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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065581
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】無人飛行体を用いた除草装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20220420BHJP
   B64D 1/18 20060101ALI20220420BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220420BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
A01M7/00 H
B64D1/18
B64C39/02
B64D47/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174281
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】592158969
【氏名又は名称】西武建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】畠山 正光
(72)【発明者】
【氏名】二村 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】川前 勝三郎
(72)【発明者】
【氏名】井戸田 和也
(72)【発明者】
【氏名】栗城 友花
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CB02
2B121CB25
2B121CB35
2B121CB37
2B121CB47
2B121CB61
2B121CB69
2B121CC05
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA24
2B121FA02
2B121FA11
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】無人飛行体を用いた除草作業において、除草時における作業量を極力軽減することの可能な除草装置を提供する。
【解決手段】遠隔操作によって飛行させられる無人飛行体2を備え、この無人飛行体には、その飛行を制御する飛行制御手段3と、除草領域の草種を検出する草種検出手段4と、草へ除草剤を散布する除草剤散布手段5と、これらの飛行制御手段、草種検出手段、および、除草剤散布手段の作動を制御するコントロールユニット6が設けられ、このコントロールユニットには、特定の草種Zが記録された特定草種データベース12が設けられ、この特定草種データベースと草種検出手段によって検出された草種との比較により特定草種が検出された際にその位置情報を前記コントロールユニットに送出するようになされていることを特徴とする。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作によって飛行させられる無人飛行体を備え、この無人飛行体には、その飛行を制御する飛行制御手段と、除草領域の草種を検出する草種検出手段と、前記草種へ除草剤を散布する除草剤散布手段と、これらの飛行制御手段、草種検出手段、および、除草剤散布手段の作動を制御するコントロールユニットが設けられ、このコントロールユニットには、特定の草種が記録された特定草種データベースが設けられ、この特定草種データベースと草種検出手段によって検出された草種との比較により特定草種が検出された際にその位置情報を前記コントロールユニットに送出するようになされていることを特徴とする無人飛行体を用いた除草装置。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、特定草種の位置情報が入力された際に飛行制御手段へ制御信号を送出して、前記除草剤散布手段を特定草種の草に対峙させた後に、前記除草剤散布手段へ散布信号を送出して除草剤を特定草種の草に向けて散布するようになされていることを特徴とする請求項1に記載の無人飛行体を用いた除草装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除草装置に関わり、特に、無人飛行体を用いて除草するようにした除草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路側部の草の繁茂領域の除草方法として、作業者が、草の繁茂領域に除草剤を散布することによって行なうことが挙げられる。
【0003】
このように人手によって除草剤の散布を行なう場合、道路上を走行する車への注意喚起を十分に行なっても、特に高速道路では、危険な状況を完全になくすことはできないのが現状である。
【0004】
このような状況に対応し、作業員の安全性を高めることの可能な方法として、たとえば、特許文献1に示されるように、遠隔操作される無人飛行体を用いて除草剤の散布を行なうことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-144811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような無人飛行体を用いて除草剤の散布を行なう場合、次のような改善すべき問題点が残されている。
