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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063635
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20220415BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20220415BHJP
   B65H 31/02 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
G07D11/14 151E
G07D11/16 101Z
B65H31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171993
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】竹重 修
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 清一
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
3F054
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040BA06
3E040FB04
3E040FB11
3E040FG03
3E141AA01
3E141BA06
3E141FB04
3E141FB11
3E141FG03
3F054AA03
3F054AC06
3F054BA03
3F054BB09
3F054BG13
3F054BH03
3F054BH07
3F054BJ04
3F054DA11
(57)【要約】
【課題】紙幣処理装置の出金部は、紙幣集積位置と紙幣排出位置との間で移動する搬送ベルト52と、紙幣集積位置にある搬送ベルト52に集積された紙幣の先端に当接する当接位置と集積された紙幣の先端から離隔する離隔位置との間で移動するストッパ93と、ソレノイド36の動力を搬送ベルト52へ伝える第1動力伝達機構(35、33、32)と、ソレノイドの動力をストッパへ伝える第2動力伝達機構(35、33、32、40、94、95)とを有しており、第1動力伝達機構が搬送ベルト52を媒体集積位置から媒体排出位置へ移動させるときに、第2動力伝達機構がストッパを当接位置から前記離隔位置へ移動させるように、第1動力伝達機構と第2動力伝達機構とが連動する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
束状態の媒体が挿入されることを許容する入金口と、
前記入金口の近傍に設けられた出金口と、
前記出金口へ媒体を送る出金部と、
を有する紙葉類処理装置において、
前記出金部は、
媒体集積位置と媒体排出位置との間で移動する媒体搬送手段と、
前記媒体集積位置にある前記媒体搬送手段上に集積された媒体の先端に当接する当接位置と、前記集積された媒体の先端から離隔する離隔位置との間で移動するストッパと、
動力源の動力を前記媒体搬送手段へ伝える第1動力伝達機構と、
前記動力源の動力を前記ストッパへ伝える第2動力伝達機構と、
を有しており、
前記第1動力伝達機構が前記媒体搬送手段を前記媒体集積位置から前記媒体排出位置へ移動させるときに、前記第2動力伝達機構が前記ストッパを前記当接位置から前記離隔位置へ移動させるように、前記第1動力伝達機構と前記第2動力伝達機構とが連動する
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記媒体搬送手段は一対のローラに掛け渡された搬送ベルトによって媒体を搬送し、
当該搬送ベルトは前記一対のローラのうちの一方のローラを中心として回動することにより前記媒体集積位置と前記媒体排出位置との間で移動する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記第2動力伝達機構は、前記搬送ベルトと一体に動く駆動子と、前記ストッパと一体に動く従動子とを有しており、
前記駆動子と前記従動子との係合により、前記媒体搬送手段と前記ストッパとが連動することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記従動子は前記ストッパに設けられた溝であり、前記駆動子は前記溝に沿って動く移動部材であることを特徴とする請求項3記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記媒体集積位置は前記媒体搬送手段が略水平となる位置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記入金口に挿入された媒体を受ける入金部と、
当該入金部の下方位置に設けられた異物受と、をさらに有しており、
