(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063190
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】マスクの据え置き装置
(51)【国際特許分類】
A62B 25/00 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
A62B25/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020180018
(22)【出願日】2020-10-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】520419625
【氏名又は名称】鵜飼 駿志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 駿志
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC77
(57)【要約】 (修正有)
【課題】折りたたみ機能を有し、折りたたみ時に液体スプレー容器を内包できる、携帯性に優れたマスクの据え置き装置を提供する。
【解決手段】折りたたみ状態で液体スプレー容器10を内包しながら持ち運びをし、使用時には装置を展開してマスクを据え置き保管する。土台部3aとアーム部3dに、マスクの耳掛け部を引っ掛ける凸部1bを有し、マスクを裏面部(口当部側)が下側を向きつつ右肩上がりの状態で保持できる。アーム部3c、3dの角度変更によって、各種マスクの耳掛け幅に対応できる。携帯時には、土台部3a、3b、3eと、アーム部3c、3dを折りたたみ、重なったアーム部の空間x・yにて容器10を収納できる。装置展開状態時にて土台部3b部位に、内包していた容器10を置き、空間x・yが設けられている効果で、マスクを据え置きしたまま、アーム部が妨害することなくマスクへ除菌液を噴霧でき、そのままマスクを乾燥可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを据え置く装置であって、複数土台部部位から接合形成される土台部と、土台部該部位に支持接合されたアーム部とで構成され、前記アーム部においても、複数アーム部部位で接合形成されており、各部位に在す接合部は、接合元もしくは接合先である、土台部各部位もしくはアーム部各部位の、角度変更機能ならびに角度保持機能を具備し、よって、前記土台部と前記アーム部の、それぞれの各部位は、該接合部を軸として、個別に有限角度内にて任意角度で保持可能であり、土台部該部位とアーム部該部位においては、マスク耳掛け部を引っかける凸部を有する事を特徴とするマスク据え置き装置。
【請求項2】
前記土台部各部位と、前記アーム部各部位を、該接合部を軸として、各部位、個別に折りたたむ事を特徴とする請求項1に記載のマスク据え置き装置。
【請求項3】
前記複数アーム部部位で接合形成されるアーム部において、空間を有する事を特徴とする、請求項1または2に記載のマスク据え置き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生的且つ、利便性や携帯性に優れたマスクの据え置き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウィルスの影響で人々のマスク着用率が急増した。外出時の食事等で一時的にマスクを外す必要がある際には通常、外したマスクを衣類のポケットや鞄にしまったりテーブルの上に置いて保管・据え置きをする事となる。
その場合、保管・据え置き先に付着している汚れやウィルス菌をマスクに再付着させてしまう危険性があり、この可能性がある限り一度外したマスクは衛生が保たれないと考えられる。
【0003】
仮にマスク使用者本人がコロナウィルスなどの病原ウィルスに感染している場合、使用中のマスクには使用者が感染しているものと同様のウィルス菌が付着していると考えられる。この様なマスクを取り外した際に公共物の上に置いたり何らかに接しさせた場合、マスクに付着しているウィルス菌をその場所にさらに再付着させ、結果としてウィルス菌を広め拡散させてしまうという危険性が考えられる。
【0004】
上記危険性を回避、また衛生保全として、マスク専用の保管ケースが技術考案されている。保管部には抗菌加工が施されている為、ケース内での菌の繁殖を防ぐ。
ただし一時的に外したマスク(使用済みマスク)にはウィルス菌の他に使用者の汗等の体液や雨等の水分も付着している状態が考えられる。
