(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062222
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20220412BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20220412BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H04R1/02 102Z
H04R7/04
H04R1/00 310F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019383
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2018558878の分割
【原出願日】2017-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2016253664
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017099629
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 稔彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宙士
(72)【発明者】
【氏名】田口 秀之
(72)【発明者】
【氏名】松岡 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晋平
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示映像の色ムラを抑える表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、映像を表示するとともに振動板としても機能するパネル部10と、パネル部10の裏面に配置され、パネル部10を振動させる加振部20と、を備えている。加振部20は、複数の加振器を有し、当該複数の加振器によりパネル部10に振動を発生させたときに当該複数の加振器を1つの加振器とみなす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する薄板状の表示セルと、
前記表示セルの裏面側に配置され、前記表示セルを振動させる複数の加振器と
を備え、
前記複数の加振器は、当該複数の加振器により前記表示セルに振動を発生させたときに当該複数の加振器が1つの加振器とみなされるように構成されている
表示装置。
【請求項2】
前記表示セルがガラス基板を含んで構成され、
前記複数の加振器は、互いに独立して前記表示セルを振動させることが可能になっており、最大幅が20kHzの半波長以下の領域内に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
各前記加振器は、ダイキャストで作られた筐体を有している
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示セルと所定の間隙を介して対向配置された対向プレートを更に備え、
各前記加振器において、前記筐体は前記対向プレートに固定されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
各前記加振器において、前記筐体は前記表示セルの裏面に対して、当該加振器と対向する位置とは異なる位置に固定されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
各前記加振器は、
前記表示セルの裏面に固定された平面コイルと、
所定の間隙を介して複数の前記平面コイルと対向して配置された永久磁石と
を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
各前記加振器は、前記平面コイルに固定されるとともに前記表示セルの裏面に固定されたプリント基板を有し、
各前記加振器において、前記平面コイルは、前記プリント基板のうち前記表示セルとは反対側の面に形成されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示セルと各前記加振器との間に1または複数の放熱シートを更に備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記1または複数の放熱シートは、アルミニウム合金で構成されている
請求項8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの薄型軽量化が急激な伸長を遂げている。それに伴い、スピーカについても薄型軽量化が進み、コーン型スピーカに代わって、フラットパネルスピーカ(FPS)を用いることが提案されている。さらに、フラットパネルスピーカにおける振動板として、ディスプレイパネルを用いることも提案されている。フラットパネルスピーカについては、例えば、特許文献1~3参照に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-143010号公報
【特許文献2】特開2009-159104号公報
【特許文献3】特表2002-510182号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、従来では、フラットパネルスピーカにおける振動板として、ディスプレイパネルを用いた場合に、表示映像に色ムラが生じる場合があった。従って、表示映像の色ムラを抑えることの可能な表示装置を提供することが望ましい。
【0005】
本開示の一実施形態に係る表示装置は、映像を表示する薄板状の表示セルと、表示セルの裏面側に配置され、表示セルを振動させる複数の加振器とを備えている。複数の加振器は、当該複数の加振器により表示セルに振動を発生させたときに当該複数の加振器が1つの加振器とみなされるように構成されている。
【0006】
本開示の一実施形態に係る表示装置では、表示セルの裏面側に配置された複数の加振器が、当該複数の加振器により表示セルに振動を発生させたときに当該複数の加振器が1つの加振器とみなされるように構成されている。これにより、音質への影響を抑えつつ、各加振器で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る表示装置によれば、音質への影響を抑えつつ、各加振器で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散するようにしたので、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の側面構成例を表す図である。
【
図2】
図1の表示装置の背面構成例を表す図である。
【
図3】
図2のバックシャーシを取り外したときの、表示装置の背面の構成例を表す図である。
【
図4】
図3のA-A線での断面構成例を表す図である。
【
図5】
