(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071551
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220509BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20220509BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L33/62
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180580
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
5E353BB08
5E353HH61
5E353JJ02
5E353JJ19
5E353QQ12
5F044KK03
5F044KK05
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5F044LL05
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5F044RR12
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5F142FA32
5F142FA34
5F142FA38
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】ウエハ及び回路基板の反りの影響を抑制し、電子部品を回路基板に実装することが可能な電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法を提供する。
【解決手段】ワークを支持する支持面を有するステージと、前記ステージと対向する加圧ジグと、を備え、前記加圧ジグは、前記ステージとの間で前記ワークの一部を加圧するように構成され、前記支持面と対向しレーザー光を透過する窓部を有する、電子部品の実装装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを支持する支持面を有するステージと、
前記ステージと対向する加圧ジグと、を備え、
前記加圧ジグは、前記ステージとの間で前記ワークの一部を加圧するように構成され、前記支持面と対向しレーザー光を透過する窓部を有する、電子部品の実装装置。
【請求項2】
さらに、前記加圧ジグを、前記支持面に対して水平方向、及び、前記支持面に対して垂直方向に移動させる駆動部を備える、請求項1に記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
さらに、前記ワークの周縁部を加圧して前記ステージとの間で前記ワークを固定する固定ジグを備え、
前記加圧ジグは、前記固定ジグの内側で移動可能である、請求項1又は2に記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
第1加圧ジグと、
前記第1加圧ジグと対向する第2加圧ジグと、を備え、
前記第1加圧ジグは、前記第2加圧ジグとの間でワークの一部を挟持するように構成され、前記第2加圧ジグと対向しレーザー光を透過する窓部を有する、電子部品の実装装置。
【請求項5】
さらに、前記第1加圧ジグ及び前記第2加圧ジグを水平方向及び垂直方向に移動させる駆動部を備える、請求項4に記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
さらに、第1固定ジグと、前記第1固定ジグと対向する第2固定ジグと、を備え、
前記第1固定ジグ及び前記第2固定ジグは、前記ワークの周縁部を挟持して前記ワークを固定し、
前記第1加圧ジグは、前記第1固定ジグの内側で移動可能であり、
前記第2加圧ジグは、前記第2固定ジグの内側で移動可能である、請求項4又は5に記載の電子部品の実装装置。
【請求項7】
さらに、レーザー装置を備え、
前記レーザー装置は、第1レーザー光を出射する第1レーザー光源と、第2レーザー光を出射する第2レーザー光源と、を備え、
前記第1レーザー光と前記第2レーザー光の波長帯は異なっている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子部品の実装装置。
【請求項8】
回路基板と、電子部品を備えたウエハと、が重なったワークの上に第1加圧ジグを配置し、
前記第1加圧ジグで前記ウエハの一部を前記回路基板側に加圧し、
前記第1加圧ジグの窓部を通して第1レーザー光を前記ワークに照射し、前記電子部品を前記回路基板に接合し、
前記窓部を通して前記第1レーザー光とは異なる波長帯を有する第2レーザー光を前記ワークに照射し、前記ウエハから前記電子部品を剥離し、
前記第1加圧ジグを前記ワークから離間する、電子部品の実装方法。
【請求項9】
前記回路基板と、前記電子部品を備えた前記ウエハと、が重なった前記ワークの上に前記第1加圧ジグを配置する前に、前記ワークをステージ上に配置する、請求項8に記載の電子部品の実装方法。
【請求項10】
前記第1加圧ジグで前記ウエハの一部を前記回路基板側に加圧する前に、第1固定ジグによって前記ワークの周縁部を加圧して前記ステージとの間で前記ワークを固定する、請求項9に記載の電子部品の実装方法。
【請求項11】
前記第1加圧ジグで前記ウエハの一部を前記回路基板側に加圧する際に、前記第1加圧ジグと対向する第2加圧ジグで前記回路基板の一部を前記ウエハ側に加圧し、前記第1加圧ジグと前記第2加圧ジグとの間で前記ワークの一部を挟持する、請求項8に記載の電子部品の実装方法。
【請求項12】
前記第1加圧ジグと前記第2加圧ジグとの間で前記ワークの一部を挟持する前に、
