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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072907
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/26 20060101AFI20220510BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220510BHJP
   A63H 9/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A63F9/26
A63H33/00 Z
A63H9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182604
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】320010549
【氏名又は名称】稲垣 隆幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 隆幸
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA06
2C150BA27
2C150BA31
2C150CA25
(57)【要約】
【課題】観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力を遊びながら養うことができると共に、ユーザの年齢を問うことなく、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる玩具を提供する。
【解決手段】コーン部20にアイスクリーム部10を積み重ねて遊ぶ玩具1であり、アイスクリーム部は、球体の一部が切り欠かれた形状に相当し、切り欠かれた部分に相当する載置部15と、残部である球状部11とを有するものであり、載置部は、ある仮想の球面の一部に当接するようにくぼんでいる窪み部16と、窪み部の周囲の平面部17とからなり、アイスクリーム部として、窪み部の深さ、窪み部における仮想の球面の径、及び、平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上のアイスクリーム部と相違するものを含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイスクリームコーンの形状を模した円錐形のコーン部と、
アイスクリームディッシャーで盛り付けられたアイスクリームの形状を模したアイスクリーム部の複数と、を備え、
前記アイスクリーム部は、球体の一部が切り欠かれた形状に相当し、切り欠かれた部分に相当する載置部と、残部である球状部と、を有するものであり、
前記載置部は、ある仮想の球面の一部に当接するようにくぼんでいる窪み部と、該窪み部の周囲の平面部とからなり、
前記アイスクリーム部として、前記窪み部の深さ、前記窪み部における前記仮想の球面の径、及び、前記平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上の前記アイスクリーム部と相違するものを含む
ことを特徴とする玩具。
【請求項2】
前記アイスクリーム部として、前記窪み部における前記仮想の球面の径が、他の一以上の前記アイスクリーム部の前記球状部の径と同一であるものを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記アイスクリーム部として、前記窪み部における前記仮想の球面の径が、他の一以上の前記アイスクリーム部の前記球状部の径と相違するものを含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の玩具。
【請求項4】
前記アイスクリーム部として、前記球状部の中心を通り前記平面部に直交する球状部中心軸と、前記窪み部における前記仮想の球面の中心を通り前記平面部に直交する窪み部中心軸とが、一致しないものを含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の玩具。
【請求項5】
前記アイスクリーム部の表面には、前記窪み部の深さ、前記窪み部における前記仮想の球面の径、及び、前記平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上の前記アイスクリーム部と相違する種類ごとに、異なる着色が施されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、長年、教員として教育の現場に携わる中で、遊びながら学ぶことの重要性を感じ、手作りの玩具を子供たちに提供して来ている。
