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  • 特開-フットカバー 図1
  • 特開-フットカバー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073438
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】フットカバー
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/10 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
A41B11/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183416
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】591047796
【氏名又は名称】足高メリヤス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】足高 善彦
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA03
3B018AC07
3B018DA02
3B018GA01
(57)【要約】
【課題】歩行時などに着用者の足からの脱離やズレを抑制可能で、着用者に必要以上の締め付け感や不快感を感じさせることがなく、フットカバーの履き口を介して内外の空気流通が可能で足の蒸れが抑制可能なフットカバーを提供する。
【解決手段】フットカバーFC1は、足裏部10bと、爪先部16aと、踵部13aと、足左側部14aと、足右側部15aとを有し、上面に履き口3aを備え、伸縮性の編地で編成されたカバー本体部1aと、カバー本体部1aの内側に設けられた弾性樹脂からなる滑り止め部2aとを備える。そして、滑り止め部2aは、カバー本体部1aの少なくとも踵部13aと、足左側部14aと、足右側部15aとに設けられ、前記各部に設けられた滑り止め部2aの各々は複数個の点状体21を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足裏と、爪先と、踵と、足左側と、足右側とを覆う、足裏部と、爪先部と、踵部と、足左側部と、足右側部とを有し、上面に履き口を備え、伸縮性の編地で編成されたカバー本体部と、
前記カバー本体部の内側に設けられた弾性樹脂からなる滑り止め部とを備え、
前記滑り止め部は、前記カバー本体部の少なくとも前記踵部と、前記足左側部と、前記足右側部とに設けられ、
前記各部に設けられた滑り止め部の各々は、複数個の点状体を有することを特徴とするフットカバー。
【請求項2】
前記滑り止め部が、前記カバー本体部の内側の爪先部にも設けられている請求項1記載のフットカバー
【請求項3】
前記踵部における前記滑り止め部が、複数個の点状体と複数個の帯状体とを有する請求項1又は2に記載のフットカバー。
【請求項4】
前記足左側部及び前記足右側部における前記滑り止め部が、複数個の点状体のみを有する請求項1~3のいずれかに記載のフットカバー。
【請求項5】
前記足左側部及び前記足右側部に設けられた前記複数個の点状体の少なくとも一部が、前記履き口の周縁に沿って所定間隔で設けられ、且つ、隣り合う点状体の前記履き口の周縁からの距離が異なるように設けられている請求項4記載のフットカバー。
【請求項6】
前記踵部における前記滑り止め部の総面積が、他の部分における前記滑り止め部の総面積よりも大きい請求項1~5のいずれかに記載のフットカバー。
【請求項7】
前記カバー本体部が一体に編成されている請求項1~6のいずれかに記載のフットカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフットカバーに関し、より詳細には、ハイヒールやパンプスなどの足甲部が大きく開いた靴を履く際に好適に使用されるフットカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイヒールやパンプスなどの足甲部が大きく開いた靴を履いた際に、靴からフットカバーが露出せず素足に履いているように見えるフットカバーがファッション性などの点からこれまで提案・販売されている。このようなフットカバーは、足甲部や足首部がなく、わずかに爪先部と踵部と足両側部とが足に接触しているだけなので、歩行時に着用者の足から脱離したりズレることがあった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、フットカバーの履き口の周囲の内周に滑り止め部を設けることが提案されている。また特許文献2では、フットカバーの前方部に帯状とスポット状の滑り止め部を設け、後方部に広幅帯状の滑り止め部を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-56479号公報
