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特開2022-72654車両捕捉装置、覆蓋部材、及び、車両捕捉方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072654
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】車両捕捉装置、覆蓋部材、及び、車両捕捉方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/12 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
E01F13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182215
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】有田 毅
(72)【発明者】
【氏名】檜 弥生
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA01
2D101CA13
2D101CB07
2D101EA01
2D101FA11
2D101FA33
2D101GA17
2D101HA03
(57)【要約】
【課題】地中の所定の深さに埋設物があるような場合においても施工可能な、車両を捕捉するための車両捕捉装置の提供。
【解決手段】車両Cを捕捉するための装置であって、車両Cを脱輪させる脱輪スペース12と、脱輪スペース12を覆う覆蓋部材11と、車両Cの進入時に、車両Cと接触し、これによって生じるエネルギーに基づいて、覆蓋部材11を脱輪スペース12に落下させる支柱13と、を備えることにより、車輪Cを脱輪させることで車両Cを捕捉する車両捕捉装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を捕捉するための装置であって、
車両を脱輪させる脱輪スペースと、
前記脱輪スペースを覆いつつ、車両の進入時には車輪を前記脱輪スペースに落下させる覆蓋部材と、
を備えることを特徴とする車両捕捉装置。
【請求項2】
所定重量を超える荷重がかかった際に、前記覆蓋部材が前記脱輪スペース内に落下するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両捕捉装置。
【請求項3】
所定重量を超える荷重がかかった際に、前記覆蓋部材又はこれを支持する支持部が破損することで、前記覆蓋部材が前記脱輪スペース内に落下するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両捕捉装置。
【請求項4】
前記覆蓋部材又は前記支持部に、応力集中を生じさせる弱部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両捕捉装置。
【請求項5】
車両の進入時に車両と接触するように設けられ、車両との接触時に、前記覆蓋部材を前記脱輪スペース内に落下させるように構成された被衝突部材を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両捕捉装置。
【請求項6】
前記被衝突部材が、車両と接触したことによって生じる荷重により、前記覆蓋部材又はこれを支持する支持部を破損させるものであることを特徴とする請求項5に記載の車両捕捉装置。
【請求項7】
前記被衝突部材が、前記覆蓋部材に固定された支柱であることを特徴とする請求項6に記載の車両捕捉装置。
【請求項8】
前記脱輪スペースに充填物が充填されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の車両捕捉装置。
【請求項9】
前記脱輪スペースの深さが50cm以下であることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の車両捕捉装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れかに記載の車両捕捉装置に用いられる覆蓋部材。
【請求項11】
請求項7に記載の車両捕捉装置に用いられる前記支柱が固定された覆蓋部材。
【請求項12】
進入車両を捕捉する車両捕捉方法であって、
車両を脱輪させるための脱輪スペースと、前記脱輪スペースを覆う覆蓋部材とを設け、
