駆動する。
【0103】
すなわち、第1フエルトベルト40と第2フエルトベルト60は、図9に示すようにそれぞれのローラ41a~41f、61a~61cの回転方向を互いに逆とした相対回転をすると共に搬送速度を同期させて相対的に搬送駆動する。
【0104】
第2フエルトベルト60は、メッシュベルト30や第1フエルトベルト40と略同じ幅員を有し、第1フエルトベルト40よりも肉薄の環帯状であって、第1フエルトベルト40表面で伸延して搬送される薄膜シートの表面にベルト面を面当接して同薄膜シートの含有水分を吸水する水分圧搾機能を備える。
【0105】
第2フエルトベルト60には、吸水性及び弾力性を備え、且つ、第1フエルトベルト40よりも吸水性の低い不織布を採用しており、各複数の回転ローラへの懸架状態で引張して後述する薄膜シート表面と接触する搾り搬送面を平坦面に保持している。また、第2フエルトベルト60の表面は、第1フエルトベルト40の表面よりもきめ細かくして平滑面とし、第1フエルトベルト40よりも薄膜シートの吸着力を低下させている。
【0106】
第2フエルトベルト60の寸法は、幅員500mm~550mm、全長(環周長さ)900mm~1000mmとし、特に搾り処理工程S6の機能中心となる当接面部長さを200mm~300mmとなるようにしている。
【0107】
また、第2フエルトベルト60の厚みは、第1フエルトベルト40の厚みよりも肉薄とした約3mm~5mmとしている。換言すれば、第2フエルトベルト60は、第1フエルトベルト40と同一素材であってもよく、第1フエルトベルト40よりも肉薄にすることにより吸着性能を第1フエルトベルト40よりも低下させることができる。
【0108】
複数の回転ローラは、図5に示すように筐体フレーム80への側面視逆三角形状の配置関係において、後側頂角位置の第1回転ローラ61aと、前側頂角位置の第2回転ローラ61bと、中央底角位置の第3回転ローラ61cと、の3つのローラで構成している。
【0109】
また、第2フエルトベルト60における第1回転ローラ61aと第2回転ローラ61bとは、図5及び図9に示すように、第1フエルトベルト40における第2回転ローラ41bと第3回転ローラ41cとにそれぞれ対向して点接触する直下位置に配置し、各ローラを対応関係にある第1フエルトベルト40と第2フエルトベルトとを挟持介在させる二対の挟圧ローラに構成している。
【0110】
すなわち、第1フエルトベルト40と第2フエルトベルトとは、図9に示すように互いに上下対向する第2回転ローラ41bと第1回転ローラ61aとからなる後側の強圧ローラの間と、同じく互いに上下対向する第3回転ローラ41cと第2回転ローラ61bとからなる前側の強圧ローラとの間で、搬送方向に沿って互いに引張して面当接する当接面部を有している。
【0111】
具体的には、第1フエルトベルト40の当接面部40b-1は、搬送中途底部40bのうち第2回転ローラ41bと第3回転ローラ41cとの間で水平状に引張する部分として形成している。
【0112】
また、第1フエルトベルト40の当接面部40b-1に対応する第2フエルトベルト60の当接面部60aは、図9に示すように第1回転ローラ61aと第2回転ローラ61bとの間で水平状に引張する逆三角環状の上辺部分とし、面対向する第1フエルトベルト40の当接面部40b-1上で伸延する薄膜シートの表面に接触して同シートの含有水分を吸水する圧搾吸水面部に形成している。
【0113】
(5)回転式加熱ドラム
回転式加熱ドラム70は、乾燥処理工程S7を構成し、薄膜シートを回転搬送しながら漸次熱乾燥する「回転式加熱ドラムによる薄膜シートの搬送始端部から搬送終端部までの間の搬送周面部としての搬送乾燥経路」をドラム外周に有する。
【0114】
回転式加熱ドラム70は、図5図6及び図10に示すように、第1フエルトベルト40よりも上方位置に配設し、側面視円形の底部を第1フエルトベルト40の搬送終端部40dに当接対応する搬送始端部70aに形成し、第1フエルトベルト40と相対的に回転駆動するように構成している。
【0115】
