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特開2022-71054育毛を促進するための装置、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071054
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】育毛を促進するための装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20220506BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20220506BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20220506BHJP
   A61M 37/00 20060101ALN20220506BHJP
   A61F 7/00 20060101ALN20220506BHJP
【FI】
A61H7/00 310E
A61H7/00 310G
A61H7/00 310H
A61N5/06 Z
A61H23/02 360
A61H7/00 310A
A61M37/00 514
A61F7/00 310J
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029823
(22)【出願日】2022-02-28
(62)【分割の表示】P 2018500734の分割
【原出願日】2016-07-07
(31)【優先権主張番号】62/190,243
(32)【優先日】2015-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/320,476
(32)【優先日】2016-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505324087
【氏名又は名称】エッジ システムズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イグノン、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、エド、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ウィリアム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象者の隣接する皮膚組織の治療によって育毛を促進するための装置、システムおよび方法を提供する。
【解決手段】ハンドピースアセンブリ2010を使用して、育毛または毛髪刺激が望まれる対象者の皮膚表面の標的部分に沿って真空または吸引を適用することと、対象者の皮膚表面の標的部位に少なくとも1つの治療材料を供給することとを含み、真空または吸引を適用することは育毛促進または毛髪刺激を助長する構成とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の育毛または毛髪刺激を促進する方法であって、
ハンドピースアセンブリを使用して、育毛または毛髪刺激が望まれる対象者の皮膚表面の標的部分に沿って真空または吸引を適用することと、
前記対象者の皮膚表面の前記標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することと、を含み、
前記真空または吸引を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長する、方法。
【請求項2】
前記真空または吸引は連続的または間欠的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記真空または吸引はパルス装置を使用して間欠的に適用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象者の皮膚に少なくとも1つの治療材料を供給することは、(i)手で塗布することにより、または軽くたたくことにより手動で、あるいは(ii)ハンドピースアセンブリを介して達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス装置は、前記対象者の皮膚表面に沿って第1圧力および第2圧力を交互に生成するように構成されており、前記第1圧力は前記第2圧力よりも大きく、かつ前記第2圧力は真空または吸引である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1圧力は正圧である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1圧力は真空または吸引である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ハンドピースアセンブリの遠位端は、前記対象者の皮膚表面と接触するように構成されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドピースアセンブリの前記遠位端はチップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チップは前記ハンドピースアセンブリの近位部分から取り外し可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記チップは真空または吸引が選択的に適用される少なくとも1つの吸引ポートまたは開口部を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの治療材料は、成長因子、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステリド、デュタステリド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジングシャンプーまたはプレクレンジングシャンプー、他のクレンジング溶液またはプレクレンジング溶液(例えば、サリチル酸、グリサル(“GlySal”)(商標)(グリコール酸およびサリチル酸混合物)、他の酸等)、ならびに他の天然材料および合成材料のうちの1つ以上を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの治療材料はボトルに収容され、該ボトルが前記ハンドピースアセンブリと流体連通している、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの治療材料はカートリッジに収容され、該カートリッジが前記ハンドピースアセンブリに固定されるように構成されている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの治療材料は、前記ハンドピースアセンブリのチップに配置され、前記少なくとも1つの治療材料は、液体の存在下で少なくとも部分的に溶解または放出するように構成されている、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記真空または吸引を適用することは、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分、または該標的部分の付近の血流促進を助長する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することをさらに含む、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、研磨面または研磨部材を使用して剥離することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、化学的剥離剤を使用して剥離することを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象者の皮膚表面の少なくとも部分的に剥離させることは、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することの前に行われる、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの治療材料が成長因子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚組織に光治療を施すことをさらに含み、該光治療は前記皮膚組織に赤色光または青色光を与えることを含む、請求項17乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記皮膚表面をマッサージする工程であって、該マッサージが手動により、またはマッサージ用チップを使用して達成される、工程と、
前記皮膚表面を加熱または冷却する工程と、
前記皮膚表面に光を照射する工程と、
前記皮膚表面を穿刺する工程と、
前記皮膚表面にパルス状空気を供給する工程と、
前記皮膚表面に真空および/または正圧を供給する工程と、
前記皮膚表面を研磨する工程、のうちの1つ以上の追加工程をさらに含み、
前記1つ以上の追加工程は、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することの前、供給中および/または供給後に行われる、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記光治療は、前記少なくとも1つの治療材料を活性化して育毛を促進または毛髪を刺激するために使用される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記対象者の皮膚表面に少なくとも部分的に侵入することをさらに含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象者の皮膚表面に少なくとも部分的に侵入することは、皮膚組織に選択的に侵入するように構成された少なくとも1つの針アセンブリを使用することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの針アセンブリは、前記対象者の皮膚内に通路を開けるように構成されており、該通路は前記対象者の毛包または該毛包の付近に至る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの針アセンブリは、少なくとも1つの治療材料で被覆されているか、または該治療材料を備えている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの針アセンブリは複数の中空針を備え、少なくとも1つの治療材料は前記中空針の通路を通って搬送されるように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記皮膚表面のより深部への前記少なくとも1つの治療材料の搬送を促すために、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分をマッサージまたは振動することをさらに含む、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記マッサージまたは振動することは、前記少なくとも1つの治療材料の通過を促すために、前記対象者の皮膚表面に沿って少なくとも部分的に毛穴を開く結果となる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記マッサージまたは振動することは、少なくとも1つの非線形構造の表面を備えたハンドピースを前記皮膚表面に対して動かすことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの非線形構造は、波状であるが滑らかな表面または構造を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
植毛を受けた皮膚組織の部分または該部分付近に前記処置を施すことをさらに含む、請求項1乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記治療される皮膚組織の部分または該部分付近に少なくとも複数の毛包を移植することをさらに含む、請求項1乃至34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記治療される対象者の皮膚表面の前記標的部分を加熱または冷却することをさらに含む、請求項1乃至35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚表面を加熱または冷却することは、別個の熱調節素子を使用することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記別個の熱調節素子は、熱電素子またはペルチェ素子から成る素子を備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
育毛または毛髪刺激を高めるために、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分にエネルギーを供給することをさらに含む、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記皮膚組織に供給される前記エネルギーは、無線周波数(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、イオントフォトレシスおよびレーザーのうちの1つ以上を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
対象者の育毛または毛髪刺激を促進する方法であって、
ハンドピースアセンブリを使用して、育毛または毛髪刺激が望まれる対象者の皮膚表面の標的部分に沿って正圧を適用することと、
前記対象者の皮膚表面の前記標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することと、を含み、
前記正圧を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長する、方法。
【請求項42】
前記対象者の皮膚表面に適用される正圧は、前記対象者の皮膚への前記少なくとも1つの治療材料の通過を促す、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記正圧は連続的に適用される、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記正圧は間欠的に適用される、請求項41または42に記載の方法。
【請求項45】
前記正圧はパルス装置を使用して間欠的に適用される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ハンドピースアセンブリの遠位端は、前記対象者の皮膚表面と接触するように構成されている、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記ハンドピースアセンブリの前記遠位端はチップを備える、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記チップは前記ハンドピースアセンブリの近位部分から取り外し可能である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記チップは正圧が選択的に適用される少なくとも1つの吸引ポートまたは開口部を備える、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの治療材料は、成長因子、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステリド、デュタステリド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(”rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、ならびに他の天然材料および合成材料のうちの1つ以上を含む、請求項41乃至49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの治療材料はボトルに収容され、該ボトルは前記ハンドピースアセンブリと流体連通している、請求項41乃至50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの治療材料はカートリッジに収容され、該カートリッジは前記ハンドピースアセンブリに固定されるように構成されている、請求項41乃至50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの治療材料は前記ハンドピースアセンブリのチップに配置され、前記少なくとも1つの治療材料は液体の存在下で少なくとも部分的に溶解または放出するように構成されている、請求項41乃至52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記正圧を適用することは、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分または該標的部分付近の血流促進を助長する、請求項41乃至53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することをさらに含む、請求項41乃至54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、研磨面または研磨部材を使用して剥離することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、化学的剥離剤を使用して剥離することを含む、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することの前に行われる、請求項55乃至57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの治療材料が成長因子を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記皮膚組織に光治療を施すことをさらに含む、請求項55乃至59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記光治療は、赤色光または青色光を前記皮膚組織に与えることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記光治療は、前記少なくとも1つの治療材料を活性化して育毛を促進するか、または毛髪を刺激するために使用される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象者の皮膚表面に少なくとも部分的に侵入することをさらに含む、請求項41乃至62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象者の皮膚表面に少なくとも部分的に侵入することは、皮膚組織に選択的に侵入するように構成された少なくとも1つの針アセンブリを使用することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの針アセンブリは前記対象者の皮膚内に通路を開けるように構成されており、該通路は前記対象者の毛包または該毛包の付近に至る、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの針アセンブリは少なくとも1つの治療材料で被覆されているか、または該治療材料を備えている、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの針アセンブリは複数の中空針を備え、少なくとも1つの治療材料は該中空針の通路を通って搬送されるように構成されている、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記皮膚表面のより深部への前記少なくとも1つの治療材料の搬送を促すために、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分をマッサージまたは振動することをさらに含む、請求項41乃至67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記マッサージまたは振動することは、前記少なくとも1つの治療材料の通過を促すために、前記対象者の皮膚表面に沿って少なくとも部分的に毛穴を開く結果となる、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記マッサージまたは振動することは、少なくとも1つの非線形構造の表面を備えたハンドピースを前記皮膚表面に対して動かすことを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの非線形構造は、波状であるが滑らかな表面または構造を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
