(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065036
(43)【公開日】2022-04-26
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20220419BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20220419BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/465
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017854
(22)【出願日】2022-02-08
(62)【分割の表示】P 2020174869の分割
【原出願日】2016-10-26
(31)【優先権主張番号】14/927,539
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブランディノ, トーマス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ, アンドリュー ピー
(72)【発明者】
【氏名】フレイター, ジェームズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パプロッキ, ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン, デュアン エー
(72)【発明者】
【氏名】ロビー, レイモンド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ジョン エー
(57)【要約】
【課題】喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための新規な物品を提供する。
【解決手段】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置(100)とともに使用するための物品(2)が開示される。物品(2)は、喫煙材を備えるシート(10)と、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材(20)とを備える。シート(10)は平面シート又は巻きシートとすることができる。物品(2)と、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置(100)とを備えるシステム(1000)もまた開示される。装置(100)は、物品(2)の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域(111)と、物品(2)のその部分が加熱領域(111)内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器(112)とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、
喫煙材を備えるシートと、
前記喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材と
を備える、物品。
【請求項2】
前記加熱材が前記シートと接触している、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記シートが平面状、又は実質的に平面状である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記シートが巻きシートである、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記巻きシートの軸方向長さが前記巻きシートの直径より長い、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える少なくとも1つのコネクタを備え、
前記巻きシートが軸方向に細長く、
前記コネクタ又はそれぞれのコネクタの前記加熱材が、前記喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な前記加熱材と接触するように、前記コネクタ又はそれぞれのコネクタが前記巻きシートの長手方向端に配置された、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記巻きシートから分離し前記巻きシートによって取り囲まれた喫煙材の塊を備える、請求項4に記載の物品。
【請求項8】
前記シートの表面のすべて又は実質的にすべてが、前記加熱材によって覆われる、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記シートの表面上に複数の分離した物体を備え、前記複数の分離した物体のそれぞれが前記加熱材を備える、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記複数の分離した物体のそれぞれが、前記加熱材を備える管、又は前記加熱材を備える片を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記加熱材が、少なくとも1つの渦巻又は閉回路の形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記シート上にインクを備え、前記インクが前記加熱材を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記加熱材が金属又は金属合金を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記喫煙材が、タバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、
喫煙材を備えるシートと、
前記シートを担体に接着するための接着面と
を備える、物品。
【請求項18】
前記接着面が、前記シートの表面上に接着剤を備える、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記シートが巻きシートである、請求項17に記載の物品。
【請求項20】
裏打ちシートを備え、前記接着面が前記裏打ちシートと接触し、前記裏打ちシートが、前記接着面を露出するように前記接着面から取外し可能である、請求項17に記載の物品。
【請求項21】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
前記装置とともに使用するための物品であって、喫煙材を備えるシートと、前記喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材とを備える物品と
を備えるシステムであって、
前記装置が、前記物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、前記物品の前記一部分が前記加熱領域内にあるとき、前記喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器とを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品と、そのような装置及びそのような物品を備えるシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる「非燃焼・加熱式(heat-not-burn)」製品、又はタバコ加熱装置若しくはタバコ加熱製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を提供し、本物品は、
喫煙材を備えるシートと、
喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材と
を備える。
【0004】
例示的な実施形態では、加熱材はシートと接触している。
【0005】
例示的な実施形態では、加熱材はシートの表面上にある。
【0006】
例示的な実施形態では、加熱材はシート内に埋め込まれる。
【0007】
例示的な実施形態では、喫煙材は再生喫煙材を含む。
【0008】
例示的な実施形態では、シートは、全体又は実質的に全体が再生喫煙材からなる。
【0009】
例示的な実施形態では、シートは平面状、又は実質的に平面状である。
【0010】
例示的な実施形態では、シートは巻きシートである。
【0011】
例示的な実施形態では、巻きシートの軸方向長さは巻きシートの直径より長い。
【0012】
例示的な実施形態では、本物品は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える少なくとも1つのコネクタを備え、
巻きシートは軸方向に細長く、
そのコネクタ又はそれぞれのコネクタの加熱材が、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材と接触するように、そのコネクタ又はそれぞれのコネクタは巻きシートの長手方向端に配置される。
【0013】
例示的な実施形態では、本物品は、巻きシートから分離し巻きシートによって取り囲まれた喫煙材の塊を備える。
【0014】
例示的な実施形態では、本物品は、巻きシートの2つの部分を互いに接着する接着剤を備える。
【0015】
例示的な実施形態では、シートの表面のすべて又は実質的にすべては、加熱材によって覆われる。
【0016】
例示的な実施形態では、シートの表面は、加熱材によって部分的にだけ覆われる。
【0017】
例示的な実施形態では、本物品は、シートの表面上に複数の分離した物体を備え、複数の分離した物体のそれぞれは加熱材を備える。
【0018】
例示的な実施形態では、分離した物体のそれぞれは、加熱材を備える管を備える。例示的な実施形態では、管のそれぞれはカーボンの管である。
【0019】
例示的な実施形態では、複数の分離した物体のそれぞれは、加熱材を備える片又は帯を備える。
【0020】
例示的な実施形態では、加熱材は、少なくとも1つの渦巻の形態である。
【0021】
例示的な実施形態では、加熱材は、少なくとも1つの閉回路の形態である。
【0022】
例示的な実施形態では、本物品は、シート上にインクを備え、インクは加熱材を含む。
【0023】
例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0024】