図3のB-B線での断面構成例を表す図である。
【
図6】(A)
図5のプリント基板コイルの平面構成例を表す図である。(B)
図5の平型マグネットの平面構成例を表す図である。
【
図7】(A)
図5のプリント基板コイルの平面構成例を表す図である。(B)
図5の平型マグネットの平面構成例を表す図である。
【
図8】
図5のプリント基板コイル、振動伝達部材および放熱シートの配置例を表す図である。
【
図9】
図1の表示装置の側面構成の一変形例を表す図である。
【
図10】
図9の表示装置の背面構成例を表す図である。
【
図11】本開示の第2の実施の形態に係る表示装置の側面構成例を表す図である。
【
図13】
図12のバックシャーシを取り外したときの、表示装置の背面の構成例を表す図である。
【
図16】
図13のB-B線での断面構成の一変形例を表す図である。
【
図17】
図11の表示装置の背面構成の一変形例を表す図である。
【
図18】
図11の表示装置の背面構成の一変形例を表す図である。
【
図21】本開示の第3の実施の形態に係る表示装置の側面構成例を表す図である。
【
図23】
図22のバックシャーシを取り外したときの、表示装置の背面の構成例を表す図である。
【
図25】
図24のA-A線での断面構成の一変形例を表す図である。
【
図26】
図21の表示装置の背面構成の一変形例を表す図である。
【
図27】
図21の表示装置の背面構成の一変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
本開示の第1の実施の形態に係る表示装置1について説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の側面構成例を表したものである。
図2は、
図1の表示装置1の背面構成例を表したものである。表示装置1は、映像表示面10Aに映像を表示するとともに、映像表示面10Aから音声を出力する。言い換えると、表示装置1は、フラットパネルスピーカを映像表示面10Aに内蔵しているとも言える。
【0011】
表示装置1は、例えば、映像を表示するとともに振動板としても機能するパネル部10と、パネル部10の裏面に配置され、パネル部10を振動させる加振部20とを備えている。表示装置1は、さらに、例えば、加振部20を制御する信号処理部30と、パネル部10を、回動部50を介して支持する支持部40とを備えている。回動部50は、支持部40によってパネル部10の裏面を支持するときのパネル部10の傾斜角を調整するためのものであり、例えば、パネル部10および支持部40を回動可能に支持するヒンジによって構成されている。
【0012】
加振部20および信号処理部30は、パネル部10の裏面に配置されている。パネル部10は、パネル部10の裏面側に、パネル部10、加振部20および信号処理部30を保護するバックシャーシ19を有している。バックシャーシ19は、例えば、板状の金属板もしくは樹脂板によって構成されている。バックシャーシ19が、回動部50に連結されている。
【0013】
図3は、バックシャーシ19を取り外したときの、表示装置1の背面の構成例を表したものである。
図4は、
図3のA-A線での断面構成例を表したものである。
図5は、
図3のB-B線での断面構成例を表したものである。なお、
図5には、後述の加振器21(アクチュエータ)付近の断面構成が例示されているが、この断面構成は、他の加振器(例えば加振器22(アクチュエータ))付近の断面構成と同様の断面構成となっているものとする。
【0014】
パネル部10は、例えば、映像を表示する薄板状の表示セル11と、空隙15を介して表示セル11と対向配置されたインナープレート12(対向プレート)とを有している。表示セル11の表面(加振部20とは反対側の表面)が映像表示面10Aとなっている。表示セル11は、例えば、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有している。複数の表示画素は、例えば、表示セル11に設けられたガラス基板によって支持されている。つまり、表示セル11は、例えば、ガラス基板を含んで構成されている。パネル部10は、さらに、例えば、インナープレート12の裏面に接して配置されたガラス基板13と、表示セル11とインナープレート12との間に配置された固定部材14とを有している。
【0015】
固定部材14は、表示セル11とインナープレート12とを互いに固定する機能と、空隙15を維持するスペーサとしての機能とを有している。固定部材14は、例えば、表示セル11の外縁に沿って配置されている。固定部材14は、例えば、表示セル11が振動している時に表示セル11の端縁が自由端として振る舞える程度の柔軟性を有していてもよい。固定部材14は、例えば、両面に接着層を有するスポンジによって構成されている。
【0016】
インナープレート12は、後述の加振器21,22を支持する基板である。インナープレート12は、例えば、加振器21,22を設置する箇所に開口を有している。ガラス基板13は、インナープレート12よりも高い剛性を有しており、インナープレート12の撓みもしくは振動を抑える役割を有している。ガラス基板13は、インナープレート12の開口と対向する位置に開口を有している。ガラス基板13に設けられた開口は、加振器21もしくは加振器22を挿通することが可能な大きさとなっている。ガラス基板13の代わりに、ガラス基板13と同等の剛性を有する樹脂基板が設けられていてもよい。
【0017】
加振部20は、例えば、2つの加振器(加振器21,22)を有している。加振器21および加振器22は、互いに共通の構成となっている。加振器21,22は、加振器21,22により表示セル11に振動を発生させたときに音声周波数(例えば20Hz~20kHz)全体において最も振動し易い箇所を避けて配置されている。加振器21,22は、さらに、加振器21,22により表示セル11に振動を発生させたときに音声周波数全体において最も振動し難い箇所を避けて配置されている。表示セル11の振動は、例えば、レーザドップラー振動計を用いて、表示セル11の面全体の振動を音声周波数全体において計測することにより得られる。加振器21,22は、例えば、表示セル11の左右方向および上下方向において、割り切れない比率の箇所に配置されている。「割り切れない比率」の例としては、3:4、5:7、3:7、2:5、7:11などが挙げられる。
【0018】
図6(A),
図6(B)は、加振器21の一構成例を展開して表したものである。
図7(A),
図7(B)は、加振器21の他の構成例を展開して表したものである。
図6(A),
図6(B)には、加振器21が、後述の平面コイル21a2および後述の永久磁石21b2を含む微小な加振器によって構成されている場合が例示されている。
図7(A),
図7(B)には、加振器21が、平面コイル21a2および永久磁石21b2を含む2つの微小な加振器によって構成されている場合が例示されている。加振器21は、
図6(A)、
図6(B)、
図7(A)、
図7(B)の記載に限定されるものではなく、例えば、平面コイル21a2および永久磁石21b2を含む複数の微小な加振器によって構成されていてもよい。
