(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069440
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】有機膜形成装置
(51)【国際特許分類】
B05C 9/14 20060101AFI20220428BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
B05C9/14
G02F1/1337 520
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002140
(22)【出願日】2022-01-11
(62)【分割の表示】P 2019559200の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2017240763
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018185545
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】磯 明典
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】高橋 崇史
(57)【要約】
【課題】熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、有機膜を形成することができる有機膜形成装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る有機膜形成装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、チャンバの内部に設けられ、カバーにより囲まれる少なくとも1つの処理室と、チャンバの内部を排気可能な排気部と、を備えている。処理室には、少なくとも1つの第1のヒータを有する上部加熱部と、少なくとも1つの第2のヒータを有し、上部加熱部と対向する下部加熱部と、基板と、基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有するワークを上部加熱部と下部加熱部との間に支持可能なワーク支持部と、が設けられている。処理室は、チャンバに連通した空間を有している。排気部は、チャンバの内部の圧力を減圧するとともに、チャンバの内壁とカバーとの間の空間の圧力を減圧する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
前記チャンバの内部に設けられ、カバーにより囲まれる少なくとも1つの処理室と、
前記チャンバの底面に設けられ、前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、
を備え、
前記処理室には、
棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第1のヒータを有する上部加熱部と、
棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第2のヒータを有し、前記上部加熱部と対向する下部加熱部と、
前記上部加熱部の前記下部加熱部側に前記複数の第1のヒータと離隔して設けられた上部均熱板と、
前記下部加熱部の前記上部加熱部側に前記複数の第2のヒータと離隔して設けられた下部均熱板と、
基板と、前記基板の上面に塗布されたポリアミド酸を含む溶液と、を有するワークを前記上部均熱板と前記下部均熱板との間に隙間を介して支持可能な棒状体の複数のワーク支持部と、が設けられ、
前記カバーは、前記処理室に対して上面側、下面側および側面側を覆う平板状の部材を備え、前記平板状の部材同士の境界には隙間を有し、
前記処理室は、前記チャンバに連通した空間を有し、前記排気部は、前記チャンバの内部の圧力を減圧するとともに、前記チャンバの内壁と前記カバーとの間の空間の圧力を減圧し、
前記上部均熱板及び前記下部均熱板の少なくとも一つは互いに隙間を有して配置される複数の均熱板であり、前記複数の均熱板の少なくとも一つは、前記複数の均熱板の並ぶ方向における両端に折り曲げ部が設けられている有機膜形成装置。
【請求項2】
前記上部均熱板を着脱自在に支持する上部均熱板支持部と、
前記下部均熱板を着脱自在に支持する下部均熱板支持部と、
が設けられている請求項1記載の有機膜形成装置。
【請求項3】
前記処理室は、上下方向に重ねて複数設けられ、
下側の前記処理室に設けられた前記上部加熱部は、上側の前記処理室に設けられた前記下部加熱部と兼用となっている請求項1または2に記載の有機膜形成装置。
【請求項4】
前記所定の方向において、前記処理室の両側の側部のそれぞれには、側部均熱板がさらに設けられ、
前記側部均熱板は、前記カバーの内側に設けられている請求項1または2に記載の有機膜形成装置。
【請求項5】
前記チャンバは対向する開口を有し、
前記所定の方向と直交する方向において、前記処理室の両側のそれぞれには、側部均熱板がさらに設けられ、
前記側部均熱板は、一方の前記開口を閉塞する蓋の内側、および他方の前記開口を閉塞する開閉扉の内側に設けられている請求項4記載の有機膜形成装置。
【請求項6】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
前記チャンバの内部に設けられ、カバーにより囲まれる少なくとも1つの処理室と、
前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、
を備え、
前記処理室には、
棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第1のヒータを有する上部加熱部と、
棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第2のヒータを有し、前記上部加熱部と対向する下部加熱部と、
前記上部加熱部の前記下部加熱部側に前記複数の第1のヒータと離隔して設けられた上部均熱板と、
前記下部加熱部の前記上部加熱部側に前記複数の第2のヒータと離隔して設けられた下部均熱板と、
前記所定の方向において、前記処理室の両側の側部のそれぞれに設けられた側部均熱板と、
基板と、前記基板の上面に塗布されたポリアミド酸を含む溶液と、を有するワークを前記上部均熱板と前記下部均熱板との間に隙間を介して支持可能な棒状体の複数のワーク支持部と、
が設けられ、
前記処理室は、前記チャンバに連通した空間を有し、前記排気部は、前記チャンバの内部の圧力を減圧するとともに、前記チャンバの内壁と前記カバーとの間の空間の圧力を減圧し、
前記側部均熱板は、前記カバーの内側に設けられており、
前記側部均熱板と前記カバーとの間に、前記側部均熱板および前記カバーと離隔して設けられた少なくとも1つの第3のヒータをさらに備えた有機膜形成装置。
【請求項7】
前記上部均熱板及び前記下部均熱板の少なくとも一つは互いに隙間を有して配置される複数の均熱板であり、前記複数の均熱板の少なくとも一つは、前記複数の均熱板の並ぶ方向における両端に折り曲げ部が設けられている請求項6に記載の有機膜形成装置。
【請求項8】
前記側部均熱板を着脱自在に支持する支持部をさらに備えた請求項4乃至7のいずれかに記載の有機膜形成装置。
【請求項9】
前記上部均熱板および前記下部均熱板は、アルミニウム、銅、およびステンレスの少なくともいずれかを含む請求項1乃至8のいずれかに記載の有機膜形成装置。
【請求項10】
前記上部均熱板および前記下部均熱板は前記銅を含み、表面にニッケルを含む層が設けられる請求項9記載の有機膜形成装置。
【請求項11】
前記第1のヒータの表面と前記上部均熱板との間の距離は、前記第2のヒータの表面と前記下部均熱板との間の距離と同じである請求項1乃至10のいずれかに記載の有機膜形成装置。
【請求項12】