【特許文献2】実用新案登録第3224536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案の技術によれば、フットカバーの歩行時の脱離やズレなどは抑制されやすくなると推測されるが、フットカバーの履き口の全周に連続して帯状の滑り止め部が設けられているので必要以上に足甲部が締め付けられ不快感を着用者が感じることおそれがある。また滑り止め部によって着用者の足甲部に押圧痕跡が付くことや血液循環が妨げられるおそれもある。そしてまた滑り止め部によって履き口を介したフットカバーの内外の空気流通が抑制され、フットカバー内が密閉状態となって足が蒸れるおそれもある。
【0006】
一方、特許文献2に提案の技術によれば、フットカバーの履き口の全周ではなく、前方部と後方部とに滑り止め部が設けられているので、足甲部の必要以上の締め付け感や足の蒸れ感は抑制されると考えられるが、足両側部に滑り止め部が設けられていないのでフットカバーの横ズレが生じるおそれがある。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、歩行時などに着用者の足からの脱離やズレを抑制可能で、しかも着用者に必要以上の締め付け感や不快感を感じさせることがなく、フットカバーの履き口を介して内外の空気流通が可能で足の蒸れが抑制可能なフットカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係るフットカバーは、着用者の足裏と、爪先と、踵と、足左側と、足右側とを覆う、足裏部と、爪先部と、踵部と、足左側部と、足右側部とを有し、上面に履き口を備え、伸縮性の編地で編成されたカバー本体部と、前記カバー本体部の内側に設けられた弾性樹脂からなる滑り止め部とを備え、前記滑り止め部は、前記カバー本体部の少なくとも前記踵部と、前記足左側部と、前記足右側部とに設けられ、前記各部に設けられた滑り止め部の各々は、複数個の点状体を有することを特徴とする。
【0009】
なお、本明細書におけるフットカバーの爪先部、踵部、足左側部、足右側部は、縫製されていないもの(丸編み)か、フットカバーが縫製されたものかによって該当する部分が異なる。具体的には、フットカバーが縫製されていないものである場合は、図1に示すように、爪先部は、フットカバーの先端側のゴアラインよりも前側部分をいい、踵部は、フットカバーの後端側のゴアラインよりも後側部分をいい、足左側部及び足右側部は、先端側のゴアラインと後端側のゴアラインとの間のフットカバーの左側部分及び右側部分をいうものとする。一方、フットカバーが縫製されたものである場合は、図2に示すように、爪先部は、フットカバーの先端の外縁曲線の端部位置よりも前後方向前側部分をいい、踵部は、フットカバーの後端の外縁曲線の端部位置よりも前後方向後側部分をいい、足左側部及び足右側部は、爪先部と踵部とに前後方向を挟まれたフットカバーの左側部分及び右側部分をいうものとする。
【0010】
前記構成のフットカバーにおいて、前記滑り止め部が、前記カバー本体部の内側の爪先部にも設けられている構成としてもよい。
【0011】
また前記構成のフットカバーにおいて、前記踵部における前記滑り止め部が、複数個の点状体と複数個の帯状体とを有するようにしてもよい。
【0012】
また前記構成のフットカバーにおいて、前記足左側部及び前記足右側部における前記滑り止め部が、複数個の点状体のみを有するようにしてもよい。
【0013】
ここで、前記足左側部及び前記足右側部に設けられた前記複数個の点状体の少なくとも一部が、前記履き口の周縁に沿って所定間隔で設けられ、且つ、隣り合う点状体の前記履き口の周縁からの距離が異なるように設けられているようにしてもよい。
【0014】
また前記構成のフットカバーにおいて、前記踵部における前記滑り止め部の総面積が、他の部分における前記滑り止め部の総面積よりも大きい構成としてもよい。
【0015】
また前記構成のフットカバーにおいて、前記カバー本体部が一体に編成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフットカバーでは、滑り止め部が、前記カバー本体部の少なくとも前記踵部と、前記足左側部と、前記足右側部とに設けられ、前記各部に設けられた滑り止め部の各々は、複数個の点状体を有するので、歩行時などに着用者の足からのフットカバーが脱離したりズレることが抑制される。また着用者に必要以上の締め付け感や不快感を感じさせることもなく、フットカバーの履き口から内外の空気流通が可能で足の蒸れも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るフットカバーの第1実施形態を示す平面図である。