植毛を受けた皮膚組織の部分または該部分付近に前記処置を行うことをさらに含む、請求項41乃至71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記治療される皮膚組織の部分または該部分付近に少なくとも複数の毛包を移植することをさらに含む、請求項41乃至72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記治療される対象者の皮膚表面の前記標的部分を加熱または冷却することをさらに含む、請求項41乃至73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚表面を加熱または冷却することは、別個の熱調節素子を使用することを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記別個の熱調節素子は、熱電素子またはペルチェ素子から成る素子を備える、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
育毛または毛髪刺激を高めるために、前記対象者の皮膚表面の前記標的部分にエネルギーを供給することをさらに含む、請求項41乃至76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記皮膚組織に供給される前記エネルギーは、無線周波数(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、イオントフォレシスおよびレーザーのうちの1つ以上を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記方法は、ふけ、乾癬、脂漏性皮膚炎および他の任意の皮膚または毛髪の状態のうちの1つ以上の状態に役立つように構成されている、請求項1乃至78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
ハンドピースアセンブリの遠位端に沿って配置されるように構成された係合部材であって、
ハンドピースアセンブリの近位構成要素に取り付けられるように構成された近位端と、
治療される皮膚表面と接触および係合するように構成された遠位端と、
前記治療される皮膚表面に沿った凹凸および他の外形に適応するように構成された、前記近位端と前記遠位端との間に延在する本体と、を備え、
前記係合部材は可撓性であり、かつ、
前記係合部材は、使用中に、前記治療される皮膚表面に沿って存在する液体の捕捉を促すように構成されている、係合部材。
【請求項81】
前記係合部材はゴムまたは他のエラストマー材料を含む、請求項80に記載の係合部材。
【請求項82】
前記ゴムはシリコンゴムを含む、請求項81に記載の係合部材。
【請求項83】
前記係合部材は、前記治療される皮膚表面に対する前記係合部材の操作を促すために、少なくとも1つの蛇腹または他の折り畳み可能な部材を備える、請求項80乃至82のいずれか1項に記載の係合部材。
【請求項84】
前記係合部材は前記ハンドピースアセンブリのチップに結合されるように構成され、前記係合部材の前記近位端は、前記チップに固定的または取り外し可能に結合されるように構成されている、請求項80乃至83のいずれか1項に記載の係合部材。
【請求項85】
前記係合部材は前記ハンドピースアセンブリの本体部分に結合されるように構成され、前記係合部材の前記近位端は、前記ハンドピースアセンブリの前記本体に固定的にまたは取り外し可能に結合されるように構成されている、請求項80乃至83のいずれか1項に記載の係合部材。
【請求項86】
請求項80乃至85のいずれか1項に記載の係合部材を備える、皮膚治療処置または育毛処置のためのハンドピースアセンブリの遠位端に沿って配置されるように構成されたチップ。
【請求項87】
請求項80乃至85のいずれか1項に記載の係合部材を含む、皮膚治療処置または育毛処置のためのハンドピースアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年7月8日に出願された米国仮特許出願第62/190,243号および2016年4月9日に出願された米国仮特許出願第62/320,476号の利益を主張する。これらの出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
2008年12月30日に出願され、2013年1月1日に米国特許第8,343,116号として発行された米国特許出願第12/346,582号、2006年3月29日に出願され、2011年11月1日に米国特許第8,048,089号として発行された米国特許出願第11/392,348号、2010年7月8日に出願され、2014年8月26日に米国特許第8,814,836号として発行された米国特許出願第12/832,663号、および2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0003】
(発明の分野)
本出願は、概して育毛の促進に関し、より具体的には、対象者の隣接する皮膚組織の治療によって育毛を促進するための装置、システムおよび方法に関する。本出願は、他の任意の種類の皮膚治療処置、ならびに他の皮膚治療用の装置およびシステムにも適用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの実施形態によれば、ハンドピースアセンブリの遠位端に沿って配置されるように構成された係合部材またはシュラウドであって、該係合部材は、ハンドピースアセンブリの近位構成要素に取り付けられるように構成された近位端と、治療される皮膚表面と接触および係合するように構成された遠位端と、治療される皮膚表面の凹凸および他の外形に適応するように構成された、近位端と遠位端との間に延在する本体とを備え、この係合部材は可撓性であり、かつ、この係合部材は、使用中に、治療される皮膚表面に沿って存在する液体の捕捉を促すように構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、係合部材またはシュラウドは、ゴムまたは他のエラストマー材料(例えば、シリコンゴム)を含む。いくつかの実施形態では、係合部材は、治療される皮膚表面に対する係合部材の操作を促すために、少なくとも1つの蛇腹または他の折り畳み可能な部材を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、係合部材またはシュラウドは、ハンドピースアセンブリのチップに結合されるように構成され、係合部材の近位端は、チップに固定的または取り外し可能に結合されるように構成されている。いくつかの実施形態では、係合部材またはシュラウドは、ハンドピースアセンブリの本体部分に結合されるように構成され、係合部材の近位端は、ハンドピースアセンブリの本体部分に固定的または取り外し可能に結合されるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、対象者の育毛または毛髪刺激を促進する方法は、ハンドピースアセンブリを使用して、育毛または毛髪刺激が望まれる対象者の皮膚表面の標的部分に沿って真空または吸引を適用することと、上記対象者の皮膚表面の標的部位に少なくとも1つの治療材料を供給することと、を含み、真空または吸引を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長する。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、対象者の育毛または毛髪刺激を促進する方法は、ハンドピースアセンブリを使用して、育毛または毛髪刺激が望まれる対象者の皮膚表面の標的部分に沿って正圧を適用することと、上記対象者の皮膚表面の標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することと、を含み、正圧を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、真空または吸引は、連続的または間欠的に適用される。いくつかの実施形態では、真空または吸引は、パルス装置を使用して間欠的に適用される。一実施形態では、パルス装置は、対象者の皮膚表面に沿って第1圧力および第2圧力を交互に生成するように構成されており、第1圧力は第2圧力よりも大きく、かつ第2圧力は真空または吸引である。いくつかの実施形態では、第1圧力は正圧である。いくつかの実施形態では、第1圧力が真空または吸引である。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、ハンドピースアセンブリの遠位端は、対象者の皮膚表面と接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、ハンドピースアセンブリの遠位端はチップを備える。いくつかの実施形態では、チップはハンドピースアセンブリの近位部分から取り外し可能である。一実施形態では、チップは真空または吸引が選択的に適用される少なくとも1つの吸引ポートまたは開口部を備える。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの治療材料は、以下の材料のうちの1つ以上を含む:成長因子(例えば、ヒト由来成長因子、非ヒト由来成長因子、リポソーム(ガイド(“courier”))による化学的に変化させた成長因子(liposome (courier) chemically altered growth factors)等)、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステライド、デュタステライド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジングシャンプーまたはプレクレンジングシャンプー、他のクレンジング溶液またはプレクレンジング溶液(例えば、サリチル酸、グリサル(“GlySal”)(商標)(グリコール酸およびサリチル酸混合物)、他の酸等)、ならびに他の天然材料および合成材料。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療材料はボトルに収容され、該ボトルはハンドピースアセンブリと流体連通する。一実施形態では、少なくとも1つの治療材料はカートリッジに収容され、該カートリッジはハンドピースアセンブリに固定されるように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療材料はハンドピースアセンブリのチップに配置され、該少なくとも1つの治療材料は、液体の存在下で少なくとも部分的に溶解または放出するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、真空または吸引を適用することは、対象者の皮膚表面の標的部分、またはその付近の血流の促進を助長する。いくつかの実施形態では、方法は、対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、研磨面または研磨部材を使用して剥離することを含む。一実施形態では、対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、化学的剥離剤を使用して剥離することを含む。いくつかの実施形態では、対象者の皮膚表面を少なくとも部分的に剥離することは、上記対象者の皮膚表面の標的部分に少なくとも1つの治療材料を供給することの前に行われる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療材料は成長因子を含む。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、方法は、皮膚組織に光治療を施すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、光治療は、皮膚組織に赤色光または青色光を与えることを含む。一実施形態では、光治療は、少なくとも1つの治療材料を活性化させ、育毛を促進または毛髪を刺激するために使用される。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、方法は、対象者の皮膚表面に少なくとも部分的に侵入することを付加的に含む。いくつかの実施形態では、対象者の皮膚表面に侵入することは、皮膚組織に選択的に侵入するように構成された少なくとも1つの針アセンブリを使用することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの針アセンブリは、対象者の皮膚内に通路を開けるように構成されており、該通路は対象者の毛包またはその付近に至る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの針アセンブリは、1つの治療材料で被覆されているか、または少なくとも1つの治療材料を備えている。一実施形態では、少なくとも1つの針アセンブリは複数の中空針を備え、少なくとも1つの治療材料は中空針の通路を通って搬送されるように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、方法は、上記皮膚表面のより深部への少なくとも1つの治療材料の搬送を促すために、対象者の皮膚表面の標的化部分をマッサージまたは振動することをさらに含む。いくつかの実施形態では、マッサージまたは振動することは、少なくとも1つの治療材料の通過を促すために、対象者の皮膚表面に沿って少なくとも部分的に毛穴を開く結果となる。一実施形態では、マッサージまたは振動することは、上記皮膚表面に対して、少なくとも1つの非線形構造の表面を備えたハンドピースを動かすことを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非線形構造は、波状であるが滑らかな表面または構造を備える。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、方法は、植毛を受けた皮膚組織の部分またはその付近に処置を施すことを付加的に含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療される皮膚組織の部分またはその付近に少なくとも複数の毛包を移植することをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、方法は、治療される対象者の皮膚表面の標的部分を加熱または冷却することを付加的に含む。いくつかの実施形態では、皮膚表面を加熱または冷却することは、別個の熱調節素子(例えば、熱電素子、ペルチェ素子等)を使用することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、方法は、育毛または毛髪刺激を高めるために、対象者の皮膚表面の標的部分にエネルギーを供給することをさらに含む。いくつかの実施形態では、皮膚組織に供給されるエネルギーは、無線周波数(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、イオントフォレシスおよびレーザーのうちの1つ以上を含む。
【0019】
本出願の上記および他の特徴、態様および利点を、特定の実施形態の図面を参照して説明するが、これらは例示目的であり、本発明を限定するものではない。これらの図面は本明細書で開示する様々な概念を例示するためのものであり、縮尺を示していないこともあるということを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態による、育毛を促進するように適合されたものを含む、皮膚治療システムと共に使用するように構成されたハンドピースアセンブリの斜視図である。
【0021】
図2】一実施形態による、流体搬送システムまたはマニホールドシステムと流体連通しているハンドピースアセンブリを概略的に示す図である。
【0022】
図3A】一実施形態による、空気圧パルス部を備えるシステムの一図である。
図3B】一実施形態による、空気圧パルス部を備えるシステムの別の図である。
図3C】一実施形態による、空気圧パルス部を備えるシステムの別の図である。
図3D】一実施形態による、空気圧パルス部を備えるシステムの別の図である。
図3E】一実施形態による、空気圧パルス部を備えるシステムの別の図である。
【0023】
図4A】一実施形態による、空気圧パルス部および針侵入部を備えるシステムの一図である。
図4B】一実施形態による、空気圧パルス部および針侵入部を備えるシステムの別の図である。
図4C】一実施形態による、空気圧パルス部および針侵入部を備えるシステムの別の図である。
図4D】一実施形態による、空気圧パルス部および針侵入部を備えるシステムの別の図である。
図4E】一実施形態による、空気圧パルス部および針侵入部を備えるシステムの別の図である。
【0024】
図5】ハンドピースアセンブリの遠位端に沿って係合部材またはシュラウドを有する、ハンドピースアセンブリの側面図である。
【0025】
図6】皮膚治療処置中の図5の実施形態をある向きで示した図である。
図7】皮膚治療処置中の図5の実施形態を別の向きで示した図である。
【0026】
図8】係合部材およびチップの正面斜視図である。
【0027】
図9】ハンドピースアセンブリの遠位端に沿って配置された係合部材またはシュラウドの別の実施形態の正面斜視図である。
【0028】
図10A】育毛および/または他の皮膚治療システムと共に使用するように構成された光ステッキ装置の一実施形態を示す図である。
図10B】育毛および/または他の皮膚治療システムと共に使用するように構成された光ステッキ装置の別の実施形態を示す図である。
【0029】
図11A】一実施形態による、熱調節システムのためのステーションを示す図である。
図11B】一実施形態による、熱調節システムのためのステーションを示す図である。
【0030】
図12A】一実施形態による、治療システムと共に使用するローラーボールを備えたアセンブリの一図である。
図12B】一実施形態による、治療システムと共に使用するローラーボールを備えたアセンブリの別の図である。
【0031】
図13】一実施形態による、治療システムと共に使用する芯部材を備えたアセンブリの斜視図である。
【0032】
図14】一実施形態による、治療システムと共に使用する芯部材を備えたアセンブリの側面図を概略的に示す図である。
【0033】