第1固定ジグと前記第1固定ジグと対向する第2固定ジグによって、前記ワークの周縁部を挟持して前記ワークを固定する、請求項11に記載の電子部品の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLED表示装置が知られているが、近年では、より高精細化した表示装置として、マイクロLEDと称される微小なダイオード素子を用いた表示装置が開発されている。このマイクロLED表示装置は、従来の液晶表示装置や有機EL表示装置とは異なり、表示領域にチップ状の多数のマイクロLEDが実装されて形成されるため、高精細化と大型化の両立が容易であり、次世代の表示装置として注目されている。
【0003】
チップ状の多数のマイクロLEDを表示領域に実装する方法としては、レーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)を利用した方法が知られている。複数のマイクロLEDは、表示領域に実装される前にはサファイア基板上に形成されている。しかしながら、LLOによってマイクロLEDをサファイア基板から剥離する際に、サファイア基板に反りが生じている場合、レーザー光が所望の位置に照射されない恐れがある。これを解消するために、サファイア基板の全面を押し付けて、サファイア基板の反りを平坦化する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-83280号公報
【特許文献2】米国特許第10770426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、ウエハ及び回路基板の反りの影響を抑制し、電子部品を回路基板に実装することが可能な電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、ワークを支持する支持面を有するステージと、前記ステージと対向する加圧ジグと、を備え、前記加圧ジグは、前記ステージとの間で前記ワークの一部を加圧するように構成され、前記支持面と対向しレーザー光を透過する窓部を有する、電子部品の実装装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、第1加圧ジグと、前記第1加圧ジグと対向する第2加圧ジグと、を備え、前記第1加圧ジグは、前記第2加圧ジグとの間で前記ワークの一部を挟持するように構成され、前記第2加圧ジグと対向しレーザー光を透過する窓部を有する、電子部品の実装装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、回路基板と、電子部品を備えたウエハと、が重なったワークの上に第1加圧ジグを配置し、前記第1加圧ジグで前記ウエハの一部を前記回路基板側に加圧し、前記第1加圧ジグの窓部を通して第1レーザー光を前記ワークに照射し、前記発光素子を前記回路基板に接合し、前記窓部を通して前記第1レーザー光とは異なる波長帯を有する第2レーザー光を前記ワークに照射し、前記ウエハから前記電子部品を剥離し、前記第1加圧ジグを前記ワークから離間する、電子部品の実装方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、回路基板の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、ウエハの構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る実装装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る固定ジグを示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る固定ジグの変形例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る実装装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態に係る固定ジグを示す平面図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係る固定ジグの変形例を示す平面図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係る実装装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態に係るワークの接着層を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成を概略的に示す斜視図である。
本明細書においては、図示したように第1方向X、第2方向Y、第3方向Zを定義する。第2方向Yは、第1方向Xに対して垂直な方向であり、第3方向Zは、第1方向X、第2方向Yに対して垂直な方向である。第1方向Xと第2方向Yは、垂直に交わっているが、垂直以外の角度で交わってもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPや製造装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0012】
本明細書においては、電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法について説明し、電子部品としては、表示装置DSPに用いるLEDチップ(発光素子)を一例として説明する。
以下、本明細書においては、表示装置DSPが自発光素子であるマイクロLEDを用いたマイクロLED表示装置である場合について説明する。
図1に示すように、表示装置DSPは、表示パネルPNL、プリント回路基板PCB1及びPCB2、及び、駆動ICチップ2を備えている。
【0013】