具体的には、回転式加熱ドラム70は、第1フエルトベルト40の搬送終端部40dに面当接して薄膜シートを受け取る当接底周面部を搬送乾燥路の搬送始端部70aとし、第1フエルトベルト40の搬送駆動に伴い第1フエルトベルト40の搬送終端部40dで接触した同搬送始端部70aを介して回転動力を伝達され、筐体フレーム80の所定位置に横架した回転軸71を中心に回転可能に構成している。
【0116】
また、回転式加熱ドラム70の前側外方位置には、回転式加熱ドラム70により乾燥処理工程S7を経て生成された再生紙シートをロール状に巻き取り搬送するための巻回ローラ100を配設している。
【0117】
具体的には、巻回ローラ100は、図1及び図5に示すように筐体フレーム80の最前側外方位置且つ上下中央位置に配置されており、回転式加熱ドラム70と同方向且つ同期連動して回転駆動しながら側面視で回転式加熱ドラム70の前半上部周面部を経た搬送終端部70bから再生紙シートを離反すると共に回転式加熱ドラム70との間で再生紙シートを引張した状態で巻き取る。
【0118】
なお、図1及び図5中、符号101は、回転式加熱ドラム70と巻回ローラ100との間で再生紙シートの上面に接触して同再生紙シートの引張状態を保持する補助ローラである。
【0119】
換言すれば、回転式加熱ドラム70による薄膜シートの搬送乾燥路は、図5に示すように回転式加熱ドラム70周面最低部の搬送始端部70aから後半円弧周面部及び前半上部円弧周面部を経た搬送終端部70bまでの側面視3/4円弧周面部にて形成している。
【0120】
回転式加熱ドラム70は、図10に示すように第1フエルトベルト40と当接面部を介して接触した状態で、第1フエルトベルト40の搬送動力を伝達されて第1フエルトベルト40と同期連動して第1フエルトベルト40の搬送方向と相対方向に回転するように構成している。
【0121】
ここで、生成される再生紙の厚みは、回転式加熱ドラム70の回転数を基準に決定している。すなわち、所望とする再生紙について、厚紙を生成する場合の回転式加熱ドラム70の回転数は20回転/分(rpm)とし、トイレットペーパーを生成する場合の回転式加熱ドラム70の回転数は30~50回転/分(rpm)とし、オフィス用紙(A4サイズ)を生成する場合の回転式加熱ドラム70の回転数は20~30回転/分(rpm)とし、設定する。
【0122】
換言すれば、回転式加熱ドラム70は、薄膜シート中のパルプ原料の単位面積あたりの密度や厚みを調整するように搬送スピードを調整した各種ベルト30、40と同期連動し、同調整された薄膜シートのパルプ原料密度や厚みに応じて必要十分な乾燥時間を担保するように回転スピードを制御されるように構成している。
【0123】
回転式加熱ドラム70は、図6に示すように第1フエルトベルトの幅員と略同じ幅員を有し、図5に示すように筐体フレーム80の所定位置に横架した回転軸71と、回転軸71に縦方向で自由回転可能に設けられたリム部72と、リム部72外周に外嵌固定した円筒状のヒータ外周部73と、で構成している。
【0124】
リム部72は、耐熱性の軽量素材で形成した大径円柱状であって、回転軸71に対して円柱軸を同軸上に配設しており、回転式加熱ドラム70の外周距離を可及的長くして薄膜シートの乾燥時間を可及的長くすると共に回転式加熱ドラム70の総重量を軽量化させヒータ外周部73を支持する機能を果たす。
【0125】
また、ヒータ外周部73は、リム部72の外周形に沿う円筒状であって、リム部72に外嵌して一体的に回転するように固定しており、60℃~100℃に加熱されて薄膜シートの加熱乾燥機能を果たす。
【0126】
回転式加熱ドラム70の寸法は、幅員500mm~550mm、直径900mm~1100mm、全周長さ約2800~3450mmとしている。搬送乾燥路は、回転式加熱ドラム70の外周において、薄膜シートが面当接した状態となる約3/4外周部分に形成される。この搬送乾燥路の長さは2100mm~2600mmとしている。
【0127】
また、回転式加熱ドラム70の加熱方式は、薄膜シートに伝熱して同シートを乾燥することができれば限定されることはないが、加熱温度のコントロールの観点から電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気加熱式のものが好ましく例えば誘導加熱(IH)方式、抵抗加熱方式、誘電加熱方式などを採用することができる。