図15】一実施形態による、治療システムと共に使用する芯部材およびローラーボールを備えたアセンブリの側面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に開示する装置、システムおよび方法の様々な実施形態は、育毛の促進およびそのような育毛に関連する皮膚の調整/処置のための治療装置、治療システムおよび治療方法に特定の関連性を有するが、本明細書に開示する特徴、利点および他の特性は、例えば、医療装置および医療処置、機械装置および皮膚治療用ではない装置、ならびに方法等、他の用途において直接的または間接的に適用してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、装置、システムおよび方法は、毛髪の成長を促進するために使用することができる。例えば、毛包成長の刺激および/または育毛の促進を助長するために、頭皮および/または頭皮内(例えば、少なくとも部分的に対象者の皮膚組織内)に1つ以上の流体および/または他の物質を選択的に搬送することができる。本明細書でより詳細に説明するように、対象者の皮膚表面(例えば頭皮)および/または皮膚表面内へのそのような材料の搬送は、1回以上の注入または侵入という特徴や方法による力を借りて促すことができる。例えば、要望または必要とされる治療材料(例えば、成長因子)の搬送は、以下の使用法のうちの1つ以上によって促すことができる:(例えば、血流を刺激するための)吸引または真空の使用、力、圧力および/または機械的な振動の使用(例えば、標的皮膚表面への空気搬送を用いた機械的なパルス付与)、針または他の組織侵入用の装置または器具の使用、標的皮膚組織の剥離またはマッサージの使用、標的皮膚組織の熱調節(例えば、加熱または冷却)の使用、治療材料の搬送と同時に行うエネルギー搬送(例えば、超音波、レーザー、無線周波数エネルギー、マイクロ波エネルギー、電流または電気刺激、イオントフォレシス等)の使用、光(例えば、赤色光、紫外光等)の使用、植毛または他の育毛用のシステム、方法および/または技術の使用等。
【0036】
本明細書に記載する様々な工程、技術および/または他の特徴は、特定の結果を成し遂げるために、例えば対象者の育毛を促進したり、対象者の既存または新しい毛髪を丈夫にするために、単独で、または相互に関連して使用することができる。
治療流体および/または他の材料の搬送
【0037】
いくつかの実施形態では、対象者の皮膚(例えば対象者の頭皮)の標的部分における育毛を促進するために、対象者の皮膚組織、好ましくは(少なくとも部分的に)皮膚組織内に1つ以上の治療流体および/または他の材料を搬送することができる。例えば、いくつかの構成では、対象者の皮膚表面に成長因子を搬送することができる。成長因子は、特に、ヒト由来成長因子(例えば、FGF9および他の線維芽細胞増殖因子(FGF)、ヒト線維芽細胞馴化培地および他の線維芽細胞増殖因子、上皮成長因子(EGF)関連リガンド、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-beta)、インシュリン様成長因子(IGF)、肝細胞成長因子/分散因子(HGF/SF)、ならびに血小板由来増殖因子(PDGF)等)、合成成長因子、リポソーム(ガイド(“courier”))による化学的に変化させた成長因子、他のヒト由来成長因子および/または非ヒト由来成長因子等を含むことができる。いくつかの実施形態では、育毛目的で対象者の皮膚組織に搬送される成長因子は、限定されるものではないが、ヒト成長因子、合成成長因子または実験室由来成長因子等を含む。他の実施形態では、成長因子に追加するか、またはそれに代えて、1つ以上の他の物質を対象者の皮膚に搬送することができる。例えば、いくつかの実施形態では、育毛の促進を助長するため、以下の1つ以上を対象者の皮膚の対象領域または対象部分に搬送することができる:成長因子、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステライド、デュタステライド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジングシャンプーまたはプレクレンジングシャンプー、他のクレンジング溶液またはプレクレンジング溶液
(例えば、サリチル酸、グリサル(“GlySal”)(商標)(グリコール酸およびサリチル酸混合物)、他の酸等)、ならびに他の天然材料および合成材料等。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、使用される正確な1または複数の材料または物質、あるいはそれらの組み合わせに関わらず、薬剤ならびに/あるいは他の物質および材料の搬送は、対象者の標的皮膚表面に沿った毛髪の成長を有利に補助することができる。いくつかの実施形態では、このような流体および/または他の材料の搬送は、要望または必要に応じて、自毛および/または植毛の健康改善を助長することができる。
【0039】
一例として、流体および/または他の材料は、図5図9を参照して本明細書で例示および説明するものと同一または類似のハンドピースアセンブリを使用して対象者の皮膚(例えば、対象者の頭皮)の標的部分に搬送することができる。他の実施形態では、他の任意の装置(例えば、ハンドピースアセンブリ)または方法を使用して、1つ以上の流体を対象者の標的皮膚に搬送することができる。いくつかの構成では、例えば、本明細書の図1に示すものと類似または同一のハンドピースを使用することができる。
【0040】
図1は、皮膚治療システムと共に使用するように構成されたハンドピースアセンブリ100の一実施形態を示す。図1に示すように、ハンドピースアセンブリ100は、該ハンドピースアセンブリ100の遠位端120に沿ってチップ130を受け入れるように構成された本体部分110を含むことができる。いくつかの実施形態では、チップ130は本体部分110の遠位端に取り外し可能に取り付けられる。しかしながら、代替的に、要望または必要に応じて、本体部分110にチップを恒久的に取り付けることもできる。チップは、対象者の皮膚に対してハンドピースアセンブリ100を動かす際に、皮膚を選択的に研磨するように構成された1つ以上の研磨特徴、研磨面等を含むことができる。それ故、チップは、標的皮膚表面の微細皮膚研磨を行うように構成することができる。本明細書に開示する実施形態のいずれかに組み込むことができる見込みのあるチップの選択肢に関する更なる詳細は、2006年3月29日に出願され、2011年11月1日に米国特許第8,048,089号として発行された米国特許出願第11/392,348号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれ、本出願の一部をなす。
【0041】
引き続き図1を参照すると、ハンドピースアセンブリ100は、1つ以上のバイアルまたはカートリッジ200を受け入れるようなサイズおよび形状とすることができ、または、そのように構成することができる。例えば、図示のように、ハンドピースアセンブリは、バイアル200を配置および固定することができる凹部または他の開口部を含むことができる。このようなバイアルまたは他の容器200は、育毛促進のために、使用中に、対象者の皮膚表面に選択的に搬送できる1つ以上の流体および/または他の材料を含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つ以上の材料は、皮膚治療システムのチップまたは他の部分もしくは構成要素の1つ以上の表面または領域に戦略的に包埋、含浸、配置、格納および/または配備することができる。そのような材料は、固体、半固体、他の乾燥物質、ゲル、濃縮溶液等を含むことができる。例えば、そのような材料は、発泡体パッドまたは他のスポンジ状材料等の中に浸した錠剤、カプセル、丸剤、ディスクまたは他の溶解可能な固体として、ばらの状態で(例えば、チップ上、チップの凹部もしくは他の部分内、またはカートリッジもしくは他の容器内に配置して、あるいは1つ以上の表面に接着させる等して)供給することができる。従って、特定の構成では、チップに搬送される水(例えば、蒸留水、水道水、濾過水等)、生理食塩水、他の希釈剤および/または他の流体は、皮膚治療システム(例えば、ハンドピースアセンブリ、ハンドピースアセンブリの上流の流体ライン等)のチップ上、カートリッジもしくは他の容器内、および/または別の部分もしくは構成要素上もしくはその内部内に包埋、含浸および/または配置された材料を、選択的に溶解、液化、溶融、軟化、希釈または調製することができる。従って、要望または必要に応じて、所望される任意の育毛材料または育毛製剤を治療される皮膚表面に有利に供給することができる。
【0043】
さらに、図1に示すように、ハンドピースアセンブリ100は真空に接続することができる。例えば、ハンドピースアセンブリの廃棄物導管180は、剥離済みの皮膚、使用済みの流体、廃棄物および/または他の物質を治療表面から除去するために、吸引または真空源(不図示)と流体連通するように配置することができる。上述したように、ハンドピースアセンブリ100は1つ以上の取り外し可能なチップ130を受け入れるように構成することができ、該チップは施される特定の処置、所望の結果および/または他の考慮事項に基づいて選択されてよい。ハンドピースアセンブリ100の遠位部分120は、本体部分110とチップ130との間の望ましくない漏れを防止するために、1つ以上のOリング138または他の密封部材を含むことができる。取り外し可能なチップに関する更なる詳細は、2010年7月8日に出願され、2011年4月7日に米国特許公開第2011/0082415号として公開された米国特許出願番号第12/832,663号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる(例であり限定するものではないが、参照出願の図5Bおよび図8A図16Bを参照のこと)。
【0044】
引き続き図1を参照すると、ハンドピースアセンブリ100は、1種類以上のバイアルまたはカートリッジ200を受け入れるように構成することができる。例えば、バイアル200は、限定することなく標準もしくは非標準のバイアル、アンプル、または他の任意の容器を含むことができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ200内に含まれる育毛剤および/または他の任意の治療流体もしくは治療材料は、1つ以上の吸引源(例えば、チップから廃棄物を除去するように構成された真空源)を使用して、チップ130に向けて引き寄せることができる。他の実施形態では、カートリッジ内に含まれる流体および/または他の材料は、チップ130に向かって自然流下するか、または流体移送装置の助けを借りて運搬される。カートリッジ200は、所望の体積または他の量の血清または他の材料がチップ130に搬送された際に、ハンドピースアセンブリ100から選択的に取り出すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、廃棄物導管180と流体連通する真空は、チップ130からの廃棄物を除去するように、かつ、バイアルまたはカートリッジ200からチップ130への血清、他の流体および/または他の任意の材料の搬送を助長するように構成することができる。チップ130が対象者の皮膚に対して配置されると、ハンドピースアセンブリ100の1つ以上の流体チャネルまたは流体導管に、真空源によって生成された吸引を送達することができる。ハンドピースアセンブリの対応するチャネルまたは導管内で生成されたそのような吸引力は、チップ130が対象者の皮膚に対して維持または実質的に維持されている限りそのまま保つことができる。その結果、アセンブリ100の1つ以上の流体搬送チャネルに、真空源によって生成された吸引力を移送することができ、それによりバイアルまたは他の容器からチップ130へと流体および/または他の材料を移送することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、血清、他の流体および/または他の材料は、1つ以上の周辺または他の非中心に位置するチャネル、導管および/または他のラインもしくは付属品を通して(例えば、カートリッジ、外部供給源等から)チップ130に搬送することができる。例えば、図1に示すハンドピースアセンブリ100では、そのような流体および/または他の材料は、アセンブリの1つ以上の内部チャネルおよび/またはチップの廃棄物導管を通して届けることができる。従って、いくつかの実施形態では、1つ以上のチャネル、コネクタおよび/または他の水圧構成要素は、ハンドピースアセンブリ100の対応する搬送ラインと流体連通する、チップの非中心に位置する搬送開口部を適切に配置するように、再構成する必要があり得る。
【0047】
特定の実施形態によると、図2に示すように、バイアル、カートリッジまたは他の容器200は、複数の個々の流体導管410,420,430,440を備え得るマニホールドシステム400と流体連通するように配置される。次に、これらの流体導管410,420,430,440のうちの1つ以上は、別個の容器(不図示)と流体連通することができる。例えば、いくつかの実施形態では、このような流体導管は、タワーシステムの容器(例えば、図9図11を参照)と流体連通することができる。図示の実施形態では、個々の流体ライン410,420,430,440は主流体導管450と流体連通しており、該主流体導管450は、ハンドピースアセンブリ100内に固定されたバイアルまたは他の容器200の近位端に沿ってノズル202に接続する。流体導管のうちの1つ以上は、ハンドピースアセンブリへの流体および/または他の材料の移送を選択的に調節するために、バルブ412,422,432,442または他の流量制御装置もしくは流量制御機構を備えることができる。図示の構成では、マニホールドシステム400は合計4つの流体枝路を備える。しかし、システムは、特定の用途または使用により、要望または必要に応じて、より多くの、またはより少ない流体枝路(例えば、1,2,3,4,5,6,7,8、および9つ以上等)を備えることができる。
【0048】
特定の実施形態によると、図2に示すマニホールドシステムの流体ラインまたは流体導管のうちの1つ以上は、育毛を促進するように適合された流体および材料を含む、血清、他の治療流体等を供給するように構成されている。しかしながら、代替的に、導管のうちの1つ以上は、ハンドピースアセンブリ100への水(例えば、蒸留水、水道水、濾過水等)、生理食塩水、他の希釈剤または溶解溶液、他の流体等を受け入れるように構成することができる。本明細書でより詳細に説明するように、このような流体は、ハンドピースアセンブリ100(例えば、チップ)の様々な表面上、部分上、表面内または部分内に配置された1つ以上の固体、ゲルおよび/または他の材料と接触して、溶解、希釈、液化、軟化および/または混合するように適合することができる。これにより、1つ以上の材料が要望または必要とされる皮膚とチップとの境界面または他の任意の位置にそのような材料を供給する便利な方法を提供することができる。
吸引/真空
【0049】
いくつかの構成では、皮膚表面への1つ以上の治療材料の送達、注入、拡散および/または進行を促進し、標的皮膚表面に沿った、またはその付近の血流を刺激し、かつ/あるいは1つ以上の他の利点または利益を提供するために、標的皮膚表面(例えば、対象者の頭皮)に真空、吸引または負圧を適用することができる。そのような真空は、皮膚と係合し、そのような真空力を供給するように特別に設計されたハンドピースを使用して適用することができる。例えば、以下の出願のいずれかに開示された実施形態と同一または類似のハンドピースを使用することができる:2008年12月30日に出願され、2013年1月1日に米国特許第8,343,116号として発行された米国特許出願第12/346,582号、2006年3月29日に出願され、2011年11月1日に米国特許第8,048,089号として発行された米国特許出願第11/392,348号、2010年7月8日に出願され、2014年8月26日に米国特許第8,814,836号として発行された米国特許出願第12/832,663号、および2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号。本明細書で上述したように、前述した全ての出願全体が本明細書に組み込まれる。図1および図2を参照して本明細書で説明した実施形態は、1つ以上の容器(例えば、タワーシステムまたはマニホールドシステムに含まれるバイアルまたはボトル等)から皮膚界面への流体および他の治療材料の搬送を補助するために真空を利用する例示的なシステムを提供する。
【0050】
このようなハンドピースおよび/または他の装置もしくはシステムを使用することにより、治療(例えば、育毛促進または育毛強化)処置中に1つ以上の利益または利点を提供することができる。例えば、標的皮膚表面に吸引または真空を搬送することにより、標的皮膚表面(例えば、標的育毛領域、その付近、またはそれに隣接する表層もしくは表面組織および/または深層もしくは深組織)の血流を促進することができる。特定の状況では、これは標的組織に治療上の利益を与え、育毛の見込みを改善できる環境作りを助長することができる。さらに、真空または吸引を使用することにより、標的皮膚組織のより深部への流体および/または他の材料(例えば、成長因子、アミノ酸、酸化防止剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、他の育毛刺激剤、他の天然材料または合成材料等)の搬送をさらに向上させることができる。
真空と用いる圧力ならびにパルスおよび正圧
【0051】
いくつかの実施形態では、標的皮膚組織内への流体の注入または移送は、組織表面への圧力の搬送(例えば、不断的または間欠的な力の適用)および/または機械的なパルス付与を利用して向上させることができる。例えば、ハンドピースアセンブリおよび/または他の装置もしくはシステムは、対象者の標的皮膚組織にパルス状空気を搬送するために使用することができる。いくつかの実施形態では、圧力、パルスおよび/または同様の技術を使用することにより、皮膚組織のより深部への治療流体および/または物質の搬送を補助し、治療処置(例えば、育毛促進プロトコルまたは育毛促進方法)を促すことができる。そのような構成では、(例えば、圧力、パルス等による)機械的な力を使用することにより、ハンドピースまたは他の装置もしくはシステムのチップ、またはその付近に搬送される治療流体および/または他の物質の、皮膚組織のより深部への押込みまたは駆動を助長することができる。いくつかの実施形態では、治療流体および/または他の材料の少なくとも一部を皮膚組織のより深部に搬送する能力は、全体の工程を促し、そのような組織における健康および毛髪の成長力の促進を助長することができる。
【0052】
いくつかの構成によれば、所望のパルスレートまたはパルス周波数で空気を搬送するように構成された装置またはシステムは、標的皮膚表面のより深部への治療流体および/または他の物質の「駆動」を助長するために使用することができる。パルス(例えば、空気に基づくパルス)の使用に関する更なる詳細は、2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
