(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061915
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ベールゴム保持装置及びベールゴム切断方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/06 20060101AFI20220412BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220412BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B26D7/06 D
B26D3/00 601E
B26D7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170181
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】田辺 紘己
(72)【発明者】
【氏名】是川 昂甫
【テーマコード(参考)】
3C021
【Fターム(参考)】
3C021CC04
3C021DB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ベールゴム片を正確な寸法で切り出しやすくするための装置及び方法を提供する。
【解決手段】ベールゴム保持装置54は、ゴムの塊であるベールゴム20を切断位置へ向かって前方へ送り出す送り出し装置に設けられたベールゴム保持装置54において、ベールゴム保持装置54がベールゴム20の後方部分を掴むことができるため、ベールゴム20の切断時にベールゴム20の位置がずれることを防ぐことができ、ベールゴム片を正確な寸法で切り出しやすくなる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムの塊であるベールゴムを切断位置へ向かって前方へ送り出す送り出し装置に設けられたベールゴム保持装置において、
前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を掴むことを特徴とする、ベールゴム保持装置。
【請求項2】
前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を2方向から挟んで掴む、請求項1に記載のベールゴム保持装置。
【請求項3】
前記ベールゴム保持装置が、前記ベールゴムに食い込む爪を有する、請求項1又は2に記載のベールゴム保持装置。
【請求項4】
前記ベールゴムが前記切断位置で切断されている間、前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を掴み続ける、請求項1~3のいずれか1項に記載のベールゴム保持装置。
【請求項5】
前記ベールゴムは、前記切断位置において複数回切断され、
前記ベールゴムが前記切断位置で複数回切断されている間、継続して、前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を掴み続ける、請求項1~4のいずれか1項に記載のベールゴム保持装置。
【請求項6】
ベールゴムを切断位置へ向かって前方へ送り出すステップと、前記切断位置において前記ベールゴムを切断するステップとを有するベールゴムの切断方法において、
少なくとも前記ベールゴムが切断されている間、前記ベールゴムを送り出す送り出し装置に設けられたベールゴム保持装置が、前記ベールゴムの後方部分を掴むことを特徴とする、ベールゴム切断方法。
【請求項7】
前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を2方向から挟んで掴む、請求項6に記載のベールゴム切断方法。
【請求項8】
前記ベールゴム保持装置に爪が設けられ、
前記ベールゴム保持装置が、爪を前記ベールゴムに食い込ませて掴む、請求項6又は7に記載のベールゴム切断方法。
【請求項9】
前記ベールゴムは、前記切断位置において複数回切断され、
前記ベールゴムが前記切断位置で複数回切断されている間、継続して、前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を掴み続ける、請求項6~8のいずれか1項に記載のベールゴム切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベールゴム保持装置及びベールゴム切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの材料となるゴム混合物は、原材料ゴム、補強材、機能材等が所定の比率で混合されて作成されている。このとき使用される原材料ゴムとして、比較的大きなゴムの塊であるベールゴムから切り出されたベールゴム片が使用される。