前記カバーは、前記上部加熱部または前記下部加熱部側から入射した熱を、前記処理室側に反射する機能を有する請求項1乃至11のいずれかに記載の有機膜形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、有機膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料と溶媒を含む溶液を基板の上に塗布し、これを加熱することで基板の上に有機膜を形成する技術がある。例えば、液晶表示パネルの製造においては、透明基板の上に設けられた透明電極などの表面にポリアミド酸を含むワニスを塗布し、イミド化させてポリイミド膜を形成し、得られた膜をラビング処理して配向膜を形成している。この際、ポリアミド酸を含むワニスが塗布された基板を加熱してポリアミド酸をイミド化している(例えば、特許文献1を参照)。また、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板を加熱して溶媒を蒸発させ、基板の上に有機膜を形成することも行われている。
【0003】
有機材料と溶媒を含む溶液を基板の上に塗布し、これを加熱して有機膜を形成する際には、100℃~600℃程度の極めて高い温度での処理が必要となる場合がある。
この様な場合に、基板に向けて放射された熱が、加熱を行う処理室の外部に放出されると蓄熱効率が悪くなる。蓄熱効率が悪くなると、処理室の外部に放出される熱を補うために、処理に必要となる温度以上の加熱を行う必要が生じ、加熱部に印加する電力が増大することになる。また、急激な温度上昇を必要とする処理の場合、所望の温度上昇が得られない可能性がある。
そこで、熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板に対して熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、有機膜を形成することができる有機膜形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る有機膜形成装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部に設けられ、カバーにより囲まれる少なくとも1つの処理室と、前記チャンバの底面に設けられ、前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、を備え、前記処理室には、棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第1のヒータを有する上部加熱部と、棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第2のヒータを有し、前記上部加熱部と対向する下部加熱部と、前記上部加熱部の前記下部加熱部側に前記複数の第1のヒータと離隔して設けられた上部均熱板と、前記下部加熱部の前記上部加熱部側に前記複数の第2のヒータと離隔して設けられた下部均熱板と、基板と、前記基板の上面に塗布されたポリアミド酸を含む溶液と、を有するワークを前記上部均熱板と前記下部均熱板との間に隙間を介して支持可能な棒状体の複数のワーク支持部と、が設けられ、前記カバーは、前記処理室に対して上面側、下面側および側面側を覆う平板状の部材を備え、前記平板状の部材同士の境界には隙間を有し、前記処理室は、前記チャンバに連通した空間を有し、前記排気部は、前記チャンバの内部の圧力を減圧するとともに、前記チャンバの内壁と前記カバーとの間の空間の圧力を減圧し、前記上部均熱板及び前記下部均熱板の少なくとも一つは互いに隙間を有して配置される複数の均熱板であり、前記複数の均熱板の少なくとも一つは、前記複数の均熱板の並ぶ方向における両端に折り曲げ部が設けられている。
また、実施形態に係る有機膜形成装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部に設けられ、カバーにより囲まれる少なくとも1つの処理室と、前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、を備え、前記処理室には、棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第1のヒータを有する上部加熱部と、棒状を呈し、所定の方向に並べて複数設けられた第2のヒータを有し、前記上部加熱部と対向する下部加熱部と、前記上部加熱部の前記下部加熱部側に前記複数の第1のヒータと離隔して設けられた上部均熱板と、前記下部加熱部の前記上部加熱部側に前記複数の第2のヒータと離隔して設けられた下部均熱板と、前記所定の方向において、前記処理室の両側の側部のそれぞれに設けられた側部均熱板と、基板と、前記基板の上面に塗布されたポリアミド酸を含む溶液と、を有するワークを前記上部均熱板と前記下部均熱板との間に隙間を介して支持可能な棒状体の複数のワーク支持部と、が設けられ、前記処理室は、前記チャンバに連通した空間を有し、前記排気部は、前記チャンバの内部の圧力を減圧するとともに、前記チャンバの内壁と前記カバーとの間の空間の圧力を減圧し、前記側部均熱板は、前記カバーの内側に設けられており、前記側部均熱板と前記カバーとの間に、前記側部均熱板および前記カバーと離隔して設けられた少なくとも1つの第3のヒータをさらに備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板に対して熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、有機膜を形成することができる有機膜形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】(a)は、上部均熱板の形態を例示するための模式斜視図である。(b)は 、下部均熱板の形態を例示するための模式斜視図である。
【
図3】(a)は、均熱板支持部を例示するための模式斜視図である。(b)は、( a)におけるA部の模式拡大図である。
【
図4】側部均熱板の支持を例示するための模式斜視図である。
【
図5】本実施の形態に係る有機膜形成装置の具体例を例示するための模式図である 。
【
図7】チャンバ内部から見た、開閉扉に取り付けた側部均熱板を例示するための模 式図である。
【
図8】側部均熱板およびカバーと離隔して設けられたヒータを例示するための模式 図であり、
図5において破線Pで囲んだ部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る有機膜形成装置1を例示するための模式斜視図である。
なお、
図1中のX方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する三方向を表している。本明細書における上下方向は、Z方向とすることができる。
図1及び
図5に示すように、有機膜形成装置1には、チャンバ10、排気部20、処理部30、および制御部40が設けられている。
【0010】
チャンバ10は、箱状を呈している。チャンバ10は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ10の外観形状には特に限定はない。チャンバ10の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。チャンバ10は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0011】
チャンバ10の一方の端部にはフランジ11を設けることができる。フランジ11には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。チャンバ10の、フランジ11が設けられる側の開口は、開閉扉13により開閉可能となっている。図示しない駆動装置により、開閉扉13がフランジ11(シール材12)に押し付けられることで、チャンバ10の開口が気密になるように閉鎖される。図示しない駆動装置により、開閉扉13がフランジ11から離隔することで、チャンバ10の開口を介したワーク100の搬入または搬出が可能となる。
【0012】
