(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068346
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20220426BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220426BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220426BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220426BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220426BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220426BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20220426BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P37/04
A61K39/395 N
A61K31/7068
A61K31/706
A61K31/704
A61K31/7076
A61K31/69
A61K31/519
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027453
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2020102787の分割
【原出願日】2015-06-30
(31)【優先権主張番号】62/019,795
(32)【優先日】2014-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/111,470
(32)【優先日】2015-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/642,497
(32)【優先日】2015-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517003705
【氏名又は名称】アンフィヴェナ セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】エルワンジャー,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】エヴニン,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】フォックス,ジュディス エー.
(72)【発明者】
【氏名】フチェック,イヴィカ
(72)【発明者】
【氏名】ゲノ,ジャンマリー
(72)【発明者】
【氏名】ナックマス,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】クンケル,ロリ
(72)【発明者】
【氏名】リトル,メルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】モルケンシン,ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】ライコビッチ,エーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロイシュ,ウーウェ
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ウェイチェル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジュコーフスキー,ユージーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトCD33及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性の結合タンパク質を提供する。
【解決手段】ヒトCD33及びヒトCD3に特異的な二重特異性タンデムダイアボディであって、前記タンデムダイアボディは第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは次々に接続された少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドは、(i)ヒトCD33に特異的な可変重鎖(VH)領域;(ii)ヒトCD33に特異的な可変軽鎖(VL)領域;(iii)ヒトCD3に特異的なVH領域、及び、(iv)ヒトCD3に特異的なVL領域、を含み、各ポリペプチドにおいて、4つの可変連鎖領域が、特定の順序でペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって次々に結合されることを特徴とする、二重特異性タンデムダイアボディである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD33およびヒトCD3に特異的な二重特異性タンデムダイアボディであって、前記タンデムダイアボディは第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは次々に接続された少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドは、(i)ヒトCD33に特異的な可変重鎖(VH)領域;
(ii)ヒトCD33に特異的な可変軽鎖(VL)領域;
(iii)ヒトCD3に特異的なVH領域、および
(iv)ヒトCD3に特異的なVL領域、
を含み、
各ポリペプチドにおいて、4つの可変連鎖領域が、下記の順序でペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって次々に結合されることを特徴とする、二重特異性タンデムダイアボディ:
VL(CD3)-L1-VH(CD33)-L2-VL(CD33)-L3-VH(CD3);
VH(CD3)-L1-VL(CD33)-L2-VH(CD33)-L3-VL(CD3);
VL(CD33)-L1-VH(CD3)-L2-VL(CD3)-L3-VH(CD33);または
VH(CD33)-L1-VL(CD3)-L2-VH(CD3)-L3-VL(CD33)。
【請求項2】
ヒトCD33に特異的なVL領域は、SEQ ID NO:21-27から成る群から選ばれた配列から成るCDR1、SEQ ID NO:28-34から成る群から選ばれた配列から成るCDR2、およびSEQ ID NO:35-41から成る群から選ばれた配列から成るCDR3:35-41を含む、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項3】
ヒトCD33に特異的なVH領域は、SEQ ID NO:42-48から成る群から選ばれた配列から成るCDR1、SEQ ID NO:49-55から成る群から選ばれた配列から成るCDR2、SEQ ID NO:56-63から成る群から選ばれた配列から成るCDR3を含む、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項4】
ヒトCD33に特異的なVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記から成る群から選択される配列である、請求項2に記載の二重特異性タンデムダイアボディ:(i)SEQ ID NO:21、28および35;
(ii)SEQ ID NO:22、29および36;
(iii)SEQ ID NO:23、30および37;
(iv)SEQ ID NO:24、31および38;
(v)SEQ ID NO:25、32および39;
(vi)SEQ ID NO:26、33および40;並びに
(vii)SEQ ID NO:27、34および41。
【請求項5】
CD33に特異的なVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記から成る群から選択される配列である、請求項3に記載の二重特異性タンデムダイアボディ:(i)SEQ ID NO:42、49および56;
(ii)SEQ ID NO:43、50および57;
(iii)SEQ ID NO:43、50および58;
(iv)SEQ ID NO:43、50および59;
(v)SEQ ID NO:43、50および60;
(vi)SEQ ID NO:44、51および61;
(vii)SEQ ID NO:45、52および62;
(viii)SEQ ID NO:46、53および63;
(ix)SEQ ID NO:47、54および63、並びに
(x)SEQ ID NO:48、55および63。
【請求項6】
CD33に特異的なVL領域およびVH領域は、下記から成る群から選択される配列である、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:11;
(ii)SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:12;
(iii)SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:13;
(iv)SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:14;
(v)SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:15;
(vi)SEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:16;
(vii)SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:17;
(viii)SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:18;
(ix)SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:19;並びに
(x)SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:20。
【請求項7】
ヒトCD3に特異的なVH領域は、STYAMN(SEQ ID NO:72)のCDR1配列、RIRSKYNNYATYYADSVKD(SEQ ID NO:73)のCDR2配列、および、HGNFGNSYVSWFAY(SEQ ID NO:74)またはHGNFGNSYVSYFAY(SEQ ID NO:75)のCDR3配列を含む、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項8】
ヒトCD3に特異的なVL領域は、RSSTGAVTTSNYAN(SEQ ID NO:90)のCDR1配列、GTNKRAP(SEQ ID NO:91)のCDR2配列、およびALWYSNL(SEQ ID NO:92)のCDR3配列を含む、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項9】
CD3に特異的なVL領域およびVH領域は、下記SEQ ID NO:から成る群から選ばれた配列である、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:64およびSEQ ID NO:68;
(ii)SEQ ID NO:65およびSEQ ID NO:69;
(iii)SEQ ID NO:66およびSEQ ID NO:70;並びに(iv)SEQ ID NO:67およびSEQ ID NO:71。
【請求項10】
各ポリペプチドは、下記から成る群から選択される4つの可変鎖領域を含む、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:2、12、65および69;
(ii)SEQ ID NO:3、13、65および69;
(iii)SEQ ID NO:4、14、65および69;
(iv)SEQ ID NO:5、15、65および69;
(v)SEQ ID NO:1、11、64および68;
(vi)SEQ ID NO:2、12、64および68;
(vii)SEQ ID NO:2、12、66および70;
(viii)SEQ ID NO:4、14、66および70;
(ix)SEQ ID NO:5、15、66および70;
(x)SEQ ID NO:3、13、64および68;
(xi)SEQ ID NO:3、13、67および71;
(xii)SEQ ID NO:4、14、64および68;
(xiii)SEQ ID NO:5、15、64および68;
(xiv)SEQ ID NO:7、17、64および68;
(xv)SEQ ID NO:6、16、64および68;
(xvi)SEQ ID NO:6、16、67および71;
(xvii)SEQ ID NO:8、18、64および68;
(xviii)SEQ ID NO:9、19、64および68;
(xix)SEQ ID NO:9、19、67および71;並びに
(xx)SEQ ID NO:10、20、64および68。
【請求項11】
リンカーL1、L2およびL3は約12以下のアミノ酸残基から成る、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項12】
リンカーL1、L2およびL3はそれぞれ、GGSGGS(SEQ ID NO:95)、GGSG(SEQ ID NO:96)またはGGSGG(SEQ ID NO:97)から独立して選択される、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項13】
リンカーL1およびL3は、GGSGGS(SEQ ID NO:95)であり、リンカーL2は、GGSG(SEQ ID NO:96)またはGGSGG(SEQ ID NO:97)である、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項14】
タンデムダイアボディは、SEQ ID NO:98-121から成る群から選択される配列を有する、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ。
【請求項15】
タンデムダイアボディは、タンデムダイアボディ01(SEQ ID NO:98)、02(SEQ ID NO:99)、03(SEQ ID NO:100)、04(SEQ ID NO:101)、05(SEQ ID NO:102)、06(SEQ ID
NO:103)、07(SEQ ID NO:104)、08(SEQ ID NO:105)、09(SEQ ID NO:106)、10(SEQ ID NO:107)、11(SEQ ID NO:108)、12(SEQ ID NO:109)、13(SEQ ID NO:110)、14(SEQ ID NO:111)、15(SEQ ID NO:112)、16(SEQ ID NO:113)、17(SEQ ID NO:114)、18(SEQ ID NO:115)、19(SEQ ID NO:116)、20(SEQ ID NO:117)、21(SEQ ID NO:118)、22(SEQ ID NO:119)、23(SEQ ID NO:120)、または24(SEQ ID NO:121)である、請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディ
【請求項16】
タンデムダイアボディは、HL-60、KG-1およびU-937から選択されるCD33+腫瘍細胞上のCD33に対する10nM以下の結合KDを有する、請求項1に記載の二重特異性抗原結合タンデムダイアボディ。
【請求項17】
タンデムダイアボディは、特異的にヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)の内にあるヒトCD33のエピトープに結合する、請求項1に記載の二重特異性抗原結合タンデムダイアボディ。
【請求項18】
CD33+癌の治療のための方法であって、
CD33+癌を患う個体への請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
CD33+癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B前駆細胞リンパ芽球性白血病、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、急性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫または慢性骨髄単球性白血病(CMML)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
CD33+癌は、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
CD33+癌は、多発性骨髄腫である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
CD33+癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
AMLは、再発性遺伝的異常を有するAML、脊髄形成異常関連の変化を伴うAML、治療関連の骨髄性の新生物、骨髄性肉腫、ダウン症候群と関連する骨髄性の増殖、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、またはその他の分類されないAMLである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
AMLは、AML-M0、AML-M1、AML-M2、AML-M3、AML-M4、AML-M5、AML-M6、またはAML-M7である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
AMLは、新しく診断され、再発性、または難治性である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
骨髄性形成障害症候群(MDS)の治療のための方法であって、MDSを患う個体への請求項1に記載の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、アミサクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
骨髄由来の抑制細胞(MDSC)による免疫抑制の処置のための方法であって、免疫抑制を患う個体への請求項1の任意の1つに基づく二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2014年7月1日付で出願された米国仮出願62/019,795号;2015年2月3日付で出願された米国仮出願62/111,470号;の利益を請求し、及び、2015年3月9日付で出願された米国出願14/642,497号の継続出願であり、各々は参照によって本明細書に組込まれる。
【0002】
配列表
本出願は配列表を含み、その全体が参照によって本明細書に組込まれる。配列表は、2015年6月30日に作成され、45375-704.601_SL.txtと命名され、サイズは147,965バイトである。
【背景技術】
【0003】
急性骨髄性白血病(AML)は成人および小児における急性白血病である。CD33は、AMLにおいて、大多数の骨髄芽球上で発現される。CD33は、いくつかの報告書において、一般に早期の多系の骨髄性の前駆細胞に限定され、正常な造血多能性幹細胞では欠如している。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において、ヒトCD33に特異的に結合する結合タンパク質、および、ヒトCD33とヒトCD3とに特異的に結合する二重特異性結合タンパク質が提供される。また本明細書において、例えばタンデムダイアボディのような、二重特異性CD33/CD3結合タンパク質を多数生成するための、抗CD33可変領域および抗CD3可変領域が提供される。さらにまた本明細書において、CD33とCD3とに結合する二重特異性タンデムダイアボディ、および急性骨髄性白血病(AML)および他の血液系悪性腫瘍の免疫療法、障害あるいは症状に対するそれらの使用が提供される。
【0005】
特に、ヒトCD33並びにカニクイザルCD33の両方に対し結合性を示す結合タンパク質が提供される。これらCD33/CD3のタンデムダイアボディは、健康なドナーからの多クローン性CD3+T細胞並びにAML患者からの自己由来のT細胞を再指令することができ、低いE:T細胞比率でCD33+AML細胞を有効に溶解することが実施例において実証される。このプロセスは、CD33+標的細胞およびT細胞の両方の存在に依存するが、CD25とCD69の誘導によって示されるように、再指令されたT細胞が活性化され、増殖するために刺激される。これらのタンデムダイアボディの抗AML効果は、E:T細胞比率と同様に、使用された抗体の濃度に依存することが示される。タンデムダイアボディは四価であり、CD33に対する2つの結合部位およびCD3に対する2つの結合部位を有する。本明細書に記載されるCD33/CD3のタンデムダイアボディの特徴は、各抗原、すなわちCD33、CD3との結合をもたらす二価結合性の結果、それらが有力で効率的なアポトーシスを促進するということである。
【0006】