例示的な実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含む。
【0025】
例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0026】
例示的な実施形態では、加熱材は喫煙材と接触している。
【0027】
例示的な実施形態では、喫煙材は、タバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0028】
本発明の第2の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を提供し、本物品は、
喫煙材を備えるシートと、
シートを担体に接着するための接着面と
を備える。
【0029】
例示的な実施形態では、接着面は、シートの表面上に接着剤を備える。
【0030】
例示的な実施形態では、接着面はシートの表面である。
【0031】
例示的な実施形態では、シートは巻きシートである。
【0032】
例示的な実施形態では、喫煙材は再生喫煙材を含む。
【0033】
例示的な実施形態では、シートは、全体又は実質的に全体が再生喫煙材からなる。
【0034】
例示的な実施形態では、本物品は裏打ちシートを備え、接着面は裏打ちシートと接触している。
【0035】
例示的な実施形態では、裏打ちシートは、接着面を露出するように接着面から取外し可能である。
【0036】
例示的な実施形態では、裏打ちシートは、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を含む。
【0037】
本発明の第3の態様はシステムを提供し、本システムは、
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
この装置とともに使用するための物品であって、喫煙材を備えるシートと、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材とを備える物品と
を備え、
この装置は、物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器とを備える。
【0038】
例示的な実施形態では、喫煙材は再生喫煙材を含む。
【0039】
例示的な実施形態では、装置は、物品のその部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。
【0040】
例示的な実施形態では、本システムの物品は本発明の第1の態様の物品である。本システムの物品は、本発明の第1の態様の物品の例示的な各実施形態に含まれている上記の特徴のうちのいずれか1つ以上を有することができる。
【0041】
例示的な実施形態では、本システムの物品は、本発明の第2の態様の物品である。本システムの物品は、本発明の第2の態様の物品の例示的な各実施形態に含まれている上記の特徴のうちのいずれか1つ以上を有することができる。
【0042】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の例の概略斜視図である。
【
図2】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
【
図3】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
【
図4】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略正面図である。
【
図5】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略正面図である。
【
図6】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略側面図である。
【
図7】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
【
図8】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
【
図9】
図2の物品と、物品の喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とを備えるシステムの例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。
【0045】
本書では、用語「加熱材」又は「ヒーター材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0046】
本書では、用語「再生喫煙材」は、再生タバコシートなどの再生タバコ(場合によっては、これ自体タバコ「レコン(recon)」と呼ばれる)、又は他の再生喫煙材を指す。再生喫煙材は、複数の異なるタイプのタバコ又は他の喫煙材を含むことができ、これらは、使用時にタバコの味と香りをより良く使用者に伝えるために選ぶことができる。例えば、再生喫煙材は、日干し乾燥タバコ、暗色空気乾燥タバコ、火力乾燥タバコ、又は他の適切なタバコのタイプのうちの1つ以上を含むことができる。再生喫煙材は、喫煙材を乾燥し、シートにするのに適切な粒子サイズに乾燥喫煙材を粉砕し、任意に繊維、結合剤、及び/又は保湿剤を付加し、並びに/或いは、この結果生じた製品を再生シートに形成することを含む1つ以上の工程を喫煙材に受けさせることによって生産することができる。いくつかの実施形態では、再生喫煙材は、喫煙材を水性溶媒などの溶媒と混合し、喫煙材の溶解部分を非溶解部分から分離し、パルプを生成するために非溶解部分を機械的に精製し、シートをパルプに形成し、パルプから余分な液体を除去し、蒸発などによって溶解部分を凝縮し、凝縮した溶解部分をシートと再結合させ、次いでこの結果生じた製品を乾燥することを含む1つ以上の工程を喫煙材に受けさせることによって生産することができる。
【0047】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤若しくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、或いはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体、ゲル、粉末など、任意の適切な形態であってもよい。
【0048】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0049】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0050】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0051】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0052】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0053】
図1を参照すると、本発明の実施形態による物品の例の概略斜視図が示されている。物品1は、再生喫煙材を備えるシート10と、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材20とを備える。このような加熱材の例を下記で説明する。物品1は、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。このような装置は、加熱材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器を備えることができる。このような装置100の例は
図9に示され、下記で説明される。
【0054】
この実施形態では、シート10は平面状、又は実質的に平面状である。しかしながら、シート10は、巻きシートを形成するように曲げることができる、又は巻くことができる。「巻きシート」は、シート10が細長い渦巻状又は管状を有するように、シート10を、好ましくは折り曲げられることなく曲げることを意味する。このような巻きシートは、平面シートよりも、損傷を受けにくく、保存及び取扱いに便利であり、装置とともに使用するためにより適することがある。
【0055】
この実施形態では、加熱材20はシート10と接触している。より詳細には、この実施形態では、加熱材20は、シート10の表面上にある。さらにより詳細には、この実施形態では、シート10の表面のすべて又は実質的にすべては、加熱材20を備える層によって覆われる。この層は箔の層とすることができる。しかしながら、下記の説明で明らかなように、他の実施形態では、シート100の表面は加熱材20によって部分的にだけ覆われてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、加熱材20はシート10の両側の表面にあってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シート10の両側の2つの表面のそれぞれのすべて、実質的にすべて、大部分、又は一部分だけが加熱材20によって覆われてもよい。
【0056】
図2を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図2の物品2は、加熱材を物品2内に設ける態様以外は、
図1を参照して上記で説明した物品1と同一である。
図1の物品1に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図2の物品2に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。
【0057】
この実施形態では、加熱材20は、この場合も、再生喫煙材を備えるシート10の表面上にある。しかしながら、この実施形態では、物品2は、シート10の表面上に複数の分離した物体22a、22b、22c、22dを備え、分離した物体22a、22b、22c、22dのそれぞれは加熱材20を備える。この実施形態では、分離した物体22a、22b、22c、22dのそれぞれは、シート10の表面上に片又は帯22a、22b、22c、22dを備える。
【0058】