車両の進入時には、前記覆蓋部材を前記脱輪スペース内に落下させることにより、車輪を前記脱輪スペースに落下させることを特徴とする車両捕捉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を捕捉するための車両捕捉装置、これに使用される覆蓋部材、及び、車両捕捉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者の安全のために、歩道に沿ってガードレールなどの交通安全施設を設けることが行われている。一方で、交差点等の歩行者の通行が必要な個所(横断歩道と歩道の接続部付近など)においては、ガードレール等の通行を遮断する保護施設は設けることができないため、交通安全施設の設置がされてないケースがある。
交差点における右折車両と直進車両の衝突事故により、進行方向がそれた直進車両が交差点付近の歩道に突っ込んでしまったことによる痛ましい事故も起きており、交差点における交通安全施設の設置が急務となっている。
横断歩道と歩道の接続部付近などにおいては、前述のごとく、ガードレール等の通行を遮断してしまう保護施設を設置することはできないため、ボラードを設けるのが一般的である。特許文献1には、このようなボラードに関連する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5959964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボラードと言ってもその目的は様々であるが、車両の突っ込みを抑制することを目的とするボラードの場合、車両の衝突時に、車両を停止若しくは速度を低減させるだけの強度が必要とされる。
このようなボラードは、ボラード(支柱)自身の強度も必要であるが、ボラードを必要な耐力をもって支えさせるための施工も必要となる。道路や歩道の路面(アスファルト等)の下は通常は“土”の地盤である。地盤でボラードに必要な耐力を持たせるためには、所定の深さでボラードを打設する必要がある。例えば1500mmといった深さが必要になるものである。しかしながら、道路や歩道には、水道管やガス管の他、電線や通信ケーブル等のケーブル類等、埋設物が複雑に存在している場合があり、ボラードを深く打設することが難しい場合がある。
これに対して、浅い深さでボラードに耐力を持たせるため、コンクリート基礎等の基礎工事を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、コンクリートの打設や養生のためにコストや時間がかかるため、“交差点(極めて多数の設置対象)における交通安全施設の設置が急務”という課題に応え得るものにならないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、地中の所定の深さに埋設物があるような場合においても施工可能な、車両を捕捉するための車両捕捉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
車両を捕捉するための装置であって、車両を脱輪させる脱輪スペースと、前記脱輪スペースを覆いつつ、車両の進入時には車輪を前記脱輪スペースに落下させる覆蓋部材と、を備えることを特徴とする車両捕捉装置。
【0007】
(構成2)
所定重量を超える荷重がかかった際に、前記覆蓋部材が前記脱輪スペース内に落下するように構成されていることを特徴とする構成1に記載の車両捕捉装置。
【0008】
(構成3)
所定重量を超える荷重がかかった際に、前記覆蓋部材又はこれを支持する支持部が破損することで、前記覆蓋部材が前記脱輪スペース内に落下するように構成されていることを特徴とする構成2に記載の車両捕捉装置。
【0009】
(構成4)
前記覆蓋部材又は前記支持部に、応力集中を生じさせる弱部が形成されていることを特徴とする構成3に記載の車両捕捉装置。
【0010】
(構成5)
車両の進入時に車両と接触するように設けられ、車両との接触時に、前記覆蓋部材を前記脱輪スペース内に落下させるように構成された被衝突部材を有することを特徴とする構成1から4の何れかに記載の車両捕捉装置。
【0011】
(構成6)
前記被衝突部材が、車両と接触したことによって生じる荷重により、前記覆蓋部材又はこれを支持する支持部を破損させるものであることを特徴とする構成5に記載の車両捕捉装置。
【0012】
(構成7)
前記被衝突部材が、前記覆蓋部材に固定された支柱であることを特徴とする構成6に記載の車両捕捉装置。
【0013】
(構成8)
前記脱輪スペースに充填物が充填されていることを特徴とする構成1から7の何れかに記載の車両捕捉装置。
【0014】
(構成9)
前記脱輪スペースの深さが50cm以下であることを特徴とする構成1から8の何れかに記載の車両捕捉装置。
【0015】
(構成10)
構成1から9の何れかに記載の車両捕捉装置に用いられる覆蓋部材。
【0016】
(構成11)
構成7に記載の車両捕捉装置に用いられる前記支柱が固定された覆蓋部材。