当該異物受の下方位置に前記出金部が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、カード等といった紙葉類に対して搬送、情報読取り、収納、待機、操出し、補給回収等といった各種の処理を行う装置である紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置として特許文献1に開示されたものが知られている。この従来の紙葉類処理装置においては、入金口につながる入金部の下方に、出金口につながる出金部が設けられ、出金部に溜められた紙幣を、出金口からまとめて外部へ送り出す構成が開示されている。しかしながら、この文献にはその構成の具体的な構造については触れられていない。
【0003】
従来の一般的な構造によれば、出金部の紙幣集積部に集積された複数の紙幣の先端をストッパによって位置決めし、集積の終了後にストッパを紙幣集積部から退避移動させた後、紙幣集積部から出金口へ至る搬送路を振分爪によって形成し、その搬送路に沿って紙幣を排出する、という構造が考えられる。この場合、ストッパの移動と振分爪の移動はそれぞれ別のソレノイドによって行われていた。
【0004】
しなしながら、この従来の構造においては、振分爪によって紙幣の先端が傷付くおそれがあった。また、別々のソレノイドを用いるのでコストが高かった。さらに、振分爪によりソレノイドの負荷が大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-242999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、紙幣の先端が傷付くことを防止すること、駆動源に関するコストを低減すること、及び駆動源に対する負荷を低減すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る紙葉類処理装置は、束状態の媒体が挿入されることを許容する入金口と、前記入金口の近傍に設けられた出金口と、前記出金口へ媒体を送る出金部と、を有する紙葉類処理装置において、前記出金部は、媒体集積位置と媒体排出位置との間で移動する媒体搬送手段と、前記媒体集積位置にある前記媒体搬送手段上に集積された媒体の先端に当接する当接位置と、前記集積された媒体の先端から離隔する離隔位置との間で移動するストッパと、動力源の動力を前記媒体搬送手段へ伝える第1動力伝達機構と、前記動力源の動力を前記ストッパへ伝える第2動力伝達機構と、を有しており、前記第1動力伝達機構が前記媒体搬送手段を前記媒体集積位置から前記媒体排出位置へ移動させるときに、前記第2動力伝達機構が前記ストッパを前記当接位置から前記離隔位置へ移動させるように、前記第1動力伝達機構と前記第2動力伝達機構とが連動することを特徴とする。
【0008】
上記構成において、「媒体搬送手段」は例えば搬送ベルトを含む構成である。また、「第1動力伝達機構」は実施形態においては、レバー、アーム、受け部材を含んだ機構となっている。「第2動力伝達機構」は実施形態においては、第1動力伝達機構であるレバー、アーム、受け部材に加えて、さらに、ステージと一体なカム駆動子及びストッパに設けられたカム溝を加えた構成となっている。
【0009】
本発明に係る紙葉類処理装置によれば、媒体搬送手段が媒体集積位置(例えば水平位置)から媒体排出位置(例えば傾斜する位置)へ移動することによって媒体の搬送路が切換る。従来の装置では切換爪によって搬送路を切換えていたので、切換爪によって媒体例えば紙幣が傷付くおそれがあった。これに対し、本発明に係る紙葉類処理装置によれば、切換爪を使用しないので、媒体が傷付く心配がない。
【0010】
また、媒体搬送手段を媒体集積位置から媒体排出位置へ移動させるとき、第2動力伝達機構の働きにより、ストッパが媒体から逃げ移動するので、ストッパによって媒体が傷付くことが無い。しかも、ストッパの逃げ移動により、媒体搬送手段を移動させるための動力源(例えば電磁ソレノイド)に加わる負荷が小さくなるので、コストの低減を実現できる。
【0011】
本発明に係る紙葉類処理装置の他の発明態様においては、前記媒体搬送手段は一対のローラに掛け渡された搬送ベルトによって媒体を搬送し、当該搬送ベルトは前記一対のローラのうちの一方のローラを中心として回動することにより前記媒体集積位置と前記媒体排出位置との間で移動する。
この発明態様によれば、簡単且つ確実な構成によって、媒体搬送手段を集積位置と排出位置との間で移動させることができる。
【0012】
本発明に係る紙葉類処理装置のさらに他の発明態様において、前記第2動力伝達機構は、前記搬送ベルトと一体に動く駆動子と、前記ストッパと一体に動く従動子とを有しており、前記駆動子と前記従動子との係合により、前記媒体搬送手段と前記ストッパとが連動する。
この発明態様によれば、簡単且つ確実な構成によって媒体搬送手段とストッパとを連動させることができる。
【0013】
本発明に係る紙葉類処理装置のさらに他の発明態様において、前記従動子は前記ストッパに設けられた溝であり、前記駆動子は前記溝に沿って動く移動部材である。この構成によれば、より一層簡単且つ確実な構成によって媒体搬送手段とストッパとを連動させることができる。
【0014】
本発明に係る紙葉類処理装置のさらに他の発明態様において、前記媒体集積位置は前記媒体搬送手段が略水平となる位置である。この構成によれば、ストッパによって媒体束を整列させる処理を安定して行うことができる。
【0015】