表示パネルPNLは、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネルPNLの短辺EXは第1方向Xと平行であり、表示パネルPNLの長辺EYは第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネルPNLの厚さ方向に相当する。表示パネルPNLの主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネルPNLは、表示領域DAと、表示領域DAの外側の非表示領域NDAと、を有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。表示パネルPNLは、非表示領域NDAに端子領域MTを有している。端子領域MTは、表示パネルPNLの短辺EXに沿って設けられ、表示パネルPNLを外部装置などと電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0014】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、発光素子(マイクロLED)及び発光素子を駆動するためのスイッチング素子などを含んでいる。
【0015】
プリント回路基板PCB1は、端子領域MTの上に実装され、表示パネルPNLと電気的に接続されている。プリント回路基板PCB1は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。プリント回路基板PCB2は、例えばプリント回路基板PCB1の下方においてプリント回路基板PCB1と接続されている。プリント回路基板PCB2は、例えばリジットなプリント回路基板である。
【0016】
駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1上に実装されている。なお、駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1の下に実装されてもよいし、表示パネルPNLの非表示領域NDAに実装されてもよいし、プリント回路基板PCB2に実装されてもよい。駆動ICチップ2は、例えばプリント回路基板PCB1及びPCB2を介して図示しない制御基板と接続されている。駆動ICチップ2は、制御基板から出力される映像信号に基づいて、複数の画素PXを駆動し表示パネルPNLに画像を表示する制御を実行する。
【0017】
以下では、上記した表示パネルPNLのベース基板となる回路基板CBに対して発光素子LEDを実装する方法を説明する。より詳しくは、
図3に示すウエハWFから発光素子LEDをレーザーリフトオフ(LLO)により剥離して、
図2に示す回路基板CBに実装する方法について説明する。
【0018】
まず、
図2及び
図3を参照して、回路基板CB及びウエハWFの構成について説明する。
【0019】
図2は、回路基板CBの構成を概略的に示す断面図である。
回路基板CBは、絶縁基板10、複数の端子部11、及び、複数の接合部材12を備えている。
【0020】
絶縁基板10は、第1主面10Aと、第1主面10Aの反対側の第2主面10Bと、を有している。図示を省略しているが、絶縁基板10上には、発光素子LEDを駆動するためのスイッチング素子や各種配線パターンが形成されている。
【0021】
複数の端子部11は、絶縁基板10の第1主面10Aに形成されている。端子部11は、例えば、表示装置DSPに実装される発光素子LEDの端子部22と同数だけ形成されている。端子部11は、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などの金属材料、及び、これらの金属材料の積層体で形成されている。
【0022】
複数の接合部材12は、それぞれ端子部11の上に配置されている。接合部材12は、端子部11と、後述する発光素子LEDの端子部22とを接合するための部材である。詳細については後述するが、接合部材12は、400nm~3000nmの波長帯のレーザー光が照射されると、レーザーアブレーションにより加熱・溶融する金属材料で形成されており、例えばSn(スズ)、Ag(銀)などの金属材料で形成されている。接合部材12は、半田部材と称されてもよい。また、図示した例では、接合部材12は端子部11に設けられているが、後述する発光素子LEDの端子部22に設けられていてもよい。
【0023】
図3は、ウエハWFの構成を概略的に示す断面図である。
ウエハWFは、サファイア基板20、及び、複数の発光素子LEDを備えている。発光素子LEDは、発光層21及び端子部22を備えている。
【0024】
サファイア基板20は、第1主面20Aと、第1主面20Aの反対側の第2主面20Bと、を有している。複数の発光素子LEDは、サファイア基板20の第1主面20Aに配置されている。複数の発光素子LEDには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光色を有するものが含まれている。
【0025】
発光層21は、図示しない剥離層を介してサファイア基板20の第1主面20Aに固着されている。発光層21は、R、G、Bの光を放出する。端子部22は、発光層21の上に配置されている。端子部22は、回路基板CB側に配置された接合部材12により端子部11に接合され、端子部11と電気的に接続される。端子部22は、発光素子LEDのアノード端子又はカソード端子に相当する。端子部22は、バンプと称されてもよい。
以下、本明細書では、上述した回路基板CB及びウエハWFを積層したものをワークと称することとする。
【0026】
[第1実施形態]
次に、
図4を参照して、第1実施形態に係る実装装置100の構成について説明する。実装装置100は、ウエハWF上の発光素子LEDを回路基板CBに実装するための装置である。
【0027】
図4は、第1実施形態に係る実装装置100の構成を概略的に示す断面図である。
実装装置100は、ワークが載置されるステージST、加圧ジグ31、固定ジグ41、レーザー装置60、及び、駆動部DRを備えている。