【0017】
(構成12)
進入車両を捕捉する車両捕捉方法であって、車両を脱輪させるための脱輪スペースと、前記脱輪スペースを覆う覆蓋部材とを設け、車両の進入時には、前記覆蓋部材を前記脱輪スペース内に落下させることにより、車輪を前記脱輪スペースに落下させることを特徴とする車両捕捉方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地中の所定の深さに埋設物があるような場合においても施工可能な、車両を捕捉するための車両捕捉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る実施形態1の車両捕捉装置を示す図
図2】覆蓋部材及び支柱の別を示す図
図3】実施形態2の車両捕捉装置を示す図
図4】実施形態2の車両捕捉装置の機能を説明する図
図5】実施形態3の車両捕捉装置を示す図
図6】実施形態3の車両捕捉装置の機能を説明する図
図7】実施形態4の車両捕捉装置を示す図
図8】車両捕捉装置の別の例を示す図
図9】落石捕捉装置の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0021】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の車両捕捉装置を示す図である。
車両捕捉装置1は、交差点等における横断歩道と歩道の接続部付近、即ち、歩行者の車道への通行が必要な個所等に設けられ、車両が歩道に進入(若しくは侵入)しそうになった際に、車両を捕捉する(車両を停止若しくは車両エネルギーを減衰させる)ための装置である。図1においては、図の左が歩道側、右が車道側となる。車道側から歩道側へと車両が進入することを防止するものであり、以下、車道側から歩道側へと向かう方向(図1の右から左へ向かう方向)を、車両進入方向といい、歩道若しくは車道に沿った方向を進行方向という。なお、進行方向は、“歩道若しくは車道に沿った方向”であり、必ずしも直線的なものではない。
【0022】
図1に示されるように、車両捕捉装置1は、
車両Cを脱輪させる脱輪スペース12と、
脱輪スペース12を覆いつつ、車両Cの進入時には車輪を脱輪スペース12に落下させる覆蓋部材11と、を備えている。
また、車両Cの進入時に車両Cと接触するように設けられ、車両Cとの接触時に、覆蓋部材11を脱輪スペース内12に落下させるように構成された被衝突部材であり、車両Cと接触したことによって生じる荷重により、覆蓋部材11を破損させる支柱(被衝突部材)13を備えている。
【0023】
脱輪スペース12は、少なくとも車輪が脱輪し得るだけの大きさを持って形成される。本実施形態における脱輪スペース12は、その幅(車両進入方向)が1m、深さが50cmで、これが進行方向に沿うようにして必要な範囲で設けられる。
道路近辺における水道管やガス管、電線や通信ケーブル等のケーブル類といった埋設物は、通常50cmより深く埋設されているため、脱輪スペースの深さを50cm以下とすることにより、車両捕捉装置1の設置の際に、埋設物を破損させる等の恐れを低減することができる。
【0024】
覆蓋部材11は、脱輪スペース12の上部を、路面RSとほぼ同一面となるように覆う部材であり、人や自転車、各種の車両等がその上に乗っただけでは落下しないような耐荷重を有して形成、設置される。
覆蓋部材11には、支柱(被衝突部材)13が固定されており、支柱13が倒されると、覆蓋部材11が破壊されるように構成されている。支柱13は、1m間隔で、進行方向に沿うように(図1の紙面の奥行方向に)複数本並んで設置される。各支柱の間隔は、歩行者等の通行を妨げない一方、車両は通り抜けられない間隔で配置されるものであればよい。
【0025】
図1(a)は、車両Cの進入前の状態、図1(b)は、進入してきた車両Cを車両捕捉装置1が捕捉した状態を示す模式図である。
支柱13は、車両が通り抜けられない間隔で、覆蓋部材11に固定されているため、車両が進入してきた際には必ず支柱13に接触することになる。
支柱13は、覆蓋部材11に対して固定されており、支柱13が倒されると、覆蓋部材11が破壊されるように構成されているため、車両Cが支柱13にぶつかることで、支柱13が倒れ、覆蓋部材11が破損し、脱輪スペース12内に落下する。これにより、図1(b)に示されるように、車両Cが脱輪して、車両捕捉装置1に捕捉される(車両が停止若しくは車両エネルギーが減衰される)ものである。
【0026】
以上のごとく、本実施形態の車両捕捉装置1によれば、地中に水道管やガス管、電線や通信ケーブル等のケーブル類といった埋設物があるような場合においてもこれらの埋設物に影響を与えずに施工することが可能である。また、車両捕捉装置1の施工は、比較的低コストで、且つ、短い工期で実施することが可能であるため、“交差点(極めて多数の設置対象)における交通安全施設の設置が急務”という課題に応え得るものである。
