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特開2022-74561オンライン受験方法及びオンライン受験システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074561
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】オンライン受験方法及びオンライン受験システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20220511BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20220511BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220511BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20220511BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G06Q50/20
G08B25/00 510M
G06T7/20 300Z
H04N7/18 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184691
(22)【出願日】2020-11-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】517357619
【氏名又は名称】株式会社岩倉自動車教習所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 誠
【テーマコード(参考)】
5C054
5C087
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5C054DA09
5C054FC00
5C054HA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA25
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE14
5C087EE20
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5L049CC34
5L096BA02
5L096CA04
5L096FA69
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】ビデオカメラにより受験者の行動を監視するようにしたオンライン受験システムにおいて、受験者の不正行為を見逃し難くする。
【解決手段】本発明は、試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークを介して接続された受験者用端末装置を用いたオンライン受験方法であって、前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に不正監視用部材を装着するステップと、所定の撮影範囲をビデオカメラで撮影するステップと、前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを通信ネットワークを介して表示装置に送信するステップと、前記表示装置が受信したデータに基づき前記試験画像を表示画面に表示するステップと、前記表示画面に表示された前記試験画像に基づき前記不正監視部材の動きを監視するステップと、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークを介して接続された受験者用端末装置を用いたオンライン受験方法であって、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に不正監視用部材を装着するステップと、
所定の撮影範囲をビデオカメラで撮影するステップと、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを通信ネットワークを介して表示装置に送信するステップと、
前記表示装置が受信したデータに基づき前記試験画像を表示画面に表示するステップと、
前記表示画面に表示された前記試験画像に基づき前記不正監視部材の動きを監視するステップと、
を備えることを特徴とする、オンライン受験方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオンライン受験方法において、さらに、
前記受験者用端末装置を使って試験を受けている前記受験者に装着された前記不正監視用部材が前記撮影範囲内に位置するように、前記ビデオカメラを設置するステップを備える、オンライン受験方法。
【請求項3】
請求項1に記載のオンライン受験方法において、さらに、
前記受験者用端末装置を使って試験を受けている前記受験者が所定の試験姿勢にあるときは該受験者に装着された前記不正監視用部材が前記撮影範囲内に位置し、前記受験者が前記試験姿勢にないときは前記不正監視用部材が前記撮影範囲から外れるように、前記ビデオカメラを設置するステップを備える、オンライン受験方法。
【請求項4】
通信ネットワークに接続可能な受験者用端末装置と、