基本的にマスクの保管ケースにはマスクを乾燥させる機能は備わっていない。
ケース内に、体液や雨等の水分が付着したマスクを保管したとしてもマスクは湿ったままであり、マスクの使用感は改善されない。
【0005】
濡れたり湿った使い捨てマスクは、フィルターの劣化により、機能が損なわれるために、新品と交換することが推奨されているが、コロナ禍によりマスクの需要が急増しており、価格が高騰したりと入手が困難な状況である為、多少の劣化では破棄せずに、できるだけ長く使い続けたいという人間心理がある。
【0006】
マスクに染み込ませたり、噴霧する除菌液が市場に多く流通している。一般的にアルコール成分を含んでおり、マスクに除菌液を使用した際には除菌液を乾燥させてから着用する事が必要条件となる。
マスクを乾燥する状況を考えたときに、何かに吊り下げたり、机の上に置いたりといった措置ではマスクが無防備であるため、乾燥中に汚れやウィルス菌がどこからか付着してしまう危険性がある。
即ち、マスクを乾燥させる時には、マスクが専用の装置で適切な形態を保持していることが望ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3158159号公報
【特許文献2】特許第5724058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記技術背景を纏めると
1一時的に外したマスクの保管先・据え置き先に、汚れやウイルス菌が付着していると、その場所にマスクが接した際、汚れやウイルス菌がマスクにまで再付着する危険性がある。
2マスク使用者本人が気付かずにコロナウィルスなどの病原ウィルスに感染している場合、その使用中マスクを取り外して公共物の上に置いたり何らかに接しさせてしまうと、その場所にウィルス菌を再付着させ、ウィルス菌拡散につながってしまう。
3マスクに汗や雨等の水分が付着していると、マスクとしての機能が損なわれるだけでなく不快感を伴う。また除菌液の噴霧等においても、当然マスクは湿り気を帯びる。
上記1~3事項から、使用者から外されたマスクについては、適切な形態でマスクを保管し、保持・乾燥ができる装置が必要である事が判明する。
また、マスク除菌液の流通量が増加傾向にあり、マスクに除菌液を噴霧するエチケット習慣が、今後広く浸透する可能性が極めて高い為、除菌液の簡易なる携帯手段についても勘案すべきである。
よって本発明は上記1~3事項の危険性や問題点と、前述の除菌液の簡易なる携帯手段についても解決する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を達成する為に、次のような手段を講じたものである。
【0010】
マスクを据え置く装置であって、複数土台部部位から接合形成される土台部と、土台部該部位に支持接合されたアーム部とで構成され、前記アーム部においても、複数アーム部部位で接合形成されており、各部位に在す接合部は、接合元もしくは接合先である、土台部各部位もしくはアーム部各部位の、角度変更機能ならびに角度保持機能を具備し、よって、前記土台部と前記アーム部の、それぞれの各部位は、該接合部を軸として、個別に有限角度内にて任意角度で保持可能であり、土台部該部位とアーム部該部位においては、マスク耳掛け部を引っかける凸部を有する事を特徴とする。
【0011】
前記土台部各部位と、前記アーム部各部位を、該接合部を軸として、各部位、個別に折りたたむ事を特徴とするマスク据え置き装置。
【0012】
前記複数アーム部部位で接合形成されるアーム部において、空間を有する事を特徴とする、マスク据え置き装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、使用中マスクの据え置き装置であり、マスクを装置に据え置く事で、外部からの汚れやウィルス菌の付着、そしてそれとは逆に、使用中マスクからの公共物への汚れやウィルス菌の付着を防ぐ。さらに本発明装置は展開形態と折りたたみ形態に、状況に応じて形態を変える事ができ、携帯性に優れた折りたたみ形態時においては、装置内部に液体スプレー容器を内包携帯でき、その液体スプレー容器に入っている除菌液を、装置展開形態時に据え置いたマスクに噴霧し、据え置き状態のままマスクを乾燥させる事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】 装置展開形態時マスク据え置き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明装置は、マスクを据え置く装置展開形態と、持ち運び時等の携帯性に優れた装置折りたたみ形態に、状況に応じて形態選択できる。