チャンバ10の他方の端部にはフランジ14を設けることができる。フランジ14には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。チャンバ10の、フランジ14が設けられる側の開口は、蓋15により開閉可能となっている。例えば、蓋15は、ネジなどの締結部材を用いてフランジ14に着脱可能に設けることができる。メンテナンスなどを行う際には、蓋15を取り外すことで、チャンバ10の、フランジ14が設けられる側の開口を露出させる。
【0013】
チャンバ10の外壁には冷却部16を設けることができる。冷却部16には、図示しない冷却水供給部が接続されている。冷却部16は、例えば、ウォータージャケット(Water Jacket)とすることができる。冷却部16が設けられていれば、チャンバ10の外壁温度が所定の温度よりも高くなるのを抑制することができる。
【0014】
排気部20は、チャンバ10の内部を排気する。排気部20は、第1の排気部21と、第2の排気部22を有する。
第1の排気部21は、チャンバ10の底面に設けられた排気口17に接続されている。
第1の排気部21は、排気ポンプ21aと、圧力制御部21bを有する。
排気ポンプ21aは、例えば、ドライ真空ポンプなどとすることができる。
圧力制御部21bは、排気口17と排気ポンプ21aとの間に設けられている。
圧力制御部21bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。
圧力制御部21bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0015】
第2の排気部22は、チャンバ10の底面に設けられた排気口18に接続されている。
第2の排気部22は、排気ポンプ22aと、圧力制御部22bを有する。
排気ポンプ22aは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。第2の排気部22は、高真空の分子流領域まで排気可能な排気能力を有する。
圧力制御部22bは、排気口18と排気ポンプ22aとの間に設けられている。
圧力制御部22bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。
圧力制御部22bは、例えば、APCなどとすることができる。
【0016】
チャンバ10の内部を減圧する場合には、まず、第1の排気部21によりチャンバ10の内圧が10pa程度になるようにする。次に、第2の排気部22によりチャンバ10の内圧が10pa~1×10-2pa程度となるようにする。この様にすれば、所望の圧力まで減圧するのに必要となる時間を短くすることができる。
【0017】
前述したように、第1の排気部21は、大気圧から所定の内圧まで粗引き排気を行う排気ポンプである。したがって、第1の排気部21は排気量が多い。また、第2の排気部22は、粗引き排気完了後、さらに低い所定の内圧まで排気を行う排気ポンプである。少なくとも第1の排気部21で排気が開始された後、後述する加熱部32に電力を印加し、加熱を開始することができる。
【0018】
第1の排気部21に接続された排気口17及び第2の排気部22に接続された排気口18は、チャンバ10の底面に配置されている。これにより、チャンバ10内及び処理部30内にチャンバ10の底面に向かうダウンフローの気流を形成することができる。その結果、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布されたワーク100を加熱することで生じる、有機材料が含まれた昇華物がダウンフローの気流に乗ってチャンバ10外に排出され易くなる。
これにより、ワーク100に昇華物が再付着することなく有機膜を形成することができる。
【0019】
また、排気量の多い第1の排気部21に接続された排気口17がチャンバ10の底面の中心部分に配置されていれば、チャンバ10を平面視したときに、チャンバ10の中心部分に向かう均一な気流を形成することができる。これにより気流の流れの偏りによる昇華物の滞留が生じることなく昇華物を排出することができる。そのため、ワーク100に昇華物が再付着することなく有機膜を形成することができる。
【0020】
ここで、有機材料と溶媒を含む溶液を基板の上に塗布し、これを加熱して有機膜を形成する際には、100℃~600℃程度の極めて高い温度での処理が必要となる場合がある。
この様な場合に、基板に向けて放射された熱が、加熱を行う処理室の外部に放出されると蓄熱効率が悪くなる。蓄熱効率が悪くなると、処理室の外部に放出される熱を補うために、処理に必要となる温度以上の加熱を行う必要が生じ、加熱部に印加する電力が増大することになる。また、急激な温度上昇を必要とする処理の場合、所望の温度上昇が得られない可能性がある。
【0021】
そこで、本実施の形態に係る有機膜形成装置1においては、処理部30(処理室30a、30b)は、チャンバ10の内部に設けられている。後述するように、処理室30a、30bはカバー36により囲まれている。チャンバ10の内壁とカバー36との間には空間が設けられている。すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1は、チャンバ10と処理部30(処理室30a、30b)とによる二重構造となっている。
【0022】
また、処理部30(処理室30a、30b)内の空間はチャンバ10内の空間に連通した空間となっている。そのため、処理部30においてワーク100を加熱する際には、処理室30a、30b内の空間とともにチャンバ10の内壁とカバー36との間の空間の圧力が減圧される。そのため、処理部30がチャンバ10の内部に設けられていれば、処理部30から外部に放出される熱を抑制することができる。その結果、放出される熱を補うためにさらなる加熱を行う必要がないので、加熱部32に印加する電力を低減させることができる。また、ヒータ32a(第1~第3のヒータの一例に相当する)の温度が所定の温度以上となるのを抑制することができるので、ヒータ32aの寿命を長くすることができる。
【0023】
また、蓄熱効率が向上するので、急激な温度上昇を必要とする処理であっても所望の温度上昇を得ることができる。また、チャンバ10の外壁の温度が高くなるのを抑制することができるので、冷却部16を簡易なものとすることができる。
すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1によれば、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板に対して熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、有機膜を形成することができる。
また、チャンバ10の内部にはダウンフローの気流が形成されているので、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布されたワーク100を加熱した際に発生した、有機材料が含まれた蒸気は気流の流れに乗ってチャンバ10の底部に向かう。したがって、有機材料が含まれた蒸気がチャンバ10の内部に拡散して付着するのを抑制することができるので、メンテナンス(清掃)が容易となる。
【0024】
ワーク100は、基板と、基板の上面に塗布された溶液と、を有する。
基板は、例えば、ガラス基板や半導体ウェーハなどとすることができる。ただし、基板は、例示をしたものに限定されるわけではない。
溶液は、有機材料と溶剤を含んでいる。有機材料は、溶剤により溶解が可能なものであれば特に限定はない。溶液は、例えば、ポリアミド酸を含むワニスなどとすることができる。ただし、溶液は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0025】
図1、
図5、
図6に表したように、処理部30は、フレーム31、加熱部32、ワーク支持部33、均熱部34、均熱板支持部35、および、カバー36を有する。
処理部30は、処理室30aと、処理室30bとを有する。処理室30bは、処理室30aの上方に設けられている。なお、2つの処理室が設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。1つの処理室のみが設けられるようにすることもできる。また、3つ以上の処理室が設けられるようにすることもできる。