ステージSTは、ワークを支持する支持面STAを有している。
【0028】
加圧ジグ31は、ステージSTと第3方向Zに対向している。加圧ジグ31は、ステージSTとの間でワークの一部を加圧するように構成されている。加圧ジグ31は、支持面STAと第3方向Zに対向する窓部31Aを有している。窓部31Aは、例えば透明な材料で形成され、レーザー光を透過する。なお、窓部31Aは形成されていなくてもよく、窓部31Aの部分が開口であってもよい。
【0029】
固定ジグ41は、ワークの周縁部を加圧してステージSTとの間でワークを固定するように構成されている。固定ジグ41は、ステージSTと重なる位置に開口OP1を有している。
【0030】
レーザー装置60は、第1レーザー光源LS1、第2レーザー光源LS2、光学系OS、及び、レーザーヘッド60Aを備えている。第1レーザー光源LS1は、第1レーザー光LZ1を出射する。第2レーザー光源LS2は、第2レーザー光LZ2を出射する(
図8及び
図9参照)。光学系OSは、例えば、第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2の光路を調整するミラーなどを有している。レーザー装置60は、レーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射する。
【0031】
駆動部DRは、固定ジグ41の駆動を制御する第1駆動部DR1、加圧ジグ31の駆動を制御する第2駆動部DR2、及び、レーザー装置60の駆動を制御する第3駆動部DR3を備えている。第1駆動部DR1は、固定ジグ41を支持面STAに対して垂直方向Vに移動させる。ここで垂直方向Vは、第3方向Zと平行な方向である。第2駆動部DR2は、加圧ジグ31を、支持面STAに対して水平方向H、及び、支持面STAに対して垂直方向Vに移動させる。ここで水平方向Hは、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面と平行な方向である。加圧ジグ31は、水平方向Hの移動については、固定ジグ41の内側で移動可能である。換言すると、加圧ジグ31は、固定ジグ41の開口OP1と重なる位置で移動可能である。第3駆動部DR3は、レーザー装置60から第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射させる。また、第3駆動部DR3は、例えば、レーザーヘッド60Aを、加圧ジグ31の移動に応じて移動させる。
【0032】
次に、
図5乃至
図10を参照して、第1実施形態に係る実装装置100を用いて発光素子LEDを回路基板CBに実装する実装方法について説明する。
【0033】
図5は、第1実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。第1工程は、ステージST上にワークWKを載置する工程を示している。なお、回路基板CBの端子部11及び接合部材12と、ウエハWFの発光素子LEDとはそれぞれ簡略化した一層として図示している。
回路基板CB及びウエハWFが重なって構成されたワークWKをステージSTの支持面STA上に載置する。回路基板CB及びウエハWFは、絶縁基板10の第1主面10Aと、サファイア基板20の第1主面20Aとが対向するように重ねられている。絶縁基板10の第2主面10Bは、支持面STAに接している。サファイア基板20の第2主面20Bは、固定ジグ41と対向している。また、ワークWKをステージST上に載置する際には、回路基板CBとウエハWFとの位置合わせが行われる。
【0034】
本実施形態では、回路基板CBとウエハWFの少なくとも一方に反りが生じた場合を想定している。すなわち、回路基板CBとウエハWFとの間には、部分的に隙間GPが生じている。図示した例では、隙間GPは、ワークWKの周縁部CAに行くほど増大している。一方、ワークWKの中央部MAにおいては、回路基板CBとウエハWFとは接している。
【0035】
図6は、第1実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。第2工程は、ステージST上のワークWKを固定ジグ41で固定する工程を示している。
第1駆動部DR1は、固定ジグ41をステージST側へ垂直方向Vに移動させる。固定ジグ41は、ワークWKの周縁部CAを加圧してステージSTとの間でワークWKを固定する。これにより、回路基板CBとウエハWFとが位置合わせされた状態でワークWKが固定される。固定ジグ41は、サファイア基板20の第2主面20Bに接している。
【0036】
ワークWKの周縁部CAが固定ジグ41で加圧されたことによって、回路基板CBとウエハWFとの間の隙間GPは、ワークWKの中央部MAに行くほど増大している。また、回路基板CBとウエハWFとは、周縁部CAで接している。
【0037】
なお、図示した例では、第1工程から既に加圧ジグ31が開口OP1と重なる位置に配置されていたが、加圧ジグ31は、ワークWKが配置される前には、開口OP1と重なる位置に配置されていなくてもよい。その場合、第1工程もしくは第2工程の後に開口OP1と重なる位置に加圧ジグ31が配置される。すなわち、加圧ジグ31がワークWKの上に配置される。
【0038】
図7は、第1実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。第3工程は、加圧ジグ31によって、ワークWKをステージST側に加圧する工程を示している。
第2駆動部DR2は、加圧ジグ31をステージST側へ垂直方向Vに移動させる。加圧ジグ31は、ウエハWFの一部を回路基板CB側に加圧する。すなわち、加圧ジグ31は、ワークWKに局所的に圧力を印加して、加圧ジグ31と重なる位置において、回路基板CBとウエハWFとを密着させる。加圧ジグ31と重なる位置においては、ワークWKに生じている反りが平坦化される。さらに、加圧ジグ31と重なる位置においては、回路基板CBの端子部11とウエハWFの端子部22とが平面視において重畳した状態で固定されている。窓部31Aは、サファイア基板20の第2主面20Bに接している。回路基板CBとウエハWFとの間の隙間GPは、加圧ジグ31によって加圧された部分と、周縁部CAとの間で生じている。