【0003】
本発明もそのような過程でなされたものであり、観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力を遊びながら養うことができる玩具を作りたいとの思いから、開発されたものである。
【0004】
また、通常、玩具は対象とするユーザの年齢層が設定されているが、幅広い年齢層の子供たちが、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる玩具を開発したいとの思いもあった。更に、上記のような種々の能力を養うことは、子供だけではなく、認知機能が低下しつつある高齢者など、大人にとっても重要なことであると考える。そのため、いかにも子供専用という玩具ではなく、大人であっても抵抗なく手に取ることができる玩具を提供したいとの思いがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力を遊びながら養うことができると共に、ユーザの年齢を問うことなく、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる玩具の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる玩具は、
「アイスクリームコーンの形状を模した円錐形のコーン部と、
アイスクリームディッシャーで盛り付けられたアイスクリームの形状を模したアイスクリーム部の複数と、を備え、
前記アイスクリーム部は、球体の一部が切り欠かれた形状に相当し、切り欠かれた部分に相当する載置部と、残部である球状部と、を有するものであり、
前記載置部は、ある仮想の球面の一部に当接するようにくぼんでいる窪み部と、該窪み部の周囲の平面部とからなり、
前記アイスクリーム部として、前記窪み部の深さ、前記窪み部における前記仮想の球面の径、及び、前記平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上の前記アイスクリーム部と相違するものを含む」ものである。
【0007】
本構成の玩具は、アイスクリームコーンの形状を模した円錐形のコーン部の上面に、アイスクリームの形状を模したアイスクリーム部を積み重ね、更にそのアイスクリーム部の上に、他のアイスクリーム部を積み重ねて遊ぶ玩具である。アイスクリームコーンにアイスクリームが盛り付けられる菓子は、アイスクリームがらせん状に盛り付けられるソフトクリーム型の菓子と、アイスクリームディッシャーでアイスクリームが球状から半球状の外形をなすように盛り付けられる菓子とに大別されるが、本構成の玩具におけるアイスクリーム部は、アイスクリームディッシャーで盛り付けられるアイスクリームの形状を模したものである。
【0008】
なお、ここで言うアイスクリームディッシャーは、球状から半球状の外形をなす椀状の型にハンドルが取り付けられたものであり、椀状の型に応じた形状のアイスクリームを、アイスクリームコーンに盛り付けることができる器具である。
【0009】
本構成の玩具におけるアイスクリーム部は、球形のアイスクリームをアイスクリームコーンに開口側から盛り付けたときに、アイスクリームコーンの開口から露出している部分のアイスクリームに相当する形状を模している。すなわち、アイスクリーム部は、球体の一部が切り欠かれた形状であり、切り欠かれた部分に相当する部分が「載置部」であり、コーン部の上面、または、下段側のアイスクリーム部の上に載置される部分である。そして、アイスクリーム部において、載置部を除く残部を「球状部」と称している。
【0010】
そして、載置部は、ある仮想の球面の一部に当接するようにくぼんでいる窪み部と、窪み部の周囲の平面部とからなる。平面部は、コーン部の上面に積み重ねられる一段目のアイスクリーム部において、コーン部の上面と当接する部分である。また、窪み部は、二段目以上のアイスクリーム部において、下段側のアイスクリーム部の球状部に重ねられる部分である。
【0011】
コーン部の上面に積み重ねられる一段目のアイスクリーム部については、平面部の面積が大きいほど、コーン部の上面に積み重ねられた状態が安定するため、積み重ねる作業が容易である。一方、二段目以上のアイスクリーム部については、詳細は後述するように、窪み部の深さや、窪み部における仮想の球面の径と下段側のアイスクリーム部の球状部の径との関係により、積み重ねる作業の容易さが異なる。そのため、複数のアイスクリーム部として、窪み部の深さ、窪み部における仮想の球面の径、及び、平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上のアイスクリーム部と相違するものを含む構成とすることにより、積み重ねる作業の容易さのレベルを種々とすることができる。これにより、ユーザの年齢を問うことなく、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる。