要するに、本明細書に記載した提供されるCD33/CD3結合タンパク質は、特にタンデムダイアボディにおいて、CD33+白血病細胞および原発性AML細胞の有力なインビトロでの細胞崩壊を引き起こす。タンデムダイアボディの抗体フォーマットでの二重特異性CD33/CD3結合タンパク質の例では、細胞株中のインビボの原発性のAML細胞、およびインビボのAML細胞株、および被験体に由来する原発性AML細胞モデルでの細胞溶解活性を示す。これは厳密なAML PDXモデルにおいて特に注目すべき高いインビボ活性を示す。さらに、タンデムダイアボディの抗体フォーマットでの二重特異性CD33/CD3結合タンパク質の例は、新たに診断され、再発性であり、および難治性の患者を含む、AMLのすべての病期の患者からのサンプル中での細胞崩壊の生体外活性を実証する。
【0007】
更に、本明細書に記載されたこれらのCD33/CD3結合タンパク質は、約4時間以内にCD33発現細胞の有意な溶解を達成することができる。CD33/CD3結合タンパク質は従って、低いエフェクター:ターゲット(E:T)比率でも、細胞表面上の低いCD33密度でも、高い細胞毒性を示す。さらに、本明細書に記載されるCD33/CD3結合タンパク質は、ヒトタンパク質への有力なCD33およびCD3結合親和性を示すのみならず、各カニクイザルタンパク質に対する優れた交差反応性をも示し、例えばヒト:カニクイザルのKD比率は5-0.2の間である。さらに、本明細書に記載したCD33/CD3結合タンパク質は、これらの分子の安全性プロフィールの必須コンポーネントであるCD33+標的細胞がない状態では、サイトカイン放出の有意の誘導を示さない。さらに、本明細書に記載するCD33/CD3タンデムダイアボディは、およそ8-24時間の近似範囲内に半減期を有する分子クラスに属し、このことは、利便性の良い投薬を可能にする。
【0008】
1つの様相では、ヒトCD33のエピトープに特異的に結合するCD33結合タンパク質が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、結合タンパク質はヒト由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む少なくとも1つの結合部位を有し、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:21-27から成る群から選択される配列から成るCDR1、SEQ ID NO:28-34から成る群から選択される配列から成るCDR2、およびSEQ ID NO:35-41から成る群から選択される配列から成るCDR3を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む少なくとも1つの結合部位を有し、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:42-48から成る群から選択される配列から成るCDR1、SEQ ID NO:49-55から成る群から選択される配列から成るCDR2、およびSEQ ID NO:56-63から成る群から選択される配列から成るCDR3を含む。
【0011】
特定の例において、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記のSEQ ID NOから成る群から選ばれる:SEQ ID NO:21、28および35;SEQ ID NO:22、29および36;SEQ ID NO:23、30および37;SEQ ID NO:24、31および38;SEQ ID NO:25、32および39;SEQ ID NO:26、33および40;およびSEQ ID NO:27、34および41。
【0012】
特定の例において、重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCD3は、下記のSEQ ID NOから成る群から選ばれる:SEQ ID NO:42、49および56;SEQ ID NO:43、50および57;SEQ ID NO:43、50および58;SEQ ID NO:43、50および59;SEQ ID NO:43、50および60;SEQ ID NO:44、51および61;SEQ ID NO:45、52および62;SEQ ID NO:46、53および63;SEQ ID NO:47、54および63;並びにSEQ ID NO:48、55および63。
【0013】
特定の例において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のヒトCD33結合部位は、下記のSEQ ID NOから成る群から選ばれる:SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:11;SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:12;SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:13;SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:15;SEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:16;SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:17;
SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:18;SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:19;並びにSEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:20。
【0014】
いくつかの実施形態において、CD33エピトープは、ヒトCD33のSEQ ID NO93の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)アミノ酸残基62-70の内に存在する。
【0015】
任意の上記実施形態において、CD33結合タンパク質は少なくとも1つの機能的領域をさらに含む。いくつかの例において、機能的領域はエフェクター細胞に結合するエフェクター領域である。特定の例において、エフェクター領域は、ヒトCD3に対する抗原結合部位を形成する、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含むCD3結合部位である。
【0016】
特定の例において、CD3結合部位は、STYAMN(SEQ ID NO:72)のCDR1配列、RIRSKYNNYATYYADSVKD(SEQ ID NO:73)のCDR2配列、およびHGNFGNSYVSWFAY(SEQ ID NO:74)のCDR3配列を含む重鎖可変領域を含む。他の場合では、CD3結合部位は、RSSTGAVTTSNYAN(SEQ ID NO:90)のCDR1配列、GTNKRAP(SEQ ID NO:91)のCDR2配列、およびALWYSNL(SEQ ID NO:92)のCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0017】
特定の例において、CD3結合部位は、SEQ ID NO:64の重鎖可変領域4およびSEQ ID NO:68の軽鎖可変領域、SEQ ID NO:65の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:69の軽鎖可変領域:69;SEQ ID NO:66の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:70の軽鎖可変領域;またはSEQ ID NO:67の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:71の軽鎖可変領域を含む。
【0018】
任意の上記実施形態において、CD33結合タンパク質は二量体のタンパク質である。任意の上記実施形態において、CD33結合タンパク質は多機能である。
【0019】
特定の例において、多機能CD33結合タンパク質は、CD33とCD3に対する二重特異性を有し、結合特異性は、下記配列番号から成る群から選ばれるCD33およびCD3に対する重鎖可変領域および軽鎖可変領域によって提供される:SEQ ID NO:2、12、65および69;SEQ ID NO:3、13、65および69;SEQ ID NO:4、14、65および69;SEQ ID NO:5、15、65および69;SEQ ID NO:1、11、64および68;SEQ ID NO:2、12、64および68;SEQ ID NO:2、12、66および70;SEQ ID NO:4、14、66および70;SEQ ID NO:5、15、66および70;SEQ ID NO:3、13、64および68;SEQ ID NO:3、13、67および71;SEQ ID NO:4、14、64および68;SEQ ID NO:5、15、64および68;SEQ ID NO:7、17、64および68;SEQ ID NO:6、16、64および68;SEQ ID NO:6、16、67および71;SEQ ID NO:8、18、64および68;SEQ ID NO:9、19、64および68;SEQ ID NO:9、19、67および71;並びにSEQ ID NO:10、20、64および68。
【0020】
別の様相では、ヒトCD3およびヒトCD33に対し特異的な、二重特異性の抗原結合性タンデムダイアボディが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、タンデムダイアボディは第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは互いに結合し合う少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドはそれぞれ、ヒトCD33に対する特定の重鎖可変領域;ヒトCD33に対する特定の軽鎖可変領域;ヒトCD3に対する特定の重鎖可変領域、およびヒトCD3に対する特定の軽鎖可変領域を含み、各ポリペプチドにおいて、4つの可変鎖領域は、ペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって次々に、下記の順序で結合される;VL(CD3)-L1-VH(CD33)-L2-VL(CD33)-L3-VH(CD3);VH(CD3)-L1-VL(CD33)-L2-VH(CD33)-L3-VL(CD3);VL(CD33)-L1-VH(CD3)-L2-VL(CD3)-L3-VH(CD33);またはVH(CD33)-L1-VL(CD3)-L2-VH(CD3)-L3-VL(CD33)。
【0021】
いくつかの実施形態において、ヒトCD33に特異的なVL領域は、SEQ ID NO:21-27から成る群から選ばれる配列から成るCDR1、SEQ ID NO:28-34から成る群から選ばれる配列から成るCDR2、およびSEQ ID NO:35-41から成る群から選ばれる配列から成るCDR3:35-41を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、ヒトCD33に特異的なVH領域は、SEQ ID NO:42-48から成る群から選ばれる配列から成るCDR1:42-48、SEQ ID NO:49-55から成る群から選ばれる配列から成るCDR2、SEQ ID NO:56-63から成る群から選ばれる配列から成るCDR3を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、ヒトCD33に特異的なVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記配列番号から成る群から選ばれる配列である:SEQ ID NO:21、28および35;SEQ ID NO:22、29および36;SEQ ID NO:23、30および37;SEQ ID NO:24、31および38;SEQ ID NO:25、32および39;SEQ ID NO:26、33および40;並びにSEQ ID NO:27、34および41。
【0024】
いくつかの実施形態において、ヒトCD33に特異的なVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記配列番号から成る群から選ばれる配列である:SEQ ID NO:42、49および56;SEQ ID NO:43、50および57;SEQ ID NO:43、50および58;SEQ ID NO:43、50および59;SEQ ID NO:43、50および60;SEQ ID NO:44、51および61;SEQ ID NO:45、52および62;SEQ ID NO:46、53および63;SEQ ID NO:47、54と63;並びにSEQ ID NO:48、55および63。
【0025】
いくつかの実施形態において、CD33に特異的なVLおよびVH領域は、下記配列番号から成る群から選ばれる配列である:SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:11;SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:12;SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:13;SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:14;SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:15;SEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:16;SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:17;SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:18;SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:19;並びにSEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:20。
【0026】
いくつかの実施形態において、ヒトCD3に特異的なVH領域は、STYAMN(SEQ ID NO:72)のCDR1配列、RIRSKYNNYATYYADSVKD(SEQ ID NO:73)のCDR2配列、および、HGNFGNSYVSWFAY(SEQ ID NO:74)またはHGNFGNSYVSYFAY(SEQ ID NO:75)のCDR3配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、ヒトCD3に特異的なVL領域は、RSSTGAVTTSNYAN(SEQ ID NO:90)のCDR1配列、GTNKRAP(SEQ ID NO:91)のCDR2配列、およびALWYSNL(SEQ ID NO:92)のCDR3配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、CD3に特異的なVLおよびVH領域は、下記配列番号から成る群から選ばれる配列である:SEQ ID NO:64およびSEQ ID NO:68;SEQ ID NO:65およびSEQ ID NO:69;SEQ ID NO:66およびSEQ ID NO:70;およびSEQ ID NO:67およびSEQ ID NO:71。
【0029】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドはそれぞれ、下記配列番号から成る群から選ばれる4つの可変鎖領域を含む:SEQ ID NO:2、12、65および69;SEQ ID NO:3、13、65および69;SEQ ID NO:4、14、65および69;SEQ ID NO:5、15、65および69;SEQ ID NO:1、11、64および68;SEQ ID NO:2、12、64および68;SEQ ID NO:2、12、66および70;SEQ ID NO:4、14、66および70;SEQ ID NO:5、15、66および70;SEQ ID NO:3、13、64および68;SEQ ID NO:3、13、67および71;SEQ ID NO:4、14、64および68;SEQ ID NO:5、15、64および68;SEQ ID NO:7、17、64および68;SEQ ID NO:6、16、64および68;SEQ ID NO:6、16、67および71;SEQ ID NO:8、18、64および68;SEQ ID NO:9、19、64および68;SEQ ID NO:9、19、67および71;並びにSEQ ID NO:10、20、64および68。
【0030】
いくつかの実施形態において、リンカーL1、L2およびL3は約12以下のアミノ酸残基から成る。特定の例において、リンカーL1、L2およびL3は、各々独立に、GGSGGS(SEQ ID NO:95)、GGSG(SEQ ID NO:96)またはGGSGG(SEQ ID NO:97)である。他の場合では、リンカーL1およびL3はGGSGGS(SEQ ID NO:95)であり、リンカーL2は、GGSG(SEQ ID NO:96)あるいはGGSGG(SEQ ID NO:97)である。
【0031】
いくつかの実施形態において、二重特異性タンデムダイアボディは、SEQ ID NO:98-121から成る群から選択された配列を有する。他の実施例では、二重特異性タンデムダイアボディは、タンデムダイアボディ 01(SEQ ID NO:98),02(SEQ ID NO:99),03(SEQ ID NO:100),04(SEQ ID NO:101),05(SEQ ID NO:102),06(SEQ ID NO:103),07(SEQ ID NO:104),08(SEQ ID NO:105),09(SEQ ID NO:106),10(SEQ ID NO:107),11(SEQ ID NO:108),12(SEQ ID NO:109),13(SEQ ID NO:110),14(SEQ ID NO:111),15(SEQ ID NO:112),16(SEQ ID NO:113),17(SEQ ID NO:114),18(SEQ ID NO:115),19(SEQ ID NO:116),20(SEQ ID NO:117),21(SEQ ID NO:118),22(SEQ ID NO:119),23(SEQ ID NO:120),または24(SEQ ID NO:121)である。
【0032】
いくつかの実施形態において、二重特異性の抗原結合タンデムダイアボディは、HL-60、KG-1およびU-937から選ばれるCD33+腫瘍細胞上のCD33に対し、10nM以下の結合KDを有する。
【0033】
いくつかの実施形態において、二重特異性抗原結合タンデムダイアボディは、ヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)内に存在するヒトCD33のエピトープに、特異的に結合する。
【0034】
別の様相では、CD33結合タンパク質をコード化するポリヌクレオチド、または、任意の上記実施例のうちの二重特異性タンデムダイアボディが本明細書で提供される。別の様相では、記載されるポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書で提供される。別の様相では、記載されるベクターで形質転換されたホスト細胞が本明細書で提供される。
【0035】
さらに別の様相では、任意の上記実施形態のCD33結合タンパク質または二重特異性タンデムダイアボディ、および薬学的に許容可能なキャリヤを含む医薬品組成物が本明細書で提供される。
【0036】
さらに別の様相において、任意の上記実施例のCD33結合タンパク質または二重特異性タンデムダイアボディを生産する方法が本明細書で提供され、該方法は、宿主細胞へ任意の上記実施形態のポリヌクレオチドがコード化するCD33結合タンパク質または二重特異性タンデムダイアボディ、または上記ポリヌクレオチドを含むベクターを導入する方法、CD33結合タンパク質または二重特異性タンデムダイアボディが発現し、発現したCD33結合タンパク質または二重特異性タンデムダイアボディが精製される条件下で宿主細胞を培養する方法を含む。
【0037】
さらに、任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディのCD33+癌を患う個体への投与を含む、CD33+癌の治療のための方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、CD33+癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B前駆細胞リンパ芽球性白血病、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、急性のリンパ腫、急性のリンパ芽球性リンパ腫あるいは慢性骨髄単球性白血病(CMML)である。いくつかの実施形態において、CD33+癌は急性骨髄性白血病(AML)である。いくつかの実施形態において、CD33+癌は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態において、CD33+癌は急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。
【0038】