【0003】
ベールゴムは、ゴム混合物の特性に影響を与えない樹脂シートで包装された形で、工場に納品される。納品されたベールゴムは、特許文献1に記載のように上から降りて来るカッターで切断されて複数のベールゴム片に分割されるが、このとき樹脂シートで包装されたまま樹脂シートと共に切断される。
【0004】
通常、ベールゴムは、切断位置へ向かって間欠的に送り出され、1回送り出されるたびにカッターで切断されてベールゴム片が切り出される。従来、ベールゴムの切断位置への送り出しは、ベールゴムの後方部分(送り出し方向と反対側の部分)を押すことによって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ベールゴムがカッターに対して粘着性を示すため、従来の方法では、ベールゴムの切断時にベールゴムの切断面やベールゴムの後方部分が持ち上がってしまい、それによりベールゴムの位置がずれてしまうことがあった。また、ベールゴムが切断されてもベールゴムを覆う樹脂シートが切断されなかった場合には、樹脂シートに引っ張られてベールゴムの位置がずれてしまうことがあった。そして、ベールゴムの位置がずれることにより、次の切断時にベールゴム片を正確な寸法で切り出せなくなるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、ベールゴム片を正確な寸法で切り出しやすくするための装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のベールゴム保持装置は、ゴムの塊であるベールゴムを切断位置へ向かって前方へ送り出す送り出し装置に設けられたベールゴム保持装置において、前記ベールゴム保持装置が前記ベールゴムの後方部分を掴むことを特徴とする。
【0009】
また、実施形態のベールゴム切断方法は、ベールゴムを切断位置へ向かって前方へ送り出すステップと、前記切断位置において前記ベールゴムを切断するステップとを有するベールゴムの切断方法において、少なくとも前記ベールゴムが切断されている間、前記ベールゴムを送り出す送り出し装置に設けられたベールゴム保持装置が、前記ベールゴムの後方部分を掴むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、ベールゴム片を正確な寸法で切り出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】ベールゴム保持装置の前方から見た斜視図。なお
図4~
図7において測長センサは省略してある。
【
図7】ベールゴムを掴むときの、ベールゴム保持装置の平面図。
【
図8】
図2のA-A断面図。ベールゴムが定寸送りコンベアの上にあるときの図。
【
図9】
図2のA-A断面図。ベールゴムが第1カッターに当たる位置まで移動したときの図。
【
図10】
図2のA-A断面図。ベールゴムが第1カッターの下に移動したときの図。
【
図11】
図2のA-A断面図。ベールゴムが第1カッターで切断されたときの図。
【
図12】ベールゴムの送り出しの距離の決定方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0013】
1.切断装置の全体構成
図1及び
図2に示すように、切断装置10では、準備コンベア11、第一測定コンベア12及び定寸送りコンベア13が、この順に一列に並んでいる。また、これらのコンベア11、12、13の隣では、良品箱14、良品搬送コンベア15、第二測定コンベア16及び不良品箱17が、この順に一列に並んでいる。これら2列は平行になっている。そして、定寸送りコンベア13と第二測定コンベア16との間に、切断部18及び排出コンベア19が設けられている。切断部18が定寸送りコンベア13側に、排出コンベア19が第二測定コンベア16側に配置されている。
【0014】
準備コンベア11はベルトコンベアである。準備コンベア11の上にはベールゴム20が配置される。なお、ベールゴム20は、タイヤの原材料ゴムの塊であり、略直方体で、不図示の樹脂シートで包装されている。準備コンベア11は、その上のベールゴム20を第一測定コンベア12に向かって移動させる方向に回転する。準備コンベア11はモータ35(
図3参照)が駆動することによって回転する。
【0015】