【0012】
本構成の玩具では、アイスクリーム部をコーン部の上面に積み重ね、更にそのアイスクリーム部の上に他のアイスクリーム部を積み重ねる作業のためには、個々のアイスクリーム部について、窪み部の深さ、窪み部における仮想の球面の径、及び、平面部の面積を、他のアイスクリーム部と対比するように観察することが必要である。従って、積み重ねて遊ぶ作業を通して、観察力を養うことができる。
【0013】
また、なるべく多数のアイスクリーム部を積み重ねようとすると、コーン部の上面に積み重ねる作業の容易さが相違するアイスクリーム部や、アイスクリーム部同士を積み重ねる作業の容易さが異なる組み合わせを、記憶しておくことが必要である。従って、積み重ねて遊ぶ作業を通して、記憶力を養うことができる。
【0014】
更に、アイスクリーム部に他のアイスクリーム部を積み重ねて行く作業は、本来的に、アイスクリーム部が転がり落ちやすい作業である。そのため、転がり落ちないよう集中することが必要であり、転がり落ちたとしても諦めることなく根気よく繰り返し続ける姿勢も必要である。従って、積み重ねて遊ぶ作業を通して、集中力や粘り強さを養うことができる。
【0015】
加えて、本来的に転がり落ちやすいアイスクリーム部を積み重ねる作業においては、指先を自分の思うように動かすことができる手先の器用さも必要である。また、窪み部の深さや、窪み部における仮想の球面の径が相違することにより、それぞれ形状の異なる個々のアイスクリーム部について、重心がどこに存在するかをイメージできるバランス感覚が必要である。従って、積み重ねて遊ぶ作業を通して、手先の器用さやバランス感覚を養うことができる。
【0016】
本発明にかかる玩具は、上記構成に加え、
「前記アイスクリーム部として、前記窪み部における前記仮想の球面の径が、他の一以上の前記アイスクリーム部の前記球状部の径と同一であるものを含む」ものとすることができる。
【0017】
上段側となるアイスクリーム部の窪み部における仮想の球面の径が、下段側となるアイスクリーム部の球状部の径と同一である場合、二つのアイスクリーム部は面で接触する。面で接触する場合は、接触面積が広いことにより積み重ねた姿勢が安定しやすいため、積み重ねる作業が容易である。従って、かかる条件を備えたアイスクリーム部を含む構成とすることにより、年少の子供や、認知機能の低下が進んだ大人であっても、難易度が高過ぎることなく、達成感を得ながら遊ぶことができる玩具となる。
【0018】
本発明にかかる玩具は、上記構成に加え、
「前記アイスクリーム部として、前記窪み部における前記仮想の球面の径が、他の一以上の前記アイスクリーム部の前記球状部の径と相違するものを含む」ものとすることができる。
【0019】
上段側となるアイスクリーム部の窪み部における仮想の球面の径が、下段側となるアイスクリーム部の球状部の径より小さい場合、二つのアイスクリーム部は、上段側のアイスクリーム部の窪み部における開口縁に沿って線接触する。二つのアイスクリーム部が線接触する場合は、上記のように面で接触する場合に比べて積み重ねた姿勢が安定しにくいため、積み重ねる作業がより困難である。一方、上段側となるアイスクリーム部の窪み部における仮想の球面の径が、下段側となるアイスクリーム部の球状部の径より大きい場合、二つのアイスクリーム部は点接触する。点接触は、上記のように線接触する場合に比べて積み重ねた姿勢が安定しにくいため、積み重ねる作業が更に困難である。
【0020】
従って、本構成の玩具によれば、積み重ねる作業の困難性が増すため、向上心を刺激しつつ、観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力をより高めることができる。
【0021】
本発明にかかる玩具は、上記構成に加え、
「前記アイスクリーム部として、前記球状部の中心を通り前記平面部に直交する球状部中心軸と、前記窪み部における前記仮想の球面の中心を通り前記平面部に直交する窪み部中心軸とが、一致しないものを含む」ものとすることができる。
【0022】