【0007】
すなわち、前述した除草剤の散布は、除草剤を、草種を問わず除草領域全体に亘って散布するようにしている。
【0008】
しかしながら、除草の対象となる草には、繁殖力の強い草種とそうでない草種とが混在しており、前者の草種を基準に除草を行なうと除草頻度が高まることとなる。
【0009】
一方、草種によっては動物の餌になる。
そして、この草種の草が動物に食されることによる除草により、除草領域が狭められて除草の作業量が軽減される効果を期待できる。
【0010】
ここで、動物が食さない特定草種が混在していると、この特定草種が動物に食されずに残される。
このような現象が継続すると、除草領域内が特定草種で占められて、動物による除草が期待できなくなり、この結果、除草の作業量の軽減効果が低下してしまうことが想定される。
【0011】
本発明は、このような従来の技術において残されている問題点を改善するためになされたもので、無人飛行体を用いた除草作業において、除草時における作業量を極力軽減することの可能な除草装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無人飛行体を用いた除草装置は、遠隔操作によって飛行させられる無人飛行体を備え、この無人飛行体には、その飛行を制御する飛行制御手段と、除草領域の草種を検出する草種検出手段と、前記草へ除草剤を散布する除草剤散布手段と、これらの飛行制御手段、草種検出手段、および、除草剤散布手段の作動を制御するコントロールユニットが設けられ、このコントロールユニットには、特定の草種が記録された特定草種データベースが設けられ、この特定草種データベースと草種検出手段によって検出された草種との比較により特定草種が検出された際にその位置情報を前記コントロールユニットに送出するようになされていることを特徴とする。
【0013】
このように構成された無人飛行体を用いた除草装置は、無人飛行体に電力を供給する電力供給手段や、除草剤散布手段へ除草剤を供給する除草剤供給手段を地上に設置するとともに、これらを電力ケーブルやホースによって接続して使用状態とする。
【0014】
これより、無人飛行体を、遠隔操作により草の繁茂領域を移動させて草種の検出を行ないつつこの繁茂領域に除草剤を散布することにより除草を行なう。
【0015】
検出された草種は、特定草種データベースに記録された特定草種と比較され、特定草種が検出された際に、その位置情報がコントロールユニットに送出される。
【0016】
これによって、特定の草種、たとえば、繁殖力が強い草や野生動物等が食さない草等の分布が検出される。
【0017】
このように、特定草種の分布が検出されると、その検出結果に基づき、コントロールユニットから飛行制御手段へ制御信号が送出されて、除草剤散布手段が特定草種の草に対峙させられるとともに、除草剤散布手段へ散布信号が送出されて除草剤が特定草種の草に向けて散布され、この特定草種の除草が行なわれる。
【0018】
これによって、特定草種の草を集中的に除草することができる。
ここで、特定草種の草が繁殖力の強い草である場合、除草領域の草の繁茂の進行を抑制することができ除草作業の頻度を少なくすることができる。
【0019】
また、特定草種の草が、野生動物等が食さない草である場合、その特定草種を効果的に除草し、動物の食に適した草のみを極力残すことができる。
【0020】
そして、残された草種の草が動物等によって食されて、動物による除草が行なわれる。
この動物による除草が行なわれることにより、無人飛行体による除草作業の作業量を軽減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の無人飛行体を用いた除草装置にあっては、無人飛行体を用いた除草作業において、除草時における作業量を極力軽減することの可能な除草装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態の作用を示す概略図である。
図4】草の繁茂状態を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態の作用を示す概略図である。
図6】本発明の一実施形態のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ついで、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1において符号1は本実施形態の無人飛行体を用いた除草装置(以降、除草装置と略称する)を示す。
【0024】
本実施形態の除草装置1は、遠隔操作によって道路の側部の草Bの繁茂領域W(本実施形態においては法面A)に沿って飛行させられる無人飛行体2を備え、この無人飛行体2には、図6に示すように、その飛行を制御する飛行制御手段3と、繁茂領域Wの草種を検出する草種検出手段4と、草Bへ除草剤を散布する除草剤散布手段5と、これらの飛行制御手段3、草種検出手段4、および、除草剤散布手段5の作動を制御するコントロールユニット6が設けられ、この無人飛行体2には、地上に設置され、無人飛行体2に駆動電力を供給する電力供給手段7が電力ケーブル8を介して接続されているとともに、地上に設置され、無人飛行体2へ除草剤を供給する除草剤供給手段9がホース10を介して接続されている。
【0025】