【0128】
本実施例の回転式加熱ドラム70は、緩慢な加熱を実現するIH式を採用している。すなわち、回転式加熱ドラム70は、図5に示すように電磁波に感受性を示し電磁誘導により加熱される金属製のヒータ外周部73と、ヒータ外周部73に電磁波を照射する電磁誘導装置74と、からなるIHユニットを構成している。
【0129】
電磁誘導装置74は、図5図12及び図13に示すように回転式加熱ドラム70のヒータ外周部73の近傍位置でヒータ外周部73の外周面との間で一定の隙間を形成するように、筐体フレーム80の天井フレーム部83から垂設している。本実施例の電磁誘導装置74は、乾燥搬送中途部となる回転式加熱ドラム70の四分円後側上部の上方位置に付設している。なお、電磁誘導装置74は、ヒータ外周部73の外周面に対応する側断面視円弧状の電磁波照射部74aと、電磁波を生成する電磁波生成部74bと、で構成している。
【0130】
また、回転式加熱ドラム70のヒータ外周部73の外周面全域にはフッ素樹脂加工などの滑面加工が施されており、乾燥過程で薄膜シートが再生紙シートに生成される際に同周面に薄膜シートが不用意に張り付いてしまうことを防止し、完全乾燥されて生成された再生紙の周面からの剥離性を向上させている。
【0131】
また、回転式加熱ドラム70は、図11(a)~図12に示すように回転軸71の軸受76を前後側にスライドさせるスライド機構75を介して、ヒータ外周部73における搬送始端部70aを第1フエルトベルト40の搬送終端部40dに当接離反可能に構成している。
【0132】
スライド機構75は、図12及び図13に示すように筐体フレーム80の上側横フレーム部82に固定され、前後方向に伸延するスライドレール75aと、回転軸71の軸受76を一体的に載置固定してスライドレール75a上で前後方向にスライド移動するスライド体75bとより構成している。
【0133】
スライド体75bは、一端でリンク機構77を介して側面視略L字状の操作用アーム78に接続している。操作用アーム78は、側面視略L字の長辺の先端部を側面視円形の把持部78aに形成している。
【0134】
リンク機構77は、図12及び図13に示すように後端部でスライド体75bの前端部に接続すると共に前部を3つのリンク軸77b’、77b’’、77b’’’を介して山型状に折曲自在の折曲端部77cに形成した細棒状のスライドシャフト77aと、スライドシャフト77aの折曲端部77cを支持すると共にスライドシャフトの前端を固定するシャフト受け部75dと、で構成している。
【0135】
操作用アーム78は、スライドシャフト77aの折曲端部77cが山型形態となった際の山型頂部に相当する中央リンク軸77b’’に固定している。
【0136】
これにより、把持部78aを上方位置に配置した操作用アーム78の上昇姿勢では、図12に示すようにスライドシャフト77aの折曲端部77cは、各リンク軸77b’、77b’’、77b’’’を介して直線状に伸延した状態となり、スライドシャフト77a全体を後方へ押してその後端部を後方に位置させる。
【0137】
これに伴いスライド体75bが後方に位置すると共に回転式加熱ドラム70が軸受け71aを介して全体的に後方に位置して、図11(a)に示すように回転式加熱ドラム70と第1フエルトベルト40とが当接した乾燥稼働状態となる。
【0138】
一方で、把持部78aが下方位置ある操作用アーム78の降下姿勢では、図13に示すようにスライドシャフト77aの折曲端部77cが、各リンク軸77b’、77b’’、77b’’’を介して山形状に折曲した状態となり、スライドシャフト77a全体を前方に引っ張りその後端部を前方に位置させる。
【0139】
これに伴いスライド体75bが前方に位置すると共に回転式加熱ドラム70が軸受け71aを介して全体的に前方に位置して、図11(b)に示すように回転式加熱ドラム70と第1フエルトベルト40とが離反したドラム乾燥停止状態となる。
【0140】
(6)安全機構