この実施形態では、片22a、22b、22c、22dは互いに平行であるが、他の実施形態ではその限りではない。さらに、この実施形態では、片22a、22b、22c、22dはすべてシート10の1つの表面上にあるが、他の実施形態では、シート10の両側の表面上に1つ以上のこのような片があってもよい。いくつかの実施形態では、シート10の表面上にこのような片22a、22b、22c、22dが1つだけあってもよい。
【0059】
この実施形態では、片22a、22b、22c、22dは直線状である。他の実施形態では、片22a、22b、22c、22dのうちのいくつか又はすべては、曲がっている又は波形であるなど、非直線状であってもよい。
【0060】
この実施形態では、片22a、22b、22c、22dは、それぞれの細長い寸法に垂直な方向の幅が実質的に等しく、それらの片が設けられた表面に対して直交する方向の厚さが実質的に等しいものである。他の実施形態では、片22a、22b、22c、22dはそれぞれ異なる幅及び/又は厚さのものであってもよい。そのときには、広い又は厚い帯に隣接する喫煙材の領域は、狭い帯に隣接する喫煙材の領域よりも、所与の変動磁場の印加によって加熱される度合いを低くすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、片22a、22b、22c、22dの1つ以上の片の幅及び/又は厚さは、片が辿る経路に沿って変わってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、加熱材20の1つ以上の部分は、喫煙材の(1つ以上の)第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材の(1つ以上の)第1の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができ、加熱材20の1つ以上の部分は、喫煙材の(1つ以上の)第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材の(1つ以上の)第2の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成されることができ、喫煙材の(1つ以上の)第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気が形成され続けることができる。喫煙材の所与の領域で喫煙材の揮発可能な成分を使い尽くすと、その領域は蒸気の生成を終えることができる。
【0061】
本書で説明する実施形態のそれぞれでは、加熱材20は、誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材20を備える構成部品の厚さを比較的薄くすることによって、構成部品の他の寸法に比べて比較的長い奥行き又は厚さを有する構成部品の加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材20のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになる。それはコストを削減する。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上の片22a、22b、22c、22dは、加熱材20を含むインクの形態である。製造中、例えば、グラビア印刷を使用して、シート10上にインクを印刷塗布することができる。インクは厚さを薄くすることができる。したがって、変動磁場を受けたときのインク内の誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向は、加熱材を備える構成部品が非常に厚い場合のように、その「表皮」だけに限定されるのではなく、インクのほとんど又はすべてに侵入することができる。したがって、材料をより効率的に使用することとなって、コストが削減される。他の実施形態では、1つ以上の片22a、22b、22c、22dは、異なる態様でシート10の表面上に接着又はその他の方法で設けることができる。
【0063】
図3を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図3の物品3は、加熱材を物品3に設ける態様を除けば、
図2を参照して上記で説明した物品2と同一である。
図2の物品2に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図3の物品3に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。
【0064】
この実施形態では、物品3は、この場合も、シート10の表面上に複数の分離した物体24a、24b、24cを備え、分離した物体24a、24b、24cのそれぞれは、この場合も、加熱材20を備える。しかしながら、この実施形態では、分離した物体24a、24b、24cのそれぞれは、シート10の表面上に管24a、24b、24cを備える。管24a、24b、24cは、接着剤などによってシート10の表面にはり付けることができる。この実施形態では、管24a、24b、24cは、軸方向に互いに平行に揃えられている。いくつかの実施形態では、管24a、24b、24cは、互いに磁気的に揃えられている。すなわち、管24a、24b、24c内の磁気双極子は互いに磁気的に揃えられている。管24a、24b、24cが互いに磁気的に揃えられていると、使用時、管24a、24b、24cと装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、管24a、24b、24cのジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材の加熱を増大させる、又は改善することができることが分かっている。他の実施形態では、管24a、24b、24cは相対的に異なる配向に揃えられてもよい。
【0065】
この実施形態では、管24a、24b、24cはすべてシート10の1つの表面上にある。他の実施形態では、シート10の両側の表面上に1つ以上のこのような管24a、24b、24cがあってもよい。いくつかの実施形態では、シート10の表面上にこのような管24a、24b、24cが1つだけあってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、その管又はそれぞれの管24a、24b、24cはカーボンの管とすることができる。いくつかの実施形態では、その管又はそれぞれの管24a、24b、24cは、0.05~2.0ミリメートルの範囲内、又は0.1~1.0ミリメートルの範囲内、例えば、約0.5ミリメートルの外径を有することができる。
【0067】
この実施形態では、管24a、24b、24cのそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える。いくつかの実施形態では、これは、管24a、24b、24cと装置の電磁石との間の磁気結合を使用時に強くすることができ、その結果、ジュール加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0068】
管状の素子は直径に対する断面積の比を小さくすることができる。したがって、変動磁場を受けたときの管内の循環電流は、加熱材を備える構成部品が非常に厚い場合のように、その「表皮」だけに限定されるのではなく、管のほとんど又はすべてに侵入することができる。したがって、材料をより効率的に使用することとなって、コストが削減される。
【0069】
この実施形態では、管24a、24b、24cのそれぞれは、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。しかしながら、他の実施形態では、管24a、24b、24cの1つ以上は、加熱材がなく加熱材を保持する担体を備えてもよい。例えば、管24a、24b、24cの1つ以上は、加熱材がなく被覆された加熱材の閉回路を有する管状の担体を備えることができる。
【0070】
この実施形態に対するいくつかの変形では、管24a、24b、24cのいくつか又はすべては、加熱材の閉回路を備えるループ状又はリング状の素子、或いは、加熱材がなく加熱材の閉回路を保持する担体と置き換えることができる。ループ形状の素子は、閉回路を生成するように出発点と到着点が同じ点の経路を画定する任意の形状のものとすることができるが、リング形状の素子は必ず円形又は実質的に円形である。
【0071】
図4を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図4の物品4は、加熱材を物品4に設ける態様を除けば、
図2を参照して上記で説明した物品2と同一である。
図2の物品2に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図4の物品4に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。
【0072】
この実施形態では、物品4は、この場合も、シート10の表面上に複数の分離した物体26a、26b、26cを備え、分離した物体26a、26b、26cのそれぞれは、この場合も、加熱材20を備える。しかしながら、この実施形態では、分離した物体26a、26b、26cのそれぞれは、加熱材20の閉回路26a、26b、26cを備える。この場合も、いくつかの実施形態では、加熱材のこのような閉回路は、使用時、(1つ以上の)閉回路26a、26b、26cと装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、ジュール加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0073】
この実施形態では、閉回路26a、26b、26cは、互いに対して同心状に配置されている。これによってシート10上のスペースを効率的に使用することができる。他の実施形態では、閉回路26a、26b、26cは、互いに対して同心状には配置されていない。例えば、いくつかの実施形態では、閉回路26a、26b、26cは、閉回路26a、26b、26cのそれぞれが、閉回路26a、26b、26cのそれぞれ他の閉回路の外側にあるように配置されてもよい。
【0074】