本発明に係る紙葉類処理装置のさらに他の発明態様は、前記入金口に挿入された媒体を受ける入金部と、当該入金部の下方位置に設けられた異物受と、をさらに有しており、当該異物受の下方位置に前記出金部が設けられる。この構成によれば、高い機能を備えた入金部と出金部との結合体を非常に小型に形成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る紙葉類処理装置によれば、媒体搬送手段が媒体集積位置(例えば水平位置)から媒体排出位置(例えば傾斜する位置)へ移動することによって媒体の搬送路が切換わる。従来の装置では切換爪によって搬送路を切換えていたので、切換爪によって媒体、例えば紙幣が傷付くおそれがあった。これに対し、本発明に係る紙葉類処理装置によれば、切換爪を使用しないので、媒体が傷付く心配がない。
【0017】
また、媒体搬送手段を媒体集積位置から媒体排出位置へ移動させるとき、第2動力伝達機構の働きにより、ストッパが媒体から逃げ移動するので、ストッパによって媒体が傷付くことが無い。しかも、ストッパの逃げ移動により、媒体搬送手段を移動させるための動力源(例えば電磁ソレノイド)に加わる負荷が小さくなるので、コストの低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る紙葉類処理装置の一例である紙幣処理装置の一実施形態の正面図である。
図2図1の紙幣処理装置の内部の紙幣搬送系の構造を示す図である。
図3図1の矢印Aに従った紙幣処理装置の左側面図である。
図4】入金及び入金リジェクト処理における紙幣の流れを示す図である。
図5】取消し返却処理における紙幣の流れを示す図である。
図6】出金及び出金リジェクト処理における紙幣の流れを示す図である。
図7】補給及び補給リジェクト処理における紙幣の流れを示す図である。
図8】回収及び回収リジェクト処理における紙幣の流れを示す図である。
図9】取忘れ回収処理における紙幣の流れを示す図である。
図10】入金口、出金口、入金部及び出金部の一実施形態の正面図である。
図11図10の主要部の概略の構成を示す斜視図である。
図12図10と同一部分で異なった媒体処理を行っている状態を示す図である。
図13図10の構造の裏側の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る紙葉類処理装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0020】
<紙幣処理装置の概要>
図1及び図2は、本発明に係る紙葉類処理装置の一実施形態である紙幣処理装置を示している。図1は、紙幣処理装置を構成する各構成部分に金属枠が装着されている状態を示している。図2は、図1に示す構造から金属枠を取り除いて、紙幣処理装置の内部の主要な構成要素を示している。図3図1の矢印Aに従った紙幣処理装置の左側面図である。図1図3の矢印Bに従った紙幣処理装置の正面図である。
【0021】
図1では、図の上下方向が空間の鉛直方向であり、左右方向が水平方向である。本実施形態の紙幣処理装置1の高さは例えばH=690mm程であり、幅は例えばW=122mm程であり、奥行きは例えばD=705mm程である。
【0022】
紙幣処理装置1は、例えば券売機の構成機器として用いられる。本実施形態の紙幣処理装置1は、千円、2千円、5千円、1万円の4金種を受付けて、主に千円、2千円、5千円の3金種をつり札として循環状態で搬送する構成となっている。但し、1万円についても循環状態で搬送させることができる構成となっている。
【0023】
紙幣処理装置1は、通常、その底面が水平となるように設置される。紙幣処理装置1は各種の処理部を有している。具体的には、紙幣処理装置1は、入金口2と、入金部3と、出金口4と、出金部5とを有している。また、紙幣処理装置1は、上搬送部9aと、中搬送部9bと、下搬送部9cと、識別部10とを有している。また、紙幣処理装置1は、1万円札を収納するための収納庫である万円庫13aと、千円札を収納するための収納庫である千円庫13bと、2千円札及び5千円札を収納するための収納庫である2/5千円庫13cと、補給回収庫14とを有している。紙幣収納庫は基本的に各金種別に設定されており、2千円と5千円については1つの紙幣収納庫に混合して収容する構成となっている。
【0024】
また、紙幣処理装置1はリジェクト部17を有している。リジェクト部17は出金リジェクト庫18a、補給リジェクト庫18b、取忘れ回収庫18cを有している。さらに、紙幣処理装置1は待避部19を有している。
【0025】
図2に示すように、上搬送部9aは紙幣処理装置1の上部に設けられている。また、上搬送部9aは略垂直方向に延びている。また、上搬送部9aは、主に、補給回収庫14から中搬送部9bまでの紙幣の補給のための搬送を行う。また、上搬送部9aは、各収納庫13a,13b,13cから中搬送部9bまで搬送された紙幣の補給回収庫14又はリジェクト部17への搬送を行う。
【0026】
下搬送部9cは紙幣処理装置1の下部に設けられている。また、下搬送部9cは略垂直方向に延びている。また、下搬送部9cは、主に、中搬送部9bを通過した紙幣の各収納庫13a,13b,13cへの収納のための搬送を行う。また、下搬送部9cは、各収納庫13a,13b,13cに保留された紙幣を返却処理において中搬送部9bまで搬送する。また、下搬送部9cは、回収処理において各収納庫13a,13b,13cから繰り出された紙幣を中搬送部9bまで搬送する。また、下搬送部9cは、出金処理において各収納庫13a,13b,13cから繰り出された紙幣を中搬送部9bまで搬送する。