本実施の形態においては、一例として、2つの処理室が設けられる場合を例示するが、1つの処理室、および、3つ以上の処理室が設けられる場合も同様に考えることができる。
【0026】
フレーム31は、細長い板材や形鋼などからなる骨組み構造を有している。フレーム31の外観形状は、チャンバ10の外観形状と同様とすることができる。フレーム31の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。
【0027】
加熱部32は、複数設けられている。加熱部32は、処理室30a、30bの下部、および処理室30a、30bの上部に設けることができる。処理室30a、30bの下部に設けられた加熱部32は、下部加熱部となる。処理室30a、30bの上部に設けられた加熱部32は、上部加熱部となる。下部加熱部は、上部加熱部と対向している。なお、複数の処理室が上下方向に重ねて設けられる場合には、下側の処理室に設けられた上部加熱部は、上側の処理室に設けられた下部加熱部と兼用とすることができる。
【0028】
例えば、処理室30aに載置されたワーク100の下面(裏面)は、処理室30aの下部に設けられた加熱部32により加熱される。処理室30aに載置されたワーク100の上面は、処理室30aと処理室30bとにより兼用される加熱部32により加熱される。
処理室30bに載置されたワーク100の下面(裏面)は、処理室30aと処理室30bとにより兼用される加熱部32により加熱される。処理室30bに載置されたワーク100の上面は、処理室30bの上部に設けられた加熱部32により加熱される。
そのため、加熱部32の数を減らすことができるので消費電力の低減、製造コストの低減、省スペース化などを図ることができる。
【0029】
複数の加熱部32のそれぞれは、少なくとも1つのヒータ32aと、一対のホルダ32bを有する。なお、以下においては、複数のヒータ32aが設けられる場合を説明する。一対のホルダ32bは、処理領域30a、30bの長手方向(
図1中のX方向)に延びるように設けられている。
ヒータ32aは、棒状を呈し、一対のホルダ32bの間をY方向に延びるように設けられている。
複数のヒータ32aは、ホルダ32bが延びる方向に並べて設けることができる。例えば、複数のヒータ32aは、処理室30a、30bの長手方向(
図1中のX方向)に並べて設けることができる。ヒータ32aは、その長手方向が、チャンバ10の開口部に向かって延びる方向(
図1中のY方向)と平行になるように配置されている。これにより、チャンバ10の開口から複数のヒータ32aを引き出して容易に取り出すことができ、ヒータ32aのメンテナンス性が向上する。
複数のヒータ32aは、等間隔に設けることが好ましい。ヒータ32aは、例えば、シーズヒータ、遠赤外線ヒータ、遠赤外線ランプ、セラミックヒータ、カートリッジヒータなどとすることができる。また、各種ヒータを石英カバーで覆うこともできる。本明細書においては、石英カバーで覆われた各種ヒータをも含めて「棒状のヒータ」と称する。
なお、カートリッジヒータのように、複数のヒータ32aの端部付近から配線が伸びているような場合は、チャンバ10内の複数のヒータ32aの端部近傍にメンテナンスする空間と処理室を隔離する壁を設けることができる。
【0030】
ただし、ヒータ32aは、例示をしたものに限定されるわけではない。ヒータ32aは、大気圧よりも減圧された雰囲気においてワーク100を加熱することができるものであればよい。すなわち、ヒータ32aは、放射による熱エネルギーを利用したものであればよい。
上部加熱部および下部加熱部における複数のヒータ32aの仕様、数、間隔などは、加熱する溶液の組成(溶液の加熱温度)、ワーク100の大きさなどに応じて適宜決定することができる。複数のヒータ32aの仕様、数、間隔などは、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定することができる。また「棒状を呈する」とは、断面形状は限定されず円柱状、角状なども含まれる。
【0031】
前述したように、ワーク100は上部加熱部と下部加熱部によって加熱される。換言すると、ワーク100は上部加熱部と下部加熱部によって仕切られた空間においてワーク100の両面側を仕切る部材により加熱されている。ここで、溶液を加熱する際に生じる昇華物を含む蒸気は、加熱対象であるワーク100の温度より温度が低い箇所に付着しやすい。しかし、ワーク100の両面側を仕切る部材が加熱されていることで、昇華した有機物がワーク100の両面側の部材に付着することなく、前述したダウンフローの気流に乗ってチャンバ10外に排出される。その結果、昇華物がワーク100に再付着するのを抑制することができる。また、ワーク100の両面側から加熱を行うことで高温加熱が可能となる。
すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1は、チャンバ10とカバー36で囲まれる処理部30(処理室30a、30b)とによる二重構造を有するとともに、処理部30に上部加熱部と下部加熱部を設けることによってワーク100の両面側から加熱を行う。これにより、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板に対して熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、昇華物が再付着することなく有機膜を形成することができる。
【0032】
一対のホルダ32bは、複数のヒータ32aが並ぶ方向と直交する方向において、互いに対峙して設けられている。一方のホルダ32bは、フレーム31の開閉扉13側の端面に固定されている。他方のホルダ32bは、フレーム31の開閉扉13側とは反対側の端面に固定されている。一対のホルダ32bは、例えば、ネジなどの締結部材を用いてフレーム31に固定することができる。一対のホルダ32bは、ヒータ32aの端部近傍の非発熱部を保持する。一対のホルダ32bは、例えば、細長い金属の板材や形鋼などから形成することができる。一対のホルダ32bの材料には特に限定はないが、耐熱性と耐食性を有する材料とすることが好ましい。一対のホルダ32bの材料は、例えば、ステンレスなどとすることができる。
【0033】
ワーク支持部33は、上部加熱部と下部加熱部との間にワーク100を支持する。ワーク支持部33は、複数設けることができる。複数のワーク支持部33は、処理室30aの下部、および、処理室30bの下部に設けられている。複数のワーク支持部33は、棒状体とすることができる。
複数のワーク支持部33の一方の端部(
図1における上方の端部)は、ワーク100の下面(裏面)に接触する。そのため、複数のワーク支持部33の一方の端部の形状は、半球状などとすることが好ましい。複数のワーク支持部33の一方の端部の形状が半球状であれば、ワーク100の下面に損傷が発生するのを抑制することができる。また、ワーク100の下面と複数のワーク支持部33との接触面積を小さくすることができるので、ワーク100から複数のワーク支持部33に伝わる熱を少なくすることができる。
【0034】
前述したように、ワーク100は、大気圧よりも減圧された雰囲気において放射による熱エネルギーによって加熱される。したがって、複数のワーク支持部33は、上部加熱部からワーク100の上面までの距離、及び下部加熱部からワーク100の下面までの距離が、ワーク100の加熱を行うことが可能な距離となるように、ワーク100を支持する。
なお、この距離は、加熱部32からワーク100に放射により熱エネルギーが到達する距離である。
【0035】
複数のワーク支持部33の他方の端部(
図1における下方の端部)は、処理部30の両側の側部の一対のフレーム31の間に架け渡された複数の棒状部材または板状部材などに固定することができる。この場合、複数のワーク支持部33が着脱可能に設けられていれば、メンテナンスなどの作業が容易となる。例えば、ワーク支持部33の他方の端部に雄ネジを設け、フレーム31などに雌ネジを設けることができる。
【0036】