【0039】
図8は、第1実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。第4工程は、第1レーザー光LZ1をワークWKに照射する工程を示している。
第3駆動部DR3は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ31の窓部31Aを通して第1レーザー光LZ1をワークWKに照射し、発光素子LEDを回路基板CBに接合する。すなわち、レーザーアブレーションにより接合部材12を加熱・溶融させることで、加圧ジグ31と重なる位置において、回路基板CBの端子部11と、ウエハWFの端子部22とが接合される。第1レーザー光LZ1の波長帯は、400nm~3000nmである。
【0040】
図9は、第1実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。第5工程は、第2レーザー光LZ2をワークWKに照射する工程を示している。
第3駆動部DR3は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第2レーザー光LZ2を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ31の窓部31Aを通して第2レーザー光LZ2をワークWKに照射し、ウエハWFから発光素子LEDを剥離する。すなわち、発光素子LEDをサファイア基板20に固着している図示しない剥離層はレーザーアブレーションにより昇華し、発光素子LEDは加圧ジグ31と重なる位置においてサファイア基板20から剥離される。第2レーザー光LZ2は、第1レーザー光LZ1とは異なる波長帯を有している。第2レーザー光LZ2の波長帯は、200nm~366nmである。
【0041】
図10は、第1実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。第6工程は、加圧ジグ31を移動させる工程を示している。
第2駆動部DR2は、加圧ジグ31を垂直方向Vに移動させてワークWKから離間させる。つまり、加圧ジグ31は、ステージSTから離間する側に、垂直方向Vに移動する。加圧ジグ31がワークWKから離間したことで、回路基板CB及びウエハWFの反りの状態が
図6に示した状態に戻る。第5工程において第2レーザー光LZ2が照射された領域は、発光素子LEDがサファイア基板20から離間している。そして、第2駆動部DR2は、加圧ジグ31を水平方向Hに移動させる。つまり、加圧ジグ31は、固定ジグ41の開口OP1と重なる領域のうち、発光素子LEDの接合・剥離を行っていない領域に移動する。そして、上記の第3乃至第6工程が繰り返し行われ、回路基板CBの所望の領域に発光素子LEDが実装される。
【0042】
なお、ワークWKと加圧ジグ31の位置関係は、相対的に水平方向Hに移動していればよく、加圧ジグ31が固定された状態で、ステージSTや固定ジグ41が移動してもよい。また、加圧ジグ31が水平方向Hに移動する際に、レーザーヘッド60Aが加圧ジグ31の移動に応じて移動してもよい。
【0043】
本実施形態によれば、加圧ジグ31とステージSTとの間に回路基板CBとウエハWFとを挟み込むように圧力をかけて、加圧ジグ31と重なる位置で回路基板CBとウエハWFとを固定する。このため、回路基板CB及びウエハWFの少なくとも一方に反りが生じていたとしても、加圧ジグ31と重なる位置で反りが平坦化され、発光素子LEDの接合不良や位置ずれが生じるのを抑制することができる。よって、ワークWKの反りの影響を抑制して、発光素子LEDを実装することができる。また、ワークWKの全面に加圧して反りを平坦化する方法と比べて、ワークWKのサイズが拡大したとしても必要な荷重が増大せず、ワークWKへの負荷が増大しない。
また、回路基板CBとウエハWFとは、固定ジグ41により固定されているため、加圧ジグ31によって圧力をかけた際に一方が滑るなどして発生し得る位置ずれが抑制される。
【0044】
図11は、第1実施形態に係る固定ジグ41を示す平面図である。
図11(a)は、固定ジグ41、ステージST、加圧ジグ31を示している。固定ジグ41は、平面視で円環状である。そのため、固定ジグ41の開口OP1の外形は円状である。また、ステージSTは、平面視で矩形状である。加圧ジグ31は、平面視で円環状である。加圧ジグ31の面積は、開口OP1の面積よりも小さい。
【0045】
図11(b)は、
図11(a)に回路基板CB及びウエハWFを配置した図である。回路基板CB及びウエハWFのそれぞれの外形は点線で示されている。ウエハWFの外形は、円状である。つまり、ウエハWFのサファイア基板20の外形は、円状である。また、回路基板CBの外形は、矩形状である。つまり、回路基板CBの絶縁基板10の外形は、矩形状である。図示した例では、ウエハWFの面積より回路基板CBの面積が大きく形成され、回路基板CBは、ウエハWFの外形より外側に延出している。固定ジグ41は、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を加圧するため、回路基板CBよりサイズが小さいウエハWFの外縁部を加圧可能な形状となっている。
【0046】
なお、図示した例では、一枚の回路基板CBに対して一枚のウエハWFを用いているが、例えば、回路基板CBの面積がウエハWFの複数枚分の面積に相当する場合、ウエハWFを交換しながら発光素子LEDの実装が行われる。また、加圧ジグ31が移動する方向は、時計周り、もしくは反時計回りであってもよいし、第1方向Xに平行な方向、もしくは第2方向Yに平行な方向であってもよい。また、固定ジグ41、ステージST、加圧ジグ31、回路基板CB、ウエハWFの平面的な形状は上記した例に限らない。