【0027】
中搬送部9bは上搬送部9aと下搬送部9cの間に設けられている。識別部10は紙幣処理装置1の後部に設けられている。中搬送部9bは、上搬送部9a及び下搬送部9cの両方向から識別部10へ紙幣を搬送する。また、中搬送部9bは、入金リジェクト紙幣を出金部5へ搬送する。
【0028】
各搬送部9a,9b,9c及び紙幣処理装置1内に設けられたそれら以外の必要な搬送部は、搬送用ベルト22、搬送用ローラ23及び搬送路切換爪24を有している。なお、搬送用ベルト22、搬送用ローラ23及び搬送路切換爪24は紙幣処理装置1内の各搬送部内に多数設けられており、図2ではそれらのうちの一部のものに代表として符号を付している。また、各搬送部は必要に応じて紙幣検知器(すなわちセンサ)及び駆動手段を備えている。駆動手段は、例えばベルト搬送用の電動モータや、搬送路切換え爪用の電磁ソレノイド等である。
【0029】
上記の各処理部及び搬送路は紙幣の長手方向に延びる両側辺(すなわち短手辺に直交する両側辺)の2ヶ所を挟持して紙幣を長手方向に沿って搬送する。各処理部によって実行される処理のスピードは4枚/秒程度である。搬送路における搬送可能な最大束搬送枚数は、例えば21枚である。搬送路における紙幣の束の搬送速度は、万円庫13a、千円庫13b、2/5千円庫13c、及び補給回収庫14における入金動作時等における紙幣の搬送速度よりも遅くなっている。
【0030】
図2の中搬送部9bは、電動モータである第1サーボモータ30aによって駆動される第1搬送ベルト31aと、電動モータである第2サーボモータ30bによって駆動される第2搬送ベルト31bとを有している。第1搬送ベルト31aは識別部10を経由しない搬送路を形成している。また、第2搬送ベルト31bは識別部10を経由する搬送路を形成している。
【0031】
第1搬送ベルト31aと第2搬送ベルト31bとの間に上側切換爪43a及び下側切換爪43bが設けられている。これらの切換爪43a及び43bを搬送路から退避する位置へセットすると、識別部10を経由する搬送路が選択される。切換爪43a及び43bを搬送路へ突出する位置へセットすると、識別部10を経由する搬送路が閉じられて、識別部10を経由しない搬送路(すなわち短絡搬送路)が選択される。
【0032】
識別部10を経由する搬送路は、例えば図4に示す入金処理や、図6に示す出金処理や、図7に示す補給処理や、図8に示す回収処理において使用される。一方、識別部10を経由しない搬送路は、例えば図5に示す取消し返却処理において使用される。
【0033】
<紙幣処理装置1の各構成機器>
(入金口2)
図1及び図2において、入金口2は、挿入された紙幣を一括で、すなわち束で装置内に引き込む部分である。入金口2には1枚又は複数枚の紙幣の挿入が可能である。入金口2には、一括で最大50枚の紙幣を挿入できる。入金口2において、紙幣は縦長方向に挿入される。
【0034】
(入金部3)
入金部3は、一括で挿入された複数枚の紙幣を一枚ずつに分離する。入金部3に引き込まれた紙幣は入金口2からは見えないようになっている。また、複数枚の紙幣を分離できない場合には入金口2から返却する。
【0035】
(識別部10)
識別部10は紙幣の識別及び計数を行う。識別部10は、紙幣が往方向及び復方向の双方向のいずれへ搬送される場合でも紙幣の種類を識別及び計数することができる。入金時に識別できない紙幣、すなわち金種を確定できない紙幣、は返却する。出金時及び回収時に識別できない紙幣は出金リジェクト庫18aへ搬送する。補給時に識別できない紙幣は待避部19に搬送する。
【0036】
(補給回収庫14)
補給回収庫14は、各金種の収納庫13a,13b,13cへ補給しようとする紙幣をセットしたり、各金種の収納庫13a,13b,13cから金種別に回収した紙幣を収納したりする収納庫である。補給される紙幣及び回収される紙幣は識別部10を経由する。紙幣処理装置1内の各種の紙幣収納庫13a,13b,13cに対する紙幣の管理をこの補給回収庫14を介して行うことができる。この補給回収庫14を紙幣処理装置1の内部に設けたことにより、紙幣処理装置1の全体を券売機から引き出すことなく、各紙幣収納庫13a,13b,13cに対する紙幣の補給や回収を行うことができる。
【0037】
(待避部19)
待避部19は、1万円札が21枚を超える入金が発生した場合の22枚目以降の1万円札の保留を行う。1万円札以外の金種への設定も可能である。待避部19の最大保留枚数は20枚である。この設定は、搬送路によって搬送可能な最大束搬送枚数が20枚であることに対応している。取引の確定後、待避部19内の紙幣は万円庫13aへ束で搬送される。
【0038】
(出金部5)
出金部5は、各収納庫13a,13b,13cから繰り出された紙幣をまとめて出金口4へ送る部分である。出金部5は、つり札の払出し時や、取引取消し時の紙幣の返却時や、入金時に識別部10にて識別できなかった紙幣の返却時等に、紙幣を出金口4へ向けてまとめて送り出す。出金部5における紙幣の最大保留枚数は50枚である。
【0039】
(出金口4)
出金口4は、出金部5でまとめた紙幣を束の状態で部分的に外側へ出すことにより、紙幣を「抜取り待機状態」で保持する部分である。出金口4は最大で50枚の紙幣をまとめて外部へ出すことが可能である。