【0019】
加振器21は、表示セル11を裏面から見たときに、左寄りに配置されている。加振器22は、表示セル11を裏面から見たときに、右寄りに配置されている。加振器21,22は、それぞれ、所定の間隙を介して互いに対向配置されたプリント基板コイル21Aおよび平型マグネット21Bを有し、振動源となるスピーカ用アクチュエータである。
【0020】
プリント基板コイル21Aは、例えば、
図6(A)に示したように、1つの平面コイル21a2(ボイスコイル)が実装されたプリント基板21a1を有している。プリント基板21a1は、平面コイル21a2に接続された配線を有している。平面コイル21a2は、後述の振動伝達部材23および後述の放熱シート24を介して表示セル11の裏面に固定されている。加振器21および加振器22において、平面コイル21a2は、例えば、プリント基板21a1のうち表示セル11とは反対側の面に形成されている。平型マグネット21Bは、例えば、
図6(B)に示したように、所定の間隙を介して平面コイル21a2と対向して配置された永久磁石21b2と、永久磁石21b2を支持する支持基板21b1とを有する磁気回路である
【0021】
プリント基板コイル21Aは、例えば、
図7(A)に示したように、複数の平面コイル21a2(ボイスコイル)が実装されたプリント基板21a1を有していてもよい。プリント基板21a1は、複数の平面コイル21a2を互いに直列に接続する配線を有している。複数の平面コイル21a2は、後述の振動伝達部材23および後述の放熱シート24を介して表示セル11の裏面に固定されている。加振器21および加振器22において、複数の平面コイル21a2は、例えば、プリント基板21a1のうち表示セル11とは反対側の面に形成されている。平型マグネット21Bは、例えば、
図7(B)に示したように、所定の間隙を介して複数の平面コイル21a2と対向して配置された複数の永久磁石21b2と、複数の永久磁石21b2を支持する支持基板21b1とを有する磁気回路であってもよい。支持基板21b1上の複数の永久磁石21b2において、互いに隣接する2つの永久磁石21b2のS極とN極の向きは、互いに反対向きとなっている。
【0022】
加振器21,22は、それぞれ、各平面コイル21a2に電気信号の音声電流が流れると、電磁作用の原理に従って各平面コイル21a2に駆動力を発生させる。この駆動力が後述の振動伝達部材23を介して表示セル11に伝達され、表示セル11に音声電流の変化に応じた振動を発生させ、空気が振動して音圧が変化する。
【0023】
加振部20は、さらに、例えば、加振器(加振器21,22)ごとに、振動伝達部材23および放熱シート24を有している。
【0024】
放熱シート24は、表示セル11と各加振器(加振器21および加振器22)との間に設けられている。放熱シート24は、表示セル11の裏面に貼り合わされている。放熱シート24は、加振器21もしくは加振器22から発生した熱を放散させる機能(高熱伝導性)を有しており、かつ、音の振動を表示セル11に効率良く伝えることのできる素材によって構成されていることが好ましい。放熱シート24は、例えば、金属製(例えばアルミニウム)の薄膜によって構成されている。放熱シート24は、例えば、アルミニウム合金の薄膜によって構成されている。
【0025】
振動伝達部材23は、例えば、放熱シート24と、加振器21もしくは加振器22のプリント基板21a1とに接しており、放熱シート24と、加振器21もしくは加振器22のプリント基板21a1とに固定されている。振動伝達部材23は、少なくとも、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有する部材によって構成されている。振動伝達部材23は、例えば、熱硬化性樹脂、両面テープ、または、低反発ウレタンなどによって構成されている。振動伝達部材23が熱硬化性樹脂によって構成されている場合、振動伝達部材23は、例えば、各平面コイル21a2に通電することで各平面コイル21a2に熱を発生させ、その熱で熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成される。振動伝達部材23が両面テープによって構成されている場合、振動伝達部材23は、例えば、各平面コイル21a2に一定のパルス信号を入力して、両面テープを各平面コイル21a2で強く押しつけることにより、放熱シート24と、加振器21もしくは加振器22のプリント基板21a1とに固定される。振動伝達部材23が低反発ウレタンによって構成されている場合、低反発ウレタンは、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有するとともに、周波数の低い領域(20Hz未満)には追随する特性を有していることが好ましい。これにより、低反発ウレタンは、音の振動を減衰させることなく、外部からの衝撃による表示セル11の変位に追随することができる。
【0026】
[効果]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の効果について説明する。
【0027】
ディスプレイの薄型軽量化が急激な伸長を遂げている。それに伴い、スピーカについても薄型軽量化が進み、コーン型スピーカに代わって、フラットパネルスピーカ(FPS)を用いることが提案されている。さらに、フラットパネルスピーカにおける振動板として、ディスプレイパネルを用いることも提案されている。
【0028】
しかし、従来では、フラットパネルスピーカにおける振動板として、ディスプレイパネルを用いた場合に、表示映像に色ムラが生じる場合があった。
【0029】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、表示セル11の裏面側に配置された複数の加振器(加振器21もしくは加振器22内の複数の微小な加振器)が、当該複数の加振器(加振器21もしくは加振器22内の複数の微小な加振器)により表示セル11に振動を発生させたときに当該複数の加振器(加振器21もしくは加振器22内の複数の微小な加振器)が1つの加振器とみなされるように構成されている。具体的には、複数の平面コイル21a2が共通のプリント基板21a1に固定されており、そのプリント基板21a1が表示セル11の裏面に固定されている。これにより、音質への影響を抑えつつ、各加振器で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散する。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0030】