前記通信ネットワークを介して前記受験者用端末装置に試験問題を送信する、試験実施機関が管理する管理サーバと、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に装着される不正監視用部材と、
所定の撮影範囲を撮影するビデオカメラと、
前記通信ネットワークに接続された画像解析装置と、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを前記通信ネットワークを介して前記画像解析装置に送信する画像出力装置と、
前記画像解析装置が前記試験画像のデータを解析した結果に基づいて、前記不正監視用部材の位置を検出する検出装置と、
を備える、オンライン受験システム。
【請求項5】
請求項4に記載のオンライン受験システムにおいて、
前記検出装置が検出した前記不正監視用部材の位置に基づき不正行為が行われたか否かを判断し、不正行為が行われたと判断したときに、通信ネットワークを介して受験者用端末装置に警告データを送信する警告出力装置を備える、オンライン受験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークに接続可能な端末装置を使って受験者が試験を受けるオンライン受験方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大学や高等学校などへの入学者を選抜するための入学試験や、国家資格、公的資格、民間資格等の各種資格を取得するための資格試験、特定の能力や技術の有無や程度を調べるための検定試験等、様々な試験が実施されている。このような試験は、通常、受験資格を有する者(受験者)を共通の会場に集めて一斉に行われる。共通の試験会場で一斉に試験を実施することで、試験を受ける環境の公平性、平等性を確保することができる。
【0003】
ところが、共通の試験会場で試験を実施する場合は、受験者の居住地によって試験会場に行くまでにかかる時間が異なるという地理的不平等が生じ、受験者によっては時間的、金銭的負担が非常に大きくなる。複数の異なる地域に試験会場を設置し、受験者が試験会場を選択できるようにすることで、地理的不平等を小さくすることができるが、試験会場を増設するとその分、試験会場まで試験問題を配送したり、試験会場から解答用紙を回収したりするための人員、受験者による不正行為を監視するための人員等を増やさなければならず、試験実施機関にかかる負担が大きくなる。
【0004】
一方、試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークで接続されたコンピュータ端末を受験ブースに設置し、該コンピュータ端末を使って試験を受けるようにした受験システムが提案されている(特許文献1)。このシステムでは、管理サーバからコンピュータ端末に試験問題が送信され、該端末の表示画面に表示される。受験者はマウスやキーボード等の入力装置を使って表示画面上で解答し、その結果を管理サーバに送信する。また、受験ブースには、該ブース内の状態や該ブース内で試験を受けている人物の顔、行動を監視するためのビデオカメラが複数台設置され、カンニング、替え玉受験等の不正行為を防止している。
【0005】
上記のような受験ブースを試験会場に設置すれば、試験問題を配送したり解答用紙を回収したりする必要がない。また、受験者の不正行為を監視する者も不要となる。このため、試験会場を増設することにより試験実施機関にかかる負担を小さくすることができる。
【0006】
さらに、受験ブースに設置されたコンピュータ端末に代えて、受験者が所有するパーソナルコンピュータ(パソコン)を使って試験を受けるようにした受験システムも提案されている(特許文献2)。このシステムでは、全ての受験生が自宅で試験を受けることができるため、地理的不平等をなくすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-091231号公報
【特許文献2】特開2002-116684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された受験システムでは受験者は受験ブースという試験実施機関が設定した空間で試験を受けるのに対し、特許文献2に記載された受験システムでは、パソコンが設置されている室内の状態が受験者によって異なるため、受験者による不正行為を防止することが難しい。特許文献2には、受験者の自宅に設置されたビデオカメラで試験を受けている間の受験者の行動を監視することが記載されているが、受験者が設置するビデオカメラの位置によっては死角が生じ、不正行為を見逃してしまうおそれがある。ビデオカメラの数を増やすことで死角をなくすことが可能となるが、複数台のビデオカメラを用意することは受験生にとって負担が大きい。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ビデオカメラにより受験者の行動を監視するようにしたオンライン受験システムにおいて、受験者の不正行為を見逃し難くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークを介して接続された受験者用端末装置を用いたオンライン受験方法であって、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に不正監視用部材を装着するステップと、