さらに、任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディの、AMLを患う個体への投与を含む急性骨髄性白血病(AML)の治療のための方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、AMLは、再発性遺伝的異常を伴うAML、骨髄形成異常関連の変化を伴うAML、治療関連の骨髄性の新生物、骨髄性肉腫、ダウン症候群と関係する骨髄性の増殖、芽細胞の形質細胞様樹状細胞新生物、またはその他の分類されないAMLである。いくつかの実施形態において、AMLは、AML-M0、AML-M1、AML-M2、AML-M3、AML-M4、AML-M5、AML-M6あるいはAML-M7である。さらなる実施例では、AMLは新しく診断され、再発され、難治性である。
【0039】
さらに、任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディのMDSを患う個体への投与を含む、骨髄性形成障害症候群(MDS)の治療のための方法が本明細書で提供される。
【0040】
さらに、任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディのMPDを患う個体への投与を含む骨髄増殖性疾患(MPD)の治療のための方法が本明細書で提供される。
【0041】
さらに、慢性骨髄単球性白血病(CMML)を患う個体への任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含む、CMMLの治療のための方法が本明細書で提供される。
【0042】
さらに、免疫抑制を患う個体への任意の上記実施形態の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含む、骨髄由来抑制細胞(MDSC)による免疫抑制治療のための方法が、本明細書で提供される。
【0043】
治療のための上記の方法において、特定の例では、該方法は、シタラビンおよびアザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、イダルビシン、アドリアマイシンなど)、アムサクリン、フルダラビン、クラファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシドなど)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン、ピクサントロン、ロソクサントロン、ピロクサントロン、アメタントロンなど)、抗CD20剤(例えばリツキシマブ、オクレリツマブ、オファツムマブなど)、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む。
【0044】
参照による組込み
本明細書中で言及される出版物、特許、および特許出願はすべて、個々の出版、特許あるいは特許出願が詳細に且つ個別に示され参照によって組込まれるのと同程度に、言及によって本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲により詳細に述べられる。本発明の特徴および利点についてのよりよい理解は、発明の原理が利用される例証的な実施形態を記載した以下の詳細説明と、添付図面への言及によって得られるだろう:
【0046】
【
図1】遺伝子組成およびCD3/CD33タンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))の領域順序を図式的に表現したものである。タンデムダイアボディが、短いペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって連結された4つの可変領域から構成された単一のポリペプチドとして表現されている。発現後、2つのモノマーポリペプチドが、頭部と尾部とが非共有結合で接続して、機能的なホモダイマーのタンデムダイアボディ分子を形成する。L1、L2、L3:リンカー;VH:重鎖可変領域;VL:軽鎖可変領域。
【0047】
【
図2】CD3が結合したタンデムダイアボディとその反応の様子を示す。タンデムダイアボディは、CD3に結合することによって、細胞障害性T細胞と結合可能である四価の二重特異性タンパク質である。タンデムダイアボディは、4つの結合領域のうちの2つ結合領域でCD33
+腫瘍細胞に結合し、他の2つの結合領域でCD3と結合する。このT細胞/標的細胞結合(架橋)事象は、T細胞の活性化を促進し、ADCCによる腫瘍細胞の後続の破壊を促進する。
【0048】
【
図3】CD33/CD3タンデムダイアボディの領域順序の変異遺伝子配列コード化タンデムダイアボディ内の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)の領域順序の変異は、分子の内部または外部に位置するCD33およびCD3特異性を備えた抗体の産生を可能にする。領域特定名、信号配列(ss)およびリンカー(L1、L2、L3)の位置、並びにアフィニティータグ(His)が、5’および3’-末端と同様に、示される。
【0049】
【
図4】健康ドナーT細胞の正の豊富化と負の選択との比較KG-1a細胞は、10の選択されたタンデムダイアボディのうちの1つの10pM(およそ1ng/mL)および25pM(およそ2.5ng/mL)と、負の選択がされた健康ドナーT細胞または正の選択がされた健康ドナーT細胞のいずれかと、ここに示すように、E:T細胞比率が1:1または3:1でインキュベートされた。48時間後、細胞数が決定され、細胞毒性がDAPI染色で評価された。結果は、複製ウェル中で実行された3つの独立した実験から、死細胞(上方パネル)のパーセンテージおよび特定の細胞毒性(下方パネル)のパーセンテージに対する平均値±SEMとして示される。
【0050】
【
図5】分析方針1つの健康ドナーT細胞分画および1つの代表的なAML細胞株(HL-60)および原発性AML試料(AMP002)からの分散とヒストグラムのプロットがそれぞれ、タンデムダイアボディに誘発された細胞毒性を決定するために実施された実験方針を示している。FSC、前方分散;SSC、後方分散。
【0051】
【
図6】CD33
+AML細胞株におけるスクリーニング細胞毒性分析 親のHL-60(A、B)およびKG-1a(C、D)細胞が、22のCD33/CD3のタンデムダイアボディ分子の1つまたは非結合性コントロールタンデムダイアボディ(00)の、10pM(約1ng/mL)および25pM(約2.5ng/mL)と、T細胞比率:1:1(A、C)あるいは5:1(B、D)のいずれかの健康ドナーT細胞と共に、ここに示すように、インキュベートされた。48時間後、細胞数が決定され、細胞毒性が、薬剤特異性細胞毒性を計量するためにDAPI染色で評価された。結果は、複製ウェル中で実行された3つの独立した実験からのDAPI
+細胞のパーセンテージに対する平均値±SEMとして示される。細胞毒性が特定の細胞毒性のパーセンテージとして表現される場合、質的に同様の結果が得られた。
【0052】
【
図7】原発性AML試料の選択の研究原発性ヒトAML試料の全体からの凍結した分画が、分析のために取得される。解凍時のAML芽細胞のパーセンテージが、CD45/側方散乱特性に基づいたフローサイトメトリーによって決定された。試料の生存率が、解凍時、およびサイトカイン含有の液体培養(タンデムダイアボディ分子または健康ドナーT細胞の添加なし)の48時間後に、生存/死滅細胞マーカーとしてDAPIを使用するサイトフローメトリーによって決定された。解凍時および48時間後の生存率の結果が、>58%のAML芽細胞を有しているすべての試料に対して図示される。正方形:原発性のAML試料であり、解凍時に>50%、および最終分析に含まれるサイトカイン含有液体培養の48時間後も>50%の生存率を示した。
【0053】
【
図8】原発性AML試料中のタンデムダイアボディ誘導細胞毒性原発性AML試料は、ここに示すように、健康ドナーT細胞を添加しない9つのタンデムダイアボディ分子の1つ(A)、またはE:T細胞比率が1:3(B)または1:1(C)の健康ドナーT細胞のいずれかの2.5pM(およそ250pg/mL)、10pM(およそ1ng/mL)および25pM(およそ2.5ng/mL)と共にインキュベートされた。48時間後、細胞数が決定され、薬剤特異性の細胞毒性を定量するため、DAPI染色で細胞毒性が評価された。結果は、複製ウェル中で実行された試験から、特定の細胞毒性のパーセンテージに対する平均値±SEMとして示される。
【0054】
【
図9A】ヒトCD33(aa18-259)(SEQ ID NO:93)の細胞外領域の配列である;
【
図9B】タンデムダイアボディ 1(SEQ ID NO:98)の完全な配列である;
【
図9C】タンデムダイアボディ 2(SEQ ID NO:99)の完全な配列である;
【
図9D】タンデムダイアボディ 3(SEQ ID NO:100)の完全な配列である;
【
図9E】タンデムダイアボディ 4(SEQ ID NO:101)の完全な配列である;
【
図9F】タンデムダイアボディ 5(SEQ ID NO:102)の完全な配列である;
【
図9G】タンデムダイアボディ 6(SEQ ID NO:103)の完全な配列である;
【
図9H】タンデムダイアボディ 7(SEQ ID NO:104)の完全な配列である;
【
図9I】タンデムダイアボディ 8(SEQ ID NO:105)の完全な配列である;
【
図9J】タンデムダイアボディ 9(SEQ ID NO:106)の完全な配列である;
【
図9K】タンデムダイアボディ 10(SEQ ID NO:107)の完全な配列である;
【
図9L】タンデムダイアボディ 11(SEQ ID NO:108)の完全な配列である;
【
図9M】タンデムダイアボディ 12(SEQ ID NO:109)の完全な配列である;
【
図9N】タンデムダイアボディ 13(SEQ ID NO:110)の完全な配列である;
【
図9O】タンデムダイアボディ 14(SEQ ID NO:111)の完全な配列である;
【
図9P】タンデムダイアボディ 15(SEQ ID NO:112)の完全な配列である;
【
図9Q】タンデムダイアボディ 16(SEQ ID NO:113)の完全な配列である;
【
図9R】タンデムダイアボディ 17(SEQ ID NO:114)の完全な配列である;
【
図9S】タンデムダイアボディ 18(SEQ ID NO:115)の完全な配列である;
【
図9T】タンデムダイアボディ 19(SEQ ID NO:116)の完全な配列である;
【
図9U】タンデムダイアボディ 20(SEQ ID NO:117)の完全な配列である;
【
図9V】タンデムダイアボディ 21(SEQ ID NO:118)の完全な配列である;
【
図9W】タンデムダイアボディ 22(SEQ ID NO:119)の完全な配列である;
【
図9X】タンデムダイアボディ 23(SEQ ID NO:120)の完全な配列である;
【
図9Y】タンデムダイアボディ 24(SEQ ID NO:121)の完全な配列である。強調された配列はリンカーL1、L2およびL3を表わす。
【0055】
【
図10】NOD/scidマウス中のHL-60細胞の増殖に対するタンデムダイアボディ16および12の効果免疫不全のNOD/scidマウスの8つの実験群が、0日目に4x10
6HL-60細胞の懸濁液を皮下注射することによって異種移植された。注射に先立って、HL-60細胞は健康ドナーからの3x10
6の精製T細胞と混合された。腫瘍細胞とT細胞で移植された実験群の動物はすべて、ビヒクル(対照)またはタンデムダイアボディ16または12が、示されるとおり3種の異なる用量レベル(0.1μg、1μgおよび10μg)で、0、1、2、3および4日目に静脈内ボーラスがなされた。エフェクター細胞およびビヒクル治療を伴わない1つの群が、追加の陰性コントロールとして供された。
【0056】
【
図11】AML異種移植片モデル中のタンデムダイアボディ16の抗腫瘍活性NOD/scidマウスは、致死量の放射線が照射され(2Gy)、4x10
6HL-60細胞が皮下接種された。9日目に、動物に、抗asialo GM1ラビットAbの単一ボーラスを行った。腫瘍が50-150 mm3(平均73±11 mm3)の間の体積に到達したとき、その日に、10の動物を3つの治療グループに振り分けた。グループ2および3(n=8)は、拡張し活性化された1.5x10
7のヒトT細胞が腹腔内注射された。13日目から21日目(qdxd9)まで、動物は、側面の尻尾の静脈中へ、タンデムダイアボディ16(グループ3)またはビヒクル(グループ1およびグループ2)が注入された。
【0057】
【
図12】CD33/CD3タンデムダイアボディ12および16の5μg(0.25mg/kg)または50μg(2.5mg/kg)を用いた処置後の、骨髄(BM)および38日目のNSGマウスのひ臓中のヒトAML芽細胞の相対量(A)および絶対数(B)を示す。
【0058】
【
図13】CD33/CD3タンデムダイアボディの16の媒介標的細胞に対する溶解の動力学を示す。1x10
4のカルセイン標識化HL-60標的細胞が、エフェクター細胞としての原発性ヒトT細胞と共に、25:1のE:T比率で、系列希釈されたタンデムダイアボディ16の存在下または抗体(w/o)なしで、30分、1時間、2時間、3時間、4時間または5時間、インキュベートされた。各時点で、溶解された標的細胞から放出された蛍光性カルセインが、具体的な溶解量を算出するために使用された。3つの複製の平均およびSDをプロットした。
【0059】
【
図14】CD33/CD3に対するEC50および特定溶解値の動力学を示す。EC50値(黒円)およびタンデムダイアボディ16-媒介標的細胞溶解(白抜き正方形)は、示された培養時間におけるカルセイン放出細胞毒性分析において、非線形回帰/S字形用量反応によって決定され、プロットされた。
【0060】
【
図15】新しく診断され、再発性、および難治性のAML被験者のサンプル中の細胞毒性活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
第1の様相によれば、少なくともCD33、好ましくはヒトCD33に特異性を有する、結合タンパク質が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は、ヒトおよびカニクイザルCD33に対する特異性を有する、つまり、交差反応し得る。いくつかの実施形態において、これらの交差反応し得る結合タンパク質は、同様の親和性を持った、ヒトおよびカニクイザルCD33に結合する。
【0062】
CD33は、例えば急性骨髄白血病(AML)の芽細胞のように、骨髄性細胞上で発現する。ヒトCD33のようなCD33に対し特異的な抗体領域を単離するため、抗体ライブラリーがスクリーニングされ得る。例えば、IgMファージディスプレイライブラリーは、例えば、ヒトCD33の細胞外領域のアミノ酸1-243を含む組み換えCD33-Fc融合タンパク質を使用することによって、スクリーニングすることができる(
図9A、SEQ ID NO:93)。
【0063】
いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む少なくとも1つのCD33結合部位を有する。軽鎖可変領域は軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含み、重鎖可変領域は重鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む。いくつかの実施形態において、これらの軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)は、表1(SEQ ID NO:21-41)に示されるヒトCDR配列から選ばれる。特定の例において、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:21-27から選ばれる。特定の例において、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:28-34から選ばれる。特定の例において、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:35-41から選ばれる。
【0064】
いくつかの実施形態において、これらの重鎖CDR(重鎖CDR1、CDR2およびCDR3)は、表2(SEQ ID NO:42-63)に示されるヒトCDR配列から選ばれる。特定の例において、重鎖CDR1はSEQ ID NO:42-48から選ばれる。特定の例において、重鎖CDR2はSEQ ID NO:49-55から選ばれる。特定の例において、重鎖CDR3はSEQ ID NO:56-63から選ばれる。
【0065】
いくつかの実施形態において、軽鎖および重鎖CDRは、それぞれの可変領域を包囲するフレームワーク配列なしで選択され、それらは、他の免疫グロブリンからのフレームワーク配列または一致フレームワーク領域を含み、随意に、さらなる突然変異及び/又は他の適切なフレームワーク配列との交換がなされる。したがって、本明細書のいくつかの実施形態において、軽鎖可変領域を含むCD33結合タンパク質が提供され、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:21であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:28であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:35である。
いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:22であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:29であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:36である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:30であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:37である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:24であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:31であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:38である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:25であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:32であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:39である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:40である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は軽鎖可変領域を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:27であり;軽鎖CDR2はSEQ ID NO:34であり、および軽鎖CDR3はSEQ ID NO:41である。
【0066】
さらに、本明細書のいくつかの実施形態において、重鎖可変領域を含むCD33結合タンパク質が提供され、重鎖CDR1はSEQ ID NO:42であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:49であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:56である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:43であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:57である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:43であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:5である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:43であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:59である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:43であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:60である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:44であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:51であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:61である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:45であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:52であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:62である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:46であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:53であり、および重鎖CDR3はSEQ ID NO:63である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:47であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:54であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:63である。いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は重鎖可変領域を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:48であり;重鎖CDR2はSEQ ID NO:55であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:63である。