本構成では、球状部中心軸と窪み部中心軸とが一致しないため、そのアイスクリーム部における重心をイメージしにくい。また、他のアイスクリーム部に積み重ねられた姿勢が安定しにくいため、積み重ねる作業が困難である。従って、この困難性を克服するために積み重ねの作業を繰り返し試みることにより、バランス感覚をより高めることができる。
【0023】
本発明にかかる玩具は、上記構成に加え、
「前記アイスクリーム部の表面には、前記窪み部の深さ、前記窪み部における前記仮想の球面の径、及び、前記平面部の面積のうち少なくとも一つが、他の一以上の前記アイスクリーム部と相違する種類ごとに、異なる着色が施されている」ものとすることができる。
【0024】
上述したように、なるべく多数のアイスクリーム部を積み重ねようとすると、個々のアイスクリーム部について、上面部の面積の大きさ、窪み部の深さ、窪み部における仮想の球面の径の大きさなど、形状に関する条件を対比しつつ観察して、それを記憶しておく必要がある。本構成では、形状に関する条件が異なる種類ごとに、アイスクリーム部の表面に異なる着色が施されている。これにより、形状に関する諸条件の相違を、色と結び付けて記憶することができ、記憶力を高めることができると共に、形状に関する諸条件の異なるアイスクリーム部が、色を介して区別しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力を遊びながら養うことができると共に、ユーザの年齢を問うことなく、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる玩具を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(a)本発明の一実施形態である玩具の一部分解斜視図であり、(b)図1(a)の玩具の縦断面図である。
図2】(a),(b)アイスクリーム部における平面部の面積についての説明図である。
図3】(a),(b)アイスクリーム部の積み重ねにより面で接触する場合の説明図である。
図4】(a),(b)アイスクリーム部の積み重ねにより線接触する場合の説明図である。
図5】アイスクリーム部の積み重ねにより点接触する場合の説明図である。
図6】球状部中心軸と窪み部中心軸とが一致しないアイスクリーム部の説明図である。
図7】アイスクリーム部のセットを構成するアイスクリーム部の縦断面図である。
図8】(a)コーンスタンドの斜視図であり、(b)コーンスタンドでコーン部を保持した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態である玩具1について、図面を用いて具体的に説明する。玩具1は、コーン部20と、複数のアイスクリーム部10とを備えている。玩具1は、図1(a),(b)に示すように、コーン部20の上面21にアイスクリーム部10を積み重ね、更にそのアイスクリーム部10の上に、他のアイスクリーム部10を積み重ねて遊ぶ玩具である。
【0028】
コーン部20は、アイスクリームコーンの形状を模したものであり、円錐形である。玩具1で遊ぶ際は、円錐形の頂点を下方に向けた状態でコーン部20を使用する。
【0029】
アイスクリーム部10は、アイスクリームディッシャーで盛り付けられたアイスクリームの形状を模したものであり、その形状は、球体の一部が切り欠かれた形状に相当する。切り欠かれた部分に相当する部分が載置部15であり、コーン部20の上面21、または、下段側のアイスクリーム部10の上に載置される部分である。そして、アイスクリーム部10において、載置部15を除く残部が球状部11である。ここでは、アイスクリーム部を総称する場合に符号10を使用し、形状の異なるアイスクリーム部を区別する場合に、符号10の末尾にアルファベットを付して区別する。
【0030】
それぞれのアイスクリーム部10において載置部15は、窪み部16と、平面部17とからなる。窪み部16は、ある仮想の球面VSの一部に当接するようにくぼんでいる部分であり、下段側のアイスクリーム部10の上に載置される部分である。平面部17は、載置部15において窪み部16の周囲の部分であり、平面である。
【0031】
本実施形態の玩具1は、複数のアイスクリーム部10として、平面部17の面積、窪み部16の深さ、窪み部16における仮想の球面VSの径、及び、球状部11の径のうち、少なくとも一つが他のアイスクリーム部10と相違するものを備えている。
【0032】
例えば、図2(a)の上段に示すアイスクリーム部10aと、図2(b)の上段に示すアイスクリーム部10bとは、球状部11の半径r1が同一であり、窪み部16における仮想の球面VSの半径も同一でr1であるが、窪み部16の深さ、すなわち、縦断面図(球状部11の外形の球の中心を通り、平面部17に直交する面で切断した断面図)において窪み部16が呈している円弧の高さが異なっている例である。