【0047】
図12は、第1実施形態に係る固定ジグ41の変形例を示す平面図である。
図12に示す構成は、
図11に示した構成と比較して、固定ジグ41の形状が異なっている。
図12(a)は、固定ジグ41、ステージST、加圧ジグ31を示している。固定ジグ41は、第1部分41A、第2部分41B、第3部分41C、第4部分41Dを有している。第1部分41A及び第2部分41Bは、第2方向Yに延出している。第3部分41C及び第4部分41Dは、第1方向Xに延出している。第1部分41A、第2部分41B、第3部分41C、第4部分41Dは、平面視で矩形状である。
【0048】
図12(b)は、
図12(a)に回路基板CB及びウエハWFを配置した図である。回路基板CB及びウエハWFのそれぞれの外形は点線で示されている。図示した例では、回路基板CBの面積よりウエハWFの面積が大きく形成され、ウエハWFは、回路基板CBの外形より外側に延出している。固定ジグ41は、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を加圧するため、ウエハWFよりサイズが小さい回路基板CBの外縁部を加圧可能な形状となっている。
【0049】
[第2実施形態]
次に、
図13を参照して、第2実施形態に係る実装装置100の構成について説明する。第2実施形態の実装装置100は、第1実施形態の実装装置100と比較して、加圧ジグ31に加えて加圧ジグ32を備えている点で相違している。また、第2実施形態の実装装置100は、ステージSTを備えておらず、固定ジグ41に加えて固定ジグ42を備えている。
【0050】
図13は、第2実施形態に係る実装装置100の構成を概略的に示す断面図である。
実装装置100は、加圧ジグ31及び32、固定ジグ41及び42、レーザー装置60、及び、駆動部DRを備えている。なお、レーザー装置60の構成については、第1実施形態において示したレーザー装置60と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
加圧ジグ31及び32は、互いに第3方向Zに対向している。加圧ジグ31は、加圧ジグ32との間でワークの一部を挟持するように構成されている。加圧ジグ31は、加圧ジグ32と第3方向Zに対向する窓部31Aを有している。窓部31Aは、例えば透明な材料で形成され、レーザー光を透過する。なお、窓部31Aは形成されていなくてもよく、窓部31Aの部分が開口であってもよい。
【0052】
固定ジグ41及び42は、互いに第3方向Zに対向している。固定ジグ41及び42は、ワークの周縁部を挟持してワークを固定するように構成されている。固定ジグ41は、開口OP1を有し、固定ジグ42は、開口OP1と重なる領域に開口OP2を有している。
【0053】
駆動部DRは、固定ジグ41の駆動を制御する第1駆動部DR1、加圧ジグ31及び32の駆動を制御する第2駆動部DR2、及び、レーザー装置60の駆動を制御する第3駆動部DR3を備えている。第1駆動部DR1は、固定ジグ41を垂直方向Vに移動させる。第2駆動部DR2は、加圧ジグ31及び32を、水平方向H、及び、垂直方向Vに移動させる。加圧ジグ31は、水平方向Hの移動については、固定ジグ41の内側で移動可能である。換言すると、加圧ジグ31は、固定ジグ41の開口OP1と重なる位置で移動可能である。また、加圧ジグ32は、水平方向Hの移動については、固定ジグ42の内側で移動可能である。換言すると、加圧ジグ32は、固定ジグ42の開口OP2と重なる位置で移動可能である。第3駆動部DR3は、レーザー装置60から第1レーザー光及び第2レーザー光を出射させる。また、第3駆動部DR3は、例えば、レーザーヘッド60Aを、加圧ジグ31及び32の移動に応じて移動させる。
【0054】
次に、
図14乃至
図19を参照して、第2実施形態に係る実装装置100を用いて発光素子LEDを回路基板CBに実装する実装方法について説明する。
【0055】
図14は、第2実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。第1工程は、固定ジグ42上にワークWKを載置する工程を示している。
回路基板CB及びウエハWFが重なって構成されたワークWKを固定ジグ42上に載置する。回路基板CB及びウエハWFは、絶縁基板10の第1主面10Aと、サファイア基板20の第1主面20Aとが対向するように重ねられている。絶縁基板10の第2主面10Bは、固定ジグ42に接している。サファイア基板20の第2主面20Bは、固定ジグ41と対向している。また、ワークWKを固定ジグ42上に載置する際には、回路基板CBとウエハWFとの位置合わせが行われる。
【0056】
本実施形態では、回路基板CBとウエハWFの少なくとも一方に反りが生じた場合を想定している。すなわち、回路基板CBとウエハWFとの間には、部分的に隙間GPが生じている。図示した例では、隙間GPは、ワークWKの周縁部CAに行くほど増大している。一方、ワークWKの中央部MAにおいては、回路基板CBとウエハWFとは接している。
【0057】
図15は、第2実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。第2工程は、ワークWKを固定ジグ41及び42で固定する工程を示している。
第1駆動部DR1は、固定ジグ41を固定ジグ42側へ垂直方向Vに移動させる。固定ジグ41と固定ジグ42とは、ワークWKの周縁部CAを挟持してワークWKを固定する。これにより、回路基板CBとウエハWFとが位置合わせされた状態でワークWKが固定される。固定ジグ41は、サファイア基板20の第2主面20Bに接している。
【0058】