第一測定コンベア12は複数のローラ30からなるローラコンベアである。ローラ30は、準備コンベア11から移動して来たベールゴム20を定寸送りコンベア13へ移動させる方向へ、回転できる。ローラ30はモータ36(
図3参照)が駆動することによって回転する。また、複数のローラ30が第一重量センサ38(
図3参照)の上に設けられており、ローラ30の上に載ったベールゴム20の重さをその第一重量センサ38が測定できる。なお、第一重量センサ38は、ベールゴム20の移動中はローラ30の下にあり、ベールゴム20が停止するとローラ30の上へ上昇してベールゴム20の重さを測定するものであっても良い。
【0016】
定寸送りコンベア13は、複数のローラ31を有するローラコンベアである。ローラ31は、回転自在なフリーローラであり、第一測定コンベア12のローラ30の回転方向と直交する方向へ回転可能である。
【0017】
また、定寸送りコンベア13に対して上下動するスナップカバーチェーン23が設けられている。スナップカバーチェーン23は、モータ24(
図3参照)が駆動することにより、第一測定コンベア12の搬送方向と同方向に回転する無端のチェーンである。スナップカバーチェーン23は、定寸送りコンベア13のローラ31とローラ31との隙間の場所に設けられている。そして、スナップカバーチェーン23は、シリンダ48(
図3参照)によって、ローラ31より上まで上昇したり、ローラ31の下に下降したりする。このスナップカバーチェーン23により、第一測定コンベア12から定寸送りコンベア13の中央付近へベールゴム20が搬送される。
【0018】
また、定寸送りコンベア13の上には送り出し装置50が設けられている。送り出し装置50は、液体や気体で動作するシリンダ51と、シリンダ51のロッドの先端に取り付けられた板状の押し出し板52とを有している。また、押し出し板52には、ベールゴム20の後端部を掴むことのできるベールゴム保持装置54(
図4~
図7参照)が設けられている。シリンダ51のロッドが進出すると、押し出し板52が、定寸送りコンベア13の上のベールゴム20を切断部18へ向かって押して送り出す。以下の説明において、送り出し装置50がベールゴム20を送り出す方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」とする。押し出し板52がベールゴム20を押している間、ベールゴム保持装置54がベールゴム20の後端部を掴んでいる。ベールゴム保持装置54については後述する。
【0019】
なお、押し出し板52を移動させる機器として、シリンダ51の代わりにサーボモータが使用されても良い。
【0020】
押し出し板52には測長センサ53が設けられている。切断部18の後述する第1カッター40が下降しているとき、測長センサ53が押し出し板52から第1カッター40までの距離を測定できる。
【0021】
切断部18は、定寸送りコンベア13から送られて来たベールゴム20を切断してベールゴム片22とする部分である。後述するように、切断部18にはベールゴム20に向かって下降する第1カッター40と、ベールゴム20に向かって上昇する第2カッター41とが設けられている。
【0022】
排出コンベア19はベルトコンベアである。排出コンベア19は定寸送りコンベア13のローラ31と同方向へ回転可能である。排出コンベア19はモータ33(
図3参照)が駆動することによって回転する。排出コンベア19は、切断部18側で高く第二測定コンベア16側で低くなるように傾斜している。切断部18で切断されて出来たベールゴム片22は、この排出コンベア19によって第二測定コンベア16へ搬送される。
【0023】
なお、排出コンベア19は、複数のフリーローラからなるものであっても良い。また、排出コンベア19の代わりに、水平面に対して傾斜した滑り板が使用されても良い。
【0024】
第二測定コンベア16はベルトコンベアである。この第二測定コンベア16は準備コンベア11及び第一測定コンベア12と平行な方向に回転可能である。第二測定コンベア16はモータ37(
図3参照)が駆動することによって回転する。
【0025】
第二測定コンベア16の回転方向の一方に不良品箱17が配置され、他方に良品搬送コンベア15及び良品箱14が配置されている。また、第二測定コンベア16は第二重量センサ39(
図3参照)の上に設けられており、第二測定コンベア16の上に載ったベールゴム片22の重さw
n(n回目に切り出されたベールゴム片22の重さ)をその第二重量センサ39が測定できる。ベールゴム片22の重さが基準値内の場合は第二測定コンベア16が良品箱14の方向へ回転し、ベールゴム片22の重さが基準値を超えた場合は第二測定コンベア16が不良品箱17の方向へ回転する。