また、本実施の形態に係る表示装置1では、表示セル11と各加振器(加振器21および加振器22)との間に複数の放熱シート24が設けられており、さらに、各加振器(加振器21および加振器22)において、放熱シート24を介して表示セル11の裏面に複数の平面コイル21a2が設けられている。これにより、各平面コイル21a2で発生した熱が放熱シート24を介して外部に放散される。さらに、複数の平面コイル21a2が表示セル11の裏面と平行な面内に配置されるので、各平面コイル21a2で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散する。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る表示装置1では、各加振器(加振器21および加振器22)において、複数の平面コイル21a2は、プリント基板21a1のうち表示セル11とは反対側の面に形成されている。これにより、放熱シート24と、各平面コイル21a2との間には、プリント基板21a1によって間隙が形成されるので、各平面コイル21a2に電流が流れたときに形成される磁界の通り道がプリント基板21a1によって確保される。その結果、音声出力に支障を及ぼすことなく、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0032】
<2.第1の実施の形態の変形例>
上記実施の形態において、例えば、
図9、
図10に示したように、支持部40および回転部50が省略されていてもよい。ただし、この場合には、表示装置1を、壁などに設けられたフックに掛けるための凹部32がバックシャーシ19に設けられていることが好ましい。
【0033】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
次に、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置2について説明する。
図11は、本実施の形態に係る表示装置2の側面構成例を表したものである。
図12は、
図11の表示装置2の背面構成例を表したものである。表示装置2は、映像表示面60Aに映像を表示するとともに、映像表示面60Aから音声を出力する。言い換えると、表示装置2は、フラットパネルスピーカを映像表示面60Aに内蔵しているとも言える。
【0034】
表示装置2は、例えば、映像を表示するとともに振動板としても機能するパネル部60と、パネル部60の裏面に配置され、パネル部60を振動させる加振部70とを備えている。表示装置2は、さらに、例えば、加振部60を制御する信号処理部80と、パネル部60を、回動部100を介して支持する支持部90とを備えている。回動部100は、支持部90によってパネル部60の裏面を支持するときのパネル部60の傾斜角を調整するためのものであり、例えば、パネル部60および支持部90を回動可能に支持するヒンジによって構成されている。
【0035】
加振部70および信号処理部80は、パネル部60の裏面に配置されている。パネル部60は、パネル部60の裏面側に、パネル部60、加振部70および信号処理部80を保護するバックシャーシ69を有している。バックシャーシ69は、例えば、板状の金属板もしくは樹脂板によって構成されている。バックシャーシ69が、回動部100に連結されている。
【0036】
図13は、バックシャーシ69を取り外したときの、表示装置2の背面の構成例を表したものである。
図14は、
図13のA-A線での断面構成例を表したものである。
図15は、
図13のB-B線での断面構成例を表したものである。なお、
図15には、後述の加振器71(アクチュエータ)付近の断面構成が例示されているが、この断面構成は、他の加振器(例えば加振器72(アクチュエータ))付近の断面構成と同様の断面構成となっているものとする。
【0037】
パネル部60は、例えば、映像を表示する薄板状の表示セル61と、空隙65を介して表示セル61と対向配置されたインナープレート62(対向プレート)とを有している。表示セル61の表面(加振部70とは反対側の表面)が映像表示面60Aとなっている。表示セル61は、例えば、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有している。複数の表示画素は、例えば、表示セル61に設けられたガラス基板によって支持されている。つまり、表示セル61は、例えば、ガラス基板を含んで構成されている。パネル部60は、さらに、例えば、インナープレート62の裏面に接して配置されたガラス基板63と、表示セル61とインナープレート62との間に配置された固定部材64とを有している。
【0038】
固定部材64は、表示セル61とインナープレート62とを互いに固定する機能と、空隙65を維持するスペーサとしての機能とを有している。固定部材64は、例えば、表示セル61の外縁に沿って配置されている。固定部材64は、例えば、表示セル61が振動している時に表示セル61の端縁が自由端として振る舞える程度の柔軟性を有していてもよい。固定部材64は、例えば、両面に接着層を有するスポンジなどの緩衝層によって構成されている。
【0039】
インナープレート62は、後述の加振器71,72(具体的には後述の筐体71A)を支持する基板である。インナープレート62は、例えば、加振器71,72を設置する箇所に開口を有しており、その開口の周囲に、加振器71,72を支持するための凸部62Aを有している。凸部62Aは、表示セル61とは反対側に突出している。ガラス基板63は、インナープレート62よりも高い剛性を有しており、インナープレート62の撓みもしくは振動を抑える役割を有している。ガラス基板63は、凸部62Aと対向する位置に開口を有している。ガラス基板63に設けられた開口は、凸部62Aおよび加振器21もしくは加振器22を挿通することが可能な大きさとなっている。ガラス基板63の代わりに、ガラス基板63と同等の剛性を有する樹脂基板が設けられていてもよい。
【0040】
加振部70は、例えば、2つの加振器(加振器71および加振器72)を有している。加振器71および加振器72は、互いに共通の構成となっている。加振器71,72は、加振器71,72により表示セル61に振動を発生させたときに音声周波数(例えば20Hz~20kHz)全体において最も振動し易い箇所を避けて配置されている。加振器71,72は、さらに、加振器71,72により表示セル61に振動を発生させたときに音声周波数全体において最も振動し難い箇所を避けて配置されている。表示セル61の振動は、例えば、レーザドップラー振動計を用いて、表示セル61の面全体の振動を音声周波数全体において計測することにより得られる。加振器71,72は、例えば、表示セル61の左右方向および上下方向において、割り切れない比率の箇所に配置されている。「割り切れない比率」の例としては、3:4、5:7、3:7、2:5、7:11などが挙げられる。
【0041】
加振器71は、表示セル61を裏面から見たときに、左寄りに配置されている。加振器72は、表示セル61を裏面から見たときに、右寄りに配置されている。加振器71,72は、それぞれ、例えば、ボイスコイルと、ボイスコイルを巻き付けるボビンと、磁気回路とを有し、振動源となるスピーカ用アクチュエータである。加振器71,72は、それぞれ、さらに、ボイスコイルおよびボビンを振動可能に保持するとともに、磁気回路を収容する筐体71Aを有している。筐体71Aは、ダイキャスト(例えばアルミダイキャスト)で作られており、放熱性に優れている。筐体71Aは、例えば、筐体71Aを凸部62Aに固定する際に使用するネジを挿通させるための複数のネジ穴73aを有している。各加振器(加振器71および加振器72)において、筐体71Aはインナープレート62に固定されている。