以上、本発明装置の実施の形態を、装置展開形態時に関する
図1・
図2・
図3、装置折りたたみ形態時に関する
図4・
図5に基づいて説明する。
【0016】
図1、
図3が示す様に、本発明装置は、土台部である3a部位、3b部位、3e部位、そして土台部3e部位に接合されたアーム部3c部位、同じくアーム部であるアーム部3d部位から構成されている。即ち、土台部は三分割して、三体の土台部部位(3a部位、3b部位、3e部位)の接合体で形成され、アーム部においてはニ分割して、ニ体のアーム部部位(3c部位、3d部位)の接合体で形成されている。
【0017】
図2を参照頂きたい。土台部3a部位は凸部1a、アーム部3d部位は凸部1bを有している。二つの凸部の役割として、マスク据え置き時、凸部1aにマスクの片方耳掛け部を引っ掛ける。この時マスクの口元に触れる面(裏面とする)を下側にする。そしてもう片方の耳掛け部を凸部1bに引っ掛けることにより、マスクを裏面が下になった右肩上がりの状態で装置に据え置きできる。即ち、マスクを装置以外の物体(机上や鞄内、等)に干渉させる事なく据え置きでき、また、装置上部から降下するウィルス菌やホコリ等がマスク裏面へ付着する危険性を防ぐ事ができる。
【0018】
土台部3e部位とアーム部3c部位の接合部、ならびに土台部各部位とアーム部各部位の隣接する部位同士の接合部(本発明装置に在する全ての接合部)は、接合元もしくは接合先である、土台部各部位もしくはアーム部各部位の、角度変更機能と角度保持機能を具備している。よって、各部各部位の接合方法として具体的には、フリーストップ機能を具備したトルクヒンジで接合する事が望ましい。
【0019】
マスクにおいては、サイズや形状・デザインによって、マスク耳掛け部の左端から右端までの幅が異なっている。即ち、マスク耳掛け部両端幅には個体差があり、本発明装置に据え置く際には、マスク個体別に、適した引っ掛け保持テンションを得る調整が必要である。ここで、
図2を参照頂きたい。接合部2bもしくは2dが、アーム部3c部位もしくは3d部位の角度変更機能を具備している為、アーム部3c・3d部位の角度変更によって、マスク耳掛け部を引っかける凸部1aから凸部1b間の直線距離を変化できる。よって、マスク個体別に、マスクの引っ掛け保持テンションを調整することが可能である。
【0020】
凸部1aにおいて、溝が設けられている。溝の意図は、マスク耳掛け部の引っ掛け具合を強化する事にある。即ち、仮に凸部1aに、この様な溝が設けられていない、つるつるの状態でマスク耳掛け部を引っ掛ける事を想定した時、マスクの引っ掛け保持テンションが強すぎると、マスク耳掛け部が、凸部1aからずれ外れてしまう恐れが考えられる。このような対策として凸部1aには溝、または引っ掛け具合を強化する何かしらの工夫が必要である。また、凸部1bにおいても同じ事が言える。
【0021】
図2を参照頂きたい。土台部3b部位上に液体スプレー容器10が起立している。また、アーム部3c・3d部位に空間xと空間yが設けられている。本発明装置に据え置きされたマスク20に対して液体スプレー容器10に入っているマスク除菌液を、空間x・yを設ける事によって、アーム部3c・3d部位に防がれる事なく噴霧できる。要するに、マスク据え置き状態のまま、マスク除菌液を噴霧でき、さらにはそのままマスクを自然乾燥できるのである。
【0022】
液体スプレー容器10に入っている液体についてはマスク除菌液に限らないと言える。例えば花粉アレルギー対策としての成分が配合された液体や、アロマ成分が配合されたリラックス作用を醸す液体等、使用者の需要や状況に応じて、噴霧する液体を選択保存し、使い分けてよい。(いずれの液体も、噴霧して乾燥後、人体に無害である事が条件である。)
【0023】
図3と
図4を見比べ参照頂きたい。装置展開形態から装置折りたたみ形態への形態変更手順を説明する。装置展開形態時において、まず、アーム部3d部位を、(接合部2dを軸として、)アーム部3c部位に重なるように山折りしながら、(この時、凸部1bはアーム部3c部位に設けられた凹部1cに収納される。)重なり合うアーム部3c・3dを、土台部3e部位に対して垂直になるように、(接合部2bを軸として、)起立させる。そして、土台部3b部位を、土台部3e部位に対して直角になるように、(接合部2cを軸として、)起立させる。
最後に土台部3a部位も、土台部3e部位に対して直角になるように、(接合部2aを軸として、)起立させると、装置折りたたみ形態となる。