また、例えば、複数のワーク支持部33は、処理部30の両側の側部のフレーム31の間に架け渡された複数の棒状部材または板状部材などに固定されずに載置されるだけでもよい。例えば、この棒状部材または板状部材には複数の孔が形成されており、複数のワーク支持部33をこの孔に差し込むことで、複数のワーク支持部33が棒状部材または板状部材に保持されるようにすることができる。なお、孔の直径は、ワーク支持部33が熱膨張しても許容できるものとすることができる。この場合、孔の直径は、ワーク支持部33と孔の内壁との間の空気が熱により膨張しても空気が逃げられる程度とすることが好ましい。この様にすれば、孔の中の空気が熱膨張してもワーク支持部33が押し出されないようにすることができる。
【0037】
複数のワーク支持部33の数、配置、間隔などは、ワーク100の大きさや剛性(撓み)などに応じて適宜変更することができる。複数のワーク支持部33の数、配置、間隔などは、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定することができる。
複数のワーク支持部33の材料には特に限定はないが、耐熱性と耐食性を有する材料とすることが好ましい。複数のワーク支持部33の材料は、例えば、ステンレスなどとすることができる。
また、複数のワーク支持部33の、少なくともワーク100に接触する端部を熱伝導率の低い材料から形成することができる。この場合、熱伝導率の低い材料は、例えば、セラミックとすることができる。特にセラミックの中でも20℃における熱伝導率が32W/(m・k)以下の材料とすることが好ましい。セラミックは、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化珪素(Si2N4)、ジルコニア(Zr2)などとすることができる。
【0038】
均熱部34は、複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dを有する。複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dは、板状を呈している。
複数の上部均熱板34aは、上部加熱部の下部加熱部側(ワーク100側)に設けられている。複数の上部均熱板34aは、複数のヒータ32aと離隔して設けられている。すなわち、複数の上部均熱板34aの上側表面と複数のヒータ32aの下側表面との間には隙間が設けられている。複数の上部均熱板34aは、複数のヒータ32aが並ぶ方向(
図1中のX方向)に並べて設けられている。
複数の下部均熱板34bは、下部加熱部の上部加熱部側(ワーク100側)に設けられている。複数の下部均熱板34bは、複数のヒータ32aと離隔して設けられている。すなわち、複数の下部均熱板34bの下側表面と複数のヒータ32aの上側表面との間には隙間が設けられている。複数の下部均熱板34bは、複数のヒータ32aが並ぶ方向(
図1中のX方向)に並べて設けられている。
【0039】
側部均熱板34cは、複数のヒータ32aが並ぶ方向において、処理室30a、30bの両側(
図1のX方向)の側部のそれぞれに設けられている。側部均熱板34cは、カバー36の内側に設けることができる。また、側部均熱板34cとカバー36との間に、側部均熱板34cおよびカバー36と離隔して設けられた少なくとも1つのヒータ32aを設けることもできる(
図8参照)。
側部均熱板34dは、複数のヒータ32aが並ぶ方向と直交する方向において、処理室の両側(
図1のY方向)の側部のそれぞれに設けられている。
図7に示すように、側部均熱板34dは開閉扉13及び蓋15に設けられ、開閉扉13及び蓋15を閉めたときに、チャンバ10(各処理室30a、30b)の開口が側部均熱板34によって覆われる。
こうして、処理室は、複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dにより全方位を囲まれている。また、これらの外側をカバー36が囲んでいる。
【0040】
前述したように、複数のヒータ32aは、棒状を呈し、所定の間隔を空けて並べて設けられている。ヒータ32aが棒状である場合、ヒータ32aの中心軸から放射状に熱が放射される。この場合、ヒータ32aの中心軸と加熱される部分との間の距離が短くなるほど加熱される部分の温度が高くなる。そのため、複数のヒータ32aに対して対向するようにワーク100が保持されたとき、ヒータ32aの直上または直下に位置するワーク100における領域は、複数のヒータ32a同士の間の空間の直上または直下に位置するワーク100の領域よりも温度が高くなる。すなわち、棒状を呈する複数のヒータ32aを用いてワーク100を直接加熱すると、加熱されたワーク100に不均一な温度分布が生じる。
ワーク100に不均一な温度分布が生じると、形成された有機膜の品質が低下するおそれがある。例えば、温度が高くなった部分に泡が発生したり、温度が高くなった部分において有機膜の組成が変化したりするおそれがある。
【0041】
そこで、本実施の形態に係る有機膜形成装置1には、前述した複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが設けられている。複数のヒータ32aから放射された熱は、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bに入射し、これらの内部を面方向に伝搬しながらワーク100に向けて放射される。そのため、ワーク100に不均一な温度分布が生じるのを抑制することができ、ひいては形成された有機膜の品質を向上させることができる。すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1によれば有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板を均一に加熱し、基板面内均一に有機膜を形成することができる。
【0042】
この場合、ヒータ32aの表面と直下にある上部均熱板34aとの間の距離、および、ヒータ32aの表面と直上にある下部均熱板34bとの間の距離を短くしすぎると、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに不均一な温度分布が生じ、ひいてはワーク100に不均一な温度分布が生じるおそれがある。また、これらの距離を長くしすぎると、ワーク100の温度上昇が遅くなるおそれがある。本発明者らの得た知見によれば、これらの距離は、20mm以上、100mm以下とすることが好ましい。また、ヒータ32aの表面と直下にある上部均熱板34aとの間の距離、および、ヒータ32aの表面と直上にある下部均熱板34bとの間の距離を同じとすると、上部加熱部と下部加熱部からワーク100に放射される熱を均一にすることができる。
【0043】
複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの材料は、熱伝導率の高い材料とすることが好ましい。複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bは、例えば、アルミニウム、銅、およびステンレスの少なくともいずれかを含むものとすることができる。
ここで、ワーク100は、大気圧よりも減圧された雰囲気中で加熱されるので、ワーク100の加熱中は、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが酸化するのを抑制することができる。ところが、有機膜が形成されたワーク100を搬出するためには、ワーク100の温度を常温程度にまで下げる必要がある。この場合、冷却時間を短縮するために、例えば、図示しない冷却ガス供給部から、排気口17などを介して、チャンバ10の内部に冷却ガスが導入される場合がある。冷却ガスとして窒素ガスを用いる場合もあるが、製造コストを低減させるために窒素ガスと空気の混合ガスを用いる場合もある。
そのため、ワーク100の冷却時に、冷却ガス中の酸素と、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの材料が反応するおそれがある。
【0044】