【0067】
さらなる実施形態では、CD33結合タンパク質は、表3に示されるアミノ酸配列SEQ ID NO:1-10から選ばれる軽鎖可変領域を含む。さらなる実施形態では、CD33結合タンパク質は、表4に示されるアミノ酸配列SEQ ID NO:11-20から選ばれる可変重鎖領域を含む。さらなる実施形態例では、CD33結合タンパク質は、表3に示されるアミノ酸配列SEQ ID NO:1-10から選ばれる軽鎖可変領域、および表4に示されるアミノ酸配列SEQ ID NO:11-20から選ばれる可変重鎖領域を含む。
【0068】
用語「結合タンパク質」は、抗原結合特性を有する免疫グロブリン派生物、すなわち、抗原結合部位を含んでいる免疫グロブリンポリペプチドまたはそのフラグメントを指す。結合タンパク質は、抗体の可変領域またはそのフラグメントを含む。各抗原結合領域は抗体、すなわち免疫グロブリン、同じエピトープに結合する可変重鎖領域(VH)および抗体可変軽鎖領域(VL)によって形成され、可変重鎖領域(VH)は3つの重鎖相補性決定領域(CDR):CDR1、CDR2およびCDR3を含み;および、軽鎖可変領域(VL)は3つの軽鎖相補性決定領域(CDR):CDR1、CDR2およびCDR3を含む。いくつかの例において、本明細書で述べたいくつかの実施形態に基づく結合タンパク質は、免疫グロブリン不変領域が欠けている。いくつかの例において、抗原結合部位を形成する可変軽鎖および重鎖領域は、互いと共有結合で結合され、例えば、ペプチド・リンカーや他の場合には、可変軽鎖および重鎖領域は、抗原結合部位を形成するために互いに非共有結合で接続する。用語「結合タンパク質」は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、単鎖Fv、タンデム単鎖Fv(scFv)2、両特性T細胞エンゲージャ(BiTE(登録商標))、2重親和性再標的抗体(DART(商標))、ダイアボディおよびタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標)))を含む抗体フラグメントまたは抗体派生物に指す。更に、特定の例において、結合タンパク質は多価性、つまり、CD3に対する2、3、あるいはそれ以上の結合部位を有する。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
いくつかの実施形態において、CD33に特異性を与える結合タンパク質は、表3および表4に示されるヒトCD33の結合部位を形成する、可変重鎖領域および可変軽鎖領域の下記の組合せのうちの1つから選択される。限定しない例は下記を含む:(i)SEQ ID NO:1 and SEQ ID NO:11,(ii)SEQ ID NO:2 and SEQ ID NO:12,(iii)SEQ ID NO:3 and SEQ ID NO:13,(iv)SEQ ID NO:4 and SEQ ID NO:14,(v)SEQ ID NO:5 and SEQ ID NO:15,(vi)SEQ ID NO:6 and SEQ ID NO:16,(vii)SEQ ID NO:7 and SEQ ID NO:17,(viii)SEQ ID NO:8 and SEQ ID NO:18,(ix)SEQ ID NO:9 and SEQ ID NO:19,and(x)SEQ ID NO:10 and SEQ ID NO:20。
【0075】
本明細書に、CD33に特異性を有するだけでなく、同様にさらに少なくとも1つの機能領域も有する結合タンパク質が記載される。さらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる機能的領域は、エフェクター領域である。「エフェクター領域」は、エフェクター細胞に特異的な抗体の結合部位を含み、それは、細胞毒性、食作用、抗原提示、サイトカイン放出を刺激するか引き起こすことができる。そのようなエフェクター細胞は、例えば、限定的ではなく、T細胞である。特にエフェクター領域は、例えばヒトCD3のような、T細胞上の抗原に対する抗原結合部位を形成する、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
【0076】
したがって、いくつかの実施形態において、CD33結合タンパク質は多機能である。本明細書に使用されるように、多機能という用語は、結合タンパク質が2つ以上の異なる生物学的機能を示すことを意味する。例えば異なる生物学的機能は、異なる抗原に対する異なる特異性である。特定の例において、多機能のCD33結合タンパク質は多重特異性である、つまり、CD33および1つ以上のさらなる抗原に対して結合特異性を持っている。特定の例において、結合タンパク質は、CD33とCD3に対し特異的な二重特異性である。そのようなダイアボディ結合タンパク質は、例えば、クラスIgA、IgD、IgE、IgGあるいはIgMの二重特異性モノクローナル抗体、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ(scDb)、タンデム単鎖Fv(scFv)2、例えば二重特異性T細胞エンゲージャ(BiTE(登録商標))、2重親和性再標的抗体(DART(商標))、タンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、およびflexibodiesを含む。
【0077】
ある実施例では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、ヒトCD3に対する、およびいくつかの例ではカニクイザル CD3に対する特異性を有する。そのような結合部位の例は、表5(SEQ ID NO:64-67)に示される配列からのVH領域CDR1、CDR2およびCDR3と、表6(SEQ ID NO:68-71)に示される配列からのVL領域CDR1、CDR2およびCDR3とを含むポリペプチドである。特定の例において、CD3結合部位は、SEQ ID NO:64の可変重鎖領域と、SEQ ID NO:68の軽鎖可変領域:68との組合せである。特定の例において、CD3結合部位は、SEQ ID NO:65の可変重鎖領域と、SEQ ID NO:69の軽鎖可変領域:68との組合せである。特定の例において、CD3結合部位は、SEQ ID NO:66の可変重鎖領域と、SEQ ID NO:70の軽鎖可変領域:68との組合せである。特定の例において、CD3結合部位は、SEQ ID NO:67の可変重鎖領域と、SEQ ID NO:71の軽鎖可変領域:68との組合せである。
【0078】
【0079】
【0080】
さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、STYAMN(SEQ ID NO:72)のCDR1配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、RIRSKYNNYATYYADSVKD(SEQ ID NO:73)のCDR2配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態例では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、HGNFGNSYVSWFAY(SEQ ID NO:74)のCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、HGNFGNSYVSYFAY(SEQ ID NO:75)のCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、CD3結合部位は、それぞれSEQ ID NO:72-74である、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、CD3結合部位は、それぞれSEQ ID NO:72、73および75である.CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する。
【0081】
さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、NTYAMN(SEQ ID NO:76)、NTYAMH(SEQ ID NO:77)およびNKYAMN(SEQ ID NO:78)から成る群から選ばれるCDR1配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、RIRNKYNNYATYYADSVKD(SEQ ID NO:79)、RIRNKYNNYATEYADSVKD(SEQ ID NO:80)、RIRSKYNNYATEYAASVKD(SEQ ID NO:81)、RIRNKYNNYATEYAASVKD(SEQ ID NO:82)、RIRSKYNNYATYYADSVKG(SEQ ID NO:83)およびRIRSKYNNYATEYADSVKS(SEQ ID NO:84)から成る群から選ばれるCDR2配列を含む可変重鎖領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、HGNFGDSYVSWFAY(SEQ ID NO:85)、HGNFGNTYVSWFAY(SEQ ID NO:86)、HGNFGCSYVSWFAY(SEQ ID NO:87)、HGNFGNSYISYWAY(SEQ ID NO:88)およびHGNFGNSYVSFFAY(SEQ ID NO:89)から成る群から選ばれるCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する。
【0082】
さらなる実施形態では、CD3結合部位は、下記配列番号のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む可変重鎖領域を有する:それぞれSEQ ID NO:76、73および74、それぞれSEQ ID NO:76、79および74、それぞれSEQ ID NO:76、80および74、それぞれSEQ ID NO:76、81および74、それぞれSEQ ID NO:76、82および74、それぞれSEQ ID NO:76、83および74、それぞれSEQ ID NO:72、83および74、それぞれSEQ ID NO:72、83および85、それぞれSEQ ID NO:76、83および86、それぞれSEQ ID NO:77、83および74、それぞれSEQ ID NO:72、83および87、それぞれSEQ ID NO:78、73および88、またはそれぞれSEQ ID NO:78、84および89。
【0083】
さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、RSSTGAVTTSNYAN(SEQ ID NO:90)のCDR1配列を含む軽鎖可変領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、GTNKRAP(SEQ ID NO:91)のCDR2配列を含む軽鎖可変領域を有する。さらなる実施形態では、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質のCD3結合部位は、ALWYSNL(SEQ ID NO:92)のCDR3配列を含む軽鎖可変領域を有する。さらなる実施形態では、CD3結合部位は、それぞれSEQ ID NO:90-92である、CDR1、CD2およびCD3配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0084】
特定の例において、CD3結合部位はCD3に対して高親和性を有する。代替的に、他の例において、重鎖領域および軽鎖領域からの、あるいは随意的に軽鎖可変領域および可変重鎖領域からのCDR1、CDR2、CDR3は、例えば、UCHT1、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシツマブ(TRX4)、テプリツマブ(MGA031)、ビジリツマブ(Nuvion)などのような、他のCD3抗体に由来する。
【0085】
別の様相において、本明細書に、ヒト化された、あるいは完全にヒトである、つまりヒト起源のCD33結合タンパク質、並びに二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質が記載される。
【0086】
いくつかの実施形態において、二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質は、CD33とCD3の可変軽鎖および重鎖領域による、CD33およびCD3特異性を提供する下記の組合せのうちの1つを有する:下記を含むが限定されない、(i)SEQ ID NO:2、12、65および69、(ii)SEQ ID NO:3、13、65および69、(iii)SEQ ID NO:4、14、65および69、(iv)SEQ ID NO:5、15、65および69、(v)SEQ ID NO:1、11、64および68、(vi)SEQ ID NO:2、12、64および68、(vii)SEQ ID NO:2、12、66および70、(viii)SEQ ID NO:4、14、66および70、(ix)SEQ ID NO:5、15、66、70、(x)SEQ ID NO:3、13、64および68、(xi)SEQ ID NO:3、13、67および71、(xii)SEQ ID NO:4、14、64および68、(xiii)SEQ ID NO:5、15、64および68、(xiv)SEQ ID NO:7、17、64および68、(xv)SEQ ID NO:6、16、64および68、(xvi)SEQ ID NO:6、16、67および71、(xvii)SEQ ID NO:8、18、64および68、(xviii)SEQ ID NO:9、19、64および68、(xix) SEQ ID NO:9、19、67および71、ならびに(xx)SEQ ID NO:10、20、64および68。
【0087】
CDR配列および重鎖および軽鎖領域の保存された変異
他の実施形態において、重鎖領域および軽鎖領域は、本明細書に記載するCDR配列の免疫学的に活性な同族体あるいは変異体を組込む。従って、いくつかの実施形態において、CD33またはCD3に結合する重鎖領域または軽鎖領域中のCDR配列は、SEQ ID NO:21-63または72-92で示されるアミノ酸配列と類似するが、同一ではない。特定の例において、CDR変異配列は、SEQ ID NO:21-63または72-90の配列と比較して、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、または80%の配列同一性を有し、免疫学的に活性である。
【0088】
さらなる例において、CDR変異配列は、1、2、3、4、あるいは5の、保存されたアミノ酸置換を組込む。保存的置換は、所定のアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸と置換するアミノ酸置換を含み、さらにアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンの脂肪族アミノ酸の相互交換において、水酸基残留物セリンおよびトレオニンの相互交換、酸性の残基アスパルテートおよびグルタメートの交換、アミド残基アスパラギンとグルタミンの間の置換、塩基性残基リジンおよびアルギニンの交換、および芳香族残基フェニルアラニンおよびチロシン中の置換を含んでいる。
【0089】
さらなる例において、CDR変異配列は、例えば安定性の増加、プロテアーゼに対する耐性及び/又はCD33に対する結合親和性のような、CDRの特性を増強する置換を組込む。
【0090】
他の例において、CDR変異配列は、非重要残基または非重要領域の残基を変更するために修飾される。重要でないアミノ酸は、例えば親和性成熟、CDRウォーキング、部位特定変異誘発、結晶化、核磁気共鳴、フォトアフィニティーラベリングあるいはアラニン走査突然変異生成のような、既知の方法によって同定することができる。
【0091】
さらに代替的な実施形態では、CD33およびCD3結合タンパク質は、本明細書で提供される重鎖および軽鎖領域配列の免疫学的に活発な同族体あるいは変異体ある、重鎖領域および軽鎖領域を含む。従って、いくつかの実施形態において、CD33およびCD3結合タンパク質は、SEQ ID NO:1-20または64-71で表されたアミノ酸配列と類似するが、同一ではない、重鎖または軽鎖領域配列を含む。特定の例において、変異重鎖または軽鎖領域配列は、SEQ ID NO:1-20または64-71の配列と比較して、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、または80%の配列同一性を有し、それらは免疫学的に活性である。
【0092】
さらなる例において、変異重鎖または軽鎖領域配列は、1、2、3、4、あるいは5の保存されたアミノ酸置換を組込む。保存的置換は、所定のアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸と置換するアミノ酸置換を含み、さらにアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンの脂肪族アミノ酸の相互交換において、水酸基残留物セリンおよびトレオニンの相互交換、酸性の残基アスパルテートおよびグルタメートの交換、アミド残基アスパラギンとグルタミンの間の置換、塩基性残基リジンおよびアルギニンの交換、および芳香族残基フェニルアラニンおよびチロシンの置換を含んでいる。
【0093】
さらなる例において、変異重鎖または軽鎖領域配列は、例えば安定性の増加、プロテアーゼに対する耐性及び/又はCD33に対する結合親和性のような、CDRの特性を増強する置換を組込む。
【0094】
他の例において、R変異重鎖または軽鎖領域配列は、非重要残基または非重要領域の残基を変更するために修飾される。 重要でないアミノ酸は、例えば親和性成熟、CDRウォーキング、部位特定変異誘発、結晶化、核磁気共鳴、フォトアフィニティーラベリングあるいはアラニン走査突然変異生成のような、既知の方法によって同定することができる。
【0095】
CD33およびCD3二重特異性のタンデムダイアボディ
別の様相において、CD33結合タンパク質あるいは二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質は、二量体、すなわちCD33とCD3に対する抗原結合部位を備えた2つのポリペプチドを含む。
【0096】
また他の様相において、本明細書で、タンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))のフォーマットの二量体の二重特異性CD33およびCD3結合タンパク質が提供される。そのようなタンデムダイアボディは、ホモ二量体化を可能にする単一の遺伝子構成(
図1)における4つの抗体可変結合領域(2つの重鎖可変領域(VH)および2つの軽鎖可変領域(VL))を結合することによって構築される。そのようなタンデムダイアボディでは、リンカー長さは、分子がそれ自体で折り返して単鎖のダイアボディを形成することができないように可変領域の分子内対合を防ぐ長さであるが、別の鎖の相補的な領域とはむしろ対合することが強制されるような長さである。この領域は、対応するVHおよびVL領域がこの二量体化中に対合するようにも配置される。単一遺伝子構成からの発現に続いて、2つの同一ポリペプチド鎖が、頭部と尾部とを合わせるように折り重ねられ、およそ105 KDaの機能的な非共有結合のホモ二量体を形成する(
図1)。分子間共有結合の欠如にもかかわらず、一度形成されたホモ二量体は高度に安定しており、そのままの状態を維持し、モノマー形態に戻らない。
【0097】
タンデムダイアボディは、従来のモノクローナル抗体および他のより小さなダイアボディ分子に対する利点を呈する多数の特性を有している。タンデムダイアボディは、抗体可変領域だけを含んでおり、したがって、副作用あるいはFc部分と結合し得る非特異性の相互作用を無くすように考慮される。例えば、Fc領域へ結合可能なFc受容体は、白血球(例えば好塩基性細胞、B細胞、好酸球、ナチュラルキラー細胞、好中性球など)やクッパー細胞のような多数の細胞タイプ上で発見される。タンデムダイアボディはCD33およびCD3それぞれに対する二価結合を可能にするので、結合力はIgGのそれと同じである。およそ105KDaのタンデムダイアボディの大きさは、IgGより小さく、腫瘍浸透の増強を可能にするかもしれない。しかしながら、このサイズは、ファーストパス・クリアランスのための腎閾値を十分上回っており、より小さな二重特異性形態と比較して、抗体結合領域または非抗体スキャフォールドに基づく、薬物動態学的な長所を有している。さらに、タンデムダイアボディは、より長い内因性半減期と迅速な細胞毒性とをもたらすこの薬物動態学と結合力特性に基づき、BiTEまたはDART分子のような他の二重特異性結合タンパク質よりも有利である。タンデムダイアボディは、ホスト細胞中、例えば哺乳類のCHO細胞中で、よく発現する。堅実な上流および下流の生成工程は、タンデムダイアボディに利用可能であることが考慮される。