【0026】
良品搬送コンベア15はベルトコンベアである。良品搬送コンベア15は、第二測定コンベア16から送られて来たベールゴム片22を、良品箱14へ搬送する。良品搬送コンベア15はモータ32(
図3参照)が駆動することによって回転する。
【0027】
図3に示すように、切断装置10には制御部25が設けられている。制御部25は記憶部26、演算部27等から構成されている。
【0028】
制御部25には、第一重量センサ38、第二重量センサ39、測長センサ53、各モータ24、32、35、36、37、各シリンダ42、46、47、48、51、等が接続されている。制御部25に製造条件等を入力するための入力装置28も、制御部25に接続されている。制御部25は、接続されているセンサ類の測定値や入力装置28からの入力値等に基づき、モータ24、32、35、36、37やシリンダ42、46、47、48、51、60等を制御する。
【0029】
2.ベールゴム保持装置の構成
図4~
図7に示すように、ベールゴム保持装置54は、押し出し板52の左右両側(ベールゴム保持装置54の説明において、左右とは、押し出し板52の幅方向の一方と他方のことである)に設けられた板状の可動部55と、可動部55の前方の面から前方に突出して設けられた爪56とを有している。1つの可動部55に対し複数(図では3つ)の爪56が設けられており、それらの爪56が上下方向に一列に並んでいる。それぞれの爪56は、押し出し板52の幅方向中央に向かって湾曲し、先端が尖っている。
【0030】
また、可動部55から押し出し板52の裏側(送り出し方向である前方の反対側)に向かって延長する形で、水平な板状の延長部57が設けられている。延長部57は、押し出し板52の裏側において、押し出し板52の幅方向中央を超える位置まで延長されている。そして、押し出し板52の幅方向中央付近の場所において、延長部57を上下方向に貫通する長孔58が形成されている。この長孔58は延長部57の延長方向に延びている。
【0031】
ベールゴム保持装置54は、さらに、押し出し板52の裏側の面に対して固定部材59で固定されたシリンダ60と、シリンダ60のロッド61の先端に設けられた棒部材62とを有している。棒部材62は、上下方向に延びる1本の棒状の部材である。棒部材62は、左右の延長部57の長孔58を上下に貫通している。
【0032】
また、押し出し板52の裏側の面の左右両側には、後方へ突出した軸部材保持部63が設けられている。そして、左右両側において、軸部材保持部63が、上下方向へ延びる軸部材64を保持している。
【0033】
この左右両側の軸部材64が、左右両側の延長部57にそれぞれ形成された孔66(
図5参照)を上下方向に貫通している。そして、延長部57及びそれと一体となった可動部55が、軸部材64を回転軸とする回転方向へ、所定角度だけ変位可能となっている。
【0034】
このようなベールゴム保持装置54において、シリンダ60がロッド61を前方(
図6、
図7の下側)へ進出させると、棒部材62が左右両側の延長部57の長孔58の中を摺動しながら、延長部57の長孔58の部分を前方へ押す。すると、延長部57が軸部材64を回転軸とする回転方向へ変位し、延長部57及びそれと一体となった可動部55が
図6に示すように押し出し板52と平行になる。このときの状態を、可動部55が開いた状態と言うこととする。
【0035】
また、シリンダ60がロッド61を後方(
図6、
図7の上側)へ移動させると、棒部材62が左右両側の延長部57の長孔58の中を摺動しながら、延長部57の長孔58の部分を後方へ引く。すると、延長部57が軸部材64を回転軸とした回転方向へ変位し、延長部57と一体となった可動部55が前方へ出る。そして、可動部55が前方へ出ることにより、
図7に示すように爪56が押し出し板52の幅方向中央へ向かって進出する。このときの状態を、可動部55が閉じた状態と言うこととする。
【0036】
押し出し板52の前方の面にベールゴム20が当たっているときに、爪56が押し出し板52の幅方向中央へ向かって進出すると、
図7に示すように爪56がベールゴム20に食い込み、左右両側の爪56でベールゴム20を掴むこととなる。
【0037】
また、押し出し板52の裏面には、上記のシリンダ51のロッドが取り付けられる取付け部65が設けられている。押し出し板52及びベールゴム保持装置54は、シリンダ51によって一体となって送り出される。
【0038】
3.切断部の構成