さらに、この実施形態では、閉回路26a、26b、26cはすべてシート10の1つの表面上にあるが、他の実施形態では、シート10の両側の表面上に1つ以上のこのような閉回路26a、26b、26cがあってもよい。いくつかの実施形態では、シート10の表面上にこのような閉回路26a、26b、26cが1つだけあってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、(1つ以上の)閉回路26a、26b、26cは、加熱材20を含むインクの形態である。例えば、グラビア印刷を使用して、シート10上にインクを印刷塗布することができる。他の実施形態では、(1つ以上の)閉回路26a、26b、26cは、異なる態様でシート10の表面上に接着又はその他の方法で設けることができる。
【0076】
図5を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図5の物品5は、加熱材を物品5に設ける態様を除けば、
図4を参照して上記で説明した物品4と同一である。
図4の物品4に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図5の物品5に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。
【0077】
この実施形態では、物品5は、シート10の表面上に加熱材20の渦巻28を備える。いくつかの実施形態では、このような渦巻28はシート10の表面上に1つより多く設けることができる。この実施形態では、渦巻28はシート10の表面の大部分を覆う。いくつかの実施形態では、シート10の両側の表面上に1つ以上このような渦巻28があってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、(1つ以上の)渦巻28は、加熱材20を含むインクの形態である。例えば、グラビア印刷を使用して、シート10上にインクを印刷塗布することができる。他の実施形態では、(1つ以上の)渦巻28は、異なる態様でシート10の表面上に接着又はその他の方法で設けることができる。
【0079】
上記の実施形態のそれぞれでは、シート10は平面状、又は実質的に平面状である。しかしながら、いくつかの実施形態では、シート10は、巻きシートを形成するように曲げることができる、又は巻くことができる。このような巻きシートは、損傷を受けにくく、保存及び取扱いに便利であり、装置とともに使用するためにより適することがある。
【0080】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5は
図1~5に示したそれぞれの状態で使用者に提供することができる。他の実施形態では、各物品1、2、3、4、5は、巻きシート10の形態のシート10で使用者に提供されてもよい。いくつかのこのような実施形態では、巻きシート10の軸方向長さは、巻きシート10の直径(又は軸方向長さに対して垂直の幅)より長くすることができる。物品1、2、3、4、5は、全体的にシガレットに近い大きさを有することができる。いくつかの実施形態では、シート10は、シート10が、使用時に装置と接触することができる物品1、2、3、4、5の外面を画定するように巻くことができる。いくつかの実施形態では、シート10は、シート10が、加熱材と物品1、2、3、4、5の外面との間にあるように巻くことができる。いくつかの実施形態では、物品は、シート10の重なった部分を互いに接着する接着剤(図示せず)を備えて、巻きシート10がほどけることを防ぐ助けとなり得る。接着剤は、例えば、アラビアゴム、天然樹脂又は合成樹脂、でんぷん、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、及びニスのうちの1つ以上を含むことができる。他の実施形態では、接着剤を省略してもよい。
【0081】
図6を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図6の物品6は、
図1を参照して上記で説明した物品1のシート10から形成された巻きシート10を備える。
図1の物品1に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図6の物品6に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。さらに、
図6の物品6の巻きシート10は、本書で説明した他の実施形態のいずれかのシート10の巻いたものに置き換えられて個別の各実施形態を形成することができる。
【0082】
この実施形態では、物品6は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状である。物品6の巻きシート10は、巻きシート10の直径(又は軸方向長さに対して垂直な幅)より長い軸方向長さを有する。シート10は、シート10が加熱材と物品6の外面との間にあるように配置される。これは、加熱材20内に発生した熱を物品6内に保持する助けとなる。いくつかの実施形態では、物品6は、シート10の重なった部分を互いに接着する接着剤(図示せず)を備えて、巻きシート10がほどけることを防ぐ助けとなり得る。接着剤は上記の可能な接着剤の1つ以上を含むことができるが、他の実施形態では、このような接着剤を省略してもよい。
【0083】
物品6は、巻きシート10の長手方向の両端に配置された2つのコネクタ32、34を備える。この実施形態では、コネクタ32、34のそれぞれは、担体と、担体上の加熱材の1つ以上の物体を備える。この実施形態では、担体は紙から作られているが、他の実施形態では、担体は、代替の電気絶縁性の材料など、紙以外の材料で作ってもよい。他の実施形態では、コネクタ32、34の1つ又はそれぞれは、その代わりに、全体又は実質的に全体が加熱材からなってもよい。
【0084】
この実施形態では、コネクタ32、34は、上記の可能な接着剤の1つ以上を含むことができる接着剤(図示せず)によってシート10に接着されるが、他の実施形態では、このような接着剤を省略してもよい。この実施形態では、シート10とコネクタ32、34を組み合わせたものは、使用時、装置と接触する可能性がある物品6の外面を画定する。
【0085】
この実施形態では、コネクタ32、34は、再生喫煙材のシート10の各長手方向端に当接して、その結果、物品6の各長手方向端を形成する。この実施形態では、コネクタ32、34は、コネクタ32、34の加熱材が、喫煙材を加熱するために加熱可能である加熱材20と接触するように配置される。再生喫煙材のシート10の表面上の加熱材20が細長い渦巻の形状のとき、コネクタ32、34の加熱材は、これがなければシート10の表面上で離間する加熱材20の部分を接続するように働き、その結果、加熱材の1つ以上の閉回路を画定する。本書の他の箇所で留意したように、加熱材の閉回路を設けることは、使用時、閉回路と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、ジュール加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0086】
図示の実施形態に対する変形では、物品6は、例えば、
図2の物品2から形成されてもよい。すなわち、
図2の物品2のシート10を巻き、次いで、コネクタ32、34を巻きシート10の長手方向の両端に取り付けることができる。加熱材を備えた片22a、22b、22c、22dは、巻きシート10の長手方向軸に平行となるように配置することができる。コネクタ32、34は、コネクタ32、34の加熱材が加熱材20の片22a、22b、22c、22dとして加熱材の1つ以上の閉回路を画定するように配置することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、加熱材20はU字形とすることができ、このU字のアーム部の自由端は物品6の長手方向の一端に配置され、U字の基部は物品6の長手方向端から離れて配置される。このような変形では、加熱材20と、1つのコネククタ32、34の加熱材とを備える1つ以上の閉回路を生成するために、コネクタ32、34の1つだけを物品6の長手方向の一端に設ける必要がある。
【0088】
いくつかの実施形態では、(1つ以上の)コネクタ32、34は、加熱材20に対して移動可能又は回転可能とすることができる。このように回転すると、(1つ以上の)コネクタ32、34による加熱材20の部分間の接続数を変えることができ、以て、1つ又は複数の回路に含まれる加熱材の量を変えることができる。これによって、喫煙材に与える加熱の強さを変えることができる。いくつかの実施形態では、シート10の表面上の加熱材20は、異なる厚さ及び/又は幅の片又は帯を備えることができ、その結果、(1つ以上の)コネクタ32、34を帯に対して異なる回転位置に回転することによって異なる加熱プロファイルを生成することができる。
【0089】
図7を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。
図7の物品7は、
図1を参照して上記で説明した物品1のシート10から形成された巻きシート10を備える。
図1の物品1に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、
図7の物品7に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。さらに、
図7の物品7の巻きシート10は、本書で説明した他の実施形態のいずれかのシート10の巻いたものに置き換えられて個別の各実施形態を形成することができる。
【0090】
この実施形態では、物品7は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状である。物品7の巻きシート10は、巻きシート10の直径(又は軸方向長さに対して垂直な幅)Dより長い軸方向長さLを有する。
【0091】
この実施形態では、物品7は、シート10の重なった部分を互いに接着する接着剤50を備えて、巻きシート10がほどけることを防ぐ助けとなり得る。接着剤50は上記の可能な接着剤の1つ以上を含むことができるが、他の実施形態では、このような接着剤を省略してもよい。
図7では、接着剤50の大きさは、物品7の残りの部分に対して、わかりやすくするために強調されていることに留意されたい。
【0092】