【0033】
より具体的には、アイスクリーム部10aにおける窪み部16の深さはh1で、アイスクリーム部10bにおける窪み部16の深さはh2であり、h1>h2である。これに伴い、アイスクリーム部10bにおける平面部17の面積は、アイスクリーム部10aにおける平面部17の面積より、大きなものとなっている。なお、図2(a)の下図、及び図2(b)の中図は、それぞれアイスクリーム部10a,10bを載置部15側から見た底面図である。
【0034】
また、図2(b)の下図に示すアイスクリーム部10cは、球状部11の半径、及び、窪み部16における仮想の球面VSの半径が共にr1である点で、アイスクリーム部10bと共通しており、図2(b)の中図に示すように、平面部17の面積もアイスクリーム部10bと同一であるが、窪み部16における仮想の球面VSの半径がr1より小さいr2であり、窪み部16の深さがh2より大きいh3である例である。
【0035】
アイスクリーム部10b,アイスクリーム部10cは、平面部17の面積がアイスクリーム部10aより大きいため、コーン部20の上面21に載置する作業が容易であると共に、コーン部20の上面21に載置された姿勢が安定する。
【0036】
アイスクリーム部10aとアイスクリーム部10bは、何れも球状部11の半径がr1であり、窪み部16における仮想の球面VSの半径もr1と同一である。そのため、図3(a)に示すように、アイスクリーム部10bの上にアイスクリーム部10aを積み重ねても、図3(b)に示すように、アイスクリーム部10aの上にアイスクリーム部10b積み重ねても、二つのアイスクリーム部10a,10bは面(球面の一部)で接触する。そのため、二つのアイスクリーム部10a,10bを上下に積み重ねる作業が容易であり、積み重ねられた姿勢も安定する。なお、窪み部16の深さが大きいアイスクリーム部10aを上段にした場合(図3(a))の方が、アイスクリーム部10bを上段にする場合(図3(b))に比べて、面で接触する面積が大きく、積み重ねられた姿勢がより安定する。
【0037】
また、玩具1は、複数のアイスクリーム部として、図4(a)の上図に示すアイスクリーム部10eとアイスクリーム部10dとの組み合わせのように、一方のアイスクリーム部の10eの窪み部16における仮想の球面VSの半径r3が、他方のアイスクリーム部10dの球状部11の半径R1より小さい組み合わせを含んでいる。ここでは、双方のアイスクリーム部10d,10eの球状部11の半径が同一である場合を例示している。このような場合、アイスクリーム部10dの上にアイスクリーム部10eを積み重ねると、図4(a)の下図に示すように、下段のアイスクリーム部10dの球状部11が、上段側のアイスクリーム部10eの窪み部16の開口縁線Lと線接触する。このように二つのアイスクリーム部10の接触が線接触である場合は、上述したように二つのアイスクリーム部10が面接触する場合に比べて、積み重ねる作用が困難となる。
【0038】
図4(b)の上図に示すアイスクリーム部10fは、同様に、窪み部16における仮想の球面VSの半径r4がアイスクリーム部10dの球状部11の半径R1より小さいものであるが、仮想の球面VSの半径r4はアイスクリーム部の10eの窪み部16における仮想の球面VSの半径r3より小さい。つまり、アイスクリーム部の10eよりアイスクリーム部10fの方が、自身の窪み部16における仮想の球面VSの半径と、相手方のアイスクリーム部10dの球状部11の半径との差が大きい。このような場合、図4(b)の下図を図4(a)の下図と対比すると明らかなように、下段のアイスクリーム部10dの球状部11と線接触する開口縁線Lが短くなるため、積み重ねられた姿勢が安定しにくく、積み重ねる作用がより困難となる。
【0039】
図5の上図に示すアイスクリーム部10gは、逆に、窪み部16における仮想の球面VSの半径r5が、アイスクリーム部10dの球状部11の半径R1より大きいものである。このような場合、アイスクリーム部10dの上にアイスクリーム部10gを積み重ねると、図5の下図に示すように、下段のアイスクリーム部10dの球状部11が、上段側のアイスクリーム部10gの窪み部16の内表面と点PTで接触する。このように二つのアイスクリーム部の接触が点接触である場合は、上述したように二つのアイスクリーム部が線接触する場合に比べて、積み重ねる作用が更に困難となる。
【0040】