【0040】
(リジェクト部17)
本実施形態ではリジェクト部17が紙幣処理装置1の奥側の上部に設けられている。出金リジェクト庫18aは、出金時及び回収時に識別部10で識別できなかった紙幣を保留する部分である。出金リジェクト庫18aにおける紙幣の最大保留枚数は100枚である。補給リジェクト庫18bは、補給時に識別部10で補給金種以外と判別された紙幣を保留する。
【0041】
客は、出金口4から部分的に出ているつり札を取り忘れる場合がある。取忘れ回収庫18cは、そのように取忘れられた紙幣を回収する部分である。具体的には、一括で払い出された紙幣は、まず、出金口4において「抜取り待機状態」で保持される。そして、一定時間の間に抜取りがない場合には、取忘れ回収庫に回収される。取忘れ回収庫18cにおける紙幣の最大回収枚数は20枚である。21枚以上の取忘れの場合は、取忘れられた紙幣は出金部5に取り込まれ、その後、エラーが発生したものと判断されて紙幣処理装置1の動作が停止される。
【0042】
(制御部等)
図3において矢印Cで示す側が紙幣処理装置1の裏側であり、この裏側は図1に示す紙幣処理装置1の正面側の反対側である。この紙幣処理装置1の裏側の機枠27に、駆動源としの電動モータ(例えばサーボモータ)(図示せず)や、配線(図示せず)や、動力伝達手段(例えば動力伝達用ベルト等)(図示せず)等や、各種の機器の動作を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0043】
上記の制御部は、例えば電子部品、マイクロコンピュータ、シーケンサ等を用いて構成される。この制御部は、例えば、図2の識別部10によって行われる入金時の識別結果及び計数結果を表示部(図示せず)へ伝送する処理や、出金金額命令(すなわち金種命令)に基づいた出金処理を行う。また、制御部は、紙幣処理装置1の状態、例えば処理中のモードや、エラーの発生や、扉の開閉、等といった状態の制御や、それらの状態を通知するための通信を行ったりする。
【0044】
<紙幣処理装置1の動作概要>
紙幣処理装置1は制御部による制御の下に次のような処理を行う。
(入金及び入金リジェクト処理)
図2において入金口2に投入された紙幣は、図4に示すように、一括すなわち束で紙幣処理装置1の内部へ取り込まれる。取り込まれた紙幣は、入金部3にて順次に1枚ずつ後方へ繰り出されて、識別部10にて識別され、さらに計数される。それらの処理後の紙幣は、金種別に、万円庫13aの保留部Qか、千円庫13bの保留部Qか、2/5千円庫13cの保留部Qに保留される。
【0045】
各収納庫13a,13b,13cの内部であって保留部Qの上方位置には紙幣収納部Sが設けられている。上記のようにして保留部Qに保留された紙幣は、既に紙幣収納部Sに収納されている紙幣とは分離された状態で一次保留状態で(すなわち、取引確定前の問題が発生した紙幣の取出しが可能な状態で)保留される。なお、識別部10で識別できなかった紙幣は、出金部5へ搬送され、まとめた状態で出金口4から排出されて、客に返却される。
【0046】
一次保留された紙幣は、取引対象物品が客へ提供される等によって取引が確定したときに、二次保留状態となる。二次保留状態は、紙幣が保留部Qから取出すことができなくなる状態であり、客による取引の取消しができなくなる状態である。取引が確定し、さらにつり札の払出し処理が終了して二次保留状態となった紙幣は、次の客の購入動作の開始により、紙幣収納部Sへ収納される。ここで、次の客の購入動作とは、先押し口座ボタンの押下げや、貨幣の投入(すなわち入金)や、カードの投入や、精算券の投入、等をいう。
【0047】
(1万円札の41枚入金処理)
本実施形態では、定期券の設定最高金額として1万円札が41枚入金される場合がある。図4において、紙幣処理装置1の入金口2に1万円札が22枚以上挿入されたときには、1万円札の21枚目までは万円庫13aの保留部Qに保留し、22枚目以降は待避部19に保留する。そして、取引が確定されて取消し返却が無効とされると、万円庫13aの保留部Qにある21枚を紙幣収納部Sに収納し、その後、待避部19から万円庫13aの保留部Qへ紙幣を束で搬送して、二次保留の状態で保留する。そして、次の客が購入開始動作(例えば入金)を行ったときに、それまで保留部Q内で二次保留されていた紙幣を紙幣収納部Sへ移送して当該紙幣収納部Sに収納する。
【0048】
なお、本実施形態では、紙幣を待避部19から万円庫13aへ搬送する際には、紙幣を一旦、下搬送部9cの上部まで移動させた後、スイッチバック(すなわち搬送方向を反転)させて、万円庫13aの保留部Qへ搬送する。
【0049】
(取消し返却処理)
図4において各金種の収納庫13a,13b,13c内の保留部Qに一次保留された紙幣は、客による取引の取消しの意思があった場合には、投入された現物として図5に示すように客に返却される。この場合、返却に係るその紙幣は、保留部Qから集積状態(すなわち、束)のまま搬送路へ繰り出される。束となる紙幣の最大枚数は21枚である。具体的には、返却される紙幣は保留部Qから出金部5まで搬送され、他の金種の札とまとめられた上で出金口4を通して客へ返却される。
【0050】
(出金及び出金リジェクト処理)