所定の撮影範囲をビデオカメラで撮影するステップと、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを通信ネットワークを介して表示装置に送信するステップと、
前記表示装置が受信したデータに基づき前記試験画像を表示画面に表示するステップと、
前記表示画面に表示された前記試験画像に基づき前記不正監視部材の動きを監視するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記不正監視用部材としては、例えば受験者の手首、腕に装着されるリストバンド、アームバンド、受験者用端末装置を使って試験を受けるときに受験者が使用する解答用具、例えばマウス、電子ペン等が挙げられる。不正監視用部材は1個に限らず2個以上でもよい。例えば右利きの受験者が右手で使用する解答用具と、該受験者の左手首に装着されるリストバンドを不正監視用部材とすることもできる。
【0012】
上記のオンライン受験方法では、受験者用端末装置を使って受験者が試験を受けている様子がビデオカメラで撮影され、その画像である試験画像のデータが通信ネットワークを介して表示装置に送信される。この表示装置は、受験者が試験を受けている様子を監視するために試験監督が使用するものであり、管理サーバに接続されていても良く、管理サーバから独立して設けられていても良い。試験画像のデータを受信した表示装置は、そのデータに基づき試験画像を表示画面に表示するため、試験監督はその試験画像に基づき不正監視用部材の動きを監視することで、受験者による不正行為の有無を見つけることができる。
【0013】
上記のオンライン受験方法では、受験者用端末装置を使って試験を受けている受験者に装着されている不正監視用部材がビデオカメラの撮影範囲内に位置するように、該ビデオカメラが設置される。特に、受験者が所定の試験姿勢にあるときは、前記不正監視用部材が前記ビデオカメラの撮影範囲内にあり、所定の試験姿勢にないときは、前記不正監視用部材が前記撮影範囲から外れるようにビデオカメラを設置すれば、表示画面に表示される試験画像に不正監視用部材が含まれないことをもって、受験者により不正行為が行われたと判断することができるため、不正行為を見逃しにくくなる。
【0014】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係るオンライン受験システムは、
通信ネットワークに接続可能な受験者用端末装置と、
前記通信ネットワークを介して前記受験者用端末装置に試験問題を送信する、試験実施機関が管理する管理サーバと、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に装着される不正監視用部材と、
所定の撮影範囲を撮影するビデオカメラと、
前記通信ネットワークに接続された画像解析装置と、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを前記通信ネットワークを介して前記画像解析装置に送信する画像出力装置と、
前記画像解析装置が前記試験画像のデータを解析した結果に基づいて、前記不正監視用部材の位置を検出する検出装置と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
上記不正監視用部材としては、例えば受験者の手首、腕に装着されるリストバンド、アームバンド、受験者用端末装置を使って試験を受けるときに受験者が使用する解答用具、例えばマウス、電子ペン等が挙げられる。不正監視用部材は1個に限らず2個以上でもよい。例えば右利きの受験者が右手で使用する解答用具と、該受験者の左手首に装着されるリストバンドを不正監視用部材とすることもできる。
【0016】
上記のオンライン受験装置では、受験用端末装置を使って受験者が試験を受けている様子がビデオカメラで撮影され、その画像である試験画像のデータが通信ネットワークを介して画像解析装置に送信される。したがって、本発明において、所定の撮影範囲とは、受験者用端末装置を使って試験を受けている受験者に装着されている不正監視用部材が少なくとも含まれる範囲をいい、そのような撮影範囲となるようにビデオカメラは設置される。
【0017】
画像解析装置は、画像出力装置から送信されてきたデータに基づき試験画像を解析し、その画像解析結果に基づき検出装置が不正監視用部材の位置を検出する。試験監督は、検出装置によって検出された不正監視用部材の位置が、正常な範囲内にあれば、受験者は不正行為を行っておらず、正常な範囲内になければ不正行為を行っていると判断する。
【0018】
画像解析装置及び検出装置は、管理サーバに接続されていても良く、該管理サーバから独立して設けられていても良い。また、画像解析装置及び検出装置は管理サーバの近くに設置されていても良く、該管理サーバから離れた箇所に設置されていても良い。
【0019】
ここで、正常な範囲とは、受験者用端末装置を使って試験を受けている受験者が不正行為を行っていないときの姿勢(試験姿勢という)にあるときに前記不正監視用部材が位置する範囲をいう。正常な範囲は、複数人に試験姿勢をとってもらい、そのときの不正監視用部材が位置する範囲から決めることができる。
【0020】