また、図6の上図に示すアイスクリーム部10hは、球状部11の中心P1を通り平面部17に直交する球状部中心軸Z1と、窪み部16における仮想の球面VSの中心P2を通り平面部17に直交する窪み部中心軸Z2とが、一致しないものである。つまり、アイスクリーム部10hでは、載置部15側から見た場合、載置部15の外形である円に対して窪み部16の開口縁である円が偏心している。このようなアイスクリーム部10hは、重心の位置をイメージしにくいため、図6の下図に示すように他のアイスクリーム部に積み重ねる際にバランスがとりにくく、積み重ねる作用が困難である。なお、図6では、下段側となるアイスクリーム部として、図2及び図3を用いて説明したアイスクリーム部10aを例示している。
【0041】
ここまで、図2図6を用いて、積み重ねられるアイスクリーム部10の球状部11の半径が同一である場合を例示したが、複数のアイスクリーム部10の中に、球状部11の半径が相違するアイスクリーム部10を含めることができる。これにより、アイスクリーム部10の形状に関する条件が相違する多様なアイスクリーム部10を備える玩具1となる。例えば、図7に示すように、球状部11の半径、平面部17の面積、窪み部16の深さ、窪み部16における仮想の球面VSの半径、及び、窪み部中心線Z2の球状部中心線Z1に対する位置関係、の少なくとも一つが他のアイスクリーム部10と相違しているアイスクリーム部10を含む、アイスクリーム部セットSを有する玩具1とすることができる。なお、アイスクリーム部セットSには、形状に関する上記の条件が全く同一である複数のアイスクリーム部10も、含めることができる。
【0042】
そして、これら多数のアイスクリーム部10の表面には、形状に関する条件が相違する種類ごとに、異なる着色が施されている。これにより、形状に関する条件の相違を、色と結び付けて記憶することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態の玩具1によれば、形状に関する条件が相違する複数のアイスクリーム部10を備えていることにより、コーン部20の上面21へアイスクリーム部10を積み重ねる作業、及び、アイスクリーム部10の上に他のアイスクリーム部10を積み重ねる作業の容易さを、種々のレベルとすることができる。そのため、ユーザの年齢を問うことなく、それぞれのレベルに応じた楽しみ方で遊ぶことができる。なお、遊びの場に指導者がいる場合は、ユーザのレベルに合わせて、アイスクリーム部セットSの中から、そのユーザのレベルに相応するアイスクリーム部10の組み合わせをセレクトしてあげてもよい。そして、アイスクリーム部10を積み重ねて行く作業を通して、上述したように、観察力、記憶力、集中力、粘り強さ、手先の器用さ、バランス感覚など、種々の能力を遊びながら養うことができる。
【0044】
なお、遊び方のルールは、積み重ねることができたアイスクリーム部10の個数の多さを競う、予め定めた個数のアイスクリーム部10を積み重ねるまでの所要時間の短さで競う、予め定めた個数のアイスクリーム部10を積み重ねてから、コーン部20を手に持ってアイスクリーム部10を落とすことなく所定の距離だけ歩けるかどうかで競う、歩けた場合はその所要時間の短さで競うなど、種々に定めることができる。積み重ねられたアイスクリーム部10を落とすことなく歩くルールとすることにより、身体的なバランス感覚も養うことができる。
【0045】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0046】
例えば、複数のアイスクリーム部10、及び、コーン部20に加え、図8に示すようなコーンスタンド30を備える玩具1とすることができる。このコーンスタンド30は、ワイヤをらせん状に巻いたコーン保持部32を、ベース部31に支持させたものである。このようなコーンスタンド30にコーン部20を保持させておくことにより、アイスクリーム部10を積み重ねる作業を、両手を使用して行うことができる。
【0047】
また、コーン保持部32の基部でワイヤを僅かに曲げることにより、コーンスタンド30に保持されたコーン部20の上面21が水平から僅かに傾くようにすれば、アイスクリーム部10を積み重ねる作業の難易度を、更に高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 玩具
10 アイスクリーム部
10a~10h アイスクリーム部
11 球面部
15 載置部
16 窪み部
17 平面部
20 コーン部
21 上面(コーン部の上面)
VS 仮想の球面(窪み部に当接する仮想の球面)
P1 球状部の中心
P2 窪み部における仮想の球面の中心
Z1 球状部中心軸
Z2 窪み部中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8