つり銭の金額は、投入された貨幣の金額と購入する物品の金額との差額によって決まる。つり札は、つり銭の金額に応じて必要金種の札によって決められる。つり札は図6において出金口4を通して外部へ払い出される。
【0051】
各金種の収納庫13a,13b,13c内の紙幣収納部Sの上方位置には紙幣操出部Rが設けられている。つり札は、該当金種の紙幣操出部Rによって1枚ずつ搬送路へ繰り出され、識別部10によって金種が識別され、さらに制御部の演算処理により金額が計数され、出金部5へ搬送される。出金部5において紙幣の保留が完了すると、その紙幣が出金口4を通して一括で払い出される。識別部10で識別できなかった紙幣は、出金リジェクト庫18aへ搬送される。一括で払い出された紙幣は、出金口4にて抜取り待機状態で保持される。一定時間内に客による紙幣の抜取りが行われない場合には、その紙幣を取忘れ回収庫18cに取り込んで回収する。
【0052】
本実施形態では、紙幣の挿入が一括挿入方式であるため、投入金額が購入金額を上回る場合がある。この場合であって、過剰投入金額が千円を上回るときにも、つり札の払出しと同様にして、過剰投入金額に相当する金額を紙幣で払い出す。
【0053】
(補給及び補給リジェクト処理)
図7において、補給回収庫14は各金種の収納庫13a,13b,13cと同様に、保留部Q、紙幣収納部S及び紙幣操出部Rを有している。補給回収庫14の紙幣操出部Rから繰り出された紙幣は、識別部10にて金種を識別され、さらに制御部にて計数され、対応する金種別収納庫13a,13b,13cのいずれかの保留部Q内に保留される。そして、適宜のタイミングで当該収納庫内の紙幣収納部Sへ移送される。
【0054】
なお、このような補給処理の場合には、保留部Qにおいて紙幣に対する一次保留は行われるが、二次保留(すなわち、取引が確定した後で紙幣の抜取りを禁止する保留)は行われない。また、識別部10にて識別できなかった紙幣は待避部19へ搬送される。待避部19へ搬送された紙幣は、取消し返却処理(図5)の中搬送部9bまでの経路から上搬送部9aへ進み、上搬送部9aで振り分けられて紙幣処理装置1の上部のリジェクト部17の補給リジェクト庫18bまでまとめて搬送される。
【0055】
(回収及び回収リジェクト処理)
図8において、各金種の収納庫13a,13b,13cの紙幣操出部Rから繰り出された紙幣は、識別部10を経由して補給回収庫14へ搬送される。補給回収庫14へ送られた紙幣は保留部Qを経て紙幣収納部Sへ収納される。識別部10で識別できなかった紙幣は出金リジェクト庫18aへ搬送される。
【0056】
(取忘れ回収処理)
図9において、出金口4にて一括で払い出された紙幣は当該出金口4にて抜取り待機状態で保持される。この状態の紙幣が一定時間、抜き取られない場合は、その紙幣が取忘れ回収庫18cへ搬送されて回収される。抜き取られない紙幣の枚数が21枚以上である場合は、それらの紙幣は出金部5へ搬送されて回収される。そして、その回収後、エラーが発生したものとして紙幣処理装置1の動作を停止する。
【0057】
<入金部3>
入金部3は、図10において、第1上搬送部59、第1下搬送部61、第2搬送部62、キックローラ63、紙幣押え64、繰出ローラ68、及び規制ローラ69を有している。第1上搬送部59は、駆動ローラ80、搬送ベルト82及び上搬送ローラ81(従動ローラ)を有している。第1下搬送部61は、駆動ローラ72、搬送ベルト74及び下搬送ローラ73(従動ローラ)を有している。
【0058】
第2搬送部62は、駆動ローラ75、搬送ベルト77及び従動ローラ76を有している。キックローラ63は駆動されて正方向へ回転する。紙幣押え64は先端に自由に回転するローラを備えていて、束状態の紙幣を上から押える。キックローラ63と紙幣押え64のこの構成により、両者の間に紙幣束が到来したときには、上側の紙幣が紙幣押え64によって押されるので、最下位の紙幣がキックローラ63によって送り出される。
【0059】
繰出ローラ68は駆動されて正方向へ回転する。規制ローラ69は逆方向の回転はするが正方向への回転はしないようになっている。繰出ローラ68と繰出ローラ69のこの構成により、これらのローラは正確に1枚の紙幣を次段へ送り出す。
【0060】
以上により、入金部3においては、1枚の媒体が挿入されたときにはその1枚の媒体を滑らかに次段へ送り出す。他方、束の媒体が挿入されたときには、媒体を1枚ずつ分離して次段へ送り出す。
【0061】
入金部3には7個のセンサS1~S7が設けられている。これらのセンサは紙幣搬送方向Vに沿って互いに異なった位置に設けられている。また、第1下搬送部61、第2搬送部62、キックローラ63及び繰出ローラ68の各機器の下方位置に異物受70が設けられている。紙葉類処理装置の適所に設けた制御部は、これらのセンサの出力信号に基づいて媒体の種類、例えば正常な紙幣か、長い異物か、小さな異物か、等を検出できる。また、小さな異物が紙幣束の間ではなく単体で搬送路上を流れる場合には、各機器間又は各機器内に設けた隙間からその異物を落下させて、異物受70内に回収することができる。
【0062】
<出金部5の構成及び動作>