また、回転式加熱ドラム70は、図12及び図13に示すようにドラムの熱温度異常を検知して回転式加熱ドラム70を第1フエルトベルト40からスライド機構75を介して自動的に離反させる安全機構79を備えて構成している。
【0141】
安全機構79は、図12及び図13に示すように所定重量を有するウエイト79aと、複数のプーリ79eに掛架して引張し、基端部で操作用アーム78の前端部(把持部78a)に接続すると共に先端部でウエイト79aの上端部に接続するリンクワイヤー79bと、先端部でウエイト79aの所定位置に係合自在とすると共に温度センサーに接続して前後方向に移動する係合ロッド79cを有するソレノイド79dと、で構成している。
【0142】
ソレノイド79dは、筐体フレーム80の最前方の縦フレーム部81において、リンクワイヤー79bを介して垂下したウエイト79aを所定高さに維持する位置に設けている。なお、ウエイト79aは、上部外周面にソレノイド79dの係合ロッド79cに係合対応する係合部を形成している。
【0143】
これにより、温度センサーがドラムの熱温度異常を検知しない定常状態では、図12に示すようにソレノイド79dが、係合ロッド79cを進出状態にして先端部でウエイト79aに係合状態とし、同ウエイト79aを所定高さ位置に保持する高位保持状態とする。
【0144】
このようなウエイト79aの高位保持状態で、リンクワイヤー79bは複数のプーリ79e同士の間で引張状態を保持しつつ把持部78aが上方位置にある操作用アーム78の上昇姿勢を保持して、回転式加熱ドラム70と第1フエルトベルト40とが当接したドラム乾燥稼働状態を維持する。
【0145】
一方、温度センサーがドラムの熱温度異常を検知した異常状態では、図13に示すように同異常信号を受信したソレノイド79dが係合ロッド79cを退去状態にして高位保持状態のウエイト79aを下方に自重落下させる。
【0146】
このウエイト79aの高位からの落下に伴い、ウエイト79aの荷重が複数のプーリ79e同士の間で引張したリンクワイヤー79bを介して操作用アーム78の前端部(把持部78a)に伝達し、操作用アーム78の前端部に押し下げ応力を付与して操作用アーム78を下方傾動させる。
【0147】
操作用アーム78が下方傾動するに伴い、スライドシャフト77aの折曲端部77cがリンク軸77bを中心に山型状に変位し、図11(b)で示したように回転式加熱ドラム70が第1フエルトベルト40から離反してドラム乾燥停止状態とする。このように、ドラムの異常熱による不用意な火災や乾燥過程での再生紙の不用意な焦げなどを防止することができる。
【0148】
なお、他の実施例として、安全機構79は、上述のしたウエイト79aやリンクワイヤー79bによらず、スライド機構75のスライド動作を上述のソレノイド79dにより制御するように構成してもよい。
【0149】
すなわち、安全機構79は、温度センサーに接続し、スライド機構75のスライド体75bに連結にして同スライド体75bを前後方向に移動する出没ロッドを有するソレノイドをスライド機構75に付設して構成してもよい。
【0150】
(7)ベルト蛇行防止機構
また、再生紙製造装置本体A1は、ベルトが連続搬送過程で正常搬送姿勢から搬送方向を徐々に左側偏寄傾斜又は右側偏寄傾斜させた蛇行搬送姿勢となった場合に、同蛇行搬送姿勢から正常搬送姿勢へ矯正復帰するためのベルト蛇行防止機構90を備えている。
【0151】
ベルト蛇行防止機構90は、図1及び図5に示すように第1フエルトベルト40の搬送中途底部40bに配設されており、図14(a)~(c)に示すようにベルト裏面(薄膜シートの搬送表面とは逆の面)に圧接する矯正横ローラ91と、矯正横ローラ91の左右両端部でそれぞれローラの軸方向と略直交方向に伸延する一対の左右側支持アーム92L、92Rと、左右側支持アーム92L、92Rの先端部でそれぞれベルト両側端部の近傍位置に配設した一対の左右側ガイド体93L、93Rと、で構成している。
【0152】