【0042】
加振器71,72は、それぞれ、ボイスコイルに電気信号の音声電流が流れると、電磁作用の原理に従ってボイスコイルに駆動力を発生させる。この駆動力が後述の振動伝達部材73を介して表示セル61に伝達され、表示セル61に音声電流の変化に応じた振動を発生させ、空気が振動して音圧が変化する。
【0043】
加振部70は、さらに、例えば、加振器(加振器71,72)ごとに、振動伝達部材73を有している。
【0044】
振動伝達部材23は、例えば、表示セル61の裏面と、加振器71もしくは加振器72のボビンとに接しており、表示セル61の裏面と、加振器71もしくは加振器72のボビンとに固定されている。振動伝達部材73は、少なくとも、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有する部材によって構成されている。振動伝達部材73は、例えば、熱硬化性樹脂、両面テープ、または、低反発ウレタンなどによって構成されている。振動伝達部材73が熱硬化性樹脂によって構成されている場合、振動伝達部材73は、例えば、ボイスコイルに通電することでボイスコイルに熱を発生させ、その熱で熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成される。振動伝達部材73が両面テープによって構成されている場合、振動伝達部材73は、例えば、ボイスコイルに一定のパルス信号を入力して、両面テープをボイスコイルで強く押しつけることにより、表示セル61の裏面と、加振器71もしくは加振器72のボビンとに固定される。振動伝達部材73が低反発ウレタンによって構成されている場合、低反発ウレタンは、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有するとともに、周波数の低い領域(20Hz未満)には追随する特性を有していることが好ましい。これにより、低反発ウレタンは、音の振動を減衰させることなく、外部からの衝撃による表示セル61の変位に追随することができる。
【0045】
[効果]
本実施の形態に係る表示装置2では、各加振器(加振器71,72)の筐体71Aが、ダイキャストで作られている。これにより、各加振器(加振器71,72)で発生した熱が筐体71Aから素早く外部に放散される。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、各加振器(加振器71,72)が、表示セル61と所定の間隙65を介して対向配置されたインナープレート62に固定されている。これにより、各加振器(加振器71,72)の振動を効率よく表示セル61に伝達することができる。
【0047】
<4.第2の実施の形態の変形例>
[変形例A]
第2の実施の形態において、例えば、
図16に示したように、表示セル61と各加振器(加振器71,72)との間に放熱シート74が設けられていてもよい。
【0048】
放熱シート74は、表示セル61の裏面に貼り合わされている。放熱シート74は、加振器71もしくは加振器72から発生した熱を放散させる機能(高熱伝導性)を有しており、かつ、音の振動を表示セル61に効率良く伝えることのできる素材によって構成されていることが好ましい。放熱シート74は、例えば、金属製(例えばアルミニウム)の薄膜によって構成されている。放熱シート74は、例えば、アルミニウム合金の薄膜によって構成されている。振動伝達部材73は、例えば、放熱シート74と、加振器71もしくは加振器72のボビンとに接しており、放熱シート74と、加振器71もしくは加振器72のボビンとに固定されている。
【0049】
本変形例では、表示セル61と各加振器(加振器71,72)との間に複数の放熱シート74が設けられている。これにより、各加振器(加振器71,72)で発生した熱が放熱シート74を介して外部に放散される。これにより、各加振器(加振器71,72)で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散する。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0050】
[変形例B]
第2の実施の形態およびその変形例において、加振部70が、例えば、
図17、
図18、
図19、
図20に示したように、複数の加振器71と、複数の加振器72とを有していてもよい。なお、
図17には、2つの加振器71と、2つの加振器72とが設けられている場合が例示されている。また、
図18には、3つの加振器71と、3つの加振器72とが設けられている場合が例示されている。また、
図19には、加振器71,72が振動伝達部材73を介して表示セル61に固定されている場合が例示されている。また、
図20には、加振器71,72が振動伝達部材73および放熱シート74を介して表示セル61に固定されている場合が例示されている。
図19、
図20は、
図17、
図18に記載のパネル部60の断面構成の一例を表したものである。
【0051】
複数の加振器71は、表示セル61を振動させるためのものであり、表示セル61の裏面に配置されている。複数の加振器71は、表示セル61を裏面から見たときに、左寄りに配置されている。複数の加振器72は、表示セル61を振動させるためのものであり、表示セル61の裏面に配置されている。複数の加振器72は、表示セル61を裏面から見たときに、右寄りに配置されている。
【0052】
本変形例では、表示セル61の裏面側に配置された複数の加振器71が、当該複数の加振器71により表示セル61に振動を発生させたときに当該複数の加振器71が1つの加振器とみなされるように構成されている。具体的には、複数の加振器71は、互いに独立して表示セル61を振動させることが可能になっており、最大幅が20kHzの半波長以下の領域内に配置されている。例えば、表示セル61に含まれるガラス基板内の音速は4000m~5000m/秒程度であり、音声帯域の最大値(例えば20kHz)での1波長の長さが20~25cmなので、複数の加振器71、または複数の加振器72が、最大値が20kHzの半波長以下の領域(
図19、
図20の領域71d)内に配置されている場合には、表示セル61に含まれるガラス基板においては、複数の加振器71、または複数の加振器72を1つの音源としてみなすことができる。これにより、各加振器71,72で発生した熱をある程度分散させつつ、音質を向上させることができる。
【0053】
<5.第3の実施の形態>
[構成]
次に、本開示の第4の実施の形態に係る表示装置3について説明する。
図21は、本実施の形態に係る表示装置3の側面構成例を表したものである。
図22は、
図21の表示装置3の背面構成例を表したものである。表示装置3は、映像表示面110Aに映像を表示するとともに、映像表示面110Aから音声を出力する。言い換えると、表示装置3は、フラットパネルスピーカを映像表示面110Aに内蔵しているとも言える。