図10において、入金部3の下方に出金部5が設けられている。出金部5は、第1ベルト装置45と、第2ベルト装置46と、第3ベルト装置47と、第4ベルト装置48とを有している。第1ベルト装置45は図2の紙葉類処理装置1の本体内の中搬送部9bの紙幣出口の近傍に設けられている。第1ベルト装置45は一対のローラ49a,49bに掛け渡された第1搬送ベルト50を有している。一対のローラ49a,49bは一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。一方のローラ49aには羽根車41が取付けられている。羽根車41は図11に示すように紙幣搬送方向Vと直角の方向に沿って複数個設けられている。
【0063】
図10において、第2ベルト装置46は一対のローラ51a,51bに掛け渡された第2搬送ベルト52を有している。一対のローラ51a,51bは一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。
第3ベルト装置47は一対のローラ53a,53bに掛け渡された第3搬送ベルト54を有している。一対のローラ53a,53bは一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。第3ベルト装置47はその内部にテンションローラ57a,57bを有している。テンションローラ57a,57bは第3搬送ベルト54を下方向へ弾性的に付勢する。
【0064】
第4ベルト装置48は一対のローラ55a,55bに掛け渡された第4搬送ベルト56を有している。一対のローラ55a,55bは一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。
第1搬送ベルト50、第2搬送ベルト52、第3搬送ベルト54及び第4搬送ベルト56は、いずれも、図10の手前側に1本と図の奥側に1本の合計2本が互いに間隔を開けて設けられている。この間隔は、手前側と奥側の一対のローラが紙幣の長さ方向に沿った両側辺部を受けることが可能となる間隔である。
【0065】
出金部5における出金口4と反対側である媒体導入部において、第1ベルト装置45の第1搬送ベルト50と第2ベルト装置46の第2搬送ベルト52とが所定の圧力下で互いに接触している。この接触部により、媒体の取込部Zが構成される。
【0066】
第4ベルト装置48の第4搬送ベルト56は常に第3ベルト装置47の左半分の部分に圧力下で接触している。第4搬送ベルト56と第3搬送ベルト54との当接部分に到来した媒体はこれらの搬送ベルトによって搬送されて出金口4から外部へ送り出される。
【0067】
図13図10に示す構造の裏側の構造を示している。すなわち、図13の構造は図3の側面図において装置の裏側の機枠27に組付けられた構造である。図13において、動力源である電動モータ90によって駆動用タイミングベルト91が駆動されて周回移動する。このタイミングベルト91の周回移動により、図10の出金部5内の各種の機器が作動する。図13の電動モータ84は駆動用タイミングベルト85を駆動して周回移動させる。この周回移動により、図10の入金部2の各種の機器が動作する。符号86は入金部2の各種の機器を駆動するための電磁ソレノイドである。
【0068】
図10において、第2ベルト装置46はステージ40を有している。ステージ40は図11に示すように板状の平らな部材である。ステージ40は一対の第2搬送ベルト52の間に配置される。ステージ40の鉛直方向の高さ位置は、第2搬送ベルト52を略同じ高さ位置であるが、第2搬送ベルト52が媒体を搬送するのを妨げないような位置となっている。搬送される媒体はステージ40の上を滑り移動する。第2搬送ベルト52はステージ40と一体になって、動力源によって駆動されて、上流側のローラ51bの回転軸線X0を中心として矢印a-aで示すように回動する。
【0069】
具体的には、第2搬送ベルト52及びステージ40は、図10に示す媒体集積位置と図12に示す媒体排出位置との間でa-a方向へ回動する。媒体集積位置は第2搬送ベルト52が略水平になる位置であり、媒体Fが水平に蓄積される位置である。図12に示す媒体排出位置は第2搬送ベルト52及びステージ40が出金口4の傾斜と略同じ角度の傾斜で傾く位置である。
【0070】
ステージ40の前方(図の左方)にストッパ93が設けられている。ストッパ93は図11に示すように板材によって形成されている。ストッパ93は図10の紙面を貫通する方向に複数個、互いに間隔を開けて設けられている。ストッパ93は厚みの部分がステージ40に対面しており、この厚みの部分に紙幣の束が突き当たることにより、紙幣の束の先端部分が揃えられる。
【0071】
図10において、出金部5の底部に第1動力伝達機構38と第2動力伝達機構37とが設けられている。第1動力伝達機構38は動力源である電磁ソレノイド36の動力を第2搬送ベルト52とステージ40との一体構造体へ伝達する機構である。第1動力伝達機構38は本実施形態では、ソレノイド36の出力軸に連結されたレバー35と、連結点P1においてレバー35に回転自在に連結されると共に位置不動の固定軸34に回転自在に取付けられたアーム33と、ステージ40の側面に固定された受け部材32とを有している。受け部材32は回転自在な部材であり、例えばローラ、ベアリング等である。
【0072】
第2動力伝達機構37は動力源である電磁ソレノイド36の動力をストッパ93へ伝達する機構である。第2動力伝達機構37は、第1動力伝達機構38を構成する機械要素(すなわちレバー35、アーム33及び受け部材32)に加えて、さらに、ステージ40の先端に設けたカム駆動子94と、ストッパ93に設けたカム溝95とを有する。