図8に示すように、切断部18には第1カッター40及び第2カッター41が隣接して設けられている。第1カッター40及び第2カッター41は、ベールゴム20の送り出し方向に直交する面上に配置されている。第1カッター40は定寸送りコンベア13側に、第2カッター41は排出コンベア19側に配置されている。
【0039】
第1カッター40は、シリンダ42(
図1、
図3参照)によって上下動可能で、上方の待機位置からベールゴム20に向かって下降して来る。また、第2カッター41は、シリンダ46(
図3参照)によって上下動可能で、下方の待機位置からベールゴム20に向かって上昇して来る。下降したときの第1カッター40と上昇したときの第2カッター41の間には、ベールゴム20の進行方向に若干の隙間がある。
【0040】
切断部18の一部として、定寸送りコンベア13と第1カッター40との間に第1配置部材43が設けられ、第2カッター41と排出コンベア19との間に第2配置部材44が設けられている。第1配置部材43の上面及び第2配置部材44の上面は、定寸送りコンベア13の上面と同一面上にある。第1配置部材43の上面から第2配置部材44の上面までの部分は、ベールゴム20が切断される時に配置される切断位置である。
【0041】
第1配置部材43には、上から降りて来た第1カッター40の刃先が当たるカッター受部45が設けられている。カッター受部45は、第1カッター40の刃先に沿った傾斜面として形成されている。カッター受部45は、シリンダ47(
図3参照)によって、第1カッター40の幅方向に変位可能となっている。
【0042】
第1カッター40はこのカッター受部45に当たるまで下降する。そのため、第1カッター40がベールゴム20を上端から下端まで切断することになる。一方、第2カッター41は、第2配置部材44の上面より若干上の位置まで上昇する。そして、第1カッター40の下降と第2カッター41の上昇は同期して行われるが、第1カッター40がベールゴム20を切断している間、第2カッター41がベールゴム20を下から支えることとなる。
【0043】
4.切断装置によるベールゴム片の製造方法
まず、入力装置28から制御部25に製造条件が入力される。製造条件とは、1つのベールゴム20を切断する回数や、ベールゴム片22の目標とする重さwt等である。入力は、作業者の手により行われても良いし、不図示の撮像部が作業指示書等を読み込むことにより行われても良い。
【0044】
次に、準備コンベア11の上に樹脂シート(不図示)で包装されたままのベールゴム20が配置される。ベールゴム20が配置されたことを検知した制御部25は、モータ35を駆動させて準備コンベア11を回転させるとともに、モータ36を駆動させて第一測定コンベア12を回転させ、ベールゴム20を第一測定コンベア12の中央まで搬送する。
【0045】
制御部25は、ベールゴム20が第一測定コンベア12の中央に到達したことを検知すると、第一重量センサ38でベールゴム20の重さWを測定する。測定された重さWは、制御部25の中にある記憶部に記憶される。
【0046】
次に、制御部25は、シリンダ48を制御して、スナップカバーチェーン23を定寸送りコンベア13のローラ31より上まで上昇させる。次に、制御部25は、モータ36、24を駆動させて、第一測定コンベア12を回転させるとともにスナップカバーチェーン23を回転させる。それにより、
図8に示すように、ベールゴム20が定寸送りコンベア13の所定位置へ搬送される。
【0047】
次に、制御部25は、シリンダ51を制御して、送り出し装置50の押し出し板52を前記所定位置にあるベールゴム20に向かって移動させ、ベールゴム20と接触する位置で停止させる。このとき、ベールゴム保持装置54の可動部55(
図8~
図11では図示省略してある)は開いている。
【0048】
次に、制御部25は、シリンダ60を制御して、可動部55を閉じる。すると、
図7に示すように可動部55に設けられている爪56が左右の2方向からベールゴム20を掴む。このとき、爪56がベールゴム20の後端部に食い込む。
【0049】
次に、制御部25は、シリンダ42を制御して第1カッター40をカッター受部45に当たるまで下降させる(
図9参照)。次に、制御部25は、シリンダ51を制御して、押し出し板52及びベールゴム保持装置54を切断部18の第1カッター40に向かって進出させる。この進出動作中、ベールゴム保持装置54はベールゴム20を掴んだままである。
【0050】
制御部25は、