そのため、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが銅やアルミニウムなどを含む場合には、酸化しにくい材料を含む層を表面に設けることが好ましい。例えば、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが銅を含む場合には、ニッケルを含む層を表面に設けることが好ましい。例えば、銅を含む複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの表面をニッケルメッキすることができる。複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bがアルミニウムを含む場合には、酸化アルミニウムを含む層を表面に設けることが好ましい。例えば、アルミニウムを含む複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの表面をアルマイト処理することができる。
【0045】
加熱の際に、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの温度が300℃以下となる場合には、アルミニウムを含む複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bを用いることができる。
加熱の際に、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの温度が500℃以上となる場合には、ステンレスを含む複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bとするか、銅を含み表面にニッケルを含む層を有する複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bとすることが好ましい。この場合、ステンレスを含む複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bとすれば、汎用性やメンテナンス性などを向上させることができる。
【0046】
また、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bから放射された熱の一部は、処理室の側方に向かう。そのため、処理室の側部には、前述した側部均熱板34c、34dが設けられている。側部均熱板34c、34dに入射した熱は、側部均熱板34c、34dを面方向に伝搬しながら、その一部がワーク100に向けて放射される。そのため、ワーク100の加熱効率を向上させることができる。
また、前述したように、側部均熱板34cの外側に、少なくとも1つのヒータ32aを設ければ、ワーク100の加熱効率をさらに向上させることができる。また、有機膜を加熱する際に生じた昇華物は、周囲の温度よりも低い箇所に付着しやすい。側部均熱板34cをも加熱することで、昇華した有機物が側部均熱板34cに付着するのを抑制することができる。
【0047】
ここで、側部均熱板34c、34dに、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bとは異なる不均一な温度分布が生じると、ワーク100に不均一な温度分布が生じるおそれがある。そのため、側部均熱板34c、34dの材料は、前述した上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの材料と同じとすることが好ましい。
【0048】
前述したように、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの温度は、500℃以上となる場合がある。そのため、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの伸び量が大きくなったり、熱変形による反りが発生したりするおそれがある。そのため、複数の上部均熱板34a同士の間には隙間を設けることが好ましい。複数の下部均熱板34b同士の間には隙間を設けることが好ましい。これらの隙間は、加熱温度、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向における上部均熱板34aの寸法、複数の下部均熱板34bが並ぶ方向における下部均熱板34bの寸法、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの材料などにより適宜決定することができる。例えば、所定の最高加熱温度において、複数の上部均熱板34a同士の間、および複数の下部均熱板34b同士の間に、それぞれ1mm~2mm程度の隙間が生じるようにすることができる。この様にすれば、加熱時に、複数の上部均熱板34a同士が干渉したり、複数の下部均熱板34b同士が干渉したりするのを抑制することができる。
【0049】
なお、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bは、複数のヒータ32aが並ぶ方向に並べて設けられているものとして説明したが、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの少なくとも一方は、単一の板状部材とすることもできる。この場合、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの少なくとも一方は、フレーム31の両端に最も近い一対の均熱板支持部35によって保持されることとなる。なお、均熱板支持部35の詳細は後述する。
上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを単一の板状部材とした場合であっても、複数のヒータ32aから放射された熱は、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに入射し、これらの内部を面方向に伝搬しながらワーク100に向けて放射される。そのため、ワーク100に不均一な温度分布が生じるのを抑制することができ、ひいては形成された有機膜の品質を向上させることができる。すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1によれば有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板を均一に加熱し、基板面内均一に有機膜を形成することができる。
【0050】
図2(a)は、上部均熱板34aの形態を例示するための模式斜視図である。
図2(a)に示すように、上部均熱板34aは、板状を呈している。また、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向において、上部均熱板34aの両端には折り曲げ部34a1が設けられている。折り曲げ部34a1が設けられていれば、上部均熱板34aの剛性を向上させることができる。そのため、上部均熱板34aが加熱された際に、上部均熱板34aに反りが発生するのを抑制することができる。
【0051】
図2(b)は、下部均熱板34bの形態を例示するための模式斜視図である。
図2(b)に示すように、下部均熱板34bは、板状を呈している。また、複数の下部均熱板34bが並ぶ方向において、下部均熱板34bの両端には折り曲げ部34b1が設けられている。折り曲げ部34b1が設けられていれば、下部均熱板34bの剛性を向上させることができる。そのため、下部均熱板34bが加熱された際に、下部均熱板34bに反りが発生するのを抑制することができる。
また、下部均熱板34bには、ワーク支持部33が挿入される孔34b2を設けることができる。孔34b2の大きさは、ワーク支持部33の断面寸法よりも大きくなっている。
側部均熱板34c、34dは、平板状を呈するものとすることができる。
【0052】
図3(a)は、均熱板支持部35を例示するための模式斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)におけるA部の模式拡大図である。