上記のオンライン受験システムでは、受験者用端末装置を使って受験者が試験を受けている様子がビデオカメラで撮影され、その画像である試験画像のデータが通信ネットワークを介して表示装置に送信される。この表示装置は、管理サーバに接続されていても良く、管理サーバから独立して設けられていても良い。試験画像のデータを受信した表示装置は、そのデータに基づき試験画像を表示画面に表示する。画像解析装置は、その試験画像を解析して不正監視用部材の位置を検出するため、その検出結果から、受験者による不正行為の有無を見つけることができる。
【0021】
例えば、受験者用端末装置を使用して試験を受けている受験者の姿勢が正常であれば(つまり、不正行為を行っていなければ)、その受験者に装着されている不正監視用部材がビデオカメラの撮影範囲に位置し、受験者の姿勢が異常であれば、不正監視用部材が撮影範囲から外れるような位置にビデオカメラを設置する。こうすることにより、表示画面に表示されている試験画像内に不正監視用部材が位置することが画像解析装置によって検出されれば、受験者は不正行為を行っていないと判断することができ、前記試験画像内に不正監視用部材が位置していなければ受験者が不正行為を行っていると判断することができる。
【0022】
上記オンライン受験システムにおいては、前記位置決め部材によって決定される設置位置が、前記試験姿勢にない受験者に装着された前記不正監視用部材が前記ビデオカメラの撮影範囲からはずれるような位置にすると良い。
【0023】
上記構成によれば、受験者の姿勢が前記試験姿勢でなければ、不正監視用部材の画像が表示画面に映らなくなるため、受験者が不正行為を行っていることを簡単に判断することができる。
【0024】
また、上記オンライン受験システムにおいては、
前記受験者用端末装置の周辺領域を撮影する周辺領域撮影装置とを備え、
前記出力部が、前記周辺領域撮影装置が撮影した画像のデータを前記通信ネットワークを介して前記管理サーバに出力することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、周辺領域撮影装置の撮影画像を通して、例えば受験者用端末の周辺に試験問題の解答に関する情報を受験者に教える第三者がいたり、そのような情報が記載された紙等(いわゆるカンニングペーパー)が置かれていたりしないかを、監視することができる。
なお、周辺領域撮影装置は、上記撮影装置とは別の装置を用いても良く、上記ビデオカメラが周辺領域撮影装置を兼用しても良い。
【0026】
本発明に係るオンライン受験システムにおいては、
前記受験用端末装置を使用しているときの前記受験者が前記試験姿勢にあることを確認するための姿勢確認部材を備えると良い。
前記姿勢確認部材は、例えば受験者の両手の配置を示す部材とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、位置決め部材によってビデオカメラを適正な位置に設置することができ、そのようなビデオカメラによって受験者に装着された不正監視用部材の動きを監視することで、受験者による不正行為を見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るオンライン受験システムの一実施形態を示す概略的な全体構成図。
図2】管理サーバの概略構成図。
図3】受験者用端末装置の概略構成図。
図4】不正監視用部材の一例であるリストバンドの説明図。
図5】ビデオカメラの設置位置の説明図であり、(a)は受験者用端末装置の左側にビデオカメラが設置された様子を、(b)は受験者用端末装置の右側にビデオカメラが設置された様子を示す正面図。
図6】ビデオカメラの設置位置の説明図であり、(a)は受験者用端末装置の左側にビデオカメラが設置された様子を、(b)は受験者用端末装置の右側にビデオカメラが設置された様子を示す上面図。
図7】オンライン試験の手順を示すフローチャート。
図8】受験者用端末装置のディスプレイに表示された試験画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るオンライン受験システムの具体的な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るオンライン受験システムを概略的に示す図である。この図に示すように、オンライン受験システムは、試験実施機関が管理する管理サーバ10と、該管理サーバ1と通信ネットワーク20を介して通信可能に接続された、受験者が所有する受験者用端末装置30(以下、端末装置30という)とから構成されている。通信ネットワーク20は、インターネット回線、電話回線、衛星通信回線等、適宜の通信網を使用することができる。管理サーバ10は試験実施機関が所有する施設に、端末装置30は受験生の自宅にそれぞれ設置されている。図1では、複数の端末装置30が管理サーバ10と接続されている様子を示しているが、端末装置30は1台でもよい。
【0030】
管理サーバ10は、制御部110と、受験者情報データベース(DB)121及び試験問題データべ―ス(DB)122と、ディスプレイ131、マウス、キーボード等の入力操作部132、マイク133、スピーカ134等を備える。制御部110は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ若しくは専用のハードウエア又はそれらの組み合わせから成り、機能ブロックとして入出力制御部111、通信制御部112、問題送信部113、画像解析部114を備えている。画像解析部114は本発明の画像解析装置に相当する。