図2】本発明に係るフットカバーの第2実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るフットカバーについて図に基づいて詳述するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。また、本明細書における「前後方向」及び「左右方向」は、図に示されている前後方向および左右方向を意味するものとする。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るフットカバーFC1であって、縫製されず一体に編成(丸編み)されたフットカバーの一実施形態を示す平面図である。なお、図1では、滑り止め部を分かりやすくするためフットカバーFC1の内外を逆にして描いてある。また、図1に示すカバーカバーFC1の平面図は外力が加わらない状態のときの平面図である。
【0020】
図1に示すフットカバーFC1は、伸縮性のある編地で一体に編成されたカバー本体部1aと、カバー本体部1aの内側に設けられた弾性樹脂からなる滑り止め部2aとを備える。以下、カバー本体部1aと滑り止め部2aについて順に説明する。
【0021】
(カバー本体部1a)
カバー本体部1aは、平面視において前縁と後縁とが湾曲形状を有する略長方形状であって、上面中央部に履き口3aを有する。カバー本体部1aは、縫製されずに一体に編成(丸編み)されたものであり、前側部と後側部とに左右対称の2組のゴアライン11a,11bとゴアライン12a,12bとが形成されている。カバー本体部1aに形成された履き口3aは、ゴアライン11a,11bの履き口側の端部を基点として、湾曲形状の前部31と、ゴアライン12a,12bの履き口側の端部を基点として、前部31よりも曲率の小さい湾曲形状の後部32と、前部31と後部32の両端部にそれぞれ接続する略直線状の左側部33と右側部34とに区分される。履き口3aの前部31及び後部32の周縁部には、伸縮性が他の部分よりも大きい弾性部35a,35bが設けられている。履き口3aの大きさ及び形状はこれに限定されるものではなく、想定される着用者の足の形状を考慮して適宜決定すればよい。なお、カバー本体部1aは伸縮性を有する編地から編成されているので、着用者の足の形状に対応してカバー本体部1a及び履き口3aの形状は弾性変形可能である。
【0022】
カバー本体部1aの網地は、綿糸、ポリエステル繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、綿糸とポリエステル繊維との混紡繊維などの単数または複数の繊維糸からなり、全体が薄い一体編地によって伸縮性を備える。また、細いポリエステル繊維やナイロンでポリウレタン糸の芯糸をカバーリングした被覆弾性糸またはゴム糸が使用されてもよい。例えば、カバー本体部1aは、ナイロンとポリウレタンの混合素材のような伸縮性を備えた薄い編地からなり、従来公知の丸編み機によって作製可能である。
【0023】
(滑り止め部2a)
図1に示すフットカバーFC1では、カバー本体部1aの内側に履き口3aに周囲に弾性樹脂からなる滑り止め部2aが設けられている。具体的には、滑り止め部2aは、カバー本体部1aの踵部13a、足左側部14a、足右側部15a、爪先部16aに形成されている。足左側部14a、足右側部15a、爪先部16aに設けられた滑り止め部2aは、弾性樹脂からなる複数個の点状体21のみを有し、踵部13aに設けられた滑り止め部2aは、弾性樹脂からなる複数個の点状体21と複数個の帯状体22とを有する。なお、本明細書では「点状体21」は、大きさの異なる点状体21a,21b,21cの総称として、また「帯状体22」は、大きさの異なる帯状体22a,22bの総称として記すものとする。
【0024】
(足左側部14a及び足右側部15a)
足左側部14aに設けられた複数個の点状体21と足右側部15aに設けられた複数個の点状体21とは左右方向の中心線Lを中心として線対称に配置されている。足左側部14a及び足右側部15aに設けられた複数個の点状体21は平面視において円形状を有し、履き口3aの周縁に沿って所定間隔で且つ隣り合う点状体21の履き口3aの周縁からの距離が異なるように配置されている。つまり複数個の点状体21は三角波の頂点位置に配置されている。点状体21がこのように配置されていることによって、フットカバーFC1が着用者の足に装着されたときに、滑り止め効果が発揮されるとともに点状体21間の隙間を通って履き口3aからのフットカバーFC1の内外の空気流通が可能となる。また点状体21は、大きさ(直径)の異なる2種類の点状体21aと点状体21bとからなり、少なくとも大きい点状体21aは隣り合わないように配置されている。
【0025】