矯正横ローラ91は、図14(a)~(c)に示すように第1フエルトベルト40の幅方向中央の上方位置でローラ91の長手中央部に設けた枢軸91cを介して筐体フレーム80に水平揺動可能取り付けられており、図14(b)に示すようにベルトの正常搬送姿勢においては平面視でローラ軸方向をベルト幅方向に平行とする平行姿勢状態とし、図14(a)及び図14(c)に示すようにベルトの蛇行搬送姿勢においては蛇行搬送姿勢のベルト側端部に当接したガイド体93L、93Rにより枢軸91cを中心に水平揺動して平面視で傾斜姿勢状態となるように構成している。
【0153】
また、矯正横ローラ91の周面には、図14(a)~(c)に示すようにローラの回転方向と同一方向に伸延する縦溝91aをローラ91の長手方向に一定間隔を保持して複数形成している。換言すれば、矯正横ローラ91は、その周面に長手方向に沿って交互に凹凸部を形成したコルゲート状ローラに形成している。
【0154】
これより、第1フエルトベルト40に矯正横ローラ91が圧接した際にはフエルト裏面の圧着面部が縦溝91aに嵌り込み、第1フエルトベルト40を強制的に溝伸延方向に沿う方向へ案内することを可能としている。
【0155】
左右側支持アーム92L、92Rは、平面視L字状であって、それぞれL字端辺先端部同士を対向させると共にベルトの搬送面に略平行とし、矯正横ローラ91の両端部から搬送方向の上流側に向けて側面視略直線状に伸延している。
【0156】
一対の左右側ガイド体93L、93Rは、円柱状の縦ローラで構成しており、矯正横ローラ91よりも搬送方向上流側位置且つ互いの間隔幅を正常搬送姿勢のベルト幅員と略同じとするベルト両側端部近傍位置で、左右側支持アーム92L、92RのL字短辺先端部で垂設している。
【0157】
このような構成により、ベルト蛇行防止機構90は、ベルトが正常搬送姿勢から蛇行搬送姿勢となった場合には、次のように作動する。
【0158】
すなわち、蛇行姿勢のベルトにおいて、図14(a)に示すように左側偏寄傾斜したベルト側端部又は図14(c)に示すように右側偏寄傾斜したベルト側端部が、その近傍位置に配置した対応するガイド体に当接して同ガイド体に偏寄応力を付与する。
【0159】
ガイド体により偏寄応力されると、矯正横ローラ91は、支持アームを介して枢軸91cを中心にベルトの偏寄応力と逆方向の搬送反力を生起するように傾斜姿勢状態となる。
【0160】
すなわち、傾斜姿勢状態の矯正横ローラ91において蛇行搬送姿勢に圧接した複数の縦溝91aが、正常搬送姿勢のベルトにおける搬送中心線(図14中、一点鎖線で示す。)を中心に偏寄応力(図14中、破線矢印で示す。)と略線対称の搬送反力(図14中、二点鎖線で示す。)をベルトに付与する。
【0161】
その結果、縦溝91aがベルトの圧着面部を介して蛇行搬送姿勢のベルトの搬送中心線を正常搬送姿勢のベルトの搬送中心線方向に案内し、ベルトを正常搬送姿勢に引き戻し矯正復帰させることを可能としている。
【0162】
〈II.再生生成技術による再生紙製造工程〉
次に、本実施例に係る再生紙製造方法について説明する。本発明に係る再生紙製造方法は、前述のとおりに構成した再生紙製造装置Aにより以下の通り実行される。
【0163】
[1.混合原液生成工程S1]
混合原液生成工程S1では、回流槽10に一定量の水を貯溜すると共に同貯溜水にシュレッダー処理された剪断紙屑を投入し、回転ローター12のローター部を稼働させて水中の裁断紙屑に連続的に剪断力を付与してパルプ繊維を解繊して柔軟とすると共に微細化し、同微細化されたパルプ繊維を水中に均一に混濁溶解させた混合原液を生成する。
【0164】
混合原液生成工程S1により得られた混合原液は、回流槽10から排出パイプ14を介して貯留槽16に貯溜され、同貯留槽16からポンプ17を介して再生紙製造装置Aの攪拌工程S2へ移送される。
【0165】
[2.攪拌工程S2]
攪拌工程S2では、攪拌槽20に貯留槽16から移送された混合原液を貯溜すると共に所望とする再生紙の種類に応じて製紙用剤を投入し、攪拌ミキサー21により混合原液と前述の製紙用剤とを攪拌混練する。この際、水を添加するなどして濃度等を調整し、最終的にスラリー状の混合原液を得る。攪拌工程S2によるスラリー状の混合原液の含水率は約99%~95%である。
【0166】