【0073】
(出金部の動作)
本実施形態の出金部5は以上のように構成されているので、電磁ソレノイド36がOFFのとき、その出力軸は外部へ突出し、このためアーム33は固定軸34を中心として正時計方向へ回動している。それ故、ステージ40及び第2搬送ベルト52は降下しており、それらは水平な集積位置に置かれている。この状態で媒体取込部Zに紙幣が送られて来ると、媒体は順々にステージ40上に蓄積されてゆく。その際、ストッパ93の前面がステージ40に対して略90度の角度で立った状態になっているので、媒体の束の先端がきれいに揃えられる。このとき、羽根車41が回転を継続し、第2搬送ベルト52が周回移動を継続するので、紙幣が押されてストッパ93に負荷がかかっている状態となる。
【0074】
集積の終了により、第1ベルト装置45及び第2ベルト装置46のそれぞれの搬送ベルトの周回移動が停止する。その後、溜められた紙幣束を出金口4へ出すタイミングが到来すると、ステージ40及び第2搬送ベルト52のユニットが駆動系によって駆動されて、ローラ51bの回転軸線X0を中心としてa-a方向の上方向へ回動する。回動する第2搬送ベルト52が第3ベルト装置47に達すると、図12に示すように、第2搬送ベルト52はテンションローラ5a,57bと共に第3搬送ベルト54を押し上げる。これにより、第2搬送ベルト52と第3搬送ベルト54とによって媒体の搬送路が形成される。
【0075】
ステージ40の上昇による搬送通路の切換えをセンサ等により確認し、その確認に応じて駆動源である電動モータの出力軸の回転を再開する。これにより、第2搬送ベルト52、第3搬送ベルト54及び第4搬送ベルト56がそれぞれに正転方向へ周回移動を行い、その結果、媒体の束、例えば紙幣の束が出金口4へ送られ、さらに出金口4から外部へ送り出される。客が出金口4から紙幣を抜き取ると、ステージ40の上昇が解除され、次の処理を待機する。
【0076】
一定時間内に客の紙幣の抜取りが行われなかった場合には、典型的にはステージ40を上昇した位置のままで駆動源である電動モータを逆転させ、紙葉類処理装置の本体の中搬送部を経由して紙幣をリジェクト部の取忘れ回収庫に回収する。その後、ステージ40の上昇を解除して次の処理を待機する。
【0077】
ステージ40が上方へ回動する際、ステージ40の回動に連動してステージ40の先端のカム駆動子94がストッパ40と一緒になって上方へ動く。このとき、カム溝95の働きにより、ストッパ93がカム駆動子94によって押し遣られて、ストッパ93が矢印bに示すように紙幣から逃げる方向へ移動する。紙幣は集積時にストッパ93へ押し付けられるので、ステージ40の上昇時にストッパ93が紙幣束を押し付けたままの状態でいると、ステージ40が上方へ移動した際に紙幣が損傷するおそれがある。これに対し、本実施形態では、ステージ40の上昇時にはストッパ93が紙幣から逃げるので、紙幣の損傷を回避できる。また、ストッパ93が逃げるので、ソレノイド36に加わる負荷を軽減できる。
【0078】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、本発明は紙幣以外の紙葉類を搬送する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1:紙幣処理装置(紙葉類処理装置)、2:入金口、3:入金部、4:出金口、5:出金部、9a:上搬送部、9b:中搬送部、9c:下搬送部、10:識別部、13a:万円庫、13b:千円庫、13c:2/5千円庫、14:補給回収庫、17:リジェクト部、18a:出金リジェクト庫、18b:補給リジェクト庫、18c:取忘れ回収庫、19:待避部、22:搬送用ベルト、23:搬送用ローラ、24:搬送路切換爪、27:裏側の機枠、30a:第1サーボモータ、30b:第2サーボモータ、31a:第1搬送ベルト、31b:第2搬送ベルト、32:受け部材、33:アーム、34:固定軸、35:レバー、36:電磁ソレノイド、37:第2動力伝達機構、38:第1動力伝達機構、39:動力伝達機構、40:ステージ、41:羽根車、43a:上側切換爪、43b:下側切換爪、45:第1ベルト装置、46:第2ベルト装置、47:第3ベルト装置、48:第4ベルト装置、49a,49b:一対のローラ、50:第1搬送ベルト、51a,51b:ローラ、52:第2搬送ベルト、53a,53b:ローラ、54:第3搬送ベルト、55a,55b:ローラ、56:第4搬送ベルト、57a,57b:テンションローラ、59:第1上搬送部、61:第1下搬送部、62:第2搬送部(取込み搬送手段)、63:キックローラ、64:紙幣押え、68:繰出ローラ、69:規制ローラ、70:異物受、72:駆動ローラ、73:下搬送ローラ、74:搬送ベルト、75:駆動ローラ、76:従動ローラ、77:搬送ベルト、80:駆動ローラ、81:上搬送ローラ、82:搬送ベルト、84:電動モータ、85:駆動用タイミングベルト、86:電磁ソレノイド、90:電動モータ(動力源)、91:駆動用タイミングベルト、93:ストッパ、94:カム駆動子、95:カム溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13