【0054】
表示装置3は、例えば、映像を表示するとともに振動板としても機能するパネル部110と、パネル部110の裏面に配置され、パネル部110を振動させる加振部120とを備えている。表示装置3は、さらに、例えば、加振部120を制御する信号処理回路131が内蔵された支持部130を備えている。支持部130は、回動部140を介してバックシャーシ119に固定されている。回動部140は、支持部130によってパネル部110の裏面を支持するときのパネル部110の傾斜角を調整するためのものであり、例えば、パネル部110および支持部130を回動可能に支持するヒンジによって構成されている。
【0055】
図23は、バックシャーシ119を取り外したときの、表示装置3の背面の構成例を表したものである。
図24は、
図23のA-A線での断面構成例を表したものである。パネル部110は、例えば、映像を表示する薄板状の表示セル111を有している。表示セル111の表面(加振部120とは反対側の表面)が映像表示面110Aとなっている。表示セル111は、例えば、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有している。複数の表示画素は、例えば、表示セル111に設けられたガラス基板によって支持されている。つまり、表示セル111は、例えば、ガラス基板を含んで構成されている。
【0056】
加振部120は、例えば、2つの加振器(加振器121(アクチュエータ)および加振器122(アクチュエータ))を有している。加振器121および加振器122は、互いに共通の構成となっている。加振器121,122は、加振器121,122により表示セル111に振動を発生させたときに音声周波数(例えば20Hz~20kHz)全体において最も振動し易い箇所を避けて配置されている。加振器121,122は、さらに、加振器121,122により表示セル111に振動を発生させたときに音声周波数全体に
おいて最も振動し難い箇所を避けて配置されている。表示セル111の振動は、例えば、レーザドップラー振動計を用いて、表示セル111の面全体の振動を音声周波数全体において計測することにより得られる。加振器121,122は、例えば、表示セル111の左右方向および上下方向において、割り切れない比率の箇所に配置されている。「割り切れない比率」の例としては、3:4、5:7、3:7、2:5、7:11などが挙げられる。
【0057】
加振器121は、表示セル111を裏面から見たときに、左寄りに配置されている。加振器122は、表示セル111を裏面から見たときに、右寄りに配置されている。加振部120は、さらに、2つの加振器(加振器121,122)と、信号処理回路131とを電気的に接続する配線基板123を有している。配線基板123には、例えば、フレキシブル配線基板が接続されており、このフレキシブル配線基板を介して、2つの加振器(加振器121,122)と、信号処理回路131とが電気的に接続されている。
【0058】
加振器121,122は、それぞれ、例えば、ボイスコイルと、ボイスコイルを巻き付けるボビンと、磁気回路とを有し、振動源となるスピーカ用アクチュエータである。加振器121,122は、それぞれ、さらに、ボイスコイルおよびボビンを振動可能に保持するとともに、磁気回路を収容する筐体121Aを有している。筐体121Aは、ダイキャスト(例えばアルミダイキャスト)で作られており、放熱性に優れている。
【0059】
加振器121,122は、それぞれ、ボイスコイルに電気信号の音声電流が流れると、電磁作用の原理に従ってボイスコイルに駆動力を発生させる。この駆動力が後述の振動伝達部材125を介して表示セル111に伝達され、表示セル111に音声電流の変化に応じた振動を発生させ、空気が振動して音圧が変化する。
【0060】
加振部120は、さらに、例えば、加振器(加振器121,122)ごとに、固定部材124および振動伝達部材125を有している。各加振器(加振器121,122)は、例えば、固定部材124を介して、表示セル111の裏面に固定されている。各加振器(加振器121,122)は、固定部材124によって、表示セル111の裏面に対して、当該加振器(加振器121,122)と対向する位置とは異なる位置に固定されている。固定部材124は、表示セル111と筐体121Aとを互いに固定する機能を有している。固定部材124は、例えば、表示セル111が振動している時に表示セル111の振動を減衰させない程度の柔軟性を有していてもよい。固定部材124は、例えば、両面に接着層を有するスポンジによって構成されている。
【0061】
振動伝達部材125は、例えば、表示セル11の裏面と、加振器121もしくは加振器122のボビンとに接しており、表示セル111の裏面と、加振器121もしくは加振器122のボビンとに固定されている。振動伝達部材125は、少なくとも、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有する部材によって構成されている。振動伝達部材125は、例えば、熱硬化性樹脂、両面テープ、または、低反発ウレタンなどによって構成されている。振動伝達部材125が熱硬化性樹脂によって構成されている場合、振動伝達部材125は、例えば、ボイスコイルに通電することでボイスコイルに熱を発生させ、その熱で熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成される。振動伝達部材125が両面テープによって構成されている場合、振動伝達部材125は、例えば、ボイスコイルに一定のパルス信号を入力して、両面テープをボイスコイルで強く押しつけることにより、表示セル111の裏面と、加振器121もしくは加振器122のボビンとに固定される。振動伝達部材125が低反発ウレタンによって構成されている場合、低反発ウレタンは、音波領域(20Hz以上)では反発する特性を有するとともに、周波数の低い領域(20Hz未満)には追随する特性を有していることが好ましい。これにより、低反発ウレタンは、音の振動を減衰させることなく、外部からの衝撃による表示セル111の変位に追随することができる。
【0062】
[効果]
本実施の形態に係る表示装置3では、各加振器(加振器121,122)の筐体121Aが、ダイキャストで作られている。これにより、各加振器(加振器121,122)で発生した熱が筐体121Aから素早く外部に放散される。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、各加振器(加振器121,122)において、筐体121Aは、表示セル111の裏面に対して、当該加振器(加振器121,122)と対向する位置とは異なる位置に固定されている。これにより、各加振器(加振器121,122)が表示セル111とともに振動するので、共振による振幅が大きくなり、低周波領域での出力を大きくすることができる。
【0064】
<6.第3の実施の形態の変形例>
[変形例C]
第3の実施の形態において、例えば、