図3A図4Eは、空気搬送(例えば、パルス付与)および/または穿刺と組み合わせた、1つ以上の流体および/または他の治療材料(例えば、育毛促進剤)を皮膚界面に供給するように構成されたハンドピースアセンブリの限定されない実施形態を示す。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明するように、治療処置(例えば、育毛刺激処置)を施す有効性は、治療される皮膚表面に機械的振動を搬送することにより高めることができる。例えば、空気または他の流体は、剥離および/または治療流体の搬送と同時に、皮膚表面に選択的にパルス付与または搬送することができる。他の実施形態では、流体搬送の代わりに、またはそれに加えて、他の形態の機械的エネルギー(例えば、音響エネルギー、針による侵入等)を使用することができる。これは、要望または必要に応じて、皮膚治療処置と同時、および/または皮膚治療処置前後に行うことができる。上述したように、いくつかの実施形態では、治療される皮膚表面に空気または他の流体を供給することが有益な場合がある。空気は、皮膚表面における特定の効果の実現を助長するために、特定の流量、圧力、強度、パルスレートもしくはパルス周波数および/または持続時間で搬送することができる。例えば、微細皮膚研磨の処置中、処置前および/または処置後に空気または他の流体を皮膚にパルス付与し、剥離後の対象者の皮膚組織内への少なくとも部分的な血清、他の液体および/または他の物質の移送を促進および円滑化することができる。いくつかの実施形態では、空気圧パルスは(例えば、続けて連続した空気を搬送し、空気が搬送されない段階はない等の)矩形波パルスを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、空気は個々の噴射部の空気搬送通路を通って搬送される。従って、噴射部の体積、強度、圧力および/または他の特性に応じて、そのような噴射部は、対象者の皮膚に沿って間欠的な力を加えることを助長することができる。上述のように、皮膚へのそのような機械的または空気圧的な振動は、1つ以上の利点を提供することができる。例えば、皮膚にもたらされる力または圧力は、(例えば、流体搬送通路を通って)チップに搬送されている血清、液体および/または他の物質の、皮膚組織のより深部への駆動を助長することができる。空気噴射部によって生成された反復的な振動は、治療される皮膚表面に沿った毛穴から汚れ、油および/または他の望ましくない物質をほぐし出すことも助長することができる。
【0056】
皮膚治療処置中に空気または他の気体を搬送するように構成されたハンドピースアセンブリは、1つ以上の空気搬送通路を通って空気が搬送される方法、および/または吸引通路を通って真空源により適用される負圧の量(あるいは、例えばチップに沿って実現される負圧の量)を使用者が調整可能なように構成することができる。いくつかの実施形態では、吸引通路内の負圧は、使用中に対象者の皮膚と周辺リップおよび内部リップとの接触を維持するために十分高い。これは、皮膚表面(例えば、育毛が望まれる対象者の頭皮または他の皮膚部位)が剥離または治療されている間、作業面への治療流体の安定かつ一定した流れの維持を助長することができる。チップに沿った十分に高い真空は、(例えば、噴射部において)空気が皮膚表面に搬送される間、リップが皮膚表面との接触を失わないようにすることを助長することができる。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、微細皮膚研磨処置または他の皮膚治療処置の処置前、処置中または処置後に、対象者の皮膚の特定の領域または部位を振動および/または侵入するために、1つ以上の針または他の穿刺部材を使用することができる。針または他の穿刺部材は、隣接する皮膚組織に一定期間にわたって出し入れすることができる。その結果、少なくとも一時的に、標的皮膚組織内に複数の小径の通路を形成することができる。そのような通路により、皮膚に搬送または塗布される血清、他の治療剤および/または他の物質を、皮膚組織のより深部へと有利に運ぶことができる。
【0058】
図3A図3Eは、本体3210と、該本体の遠位端に沿って配置されたチップ3240とを備える皮膚治療装置3200の別の実施形態の様々な図を示す。いくつかの実施形態では、チップ3240は、本体3210に取り外し可能に固定することができる。図22Bの正面図に示すように、チップ3240は、装置3200が対象者の皮膚に対して適切に配置された際に、皮膚表面(例えば、対象者の頭皮)と接触するように構成された外側または周辺リップ3260を備えることができる。チップ3240は同様に、(例えば、外側リップもしくはリッジまたは周辺リップもしくはリッジ3260と同時に)治療される皮膚表面と接触するように構成された内側リップまたはリッジ3252を付加的に備えることができる。
【0059】
引き続き図3Bを参照すると、外側リップまたはリッジ3260と内側リップまたはリッジ3252との間に確定されたほぼ環状の領域は、1つ以上の開口部またはポートを備えることができる。例えば、図示のように、環状領域は1つ以上の真空または吸引ポート3242を備えることができる。いくつかの実施形態では、このようなポート3242は、環状領域の底面より上に延在するポストまたは他の部材を備える。図3Bに示すように、真空または吸引ポート3241は、内側リッジ3252に隣接して、またはその付近に(例えば、直ぐ周囲に)戦略的に配置することができる。このような構成により、装置3200の使用中におけるリップまたはリッジ3260,3252と対象者の皮膚表面との接触の維持を補助することができる。チップと対象者の皮膚との接触を一定して十分に維持する能力は、空気または他の流体が、使用中にチップの中央開口部3256を通ってパルス付与される際に困難な場合がある。理解されるように、パルス付与中の正の空気圧の搬送は、チップ(例えば、特に内側リップ3252および周囲の構造)と皮膚との接触を失わせようとする場合がある。それ故、システムは、装置の使用中における適切な皮膚接触を確実に維持するために、パルスポート3256に沿って、その付近に、またはそこに隣接して十分な吸引または真空を供給するように構成することができる。他の構成では、吸引ポートまたは開口部3242は、チップの環状領域の底面に対して同一平面、またはほぼ同一平面でよく、かつ/あるいは窪んでいてもよい。さらに、ポートまたは開口部3242の形状、サイズ、向き、間隔、位置、数量および/または他の特性は、要望または必要に応じて、図3Bに示すものと異ならせることができる。
【0060】
図3Bに示すように、2つのリップまたはリッジ3260,3252の間に画定された環状領域は、1つ以上の流体搬送ポート3246および/または追加の真空または吸引ポート3248を含むこともできる。一実施形態では、図3Bに示すように、単一の流体搬送ポート3246は、真空または吸引ポート3248のほぼ反対側にあり、治療される皮膚のより広い表面領域に亘って治療流体の搬送を促す。他の実施形態では、流体搬送ポートおよび/または追加吸引ポートに関する数量、向き、位置、サイズ、形状および/または他の細かな点は変更することができる。
【0061】
引き続き図3Bを参照すると、内側リップ3252の内部に画定される領域は、装置3200の内部を通って延在する1つ以上の通路と流体連通する開口部3256を含む。本明細書で詳述するように、そのような開口部3256は、治療処置中に皮膚にパルス状空気または他の流体を選択的に供給するために使用することができる。
【0062】
図3Bおよび図3Cに示すように、チップのパルス開口部3256は、(例えば、1つ以上の内部ルーメン、内部導管または他の内部通路を介して)装置3200の遠位部分または後部に向かってパルス流体コネクタ3204と流体連通するように配置することができる。そのようなコネクタ3204は、直接的または間接的にパルス空気源に結合し、所望の周波数、デューティサイクル、体積等で、チップおよび皮膚表面に対して選択的に空気を搬送することができる。上述したように、そのようなパルス状空気または他の流体を搬送することにより、治療流体を皮膚表面内により深く侵入することを支援することができ、それにより皮膚治療処置(例えば、育毛処置)を向上させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、空気のパルス付与による機械的振動は、皮膚表面に搬送された治療流体を皮膚のより深部に駆動したり、押し込めたり、または押し進めることができる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、装置3200における空気または気体のパルス付与に関する1つ以上のパラメータは、要望または必要に応じて、使用者が調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パルスシーケンス中の高圧レベルおよび低圧レベルを変更することができる。上述したように、低圧レベルは、(例えば、大気圧に対して)ゼロ、正圧もしくはゼロより上、または負圧もしくはゼロより下とすることができる。従って、いくつかの実施形態では、空気は、特定のサイクルの間、正圧と負圧(例えば、吸引圧)との間でパルス付与される。他の実施形態では、高圧および低圧の両レベルは大気圧より高くすることができる。従って、パルス周期は真空段階または吸引段階を含む必要はない。他の実施形態では、低圧レベルはゼロまたはゼロ付近である。こうしたパルスの選択肢は、(例えば、標的皮膚表面への血清の浸透改善のために)皮膚界面へのパルス状空気搬送で使用するように構成された、または構成可能な、本明細書に開示する任意の実施形態に適用することができる。
【0064】
図3A~3Eの実施形態には不図示であるが、皮膚界面に沿って空気をパルス付与可能に構成されたチップ3240は、1つ以上の研磨部材(例えば、ポスト、螺旋体、リッジ、ブラシ、鋭い縁部、粗面等)を付加的に備えることができる。従って、いくつかの実施形態では、装置3200が作動している間(例えば、パルス状空気の搬送中および/または対応する真空ポートを介した吸引の維持中に)、使用者は標的皮膚表面に対し装置のチップを選択的に平行移動または移動させて、皮膚(例えば、頭皮、育毛が望まれる他の皮膚領域等)を少なくとも部分的に研磨および/または治療することができる。
【0065】
しかしながら、他の実施形態では、装置3200は、皮膚のより深部に血清および/または他の流体を駆動する目的で非研磨チップ3240を備える。これは、要望または必要に応じて、治療プロセスまたはプロトコルにおける予備工程、中間(例えば、二次)工程または事後(例えば、三次)工程の一部として実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、このような非研磨装置は、研磨または予備の処置、工程または段階に続いて使用される(また、対応する方法が利用される)。
【0066】
引き続き図3A~3Eを参照すると、装置3200は、カートリッジCに含まれる1つ以上の血清および/または他の治療流体と流体連通して配置されるように構成することができる。図示のように、このようなカートリッジは、ハンドヘルド装置3200の対応する凹部内に固定することができ、図示の構成では装置の遠位端に沿って配置される。しかしながら、他の実施形態では、装置は該装置の遠位端に沿って(または他の任意の部分に沿って)ポートを含むことができる。そのようなポート(例示の構成では不図示)は、主流体搬送ラインと流体連通するように配置することができる。いくつかの実施形態では、例えば、そのような主流体搬送ラインまたは導管は、図2を参照して本明細書で開示したようなマニホールドシステムから血清および/または他の流体を搬送するように構成することができる。
【0067】
図3Cに示すように、ハンドヘルド3200は、真空源および/またはパルス状空気源に接続するための追加のポート3202,3204を含むことができる。そのような流体源は、治療システムから分離することができ、あるいは要望または必要に応じて、システムに少なくとも部分的に組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、真空源およびパルス状空気源は、装置の使用者が、使用中の吸引レベルおよび/またはパルスレベルを有利に調整することができるように、最小限に制御モジュールまたは他のコントローラとデータ通信を行う。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、パルス状空気の概念は、皮膚へ選択的に侵入するように構成された可動針アセンブリと組み合わせることができる。針侵入部とパルス状空気搬送部とを組み合わせたシステムは、治療される皮膚表面に搬送される血清および/または他の液体のより向上した(例えば、より深い)注入または侵入を提供することができる。針侵入部とパルス状空気搬送部とを組み合わせた装置3300の一実施形態を図4A図4Eに示す。図3A~3Eを参照して上述したように、装置3300は、内側リップまたはリッジ3352および外側リップまたはリッジ3360を含むことができる。このようなリップまたはリッジ3352,3360は、装置3300のチップ3340が対象者に対して適切に配置される際に、皮膚表面と接触する形状およびサイズとすることができ、またはそのように構成することができる。
【0069】
図4Bのチップの正面図を参照すると、本明細書に開示した他の装置の実施形態と同様に、外側リップまたはリッジ3360と内側リップまたはリッジ3352との間に延在する領域または空間は、装置が使用中の際に1つ以上の治療流体を受け取るように構成することができる。例えば、リップまたはリッジ3352,3360を皮膚表面と接触させ、真空源または吸引源を作動させると、流体源(例えば、図4A図4Eに示されるようなカートリッジC、マニホールドシステムに結合された主流体導管等)からの血清および/または他の流体は、リッジ3352,3360間に配置された1つ以上の流体搬送ポート3346を介して搬送することができる。使用済みの流体および/または他のくずは、図示の構成では、同様にリッジ3352,3360の間に配置された真空開口部3348を介して、チップおよび皮膚/装置の境界面から除去することができる。図3A図3Eの装置を参照して上述したように、流体搬送ポート3346と吸引または真空ポート3348は、所望の分離距離だけ互いに離間させることができ、これにより、皮膚に搬送される血清および/または他の流体が、取り外される前のチップの少なくとも一部分に沿って確実に通過することを助長することができる。いくつかの実施形態において、これは、血清および/または他の液体と皮膚とのより長い接触時間を提供することができ、より良好な治療成果をもたらすことができる。
【0070】
引き続き図4を参照すると、内側リッジまたはリップ3352は、該内側リッジ3352によって画定される領域にパルス状空気を供給するように適合された1つ以上の開口部または通路3356を含むことができる。図示の実施形態では、内側リッジまたはリップ3352の内部に3つの別個の開口部または開口区域3356が含まれている。しかしながら、他の実施形態では、内側リッジは、要望または必要に応じて、より多く、またはより少ない開口部または開口区域を含むことができる。他の空気圧パルスの構成に関して本明細書でより詳細に説明したように、パルス状空気または他の気体をこのような開口部3356を通して選択的に供給して、皮膚に所望の噴出効果または空気駆動効果を生み出すことができる。いくつかの実施形態では、使用中に、内側リッジ3352および外側リッジ3360と対象者の皮膚表面との適切な接触を維持するために、内側リッジに沿って、またはその付近に、1つ以上の真空または吸引ポート3342を戦略的に配置することができる。従って、このような吸引の使用は、使用中における内側リッジ3352と治療される皮膚表面とが離れてしまう可能性を防止または低減するのに役立つ。
【0071】
図4A図4Eに示すように、装置は、チップ3340の内部内に可動針アセンブリ3370を付加的に含むことができる。図示の実施形態では、単一の可動針アセンブリがチップの中央部分に沿って(例えば、内側リッジまたはリップ3352の内部内に)配置されている。しかし、他の実施形態では、可動針アセンブリ3370に関するサイズ、形状、位置、数量および/または細かな点は、所望または必要より変更することができる。針アセンブリは、外側に(例えば、遠位方向に)延在する複数の針3372を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、針アセンブリ3370は、使用中に近位位置と遠位位置との間で往復運動するように構成することができる。いくつかの実施形態では、針アセンブリ3370の往復運動または他の運動は、空気圧的または機械的に達成される。例えば、一実施形態では、空気または他の流体ラインが、針アセンブリ3370が配置された容器またはハウジングと少なくとも部分的に結合される。可動針アセンブリ3370(および/または、例えば、関連する容器またはハウジング)に対する正および/または負の流体圧力の搬送は、針アセンブリ3370を所望の方法で移動させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、可動針アセンブリ3370は、(例えば、ハンドピース内に配置されたバネまたは他の弾性部材もしくは弾性アセンブリSを使用して)バネを搭載することができる。従って、そのような構成では、バネまたは他の弾性力によって後退させた(または近位の)向きに針アセンブリ3370を弾性的に付勢することができる。針アセンブリ3370に(例えば、アセンブリ3370に対する選択的な空気の搬送を使用して)圧力または力を加えることは、バネまたは付勢力に抗して、針アセンブリ3370をその弾性的に後退させた位置からより遠位の向きへと移すことを助長する。可動針アセンブリに課される力が終了すると、針はその後退した近位位置をとることができる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、針アセンブリを遠位方向に移動させる程度を精確に制御することができる。例えば、針アセンブリが進む度合いは、バネまたは他の弾性部材のバネ力、アセンブリ3370に加えられる力の量等に依存することができる。従って、このようなパラメータは、針アセンブリ3370による皮膚への針の侵入深度を制御するのに役立つ。針の侵入深度および対象者の皮膚組織(例えば、対象者の頭皮)にもたらされる効果は、他の方法を用いて変更することもできる。例えば、装置3300は、様々なチップの選択肢を使用者に提供することができ、各選択肢は(例えば、アセンブリ3370に含まれる針3372の長さ、直径、鋭利さおよび/または他の特性を変えることによって)異なる最大侵入距離を有する。いくつかの実施形態では、使用者が、チップおよび/または針アセンブリを操作して最大針侵入距離を変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、リップまたはリッジの高さを調整することができる。他の構成では、使用者はハンドピース内の針アセンブリの向き(例えば、深度)を変えて、侵入深度を効果的に加減することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、ユーザは、針アセンブリ3370を遠位に(例えば、皮膚表面に向けて)選択的に展開するために、ボタンを押すか、または1つ以上の他のコントローラまたは機能(例えば、スイッチ、フットペダル等)を操作する。例えば、空気圧制御する針アセンブリの構成では、使用者はボタンを押してハンドピースの対応する導管に加圧空気を入れることにより、針アセンブリに力を加えることができる。これにより、針アセンブリを皮膚に向けて移動させることができる。針アセンブリに十分な力が加えられると、針アセンブリは(例えば、遠位方向に)十分に移動して、対象者の隣接する皮膚表面と係合し、少なくとも該皮膚表面に侵入し得る。
【0075】
他の実施形態では、ボタンまたは他のコントローラを操作することにより、機械的に生成された力を針アセンブリ3370に作動させて、バネまたは他の弾性力に抗してアセンブリを遠位に移動させることができる。さらに他の構成では、針アセンブリは弾性的に付勢されていない(例えば、バネまたは他の弾性部材を含まない)。例えば、可動アセンブリは、モータ、歯車等を使用して近位位置と遠位位置との間で移動させることができる。針アセンブリが対象者の皮膚表面に近づいたり遠ざかったりする方法に関わらず、いくつかの構成では、アセンブリは、いくつかの異なる近位/遠位の位置に沿って移動させることができる。いくつかの実施形態では、利用可能な位置は、要望または必要に応じて、明確な位置(例えば、特定の距離のみの位置)または連続的な位置(例えば、完全に引き込まれた位置と完全に引き出された位置との間の任意の位置に沿った位置)とすることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、使用中において治療装置3300が対象者の皮膚に対して平行移動または移動されていないときにのみ、可動針アセンブリ3370を作動させることができる(例えば、皮膚表面に対して遠位に、かつ皮膚表面を通って遠位に移動するように作動させることができる)。これらの装置を使用するこのような方法は、対象者への望ましくない傷害を回避するのに役立つ。治療される1層以上の皮膚内に通路を形成するために針を使用することにより、対象者に追加の利益を提供することができる。例えば、装置のチップに沿って搬送および/または配置された血清および/または他の流体は、より深部まで対象者の皮膚に侵入することができる。針侵入と同時に、皮膚組織に空気をパルス付与することにより、このような利益および利点をさらに高めることができる。