前述したように、ワーク100を加熱する際には、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの温度が上昇して上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの寸法が伸びる。そのため、ネジなどの締結部材を用いて上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを固定すると、熱膨張により上部均熱板34aおよび下部均熱板34bが変形することになる。上部均熱板34aおよび下部均熱板34bが変形すると、上部均熱板34aとワーク100との間の距離、および下部均熱板34bとワーク100との間の距離が局所的に変化して、ワーク100に不均一な温度分布が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態に係る有機膜形成装置1には、複数の均熱板支持部35が設けられている。
この場合、複数の上部均熱板34aを着脱自在に支持する上部均熱板支持部と、複数の下部均熱板34bを着脱自在に支持する下部均熱板支持部を設けることができる。
【0053】
図3(a)に示すように、複数の均熱板支持部35(上部均熱板支持部)は、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向に並べて設けられている。均熱板支持部35は、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向において、上部均熱板34a同士の間の直下に設けることができる。
複数の均熱板支持部35は、ネジなどの締結部材を用いて一対のホルダ32bに固定することができる。
【0054】
図3(a)、(b)に示すように、均熱板支持部35は、上部均熱板34aの折り曲げ部34a1が突出する側の面(下面)を支持している。均熱板支持部35は、上部均熱板34aの折り曲げ部34a1が設けられた近傍を支持している。この場合、一の均熱板支持部35により一方の折り曲げ部34a1が設けられた近傍が支持され、他の均熱板支持部35により他方の折り曲げ部34a1が設けられた近傍が支持される。すなわち、一対の均熱板支持部35により1つの上部均熱板34aが支持される。
【0055】
図3(b)に示すように、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向において、均熱板支持部35の両端には、上部均熱板34aに向けて突出する折り曲げ部35aが設けられている。
折り曲げ部35aの先端が上部均熱板34aの下面に接触する場合には、上部均熱板34aの折り曲げ部34a1の先端は均熱板支持部35に接触しない様にすることができる。上部均熱板34aの折り曲げ部34a1の先端が均熱板支持部35に接触する場合には、折り曲げ部35aの先端が上部均熱板34aの下面に接触しない様にすることができる。
このように均熱板支持部35と上部均熱板34aとの接触点をできるだけ少なくすることで、複数のヒータ32aが支持されているホルダ32bに取り付けられている均熱板支持部35から上部均熱板34aへの熱伝導による熱伝達を少なくすることができる。そのため、均熱板支持部35と上部均熱板34aとの接触点からの局所的な熱伝達を抑制することができ、上部均熱板34aが不均一な熱分布となり、加熱ムラが発生するのを抑制することができる。
なお、折り曲げ部35aに代えて複数のピンなどにより上部均熱板34aの下面を支持するようにしてもよい。
【0056】
以上は、上部均熱板34aを支持する均熱板支持部35の場合であるが、下部均熱板34bを支持する均熱板支持部35(下部均熱板支持部)も同様の構成を有するものとすることができる。
例えば、複数の均熱板支持部35は、複数の下部均熱板34bが並ぶ方向に並べて設けられている。均熱板支持部35は、複数の下部均熱板34bが並ぶ方向において、下部均熱板34b同士の間の直下に設けることができる。複数の均熱板支持部35は、ネジなどの締結部材を用いて一対のホルダ32bに固定することができる。
【0057】
均熱板支持部35は、下部均熱板34bの折り曲げ部34b1が突出する側の面(下面)を支持している。均熱板支持部35は、下部均熱板34bの折り曲げ部34b1が設けられた近傍を支持している。この場合、一の均熱板支持部35により一方の折り曲げ部34b1が設けられた近傍が支持され、他の均熱板支持部35により他方の折り曲げ部34b1が設けられた近傍が支持される。すなわち、処理領域30a、30bの長手方向(
図1中のX方向)において隣接する一対の均熱板支持部35により1つの下部均熱板34bが支持される。
【0058】
複数の下部均熱板34bが並ぶ方向において、均熱板支持部35の両端には、下部均熱板34bに向けて突出する折り曲げ部35aが設けられている。折り曲げ部35aの先端が下部均熱板34bの下面に接触する場合には、下部均熱板34bの折り曲げ部34b1の先端は均熱板支持部35に接触しない様にすることができる。下部均熱板34bの折り曲げ部34b1の先端が均熱板支持部35に接触する場合には、折り曲げ部35aの先端が下部均熱板34bの下面に接触しない様にすることができる。
なお、折り曲げ部35aに代えて複数のピンなどにより下部均熱板34bの下面を支持するようにしてもよい。
【0059】
均熱板支持部35と上部均熱板34a、および均熱板支持部35と下部均熱板34bは固定されておらず、均熱板支持部35は上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを支持しているだけのため、熱膨張により上部均熱板34aおよび下部均熱板34bが変形するのを抑制することができる。そのため、ワーク100に不均一な温度分布が生じるのを抑制することができる。
【0060】
また、一対の均熱板支持部35により、1つの上部均熱板34aの折り曲げ部34a1が設けられた近傍が支持される。そのため、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向において、折り曲げ部34a1と折り曲げ部35aとが干渉することで、上部均熱板34aの位置が必要以上にズレるのを抑制することができる。
また、一対の均熱板支持部35により、1つの下部均熱板34bの折り曲げ部34b1が設けられた近傍が支持される。そのため、複数の下部均熱板34bが並ぶ方向において、折り曲げ部34b1と折り曲げ部35aとが干渉することで、下部均熱板34bの位置が必要以上にズレるのを抑制することができる。
【0061】
また、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bは着脱自在に設けられているので、メンテナンスの際に、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを均熱板支持部35から容易に取り外すことができる。ここで、有機材料と溶剤を含む溶液を加熱すると、有機材料を含む蒸気が上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに付着する場合がある。上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに付着した付着物はパーティクルの原因となる。上部均熱板34aおよび下部均熱板34bが着脱自在に設けられていれば、メンテナンスの際に、付着物が付着している上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを、予め清掃された上部均熱板34aおよび下部均熱板34bと容易に交換することができる。そのため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0062】
また、均熱板支持部35の上下方向の位置が変えられるようにしてもよい。例えば、均熱板支持部35の、ホルダ32bとの締結部分を長孔などにして、均熱板支持部35の上下方向の位置が変えられるようにすることができる。
ワーク100が大きい場合には、放熱条件などの影響が大きくなり、ワーク100の領域間に温度差が生じる場合がある。
【0063】
この場合、均熱板支持部35の上下方向の位置が変えられるようになっていれば、例えば、