【0027】
なお、ここでは支柱(被衝突部材)が1列に並んで配置されるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、支柱が2列以上配置されるようなものや、千鳥配置のような配置としてもよい。
また、支柱が覆蓋部材の上側のみに配されるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、支柱が覆蓋部材を貫通して配されるようなものであってもよい。
また、車両が支柱にぶつかった際の覆蓋部材の落下(破損)をより確実なものとするために、覆蓋部材に、応力集中を生じさせる弱部を形成してもよい。図2にはこのようなものの一例を示した。図2の覆蓋部材11Aは、その裏面側に弱部としての凹部111が形成されている。図2の例のように、弱部は支柱との接続部付近に形成することが好ましい。
弱部としては、図2の例のように厚さが薄くなる部分を設けるものや覆蓋部材に断続的に穴を形成するもの(切り取り線のようなもの)等の、形状的な弱部を設けるものや、覆蓋部材の一部に脆い材質を用いる等の、材料的な弱部を設けるもの等、任意の形成方法を用いることができる。
【0028】
<実施形態2>
図3は、実施形態2の車両捕捉装置を示す図であり、図4は、同車両捕捉装置の覆蓋部材等の機能を説明する図である。
本実施形態の車両捕捉装置1Bは、実施形態1と同様に、脱輪スペース12Bを有し、これを覆う覆蓋部材11Bを有するものである。脱輪スペース12Bに関しては実施形態1と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0029】
図3(a)は、車両捕捉装置1Bの上面図であり、図3(b)、図3(c)は、それぞれ、図3(a)のA-A線、B-B線に沿った断面図である。
本実施形態の覆蓋部材11Bは、上面視で1m×1mの正方形の形状を有しており、設置の際にはこれが連続的に設けられる。即ち、図3(a)の上下方向に並べて設けられるものである。覆蓋部材11Bが並べて設けられることにより、支柱13Bが1m間隔で設けられることになる。
覆蓋部材11Bは、2枚の板部材からなっており、これが、車両進入方向の略中央部分において進行方向(の接線)に沿う軸112によって接続されている。
覆蓋部材11Bを構成する2枚の板部材は、両者が対向する箇所の上面側に切欠き部115を有している(図3(c)参照)。切欠き部115は、軸112の上部に、軸112に沿って形成される。
覆蓋部材11Bは、軸112においてヒンジ構造を有し、下に折れ曲がることができるものである。
なお、覆蓋部材11Bが、脱輪スペース12Bの上部を、路面RSとほぼ同一面となるように覆う部材であり、人や自転車、各種の車両等がその上に乗っただけでは落下しないような耐荷重を有して形成、設置される点は、実施形態1と同様である。
【0030】
支柱13Bは、側面視においてL字状の形状を有しており、L字の底面部である支持部13B1は、図3(b)からも理解されるように、車両進入方向の寸法が、覆蓋部材11Bの切欠き部115に嵌り込むように形成される。
支持部13B1の先端側は、軸113によって覆蓋部材11Bに軸支され、これによって、支柱13Bは覆蓋部材11Bに対して回動可能に取り付けられる。
支柱13Bが設けられる箇所以外の切欠き部115には、切欠き部115を覆う蓋114が設けられる。蓋114は例えば樹脂で形成され、上部に人が乗った程度では破損しない強度にて構成されている。
【0031】
図4は本実施形態の車両捕捉装置1Bの機能を説明する図である。
覆蓋部材11Bは、上述のごとく、軸112においてヒンジ構造を有し、折れ曲り可能な部材であるが、支柱13Bの支持部13B1が切欠き部115に嵌りこんでいることにより、図4(a)の状態においては、覆蓋部材11Bは下側に折れ曲がらない。即ち、支持部13B1は、覆蓋部材11Bが折れ曲がらない(≒落下しない)ように支持する支持部である。
進入してきた車両が、支柱13Bに接触すると、図4(b)に示されるように、支柱13Bが倒されることにより、支持部13B1が切欠き部115から外れる。これにより、覆蓋部材11Bが折れ曲がり、脱輪スペース内に落下する(図4(c))。なお、この際、蓋114は破損する(又は外れる)ことにより、覆蓋部材11Bの折れ曲りに対する障害にはならない。
これにより、車両が脱輪して、車両捕捉装置1Bに捕捉される(車両が停止若しくは車両エネルギーが減衰される)ものである。
【0032】