【0077】
図4Cに示すように、装置3300は、真空源(例えば、吸引ポート)、(例えば、可動針アセンブリに対し、該アセンブリを選択的に空気圧で作動させるための)空気供給ライン、および/または(例えば、装置のチップにパルス状空気を供給するための)パルス状空気源に接続するための追加のポート3302,3304,3306を含むことができる。このような流体源は、治療システムから分離することができ、あるいは要望または必要に応じて、システムに少なくとも部分的に組み込んでよい。いくつかの実施形態では、装置の使用者が使用中の吸引レベル、針アセンブリの位置および/またはパルスレベルを有利に調整できるように、真空源、空気供給源およびパルス状空気源は、最小限に制御モジュールまたは他の制御装置とデータ通信を行う。いくつかの実施形態では、アセンブリへの空気または他のガスの搬送を調整するために、可動ニードルアセンブリの移動に関連するボタンまたは他のコントローラをバルブ構造に結合または組み込むことができる。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、針アセンブリ3370の針3372は、中実または中空であり得る。いくつかの実施形態では、針の直径は0.001~0.050インチ(例えば、0.010インチ、0.001~0.005,0.005~0.010,0.010~0.020,0.020~0.030,0.030~0.040,0.040~0.050インチ、上記範囲の間の直径等)である。他の実施形態では、針の直径は、0.001インチ未満または0.050インチを超える(例えば、0.050~0.060,0.060~0.070,0.070~0.080,0.080~0.090,0.090~0.100インチ、上記範囲の間の直径、0.100インチを超える直径等)。いくつかの実施形態では、針の長さは、0.05~5mm(例えば、0.5~2.5,0.05~0.1,0.1~0.2,0.2~0.3,0.3~0.4,0.4~0.5,0.5~0.6,0.6~0.7,0.7~0.8,0.8~0.9,0.9~1.0,1~2,2~3,3~4,4~5mm、上記範囲の間の長さ、5mmを超える長さ等)である。
【0079】
針アセンブリを具体的に、または任意の針侵入技術を一般的に組み込んだ、本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、針は中実および/または中空とすることができる。いくつかの実施形態では、針を選択的に加熱または冷却するように構成することができる。例えば、一実施形態では、(例えば、電気エネルギー、無線エネルギー等を介した)抵抗加熱、蒸気(例えば、熱蒸気)または類似技術、熱電素子等を使用して針を加熱することができる。
【0080】
本明細書に開示する治療の実施形態のいずれかにおいて、対象者の皮膚に所望の効果を生じさせるために、1つ以上のパルスパラメータを変更することができる。例えば、上述したように、高パルス圧および低パルス圧を調整することができる。さらに、いくつかの実施形態では、要望または必要に応じて、デューティサイクル、周波数、空気流量および/または他の特性を変更することができる。例えば、デューティサイクルは、20~60%(例えば、20~25,25~30,30~35,35~40,40~45,45~50,50~55,55~60%、上記範囲の間のデューティサイクル等)の間で変更することができる。他の実施形態では、パルス状空気システムのデューティサイクルは、60%を超える(例えば、60~70,70~80,80~90,90~95%、上記の間のデューティサイクル等、95%を超えるデューティサイクル等)か、または20%未満(例えば、0~5,5~10,10~15,15~20%、上記範囲の間のデューティサイクル等)である。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示する構成のいずれかに対して、パルス状空気の周波数は、2~15Hz(例えば、2~3,3~4,4~5,5~6,6~7,7~8,8~9,9~10,10~11,11~12,12~13,13~14,14~15Hz、上記範囲の間の周波数等)の間で変更可能である。しかしながら、他の実施形態では、パルス状空気の周波数は、2Hz未満(例えば、0~0.5,0.5~1,1~1.5,1.5~2Hz、上記範囲の間の周波数等)か、または15Hzを超える(例えば、15~20,20~25,25~30,30~40,40~50Hz、上記範囲の間の周波数、50Hzを超える周波数等)とすることができる。
【0082】
他の実施形態では、ハンドピースまたは他の装置の遠位端に沿った空気に基づく圧力または力は、治療流体または他の材料の少なくとも一部を皮膚表面のより深部に押し込むために適用することができる。流体および/または他の物質の皮膚へのより深い注入の達成を助長するために、要望または必要に応じて、例えば、空気、ハンマーまたは他の機械的衝撃装置等による継続的な搬送を使用することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、その全体が参照により本明細書に組み込まれるのであるが、ハンドピースまたは他のシステムの遠位端に沿った(例えば、空気圧、機械による)パルス付与は、(例えば、大気圧に対する)正圧の量を交互にすることを含むことができる。代替的に、パルス付与は、(例えば、機械的または空気的な衝撃等による空気搬送によって)正圧が生成される第1段階と、負圧(または真空)が生成される第2段階とを含むことができる。このような第1および第2段階は、所望または必要な周波数に応じて交互にすることができ、使用者が調整可能であってよい。
【0084】
他の構成では、ハンドピースまたは他の治療装置もしくは治療システムは、(上記実施形態で説明したものとは結果的に反対に)皮膚界面に正圧および負圧(真空)の両方を同時に搬送するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、ハンドピースアセンブリの遠位端またはチップは、治療される対象者の隣接する皮膚組織と遠位端またはチップとの境界面に沿って、1つ以上の正圧ゾーンおよび1つ以上の負圧(または真空)ゾーンを別々に作り出すように構成することができる。これらの実施形態に関する更なる詳細は、2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ハンドピース設計の改善
【0085】
いくつかの実施形態では、図5に示すように、ハンドピースアセンブリ2010は、ハンドピースアセンブリ2010の遠位端に沿って配置された可撓性の係合部材またはシュラウド2020を含むことができる。図5に示すように、係合部材2020は、アセンブリ2010の本体部分2012の遠位端に取り外し可能に固定されるように構成されたチップ2016に固定または結合することができる。しかしながら、他の実施形態では、係合部材2020および/またはチップ2016は、ハンドピースアセンブリ2010の本体部分2012に固着することができる。さらに他の構成では、係合部材2020は、要望または必要に応じて、(例えば、チップの有無に関わらず)本体部分2010に取り外し可能または固定的に結合されるようなサイズおよび形状とすることができ、またはそのように適合することができる。いくつかの実施形態では、本体部分2010、チップ2016および/または係合部材2020は、単一構造または一体構造を形成することができる。例えば、ハンドピースアセンブリ2010の様々な構成要素の一部または全てを単一の構成要素または構造に結合することができる。
【0086】
その正確な構造および/または設計に関わらず、係合部材またはシュラウド2020は、対象者の皮膚の一部に係合し、該皮膚を少なくとも一時的に密封するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、係合部材2020は、治療される対象者の頭皮、顔または他の皮膚表面の1つ以上の外形部分と係合するように構成することができる。係合部材2020は、該係合部材2020の遠位端が標的皮膚表面と接触および適合することを促す1つ以上の材料および/または特徴または構成を備えることができる。例えば、係合部材2020は、ゴム(例えば、シリコンゴム)および/または他のエラストマー材料を含むことができる。図5に示すように、係合部材2020は、対象者の標的皮膚表面(例えば、対象者の頭皮、顔等)と接触および係合できるように、要望または必要に応じて、係合部材2020の変形を促すように適合された1つ以上の蛇腹あるいは他の部分、特徴、構成要素および/または構成を含むことができる。
【0087】
引き続き図5を参照すると、係合部材2020は、1つまたは2つ以上(例えば、3,4,5、6つ以上など)の蛇腹または他の折り畳み可能な部材2028を備えることができる。本明細書で述べるように、蛇腹または他の折り畳み可能な部材は、遠位端に沿って(例えば、頭皮または顔のような対象者の組織と接触および係合するように構成された端部に沿って)特定の凹凸度に適応するように構成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、図9に示すように、係合部材2120は、蛇腹または他の折り畳み可能な部材を何ら備えていない。さらに、係合部材またはシュラウド2020は、使用中に、ハンドピース2010の隣接する本体部分2012の間に所望レベルの回転を提供するように構成することができる。換言すると、いくつかの構成では、ハンドピースアセンブリの使用中に、係合部材2020は該係合部材2020の長さおよび可撓性に応じて、本体部分12の長手方向軸と治療される皮膚表面に垂直な軸(従って、係合部材の遠位端を形成する面)との間で、0~70度(例えば、0~10,10~20,20~30,30~40,40~50,50~60,60~70度、上記範囲の間の角度等)まで曲げることができる。
【0088】
図6および図7は、係合部材またはシュラウド2020を備えるハンドピースアセンブリの使用時の実施形態を示す。具体的には、これらの図は、遠位端に流体(例えば、空気)のパルス流を供給し、かつ、遠位端に真空力または吸引力を供給するようにも構成されたハンドピースアセンブリ2010ついて、2つの異なる動作段階中における係合部材2020を示す。図6に示すように、係合部材またはシュラウド2020は通常状態にあり、その蛇腹2028は膨張した形状である。図7では、蛇腹2028は、互いに圧縮または圧潰する。本明細書で説明するように、このような圧潰は、使用者がハンドピースアセンブリ2010を標的皮膚表面S(例えば、対象者の頭皮または顔)に向けて押圧または付勢することにより、かつ/あるいは他の何らかの理由により、係合部材2020によって画定された内部空間に搬送された真空力によるものである。いくつかの実施形態によれば、例えば蛇腹に起因して、かつ/あるいは可撓性材料等の使用に起因して、係合部材またはシュラウド2020は、要望または必要に応じて、使用中におけるその通常の膨張した長さの20~80%(例えば、20~30,30~40,40~50,50~60,60~70,70~80%、これらの間のパーセンテージ等)まで圧潰するように構成することができる。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、係合部材またはシュラウド2020は、既存のハンドピースのチップに取り付けられるように構成することができる。しかしながら、他の実施形態では、係合部材2020は、チップと共に提供されるように構成されているか、または(例えば、ハンドピースアセンブリおよび係合部材2020が単一構造または一体構造を形成するように)ハンドピースアセンブリの本体部分に設けられるように構成されている。その正確な構成およびハンドピースアセンブリへの組込みに関わらず、遠位の係合部材またはシュラウド2020は、人の頭皮(または他の標的皮膚表面、例えば顔の部位)の形状の違いや、治療される個人の標的皮膚表面の形状の違いを有利に補償および適合することができる。
【0090】
本明細書で説明したように、図5に示す実施形態では、係合部材2020は、チップ2016に(例えば、固定的または取り外し可能に)取り付けられる別個の構成要素とすることができる。しかしながら、他の構成では、チップ2016は係合部材2020と単一構造または一体構造を形成するように構成されるように、チップ2016は係合部材またはシュラウド2020と共に製造することができる。係合部材またはシュラウド2020は、本明細書に参照により組み込まれる出願に記載および例示されているチップを含む、本明細書に開示する任意のチップに配置または固定することができる。例えば、係合部材は、流体搬送ポートおよび吸引ポートの両方を含むチップ、1つ以上の研磨特徴(例えば、螺旋部材、ポスト等)または研磨面を含むチップ、皮膚表面への吸引搬送および流体搬送を提供することに加え、治療される皮膚表面に(例えば、パルス状または非パルス状の方法で)空気を供給するように構成されたチップ、針を有するか、または有さないチップ、皮膚とチップとの境界面に沿って搬送されるか、あるいはそこに存在する水または他の液体によって治療材料が溶解して皮膚表面に放出されるように、チップに沿って(例えば、固体、半固体、ゲル、他の非液体形態等の)治療材料を含むチップ等に結合することができる。以下の出願のうちの1つ以上に記載されたチップを、係止部材またはシュラウドと共に使用することができる:2008年12月30日に出願され、2013年1月1日に米国特許第8,343,116号として発行された米国特許出願第12/346,582号、2006年3月29日に出願され、2011年11月1日に米国特許第8,048,089号として発行された米国特許出願第11/392,348号、2010年7月8日に出願され、2014年8月26日に米国特許第8,814,836号として発行された米国特許出願第12/832,663号、および2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号。
【0091】
係合部材またはシュラウド2020がチップに(ハンドピースアセンブリの本体部分または他の構成要素に直接的に)(例えば、据え付けて、または取り外し可能に)固定される実施形態では、係合部材またはシュラウド2020は、1つ以上の取り付け方法または取り付け装置を使用して固定することができる。例えば、係合部材2020は、要望または必要に応じて、圧入接続または摩擦嵌合接続、接着剤、ネジ接続、1つ以上の締結具、溶接等を使用して、ハンドピースアセンブリ2010のチップ、本体部分および/または他の任意の部分もしくは構成要素に固定することができる。
【0092】
上述したように、取り付けは、治療される頭皮の表面または全体としてむらがあるか、または不均整な他の皮膚表面(例えば、顔面の皮膚組織、首、腕、脚等)に適合するように構成された、1つ以上の軟質の可撓性材料(例えば、シリコンゴム、発泡体、ラテックス、ビニル、他の種類のゴムおよび/またはエラストマー材料、可撓性の他の天然材料および/または合成材料)を含むことができる。いくつかの実施形態では、係合部材またはシュラウド2020の遠位端は、使用中に、その周辺部材または周辺部分と隣接する標的皮膚表面との間にシールを形成するように構成される。
【0093】
図8は、チップに吸引力搬送および流体搬送、ならびに(例えば、パルス状または非パルス状の方法で)別個の空気流を供給するように構成されたチップに固定された係合部材またはシュラウド2020の内部図を示す。例えば、このようなチップは、米国特許公報番号第2014/0343574号(例えば、図4図5Cを参照のこと)および国際公開番号第WO2014/151104号(例えば、図4図5Cおよび図22A図23Eを参照のこと)でより詳細に説明されており、その両出願は参照により本明細書に組み込まれ、本出願の一部をなす。
【0094】
図8に示すような実施形態では、ハンドピースアセンブリは、要望または必要に応じて、例えば、アセンブリの本体部分および/または他の任意の構成用要素の内部および/または外部の1つ以上の通路を介して、治療される皮膚表面に流体搬送(例えば、水、他の血清および治療材料等)を提供する。本明細書で述べるように、図8の実施形態は、治療される皮膚表面に(例えば、連続的または間欠的に)力を供給するように構成された別個の空気流を供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、このような正の空気圧の流れは、治療される皮膚表面に沿って搬送または配置された流体が、組織のより深部へと移動することを促すことができる。皮膚組織のより深部への流体搬送を助長するこのような技術は、皮膚治療処置を促し、治療される対象者により大きな利益を与える。
【0095】
図8に示すような実施形態では、ハンドピースアセンブリの遠位端に沿って(従って、例えば、係合部材またはシュラウド2020の内部の少なくとも部分的に)真空が形成される場合、係合部材またはシュラウド2020は、使用中、隣接する組織と常に密封を維持するように構成することができる。例えば、皮膚の表面に流体を搬送しても、皮膚の表面に別個の空気流を搬送しても、係合部材2020の内部で生成された吸引力の間欠的な性質があっても、かつ/あるいは他の何らかの要因または考慮事項があったとしても、そのような密封を維持することができる。しかしながら、他の実施形態では、係合部材またはシュラウド2020は、隣接する皮膚表面と間欠的に接触を失い、密封を失うように構成される。ハンドピースアセンブリ、係合部材もしくはシュラウド2020および/またはシステムの他の構成要素もしくは構造が構成される実際の方法に関わらず、係合部材またはシュラウド20を使用することにより、(例えば、皮膚表面の凹凸に関わらず)様々な皮膚表面との接触、およびその接触の維持を促すことができる。これに関連して、係合部材2020は、治療される皮膚表面から流体を捕捉して除去することを促し、それにより清潔でより汚れの少ない治療を提供することができる。
【0096】
上述したように、係合部材またはシュラウドは、(例えば、図5の実施形態よりも少ない蛇腹または他の折り畳み可能な部材を含むか、あるいは蛇腹または折りたたみ可能な部材を含まず)より短くすることもできる。係合部材2120のそのような構成を図9に示す。いくつかの実施形態では、このような係合部材またはシュラウド2120は、標的の頭皮または他の皮膚表面の凹凸が少ない(例えば、皮膚表面がより平坦である)場合に使用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、皮膚表面に対するハンドピースアセンブリのより直接的な制御を提供するため、チップと皮膚表面との間の隙間を少なくするため、かつ/あるいは他の理由または目的のために、要望または必要に応じて、使用者は図9に示すような、より短い係合部材またはシュラウド120を使用することを好む場合がある。
【0097】