この実施形態の物品7はまた、巻きシート10から分離し巻きシート10によって取り囲まれた喫煙材40の塊を備える。シート10は、シート10が加熱材と物品7の外面との間にあり、加熱材が喫煙材40の塊の近くになるように配置される。これは、使用時、加熱材20内に発生した熱を物品7内に保持する助けとなる。これはまた、使用時、発生した熱が喫煙材40の塊を加熱することを可能にする助けとなる。この実施形態では、喫煙材40の塊のすべては、巻きシート10の中央に配置される。しかしながら、他の実施形態では、このようにしないことができる。例えば、いくつかの実施形態では、喫煙材40の塊の少なくとも一部分は、シート10の重なっている部分の間に挟むことができる。いくつかの実施形態では、喫煙材40の塊の形状は環状とすることができ、又はそれを省略することができ、また、物品7の形状は環状とすることができる。
【0093】
上記の実施形態のそれぞれでは、加熱材20は、再生喫煙材を備えたシート10の表面上に配置される。しかしながら、他の実施形態では、加熱材20はシート10に埋め込んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、加熱材20は、シート10内に埋め込まれた1つ以上の片、針金、又は帯の形態とすることができる。いくつかの実施形態では、加熱材20は、シート10と接触しなくてもよいが、それでも、喫煙材を加熱するために加熱可能となるようにシート10と熱連通してもよい。
【0094】
上記の実施形態のそれぞれでは、加熱材20は喫煙材と接触している。したがって、加熱材20が変動磁場の侵入によって加熱されると、熱を加熱材20から直接喫煙材に伝達することができる。他の実施形態では、加熱材20は喫煙材と接触しないようにしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品は、加熱材がなく、加熱材20を喫煙材から離間する熱伝導遮蔽物を備えることができる。いくつかの実施形態では、熱伝導遮蔽物は、加熱材20のコーティングとすることができる。このような遮蔽物を設けると、熱を分散して加熱材の過熱点を緩和する助けとなるのに有利となり得る。
【0095】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20の第1の部分は、物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくすることができる。加熱材20の第1の部分が第1の材料で作られ、加熱材20の第2の部分が異なる第2の材料で作られ、第1の材料が第2の材料よりもその中に誘導される渦電流の影響の受けやすさが高い結果、加熱材20の第1の部分は影響をより受けやすくすることができる。例えば、第1の部分及び第2の部分のうちの一方を鉄で作り、第1の部分及び第2の部分のうちの他方をグラファイトで作ることができる。これに代えて又はこれに加えて、加熱材20の第1の部分を備える構成部品の第1の部分が加熱材20の第2の部分を備える構成部品の第2の部分と異なる厚さを有する結果、加熱材20の第1の部分は影響をより受けやすくすることができる。
【0096】
加熱材20の、その中に誘導される渦電流の影響の受けやすさをこのように変えることは、喫煙材を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。例えば、影響の受けやすさがより高い部分は、喫煙材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材の第1の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。影響の受けやすさがより低い部分は、喫煙材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材の第2の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成されることができ、喫煙材の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気が形成され続けることができる。喫煙材の揮発可能な成分を使い尽くすと、喫煙材の第1の領域は蒸気の生成を終えることができる。
【0097】
他の実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20のすべてが、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を等しく又は実質的に等しく受けやすくすることができる。いくつかの実施形態では、加熱材20はこのような渦電流の影響を受けやすくすることができない。そのような実施形態では、加熱材20は非導電性の磁性材料の場合があり、したがって、上記の磁気ヒステリシスプロセスによって加熱可能とすることができる。
【0098】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、複数の物品1、2、3、4、5、6、7は積層体に配置することができる。物品は互いに接着して積層体にすることができる。積層体の物品1、2、3、4、5、6、7のそれぞれは、積層体の物品1、2、3、4、5、6、7のそれぞれ他のものと同一とすることができる。或いは、積層体の物品1、2、3、4、5、6、7の1つ以上は、積層体の物品1、2、3、4、5、6、7の1つ以上の他のものと構造が異なってもよい。例えば、積層体の物品の任意の1つ以上は、上記の積層体の物品1、2、3、4、5、6、7の1つであってもよく、積層体の物品の1つ以上の他のものは、上記の物品1、2、3、4、5、6、7の1つと異なってもよい。そのとき、喫煙材を加熱材の2つの物体間に挟むことができる。
【0099】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7は複数の物体を備えることができ、物体のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材20を備える。複数の物体の少なくとも1つは、複数の物体の他の物体の少なくとも1つよりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくすることができる。これは、例えば、上記のように、異なる加熱材で作られた物体、及び/又は異なる厚さを有する物体によって行うことができる。この場合もまた、上記の態様に対応して、物体の影響の受けやすさをこのように変えることは、喫煙材を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。複数の物体は同一面上とすることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7は、加熱材20の少なくとも一部分に触媒材料を備えることができる。触媒材料は、加熱材20上のコーティングの形態を採ることができる。触媒材料は、加熱材20の(1つ以上の)表面のすべてに、又は加熱材20の(1つ以上の)表面のいくつかだけに設けることができる。このような触媒材料を加熱材20上に設けることは、使用時、物品1、2、3、4、5、6、7が、加熱された化学的に活性な表面を有することができることを意味する。使用時、触媒材料は、潜在的な刺激物を刺激性のより少ないものに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。
【0101】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7は、再生喫煙材と流体連通する通路を画定する吸い口を備えることができる。吸い口は、プラスチック材、厚紙、酢酸セルロース、紙、金属、ガラス、セラミック、又はゴムなどの任意の適切な材料で作ることができる。使用時、喫煙材が加熱されると、喫煙材の揮発した成分を、使用者は容易に吸引することができる。物品が消耗品である実施形態では、物品の喫煙材の(1つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は、吸い口を物品1、2、3、4、5、6、7の残りとともに処分することができる。これは、複数の物品で同じ吸い口を使用するよりも衛生的となり得、吸い口が確実に喫煙材と正しく位置合わせされる助けとなり得、使用者が別の物品を使用することを望むたびに清潔で新しい吸い口を使用者に提供する。吸い口は、これを設ける場合、香味料を備える、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口の通路を通過するときに加熱された蒸気によって受け取られるように配置することができる。
【0102】
図8を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。この実施形態の物品8は、再生喫煙材を備えるシート10と、シート10を担体に接着するためにシート10の表面上に接着剤60とを備える。
【0103】
この実施形態では、シート10は巻きシート10である。これによって、シート10は損傷を受けにくく、保存及び取扱いにより便利になる。しかしながら、図示の実施形態に対する変形では、シート10は、その代わりに、平面状、又は実質的に平面状であってもよい。
【0104】
接着剤60は、例えば、アラビアゴム、天然樹脂又は合成樹脂、でんぷん、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、及びニスのうちの1つ以上を含むことができる。
【0105】
この実施形態では、物品8は裏打ちシート70を備える。接着剤60は、再生喫煙材を備えるシート10と裏打ちシート70との間に配置される。したがって、物品8は3つの層10、60、70を有する巻き構造体を備える。
【0106】
裏打ちシート70は、巻きシート10の重なっている層が、シート10が巻かれた状態のとき、接着剤60によって互いに接着されないことを確実にするために適切な任意の材料を含むことができる。例えば、裏打ちシート70は、ガラス繊維、炭素繊維、絹、紙、耐油紙などを含むことができる。
【0107】