以上のごとく、本実施形態の車両捕捉装置1Bによれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、車両捕捉装置1Bは破損することを想定したものではないため、再利用をすることが可能となる。支柱13Bについても、損傷をしなければ再利用が可能であるし、支柱13B部分を取り換え可能な構成としておくことにより、支柱13Bが損傷した場合にはこの部分だけを交換することができるため、維持費用の低減が可能である。
【0033】
<実施形態3>
図5は、実施形態3の車両捕捉装置を示す図であり、図6は、同車両捕捉装置の覆蓋部材等の機能を説明する図である。
図5(a)は、車両捕捉装置1Cの上面図であり、図5(b)、図5(c)は、それぞれ、図5(a)のA-A線、B-B線に沿った断面図である。
本実施形態の覆蓋部材11Cは、上面視で1m×1mの正方形の形状を有した板状の部材であり、設置の際にはこれが連続的に設けられる。即ち、図5(a)の上下方向に並べて設けられるものである。
図5(c)に示されるように、覆蓋部材11Cは、車道側(図右側)の一辺において、下部を支持され、歩道側(図左側)の一辺では下部の支持はされていない。また、図5(a)~図5(c)に示されるように、進行方向の略中央において、車両進入方向に延びる梁部材14によって下部を支持される。
なお、覆蓋部材11Cが、脱輪スペース12Cの上部を、路面RSとほぼ同一面となるように覆う部材であり、人や自転車、各種の車両等がその上に乗っただけでは落下しないような耐荷重を有して形成、設置される点は、実施形態1と同様である。
【0034】
支柱13Cは、覆蓋部材11Cよりも車道側に設けられており、軸部13C1で回動可能に設置される。なお、必ずしも軸支する必要は無く、車両の接触によって支柱13Cが倒された際に、支柱の下端側が車道側へ振れて梁部材14を摺動させるような構成であればよい。
支柱13Cの下端部は、接続部材15によって梁部材14と接続されている。
なお、覆蓋部材11Cが並べて設けられることにより、支柱13Cが1m間隔で設けられることになる点は実施形態2と同様である。
【0035】
梁部材14は、その両端において下部を支持されており、車両進入方向に摺動可能に設置される。なお、車両進入方向の摺動を円滑にするための部材等を備えるようにしてもよい。例えば、覆蓋部材11Cと梁部材14の間や、梁部材14とその両端を支持する支持部との間に、車輪やコロが配されるようにするもの等である。
梁部材14は、覆蓋部材11C及びこの上に車両等が乗っても支持できるような強度を有して形成される。
なお、脱輪スペース12Cに関しては実施形態1と同様の概念であるため、ここでの説明を省略する。
【0036】
図6は本実施形態の車両捕捉装置1Cの機能を説明する図である。
覆蓋部材11Cは、上述のごとく、図6(a)の状態においては、梁部材14によって下端を支持されている。即ち、梁部材14は、覆蓋部材11Cが落下しないように支持する支持部である。
進入してきた車両が、支柱13Cに接触すると、図6(b)に示されるように、支柱13Cが倒されることにより、梁部材14が引っ張られて摺動し、その一端(歩道側)が支持されない状態となる。これにより、梁部材14及び覆蓋部材11Cが脱輪スペース12C内に落下する(図6(c))。
これにより、車両が脱輪して、車両捕捉装置1Cに捕捉される(車両が停止若しくは車両エネルギーが減衰される)ものである。
【0037】
以上のごとく、本実施形態の車両捕捉装置1Cによれば、実施形態1や実施形態2と同様の効果を得ることができるものである。
【0038】
<実施形態4>
図7は、実施形態4の車両捕捉装置を示す図である。
本実施形態の車両捕捉装置1Dは、実施形態1と同様に、脱輪スペース12Dを有し、これを覆う覆蓋部材11Dを有するものであるが、覆蓋部材11Dを破損させるための支柱は設けられていない。
覆蓋部材11Dは、所定重量を超える荷重がかかった際に、覆蓋部材11Dが脱輪スペース12D内に落下するように構成されている。本実施形態では、300kg/m以上の荷重がかかると覆蓋部材11Dが破損するように構成されている。即ち、所定重量を超える荷重がかかった際に、覆蓋部材が破損することで脱輪スペース内に落下するものである。
なお、脱輪スペース12Dに関しては実施形態1と同様の概念であるため、ここでの説明を省略する。
【0039】
図7(a)、(b)に示されるように、車両捕捉装置1Dに車両Cが進入してきたことによって、覆蓋部材11Dに300kg/m以上の荷重がかかり、覆蓋部材11Dが破損する。これにより、車両が脱輪して、車両捕捉装置1Dに捕捉される(車両が停止若しくは車両エネルギーが減衰される)ものである。
【0040】
なお、実施形態1や4では、覆蓋部材が破損されるものを例としているが、覆蓋部材ではなく、覆蓋部材を支持する支持部を破損させる若しくは支持が外れるように構成するものであってよい。