このようにして攪拌工程S2により得られたスラリー状の混合原液は、攪拌槽20から原液移送パイプ23を介して再生紙製造装置本体A1の抄き搬送工程S3へ移送される。
【0167】
[3.抄き搬送工程S3]
搬送工程S3では、メッシュベルト30に攪拌槽20から移送された混合原液をヘッドボックス32を介して均一に吐出すると共に余分な水分を自然濾過しながらメッシュベルト上に薄膜状に抄いて薄膜シートを搬送形成する。
【0168】
搬送工程S3は、強制吸水工程S5を含む。すなわち、メッシュベルト30による薄膜シートの搬送抄造経路において、メッシュベルト30の中途部裏面に当接配置した第1負圧式吸水ケース50Aにより、薄膜シートから含有水分を効果的に脱水する。抄き搬送工程S3による薄膜シートの含水率は80%~70%である。
【0169】
[4.吸水搬送工程S4]
吸水搬送工程S4では、抄き搬送工程S3を構成するメッシュベルト30の搬送終端部から薄膜シートを正常に剥離させて第1フエルトベルト40の搬送始端部で受け、第1フエルトベルト40により含有水分を吸水しながら搬送する。
【0170】
吸水搬送工程S4は、強制吸水工程S5及び搾り処理工程S6を含む。すなわち、第1フエルトベルト40による薄膜シートの搬送吸水経路において、メッシュベルト30の搬送中途底部40bの後方側中途部及び前方側中途部の裏面に当接配置した第2負圧式吸水ケース50Bと第3負圧式吸水ケース50C、搬送中途斜辺部40cの中途部の裏面に当接配置した第3負圧式吸水ケース50C、及び第1フエルトベルトの搬送中途部との間で薄膜シートを挟圧搬送する第2フエルトベルトにより、薄膜シートの含有水分を漸次吸水する。
【0171】
すなわち、吸水搬送工程S4による薄膜シートの含水率は、第1フエルトベルト40による薄膜シートの搬送吸水経路において、メッシュベルト30から第2フエルトベルト60に至るまでの間で約70%~60%、第2フエルトベルト60による挟圧搬送を経た直後で約60%~40%、第2フエルトベルト60から2個の負圧式吸水ケース50C、50Dを経て回転式加熱ドラム70に至るまでの間で約30%~20%である。
【0172】
[5.乾燥処理工程S7]
乾燥処理工程S7では、第1フエルトベルト40の搬送終端部で薄膜シート表面に面当接する所定位置に配設され、第1フエルトベルト40から薄膜シートを正常に剥離させて周面で受ける回転式加熱ドラム70により薄膜シートを乾燥処理搬送する。
【0173】
乾燥処理工程S7では、回転式加熱ドラム70のヒータ外周部73を電磁誘導装置74により60℃~100℃に加熱して、第1フエルトベルト40の搬送終端部40dから搬送始端部70aで薄膜シートを連続的に吸着して同ヒータ外周部73上に伸展させながら加熱乾燥搬送を行う。
【0174】
かかる回転式加熱ドラム70により薄膜シートは約40~70℃に加温されて緩慢な乾燥がなされる。そして薄膜シートは最終的に搬送終端部70bに至った段階で完全乾燥されて再生紙シートとなり、同再生紙シートの始端を巻き付けた巻回ローラ100により連続的に巻き取り、完全乾燥された再生紙シートから再生成ロールを得ることができる。
【0175】
以上、説明してきたように、本発明によれば、シンプル構造でコンパクト化を図り、シュレッダーによる裁断屑紙の発生場所であるオフィスなど、設置スペースの限られた場所に設置することができ、紙リサイクルの各種工程を実現して良好な再生紙を製造できるシュレッダーからの裁断屑紙を加工する再生紙製造装置及び再生紙製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0176】
A 再生紙製造装置
A1 再生紙製造装置本体
B 叩解装置
10 回流槽
20 攪拌槽
30 メッシュベルト
40 第1フエルトベルト
50 負圧式吸水ケース
60 第2フエルトベルト
70 回転式加熱ドラム
S1 混合原液生成工程
S2 攪拌工程
S3 抄き搬送工程
S4 吸水搬送工程
S5 強制吸水工程
S6 搾り処理工程
S7 乾燥処理工程
図1
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