【0098】
本明細書に記載されるCD33およびCD3の二重特異性タンデムダイアボディは、細胞障害性T細胞の補充によるCD33
+腫瘍細胞を特定の標的にすることを可能にすることを意図している。このことは、単独の抗原を対象とする完全長さを有し、かつ細胞障害性T細胞を直接補充することができない抗体と比較して、ADCC(抗体依存性細胞媒介細胞毒性)を向上させる。反対に、特にこれらの細胞上で発現したCD3分子と結合することによって、タンデムダイアボディは、高度に特異的な方法で、CD33
+腫瘍細胞に、細胞障害性T細胞を交差結合させることができ、それによって、そのような分子の細胞毒性能力を著しく増大させる。この機構は
図2に概説される。タンデムダイアボディは、強力で、特異的および効率的なADCCを示す。
T細胞が、腫瘍成長の制御に役割を果たせることが報告されている。例えば、NHL患者からのリンパ節と同様に、結腸直腸腫瘍中の細胞障害性T細胞の存在が、より良好な臨床結果と関連することが示された。更に、T細胞応答を引き起こすことを目指した治療の可能性は、T細胞活性の失活制御であるCTLA-4を対象とする抗体と同様に、黒色腫ワクチン剤に対しても実証された。本明細書に記載されたタンデムダイアボディは、表面に発現されたCD3に結合することによって細胞障害性T細胞と結合し、それによりT細胞受容体の一部を形成する。特定の腫瘍細胞の表面上で発現したCD3およびCD33に対するこのタンデムダイアボディの同時的結合は、T細胞活性化を引き起こし、後続する腫瘍細胞の溶解を媒介する(
図2)。
【0099】
したがってさらなる様相において、タンデムダイアボディは多重特異性である。いくつかの実施形態において、多重特異性タンデムダイアボディは、2、3あるいはそれ以上の異なるエピトープに対して特異性を有し、2つ以上のエピトープは、同じ抗原標的でもよく、あるいは異なる抗原標的でもあり得る。特定の実施形態において、多重特異性タンデムダイアボディは、二重特異性であり、四価、つまり4つの抗原結合部位を含む。そのような二重特異性タンデムダイアボディは、少なくとも1つの抗原結合部位で、ヒトCD3およびヒトCD33に結合し、特定の例において、ヒトCD3に対する2つの抗原結合部位およびヒトCD33に対する2つの他の抗原結合部位によって、タンデムダイアボディは結合する。つまり、タンデムダイアボディは、各抗原と二価結合する。
【0100】
いくつかの実施形態において、二重特異性抗原結合タンデムダイアボディはヒトCD33およびヒトCD3に特異的であり、前記タンデムダイアボディは、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、次々に接続する少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドはそれぞれ以下を含む;(i)ヒトCD33に特異的な可変重鎖(VH)領域;(ii) ヒトCD33に特異的な可変軽鎖(VL)領域;(iii) ヒトCD3に特異的なVH領域、および(iv)ヒトCD3に特異的なVL領域。
【0101】
特定の実施形態において、二重特異性タンデムダイアボディは、特にヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)の内にあるヒトCD33のエピトープに結合する。特定の例において、そのようなタンデムダイアボディは第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは次々に接続する少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドは以下を含む;(i)それぞれヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)の内にあるヒトCD33のエピトープに特異的な可変重鎖領域;(ii)ヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)の内にあるヒトCD33のエピトープに特異的な軽鎖可変領域;(iii)ヒトCD3に特異的な可変重鎖領域、および(iv)ヒトCD3に特異的な可変軽鎖領域。
【0102】
他の実施形態において、10nM以下、5nM以下、1nM以下、または0.5nM以下のKDを備えたCD33+細胞上のCD33に対する親和性を有しているCD33/CD3タンデムダイアボディが本明細書に記載される。CD33+細胞は、例えばHL-60やKG-1のような腫瘍細胞から選ぶことができる。
【0103】
更なる実施形態において、本明細書に記載されるCD33/CD3タンデムダイアボディはCD3と結合し、特定の例において、CD3+細胞上のCD3のε鎖、特にT細胞と、10 nM以下、5 nM以下、あるいは2 nM以下のKDで結合する。
【0104】
いくつかの実施形態において、二重特異性タンデムダイアボディのポリペプチドはそれぞれ、4つの可変鎖領域の以下の組合せのうちの1つを含む:(i)SEQ ID NO:2、12、65および69、(ii)SEQ ID NO:3、13、65および69、(iii)SEQ ID NO:4、14、65および69、(iv)SEQ ID NO:5、15、65および69、(v)SEQ ID NO:1、11、64および68、(vi)SEQ ID NO:2、12、64および68、(vii)SEQ ID NO:2、12、66および70、(viii)SEQ ID NO:4、14、66および70、(ix)SEQ ID NO:5、15、66、70および(x)SEQ ID NO:3、13、64および68、(xi)SEQ ID NO:3、13、67および71、(xii)SEQ ID NO:4、14、64および68、(xiii)SEQ ID NO:5、15、64および68、(xiv)SEQ ID NO:7、17、64および68、(xv)SEQ ID NO:6、16、64および68、(xvi)SEQ ID NO:6、16、67および71、(xvii)SEQ ID NO:8、18、64および68、(xviii)SEQ ID NO:9、19、64および68、(xix) SEQ ID NO:9、19、67および71、ならびに(xx)SEQ ID NO:10、20、64および68。
【0105】
本明細書に使用されるように、「二量体」は2つのポリペプチドの複合体を指す。特定の実施形態において、特に2つのポリペプチド間に共有結合がないという条件で、2つのポリペプチドが互いに非共有結合する。特定の例において、2つのポリペプチドは、二量体の安定化を支援するために形成されるジスルフィド結合のような、共有結合を有する。特定の実施形態では、二量体はホモダイマー、つまり2つの同一ポリペプチドを含む。用語「ポリペプチド」は、アミド結合によって結合されたアミノ酸残基のポリマーを指す。ポリペプチドは、特定の例において、単一鎖の融合タンパク質であり、分枝を持たない。ポリペプチドにおいて、可変抗体領域は次々に結合している。ポリペプチドは、他の例において、可変領域のN末端及び/又はC末端残基に付加した、連続するアミノ酸残基を有し得る。例えば、そのような連続するアミノ酸残基は、タグ配列を、ある例ではC末端に含んでもよく、それはポリペプチドの精製および検出のために役立つように考慮される。
【0106】
1つの様相では、二重特異性タンデムダイアボディのポリペプチドはそれぞれ4つの可変領域、CD3結合タンパク質の可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)、および、CD3結合タンパク質の可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)を含む。
ある実施例では、4つの可変領域が、ペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって結合され、いくつかの例において、N末端からC末端への配列は、以下のとおりである:領域順序:(1)VL(CD3)-L1-VH(CD33)-L2-VL(CD33)-L3-VH(CD3);あるいは(2)VH(CD3)-L1-VL(CD33)-L2-VH(CD33)-L3-VL(CD3);あるいは(3)VL(CD33)-L1-VH(CD3)-L2-VL(CD3)-L3-VH(CD33);あるいは(4)VH(CD33)-L1-VL(CD3)-L2-VH(CD3)-L3-VL(CD33)。
【0107】
リンカーの長さは、報告された研究によれば、抗原結合タンデムダイアボディの柔軟性に影響を及ぼす。従って、いくつかの実施形態において、ペプチド・リンカーL1、L2およびL3の長さは、1つのポリペプチドの領域が、二量体抗原結合タンデムダイアボディを形成するために、別のポリペプチドの領域と分子間結合することができるような長さである。特定の実施形態では、そのようなリンカーは「短い」、つまり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアミノ酸残基から成る。したがって、特定の例において、リンカーは約12以下のアミノ酸残基から成る。アミノ酸残基が0の場合、リンカーはペプチド結合である。そのような短いリンカーは、異なるポリペプチドの抗体可変軽鎖領域と抗体可変重鎖領域との間での結合および正確な抗原結合部位を形成することによる、2つのポリペプチドの分子間二量体化を支持する。リンカーを約12以下のアミノ酸残基に短縮することは、一般に、同じポリペプチド鎖の隣接領域が互いに分子間干渉するのを防止する。いくつかの実施形態において、これらのリンカーは、約3から約10まで、例えば4、5または6の連続するアミノ酸残基からなる。
【0108】
リンカーのアミノ酸組成については、2つのポリペプチドの二量体化の妨げにならないペプチドが選択される。例えば、グリシンとセリン残基を含むリンカーは一般に、プロテアーゼ抵抗性を提供する。リンカーのアミノ酸列は、抗原結合力および抗原結合ポリペプチド二量体の生産性を改善するため、例えばファージディスプレー法によって最適化することができる。いくつかの実施形態中のタンデムダイアボディに適しているペプチド・リンカーの例は、GGSGGS(SEQ ID NO:95)、GGSG(SEQ ID NO:96)あるいはGGSGG(SEQ ID NO:97)である。
[0102] 本明細書に記載されるようなタンデムダイアボディの限定的でない例は、抗CD33 VLおよびVH領域、抗CD3 VLおよびVH領域、領域順序、および表7に従うリンカーを有するタンデムダイアボディである。
【0109】
【0110】
【0111】
いくつかの実施形態では、タンデムダイアボディは、
図9Bから9Yに表されるようにタンデムダイアボディ01(SEQ ID NO:98)、02(SEQ ID NO:99)、03(SEQ ID NO:100)、04(SEQ ID NO:101)、05(SEQ ID NO:102)、06(SEQ ID NO:103)、07(SEQ ID NO:104)、08(SEQ ID NO:105)、09(SEQ ID NO:106)、10(SEQ ID NO:107)、11(SEQ ID NO:108)、12(SEQ ID NO:109)、13(SEQ ID NO:110)、14(SEQ ID NO:111)、15(SEQ ID NO:112)、16(SEQ ID NO:113)、17(SEQ ID NO:114)、18(SEQ ID NO:115)、19(SEQ ID NO:116)、20(SEQ ID NO:117)、21(SEQ ID NO:118)、22(SEQ ID NO:119)、23(SEQ ID NO:120)、または24(SEQ ID NO:121)である。
【0112】
本明細書に記載された、CD33結合タンパク質およびCD33/CD3二重特異性の結合タンパク質(例えばCD33/CD3二重特異性タンデムダイアボディ)は、いくつかの実施形態では、抗原結合タンデムダイアボディを形成するために別の同一のポリヌクレオチドと結合してタンデムダイアボディのポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを発現することで生成される。したがって、別の態様は、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディのポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNAである。
【0113】
ポリヌクレオチドは、ペプチドリンカーで分離された、または、他の実施形態では、ペプチド結合によって、適切なプロモータおよび選択的に適切な転写ターミネータと作動的に連結した単一の遺伝子的な構築体と直接的に連結された、少なくとも4つの抗体可変領域をコード化する遺伝子を結合し、およびこれをバクテリアまたは例えばCHO細胞などの他の発現システムで発現するような、既知の方法で構築される。利用されたベクターシステムおよびホストに依存して、任意の数の適切な転写、および恒常的および誘導性のプロモータを含む翻訳要素を使用してもよい。それぞれのホスト細胞でポリヌクレオチドの発現を駆り立てるように、プロモータは選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、さらなる実施形態を表すベクター、好ましくは発現ベクターに挿入される。既知の方法に従ってこの組み換え型のベクターを構築することができる。
【0115】
様々な発現ベクター/ホストシステムが、記載された抗原結合タンデムダイアボディのポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを含有し発現するために、利用可能である。E.coliの発現のための発現ベクターの例は、pSKK(Le Gall et al., J Immunol Methods.(2004) 285(1):111-27)、または、哺乳動物の細胞中の発現のためのpcDNA5(Invitrogen)である。
【0116】
したがって、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディは、いくつかの実施形態では、上記に記載されるようなポリペプチドをコード化するベクターをホスト細胞へ導入し、およびポリペプチド鎖が発現され、分離され、および随意に、さらに精製される条件下で前記ホスト細胞を培養することにより生成される。
【0117】
他の態様では、本明細書に記載されたCD33結合タンパク質またはCD33/CD3二重特異性の結合タンパク質(例えばCD33/CD3二重特異性タンデムダイアボディ)は、修飾を有する。典型的な修飾は、限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、薬物接合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合の架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、フォルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、例えばアルギニル化などの、転移RNAに媒介されたタンパク質へのアミノ酸の追加、およびユビキチン化を含む。さらなる実施形態では、CD33結合タンパク質またはCD33/CD3二重特異性結合タンパク質は、リーダーまたは分泌性の配列、またはポリペプチドの精製のための配列など付加的なアミノ酸で修飾される。
【0118】
他の態様では、CD33結合タンパク質、抗原結合タンデムダイアボディ、抗原結合タンデムダイアボディのポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを含むベクターまたはこのベクターで形質転換されたホスト細胞および少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物が本明細書において提供される。用語「薬学的に許容可能な担体」は、限定されないが、成分の生物学的活性の有効性を妨げない、およびそれが投与される患者に有毒ではない任意の担体を含む。適切な製薬の担体の例は当該技術分野において公知であり、リン酸塩緩衝食塩水溶液、水、油/水の乳剤などの乳剤、様々なタイプの加湿薬、無菌液などを含む。そのような担体は従来の方法で処方することができ、適切な投与量で被検体に投薬することができる。好ましくは、組成物は無菌である。これらの組成物はまた、防腐剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含み得る。微生物の活動の防止は様々な抗菌物質および抗真菌物質の封入で確実にされ得る。
【0119】
CD33およびCD3への高親和性の結合を有する二重特異性CD33/CD3結合タンパク質は、多くの主要なAML試料において高度に活性であり、これらの分子が、最小のCD33発現の場合であっても細胞遺伝学的な/分子の疾患スペクトル全体にわたってヒトAMLに対して活性であり得ることを示唆する。注目すべきことに、薬剤に特異的な細胞毒性は残余の自己由来のT細胞がある状態でも観察され、制御された量の健康なドナーT細胞の追加によって著しく増大する(実施例6を参照)。
【0120】
CD33/CD3二重特異性の結合タンパク質は、特定のタンデムダイアボディで、CD33+白血病細胞の有力な細胞崩壊をインビトロで引き起こす場合がある。データは、CD33およびCD3の両方への高親和性の結合が、二重特異性のタンパク質に引き起こされたT細胞活性化および抗AML効果を最大化することを示す。本明細書に記載されたタンデムダイアボディなどの、高親和性のCD33/CD3に配向された二重特異性結合タンパク質は、主要なAMLの細胞崩壊の活性をインビトロで示す。したがって、これらの二重特異性結合タンパク質およびタンデムダイアボディは、急性骨髄白血病(AML)または、例えば骨髄異形成症候群(MDS)、または骨髄増殖性疾患(MPD)などの他の血液系悪性腫瘍の処置のための治療の手法に適している。
【0121】
したがって、CD33+癌(例えば急性骨髄白血病(AML))、疾患または疾病の処置のために、被検体(例えば患者)に、本明細書で上記に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディを有効量で投与する方法が本明細書において提供される。CD33+癌は、限定されないが、急性骨髄白血病などの急性白血病、B前駆細胞リンパ芽球性白血病を含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、急性リンパ芽球性リンパ腫などの急性リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病などを含む。CD33+疾患および疾病は、特定の癌および慢性炎症における骨髄由来の抑制細胞(MDSC)に起因する免疫抑制の状態または環境を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、急性骨髄白血病(AML)の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の実施形態では、急性骨髄白血病サブタイプの処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0123】
FAB分類システムは、AMLを8つのサブタイプに分ける:AML-M0(最小限の分化)、AML-M1(成熟を伴わない)、AML-M2(顆粒白血球の成熟を伴う)、AML-M3(前骨髄球または急性前骨髄球性白血病)、AML-4(急性骨髄単球性白血病)、AML-M5(急性単芽球性または単球性白血病)、AML-M6(急性の赤白血病)およびAML-M7(急性の巨核芽球性白血病)。特定の場合には、AML-M0、AML-M1、AML-M2、AML-M3、AML-M4、AML-M5、AML-M6またはAML-M7の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0124】
WHO AML分類スキームは、次のサブタイプに従ってAMLを体系化する:再発性遺伝的異常を有するAML、脊髄形成異常関連の変更を有するAML、療法関連の骨髄性の新生物、骨髄性肉腫、ダウン症候群に関連する骨髄性の増殖、芽細胞の形質細胞様樹状細胞新生物、および他の点では分類されないAML。特定の他の場合では、再発性遺伝的異常を有するAML、脊髄形成異常関連の変更を有するAML、療法関連の骨髄性の新生物、骨髄性肉腫、ダウン症候群に関連する骨髄性の増殖、芽細胞の形質細胞様樹状細胞新生物、または他の点では分類されないAMLの処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0125】
他のいくつかの実施形態では、新しく診断された、再発性、または難治性のAMLの処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0126】
さらなる実施形態では、骨髄異形成症候群(MDS)または骨髄増殖性疾患(MPD)などの前白血病血液疾患の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の場合には、MDSの処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の場合には、MPDの処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0127】
他の実施形態では、多発性骨髄腫の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらなる実施形態では、慢性骨髄単球性白血病(CMML)の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0128】