例えば、図8(a)、(b)に例示したような覆蓋部材を支持するための支持部14Eや支持部14Fを、所定重量を超える荷重がかかった際に破損するように構成したり、支柱が倒されることによって発生する荷重を利用して、支持部14Eや支持部14Fを破損させる若しくは支持が外れるように構成するもの等であってよい。
【0041】
各実施形態においては、被衝突部材として支柱を例としているが、被衝突部材を支柱に限るものではない。被衝突部材は、進入してきた車両と接触し、これによって生じるエネルギーによって覆蓋部材を脱輪スペース内に落下させるように構成されるものであればよい。ただし、歩行者等の通行は妨げないようにする点を考慮すると、支柱(棒状の部材)であることが好ましい。
【0042】
脱輪スペース内に緩衝材などの充填物を充填するようにしてもよい。例えば砂を充填しておくことにより、捕捉した車両の車両エネルギーをより減衰させつつ、車両に対する衝撃も低減させるものである。
なお、実施形態2や3のように、覆蓋部材が板状のままであると、車両が充填物に接触し難いため、実施形態1や4のように、覆蓋部材が破損するものの方が、充填物を充填する効果を得やすい。同様の観点において、覆蓋部材は、その破壊時に粉砕されるような部材(例えば強化ガラス等)であることがより好ましい。
【0043】
各実施形態では、脱輪スペースの幅(車両進入方向)が1mであるものを例として説明したが本発明をこれに限るものではなく、必要な仕様に基づいて、適宜決定されるものであってよい。例えば、どのような車両(車重や車輪の大きさ等)を対象とし、また、どのような速度領域まで対象とした交通安全施設にするのか等の条件に基づいて、脱輪スペース内の充填物等も考慮した上で、車両エネルギーを所定の値まで減衰させるのに必要な脱輪スペースの幅が定められるものである。脱輪スペースの幅は、想定する車両の車輪の直径よりも大きくすることが好ましい。より詳細には、最低地上高(水平な地上面から車の最も低い所までの垂直距離)の高さにおける車両の進行方向に沿った車輪の長さ(図7におけるL)より、脱輪スペースの幅が大きいことが好ましい(ただし、車輪の中心の高さが最低地上高より低い場合を除く)。
また、各実施形態では、脱輪スペースの深さとして50cmのものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。埋設物の深さがわかっている場合には、その深さより浅い任意の深さで脱輪スペースを形成することができるし、埋設物が無いことがわかっている箇所においては、脱輪スペースの深さを任意の深さとすることができるものである。脱輪スペースの深さは、想定する車両の最低地上高よりも深くすることが好ましい。
また、各実施形態では、支柱の間隔が1mであるものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。支柱の間隔は、車両が通り抜けられない間隔となるものであればよい。
【0044】
なお、上記では車両を捕捉する装置として説明したが、本発明に係る捕捉装置は、進入する移動体を捕捉する捕捉装置として、車両以外の移動体を捕捉するためも使用することができる。
図9には、このようなものの一例として、落石を捕捉するための使用例を示した。
図9の例では、斜面からの落石による被害を防ぐための落石防護柵Fと、斜面との間に捕捉装置2が設けられているものを示している。
捕捉装置2は、実施形態1と同様に、捕捉スペース22を有し、これを覆う覆蓋部材21を有し、捕捉スペース22には緩衝材である砂が充填されている。
落石が覆蓋部材21に当たると、覆蓋部材21と共に捕捉スペース22内の砂に突入することになる。
従前も、落石防護柵Fと斜面の間に砂の層を形成する例は存在しているが、単に、砂の層で落石を受けるものであると、砂の層におけるエネルギーの伝搬範囲は非常に限られたものとなる。即ち、落石が突入した付近のみでしかエネルギーが吸収されないため、砂による緩衝効果があまり大きくならないものである。
これに対し、捕捉装置2では、落石が覆蓋部材21とともに砂に突入することになるため、砂に対してより広い範囲でエネルギーが伝搬し、より高い緩衝効果を得られるものである。この観点においては、覆蓋部材は粉砕されてしまうような部材ではない方が好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1...車両捕捉装置
11...覆蓋部材
111..弱部.
12...脱輪スペース
13...支柱(被衝突部材)
14E、14F...支持部
C...車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9