上述したように、係合部材またはシュラウドは、任意の種類のチップを用いて、かつ/あるいは任意の種類の皮膚治療処置で使用することができる。例えば、ハンドピースアセンブリは、育毛処置で使用するための係合部材またはシュラウドを備えることができる。例えば、係合部材は、1つ以上の他の育毛処置または育毛工程(例えば、植毛供給、穿刺、研磨等)の前、途中または後において、頭皮のより深部への育毛剤の搬送を促すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、係合部材またはシュラウドを使用することにより、頭皮または他の標的表面のより深部への1つ以上の治療材料または他の成分の駆動を助長することができる。そのような材料および/または他の成分は、限定するものではないが、アミノ酸、酸化防止剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、他の育毛刺激剤、他の天然育毛材料または合成育毛材料、皮膚引き締め剤、多血小板血漿(PRP)、剥離剤、ペプチド、漂白剤、抗アクネ剤、ヒト成長因子、サイトカイン、可溶性コラーゲン、抗酸化剤、マトリックスタンパク質、エピカテキン、カテキンおよび/または他のフェノールならびに/あるいは他の抗酸化剤、神経毒、血清、サリチル酸、他の抗アクネ酸および抗アクネ物質、マイクロカプセル、カプセル、他の時間放出製品および時間放出物質、水(例えば、蒸留水、水道水、濾過水等)、生理食塩水、他の希釈剤、賦形剤または溶解剤、ビタミン、化学的剥離剤、ローション、無痛化剤、増白剤または明色化剤、ペプチド、ピーリング剤、酸、麻酔剤、医薬品、他の非活性化合物または活性化合物、他の流体または物質、上記の組み合わせまたは混合物、ならびに/あるいは1つ以上の内部/外部流体源からの他の任意の物質を含む。
【0098】
しかしながら、遠位の係合部材またはシュラウド2020,2120を備えたハンドピースアセンブリを使用することにより、育毛目的の他に、他の任意の皮膚治療処置で使用することができる。例えば、係合部材を装着したハンドピースアセンブリは、基本的な皮膚研磨処置(例えば、流体を搬送または搬送しない微細皮膚研磨)、ざ瘡、美白、皮膚の引き締め、老化防止、油性肌、唇の手入れ/膨化、損傷した皮膚、黒ずみ/皮脂の除去または摘出等のために使用することができる。
他の工程または処置を用いた育毛治療剤の搬送
【0099】
本明細書で述べるように、対象者の皮膚および皮膚内への育毛剤の搬送は、1つ以上の追加の工程または処置によって促進および/または補足することができる。そのような工程または処置は、要望または必要に応じて、標的皮膚表面に流体および/または他の治療材料の搬送前、搬送中および/または搬送後に実施または使用することができる。
【0100】
いくつかの構成では、例えば、治療流体および/または他の治療材料(例えば、アミノ酸、酸化防止剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、他の育毛刺激剤、他の天然材料または合成材料等)は、皮膚の剥離前、剥離中および/または剥離後に、育毛が望まれる標的皮膚表面に搬送される。いくつかの構成では、流体および/または他の材料は、ハンドピースアセンブリを介して(例えば、ハンドピースアセンブリのチップまたは遠位端に向けて1つ以上の治療流体および/または他の材料を搬送するために真空または吸引の力を借りて)皮膚に搬送される。ハンドピースアセンブリのチップまたは遠位端は、皮膚を選択的に研磨または剥離するように構成することができる。例えば、ハンドピースアセンブリのチップまたは別の部分に沿って、1つ以上の研磨構造または研磨特徴(例えば、螺旋部材、ポスト、他の突起部材、研磨ディスクまたは研磨面、ダイヤモンド等)を配置することができる。いくつかの実施形態では、ハンドピースアセンブリが標的皮膚組織に対して動かされる間、そのような研磨構造または研磨特徴は、皮膚組織を選択的に研磨または剥離することができる。上記のように、研磨または剥離することにより、育毛を促進するように構成された治療流体および/または他の材料を、皮膚組織のより深部に搬送することを促すことができ、それにより治療処置を向上し、かつ、治療流体および/または他の材料が育毛達成を助長するであろう可能性および/または毛髪の健康に関する他の利益(例えば、毛髪の強化、毛包の生存力の向上等)を高めることができる。
【0101】
皮膚を研磨および/または剥離する装置、システムおよび方法に関するさらなる詳細は、2008年12月30日に出願され、2013年1月1日に米国特許第8,343,116号として発行された米国特許出願第12/346,582号、2006年3月29日に出願され、2011年11月1日に米国特許第8,048,089号として発行された米国特許出願第11/392,348号、2010年7月8日に出願され、2014年8月26日に米国特許第8,814,836号として発行された米国特許出願第12/832,663号、および2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号に開示されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
研磨または剥離を伴う標的皮膚表面への育毛剤の搬送は、複数の段階(例えば、2工程、3工程、4工程以上等)のプロセスを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスの第1工程は、皮膚組織を研磨および/または剥離する工程を含む。そのような研磨および/または剥離の工程中および/または工程後に、上述したように1つ以上の治療流体および/または他の材料(例えば、アミノ酸、酸化防止剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、他の育毛刺激剤、他の天然材料または合成材料等)を組織へと有利に搬送することができる。そのような流体および/または他の材料は、皮膚成長の促進を助長するように構成することができる。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、研磨/剥離および治療流体/他の材料の搬送の事後工程として、1つ以上の追加の工程または処置を選択的に実施することができる。例えば、標的皮膚組織に1つ以上の光治療を施して、育毛促進をさらに助長することができる。そのような光治療は、必ずしも限定されるものではないが、要望または必要に応じて、赤色(例えば、赤外線)光、紫外光、ならびに/あるいは、異なる周波数および/または異なる種類の光の搬送を含むことができる。皮膚への光の搬送は、1つ以上の異なる方法における育毛に有益であり得る。例えば、光は皮膚組織に治療を直接提供するために使用することができる。代替的に、光は皮膚に搬送された材料の機能を活性化するか、または変化させるために使用することができる。そのような処置で使用できる光射出ステッキの実施形態を、図10Aおよび図10Bを参照して以下でより詳細に説明する。
【0104】
いくつかの実施形態では、育毛処置または他の皮膚治療処置の処置前、処置中または処置後に、対象者の皮膚に1つ以上の形態の光を照射することができる。光の種類、強度、パワー、周波数、波長、暴露時間および/または他の特性は、特定の用途または使用のために、要望または必要に応じて変えることができる。いくつかの実施形態では、光源の1つ以上の特性は、処置中および/または処置と処置との間で変えることができる。いくつかの実施形態では、図10Aおよび図10Bに示すように、光は1つ以上のLEDまたは他の照明源を備える。本明細書で開示した他の様式と同様に、光は微細皮膚研磨のために使用されているハンドピースに組み込むか、または取り付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、光源は微細皮膚研磨用ハンドピースアセンブリとは別離した別個のものである。
【0105】
いくつかの実施形態では、対象者または対象者に処置を施す使用者のための選択肢として、2つ以上の異なる種類の光源を提供することができる。例えば、図10Aおよび図10Bを参照すると、光ステッキ402の1つは、青色光(例えば、約475nmの波長を有する光)を射出するように構成され、別の光ステッキ404は、赤色光(例えば、約650nmの波長を有する光)を射出するように構成される。いくつかの実施形態では、「赤色」波長範囲(例えば、780ナノメートル(nm)~622nm)の光の照射は、1つ以上の他の処置工程(例えば、皮膚組織および/または皮膚組織内への流体および/または他の治療材料の搬送、真空または正の空気圧、パルス付与、穿刺、マッサージ、微細皮膚研磨、他の機械的または他の種類の振動、加熱/冷却等)の有無に関わらず、毛髪刺激および/または育毛に役立つ。目的とする他の色を有するように、1つ以上のステッキまたは他の光源を提供することができる。要望または必要に応じて、他の任意の色や光を射出することができる。例えば、調整可能な単一の光ステッキを選択して、(強度、パワーおよび/または他の特性の選択に加えて、またはそれらに代えて)光の正確な波長を選択することができる。
【0106】
1つ以上の光源は、育毛治療処置を施すように構成された、本明細書に開示する任意のハンドピースアセンブリに、直接的または間接的に組み込むことができる。例えば、環状光は(例えば、図5図9を参照して本明細書で説明したものと同一または類似の)ハンドヘルドアセンブリの遠位チップのリップに沿って、またはその付近に配置(あるいはリップ内に部分的に包埋)することができる。他の実施形態では、光は、アセンブリの外面に沿って取り外し可能に搭載することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、光の使用は、対象者の皮膚表面に搬送後または搬送中の1つ以上の治療流体および/または他の物質を化学的または生化学的に「活性化」するように構成される。特定の物質を活性化することにより、1つ以上の治療結果または有益な結果を提供することができる。他の実施形態では、赤色光、青色光および/または他の光を使用することにより、標的化皮膚組織に1つ以上の直接的な利益を提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、赤色光または青色光の光療法は、育毛促進を補完するために使用することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、光は、対象者の皮膚および隣接組織を加熱するため、かつ/あるいは、少なくとも部分的に(例えば、細胞レベルで)変化させるか、または影響を及ぼすために使用することができる。例えば、皮膚治療処置(例えば、微細皮膚研磨または皮膚振動を伴うか、または伴わない育毛処置)の特定の期間、処置前、処置中または処置後に、熱生成光源または熱誘導光源を皮膚に向けることができる。光源は、電球(例えば、白熱、蛍光、低圧ナトリウム、高輝度放電等)、LED、レーザー等を含むことができる。以下により詳細に説明するように、皮膚の加熱は、対象者に1つ以上の利益を提供することができる。例えば、皮膚組織を加熱することにより、(例えば、血清および/または他の治療流体もしくは治療物質が皮膚表面のより深部へと侵入できるように)対象者の毛穴を開いたり広げたりすることができる。皮膚を加熱することにより、(例えば、治療処置後の治癒および回復の改善を助長するために)隣接する血管の血液循環を上げることもできる。
【0109】
光治療に関するさらなる詳細は、2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、光治療は、(例えば、光療法用ハンドピースまたは他の装置もしくはシステムを使用して)610~650ナノメートル(nm)の波長、例えば「赤色」の範囲の光を射出するように構成された光を用いた治療を含む。他の実施形態では、光治療は、800~1,050nmの波長、例えば赤外光の範囲の光を射出するように構成された光を用いた治療を含む。他の実施形態では、光治療は、410~425nmの波長、例えば「青色」の範囲の光を射出するように構成された光を用いた治療を含む。いくつかの実施形態では、皮膚組織に与えられる光のパワーは、要望または必要に応じて、1cmあたり40~120ジュール/cm(例えば、40~50,50~60,60~70,70~80,80~90,90~100,100~110,110~120ジュール/cm2、上記の間のパワーレベル、40ジュール/cm未満のレベルまたは120ジュール/cmを超えるレベル)とすることができる。
【0111】
いずれの光治療の実施形態でも、限定するものではないが、1つ以上のLEDを含む任意の光源または構成を使用して光を射出することができる。いくつかの実施形態では、育毛および/または毛髪刺激を促進するために、単独で、または1つ以上の治療工程と組み合わせて、(1つ以上の周波数、波長、パワーレベル等で)皮膚に射出光を選択的に与えることができる。光を使用することにより、ざ瘡、老化防止、しわ等に役立つような、1つ以上の他の方法で皮膚を補助することもできる。
【0112】
要望または必要に応じて、特定の治療処置に1つ以上の追加の治療工程および/または装置を組み込むことができる。例えば、皮膚の研磨/剥離治療および/または光治療の代わりに、またはそれらに加えて、特定の治療処置によりもたらされる育毛の可能性をさらに高めるために、他のエネルギー搬送(高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、レーザー、イオントフォレシス等)、熱調節(例えば、他の1つ以上の処置工程の工程前、工程中および/または工程後の組織の冷却および/または加熱)、機械的振動、マッサージ等のうちの1つ以上を使用することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、育毛処置を向上させるために、標的の頭皮または他の皮膚表面に熱伝達を与えることができる。例えば、上述のように、選択的な光搬送を使用することにより、標的皮膚表面に熱を与えることを助長することができる。熱伝達は、所望の治療効果、治療プロトコル等に応じて、加熱または冷却することを含むことができる。図11Aおよび図11Bを参照して、標的皮膚表面を加熱または冷却するように構成された別個のハンドヘルド装置の実施形態を以下で説明する。
【0114】
いくつかの構成では、高温および/または低温に皮膚を曝すことにより、育毛および/または他の皮膚治療技術および皮膚治療処置に関連する様々な局面を支援することができる。例えば、本明細書で説明するように、皮膚を加熱することにより皮膚の毛穴を開き、それにより血清、他の治療流体または治療材料等の皮膚への侵入および移動を向上させることができる。さらに、皮膚を冷却することにより少なくとも部分的に毛穴を閉じ、先に毛穴へ入った治療流体および/または他の材料を、より長期間皮膚内に留めることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、皮膚治療処置(例えば、育毛促進処置)の処置前、処置中および/または処置後に、皮膚を導電的に冷却および/または加熱するために、1つ以上の装置(例えばハンドヘルド装置)を使用することができる。そのような加熱および冷却システムの一実施形態を図11Aおよび図11Bに示す。図示のように、システムは熱ドッキングステーション510を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドッキングステーション510は、熱調節ハンドヘルドアセンブリ600を収容し、熱的に再充電するための1つ以上の穴、ポートまたは開口部514,518を備える。
【0116】
引き続き図11Aおよび図11Bを参照すると、熱再充電ステーション510は、1つ以上の加熱および/または冷却用の素子(不図示)と熱連通することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の熱電素子(例えば、ペルチェ素子)が、ステーション510の壁の外側および/または内側に沿って、かつ/あるいは壁内に配置される。しかしながら、他の任意の種類の加熱および/または冷却用の素子を使用することができる。いくつかの実施形態では、熱調節素子は(例えば、図11Aの円530,532で概略的に表されるように)ドッキングステーションの壁の外面に沿って配置される。熱調節素子の数量、種類、位置、間隔、向きおよび/または構成に関わらず、熱ハンドピースアセンブリ600を受け入れる穴514,518を含め、ステーション510の隣接部分を導電的に加熱または冷却するように素子を適合させることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、ステーションは、例えばアルミニウム、銅、他の金属または合金等、1つ以上の熱導電性材料を含む。図11Bに示すように、穴514,518のうちの1つ以上は、ピン、ロッド、または他の突起部材516,520を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、熱調節ハンドヘルドアセンブリ600は、中央開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、アセンブリ600は、該アセンブリの中心線に沿ってほぼ中空である。従って、ステーション510の穴514,518内に配置する際、アセンブリ600はピン516,520上に便利に乗せるか、または配置することができる。それ故、図11Aに示すように、熱再充電のためにアセンブリがステーション510内に配置されると、ピン516,520は熱ハンドヘルドアセンブリをほぼ垂直の向きに確実に維持することができる。
【0118】
ステーションの熱電素子ならびに/あるいは他の加熱および/または冷却用の素子が作動すると、ステーション510の所望の熱調節効果に従って、ステーションの穴を加熱または冷却することができる。いくつかの実施形態では、ステーション510を加熱または冷却するために熱電素子を使用する場合、熱電素子の反対面に追加のステーション(不図示)を配置することにより、追加ステーションも加熱または冷却(例えば、主ステーションの反対の熱効果)を受けることができる。
【0119】
アセンブリ600は、内側コアと、外側ハウジングまたは外側シェルとを備えることができる。いくつかの実施形態では、内側コアは、銅、アルミニウムおよび/または他の任意の高伝熱材料(例えば、ベリリウム、他の金属または合金など)を含む。いくつかの実施形態では、銅および/または他の材料は、1層以上のニッケル、クロム等で被覆(例えば、めっき)することができる。外側ハウジングは(例えば、アセンブリ600を把持して扱う使用者が過度または不快な程に高温または低温だと感じないように)比較的低い熱伝導率のABS、ナイロンおよび/または他の任意のプラスチック、あるいは他の材料を含むことができる。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、熱ハンドヘルドアセンブリ600は、該アセンブリを通って完全または部分的に延在する内部ルーメンまたは開口部を含む。アセンブリ600が吸引用として構成される場合、アセンブリの近位端は、真空導管と流体連通するように配置することができる。そのような構成では、導管は真空源または負圧源と流体連通するように配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、加熱または冷却システムは吸引無しに使用されるように構成される。
【0121】
ハンドヘルドアセンブリ600は、遠位ヘッドを備えることができる。図示の実施形態では、ヘッドはほぼ平滑な面を有する円形または丸い外形を含む。いくつかの実施形態では、ヘッドはアセンブリ600の内部ルーメンまたは内部通路と流体連通する1つ以上の開口部を備える。いくつかの実施形態では、ヘッドはアセンブリ600のコアと単一構造を形成し、アセンブリの一部である。そのようなものとして、ヘッドは、ステーション510の穴内に配置されると比較的素早く加熱または冷却することができる1つ以上の高伝熱材料(例えば、銅)を有利に含む。
【0122】