この実施形態では、裏打ちシート70は、再生喫煙材を備えるシート10の表面上に接着剤60を露出するように、接着剤60、及び再生喫煙材を備えるシート10から取外し可能である。本実施形態では、裏打ちシート70を取り外すと、シート10を切断し又は引き裂き、次いで、使用者は接着剤60を使用してシート10を担体に接着することができる。このように接着すると、シート10と担体との間の空隙を狭く又はなくすることができ、シート10と担体との間で良好な熱結合を与えることができる。物品8には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく、担体がこのような加熱材を備えていると想定している。したがって、シート10がこのような担体に接着されると、シート10と担体とが組み合わさったものを、担体の加熱材を加熱する、したがって、シート10の喫煙材を加熱するのに使用される変動磁場を発生させるための磁場発生器を有する装置とともに使用することができる。このような装置100の例は
図9に示され、下記で説明される。
【0108】
この実施形態に対する変形では、接着剤60は、再生喫煙材を備えるシート10から裏打ちシート70とともに取外し可能とすることができる。このような変形では、使用者は、再生喫煙材を備えるシート10を担体に接着するために別個の接着剤を使用する必要があり得る。このような別個の接着剤は担体上にあってもよいし、或いは、使用者が、担体及び/又は再生喫煙材を備えるシート10に塗布する必要があってもよい。
【0109】
この実施形態に対するさらなる変形では、接着面はシート10の表面とすることができる。すなわち、シート10の表面は本質的に粘着性又は接着性とすることができる。いくつかのこのような実施形態では、シート10の接着面と接触し、シート10の接着面を露出するように取外し可能な裏打ちシート70を、物品は備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、喫煙材を備えるシート10に面する表面の反対側の裏打ちシート70の表面は、非粘着性の表面となるように被覆又は処理することができる。
【0111】
この実施形態に対するさらなる変形では、裏打ちシート70を物品8から省略することができる。このようなさらなる変形では、接着剤60は、巻きシート10の重なっている層が、シート10が巻かれた状態のとき、接着剤60によって互いに接着されないことを確実にするために適していることが好ましい。
【0112】
いくつかの実施形態では、一連の長手方向に離間した、ミシン目などの脆弱な線が、喫煙材を備えるシート10の幅、及び、裏打ちシート70が設けられていれば任意にそれも横切って延在してもよい。これらは、使用者が、シート10の所定の長さを担体に取り付けるためにシート10の残りの部分から切り離す助けとなり得る。
【0113】
上記の実施形態のそれぞれでは、シート10は再生喫煙材を備える。しかしながら、他の実施形態では、シート10は異なる形態で喫煙材を備えてもよい。
【0114】
例えば、いくつかの実施形態では、シート10はタバコ抽出物を保持することができる。タバコ抽出物は、溶媒でタバコを処理することを含む方法によって得られるタバコの成分で、その方法は、濃縮などの他の処理ステップを含んでもよい。
【0115】
シート10は、型成形材料又は押出材料とすることができ、スラリーから形成されるのが適している。シート10は、例えば、紙、厚紙、ボール紙などを含むことができる。シートは充填剤及び結合剤を含んでもよい。充填剤は、木材パルプ、セルロース、及びセルロース派生物などの有機材料とすることができる。充填剤は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウムなどの無機材料とすることができる。結合剤は、アルギン酸、多糖類、セルロース又は改質セルロース、でんぷん又は改質でんぷん、或いは天然ゴムを含むことができる。
【0116】
上記の実施形態のそれぞれでは、再生喫煙材を備えるシート10は、全体又は実質的に全体が再生喫煙材からなってもよい。しかしながら、他の実施形態では、シート10は、再生喫煙材に加えて1つ以上の材料又は成分を含んでもよい。
【0117】
上記の実施形態のそれぞれでは、シート10自体には加熱材がない。しかしながら、他の実施形態では、シート10は、再生喫煙材に加えて加熱材を備えてもよい。
【0118】
上記の実施形態のそれぞれでは、シート10又は巻きシート10は滑らか又は実質的に滑らかである。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。例えば、いくつかの実施形態では、シート10は波形としてもよい、上に突起を有してもよい、及び/又は中にぎざぎざを有してもよい。
【0119】
図1~5を参照して上記で説明した実施形態のそれぞれでは、シート10は平面状、又は実質的に平面状である。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。例えば、いくつかの実施形態では、シート10は、波形であってもよい、波状の経路又は波打った経路を辿ってもよい、ねじれていてもよい、上に突起を有してもよい、中にぎざぎざを有してもよい、及び/又は非一様で非平面状の形状を有してもよい。
【0120】
このように滑らかでない、又は平面状でない形状は、使用時に物品1、2、3、4、5、6、7、8を通過する空気が、喫煙材が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。このような形状によって、空気は曲がりくねった経路を辿り、空気に乱流が生じ、加熱材20から喫煙材への熱伝達がより良くなり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、物品は、巻きシート10の半径方向外側に断熱材の塊を備えることができる。断熱材は、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような断熱材は、装置の構成部品への熱損失を防ぐ助けとなり得、また、シート10の喫煙材の加熱効率を高める助けとなり得る。いくつかの実施形態では、断熱材は、1ミリメートルまでの厚さ、例えば、0.5ミリメートルまでの厚さを有することができる。
【0122】
上記の実施形態のそれぞれでは、加熱材20はアルミニウムである。しかしながら、他の実施形態では、加熱材20は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱材20は金属又は金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱材20は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。他の実施形態では、他の(1つ以上の)材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、加熱材20は磁性体とすることができる。また、加熱材20として磁性導電材料を用いると、使用時、磁性導電材料と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができることも分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材20のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0123】
接着剤を備える上記の実施形態のそれぞれでは、接着剤が、物品とともに使用する装置の動作温度で、熱的に安定で、その機能を保持することが有利である。動作温度の例は本書の他の箇所で説明される。
【0124】
上記の物品1、2、3、4、5、6、7、8及びそれらの上記の変形のそれぞれは、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用可能である。本装置は、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものとすることができる。(1つ以上の)物品1、2、3、4、5、6、7、8のいずれか1つと、このような装置とをシステムとして一緒に提供してもよい。システムは、物品1、2、3、4、5、6、7、8が装置とは別個のものであるキットの形態を採ってもよい。これに代えて、システムは、物品1、2、3、4、5、6、7、8が装置と組み合わされている組立体の形態を採ってもよい。次に、このようなシステムの例を、
図9を参照して説明する。
【0125】
図9を参照すると、本発明の実施形態によるシステムの例の概略断面図が示されている。この実施形態のシステム1000は、物品2と装置100とを備える。物品2は、再生喫煙材を備えるシート10と、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材22a、22b、22c、22dとを備える。装置100は、物品2の喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。
【0126】
この実施形態では、システム1000の物品2は
図2の物品2であり、物品2のシート10が巻きシート10となり、加熱材20を備える片22a、22b、22c、22dが巻きシート10の長手方向軸に平行になるように配置されるように巻かれる。しかしながら、他の実施形態では、システム1000の物品は、上記の他の物品のいずれか1つなど、
図2の物品2以外の物品であってもよい。大まかに言うと、装置100は、物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域111と、物品のその部分が加熱領域111内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器112とを備える。
【0127】
この実施形態の装置100は、本体110と吸い口120とを備える。吸い口120は、それを貫通する通路122を画定する。吸い口120は、加熱領域111内への開口を覆うように本体110に対して配置可能である。吸い口120を本体110に対してこのように配置すると、吸い口120の通路122は、加熱領域111と流体連通する。使用時、通路122は、加熱領域111に挿入された物品1、2、3、4、5、6、7から揮発材が装置100の外部に流れることを可能にする通路として働く。この実施形態では、装置100の吸い口120は、本体110に吸い口120を接続するように、本体110と取外し可能に係合可能である。他の実施形態では、吸い口120は、蝶番又は可撓性部材などによって、本体110と永続的に接続することができる。装置100の吸い口120は、香味料を備えることができる、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口120の通路122を通過するときに加熱された蒸気によって受け取られるように配置することができる。物品1、2、3、4、5、6、7自体が吸い口を備える実施形態などのいくつかの実施形態では、装置100の吸い口120を省略することができる。