【0031】
端末装置30は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータから成り、入出力制御部311、通信制御部312、解答送信部313、画像処理部314を備えている。入出力制御部311、画像処理部314、通信制御部312は、本発明の画像出力装置を構成する。入出力制御部311には、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ331と、マウス、キーボード等の入力操作部332と、ヘッドセット333と、ビデオカメラ334が接続されている。ヘッドセット333は、マイク及びスピーカが内蔵されている。
【0032】
ビデオカメラ334は、受験者による不正行為の防止を目的として端末装置30が置かれた室内に設置され、試験を受けている間、受験者の様子を撮影する。本実施形態では、受験者は試験実施機関が用意した不正監視用部材を装着して試験を受けることになっており、ビデオカメラ334は、試験を受けるときの一般的な姿勢(以下、試験姿勢という)であれば受験者に装着された不正監視用部材が撮影範囲に含まれるような位置に設置される。以下、不正監視用部材とビデオカメラ334の設置位置について説明する。
【0033】
図4は、受験者の手首に、不正監視用部材としてのリストバンド40が装着された様子を示している。リストバンド40は帯状部材40Aを手首に巻き付けたもので、該帯状部材40Aは、その両端部の一面側及び他面側にそれぞれ接着剤が塗布された接着部401、402と、帯状部材40Aの一面側に印刷された受験者識別コード403を有している。帯状部材40Aの受験者識別コード403が印刷された面には、黄色やピンク色等の蛍光色といった比較的目立ちやすい色が着けられている。
【0034】
帯状部材40Aを手首に巻き付け、一方の接着部401を他方の接着部402に合わせて接合することで環状のリストバンド40となる。接着部401、402を一旦接合すると離間させることができない接着剤が塗布されている。また、帯状部材40Aは、比較的破れにくい素材でできている。したがって、受験者の手首に装着されたリストバンド40は、通常は受験者が試験を受けている間に外れることはなく、また、無理に取り外そうとするとリストバンド40は千切れる。
【0035】
図5及び図6は、ビデオカメラ334の設置位置を説明するための図であり、受験者が試験を受ける部屋の様子を示している。部屋には、机51と椅子52がおかれ、机51の上に端末装置30とディスプレイ331、入力操作部(キーボード、マウス)332が配置されている。受験者は椅子52に座って入力操作部332を操作し、ディスプレイ331を見る。入力操作部332であるマウスは通常、利き手で操作されることが一般的であるため、利き手が右手の受験者は左手首に、利き手が左手の受験者は右手首にリストバンド40を装着することが推奨される。左手首にリストバンド40を装着する受験者の場合は、図5(a)及び図6(a)に示すように、机51の左後方に、右手首にリストバンド40を装着する受験者の場合は、図5(b)及び図6(b)に示すように、机51の右後方にビデオカメラ334が設置される。
【0036】
なお、受験者がビデオカメラ334の設置位置を決定し易いように、ビデオカメラ334からディスプレイ331までの距離L、ビデオカメラ334の高さH、椅子52に座った受験者とビデオカメラ334の角度θ等を示す指標部材を予め用意されていると良い。このような指標部材は、例えば、距離Lや高さHに対応する長さのテープ材、一つの角度がθである直角三角形のシートから構成することができる。これにより、受験者の手首に装着されたリストバンド40が撮影範囲に位置するようにビデオカメラ334を設置することができる。
【0037】
次に、本実施形態のオンライン受験システムを用いたオンライン受験方法について説明する。
<1.準備作業>
まず、端末装置30を用いた試験を受けるための準備作業について説明する。
端末装置30を用いた試験(以下、オンライン試験という)を受けることを希望する者は、通信ネットワーク20を介して端末装置30と管理サーバ10と接続し、受験の申し込みを行う。受験の申し込みは、管理サーバ10から端末装置30に送られてくる画像データに基づき該端末装置30のディスプレイ331に表示される申込画面上で、氏名、住所、生年月日等の受験者を特定する情報、及び試験の実施日時、試験科目等の情報を入力し、これらの情報(以下、受験者情報という)を管理サーバ10に送信することにより実行される。
【0038】
管理サーバ10は受験者情報を受信すると、その受験者情報に受験者識別番号を付与する。そして、受験者情報及び受験者識別番号を、その受験者情報が送られてきた端末装置30の通信ネットワーク20上での識別番号(IPアドレス等)と紐づけて受験者情報DB121に格納する。受験者識別番号は、受験者情報を受信した順に試験項目や試験の実施日時等に基づいて自動的に付与される。
【0039】
また、管理サーバ10を管理する試験実施機関では、管理サーバ10が受信した受験者情報に基づき、オンライン試験に必要な物品を受験者の自宅に送付する。なお、受験者の自宅とは、受験者が試験を受ける部屋を有する建物のことをいい、受験者が実際に居住しているか否かは問わない。
【0040】