ワークWKの周縁部CAが固定ジグ41及び42で加圧されたことによって、回路基板CBとウエハWFとの間の隙間GPは、ワークWKの中央部MAに行くほど増大している。また、回路基板CBとウエハWFとは、周縁部CAで接している。
【0059】
なお、図示した例では、第1工程から既に加圧ジグ31及び32が開口OP1及びOP2と重なる位置に配置されていたが、加圧ジグ31及び32は、ワークWKが配置される前には、開口OP1及びOP2と重なる位置に配置されていなくてもよい。その場合、第1工程もしくは第2工程の後に開口OP1及びOP2と重なる位置に加圧ジグ31及び32が配置される。すなわち、加圧ジグ31がワークWKの上に配置され、加圧ジグ32がワークWKの下に配置される。
【0060】
図16は、第2実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。第3工程は、加圧ジグ31及び32によって、ワークWKを加圧する工程を示している。
第2駆動部DR2は、加圧ジグ31を加圧ジグ32側へ垂直方向Vに移動させ、加圧ジグ32を加圧ジグ31側へ垂直方向Vに移動させる。加圧ジグ31は、ウエハWFの一部を回路基板CB側に加圧し、加圧ジグ32は、回路基板CBの一部をウエハWF側に加圧する。加圧ジグ31及び32は、両者の間でワークWKの一部を挟持する。すなわち、加圧ジグ31及び32は、ワークWKに局所的に圧力を印加して、加圧ジグ31及び32と重なる位置において、回路基板CBとウエハWFとを密着させる。加圧ジグ31及び32と重なる位置においては、ワークWKに生じている反りが平坦化される。さらに、加圧ジグ31及び32と重なる位置においては、回路基板CBの端子部11とウエハWFの端子部22とが平面視において重畳した状態で固定されている。窓部31Aは、サファイア基板20の第2主面20Bに接している。加圧ジグ32は、絶縁基板10の第2主面10Bに接している。回路基板CBとウエハWFとの間の隙間GPは、加圧ジグ31及び32によって加圧された部分と、周縁部CAとの間で生じている。
【0061】
図17は、第2実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。第4工程は、第1レーザー光LZ1をワークWKに照射する工程を示している。
第3駆動部DR3は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ31の窓部31Aを通して第1レーザー光LZ1をワークWKに照射し、発光素子LEDを回路基板CBに接合する。すなわち、レーザーアブレーションにより接合部材12を加熱・溶融させることで、加圧ジグ31及び32と重なる位置において、回路基板CBの端子部11と、ウエハWFの端子部22とが接合される。第1レーザー光LZ1の波長帯は、400nm~3000nmである。
【0062】
図18は、第2実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。第5工程は、第2レーザー光LZ2をワークWKに照射する工程を示している。
第3駆動部DR3は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第2レーザー光LZ2を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ31の窓部31Aを通して第2レーザー光LZ2をワークWKに照射し、ウエハWFから発光素子LEDを剥離する。すなわち、発光素子LEDをサファイア基板20に固着している図示しない剥離層はレーザーアブレーションにより昇華し、発光素子LEDは加圧ジグ31及び32と重なる位置においてサファイア基板20から剥離される。第2レーザー光LZ2は、第1レーザー光LZ1とは異なる波長帯を有している。第2レーザー光LZ2の波長帯は、200nm~366nmである。
【0063】
図19は、第2実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。第6工程は、加圧ジグ31及び32を移動させる工程を示している。
第2駆動部DR2は、加圧ジグ31及び32を垂直方向Vに移動させてワークWKから離間させる。つまり、加圧ジグ31は、加圧ジグ32から離間する側に垂直方向Vに移動し、加圧ジグ32は、加圧ジグ31から離間する側に垂直方向Vに移動する。加圧ジグ31及び32がワークWKから離間したことで、回路基板CB及びウエハWFの反りの状態が
図15に示した状態に戻る。第5工程において第2レーザー光LZ2が照射された領域は、発光素子LEDがサファイア基板20から離間している。そして、第2駆動部DR2は、加圧ジグ31及び32を水平方向Hに移動させる。つまり、加圧ジグ31は、固定ジグ41の開口OP1と重なる領域のうち、発光素子LEDの接合・剥離を行っていない領域に移動し、加圧ジグ32は、加圧ジグ31の移動に伴って同様の位置に移動する。そして、上記の第3乃至第6工程が繰り返し行われ、回路基板CBの所望の領域に発光素子LEDが実装される。
【0064】
なお、ワークWKと加圧ジグ31及び32の位置関係は、相対的に水平方向Hに移動していればよく、加圧ジグ31及び32が固定された状態で、固定ジグ41及び42が移動してもよい。また、加圧ジグ31及び32が水平方向Hに移動する際に、レーザーヘッド60Aが加圧ジグ31及び32の移動に応じて移動してもよい。
【0065】
図20は、第2実施形態に係る固定ジグ41及び42を示す平面図である。
図20(a)は、固定ジグ41及び42、加圧ジグ31及び32を示している。固定ジグ41及び42は、平面視で円環状である。そのため、固定ジグ41の開口OP1及び固定ジグ42の開口OP2の外形は円状である。加圧ジグ31は、平面視で円環状であり、加圧ジグ32は、平面視で円状である。加圧ジグ31及び32の面積は、開口OP1及びOP2の面積よりも小さい。
【0066】
図20(b)は、