点状体21の形状は円形に限定されるものではなく、多角形状や、ハート形状、雫形状、果物形状などの図形のいずれの形状であっても構わない。また点状体21の大きさとしては本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はないが、通常、平面視における面積が3mm以上20mm以下の範囲のものが好ましい。また点状体21の厚みは本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はないが、通常、0.1mm以上1mm以下の範囲が好ましい。また履き口3aの周方向における隣り合う点状体21の形成間隔は1mm以上10mm以下の範囲が好ましい。
【0026】
(爪先部16a)
爪先部16aに設けられる複数個の点状体21も中心線Lを中心として左側部と右側部とが線対称に配置されている。また足左側部14aと足右側部15aと同様に、爪先部16aに設けられた複数個の点状体21も平面視において円形状を有し、履き口3aの周縁に沿って所定間隔で且つ隣り合う点状体21の履き口3aの周縁からの距離が異なるように配置されている。つまり複数個の点状体21は三角波の頂点位置に配置されている。そしてまた点状体21は、大きさ(直径)の異なる2種類の点状体21aと点状体21bとから構成されている。
【0027】
また、爪先部16aにおける点状体21の形状や大きさ(面積)及び形成間隔は、足左側部14aと足右側部15aの点状体21の場合と同様である。
【0028】
(踵部13a)
踵部13aに設けられる滑り止め部2aは、足左側部14a・足右側部15a・爪先部16aと異なって、弾性樹脂からなる複数個の点状体21に加えて複数個の帯状体22を有する。そして、踵部13aの滑り止め部2aは中心線Lを中心として左側部と右側部とが線対称に配置されている。フットカバーFC1の足からの脱離やズレを抑制するためには、フットカバーFC1の踵部13aが足にしっかりと密着固定されていることが重要であり、通常、帯状体22の方が点状体21よりも着用者の足と接触する面積が広く滑り止め効果が高いことから踵部13aには点状体21と共に帯状体22の滑り止めが設けられている。
【0029】
踵部13aには7つの帯状体22が設けられている。具体的には、左右方向中央で前後方向前側(履き口3a側)に設けられた帯状体22aを中心として左右両側に、前後方向に所定間隔で左右方向外方向かって一部が重なるようにずらした階段状に3個の帯状体22bが左右対称に配置されている。
【0030】
帯状体22の形状は、長方形状に限定されるものではなく長手方向に延びた形状であればよい。また帯状体22の大きさとしては本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はないが、通常、平面視における面積が40mm以上110mm以下の範囲のものが好ましい。また帯状体22の厚みは本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はないが、通常、0.1mm以上1.5mm以下の範囲が好ましい。
【0031】
そして、踵部13aのこれらの帯状体22以外の領域には、点状体21a,21bよりも直径の小さい点状体21cが略均一に分散配置されている。点状体21cの形状や大きさ(面積)、形成間隔は、前述の点状体21a,21bの例示がここでも使用される。
【0032】
前述のように、フットカバーFC1の足からの脱離やズレを抑制するためには、フットカバーFC1の踵部13aが足にしっかりと密着固定されていることが重要であるので、踵部13aの点状体21と帯状体22の総面積は、足左側部14a、足右側部15a、爪先部16aの各々の点状体21の総面積よりも大きく設定されている。
【0033】
滑り止め部2aを構成する弾性樹脂の材質としては、シリコーン樹脂、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、これらの中でもシリコーン樹脂がカバー本体への接着性や滑り止め性などの観点から好適に使用される。
【0034】
滑り止め部2aのカバー本体部1aへの形成は、例えば、シリコーン樹脂などの粘着性樹脂の場合には、スクリーン印刷機による印刷、凸版や凹版印刷機による印刷などによって形成することが可能である。滑り止め部2aは縁部が面取り状に湾曲していると、その個所から剥がれたり破損することが少なくなるので好ましい。
【0035】
以上、説明した実施形態では爪先部16aに滑り止め部2aが形成されていたが、近年のハイヒールやパンプス等の靴においては意匠性などの観点から履き口3aが前後方向により大きくされた物が現れてきており、このような靴に対応したフットカバーFC1では、フットカバーFCが靴から露出しないように爪先部16aの前後方向及び左右方向の幅がより狭く設定されるため、本発明のフットカバーは爪先部16aに滑り止め部2aを設けない形態であってもよい。