図9に示すように、ベールゴム20が第1カッター40に当たる位置まで押し出し板52を移動させる。なお、ベールゴム保持装置54も、押し出し板52と一体となって移動する。制御部25は、ベールゴム20が第1カッター40に当たると、ベールゴム保持装置54等の移動を停止させる。このベールゴム保持装置54等の停止は、ベールゴム20が第1カッター40に当たったことをセンサで検知したときに行われても良いし、あらかじめ設定されていた距離だけベールゴム保持装置54が移動したときに行われても良い。
【0051】
次に、制御部25は、測長センサ53で、送り出し装置50の押し出し板52から第1カッター40までの距離Lを測定する。このとき測定される距離Lは、切断部18への送り出し方向へのベールゴム20の長さと一致する。測定された距離(ベールゴム20の長さ)Lは、制御部25の記憶部26に記憶される。
【0052】
次に、
図10に示すように、制御部25が第1カッター40を上昇させる。そして、
図10に示すように、送り出し装置50でベールゴム20を送り出す。また、この送り出しの間も、ベールゴム保持装置54はベールゴム20を掴み続けている。この送り出しにより、ベールゴム20が第1カッター40の下に入る。このときの送り出し装置50による送り出しの距離S
n(S
nはn回目の送り出しの距離を意味し、今のように1回目の場合はn=1)については後述する。
【0053】
次に、
図11に示すように、制御部25が、第1カッター40を下降させると同時に、第2カッター41を上昇させる。このとき、第1カッター40はカッター受部45に当たるまで下降するが、第2カッター41は第2配置部材44より僅かに上までしか上昇しない。そのため、ベールゴム20は、下から第2カッター41に支持された状態で、下降して来た第1カッター40によって切断される。なお、第2カッター41がベールゴム20の下部に切り込みを入れることとなっても良い。このベールゴム20の切断中も、ベールゴム保持装置54はベールゴム20を掴み続けている。
【0054】
制御部25は、下降した第1カッター40がカッター受部45に当たると同時に、又は下降した第1カッター40がカッター受部45に当たった後に、シリンダ47を制御してカッター受部45を第1カッター40の幅方向(左右方向)へ変位させる。それにより、ベールゴム20の下端部やベールゴム20を包んでいた樹脂シートが切断されずに残っていたとしても、その残っていた部分が第1カッター40とカッター受部45の間で引きちぎられる。
【0055】
なお、第2カッター41は、ベールゴム20の切断のために上昇しながら、又は上昇した後、第2カッター41の幅方向(左右方向)へ変位しても良い。
【0056】
このように切断されて出来たベールゴム片22は、排出コンベア19によって第二測定コンベア16へ搬送される。制御部25は、第二測定コンベア16にベールゴム片22が到達したことを検知すると、第二重量センサ39でベールゴム片22の重さwn(wnはn個目のベールゴム片22の重さのことで、今のように1個目の場合はn=1)を測定する。測定されたベールゴム片22の重さwnは、制御部25の記憶部26に記憶される。
【0057】
ベールゴム片22の重さが合格基準を満たしている場合、制御部25は、モータ37を制御して第二測定コンベア16を回転させ、ベールゴム片22を良品箱14へ搬送する。一方、ベールゴム片22の重さが合格基準を満たしていない場合、制御部25は、モータ37を制御して第二測定コンベア16を回転させ、ベールゴム片22を不良品箱17へ搬送する。
【0058】
また、制御部25は、ベールゴム20の最初の切断をした後、再び送り出し装置50でベールゴム20を送り出し、2回目の切断を行う。制御部25は、ベールゴム20の全体を複数のベールゴム片22に分割し終わるまで、送り出し装置50による送り出しと第1カッター40による切断を繰り返す。送り出し装置50による2回目以降の送り出しの距離Snについては後述する。
【0059】
ベールゴム保持装置54は、ベールゴム20の最後の切断が終わるまで、ベールゴム20の後端部を掴み続けている。ベールゴム20の最後の切断が終わると、制御部25が、ベールゴム保持装置54の可動部55を開いて、ベールゴム保持装置54から残っていたベールゴム20(つまり最後のベールゴム片22)を離す。そして、制御部25は、最後のベールゴム片22を押し出し板52で排出コンベア19に押し出す。
【0060】
5.ベールゴムの送り量の決定方法
ここで、送り出し装置50によるベールゴム20の送り出しの距離S
nの決定方法について、
図12のフローチャートに基づき説明する。
【0061】
まず、上記のように、第一測定コンベア12に載った切断前のベールゴム20の重さWを第一重量センサ38が測定する(ST1)。測定された重さWは、制御部25の記憶部26に記憶される。