【0024】
装置折りたたみ形態について説明する。重なり合ったアーム部3c・3d部位には空間x・yが設けられている。この空間x・yに液体スプレー容器10を内包できるので、装置折りたたみ形態時においては、液体スプレー容器10を、嵩張ることなくコンパクトに、装置と一緒に携帯できる。
【0025】
空間x・yに内包される液体スプレー容器の体積は、空間x・yの容積よりも小さいか、もしくは同等以下のサイズであるべきである。前記サイズの条件に合えば、市販の液体スプレー容器をも本発明装置に内包できると言える。
【0026】
本発明装置は、空間x・yの容積・形状によって、内包できる液体スプレー容器の体積・形状の条件が決定される。よって、空間x・yの容積・形状に合わせた、内包する液体スプレー容器の体積・形状を設計できる。また、これとは逆に、内包したい液体スプレー容器の体積・形状に適する、空間x・yの容積・形状を考えて、そこから装置自体の体積等を設計する事も可能である。
【0027】
凸部1aについて説明する。装置折りたたみ形態時においての凸部1aは、土台部3a部位とともに、内包した液体スプレー10を装置外から出さないフタの役割をしている。
図5を参照頂きたい。装置に液体スプレー容器10が挿入され、ここで、土台部3a部位を、土台部3e部位に対して直角になるように(接合部2aを軸として、)起立させると、凸部1a、土台部3a部位が、液体スプレー10を装置外から出さないフタの役割をしながら、装置は折りたたみ形態となる。
【0028】
本発明装置、または液体スプレー容器10の原材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン等、噴霧する除菌液のアルコール成分に対しての耐性がある材質であれば、特に指定はない。
【0029】
本発明装置の発展性について説明する。
図1を参照頂きたい。例えば、土台部3b部位後方に、仮定土台部3f部位を接合し、(この接合部を仮定接合部2eとする。)この仮定土台部3f部位を、マスクを入れるケースのような構造に設計すれば、スペアマスクを予備携帯できるようになる。折りたたみ携帯時においての仮定土台部3fは、土台部位3b部位に対し、(仮定接合部2eを軸として、)山折りで折りたためば、嵩張ることはなく、装置の携帯性は損なわれない。
【0030】
以上、本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、前述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1a、1b マスク耳掛け部引っ掛け凸部
1c 凸部1b収納凹部
2a、2b、2c、2d 接合部
3a、3b、3e 土台部部位
3c、3d アーム部部位
x アーム部3c部位に設ける空間
y アーム部3d部位に設ける空間
10 液体スプレー容器
20 マスク
【手続補正書】
【提出日】2021-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク据え置き装置であって、土台部と、該土台部に支持接合されたアーム部とで構成され、前記土台部は、両端に設けられる端部土台部部位と、2つの前記端部土台部部位に接合される中間土台部部位とを備え、前記アーム部は、前記中間土台部部位に接合される第一のアーム部部位と、前記第一のアーム部部位に接合される第二のアーム部部位を備え、前記土台部及び前記アーム部は、角度変更機能ならびに角度保持機能を具備し、接合部によって接合される前記端部土台部部位、前記中間土台部部位、前記第一のアーム部部位、前記第二のアーム部部位のそれぞれは、各接合部を軸として回転し、個別に、任意角度で保持可能であり、前記端部土台部部位及び前記第二のアーム部部位には、それぞれマスク耳掛け部を引っかける凸部を有し、前記第一のアーム部部位と前記中間土台部部位の接合部を軸とした回転、及び、前記第一のアーム部部位と前記第二のアーム部部位の接合部を軸とした回転によって、前記端部土台部部位の前記凸部と前記第二のアーム部部位の前記凸部の間の直線距離が伸縮され、マスクの引っ掛け保持テンション調整が可能であることを特徴とするマスク据え置き装置。
【請求項2】
各接合部を軸として回転させる事により、前記土台部及び前記アーム部を折りたたみ形態に変形可能とする事を特徴とする請求項1に記載のマスク据え置き装置。
【請求項3】
前記折りたたみ形態において、前記土台部の内面側と、前記アーム部の内面側との間に、液体スプレー容器を収納可能とする事を特徴とする請求項2に記載のマスク据え置き装置。