【0036】
(第2実施形態)
図2(a)にカバー本体部1bの足表部(爪先部、足左側部、足右側部、踵部)10aの平面図を示し、同図(b)にカバー本体部1bの足裏部10bの平面図を示す。図2に示す本発明に係るフットカバーFC2は、カバー本体部1bの足表部10aと足裏部10bとが個別に編成された後に重ね合わされて外縁部が縫製されたものである。なお、図1と同様に、図2(a)では滑り止め部2bを分かりやすくするため足表部10aの内外を逆にして描いてある。
【0037】
(カバー本体部1b)
図2に示すフットカバーFC2のカバー本体部1bが、図1に示した第1実施形態に係るフットカバーFC1と異なる点は、図2のカバー本体部1bは足表部10aと足裏部10bとが個別に編成された後に縫製されたものであるので図2のカバー本体部1bにはゴアラインがない。このため、カバー本体部1bの爪先部16bは、フットカバーFC2の先端の外縁曲線の端部位置よりも前後方向前側部分をいい、踵部13bは、フットカバーFC2の後端の外縁曲線の端部位置よりも前後方向後側部分をいい、足左側部14b及び足右側部15bは、爪先部16bと踵部13bとに前後方向を挟まれた足表部10aの右側部分及び左側部分をいうものとする。
【0038】
カバー本体部1bの足表部10aと足裏部10bとは平面視において同一の外形であって、略半円状の前縁101と、前縁101よりも曲率の大きい略半円形状の後縁102と、前縁101の左右両端部と後縁102の左右両端部とにそれぞれ接続し前後方向中央部が左右方向内方にわずかに湾曲した左縁103と右縁104とを有し、左右方向の中心線Lを中心として線対称とされている。
足表部10aの略中央には履き口3bが形成されている。履き口3bは、カバー本体部1bの前縁101と後縁102と同心でカバー本体部1bの前縁101と後縁102よりも半径の小さい円弧状の前部36と後部37、そして前部36と後部37の左右両端部にそれぞれ接続する略直線状の右側部38と左側部39とに区分される。勿論、履き口3bの大きさ及び形状はこれに限定されるものではなく、想定される着用者の足の形状を考慮して適宜決定すればよい。なお、カバー本体部1bは伸縮性を有する編地から編成されているので、着用者の足の形状に対応してカバー本体部1b及び履き口3bの形状は弾性変形可能である。
【0039】
カバー本体部1bの網地としては、第1実施形態と同じ物がここでも例示される。なお、カバー本体部1bの足表部10aと足裏部10bとを異なる網地で編成しても構わない。
【0040】
また、カバー本体部1bは足表部10aと足裏部10bとを別個に編成する外に、例えば、足表部10aを構成する爪先部16b、足左側部14b、足右側部15b、踵部13bをそれぞれ別個に編成し、それらを縫製してカバー本体部1bとしても構わない。なお、所望部分を別個に編成し縫製してカバー本体部1bを作製する場合には縫着線が不可避的にできる。この縫着線に起因して、縫製されたフットカバーFC2は、縫製されずに一体に編成(丸編み)されたフットカバーFC1に比べて履き心地が低下することがある。
【0041】
(滑り止め部)
図2に示すフットカバーFC2の滑り止め部2bは、基本的に、図1に示した第1実施形態に係るフットカバーFC1の滑り止め部2aと同じであるが、履き口3bの周囲のカバー本体部1bの領域が図1のカバー本体部1aよりも狭いので、点状体21及び帯状体22の形成個数が図1のカバー本体部1aよりも少なく設定されている。
【0042】
以上説明したフットカバーFC1,FC2によれば、着用者が足に装着すると、着用者の足甲部の大半および足首部がフットカバーFC1,FC2から露出する。これにより、着用者がハイヒールやパンプスなどの足甲部が大きく開いた靴を履いた際に、フットカバーFC1,FC2は靴から露出せず外見は素足に靴を履いているように見えファッション性が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るフットカバーによれば、歩行時などに着用者の足からのフットカバーが脱離したりズレることが抑制される。また着用者に必要以上の締め付け感や不快感を感じさせることもなく、フットカバーの履き口から内外の空気流通が可能で足の蒸れも抑制され有用である。
【符号の説明】
【0044】
1a,1b カバー本体部
2a,2b 滑り止め部
3a,3b 履き口
10a 足表部
10b 足裏部
11a,11b ゴアライン
12a,12b ゴアライン
13a,13b 踵部
14a,14b 足左側部
15a,15b 足右側部
16a,16b 爪先部
21 点状体
21a,21b,21c 点状体
22 帯状体
FC1,FC2 フットカバー
図1
図2