図25に示したように、表示セル111と各加振器(加振器121,122)との間に放熱シート126が設けられていてもよい。
【0065】
放熱シート126は、表示セル111の裏面に貼り合わされている。放熱シート126は、加振器121もしくは加振器122から発生した熱を放散させる機能(高熱伝導性)を有しており、かつ、音の振動を表示セル111に効率良く伝えることのできる素材によって構成されていることが好ましい。放熱シート126は、例えば、金属製(例えばアルミニウム)の薄膜によって構成されている。放熱シート126は、例えば、アルミニウム合金の薄膜によって構成されている。振動伝達部材125は、例えば、放熱シート126と、加振器121もしくは加振器122のボビンとに接しており、放熱シート126と、加振器121もしくは加振器122のボビンとに固定されている。
【0066】
本変形例では、表示セル111と各加振器(加振器121,122)との間に複数の放熱シート126が設けられている。これにより、各加振器(加振器121,122)で発生した熱が放熱シート126を介して外部に放散される。これにより、各加振器(加振器121,122)で発生した熱が一か所に集中せず、ある程度分散する。その結果、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0067】
[変形例D]
第3の実施の形態およびその変形例において、加振部120が、例えば、
図26、
図27、
図28、
図29に示したように、複数の加振器121と、複数の加振器122とを有していてもよい。なお、
図26には、2つの加振器121と、2つの加振器122とが設けられている場合が例示されている。また、
図27には、3つの加振器121と、3つの加振器122とが設けられている場合が例示されている。また、
図28には、加振器121,122が振動伝達部材125を介して表示セル111に固定されている場合が例示されている。また、
図29には、加振器121,122が振動伝達部材125および放熱シート126を介して表示セル111に固定されている場合が例示されている。
図28、
図29は、
図26、
図27に記載のパネル部110の断面構成の一例を表したものである。
【0068】
複数の加振器121は、表示セル111を振動させるためのものであり、表示セル111の裏面に配置されている。複数の加振器121は、表示セル111を裏面から見たときに、左寄りに配置されている。複数の加振器122は、表示セル111を振動させるためのものであり、表示セル111の裏面に配置されている。複数の加振器122は、表示セル111を裏面から見たときに、右寄りに配置されている。
【0069】
本変形例では、表示セル111の裏面側に配置された複数の加振器121が、当該複数の加振器121により表示セル111に振動を発生させたときに当該複数の加振器121が1つの加振器とみなされるように構成されている。具体的には、複数の加振器121は、互いに独立して表示セル111を振動させることが可能になっており、最大幅が20kHzの半波長以下の領域内に配置されている。例えば、表示セル111に含まれるガラス基板内の音速は4000m~5000m/秒程度であり、音声帯域の最大値(例えば20kHz)での1波長の長さが20~25cmなので、複数の加振器121、または複数の加振器122が、最大値が20kHzの半波長以下の領域(
図28、
図29の領域121d)内に配置されている場合には、表示セル111に含まれるガラス基板においては、複数の加振器121、または複数の加振器122を1つの音源としてみなすことができる。これにより、各加振器121,122で発生した熱をある程度分散させつつ、音質を向上させることができる。
【0070】
<7.各実施の形態に共通の変形例>
[変形例E]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、加振器の数は、3つ以上であってもよい。例えば、上記第1の実施の形態およびその変形例において、加振器20が、例えば、
図30に示したように、3つの加振器(加振器21,22,25)を有していてもよい。この場合、3番目の加振器(加振器25(アクチュエータ))は、加振器21と加振器22との間に位置している。加振器25は、加振器21と同様の構成を有している。また、例えば、上記第2実施の形態およびその変形例において、加振器70が、例えば、
図31に示したように、3つの加振器(加振器71,72,76)を有していてもよい。この場合、3番目の加振器(加振器76(アクチュエータ))は、加振器71と加振器72との間に位置している。加振器76は、加振器71と同様の構成を有している。また、例えば、上記第3実施の形態およびその変形例において、加振器120が、例えば、
図32に示したように、3つの加振器(加振器121,122,128)を有していてもよい。この場合、3番目の加振器(加振器128(アクチュエータ))は、加振器121と加振器122との間に位置している。加振器128は、加振器121と同様の構成を有している。本変形例においても、上記各実施の形態およびそれらの変形例における効果と同様の効果を得ることができる。
【0071】
[変形例F]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、加振器の数は、1つであってもよい。例えば、加振器20が、例えば、
図33に示したように、1つの加振器(加振器25)を有していてもよい。また、例えば、加振器70が、例えば、
図34に示したように、1つの加振器(加振器76)を有していてもよい。また、例えば、加振器120が、例えば、
図35に示したように、1つの加振器(加振器128)を有していてもよい。本変形例においても、上記各実施の形態およびそれらの変形例における効果と同様の効果を得ることができる。
【0072】
[変形例G]
上記変形例Eにおいて、加振器70が、例えば、
図36に示したように、複数の加振器71、複数の加振器72、および複数の加振器76を有していてもよい。このとき、複数の加振器71が、当該複数の加振器71により表示セル61に振動を発生させたときに当該複数の加振器71が1つの加振器とみなされるように構成されている。また、複数の加振器72が、当該複数の加振器72により表示セル61に振動を発生させたときに当該複数の加振器72が1つの加振器とみなされるように構成されている。また、複数の加振器76が、当該複数の加振器76により表示セル61に振動を発生させたときに当該複数の加振器76が1つの加振器とみなされるように構成されている。
【0073】
[変形例H]
上記変形例Eにおいて、加振器120が、例えば、
図37に示したように、複数の加振器121、複数の加振器122、および複数の加振器128を有していてもよい。このとき、複数の加振器121が、当該複数の加振器121により表示セル111に振動を発生させたときに当該複数の加振器121が1つの加振器とみなされるように構成されている。また、複数の加振器122が、当該複数の加振器122により表示セル111に振動を発生させたときに当該複数の加振器122が1つの加振器とみなされるように構成されている。また、複数の加振器128が、当該複数の加振器128により表示セル111に振動を発生させたときに当該複数の加振器128が1つの加振器とみなされるように構成されている。