図1に示すように、複数の下部均熱板34bごとに、下部均熱板34bとワーク100との間の距離を変えることができる。下部均熱板34bとワーク100との間の距離が短くなれば、ワーク100の対応する領域における温度を高くすることができる。
そのため、ワーク100の領域間に温度差が生じるのを抑制することができる。
なお、複数の下部均熱板34bの上下方向の位置を変える場合を例示したが、複数の上部均熱板34aの上下方向の位置を変える場合も同様とすることができる。
【0064】
図4は、側部均熱板34c、34dの支持を例示するための模式斜視図である。
図4に示すように、側部均熱板34c、34dの一方の面側には複数の支持部35cが設けられている。側部均熱板34cを支持する支持部35c、35dは、例えば、フレーム31に設けることができる。複数の支持部35cは、例えば、円柱状を呈するピンとすることができる。複数の支持部35cは、側部均熱板34c、34dの上下方向の辺の近傍に設けられている。
側部均熱板34c、34dの他方の面側には複数の支持部35dが設けられている。複数の支持部35dは、例えば、直方体状を呈するブロックとすることができる。複数の支持部35dは、側部均熱板34c、34dの上下方向の辺の近傍に設けられている。
【0065】
側部均熱板34c、34dの厚み方向において、支持部35cと支持部35dとの間の隙間には、側部均熱板34c、34dが挿入できるようになっている。すなわち、支持部35c、35dは、側部均熱板34c、34dを着脱自在に支持する。
側部均熱板34c、34dと、支持部35c、35dは固定されておらず、支持部35c、35dは側部均熱板34c、34dを支持しているだけのため、熱膨張により側部均熱板34c、34dが変形するのを抑制することができる。
【0066】
また、側部均熱板34c、34dは着脱自在に設けられているので、メンテナンスの際に、側部均熱板34c、34dを支持部35c、35dから容易に取り外すことができる。
そのため、前述した上部均熱板34aおよび下部均熱板34bと同様に、メンテナンスの際に、付着物が付着している側部均熱板34c、34dを、予め清掃された側部均熱板34c、34dと容易に交換することができる。そのため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0067】
なお、側部均熱板34cを支持する支持部35c、35dは、前述したように、例えば、フレーム31に設けることができる。開閉扉13側とは反対側の側部均熱板34dを支持する支持部35c、35dは、例えば、フレーム31に設けることができる。開閉扉13側の側部均熱板34dを支持する支持部35c、35dは、例えば、開閉扉13に設けることができる。
【0068】
図5及び
図6にも表したように、カバー36は、平板状を呈し、フレーム31の上面、底面、および側面を覆っている。すなわち、カバー36によりフレーム31の内部が覆われている。ただし、開閉扉13側のカバー36は、例えば、開閉扉13に設けることができる。
カバー36は処理室30a、30bを囲っているが、フレーム31の上面と側面の境目、フレーム31の側面と底面の境目や開閉扉13の付近には、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間と、処理室30a、30bとがつながる隙間が設けられている。
すなわち、処理部30(処理室30a)内の空間はチャンバ10内の空間に連通した空間となっている。
そのため、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間と、処理室30a、30bとが繋がっているので、処理室30a、30b内の圧力が、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間の圧力と同じになるようにすることができる。カバー36は、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
カバー36は、ヒータ32a側から入射した熱を、処理領域30a、30b側に反射する反射する機能を有することもできる。
したがって、カバー36を設ければ、処理室30a、30bから外部に逃げる熱を少なくすることができるので加熱効率を向上させることができる。
【0069】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。
制御部40は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、有機膜形成装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
上述したように、本実施の形態に係る有機膜形成装置1は、チャンバ10とカバー36で囲まれる処理部30(処理室30a、30b)とによる二重構造を有するとともに、処理部30に上部加熱部と下部加熱部を設けることによってワーク100の両面側から加熱を行う。さらに、上部均熱板34aと下部均熱板34bは、ヒータ32aと離隔して設けられているため、上部均熱板34aとヒータ32aとの間の空間、または下部均熱板34aとヒータ32aとの間の空間を介して上部加熱部と下部加熱部からの熱をワーク100に対して放射させることができる。そのため、複数のヒータ32aが所定の間隔を空けて並べて設けられたとしても、空間において、ヒータ32aから放射された熱が均され、上部均熱板34aと下部均熱板34bに伝わり、均一にワーク100に放射することができる。また、上部均熱板34aと下部均熱板34b、側部均熱板34dによって処理室30a、30bを全方位囲んでいるため、熱が放出しやすいワーク100の外周部分も中央部分と同様に加熱することができ、ワーク100の全面の温度分布を均一にすることができる。
上記の構成により、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板に対して熱損失が少なく蓄熱効率の高い加熱を行い、昇華物が再付着することなく均一な有機膜を形成することができる。
【0070】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、前述の実施の形態では、有機膜形成装置1においてチャンバ10の外壁にウォータージャケット16を設けるものとしたが、チャンバ10の外壁温度と外気との温度差が少なければ適宜省略し、空冷によってチャンバ10の外壁を冷却してもよい。
また、例えば、前述の実施の形態では、有機膜形成装置1において、フレーム31の上面と底面をカバー36で覆うものとしたが、これに限られるものではなく、カバー36に代えて、またはカバー36とともに、上部均熱板34aと同様の機能を有する均熱板34e、またはヒータ32a側から入射した熱を処理領域30a、30b側に反射する反射板によりフレーム31の上面、底面を覆うようにしてもよい。この場合、最上段の加熱部32の上部、または最下段の加熱部32の下部が均熱板または反射板で覆われることとなる。
また、例えば、前述の実施の形態では、有機膜形成装置1において、カバー36が単一の板で覆われているものとしたが、カバー36が複数に分割されており、分割されたカバー36同士の間に隙間が設けられているようにしてもよい。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、有機膜形成装置1の形状、寸法、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0071】
1 有機膜形成装置
10 チャンバ
20 排気部
21 第1の排気部
22 第2の排気部
30 処理部
30a 処理室
30b 処理室
31 フレーム
32 加熱部(上部加熱部、下部加熱部)
32a ヒータ(第1のヒータ~第3のヒータ)
33 ワーク支持部
34 均熱部
34a 上部均熱板
34a1 折り曲げ部
34b 下部均熱板
34b1 折り曲げ部
34c 側部均熱板
34d 側部均熱板
35 均熱板支持部
35a 折り曲げ部
35c 支持部
35d 支持部
36 カバー
40 制御部
100 ワーク