【0062】
次に、上記のように、送り出し装置50によって第1カッター40に押し付けられた切断前のベールゴム20の長さLを、測長センサ53が測定する(ST2)。測定された長さLは制御部25の記憶部26に記憶される。
【0063】
制御部25の演算部27は、ベールゴム20の長さLの測定後、送り出し装置50によるベールゴム20の1回目の送り出し量(送り出しの距離)S1を計算する(ST3)。送り出しの距離S1は、ベールゴム片22の長さがS1となった場合に、そのベールゴム片22の重さが目標とする重さwtとなるように、次の式によって求められる。なお、ベールゴム片22の目標とする重さwtは作業者の手によってあらかじめ記憶部26に記憶されている。
【0064】
【0065】
次に、制御部25は、送り出し装置50を制御して、求まった距離S1だけ、ベールゴム20を前方(第1カッター40の方向)へ送り出す(ST4)。次に、制御部25は、第1カッター40及び第2カッター41を制御して、ベールゴム20を切断し、長さS1のベールゴム片22を切り出す(ST5)。
【0066】
次に、上記のように、第二測定コンベア16に設けられた第二重量センサ39が、切り出されたベールゴム片22の重さw1を測定する(ST6)。測定された重さw1は制御部25の記憶部26に記憶される。
【0067】
次に、制御部25は、ベールゴム20の全体をベールゴム片22に分割し終わったかを判断する(ST7)。
【0068】
例えば、第1カッター40よりも送り出し装置50側の場所に残っているベールゴム20の量をセンサが検知する。そして、検知した量が所定量以上の場合は分割し終わっていないと判断し、検知した量が所定量未満の場合は分割し終わったと判断する。
【0069】
又は、ベールゴム20の全体をベールゴム片22に分割するために必要な切断回数が、あらかじめ制御部25に設定されている。そして、制御部25は、設定されている切断回数の切断を終わっていない場合はベールゴム20の分割が終わっていないと判断し、設定されている切断回数の切断を終わった場合はベールゴム20の分割が終わったと判断する。
【0070】
いずれにしろ、制御部25は、ベールゴム20の分割が終わっていないと判断した場合(ST7のNo)は、次のステップ(ST8、ST9)を進める。一方、制御部25は、ベールゴム20の分割が終わったと判断した場合(ST7のYes)は、以上のフローを終了する。
【0071】
本実施形態では、ベールゴム20の切断が10~15回行われるものとする。そのため、上記の1回目の切断が終わったとき、制御部25は、ベールゴム20の分割が終わっていないと判断する(ST7のNo)。そのため、フローが次のステップ(ST8、ST9)に進む。
【0072】
次のステップ(ST8、ST9)では、演算部27が、2回目に切り出すベールゴム片22の重さw2を目標重さwtに近づけることができるように、ベールゴム20の2回目の送り出しの距離S2を計算する。具体的には、演算部27は、直前に切り出したベールゴム片22の重さw1を利用して、次の式により2回目の送り出しの距離S2を計算する。
【0073】
【0074】
つまり、ベールゴム20の断面積(送り出し方向に直交する面での面積)は場所により変化するが、1回目に切り出されるベールゴム片22の場所と、2回目に切り出されるベールゴム片22の場所とで、断面積が略同じだと仮定する。その仮定に基づけば、2回目に切り出されるベールゴム片22の単位長さあたりの重さが、1回目に切り出されたベールゴム片22の単位長さあたりの重さw1/S1と一致すると言える。そこで、ベールゴム片22の目標重さwtを、ベールゴム片22の単位長さあたりの重さw1/S1で割ることにより、2回目の送り出しの距離S2を決定するのである。
【0075】
2回目の送り出しの距離S2が決まると、ベールゴム20を送り出すステップ(ST4)に戻り、送り出し装置50が距離S2だけベールゴム20を送り出す。そして、第1カッター40が2個目のベールゴム片22を切り出し、そのベールゴム片22の重さw2を第二重量センサ39が測定する。
【0076】
以後、ベールゴム20の分割が終わったと判断される(ST7のYes)まで、制御部25がST4以降のルーチンを繰り返す。このルーチンにおいて、ベールゴム20のn+1回目の送り出しの距離Sn+1は、n回目の送り出しの距離Snとn回目に切り出されたベールゴム片22の重さwnを用いて、次の一般化された式により計算される。
【0077】
【0078】
6.実施形態の効果