その正確な形状、サイズ、構成および/または他の特性に関わらず、熱ハンドヘルドアセンブリ600は、対象者の皮膚表面を選択的に加熱または冷却するために使用することができる。上述したように、一実施形態では、皮膚の毛穴を開き、かつ/あるいは1つ以上の他の利益をもたらすために、治療すべき表面(例えば、頭皮、育毛が望まれる他の皮膚表面等)を、まず加熱することができる。皮膚研磨の有無に関わらず、毛穴が開いた状態で流体搬送プロセスを実施することができる。これにより、(例えば、予め加熱された皮膚表面に沿って)皮膚治療装置の作業端に搬送される、育毛用の任意の血清、他の治療流体および/または他の物質は、開いた皮膚の毛穴をより深く、かつ/あるいはより容易に通ることができる。治療プロトコル(例えば、流体搬送のみ、微細皮膚研磨を伴う流体搬送等)に続いて、使用者は冷却調節アセンブリ600を使用して、治療された皮膚表面を冷却することができる。皮膚表面を冷却することにより皮膚の毛穴を少なくとも部分的に閉じ、それにより潜在的に有益な血清および/または他の成分を皮膚内に捕捉することができる。そのような治療方法は、より早い回復時間、より少ない合併症、および/または1つ以上の他の利益もしくは利点のために提供することができる。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、熱アセンブリ600の加熱または冷却の程度は、(例えば、ステーション510を熱調節する熱電素子または他の任意の加熱もしくは冷却用の素子のデューティサイクルを変更することによって)調整および制御することができる。いくつかの実施形態では、ステーション510および加熱するようにステーションが構成されたハンドヘルドアセンブリの動作温度が、危険または不快な程極端な状態にならないようにするために、サーモスタットおよび/または他の温度検出が使用される。
【0124】
他の実施形態では、皮膚表面は、他の任意の方法または装置を使用して加熱または冷却することができる。例えば、本明細書で説明したエネルギーまたは他の様式(例えば、RF、超音波、マイクロ波等)のいずれかを使用して皮膚を加熱することができる。一実施形態では、(例えば、バイアルまたはカートリッジ、マニホールドシステムまたはタワーシステムのボトル等から)微細皮膚研磨装置のチップに搬送される液体、血清および/または他の治療流体は、皮膚表面に到達する前に加熱または冷却することができる。それ故、微細皮膚研磨用ハンドヘルド装置または該ハンドヘルド装置に結合された流体システムに1つ以上の加熱または冷却用の素子を組み込むことができる。
流体/治療材料搬送のためのローラーボール/多孔質アセンブリ
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する様々な治療装置、システムおよび/または方法は、育毛用流体および/または他の材料の標的皮膚部位(例えば、対象者の頭皮表面)への搬送を助長するために、代替的なハンドヘルドアセンブリおよび/または他の装置もしくはシステムと共に使用することができる。図12A図15を参照して、そのような装置およびシステムの例を以下で説明する。
【0126】
ローラーボールを備え、育毛処置に使用されるように構成されたアセンブリ900の一実施形態を図12Aおよび図12Bに示す。図示のアセンブリ900は、単一の単体構造または一体構造910に統合されたハンドピースおよびチップを含む。いくつかの実施形態では、このような結合型ハンドピースおよびチップは、使用と使用との間に交換されるように使い捨て可能に構成することができる。いくつかの実施形態によれば、アセンブリ900は、結合型ハンドピース/チップ910に固定されるように構成されたカートリッジまたは他の流体源940を備える。
【0127】
引き続き図12Bを参照すると、カートリッジ940の遠位端942は、カートリッジ940が配置された際に、結合型ハンドピース/チップ910の内部を通って送られるローラーボール944を含むことができる。いくつかの実施形態では、ローラーボール944は、アセンブリ900の使用準備が整った際に、結合型ハンドピース/チップ910の遠位端、またはその付近に届く。これにより、対象者の皮膚表面(例えば、頭皮)に対してアセンブリ900を動かす間、ローラーボールは治療される皮膚面と少なくとも部分的に接触し、回転することができる。ローラーボール944が回転することにより、結合型ハンドピース/チップ910の遠位端、従って皮膚表面へのカートリッジ940の流体および/または他の内容物の移送を促すことができる。
【0128】
図12Aおよび12Bに示すように、カートリッジ940の近位端945は、カートリッジ940の内部を密封するように取り囲む閉鎖部材946を含むことができる。従って、いくつかの実施形態では、カートリッジ940の内部を開け、再充填し、閉じることができる。しかしながら、他の構成では、カートリッジ940は、常に密封されたままであるように構成される。従って、そのような構造では、カートリッジは使用後に処分できる。開封可能なカートリッジおよび密封を維持するように構成されたカートリッジに関する上記の開示は、本明細書に開示したアセンブリ構成またはその変形のいずれかに適用することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、図12Aおよび図12Bのアセンブリ900に含まれるカートリッジ940は、一連の治療処置(例えば、育毛治療)の間に再使用することができる。例えば、対象者が特定の治療セッションを完了すると、対象者には(2つ以上の異なる血清または他の治療材料が使用された程度まで)使用した1または複数の任意のカートリッジの持ち帰りを許可することができる。従って、対象者は、未使用のカートリッジを次の治療セッションに持ち込むことができ、それによって無駄をなくし、全体の処置費用を抑えることができる。いくつかの実施形態では、対象者には、対応する未使用のカートリッジ940内に含まれる血清および/または他の材料の1つ以上を、オフィスへの訪問と訪問との間に頭皮または他の皮膚に塗布するように指示してもよい。従って、カートリッジおよびその内容物の汚染を防ぎ、カートリッジの内容物の蒸発、漏れまたは他の損失を防ぎ、カートリッジ(例えば、カートリッジの遠位端に沿って配置されたローラーボール944)を保護し、かつ/あるいは1つ以上の追加の利益または利点を提供するために、使用と使用との間にカートリッジの遠位端942を保護するためのキャップ950を使用することができる。ローラーボール944は、オフィスへの訪問と訪問との間に、育毛が望まれる対象者の頭皮または他の皮膚表面への流体の塗布を促すことができる。例えば、ローラーボールを使用することにより、吸引またはハンドピースを使用することなく、カートリッジ940の内部から対象者の皮膚表面に流体を有利に搬送することができる。従って、このような実施形態によって、育毛および/または他の皮膚治療処置の全体的な有効性を有利に高めることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、治療処置中に、例えば2つ以上の主となる育毛血清または育毛材料を使用することができる。従って、専門家への最初の訪問の間、対象者は2工程の治療処置を受け、該工程において(例えば、真空適用の有無に関わらず)第1の製剤がまず対象者の皮膚表面に塗布される。次の工程として、第2の血清または他の流体もしくは材料が皮膚に塗布される。いくつかの実施形態では、次にユーザは、本明細書で説明したようにカートリッジまたは他の流体容器を提供される。そのようなカートリッジは、その後の訪問の間に次の処置を実施するための専門家に有利に返すことができる。さらに、対象者は、要望または必要に応じて、特定のプロトコルに従って、訪問の間にこれらの血清または流体のうちの1つ以上を自身の皮膚に定期的に塗布するように指示されてもよい。
【0131】
本明細書で述べるように、図12Aおよび12Bのアセンブリに含まれる結合型ハンドピース/チップ910は、使用または一連の処置の間に使い捨てることができる。従って、そのような使い捨て部分を利用することにより、対象者間および/または処置間に汚染が移るという可能性を低減し、それにより皮膚治療処置の衛生面および安全性全体を改善することができる。
【0132】
引き続き図12Aおよび図12Bを参照すると、結合型ハンドピース/チップ910は、真空源と流体連通して配置されるように構成吸引ポートまたは導管918を含むことができる。図示の実施形態では、吸引ポート918はハンドピース/チップ構成要素910の外側に沿って(例えば、角度を付けて)延在している。しかしながら、他の構成では、吸引ポートまたは導管918は、要望または必要に応じて、アセンブリ900内に少なくとも部分的にまたは完全に延在することができる。さらに他の実施形態では、アセンブリ900は、吸引源または真空源と流体連通して配置されるように構成されていない。従って、そのような構成では、アセンブリは、吸引ポートもしくは真空ポート、通路、導管および/または他の関連構成要素もしくは関連構造を有する必要がない。
【0133】
本明細書に開示する実施形態のいずれにおいても、カートリッジ、ハンドピースおよび/またはチップの遠位端に沿ったローラーボールまたは類似の構造を、(例えば、システムと流体連通するように配置されたカートリッジまたは他の容器の貯水槽から)治療される皮膚表面への流体の選択的な搬送を助長する1つ以上の他の構造と取り替えることもできる。例えば、図13の実施形態に示すように、ローラーボールは、その遠位端に沿った芯または他の流体的に多孔質な部材1044と置き換えることができる。
【0134】
図13を参照すると、カートリッジ1040の遠位端1042は芯部材1044を含むことができる。いくつかの実施形態において、ローラーボール944は、アセンブリの使用準備が整うと、結合型ハンドピース/チップの遠位端、またはその付近に届く。これにより、対象者の皮膚表面(例えば、育毛が望まれる頭皮または他の皮膚部位等)に対してアセンブリを動かす間、芯部材1044は治療される皮膚表面と少なくとも部分的に接触し、カートリッジまたは他の容器1040の流体貯水槽から皮膚表面に流体を搬送することができる。芯部材1044は、例えば、発泡体、多孔質石、スポンジまたは他の部材等の1つ以上の多孔質材料または多孔質特徴、多孔質構造または開放構造もしくは半開放構造を含む別の材料または部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、芯または他の多孔質部材1044は、カートリッジまたは他の容器部材の貯水槽内に含まれる特定の流体を浸み込ませることができる。従って、芯部材1044は、カートリッジまたは他の容器1040内の流体レベルが比較的低い場合でも、必要な水分レベルを保持し、治療される皮膚表面に流体を選択的に搬送することができる。
【0135】
引き続き図13を参照すると、芯部材1044は、1つ以上の発泡体、熱可塑性材料および/または他の材料を含むことができる。芯部材の断面の大きさは、1/4インチ~2インチとすることができる。いくつかの実施形態では、芯部材1044は、カートリッジまたは他の容器の内部貯水槽内に少なくとも部分的に延在している。芯部材1044は、要望または必要に応じて、例えば、円形、楕円形、正方形または他の長方形、他の多角形(例えば、三角形、五角形、六角形、八角形、十角形等)、不規則な形状等、任意の断面形状を含むことができる。
【0136】
図14は、図13に示したシステムと類似の皮膚治療システム1000を概略的に示す。図示のように、システム1000は、該システムの遠位端に沿って芯または他の多孔質構造1044を含むカートリッジまたは他の容器1040を含むことができる。芯または他の多孔質構造は、ある量の液体または他の材料を少なくとも部分的に吸収、吸着および/または保持するように構成された1つ以上の材料を含むことができる。本明細書で説明するように、いくつかの実施形態によれば、このような芯構造1044は、流体および/または他の材料を対象者の頭皮および/または他の皮膚表面に搬送するために、特定の処置(例えば、育毛処置)の間、カートリッジ1040の遠位端を少なくとも部分的に湿らせておくために使用することができる。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、本明細書の実施形態のいずれか(例えば、カートリッジまたは他の容器の遠位端、ハンドピース、チップ等)に組み込まれる芯または他の多孔質構造1044は、1つ以上の目的のために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、芯材料は、以下の機能のうちの1つ以上を果たすために使用することができる:
(i)皮膚処置アセンブリの一部分内に(例えば、カートリッジの遠位端に沿って、アセンブリのチップに沿って、ハンドピースに沿って、等)1つ以上の材料を格納する機能、
(ii)(例えば、治療される皮膚表面から出る廃棄組織片の)フィルターとしての機能、
(iii)治療される皮膚表面に流体および/または他の材料を搬送するための機能、等。例えば、一実施形態では、芯または他の多孔質材料1044は(例えば、液体、ゲル、粉末等の)治療材料を含むことができる。次いで、芯または多孔質部材1040、またはその付近に水または別の希釈剤を搬送して、芯または他の多孔質部材内に格納された材料を選択的に放出することができる。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、図15に概略的に示すように、ローラーボールまたは他の可動部材1146は、芯または他の多孔質な部材または構造1144の遠位端に沿って配置することができる。このようなシステム1100において、芯部材1144およびローラーボール1146は、カートリッジに沿って配置することができる。代替的に、本明細書に開示する他の構成と同様に、芯部材1144および/またはローラーボール1146(あるいはこれらの組み合わせ)は、ハンドピース、皮膚治療アセンブリのチップおよび/または他の任意の位置に配置することができる。そのような実施形態では、ローラーボール1146は、芯部材または構造の力を借りて、カートリッジまたは他の容器内に収容された流体との流体連通を維持することができる。換言すれば、ローラーボールの近位端は芯材料の力を借りて、有利に湿った状態を維持することができる。
【0139】
対象者の頭皮または他の標的皮膚表面に治療流体および/または他の材料を搬送するためのローラーボール、芯部材および/または他の多孔質構造の使用に関するさらなる詳細は、2015年12月22日に出願され、2016年6月30日に国際公開番号第WO2016/067531号として公開された国際特許出願第PCT/US2015号/067531号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
インプラント/移植
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示した様々な治療装置、システムおよび/または方法は、育毛処置または毛髪補助処置をさら高めるために、植毛と共に使用することができる。例えば、標的皮膚表面への特定の流体および/または他の材料の搬送、剥離工程または研磨工程の使用、光(例えば、赤外光、紫外光等)の搬送、レーザーの使用、他のエネルギー様式の使用等は、植毛処置または毛髪移植処置を補うために使用することができる。本明細書に記載(または本明細書で参照)する様々な技術またはその変形を使用することにより、植毛処置または毛髪移植処置の成功の可能性をさらに改善することができる。例として、成長因子の選択的搬送は、(例えば、特に、標的組織の一部にそのような成長因子を駆動または押し込む能力の点で)隣接または周囲の植毛の健康および生存力を強化することができる。
マッサージ/他のチップの詳細
【0141】
いくつかの実施形態では、育毛処置またはプロトコルと併せて標的皮膚表面(例えば、頭皮、育毛が望まれる他の皮膚領域等)をマッサージするか、または取り扱うことができる。例えば、いくつかの構成では、頭皮または他の標的皮膚表面は、1つ以上の流体、薬剤および/または他の材料の搬送前および/または搬送中にマッサージされる。対象者の頭皮または他の標的皮膚組織のマッサージおよび/または他の振動は、手動で、かつ/あるいは装置またはシステムを使用して達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、皮膚組織のマッサージは、(例えば、図1図15に示すような本明細書に開示したアセンブリのいずれかに類似する)ハンドピースアセンブリを使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、マッサージ用チップ(例えば、ハンドピースアセンブリの遠位端またはチップに取り外し可能または恒久的に取り付けられたチップ)は、要望または必要とされるマッサージ動作または振動動作を引き起こすために使用することができる。例えば、チップは、隣接する皮膚組織に対して動かす際に該皮膚組織をマッサージすることができる1つ以上の波状部または他の特徴(例えば、凹部、突起など)を含むことができる。このようなマッサージ動作は、要望または必要に応じて、研磨と併せて、または研磨の代わりに達成することができる。いくつかの実施形態では、皮膚組織のマッサージは、育毛に関する1つ以上の治療上の利点を提供することができる。マッサージは、育毛を支援し得る特定の解剖学的反応の刺激を助長することができる。いくつかの構成では、マッサージは、任意の治療流体または他の材料を、頭皮または他の標的組織のより深部に駆動または移動することを助長することができる。
【0142】
他の実施形態では、育毛処置で使用されるハンドピースアセンブリのチップまたは他の遠位部分は、それらの構造上またはそれらの内部に1つ以上の所望の材料を含ませることができる。本明細書でより詳細に説明するように、皮膚治療システムのチップまたは他の部分もしくは構成要素の1つ以上の表面または領域に1つ以上の材料を戦略的に包埋、含浸、配置、格納および/または配備することができる。そのような材料は、固体、半固体、他の乾燥物質、ゲル、濃縮溶液等を含むことができる。例えば、そのような材料は、発泡体パッドまたは他のスポンジ状材料等の中に含ませた錠剤、カプセル、丸剤、ディスクまたは他の溶解可能な固体として、ばらの状態で(例えば、チップ上、チップの凹部もしくは他の部分内、またはカートリッジもしくは他の容器内に配置して、あるいは1つ以上の表面に接着させる等して)供給することができる。従って、特定の構成では、チップに搬送される水(例えば、蒸留水、水道水、濾過水等)、生理食塩水、他の希釈剤および/または他の流体は、皮膚治療システム(例えば、ハンドピースアセンブリ、ハンドピースアセンブリの上流の流体ライン等)のカートリッジもしくは他の容器内および/または別の部分もしくは構成要素上かその内部内で、チップに包埋、含浸および/または配置された材料を、選択的に溶解、液化、溶融、軟化、希釈または調製することができる。従って、要望または必要に応じて、治療される皮膚表面に、任意の所望の育毛材料または育毛製剤を有利に供給することができる。そのような材料は、限定するものではないが、以下の材料のうちの1つ以上を含むことができる:成長因子(例えば、ヒト由来成長因子、非ヒト由来成長因子、リポソーム(ガイド(“courier”))による化学的に変化させた成長因子等)、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステライド、デュタステライド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジングシャンプーまたはプレクレンジングシャンプー、他のクレンジング溶液またはプレクレンジング溶液(例えば、サリチル酸、グリサル(“GlySal”)(商標)(グリコール酸およびサリチル酸混合物)、他の酸等)、ならびに他の天然材料および合成材料。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の治療材料を用いて皮膚組織を(例えば手で)軽くたたくことを利用して、標的の皮膚組織(例えば、頭皮)に1つ以上の治療材料を塗布することができる。このように軽くたたく行為は、標的組織に対してチップまたは流体容器(例えば、ボトル、バイアルなど)の他の排出部分と接触および/または移動させることにより達成することができる。他の実施形態では、要望または必要に応じて、皮膚組織に流体を搬送するために塗布器(例えば、綿棒、布、他の多孔性または吸収性部材等)を使用することができる。限定するものではないが、流体および/または他の治療材料を皮膚表面に搬送するために、スプレー、ミスト、ブラシ、ローラー、他のディスペンサー等を含む他の任意の装置または方法を使用することもできる。