【0128】
この実施形態では、本体110は加熱領域111を備える。この実施形態では、加熱領域111は、物品2の少なくとも一部分を受け入れるための凹部111を備える。他の実施形態では、加熱領域111は、凹部以外、例えば、棚、面、又は突起としてもよく、また、物品1、2、3、4、5、6、7と協働するため又はそれを受け入れるために物品1、2、3、4、5、6、7との機械的な嵌合を必要としてもよい。この実施形態では、加熱領域111は細長く、物品2を受け入れるような大きさと形状である。この実施形態では、加熱領域111は物品2全体を収容する。他の実施形態では、加熱領域111は物品1、2、3、4、5、6、7の一部分だけ受け入れるような大きさであってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、装置100は、物品1、2、3、4、5、6、7が加熱領域114に配置されたときに物品1、2、3、4、5、6、7を圧縮するための機構を備えることができる。物品1、2、3、4、5、6、7をこのように圧縮すると、喫煙材を圧縮することができ、その結果、喫煙材の熱伝導率を上げることができる。言い換えると、喫煙材を圧縮すると、物品1、2、3、4、5、6、7内の熱伝達をより高くすることができる。このような圧縮は、物品1、2、3、4、5、6、7を破壊するほど強くすべきではなく、又は、使用者が物品1、2、3、4、5、6、7から揮発材を引き込むことができないほど強くすべきではない。
【0130】
この実施形態では、磁場発生器112は、電源113と、コイル114と、コイル114に交流電流などの変動電流を流すためのデバイス116と、制御器117と、制御器117を使用者が操作するためのユーザインターフェース118とを備える。
【0131】
この実施形態では、電源113は充電式電池である。他の実施形態では、電源113は、例えば、非充電式電池、キャパシタ、電池-キャパシタハイブリッド、又は商用電源への接続部など、充電式電池以外とすることができる。
【0132】
コイル114は任意の適切な形態を採ることができる。この実施形態では、コイル114は、銅などの導電性材料の螺旋コイルである。いくつかの実施形態では、磁場発生器112は、コイル114が巻かれた透磁性コアを備えることができる。このような透磁性コアは、使用時、コイル114によって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にする。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイル114の長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。
【0133】
この実施形態では、磁場発生器112のコイル114は、加熱領域111の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在する。他の実施形態では、これらの軸は、互いに平行にすることによって互いに揃えることができる、又は、互いに傾けることができる。
【0134】
この実施形態では、磁場発生器112のコイル114のインピーダンスは、物品1の加熱材20を備える片22a、22b、22c、22dのそれぞれのインピーダンスと等しい又は実質的に等しい。もしも、その代わりに物品2の片22a、22b、22c、22dの1つのインピーダンスがコイル114のインピーダンスよりも低い場合、使用時の当該の片の両端に発生する電圧は、インピーダンスを一致させたときに片の両端に生成することができる電圧よりも低くなる可能性がある。或いは、その代わりに、物品2の片22a、22b、22c、22dの1つのインピーダンスがコイル114のインピーダンスよりも高い場合、使用時のその片に発生する電流は、インピーダンスを一致させたときにその片に生成することができる電流よりも低くなる可能性がある。システム1000が
図1及び
図3~7の物品1、3、4、5、6、7のうちの1つを備える実施形態では、同様に、コイル114のインピーダンスは、加熱材を備える物品1、3、4、5、6、7の部分のインピーダンスに等しく又は実質的に等しくすることができる。インピーダンスを一致させると、使用中の加熱時に、物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材に発生する加熱電力を最大にするために電圧と電流とのバランスをとる助けとなり得る。
【0135】
この実施形態では、コイル114に変動電流を流すためのデバイス116は、電源113とコイル114との間に電気的に接続される。この実施形態では、制御器117もまた、電源113に電気的に接続され、デバイス116に通信可能に接続されてデバイス116を制御する。より詳細には、この実施形態では、制御器117はデバイス116を制御して、電源113からコイル114への電力の供給を制御するためのものである。この実施形態では、制御器117は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の実施形態では、制御器117は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス116及び制御器117を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。この実施形態では、制御器117は、ユーザインターフェース118を使用者が操作することによって動作する。この実施形態では、ユーザインターフェース118は、本体110の外側に配置される。ユーザインターフェース118は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。他の実施形態では、ユーザインターフェース118は遠隔にあって、ブルートゥース(Bluetooth)などによって装置の残りの部分に無線で接続することができる。
【0136】
この実施形態では、使用者がユーザインターフェース118を操作すると、制御器117は、デバイス116に、コイル114に交流電流を流してコイル114に交流磁場を発生させる。物品1、2、3、4、5、6、7が加熱領域111内に配置されると、装置100のコイル114及び物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20は、コイル114によって生成された交流磁場が物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20に侵入するように適切な相対位置に配置される。物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材20が導電性材料のとき、これは、加熱材20に1つ以上の渦電流を生じさせることができる。渦電流が加熱材20の電気抵抗に抗して加熱材20内を流れると、加熱材20はジュール加熱によって加熱される。上記のように、加熱材20が磁性材料で作られているとき、加熱材20内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材20内に熱が生成される。
【0137】
この実施形態の装置100は、加熱領域111の温度を検知するための温度センサ119を備える。温度センサ119は、制御器117に通信可能に接続され、その結果、制御器117は加熱領域111の温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ119は、凹部、加熱領域又は物品1、2、3、4、5、6、7を光学的に温度測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7は、物品1、2、3、4、5、6、7の温度を検出するために抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)などの温度検出器を備えることができる。例えば、温度検出器は、物品1、2、3、4、5、6、7のシート10内又はシート10上に配置することができる。物品1、2、3、4、5、6、7は、温度検出器に電気接続などで接続された1つ以上の端子をさらに備えることができる。(1つ以上の)端子は、物品1、2、3、4、5、6、7が加熱領域111内にあるときに、装置100の温度モニタとの電気接続などの接続のためのものとすることができる。制御器117は温度モニタを備えることができる。したがって、装置100の温度モニタは、装置100とともに使用中の物品1、2、3、4、5、6、7の温度を測定することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、加熱材20を備える物品1、2、3、4、5、6、7の構成部品の抵抗を適切にすることによって、加熱材20の温度変化に対する応答は、物品1、2、3、4、5、6、7内の温度に関する情報を与えるには十分とすることができる。そのとき、装置100の温度センサ119は、加熱材を分析するためのプローブを備えることができる。
【0139】
制御器117は、加熱領域111の温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ119又は温度検出器から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じてコイル114に流す変動電流又は交流電流の特性をデバイス116に調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。使用時、加熱領域111内に配置された物品1、2、3、4、5、6、7内の喫煙材は、所定の温度範囲で、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な加熱がなされる。したがって、制御器117、及び装置100は全体として、喫煙材を加熱して、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成される。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃~約300℃、例えば、約50℃と約250℃との間、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度センサ119を省略することができる。