【0074】
[変形例I]
上記変形例Fにおいて、加振器70が、例えば、
図38示したように、複数の加振器76を有していてもよい。このとき、複数の加振器76が、当該複数の加振器76により表示セル61に振動を発生させたときに当該複数の加振器76が1つの加振器とみなされるように構成されている。
【0075】
[変形例J]
上記変形例Fにおいて、加振器120が、例えば、
図39示したように、複数の加振器128を有していてもよい。このとき、複数の加振器128が、当該複数の加振器128により表示セル111に振動を発生させたときに当該複数の加振器128が1つの加振器とみなされるように構成されている。
【0076】
以上、実施の形態およびその変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0077】
例えば、上記実施の形態等において、加振器71,72,76のダイキャスト製の筐体71A内に、熱伝導性に優れた磁性流体が充填されていてもよい。また、例えば、上記実施の形態等において、加振器121,122,128のダイキャスト製の筐体121A内に、熱伝導性に優れた磁性流体が充填されていてもよい。これらのようにした場合には、磁性流体によってボイスコイルが冷却されるので、熱の局所的な分布に起因する表示映像の色ムラを抑えることができる。
【0078】
また、例えば、上記実施の形態等において、信号処理部30,80および信号処理回路131は、表示セル11,61,111で消費される電力の積算電力を監視してもよい。このようにした場合、信号処理部30,80および信号処理回路131は、瞬間の電力値が所定の閾値thを超える場合であっても、表示セル11,61,111に流す電流に対して制限を行わず、積算電力値が所定の閾値thを超えた場合に、表示セル11,61,111に流す電流に対して制限を行うことができる。その結果、過度な電流制限がなされなくなるので、表示品位を損なうことなく、発熱を効果的に抑えることができる。
【0079】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
映像を表示する薄板状の表示セルと、
前記表示セルの裏面側に配置され、前記表示セルを振動させる複数の加振器と
を備え、
前記複数の加振器は、当該複数の加振器により前記表示セルに振動を発生させたときに当該複数の加振器が1つの加振器とみなされるように構成されている
表示装置。
(2)
前記表示セルがガラス基板を含んで構成され、
前記複数の加振器は、互いに独立して前記表示セルを振動させることが可能になっており、最大幅が20kHzの半波長以下の領域内に配置されている
(1)に記載の表示装置。
(3)
各前記加振器は、ダイキャストで作られた筐体を有している
(2)に記載の表示装置。
(4)
前記表示セルと所定の間隙を介して対向配置された対向プレートを更に備え、
各前記加振器において、前記筐体は前記対向プレートに固定されている
(3)に記載の表示装置。
(5)
各前記加振器において、前記筐体は前記表示セルの裏面に対して、当該加振器と対向する位置とは異なる位置に固定されている
(3)に記載の表示装置。
(6)
各前記加振器は、
前記表示セルの裏面に固定された平面コイルと、
所定の間隙を介して複数の前記平面コイルと対向して配置された永久磁石と
を有する
(1)に記載の表示装置。
(7)
各前記加振器は、前記平面コイルに固定されるとともに前記表示セルの裏面に固定されたプリント基板を有し、
各前記加振器において、前記平面コイルは、前記プリント基板のうち前記表示セルとは反対側の面に形成されている
(6)に記載の表示装置。
(8)
前記表示セルと各前記加振器との間に1または複数の放熱シートを更に備えた
(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の表示装置。
(9)
前記1または複数の放熱シートは、アルミニウム合金で構成されている
(8)に記載の表示装置。
【0080】
本出願は、日本国特許庁において2016年12月27日に出願された日本特許出願番号第2016-253664号と、2017年5月19日に出願された日本特許出願番号第2017-099629号とを基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0081】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する薄板状の表示セルと、
前記表示セルの裏面側に配置され、前記表示セルを振動させる複数の加振器と
を備え、
前記複数の加振器は、当該複数の加振器により前記表示セルに振動を発生させたときに当該複数の加振器が1つの加振器とみなされるように構成されており、さらに、当該複数の加振器により前記表示セルに振動を発生させたときに音声周波数全体において最も振動し易い箇所を避けて配置されている
表示装置。
【請求項2】
前記表示セルがガラス基板を含んで構成され、
前記複数の加振器は、互いに独立して前記表示セルを振動させることが可能になっており、最大幅が20kHzの半波長以下の領域内に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
各前記加振器は、ダイキャストで作られた筐体を有している
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示セルと所定の間隙を介して対向配置された対向プレートを更に備え、
各前記加振器において、前記筐体は前記対向プレートに固定されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
各前記加振器において、前記筐体は前記表示セルの裏面に対して、当該加振器と対向する位置とは異なる位置に固定されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
各前記加振器は、
前記表示セルの裏面に固定された平面コイルと、
所定の間隙を介して複数の前記平面コイルと対向して配置された永久磁石と
を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
各前記加振器は、前記平面コイルに固定されるとともに前記表示セルの裏面に固定されたプリント基板を有し、
各前記加振器において、前記平面コイルは、前記プリント基板のうち前記表示セルとは反対側の面に形成されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示セルと各前記加振器との間に1または複数の放熱シートを更に備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記1または複数の放熱シートは、アルミニウム合金で構成されている
請求項8に記載の表示装置。