他の実施形態では、骨髄由来の抑制細胞(MDSC)を抑制または排除するために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。MDSCは、一定の分離された病変組織中でCD33を大幅に過剰発現させ、強い免疫抑制性の活性を有する。特定のヒトの癌(CD33+、および非CD33+)では、MDSCは増殖し、活性化され、腫瘍に特異的なCD4+T細胞応答を抑制し、Treg細胞を誘導し、腫瘍または癌が微小環境で成育することを可能にする。慢性炎症では、MDSCは報告によれば増殖し、炎症部位で発見されT細胞免疫機能を抑制する。他の実施形態では、MDSCに関連する疾病の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実施形態では、免疫抑制の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実施形態では、MDSCで抑えられた炎症の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実施形態では、MDSCに引き起こされた、低下した免疫反応の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実施形態では、MDSCによって促進される癌の血管形成、腫瘍侵入、または転移の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実施形態では、MDSCによって増強されるか、増大されるか、悪化するか、増加された癌または腫瘍の処置のために、本明細書に記載されるような抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0129】
本明細書に記載された抗原結合タンデムダイアボディは、医薬品としての使用のために考慮される。投与は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的、または皮内の投与などの異なる方法によって実施される。いくつかの実施形態では、投薬の経路は、治療法の種類および薬学的な組成物に含有される化合物の種類に依存する。投与レジメンは主治医および他の臨床の要素で判断されることになる。任意の1人の患者のための量は、患者の体格、体表面積、年齢、性別、投与される特定の化合物、時間、および投与経路を含む多くの要素、療法の種類、公衆衛生、および同時に投与されている他の薬剤に依存する。「有効投与量」とは、その疾患のコースおよび重症度に影響を与え、そのような病理の軽減または緩解に結びつくのに十分な量の有効成分を言うものとする。既知の方法を使用して、AMLを処置および/または予防するのに有用な「有効投与量」を判断してもよい。
【0130】
さらなる実施形態では、CD33+癌、疾患または疾病への標準的治療と組み合わせて、本明細書に記載された抗原結合タンデムダイアボディが投与される。標準的な治療法は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、放射、手術、遺伝子治療などを含む。特定の実例では、標準のAML療法と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の実例では、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、イダルビシン、ドキソルビシンなど)、アムサクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレキセート、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシドなど)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン、ピクサントロン、ロソキサントロン、ピロキサントロン、アメタントロンなど)、抗CD20薬剤(例えばリツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、またはそれらの組み合わせ)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の実例では、シタラビン(ara-C)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の実例では、アザシチジンと組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。特定の実例では、デシタビンと組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらなる実例では、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、イダルビシン、ドキソルビシンなど)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。他の実例では、チェックポイント阻害剤(例えばPD-1阻害剤、CTLA-4阻害剤など)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実例では、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシドなど)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。さらに他の実例では、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン、ピクサントロン、ロソキサントロン、ピロキサントロン、アメタントロンなど)と組み合わせて、本明細書に記載された、抗原結合タンデムダイアボディが投与される。
【0131】
下記の実施例はさらに、本発明の範囲を制限せずに、記載される実施形態を示す。
【0132】
実施例1
一本鎖Fv抗体をコード化するDNA発現構築体のクローン化
E.coli中の抗CD33一本鎖Fv(scFv)抗体のバクテリアの発現のために、すべての分子のDNAコード配列がバクテリアの発現ベクターへクローン化された。すべての発現構築体は、N末端シグナルペプチドおよびC末端ヘキサ-ヒスチジン(6xHis)-タグ(SEQ ID NO:122)のための暗号配列を含むように設計され、ペリプラスムへの抗体分泌および精製をそれぞれ促進する。すべての抗CD33 scFvクローンからのVLおよびVH領域のアミノ酸配列は、表3および表4において示される。
【0133】
組換えの抗CD33 scFv抗体のE.coli中の発現
E.coliペリプラスム中の可溶の分泌されたタンパク質として、組換えのscFv抗体が発現された。最初の工程で、アンピシリンが追加された小さな培地は、変形したバクテリアの接種を受けて、28℃で16時間インキュベートされた。続いて、アンピシリンが追加された第2の培地を加えることにより、光電密度が調節され、600nmで0.6-0.8の範囲内の光電密度に到達するまで、28℃でもう一度培養された。タンパク質発現は、50μM IPTGの追加および21-28℃培養物のインキュベーションおよび16時間以内の200rpm処理を通じて引き起こされた。インキュベーションに続いて、細胞はペレットにされ(30分、4℃、7500rpm)、さらなる処理まで-20℃で保存された。
【0134】
抗CD33一本鎖Fv抗体の精製
組換えのscFvは、細菌細胞培養の遠心分離の後、緩衝液中に細胞ペレット剤を再懸濁し、緩やかに撹拌しながら室温で30分インキュベートすることによってE.coliペリプラスムから抽出された。細胞はペレットになり、組換えタンパク質を含んでいる上清が保存された。上清がプールされる前に、その手順がもう一度繰り返され、超音波処理で均質化された。ホモジェネートは希釈され、低濃度のイミダゾールが追加され、あらかじめ包装され、固定された金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラム(GE Healthcare)に載置された。カラムはベースラインが到達されるまで洗浄され、その後に、結合されたタンパク質がイミダゾール緩衝液で溶出された。抗体を含んでいる部分はプールされ、続いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で精製された。最終的に、タンパク質溶出物は、限外濾過で濃縮され、保管緩衝液に対して透析された。低pH処置(37℃で20-24時間のpH3.0のインキュベーション)の後に続き、サンプルはトリスを使用して中和された。精製されたタンパク質は小分けにして、使用まで-80℃で保存された。
【0135】
実施例2
タンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))をコード化するDNA発現構築体のクローン化
CHO細胞の二重特異性タンデムダイアボディの発現のために、すべての分子のコード配列が、哺乳類発現ベクターシステムへクローン化された。表7および
図3に示されるように組織化された領域を用いて、抗CD3 scFv領域と結合してCD33/CD3タンデムダイアボディを構築するために、実施例1の抗CD33 scFv領域が使用された。手短に述べると、ペプチドリンカー(VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VH)で分離された抗CD33 VHおよびVL領域をコード化する遺伝子配列が合成されサブクローン化された。結果として生じる構築体は消化され、リンカー配列内にあるBam HI制限部位を利用して、分離したVHおよびVLをコード化する配列が生成された。これらのVHおよびVLのフラグメントは、その後、抗CD3(VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VH)のVHおよびVLの領域をコード化するDNAフラグメントと連結され、最終の構築体が産出された。CD33/CD3タンデムダイアボディの領域オーダー変異体(Domain order variants)1から3が
図3に示される。すべての発現構築体は、N末端シグナルペプチドおよびC末端ヘキサヒスチジン(6xHis)-タグ(SEQ ID NO:122)のためのコード化配列を含むように設計され、抗体分泌および精製をそれぞれ促進する。
【0136】
安定してトランスフェクトされたCHO細胞中のタンデムダイアボディの発現
CHO細胞発現システム(Flp-In(登録商標),Life Technologies)、すなわちCHO-K1 Chinese Hamster卵巣細胞(ATCC、CCL-61)(Kao and Puck, Proc. Natl. Acad Sci USA 1968;60(4):1275-81)の誘導体が使用された。Life Technologiesで提供される標準の細胞培養プロトコルに従って、付着細胞は二次培養された。
【0137】
懸濁液中での増殖への適応のために、細胞は組織培養フラスコから分離され、無血清培地に配置された。懸濁液適応細胞は、10%のDMSOを有する培地で凍結保存された。
【0138】
分泌されたタンデムダイアボディを安定して発現する組換えのCHO細胞株は、懸濁液適応細胞のトランスフェクションで生成された。抗生物質ヒグロマイシンBを用いた選択中に、生細胞密度が週に二度測定され、細胞は遠心分離され、0.1x106生細胞/mLの最大密度で、新鮮な選択培地で再懸濁された。細胞プールを安定して発現するダイアボディは、選択の2-3週間後に回復され、その時点で振盪フラスコ中の標準培地に細胞を移された。組換え型の分泌されたタンパク質の発現は、タンパク質ゲル電気泳動またはフローサイトメトリーの実行により確認された。安定した細胞プールは、DMSOを含んでいる培地で凍結保存された。
【0139】
タンデムダイアボディは、細胞培養の上清の中への分泌によって安定なトランスフェクトされたCHO細胞株の、10日間の流加培養物内で生成された。細胞培養の上清は10日後に採取され、培養生存率は典型的には75%を超えている。隔日で生産培養からサンプルが収集され、細胞密度と生存率が評価された。採取日に、細胞培養の上清はさらなる使用の前に遠心分離と吸引濾過で取り除かれた。
【0140】
細胞培養の上清中のタンパク質発現滴定濃度および生成物の完全性は、SDS-PAGEで分析された。
【0141】
タンデムダイアボディの精製
タンデムダイアボディは、二段階のプロセスでCHO細胞培養の上清から精製された。第1段階ではHis6タグを付けられた(SEQ ID NO:122)構築体はNi-NTA Superflowクロマトグラフィーに供され、その後第2段階でSuperdex 200の上で調製用のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で処理された。溶出されたタンデムダイアボディはそれらのホモダイマー(タンデムダイアボディ)内容物に対して特徴づけられ、ホモダイマー内容物が90%以上であった場合プールされた。最終的に、プールされたサンプルは緩衝液交換され、>1mg/mLの典型的な濃度への限外濾過で濃縮された。最終的なサンプルの純度および均一性(典型的に>90%)はそれぞれ、還元条件および非還元条件下のSDS PAGE、続いて抗Hisタグ抗体を使用する免疫ブロット法に加えて分析的なSECで評価された。精製されたタンパク質は、使用まで-80℃で小分けにして保存された。
【0142】
CD33/CD3タンデムダイアボディのポリペプチドは表7および
図3に示される。タンデムダイアボディはそれぞれ2つの同一のポリペプチド(
図1)から成る。外部のリンカーL1およびL3の両方は6つのアミノ酸GGSGGS(SEQ ID NO:95)で構成され、他方で、中央のペプチドリンカー2は、それぞれ、配列GGSG(SEQ ID NO:96)、GGSGG(SEQ ID NO:97)またはGGSGGS(SEQ ID NO:95)で長さ(4-6のアミノ酸)が変化した。
【0143】
一連の抗CD33可変領域および抗CD3可変領域を使用して、トランスフェクトされた細胞株で安定して生成可能で、および体温において、および反復する凍結/解凍サイクル後も安定性を維持する、多くのタンデムダイアボディ分子が生成された。さらなる開発および症状発現前の毒性学研究を促進するために、人間およびカニクイザルの両方のCD33に結合を示したタンデムダイアボディ分子の選択に重点が置かれた。完全なアミノ酸配列の例はそれぞれ、
図9M、9Oおよび9Qにおいて、タンデムダイアボディ12(SEQ ID NO:109)、14(SEQ ID NO:111)および16(SEQ ID NO:113)の一本鎖で示される。この実施例において、可変領域の順序およびそれらの構造のためのリンカーは以下の通りである:VL(CD3)-L1-VH(CD33)-L2-VL(CD33)-L3-VH(CD3)。
【0144】
実施例3
フローサイトメトリーによる抗体親和性の測定
細胞は、系列希釈された100μLのCD33/CD3タンデムダイアボディとインキュベートされた。FACS緩衝液で3回洗浄された後、細胞は、氷上で45分、同様な緩衝液中の0.1mLの10μg/mLマウス単クローンの抗His抗体とインキュベートされた。2番目の洗浄サイクルの後に、以前と同様の条件下で、細胞は、15μg/mLのFITCを結合したヤギ抗マウスIgG抗体の0.1 mLとインキュベートされた。対照として、細胞は、抗His IgG、続いて抗CD33タンデムダイアボディを伴わずにFITCが結合されたヤギ抗マウスIgG抗体でインキュベートされた。その後、細胞は再び洗浄され、死細胞を除外するために2μg/mLのプロピジウムヨウ化物(PI)を含んでいる0.2mLのFACS緩衝液で再懸濁された。1x104生細胞の蛍光は、MXPソフトウェア(Beckman-Coulter,Krefeld,Germany)を使用するBeckman-CoulterFC500 MPLフローサイトメーター、またはIncyteソフトウェア(Merck Millipore,Schwalbach,Germany)を使用するMillipore Guava EasyCyteフローサイトメーターを使用して測定された。細胞サンプルの平均の蛍光強度は、CXPソフトウェア(Beckman-Coulter,Krefeld,Germany)またはIncyteソフトウェア(Merck Millipore,Schwalbach,Germany)を使用して計算された。第2および第3の試薬で単独で染色された細胞の蛍光強度値を差し引いた後に、値はGraphPadPrism(version 6.00 for Windows, GraphPad Software, La Jolla California USA)の1サイト結合のための方程式(双曲線)によるKD値の計算に使用された。
【0145】
タンデムダイアボディは、ヒトCD3+およびCD33+細胞およびカニクイザルCD3+およびCD33+細胞へのそれらの結合親和性に関してテストされた。選択されたタンデムダイアボディのための典型的な結合データは表8に要約される:
【0146】
【0147】
cyno CD33/ヒトCD33の#KD比率は、それぞれ、カニクイザルCD33およびヒトCD33を発現するCHO細胞上で測定されたKD値に基づいて計算された。‡KD比率hu CD3/hu CD33は、Jurkat細胞(hu CD3)上で測定されたKD値、および3つのヒトCD33+腫瘍細胞株(HL-60、KG-1、U937)の平均のKDに基づいて計算された。
【0148】
CD3結合能および交差反応性は、滴定および、CD3+Jurkat細胞(Dr. Moldenhauer, DKFZ Heidelberg提供;ヒト急性T細胞白血病)およびカニクイザルCD3+HSC-F細胞株(JCRB,cat.:JCRB1164)のフローサイトメトリー実験中に評価された。CD33結合および交差反応性は、ヒトCD33+腫瘍細胞株:HL-60(DSMZ,cat.:ACC 3,ヒトB前駆細胞白血病)、U-937(DSMZ,cat.:ACC5;ヒト細網肉腫)、およびKG-1(DSMZ,cat.:ACC14;急性骨髄白血病)上で評価された。交差反応性のKD比率は、一方の組換えのヒトまたは組換えのカニクイザル抗原を発現するCHO細胞株上で測定されたKD値を使用して計算された。
【0149】
タンデムダイアボディは、1nM未満である大半の試験済みの腫瘍細胞株上で、ヒトCD33+への比較的高い親和性を示した。ヒトCD3への親和性は2nM以下であると測定された。
【0150】
実施例4
細胞毒性アッセイ
細胞毒性アッセイのために標準条件下で培養された標的細胞が採取され、希釈剤Cで洗浄および再懸濁され、2x107細胞/mLの密度でPKH67Green Fluorescent Cell Linker Mini Kiで提供された。細胞懸濁液はその後、等量の2倍濃縮されたPKH67標識溶液と混合されて、室温で2-5分間インキュベートされた。染色反応は等量のFCSを加えて1分間インキュベートすることにより、実施された。標識化をされた標的細胞を完全RPMI培地で洗浄した後に、細胞は数えられ、完全なRPMI培地中で2x105細胞/mLの密度に再懸濁された。2x104標的細胞はその後、微量定量プレートの個別のウェル中の濃度が増大する示されたタンデムダイアボディの存在下で、エフェクター細胞としての濃縮したヒトT細胞と一緒に5:1のE:T比率で、全量が200μL/ウェルで接種された。各プレートについて少なくとも3回反復して、抗体がない状態での標的の自発的な細胞死およびT細胞による死滅が判断された。遠心分離の後、アッセイプレートは、5%のCO2を有する湿潤雰囲気中で、示された期間の間37℃でインキュベートされた。インキュベーションの後に、培養物はFACS緩衝液で1回洗浄され、その後、2μg/mLのPIが追加された150μLのFACS緩衝液で再懸濁された。生存している標的細胞の絶対量は、PKH67を用いた陽性緑色染色法と、Beckman-CoulterFC500 MPLフローサイトメーター(Beckman-Coulter)またはMillipore Guava EasyCyteフローサイトメーター(Merck Millipore)を使用した、PIの陰性染色法とを用いて測定された。測定された残存する生存した標的細胞に基づき、特定の細胞溶解のパーセンテージは次の式に従って計算された:[1-(生存している標的の数(サンプル)/生存している標的の数(自発性))]x100%。S字型用量反応曲線およびEC50値は、GraphPadソフトウェアを使用して、非線形回帰/4-パラメータ記号論理学適合により計算された。所定の抗体濃度に得られた溶解値は、Prismソフトウェアを使用する4パラメータ記号論理学適合分析でS字型用量反応曲線を計算するために使用された。
【0151】
EC50値は、5:1の比率でエフェクター細胞として濃縮されたヒトT細胞を有するCD33+U-937(DSMZ,cat.:ACC5;ヒト細網肉腫)標的細胞の20-24時間のアッセイで測定された。ある程度のタンデムダイアボディは、CD33+KG-1(DSMZ,cat.:ACC14;急性骨髄白血病)およびHL-60標的細胞の細胞毒性アッセイでテストされた。具体的には、HL-60細胞はCD33(任意のMFI[平均±SEM:]:3,133±215;n=3)の比較的高い細胞表面発現を有するAMLのモデルとして選択され、KG-1aは、非常に限定されたCD33発現(任意のMFI:277±11;n=3)を有するAMLのモデルとして選択された。選択されたタンデムダイアボディの典型的な細胞毒性データは表9に要約される。HL-60細胞株のための追加の細胞毒性データは、表8の最後のカラムで発見される。
【0152】
【0153】