【0140】
装置100は、加熱領域111を装置100の外部と流体接続する空気入口を画定することができる。このような空気入口は、装置100の本体110及び/又は装置100の吸い口120によって画定することができる。使用者は、吸い口120の通路122を通して(1つ以上の)揮発成分を引き込むことによって喫煙材の(1つ以上の)揮発成分を吸入することができる。(1つ以上の)揮発成分が物品1、2、3、4、5、6、7から、空気は、装置100の空気入口を経て加熱領域111内に引き込むことができる。
【0141】
装置は、使用者に触覚フィードバックを与えることができる。このフィードバックは、加熱していることを示すことができる、又は、物品1、2、3、4、5、6、7の喫煙材の揮発可能な(1つ以上の)成分が、元の量の所定の割合より多く消費されたことなどを示すようにタイマによってフィードバックを生じさせることができる。この触覚フィードバックは、コイル114と物品1、2、3、4、5、6、7の加熱材との相互作用(例えば、磁気的な応答)によって、導電性素子とコイル114との相互作用によって、不平衡モータの回転によって、圧電素子に繰り返し電流を印加及び除去することによって、などで生じさせることができる。
【0142】
装置100はコイルを2つ以上備えることができる。装置100の複数のコイルは、物品1、2、3、4、5、6、7の喫煙材を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成するように動作可能とすることができる。例えば、1つのコイルは、加熱材20の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材の第1の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。別のコイルは、加熱材20の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材の第2の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成することができ、喫煙材の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気を形成し続けることができる。最初のうちは加熱されていない喫煙材の第2の領域は、喫煙材の第1の領域が加熱されている間、生成された蒸気の温度を下げるように、又は生成された蒸気をまろやかにするようにヒートシンクとして働くことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7は、物品1、2、3、4、5、6、7の喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材20の複数の分離した部分を備えることができる。加熱材20の複数の分離した部分は、装置100のそれぞれの複数のコイル114によって生成される変動磁場によって、実質的に別々に加熱可能とすることができる。加熱材20の複数の分離した部分の1つは、加熱材20の複数の分離した部分の(1つ以上の)他の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくすることができる。このような構造は、上記と同様な方法で、物品1、2、3、4、5、6、7の喫煙材を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成するように動作可能とすることができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、加熱材20を備える構成部品は、その中に切れ目又は穴を備えていてもよい。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材の異なる領域が加熱される度合いを制御するための熱断絶部として機能してもよい。加熱材20のうち切れ目又は穴を有する領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。一方、このような切れ目又は穴を使用して、使用時、複雑な渦電流の生成を最適化することができる。
【0145】
上記の実施形態の各々において、喫煙材はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々の変形例では、喫煙材は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0146】
本発明を使用する物品は、例えば、カートリッジとすることができる。
【0147】
上記の実施形態のそれぞれでは、物品1、2、3、4、5、6、8は消耗品である。物品1、2、3、4、5、6、7、8内の喫煙材の(1つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は物品1、2、3、4、5、6、7、8を処分することができる。使用者は、引き続き、別の物品1、2、3、4、5、6、7、8で装置を再使用することができる。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6、7、8は消耗品でないものとすることができ、喫煙材の(1つ以上の)揮発可能な成分が消費されると、装置と物品1、2、3、4、5、6、7、8とを一緒に処分することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、上記の装置は、この装置とともに使用可能な物品1、2、3、4、5、6、7、8とは別個に販売され、供給され、又はその他の方法により提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置及び1つ以上の上記物品1、2、3、4、5、6、7、8を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0149】
本発明は、本明細書で説明した物品のいずれか1つと、本明細書で説明した装置のいずれか1つとを備えるシステムとして実施することも可能である。ここで、磁場発生器によって生成される変動磁場の侵入による加熱のための加熱材(例えば、サセプタの形態のもの)は、装置自身が有する。物品の部分が加熱領域111内にあるとき、装置の加熱材で発生した熱が物品に伝達されて、物品内の喫煙材を加熱する、又はさらに加熱することができる。
【0150】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための優れた物品、及びそのような装置及びそのような物品を備える優れたシステムを提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【符号の説明】
【0151】
2…物品、10…喫煙材を備えるシート、20…加熱材、100…装置、111…加熱領域、112…磁場発生器、1000…システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、
喫煙材を備えるシートと、
前記喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材と、
を備え、
前記シートが、波形である、又は非一様で非平面状の形状を有している、物品。
【請求項2】
前記加熱材が前記シートと接触している、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記シートは、前記加熱材と前記物品の外面との間にある、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記シートの表面のすべて又は実質的にすべてが、前記加熱材によって覆われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記シートの表面上に複数の分離した物体を備え、前記複数の分離した物体のそれぞれが前記加熱材を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記複数の分離した物体のそれぞれが、前記加熱材を備える管、又は前記加熱材を備える片を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記加熱材が、少なくとも1つの渦巻又は閉回路の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記シート上にインクを備え、前記インクが前記加熱材を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記加熱材が金属又は金属合金を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記シートの前記喫煙材が、タバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記喫煙材が、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記喫煙材が、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊の形態である、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記喫煙材が、非タバコ製品を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
請求項1~15のいずれか一項に記載の物品と、
を備えるシステムであって、
前記装置が、前記物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、前記物品の前記一部分が前記加熱領域内にあるとき、前記喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器とを備える、システム。
【外国語明細書】