図20(a)に回路基板CB及びウエハWFを配置した図である。回路基板CB及びウエハWFのそれぞれの外形は点線で示されている。ウエハWFの外形は、円状である。また、回路基板CBの外形は、矩形状である。図示した例では、ウエハWFの面積より回路基板CBの面積が大きく形成され、回路基板CBは、ウエハWFの外形より外側に延出している。固定ジグ41及び42は、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を加圧するため、回路基板CBよりサイズが小さいウエハWFの外縁部を加圧可能な形状となっている。
【0067】
図21は、第2実施形態に係る固定ジグ41及び42の変形例を示す平面図である。
図21に示す構成は、
図20に示した構成と比較して、固定ジグ41及び42の形状が異なっている。
図21(a)は、固定ジグ41及び42、加圧ジグ31及び32を示している。固定ジグ41は、第1部分41A、第2部分41B、第3部分41C、第4部分41Dを有している。第1部分41A及び第2部分41Bは、第2方向Yに延出している。第3部分41C及び第4部分41Dは、第1方向Xに延出している。第1部分41A、第2部分41B、第3部分41C、第4部分41Dは、平面視で矩形状である。
また、固定ジグ42は、第1部分42A、第2部分42B、第3部分42C、第4部分42Dを有している。第1部分42A及び第2部分42Bは、第2方向Yに延出している。第3部分42C及び第4部分42Dは、第1方向Xに延出している。第1部分42A、第2部分42B、第3部分42C、第4部分42Dは、平面視で矩形状である。
第1部分41A及び42Aは、互いに重なっている。第2部分41B及び42Bは、互いに重なっている。第3部分41C及び42Cは、互いに重なっている。第4部分41D及び42Dは、互いに重なっている。
【0068】
図21(b)は、
図21(a)に回路基板CB及びウエハWFを配置した図である。回路基板CB及びウエハWFのそれぞれの外形は点線で示されている。図示した例では、回路基板CBの面積よりウエハWFの面積が大きく形成され、ウエハWFは、回路基板CBの外形より外側に延出している。固定ジグ41及び42は、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を加圧するため、ウエハWFよりサイズが小さい回路基板CBの外縁部を加圧可能な形状となっている。
以上の第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、
図22及び
図23を参照して、第3実施形態に係る実装装置100及びワークWKの構成について説明する。第3実施形態の実装装置100は、第1実施形態の実装装置100と比較して、固定ジグ41を備えていない点で相違している。
【0070】
図22は、第3実施形態に係る実装装置100の構成を概略的に示す断面図である。
実装装置100は、加圧ジグ31、ステージST、レーザー装置60、及び、駆動部DRを備えている。なお、加圧ジグ31、ステージST、レーザー装置60の構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、第3実施形態の実装装置100は、固定ジグ41を備えていないため、駆動部DRは、第1駆動部DR1を有していない。
【0071】
回路基板CBとウエハWFとは、位置合わせされた状態で、周縁部CAにおいて互いに接着層ADによって仮固定されている。ワークWKの周縁部CAが仮固定されたことによって、回路基板CBとウエハWFとの間の隙間GPは、ワークWKの中央部MAに行くほど増大している。
【0072】
図23は、第3実施形態に係るワークWKの接着層ADを示す平面図である。
図23(a)及び
図23(b)は、接着層AD、ステージST、加圧ジグ31を示している。また、回路基板CB及びウエハWFのそれぞれの外形が点線で示されている。
図23(a)に示すように、接着層ADは、平面視で円環状である。加圧ジグ31は、接着層ADの内側を移動する。図示した例では、ウエハWFの面積より回路基板CBの面積が大きく形成され、回路基板CBは、ウエハWFの外形より外側に延出している。接着層ADは、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を仮固定するため、回路基板CBよりサイズが小さいウエハWFの外縁部に合わせた形状となっている。
【0073】
図23(b)に示すように、接着層ADは、平面視で矩形枠状である。加圧ジグ31は、接着層ADの内側を移動する。図示した例では、回路基板CBの面積よりウエハWFの面積が大きく形成され、ウエハWFは、回路基板CBの外形より外側に延出している。接着層ADは、回路基板CB及びウエハWFの両方が重なる位置を仮固定するため、ウエハWFよりサイズが小さい回路基板CBの外縁部に合わせた形状となっている。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、ウエハ及び回路基板の反りの影響を抑制し、電子部品を回路基板に実装することが可能な電子部品の実装装置、及び、電子部品の実装方法を得ることができる。なお、本実施形態においては、回路基板に対する発光素子の実装装置及び実装方法について説明したが、本実施形態は、発光素子以外の電子部品を回路基板に対して実装する実装装置及び実装方法についても適用可能である。
【0075】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
100…実装装置、LED…発光素子(電子部品)、
ST…ステージ、STA…支持面、WK…ワーク、CA…周縁部、
31、32…加圧ジグ、41、42…固定ジグ、
31A…窓部、V…垂直方向、H…水平方向、60…レーザー装置、
LS1…第1レーザー光源、LS2…第2レーザー光源、
LZ1…第1レーザー光、LZ2…第2レーザー光、
CB…回路基板、WF…ウエハ。