EC50値は、20-24時間培養された示された標的細胞株上の原発性ヒトT細胞を5:1のE:T比率でエフェクター細胞として用いた、FACSに基づく細胞毒性アッセイで判断される。それぞれのタンデムダイアボディは、少なくとも2つの独立した実験中の各腫瘍細胞株でテストされた。平均値が提供される。
【0154】
実施例5
ヒトCD33+AML細胞株における48時間のさらなる細胞毒性スクリーニング実験
上記に記載されたように、有意な細胞毒性は24時間という早期に検知されたが、一方で48時間の時点で高位レベルの毒性が検知可能である。後のアッセイのために、48時間の時点が選択された。タンデムダイアボディに誘導された細胞毒性へのT細胞選択の影響がテストされた。これを達成するために、健康なボランティアのドナーからの無刺激のPBMCが獲得され、およびCD3
+細胞は、CD3微小ビーズの使用による単純な「正の濃縮(positive enrichment)」、同様に、CD14、CD15、CD16、CD19、CD34、CD36、CD56、CD123、およびCD235aに対する抗体の微小ビーズカクテルを介したより複雑な「負の選択(negative selection)」の両方によって単離された。
図4に表されるように、タンデムダイアボディに誘導された細胞毒性は、正の選択をされたT細胞より負の選択をされた健康なドナーのT細胞でより大きかった。しかしながら、個別のタンデムダイアボディの相対的な細胞毒性活性は、T細胞選択の方法に影響されなかった。したがって、正の濃縮をされた健康なドナーT細胞で続くアッセイが実施された。
【0155】
無刺激の単核細胞は、FHCRC Institutional Review Boardで承認された研究プロトコルの下で Fred Hutchinson Cancer Research Center (FHCRC)Hematopoietic Cell Processing Core(Core Center of Excellence)による白血球除去で健常成人ボランティアから集められた。T細胞は、CD3微小ビーズ(「正の濃縮」)、またはPanT細胞隔離キット(「負の選択」;両方ともMiltenyi Biotec,Auburn,CA)によって磁気細胞選別を通じて濃縮され、その後、分画で凍結され、液体窒素に保存された。解凍された細胞分画は、製造者の指示に従って3μM CellVueBurgundy(eBioscience、San Diego,(CA))で標識化された。精製されたPBMCは、タンデムダイアボディ分子の様々な濃度下で培養された。
【0156】
薬剤性の細胞毒性の定量化のために、細胞は、実施例4のように、37℃(5%のCO2および空気中)で、異なるE:T細胞比率で培養された。24-72時間後、細胞数および薬剤性の細胞毒性は、生存不能な細胞を検知するためにDAPIを使用し、LSRIIサイトメーター(BD Biosciences)を使用して測定され、FlowJoで分析された。AML細胞は、識別された全面/側面の散乱特性、および、健康なドナーT細胞が加えられ、CellVueBurgundy染料(
図5)について陰性である実験で測定される。薬剤性の特定の細胞毒性は次のように提供される:
%細胞毒性=100x(1-生存している処置された標的細胞/生存している対照の標的細胞)。平均値±標準誤差(SEM)として細胞毒性アッセイからの結果が提供される。連続的なサンプル特性の間の相関を計算するために、スピアマンのノンパラメトリックである相関を使用した。P値はすべて両側である。GraphPadプリズムソフトウェアを使用して、統計分析が実施された。
【0157】
健康なドナーT細胞がない状態で、CD33/CDタンデムダイアボディのいずれも、T細胞がない状態でのAML細胞株に任意の顕著な細胞毒性も及ぼさず、それらの細胞毒性にはT細胞が絶対的に必要であることが確認された(データは示さず)。T細胞の存在下で、タンデムダイアボディに誘導された特定の細胞毒性の範囲は、タンデムダイアボディの濃度に加えてE:T細胞比率に依存した。CD33/CD3指向タンデムダイアボディ分子および1つの対照タンデムダイアボディ(00)間の直接の1対1の比較は、HL-60細胞(
図6A/Bおよび表10)およびKG-1a細胞(
図6C/Dおよび表10)の両方で、抗体に誘導された細胞毒性において相当な相違を示し、結果は反復した実験において高い再現性を有する。全体としてタンデムダイアボディに誘導された細胞毒性の程度は、原発性ヒトT細胞(KG-1a細胞の細胞毒性については25pMへのCD3の結合親和性と関連した(約2.5ng/mL)およびE:T=5:1: r=-0.542、p=0.009;HL-60細胞の細胞毒性については25pMおよびE:T=5:1: r=-0.391、p=0.07)。タンデムダイアボディ12、14、16は、HL-60およびKG-1a細胞の両方に対して高度に細胞毒性であった。
【0158】
【0159】
実施例6
原発性ヒトAML試料でのタンデムダイアボディのさらなる特徴化
これらの候補の細胞毒性の特性の包括的な特徴化のために、FHCRC試料リポジトリから、研究用のAML患者からの試料が得られた。
【0160】
AMLを有する成人患者からの前処理(「診断」)の末梢血または骨髄試料からの、フィコールに分離された単核細胞の冷凍された分画がFHCRCのリポジトリから得られた。我々は、AML(Vardiman et al.; Blood. 2009; 114(5):937-951)を定義するために2008年のWHOの基準を使用し、細胞遺伝学的な危険性(Grimwalde et al.; Blood. 2010;116(3):354-365)を確認するために改定された英国医学研究会議(MRC)の基準を使用した。患者は、FHCRC施設内治験審査委員会で承認されたプロトコルの下に、研究用のバイオ試料の収集および使用のための書面のインフォームドコンセントを提供した。臨床データ、および医療保険の携行性と責任に関する法律の規定に従って匿名化された。解凍の後、細胞は、CD33(クローンP67.6;PE-Cy7-抱合型)、CD3(クローンSK7;PerCP抱合型)、CD34(クローン8G12;APC-抱合型;全てBD Biosciences, San Jose, CAによる)、およびCD45(クローンHI30;APCeFluor(登録商標)780-抱合型;eBioscience)を認識する直接標識化された抗体で染色された。生育不能な細胞を識別するために、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)でサンプルが染色された。少なくとも10,000の事象がCanto IIフローサイトメーター(BD Biosciences)上で入手され、FlowJo(Tree Star, Ashland, OR)を使用してDAPI-細胞が分析された。
【0161】
解凍の後に、試料はCD45/側散乱特性に基づくフローサイトメトリーで判断されるように、>58%のAML芽細胞を有していた。試料は、解凍直後に>50%の生細胞を有し、サイトカインを含んでいる液体での培養の48時間後に>50%の生細胞を有していた(
図7)。患者の中央値の年齢は58.1(範囲:23.9-76.2)歳であった;細胞遺伝学的な疾患の危険性は2人において程度で、18人において中度で、7人において高度であった。NPM1、FLT3およびCEBPAの変異状態についての情報は不完全であった;しかしながら、あるサンプルはCEBPA
double-mutantとして知られ、また、別のサンプルはNPM1
pos/FLT3-ITD
negであった。研究された試料での骨髄性の芽細胞およびCD3
+T細胞の中央値のパーセンテージは、それぞれ86.1%(範囲:58.4-97.0%)および2.0%(範囲:0-11.9%)であり、また、48時間の培養後においてサンプルの中央値の生存率は80.1%(範囲:53.6-93.6%)であった。患者の15人は新しくAMLが診断され、他方で、検体収集の時点で12人は再発性(n=7)または難治性(n=5)疾患であった。表11に要約されるように、新しく診断されたAMLを持った患者からの試料の基礎的な特性は、骨髄性の芽細胞上のCD33発現、自己由来のT細胞の量、骨髄性の芽細胞の割合、および培養生存率に関して、再発性または難治性の疾患を有する患者と同様であった。
【0162】
AML試料培養へのタンデムダイアボディ分子の追加は、適度の用量依存性の細胞毒性を結果としてもたらし(
図8A)、活性なAMLを有する患者から試料に含まれていた自己由来のT細胞が白血病細胞を溶解するために結合できることが実証された。健康なドナーのT細胞の存在下で、個別のタンデムダイアボディの細胞毒性活性は、薬物の投与量およびE:T細胞比率(
図8B/C)に厳密に依存した。しかしながら、タンデムダイアボディの高い活性はAML芽細胞に関する非常に低いCD33発現を有するいくつかの試料でさえ観察された。タンデムダイアボディ分子の中で、12は、E:T=1:3およびE:T=1:1の両方において、低い濃度(2.5pM(約250ng/mL)、およびより不明瞭な程度では、同様に10pM(約1ng/mL))で最も高い細胞毒性を有していたため、最も活性であるように見えた。
【0163】
代表的なAML患者の血液サンプルでCD33/CD3タンデムダイアボディがスクリーニングされ、これらの患者の性別、年齢、疾病段階(新しく診断されたもの、難治性、再発)、CD33発現の程度および細胞発生の危険(表11)の点において多種多様である。注目するべきことに、多くの検査されたタンデムダイアボディ(例えば02、08、09、11、12、14、16、19、22、および23)は、
図15に示されるような疾患スペクトルを介してほぼすべての患者サンプルにおいて高度に活性であった。さらに、活性の程度および範囲は、新しく診断された患者、再発された患者および難治性の患者を含む、AMLのすべてのステージにおいて類似している。
【0164】
【0165】
実施例7
異なるレベルのCD33を発現する様々な起源の異なるCD33+細胞株に対するCD33/CD3タンデムダイアボディ12およびタンデムダイアボディ16の効力および効果
CD33/CD3タンデムダイアボディの効力および効果が標的細胞のCD33密度に依存するかどうかを評価するために、様々なヒトCD33+腫瘍細胞株および組換えのヒトCD33を示すCHO細胞が、QIFIKIT量化キットおよび抗CD33 mAb WM53を使用して、それらのCD33発現レベルに関してテストされた。表12中の結果は、腫瘍細胞株のCD33密度が~1300SABC(標準化された抗体結合能)から~46000SABCの間の範囲であったことを示す。CHO-CD33細胞の発現は~197000SABCであり、腫瘍細胞株上よりも実質的に高かった。試験したCD33+細胞株はすべて、系列希釈したCD33/CD3タンデムダイアボディ12およびタンデムダイアボディ16の存在下で、ヒトT細胞を5:1のエフェクター対標的の比率でエフェクター細胞とした、少なくとも3つの独立のFACSベースの細胞毒性アッセイで標的細胞として使用された。各アッセイでは、EC50およびタンデムダイアボディを媒介とした溶解値は非線形回帰で計算された。結果は、12および16の、効力(EC50値)および効果(%溶解)のいずれも標的細胞の表面のCD33密度と関連しないことを実証する。
【0166】
注目すべきことに、少なくとも12および16は、1500未満のSABCの非常に低いCD33密度を有するSEMのような細胞に対しても細胞毒性活性を示す。
【0167】
【0168】
CD33+細胞株の標準化された抗体結合能(SABC)は、QIFIKITおよび抗CD33 mAb WM53を使用して測定された。タンデムダイアボディ12およびタンデムダイアボディ16に再指示された標的細胞溶解のEC50値は、5:1のE:T比率および20-24時間のインキュベーションにおいてヒトの主要なT細胞をエフェクター細胞とした、FACSベースの細胞毒性アッセイで判断された;CD33を表現するCHO細胞でのアッセイは、40-48時間インキュベートされた。少なくとも3つの独立したアッセイの中央値およびSDが示された。
【0169】
実施例8
T細胞のTandAb-活性化およびAML細胞のインビトロの死滅
TandAbは、精製されたヒトT細胞およびVPD-450-標識化ヒトCD33+白血病細胞株、KG-1、またはCD33-ヒトALL細胞株、G2(E:T 5:1)とインキュベートされた。TandAb(10-15から10-8M;24時間、37℃)で標的細胞溶解を評価するためにフローサイトメトリーが使用された。
【0170】
ヒトT細胞を有する、TandAb12、16および19のインキュベーションは、効率的にKG-1細胞を溶解した(それぞれIC50~0.01、0.5、および5pM)。40%以内の、T細胞は活性化され(CD25+)、細胞毒性活性が上昇した。無関係の標的、00(>10-7M)を有する対照のTandAbは、KG-1のインビトロでの有意な死滅を結果として生じなかった。別々に、16は、KG-1細胞(IC50=5×10-12M)の溶解を引き起こす一方、1×10-8MはCD33-G2細胞に対して効果が無かった。結果は、T細胞は、CD33/CD3 TandAbによってCD33+白血病細胞(KG-1)および原発性CD33+AML芽細胞を標的とした時に活性化され、強力に腫瘍細胞を溶解することを示す。
【0171】
実施例9
エピトープマッピング
異なるCD33結合成分を含んでいるタンデムダイアボディは、CD33を結合するエピトープを同定するために、CLIPS Technology(Pepscan)を使用したエピトープマッピングに供された。
【0172】
CLIPS Technologyは、一回のループ、二重ループ、三重ループ、シート状のフォールド、螺旋状のフォールド、およびそれらの組み合わせにペプチドを組み立てることを促進し、標的分子の不連続のエピトープをマッピングする可能性を提供する。
【0173】
7000を超える独立したペプチドのアレイが合成され、ELISAでペプチドの各抗体の結合がテストされた。
【0174】
タンデムダイアボディ12、14、16および22は、ヒトCD33の領域のような最初のIgで伸張
62DQEVQEETQ
70(SEQ ID NO:94)に結合する。
図9Aにおいて、それぞれのアミノ酸伸張は、下線および太字で示される。タンデムダイアボディ01、02、04、06、08、09、13、および23はまた、これらのタンデムダイアボディが、タンデムダイアボディ12、14、16、および12と同様なCD33結合領域(SEQ ID NO:2および12、3および13、5および15、9と19)を共通して有するため、このエピトープに結合することが考慮される。
【0175】
実施例10
予防薬のインビボの腫瘍モデルにおける用量反応
タンデムダイアボディ12および16は、ヒトT細胞で再構成されたNOD/scidマウス中の予防的なHL-60腫瘍異種移植モデル中の異なる投与量レベルで比較される。用量反応を達成するために、10、1および0.1μg(0.5、0.05および0.005mg/kg)の3つの投与量レベルが選択された。
【0176】
8つの免疫不全のNOD/scidマウスの目標実験群が、4x106HL-60細胞の懸濁液を有する皮下注射で異種移植された。注入前に、細胞は、負の選択を使用する軟膜(健康なドナー)から分離された3x106T細胞と混合された。T細胞の潜在的なドナー不安定性を説明するために、それぞれの実験群は、それぞれが1人の個別のドナーのみのT細胞を収容する3つのコホートへ細分された。腫瘍細胞とT細胞で移植された実験群の動物はすべて、0日目、1日目、2日目、3日目、および4日目(qdxd5)に、示されるような(0.1μg、1μg、および10μg)3つの異なる投与量レベルのビヒクル(対照)、16、または12のいずれかの静脈内ボーラスを受けた。エフェクター細胞およびビヒクル処置を伴わない1つの群は、付加的な対照として機能した。表13は群の割り当て、および投与スケジュールを要約する。
【0177】
【0178】
HL-60異種移植モデル中のインビボにおける用量反応の研究のための処置群。対照群中の動物はすべて、確実に腫瘍を生じさせて、均質の腫瘍成長を示した。T細胞の存在は腫瘍の進行に影響がなかった。ビヒクルが処置された対照群中において、T細胞が存在する状態または存在しない状態で、HL-60増殖の相違は観察されなかった。
【0179】
両方の試験項目による処置は、明瞭な用量依存性の抗腫瘍の効果(
図10)を示した。本質的な相違は2つのタンデムダイアボディ間で発見されなかった。大半の処置群が完全であった時、29日に、
図10の平均の腫瘍容積のプロッティングが制限された。研究は45日まで継続され、動物は腫瘍なしの生存が観察された。10または1μgの16で処置された群では、9匹の動物のうち6匹は観察期間の終わりに腫瘍が無く、また、10μgの12を受けている9匹の動物の5匹は45日の時点で腫瘍がなかった。1μgの12で処置された時、1匹の動物は腫瘍が無いままであった。
【0180】
対照群中の動物はすべて、確実に腫瘍を生じさせて、均一な腫瘍増殖を示した。タンデムダイアボディのいずれかによる処置は用量依存的な抗腫瘍効果を明らかにし、また、本質的な違いは29日まで2つのタンデムダイアボディ間で発見されなかった。
【0181】
検知可能な差異は、延長された観察(日45)の後にのみ観察され、この時低投与量の群および対照群は大きな腫瘍の増殖により既に終了していた。16で処置された群はより多くの腫瘍なしの動物を有していた。
【0182】
実施例11
確立された腫瘍モデル
16を使用するあらかじめ確立されたHL-60腫瘍を有するNOD/scidマウス中の異種移植モデルは、概念実証を示すために開発された。
【0183】
手短に言えば、雌の免疫不全のNOD/scidマウスは亜致死性で放射線照射され(2Gy)、皮下に4x106 HL-60細胞の接種を受けた。9日目において、動物は、ネズミ科のナチュラルキラー(NK)細胞を消耗するために、抗アシアロ GM1ウサギ抗体(Wako,Neuss,Germany)の一回の急速注入を受けた。10日目において、腫瘍が50-150mm3(平均73±11mm3)の間の体積に達した時、動物は3つの処置グループに割り振られた。グループ2および3(それぞれ8匹の動物)は、腹腔内に1.5x107に活性化されたヒトT細胞が注入された。注入前に、負の選択を使用する軟膜(健康なドナー)からT細胞が分離された。T細胞は、製造者の規格(Miltenyi Biotech)に従ったT細胞活性化/増殖キットで増殖され、活性化された。潜在的なドナーの不安定性を検討するために、グループ2および3は2つのコホートに細分され、各々が個体のドナーから増殖および活性化したT-細胞を受け取る。それぞれのコホートは1つの個別のT細胞ドナーのみからT細胞を受けた。
【0184】
【0185】
13日から開始し、群3の動物は、105mm3の平均の腫瘍体積を示し、合計9回、50μgのタンデムダイアボディ16(qdx9d)の静脈内の投与で処置された。表14は群の割付けおよび投与スケジュールを例証する。群1および2はビヒクルのみで処置された。27日まで、体重と腫瘍体積が測定された。
【0186】
動物はすべて確実に腫瘍を生じさせ、これは6日目で明白であった。ビヒクルが処置された群1および2(HL-60)の動物の平均の腫瘍容積は、継続して27日目の研究終了まで増加した(
図11)。HL-60腫瘍細胞に加えて主要な活性化したヒトT細胞を受けた群2の動物では、平均の腫瘍体積は、群1(HL-60のみ)と比較してより速く上昇した。
【0187】
ヒトT細胞(群3)の存在下での13日から21日(qdxd9)の反復したタンデムダイアボディ16(50μg/動物;2.5mg/kg)による静脈内の処置は、群1および群2と比較して急速に腫瘍の成長を遅らせた。タンデムダイアボディ16は、ビヒクルが処置された対照群(群2)と比較して、群3の腫瘍成長をおよそ4-5日遅らせた。6日目から27日目までの期間の統計的有意差は、群2(HL-60、T細胞、ビヒクル)および群3(HL-60、T細胞、16)の間で22日目(p<0.05)、23日目(p<0.01)、および27日目(p<0.01)に確認された(二元配置反復測定分散分析およびBonferroniポストテスト)。群1の腫瘍の異常な低成長により、統計的有意差は群1および群3の間で存在しない。
【0188】
異なるドナーからT細胞を受けた、群の内のコホート1およびコホート2の腫瘍進行を比較した場合、T細胞活性に関連したドナーの不安定性は観察されなかった(表14を参照)。
【0189】
実施例10は、あらかじめ定着させられたHL-60腫瘍(AML)および、腹腔内に移植されたヒトT細胞を有するNOD/scidマウス中の異種移植モデルが、順調に発達したことを示す。タンデムダイアボディ16の単一の投与量での反復した投与は、それぞれのビヒクルで処置された対照群と比較して、腫瘍増殖の統計的に有意な遅れを引き起こす。生成されたデータは、CD33/CD3 BiTE(商標)(Aigner et al., 2012; Leukemia, 2013, Apr;27(5):1107-15))における同様の研究の公表された結果に匹敵する。
【0190】
実施例12
NSGマウス中のAML PDXモデルにおけるCD33/CD3タンデムダイアボディの効果
2-4%のCD3
+T細胞を含むCD33
+白血病AML患者からの凍結保存された細胞が、NSGマウス中のAML PDXモデルを確立するために使用された。腫瘍細胞の注射の1時間後、放射線照射された(250 cGy)NSGマウスに、CD33/CD3タンデムダイアボディ16または12が、2つの静脈内の投与(50μgまたは5μg;n=8マウス/群)のいずれかで、200μLのボーラスで注入された。タンデムダイアボディの付加的な注入が、後続の4日間のそれぞれで実行された。マウスは毎週1回計量され、続いて、フローサイトメトリー(huCD33、huCD34、huCD45、muCD45、huCD14、huCD3、huCD4、huCD8、および7AAD)による分析のための末梢血、骨髄および脾臓の収集を可能にするために38日目で屠殺された。結果は