また、無人飛行体2には草Bの繁茂状態を撮像する撮像手段11が搭載され、コントロールユニット6には、特定の草種が記録された特定草種データベース12と、特定草種が検出された位置情報を記録する特定草種位置特定手段13が組み込まれている。
【0026】
図1において符号Rは、高速道路等の道路を示し、その道路脇に沿って法面Aが設けられており、道路Rの側縁にはガードレールGが立設されて法面Aと区画されている。
【0027】
そして、本実施形態においては、電力ケーブル8およびホース10が、電力供給手段7および除草剤供給手段9の設置位置と道路Rの側縁(ガードレールG)との距離よりも短く設定されている。
【0028】
このように構成された本実施形態の除草装置1は、電力供給手段7および除草剤供給手段9を、道路Rの脇で、この道路Rから所定距離離して設置するとともに、これらの電力供給手段7および除草剤供給手段9を、無人飛行体2に電力ケーブル8やホース10によって接続して使用状態とする。
【0029】
これより、無人飛行体2を、遠隔操作により道路脇の草Bの繁茂領域Wを移動させつつこの繁茂領域Wに除草剤を散布することにより、繁茂領域Wの除草を行なうことができる。
【0030】
このような除草作業中に、本実施形態においては、誤操作や機器の不具合等により無人飛行体2の飛行制御が不能となった場合、この無人飛行体2が、地上に設置された電力供給手段7や除草剤供給手段9に電力ケーブル8やホース10によって接続されていることにより、無人飛行体2の飛行領域がこれらの電力ケーブル8やホース10によって規制される。
【0031】
ここで、電力ケーブル8やホース10が、電力供給手段7および除草剤供給手段9の設置位置と道路Rの側縁との距離よりも短く設定されていることにより、無人飛行体2が道路R上へ飛行してしまうことが防止される。
【0032】
したがって、除草作業を遠隔操作によって行ない、かつ、無人飛行体2の道路R上への不用意な移動を防止して、安全な除草作業を実施することができる。
【0033】
ここで、特に、電力ケーブル8と無人飛行体2との接続部に、例えば、磁力を用いて接続される電気接点を設けておき、電力ケーブル8に所定値以上の外力が作用し、この外力が磁力による電気接点の吸着力を上回った際に、図3に示すように、電力ケーブル8が無人飛行体2から切り離されることにより、無人飛行体2への電力供給が停止させられる。
これによって、無人飛行体2が強制的に道路Rの脇に落下させられる。
【0034】
一方、繁茂領域Wの草Bには、図4に示すように、繁殖力の強いものや野生動物等が食さない特定草種Zが混在している。
【0035】
前者の場合、草Bの育ちが早いことにより除草作業の頻度が高まり、後者の場合、その回りの食に適した草のみが野生動物等によって除草されて、図4(c)に示すように繁殖力の強い特定草種Zのみが残り、動物による除草効果がなくなり、除草の作業量が増加する。
【0036】
そこで、本実施形態においては、コントロールユニット6に設けられた特定草種データベース12を用い、この特定草種データベース12に記録された特定草種と草種検出手段4によって検出された草種との比較がなされ、特定草種Zが検出された場合、図5に示すように、その位置情報が記憶される。
【0037】
そして、このような特定草種Zの位置情報が記憶されると、飛行制御手段3へ制御信号が送出されて、除草剤散布手段5が特定草種Zに対峙させられるとともに、除草剤が除草剤散布手段5から特定草種Zへ向けて散布されてこの特定草種Zの草の集中的な除草が行なわれる。
【0038】
この結果、特定草種Zが繁殖力の強い草である場合、繁殖力の弱い草を残して除草することができる。
この結果、除草間隔を長くすることができる。
【0039】
また、特定草種Zが、動物が食さない草である場合、動物が食する草を残した除草を行なうことができる。
この結果、除草作業後に、動物に除草を行なわせることが期待でき、その分人手による除草作業を少なくすることができ、あるいは、除草間隔を長くすることができる。
【0040】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 (無人飛行体を用いた)除草装置
2 無人飛行体
3 飛行制御手段
4 草種検出手段
5 除草剤散布手段
6 コントロールユニット
7 電力供給手段
8 電力ケーブル
9 除草剤供給手段
10 ホース
11 撮像手段
12 特定草種データベース
13 特定草種位置特定手段
A 法面
B 草
G ガードレール
R 道路
Z 特定草種

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
遠隔操作によって飛行させられる無人飛行体を備え、この無人飛行体には、その飛行を制御する飛行制御手段と、除草領域の草種を検出する草種検出手段と、前記草へ除草剤を散布する除草剤散布手段と、これらの飛行制御手段、草種検出手段、および、除草剤散布手段の作動を制御するコントロールユニットが設けられ、このコントロールユニットには、特定の草種が記録された特定草種データベースが設けられ、この特定草種データベースと草種検出手段によって検出された草種との比較により特定草種が検出された際にその位置情報を前記コントロールユニットに送出するようになされ、前記コントロールユニットは、特定草種の位置情報が入力された際に飛行制御手段へ制御信号を送出して、前記除草剤散布手段を特定草種の草に対峙させた後に、前記除草剤散布手段へ散布信号を送出して除草剤を特定草種の草に向けて散布するようになされていることを特徴とする無人飛行体を用いた除草装置。