穿刺
【0144】
いくつかの実施形態では、1つ以上の治療流体および/または他の材料が皮膚組織のより深部に通過することを助長するために、針が使用されてよい。例えば、針を使用することにより、標的皮膚組織内に通路が形成され、皮膚のより深部に成長因子および/または他の液体もしくは材料を搬送することができる。これに関連して、そのような構成は、(例えば、植毛処置または移植処置によりもたらさせる任意の毛包を含む)任意の毛包付近への治療流体および/または他の材料の通過の促進を支援することもできる。皮膚への流体および/または他の材料の通過を支援する穿刺処置または類似処置の使用は、要望または必要に応じて、単独で、または1つ以上の技術(例えば、研磨、剥離、エネルギー搬送、レーザー、光治療、パルス付与、他の機械的振動、熱治療等)と併せて使用することができる。例えば、穿刺は、図4A図4Eを参照して本明細書で説明したものと同一または類似の往復運動針アセンブリの使用を含むことができる。穿刺に関するさらなる詳細は、2014年3月12日に出願され、2014年9月25日に国際公開番号第WO2014/151104号として公開された国際特許出願第PCT/US2014/024992号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
穿刺の実施形態に関して、穿刺工程は、育毛または毛髪の安定性を促すように構成された成長因子および/または他の流体もしくは材料の搬送前および/または搬送後に使用することができる。いくつかの実施形態では、皮膚に少なくとも部分的に侵入するために使用される針または他の部材は、1つ以上の治療流体および/または他の材料(例えば、成長因子)を含むように被覆および/または構成することができる。そのような被覆針は、特定の用途または使用のために、要望または必要に応じて中実または中空とすることができる。例えば、そのような因子および/または他の材料は、針の1面以上の表面(例えば、露出面)に沿って配置することができる。他の実施形態では、対応するハンドピースアセンブリまたは他の装置もしくはシステムの内部空洞(例えば、針の内部、針に沿った他の凹部、またはその付近の他の凹部等)に沿って様々な治療材料を配置することができる。いくつかの実施形態では、そのような材料は、固体、半固体、ゲル、顆粒および/または他の非液状形態で針上、またはその付近に提供することができる。そのような構成では、針または類似の部材上に、その付近に、および/またはそこに沿って配置された様々な材料は、標的皮膚表面に放出するために少なくとも部分的に溶解するように構成することができる。本実施形態を使用することにより、皮膚組織のより深部への成長因子および/または他の材料の搬送をさらに向上させ、育毛および/または毛髪強化の促進を助長することができる。
【0146】
他の実施形態では、流体および/または他の治療材料(例えば、成長因子)を搬送することができるように、針は少なくとも部分的に中空である。そのような構成を使用することにより、標的皮膚組織表面、およびその内部への精確な量の成長因子および/または他の材料の効率的かつ選択的な搬送を支援することができる。例えば、いくつかの構成では、針の中空部分は貯水槽と流体連通しており、特定の用途、プロトコルまたは治療処置に従って、使用者は1つ以上の流体および/または他の材料を所望の流量で搬送することができる。
【0147】
本明細書で説明した任意の針の実施形態またはその代替形態では、治療処置の一部として使用される針は、1つ以上の治療材料で被覆することができる。上述したように、治療材料は、限定するものではないが、以下の材料のうちの1つ以上を含むことができる:成長因子(例えば、ヒト由来成長因子、非ヒト由来成長因子、リポソーム(ガイド(“courier”))による化学的に変化させた成長因子など)、アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等)、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステライド、デュタステライド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジングシャンプーまたはプレクレンジングシャンプー、他のクレンジング溶液またはプレクレンジング溶液(例えば、サリチル酸、グリサル(“GlySal”)(商標)(グリコール酸およびサリチル酸混合物)、他の酸等)、ならびに他の天然材料および合成材料等。このような治療材料は、針等の上に(例えば、完全にまたは少なくとも部分的に)被覆するか、または堆積させることができる。いくつかの実施形態では、このような材料は、水、生理食塩水および/または別の液体の存在下で溶解または放出可能なゲル、固体、半固体および/または別の形態として提供することができる。
注入力を高めるためのマッサージ/波状部の実施形態
【0148】
いくつかの実施形態では、治療装置または治療システムのチップまたは他の遠位部分(例えば、ハンドピースアセンブリまたはハンドピースアセンブリの遠位端、またはその付近に固定されるもの)は、必ずしも皮膚組織を研磨することなく、接触する皮膚組織をマッサージするか、または取り扱うように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、ハンドピースアセンブリのチップまたは他の遠位部は、皮膚表面に対してハンドピースアセンブリまたは他の装置もしくはシステムを動かす際に(例えば、研磨または剥離の有無に関わらず)機械的振動を与えるように構成された、1または複数の非線形または波状の部分および/または構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなマッサージまたは圧力を引き起こす1または複数の構造および/または他の構成は、毛穴を開くことに役立ち、あるいは皮膚のより深部へと搬送される治療材料の侵入を促す。これは、治療材料を皮膚組織のより深部に(例えば、毛根に近づくように、また皮膚組織のより深い部分に近づくように)「駆動」または移動させて毛髪の成長/刺激、頭皮または皮膚の健康等をさらに促進することができるため、治療処置を向上させることができる。
頭皮の健康/その他の指摘
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した処置と同一または類似の処置、あるいはその等価処置は、皮膚または毛髪に関する他の病気または状態を治療するために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、こうした処置は、対象者の頭皮または他の皮膚表面の健康状態を改善し、ふけ、乾癬、脂漏性皮膚炎等に関する対象者の状態の治療または改善を助長するために使用することができる。
【0150】
開示した実施形態の記載を補助する。上方、上部、底部、下方、下側、後方、前方、垂直、水平、上流、下流という語は、様々な実施形態および/または添付の図面を説明するために上記で使用した。しかしながら、図示されているか否かに関わらず、様々な実施形態は所望される種々の位置に配置および配向できることが理解されよう。
【0151】
いくつかの実施形態および実施例を本明細書に開示したが、本出願は、具体的に開示した実施形態を超えて、本発明の他の代替的な実施形態および/または用途、ならびにそれらの改良物および均等物にまで及ぶ。本実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせ、または部分的な組み合わせがなされてよく、それらは依然として本発明の範囲内に含まれることも考慮される。従って、開示した実施形態の様々な特徴および態様は、開示した発明の態様を変更するために、互いに組み合わせるか、または互いに置き換え可能であることが理解されるべきである。従って、本明細書に開示した本発明の範囲は、上記のとおり記載した特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ特定されるべきであることを意図する。
【0152】
本発明は、様々な改良形態および代替形態が可能であるが、それらの具体的な実施例を図面に示し、本明細書で詳細に説明した。しかしながら、本発明は開示した特定の形態または方法に限定されるものではなく、むしろ、本発明は記載した様々な実施形態および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるすべての改良物、均等物および代替物を網羅するものであることが理解されるべきである。本明細書に開示したどの方法も、列挙順で実施する必要はない。上記に要約し、以下でさらに詳細に説明する方法は、実施者が取るいくつかの行為を記載するが、別の当事者による行為の指示を含むこともできることが理解されるべきである。上記に要約し、以下でさらに詳細に説明する方法は、使用者(例えば、ある場合には専門家)が取る特定の行動を記載するが、別の当事者による行為の指示を含むこともできることが理解されるべきである。従って、「ハンドピースを動かす」や「流体を搬送する」等の行為は、「ハンドピースを動かすことを指示する」および「流体を搬送することを指示する」という行為を含む。本明細書で開示した範囲は、任意および全ての重複範囲、部分範囲およびその組み合わせも含む。「~まで」、「少なくとも」、「~より大きい」、「~未満」、「~の間」等の語は、列挙した数字を含む。「約」または「およそ」等の用語に続く数字は、列挙した数字を含む。例えば、「約10mm」は「10mm」を含む。「実質的に」等の用語に続く用語または語句は、列挙した用語または語句を含む。例えば、「実質的に平行」は「平行」を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の頭皮に沿って育毛または毛髪刺激を促進するシステムであって、
本体部分と、前記本体部分の遠位端に沿って配置されるチップとを含むハンドピースアセンブリであって、前記チップが、前記対象者の頭皮と接触するように構成された周辺リップを備える、ハンドピースアセンブリと、
前記ハンドピースアセンブリの内部に配置される少なくとも一つの吸引導管であって、前記チップに沿って真空または吸引を提供するように構成された少なくとも一つの吸引導管と、
前記ハンドピースアセンブリの内部に配置される少なくとも一つの治療材料導管であって、前記チップを治療材料源と流体連通するように構成されている少なくとも一つの治療材料導管と、を備え、
前記チップは、前記チップが前記頭皮に対して相対的に動かされる際に、前記対象者の頭皮に接触しマッサージするように構成された複数の波状部を備え、
前記真空または吸引を適用することは、前記周辺リップが前記対象者の頭皮と接触するとき、前記少なくとも一つの治療材料導管を介して、治療材料を前記治療材料源から前記チップおよび前記対象者の頭皮に移送し、
前記真空または吸引を適用することは、前記対象者の頭皮の標的部分、またはその付近の血流の促進を助長し、
前記真空または吸引を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長し、
前記複数の波状部を用いた前記頭皮のマッサージは、育毛に関する前記対象者への1つ以上の治療上の利点を提供するように構成される、システム。
【請求項2】
前記波状部は、突起を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記チップは、少なくとも一つの研磨部材を備え、前記少なくとも一つの研磨部材は、使用中に、前記対象者の頭皮組織を少なくとも部分的に研磨または剥離するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記真空または吸引は連続的または間欠的に適用される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記真空または吸引はパルス装置を使用して間欠的に適用される、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記パルス装置は、前記対象者の頭皮に沿って第1圧力および第2圧力を交互に生成するように構成されており、前記第1圧力は前記第2圧力よりも大きく、かつ前記第2圧力は真空または吸引である、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1圧力は正圧である、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1圧力は真空または吸引である、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記チップは前記本体部分から取り外し可能である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
真空源または吸引源をさらに備え、少なくとも一つの吸引導管は、前記真空源または前記吸引源と流体連通している、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記治療材料源は、前記ハンドピースアセンブリに固定されるように構成されたカートリッジを備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記治療材料源は、マニホールドシステムに固定されるように構成された容器を備え、前記マニホールドシステムは、前記ハンドピースアセンブリと流体連通するように構成されている、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療材料源は少なくとも1つの治療材料を含み、前記少なくとも1つの治療材料は、成長因子、アミノ酸、抗酸化剤、ミノキシジル、他の抗高血圧血管拡張剤、フィナステリド、デュタステリド、ケトコナゾール、スピロノラクトン、フルタミド、カテキン、エピカテキン、他の植物化学物質、カルニチン、レジュバプレックス(“rejuvaplex”)、
銅ペプチド、他の育毛刺激剤、他の医薬品および非医薬品、植物由来製品、クレンジング溶液、ならびに他の天然材料および合成材料のうちの1つ以上を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記チップの遠位端まで、又はその付近に届くローラーボールをさらに備え、前記ローラーボールは、治療される前記頭皮に少なくとも部分的に接触し、前記頭皮への治療材料の移送を促すために回転するように構成されている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
育毛に関する前記対象者への1つ以上の治療上の前記利点は、前記治療材料を前記対象者の頭皮のより深部に移動させることを含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記周辺リップが、前記対象者の頭皮の外形部分との接触を促すように構成された可撓性部材を備える、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記周辺リップが、使用中に前記対象者の頭皮の標的表面に係合するために変形するように構成されている、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
対象者の頭皮に沿って育毛または毛髪刺激を促進するシステムであって、
本体部分と、前記本体部分の遠位端に沿って配置されるチップとを含むハンドピースであって、前記チップが、前記対象者の頭皮と接触するように構成された周辺リップを備える、ハンドピースと、
前記ハンドピースの内部に配置される少なくとも一つの吸引導管であって、前記チップに沿って真空または吸引を提供するように構成された少なくとも一つの吸引導管と、を備え、
前記チップは、前記チップが前記頭皮に対して相対的に動かされる際に、前記対象者の頭皮に接触しマッサージするように構成された複数の波状部を備え、
前記真空または吸引を適用することは、前記対象者の頭皮の標的部分、またはその付近の血流の促進を助長し、
前記真空または吸引を適用することは、育毛促進または毛髪刺激を助長し、
前記複数の波状部を用いた前記頭皮のマッサージは、育毛に関する前記対象者への1つ以上の治療上の利点を提供するように構成される、システム。
【請求項19】
前記波状部は、突起を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記チップは、少なくとも一つの研磨部材を備え、前記少なくとも一つの研磨部材は、使用中に、前記対象者の頭皮組織を少なくとも部分的に研磨または剥離するように構成される、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記真空または吸引は連続的または間欠的に適用される、請求項18乃至20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記真空または吸引はパルス装置を使用して間欠的に適用される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記パルス装置は、前記対象者の頭皮に沿って第1圧力および第2圧力を交互に生成するように構成されており、前記第1圧力は前記第2圧力よりも大きく、かつ前記第2圧力は真空または吸引である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1圧力は正圧である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1圧力は真空または吸引である、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記チップは前記本体部分から取り外し可能である、請求項18乃至25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
真空源または吸引源をさらに備え、少なくとも一つの吸引導管は、前記真空源または前記吸引源と流体連通している、請求項18乃至26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記チップの遠位端まで、又はその付近に届くローラーボールをさらに備え、前記ローラーボールは、治療される前記頭皮に少なくとも部分的に接触し、前記頭皮への治療材料の移送を促すために回転するように構成されている、請求項18乃至27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
育毛に関する前記対象者への1つ以上の治療上の前記利点は、前記治療材料を前記対象者の頭皮のより深部に移動させることを含む、請求項18乃至28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記周辺リップが、前記対象者の頭皮の外形部分との接触を促すように構成された可撓性部材を備える、請求項18乃至29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記周辺リップが、使用中に前記対象者の頭皮の標的表面に係合するために変形するように構成されている、請求項18乃至30のいずれか1項に記載のシステム。