図12において示される。
【0191】
図12は、未処置のマウスが38日後に骨髄と脾臓において相当な量のヒト芽細胞を有していたことを示す。対照的に、タンデムダイアボディ12または16が毎日静脈内に注入されたマウスは、骨髄、および脾臓で実質的により低い数のヒトAML芽細胞を示した。両方の投与量レベル(5および50μg/注入)においてCD33/CD3タンデムダイアボディの強い抗AML効果が観察された。
【0192】
CD33/CD3の両方のタンデムダイアボディ12および16の観察された抗AML効果は、同一のマウスモデル中のCD123/CD3 DART(登録商標)抗体照準法AMLの効果よりはるかに強力であった(Hussaini et al.:” Targeting CD123 In Leukemic Stem Cells Using Dual Affinity Re-Targeting Molecules (DARTs(登録商標)November 15, 2013; Blood: 122 (21))。骨髄と脾臓でAML芽細胞をほぼすべて排除したCD33/CD3タンデムダイアボディとは対照的に、Hussainiらは、CD123/CD3 DART(登録商標)が2.5および0.25mg/kgでの因子50-1000によってのみ、PDXモデル中の骨髄および脾臓中のAML芽細胞の数を減少させると報告し、著者はさらに、CD123/CD3 DART(商標)が骨髄中のAML芽細胞およびPDXモデル中の脾臓の数を0.5mg/kgで40-78%のみ減少させると報告した。
【0193】
実施例13
CD33/CD3タンデムダイアボディ16を媒介とした標的細胞溶解の迅速な発現
CD33/CD3タンデムダイアボディを媒介とした標的細胞溶解の動力学を評価するために、異なるインキュベーション回数でカルセイン放出細胞毒性の分析が実行された。25:1のE:T比率で30分、1時間、2時間、3時間、4時間、または5時間、カルセインに標識化されたCD33
+HL-60標的細胞は、エフェクター細胞としての原発性ヒトT細胞の存在下において、系列希釈されたタンデムダイアボディ16でインキュベートされた。それぞれの時点で、溶解された標的細胞から放出されたカルセインは、EC
50の値、および非線形回帰/S字型の用量応答を使用するタンデムダイアボディ16に媒介された標的細胞溶解を計算するために使用された。
図13は、飽和したタンデムダイアボディ濃度で30分のインキュベーションの後の、40%を超える溶解を有するタンデムダイアボディを媒介とした標的細胞溶解の予期しない速い発現を示す。4時間のインキュベーション後、90%以上の標的細胞溶解に達した。表15および
図14は、30分から5時間の間のインキュベーションが行われたタンデムダイアボディ16のための測定されたEC
50および特定の溶解値を要約してい。結果はさらに、使用されたアッセイの条件下で2時間のインキュベーションの後に最大の効力(最小のEC
50の値)に到達し、および5時間のインキュベーションの後にほぼ全ての標的細胞が溶解されたことを示す。まとめると、これらの結果は、CD33/CD3タンデムダイアボディに媒介された非常に速く、有力で、効果的な標的細胞の溶解を示す。
【0194】
【0195】
実施例14
AML患者へのCD33/CD3タンデムダイアボディの投薬のための概念実証臨床試験プロトコル
急性骨髄白血病(AML)の処置としてのCD33/CD3タンデムダイアボディ16の研究の期I/II臨床試験
【0196】
研究結果:
【0197】
一次:CD33/CD3タンデムダイアボディ16の最大耐用量
【0198】
二次:CD33/CD3タンデムダイアボディ16のインビトロの反応が臨床反応に関連するかどうかを判断すること
【0199】
第I期
【0200】
試験の第I期で最大耐用量(MTD)が決定される。
1.1 試験の第I期で最大耐用量(MTD)が決定される。
1.2 CD33/CD3タンデムダイアボディ16の試験に適格基準を満たす患者が加えられる。
1.3 目標は、参加者の重度のまたは収拾不可能な副作用を伴わなずに安全に実施することができるCD33/CD3タンデムダイアボディ16の最大投与量を明らかにすることである。与えられる投与量は、事前の研究で登録された参加者の数、および、どれくらいよく投与量が許容されたかに依存する。すべての参加者が同一の投与量を受けるとは限らない。
【0201】
第II期
2.1 引き続き第II期は、CD33/CD3タンデムダイアボディ16の療法を有する療法が少なくとも20%の反応率を結果として生じるかを判断するという目標で、MTDで処置される。
II期の第一の結果---CD33/CD3タンデムダイアボディ16の療法が、少なくとも20%の患者において臨床反応(芽細胞反応、軽症の反応、部分応答または完全寛解)の達成を結果としてもたらすかを判断すること
【0202】
適格性:
急性前骨髄球性白血病(APL)の患者を除き、WHOの基準に適合する、末梢血および骨髄の分析によって記述されたAML
一次誘導化学療法に抵抗性であるAMLを有するか、再発された疾患を有する、または年齢≧60であり、かつ年齢、活動状態、および/または有害な危険因子のために、処置をしている医師による標準細胞傷害性療法に適正でない患者。
年齢≧18歳
カルノフスキーパフォーマンスステータス≧50%またはECOG活動度0-2
平均余命≧6週
【0203】
本発明の好ましい実施形態が図示され説明されたが、そのような実施形態は実施例としてのみ提供されることは、当業者に明らかだろう。多くの変形、変更、及び置換が本発明から逸脱することなく当業者に想起されるだろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施形態を実施する際に使用されてもよいことが理解されるべきである。以下の請求項は発明とその方法の範囲、およびこれらの請求項の範囲内の構造を定義し、これらの等価物がそれによって網羅されることが意図される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願の明細書に記載される発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
治療のための上記の方法において、特定の例では、該方法は、シタラビンおよびアザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、イダルビシン、アドリアマイシンなど)、アムサクリン、フルダラビン、クラファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシドなど)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン、ピクサントロン、ロソクサントロン、ピロクサントロン、アメタントロンなど)、抗CD20剤(例えばリツキシマブ、オクレリツマブ、オファツムマブなど)、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む。
[本発明1001]
ヒトCD33およびヒトCD3に特異的な二重特異性タンデムダイアボディであって、前記タンデムダイアボディは第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは次々に接続された少なくとも4つの可変鎖領域を有し、各ポリペプチドは、
(i)ヒトCD33に特異的な可変重鎖(VH)領域;
(ii)ヒトCD33に特異的な可変軽鎖(VL)領域;
(iii)ヒトCD3に特異的なVH領域、および
(iv)ヒトCD3に特異的なVL領域、
を含み、
各ポリペプチドにおいて、4つの可変連鎖領域が、下記の順序でペプチド・リンカーL1、L2およびL3によって次々に結合されることを特徴とする、二重特異性タンデムダイアボディ:
VL(CD3)-L1-VH(CD33)-L2-VL(CD33)-L3-VH(CD3);
VH(CD3)-L1-VL(CD33)-L2-VH(CD33)-L3-VL(CD3);
VL(CD33)-L1-VH(CD3)-L2-VL(CD3)-L3-VH(CD33);または
VH(CD33)-L1-VL(CD3)-L2-VH(CD3)-L3-VL(CD33)。
[本発明1002]
ヒトCD33に特異的なVL領域は、SEQ ID NO:21-27から成る群から選ばれた配列から成るCDR1、SEQ ID NO:28-34から成る群から選ばれた配列から成るCDR2、およびSEQ ID NO:35-41から成る群から選ばれた配列から成るCDR3:35-41を含む、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1003]
ヒトCD33に特異的なVH領域は、SEQ ID NO:42-48から成る群から選ばれた配列から成るCDR1、SEQ ID NO:49-55から成る群から選ばれた配列から成るCDR2、SEQ ID NO:56-63から成る群から選ばれた配列から成るCDR3を含む、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1004]
ヒトCD33に特異的なVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記から成る群から選択される配列である、本発明1002の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:21、28および35;
(ii)SEQ ID NO:22、29および36;
(iii)SEQ ID NO:23、30および37;
(iv)SEQ ID NO:24、31および38;
(v)SEQ ID NO:25、32および39;
(vi)SEQ ID NO:26、33および40;並びに
(vii)SEQ ID NO:27、34および41。
[本発明1005]
CD33に特異的なVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、下記から成る群から選択される配列である、本発明1003の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:42、49および56;
(ii)SEQ ID NO:43、50および57;
(iii)SEQ ID NO:43、50および58;
(iv)SEQ ID NO:43、50および59;
(v)SEQ ID NO:43、50および60;
(vi)SEQ ID NO:44、51および61;
(vii)SEQ ID NO:45、52および62;
(viii)SEQ ID NO:46、53および63;
(ix)SEQ ID NO:47、54および63、並びに
(x)SEQ ID NO:48、55および63。
[本発明1006]
CD33に特異的なVL領域およびVH領域は、下記から成る群から選択される配列である、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:11;
(ii)SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:12;
(iii)SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:13;
(iv)SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:14;
(v)SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:15;
(vi)SEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:16;
(vii)SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:17;
(viii)SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:18;
(ix)SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:19;並びに
(x)SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:20。
[本発明1007]
ヒトCD3に特異的なVH領域は、STYAMN(SEQ ID NO:72)のCDR1配列、RIRSKYNNYATYYADSVK
D
(SEQ ID NO:73)のCDR2配列、および、HGNFGNSYVSWFAY(SEQ ID NO:74)またはHGNFGNSYVSYFAY(SEQ ID NO:75)のCDR3配列を含む、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1008]
ヒトCD3に特異的なVL領域は、RSSTGAVTTSNYAN(SEQ ID NO:90)のCDR1配列、GTNKRAP(SEQ ID NO:91)のCDR2配列、およびALWYSNL(SEQ ID NO:92)のCDR3配列を含む、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1009]
CD3に特異的なVL領域およびVH領域は、下記SEQ ID NO:から成る群から選ばれた配列である、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:64およびSEQ ID NO:68;
(ii)SEQ ID NO:65およびSEQ ID NO:69;
(iii)SEQ ID NO:66およびSEQ ID NO:70;並びに
(iv)SEQ ID NO:67およびSEQ ID NO:71。
[本発明1010]
各ポリペプチドは、下記から成る群から選択される4つの可変鎖領域を含む、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ:
(i)SEQ ID NO:2、12、65および69;
(ii)SEQ ID NO:3、13、65および69;
(iii)SEQ ID NO:4、14、65および69;
(iv)SEQ ID NO:5、15、65および69;
(v)SEQ ID NO:1、11、64および68;
(vi)SEQ ID NO:2、12、64および68;
(vii)SEQ ID NO:2、12、66および70;
(viii)SEQ ID NO:4、14、66および70;
(ix)SEQ ID NO:5、15、66および70;
(x)SEQ ID NO:3、13、64および68;
(xi)SEQ ID NO:3、13、67および71;
(xii)SEQ ID NO:4、14、64および68;
(xiii)SEQ ID NO:5、15、64および68;
(xiv)SEQ ID NO:7、17、64および68;
(xv)SEQ ID NO:6、16、64および68;
(xvi)SEQ ID NO:6、16、67および71;
(xvii)SEQ ID NO:8、18、64および68;
(xviii)SEQ ID NO:9、19、64および68;
(xix)SEQ ID NO:9、19、67および71;並びに
(xx)SEQ ID NO:10、20、64および68。
[本発明1011]
リンカーL1、L2およびL3は約12以下のアミノ酸残基から成る、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1012]
リンカーL1、L2およびL3はそれぞれ、GGSGGS(SEQ ID NO:95)、GGSG(SEQ ID NO:96)またはGGSGG(SEQ ID NO:97)から独立して選択される、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1013]
リンカーL1およびL3は、GGSGGS(SEQ ID NO:95)であり、リンカーL2は、GGSG(SEQ ID NO:96)またはGGSGG(SEQ ID NO:97)である、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1014]
タンデムダイアボディは、SEQ ID NO:98-121から成る群から選択される配列を有する、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ。
[本発明1015]
タンデムダイアボディは、タンデムダイアボディ01(SEQ ID NO:98)、02(SEQ ID NO:99)、03(SEQ ID NO:100)、04(SEQ ID NO:101)、05(SEQ ID NO:102)、06(SEQ ID NO:103)、07(SEQ ID NO:104)、08(SEQ ID NO:105)、09(SEQ ID NO:106)、10(SEQ ID NO:107)、11(SEQ ID NO:108)、12(SEQ ID NO:109)、13(SEQ ID NO:110)、14(SEQ ID NO:111)、15(SEQ ID NO:112)、16(SEQ ID NO:113)、17(SEQ ID NO:114)、18(SEQ ID NO:115)、19(SEQ ID NO:116)、20(SEQ ID NO:117)、21(SEQ ID NO:118)、22(SEQ ID NO:119)、23(SEQ ID NO:120)、または24(SEQ ID NO:121)である、本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディ
[本発明1016]
タンデムダイアボディは、HL-60、KG-1およびU-937から選択されるCD33
+
腫瘍細胞上のCD33に対する10nM以下の結合K
D
を有する、本発明1001の二重特異性抗原結合タンデムダイアボディ。
[本発明1017]
タンデムダイアボディは、特異的にヒトCD33の62DQEVQEETQ70(SEQ ID NO:94)(SEQ ID NO:93のアミノ酸残基62-70)の内にあるヒトCD33のエピトープに結合する、本発明1001の二重特異性抗原結合タンデムダイアボディ。
[本発明1018]
CD33
+
癌の治療のための方法であって、
CD33
+
癌を患う個体への本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
[本発明1019]
CD33
+
癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B前駆細胞リンパ芽球性白血病、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、急性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫または慢性骨髄単球性白血病(CMML)である、本発明1018の方法。
[本発明1020]
CD33
+
癌は、急性骨髄性白血病(AML)である、本発明1018の方法。
[本発明1021]
CD33
+
癌は、多発性骨髄腫である、本発明1018の方法。
[本発明1022]
CD33
+
癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、本発明1018の方法。
[本発明1023]
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1024]
AMLは、再発性遺伝的異常を有するAML、脊髄形成異常関連の変化を伴うAML、治療関連の骨髄性の新生物、骨髄性肉腫、ダウン症候群と関連する骨髄性の増殖、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、またはその他の分類されないAMLである、本発明1020の方法。
[本発明1025]
AMLは、AML-M0、AML-M1、AML-M2、AML-M3、AML-M4、AML-M5、AML-M6、またはAML-M7である、本発明1020の方法。
[本発明1026]
AMLは、新しく診断され、再発性、または難治性である、本発明1020の方法。
[本発明1027]
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ 、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1028]
骨髄性形成障害症候群(MDS)の治療のための方法であって、MDSを患う個体への本発明1001の二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
[本発明1029]
前記方法は、シタラビン、アザシチジン、デシタビン、アントラサイクリン、アミサクリン、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ネララビン、メトトレザト、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、メルファラン、イブルチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、アプレミラスト、エピポドフィロトキシン、アントラセンジオン、抗CD20剤、またはこれらの組合せを投与することをさらに含む、本発明1028の方法。
[本発明1030]
骨髄由来の抑制細胞(MDSC)による免疫抑制の処置のための方法であって、免疫抑制を患う個体への本発明1001の任意の1つに基づく二重特異性タンデムダイアボディの投与を含むことを特徴とする方法。
【外国語明細書】