上記の通り、本実施形態のベールゴム保持装置54は、ベールゴム20の後方部分を掴むことができる。そのため、ベールゴム20の切断時にベールゴム20の位置がずれることを防ぐことができ、ベールゴム片22を正確な寸法で切り出しやすくなる。
【0079】
ここで、ベールゴム保持装置54がベールゴム20の後方部分を2方向から挟んで掴むため、しっかりとベールゴム20を掴むことができる。また、ベールゴム保持装置54がベールゴム20に食い込む爪56を有するため、しっかりとベールゴム20を掴むことができる。
【0080】
また、本実施形態では、ベールゴム20が第1カッター40に切断されている間(つまり第1カッター40による1回の切断動作中)、ベールゴム保持装置54がベールゴム20の後方部分を掴み続ける。そのため、切断中にベールゴム20の位置がずれることを防ぐことができる。
【0081】
また、本実施形態では、ベールゴム20が第1カッター40に複数回切断されている間、継続して、ベールゴム保持装置54がベールゴム20の後方部分を掴み続ける。そのため、1回目の切断と2回目の切断との間にベールゴム20の位置がずれることを防ぐことができる。
【0082】
7.変更例
以上の実施形態に対して様々な変更を行うことができる。
【0083】
例えば、ベールゴム保持装置として、ベールゴム20の後方部分を掴むことのできる様々な装置が適用できる。
【0084】
図13に示すベールゴム保持装置154は、ベールゴム20に食い込む爪を有し、かつ、ベールゴム20の後方部分を2方向から挟んで掴む装置の例である。
【0085】
ベールゴム保持装置154は、上記実施形態における押し出し板52に相当する押し出し板152に対して設けられている。押し出し板152の前方の面の左右方向一方(
図13の場合は左側)には、上下方向に延びるリブ166が固定されている。リブ166には上下方向に並ぶ3つの小型爪167が設けられている。これらの小型爪167は、押し出し板152の左右方向中央へ向かって延び、先端が尖っている。
【0086】
また、押し出し板152の左右方向他方(
図13の場合は右側)には、上下方向中央部を切り欠いた形の切り欠き168が形成されている。この切り欠き168の場所に可動部155が設けられている。押し出し板152の後方の面にはシリンダ160が設けられており、このシリンダ160によって可動部155が左右方向へ移動可能となっている
可動部155の前方の面には上下方向に並ぶ3つの大型爪156が設けられている。これらの大型爪156は、押し出し板152の切り欠き168から前方へ突出している。また、これらの大型爪156は、押し出し板152の左右方向(幅方向)中央に向かって湾曲し、先端が尖っている。
【0087】
このようなベールゴム保持装置154において、シリンダ160が可動部155を小型爪167から離れる方向へ移動させると、可動部155に設けられた大型爪156の先端から、小型爪167の先端までの距離が、ベールゴム20の幅よりも広くなる。
【0088】
その状態で、大型爪156の先端から小型爪167の先端までの間にベールゴム20が配置される。次に、シリンダ160が可動部155を小型爪167に近づける方向へ移動させる。その結果、大型爪156の先端から、小型爪167の先端までの距離が、ベールゴム20の幅よりも狭くなり、大型爪156及び小型爪167がベールゴム20に食い込む。これにより、大型爪156及び小型爪167でベールゴム20の後方部分を2方向から掴むことができる。
【符号の説明】
【0089】
10…切断装置、11…準備コンベア、12…第一測定コンベア、13…定寸送りコンベア、14…良品箱、15…良品搬送コンベア、16…第二測定コンベア、17…不良品箱、18…切断部、19…排出コンベア、20…ベールゴム、22…ベールゴム片、23…スナップカバーチェーン、24…モータ、25…制御部、26…記憶部、27…演算部、28…入力装置、30…ローラ、31…ローラ、32…モータ、33…モータ、35…モータ、36…モータ、37…モータ、38…第一重量センサ、39…第二重量センサ、40…第1カッター、41…第2カッター、42…シリンダ、43…第1配置部材、44…第2配置部材、45…カッター受部、46…シリンダ、47…シリンダ、48…シリンダ、50…送り出し装置、51…シリンダ、52…押し出し板、53…測長センサ、54…ベールゴム保持装置、55…可動部、56…爪、57…延長部、58…長孔、59…固定部材、60…シリンダ、61…ロッド、62…棒部材、63…軸部材保持部、64…軸部材、65…取付け部、152…押し出し板、154…ベールゴム保持装置、155…可動部、156…大型爪、160…シリンダ、166…リブ、167…小型爪、168…切り欠き