受験者の自宅に送付される物品には、ビデオカメラ334、リストバンド40用の帯状部材40A、オンライン試験の実施日時、試験科目、オンライン試験の受験上の注意点が記載された書類、ビデオカメラ334の設置手順の説明書、ビデオカメラ334の設置に使用される指標部材等が含まれる。これらの物品を受領した受験者は、オンライン試験が開始されるまでに、自宅の端末装置30が置かれた室内にビデオカメラ334を設置し、リストバンド40を手首に装着しておく。
【0041】
<2.オンライン試験の実施>
準備作業が終了した受験者は、椅子52に座り、ヘッドセット333をセットする。この状態で、端末装置30及びビデオカメラ334を起動する。そして、入力操作部332を操作して端末装置30を管理サーバ10と接続する。これにより図7に示すフローチャートに従ってオンライン試験が進行する。まずは、管理サーバ10から端末装置30に初期画面データが送信され(ステップ101)、該端末装置30の入出力制御部311は初期画面データに基づく初期画面をディスプレイ331に表示する(ステップ201)。受験者は、初期画面において入力操作部332を操作してログインを指示すると、ログイン要求が管理サーバ10に送られる(ステップ202)。その結果、管理サーバ10から端末装置30にログイン画面データが送信され(ステップ102)、端末装置30のディスプレイ331にログイン画面が表示される(ステップ203)。
【0042】
受験者は、ログイン画面において入力操作部332を操作して受験者情報、受験者識別番号を入力し、送信を指示する。すると、端末装置30から管理サーバ10に受験者情報、受験者識別番号が送られ(ステップ204)、管理サーバ10において照合部115が、受信した受験者情報及び受験者識別番号と端末装置30の識別番号を受験者情報DBに格納されている情報と照合し(ステップ103、104)、受験者(端末装置30)のログインの可否を判断する(ステップ105)。照合した結果、ログインを許可する場合は、管理サーバ10は、端末装置30にビデオカメラ334の撮影画像データの送信を要求する(ステップ106)。
【0043】
この結果、端末装置30からビデオカメラ334の撮影画像データが管理サーバ10に送信され(ステップ205)、管理サーバ10の入出力制御部111は、受信した撮影画像データに基づき画像をディスプレイ131に表示する。また、これとともに、画像解析部114がディスプレイ131に表示されている画像を解析する(ステップ107)。
【0044】
上述したように、ビデオカメラ334の撮影範囲には、オンライン試験を受けている受験者が試験姿勢にあるときの該受験者の手首に装着されたリストバンド40が含まれる。画像解析部114は、ディスプレイ131に表示される画像を解析して、その画像に含まれるリストバンド40の画像を強調表示する。画像解析部114による画像解析処理は、オンライン試験が行われている間、継続して行われる。したがって、オンライン試験が行われている間、試験監督としての作業者が管理サーバ10のディスプレイ131を見続けることで、受験者の不正行為を容易に見つけることができる。特に本実施形態では、リストバンド40に蛍光色を着けて目立ち易くしたため、不正行為の発見が一層容易になる。
【0045】
なお、試験監督作業者は、ディスプレイ131に画像が表示されると、その画像にリストバンド40が含まれているか否かを確認する。そして、画像にリストバンド40が含まれていない場合は、マイク133を使ってビデオカメラ334の設置位置の変更を促すか、もしくはリストバンドが装着されている手首の位置の移動を促すことを指示するための音声をマイク133を通して入力する。マイク133に入力された音声のデータは、入出力制御部111、通信制御部112によって通信ネットワーク20を介して端末装置30に送信される。ヘッドセット333を装着した受験者は、試験監督作業者の指示音声に基づき、ビデオカメラ334の設置位置を変更したり、手首の位置を変更したりする。また、指示音声の内容に対して質問があるときはヘッドセット134のマイク機能を使って、質問の音声を入力し、その音声データを端末装置30から管理サーバ10に送信することも可能である。このように、本実施形態では、受験者の自宅でオンライン試験を受ける場合でも受験者と試験監督との間で音声を介したやり取りが可能であるため、オンライン試験をスムーズに実行することができる。
【0046】
また、管理サーバ10は、試験画面データを端末装置30に送信する(ステップ108)。これにより、端末装置30の入出力制御部311は試験画面データに基づき試験画面をディスプレイ331に表示する(ステップ206)。図8は試験画面3311の一例を示している。試験画面3311では例えば左側に試験問題領域3312が、右側に解答用紙領域3313が配置されている。続いて、管理サーバ10は、試験問題データを端末装置30に送信する(ステップ109)。これにより、入出力制御部311は試験問題データに基づき、試験画面3311の試験問題領域3312に試験問題を表示する(ステップ207)。また、管理サーバ10は、試験問題データを送信してから経過した時間をカウントし、その時間が所定の解答時間が経過し、且つ、その問題が最終の問題でなければ(ステップ110にてYes,ステップ111にてNo)、次の問題データを送信する(ステップ109)。つまり、受験者は予め設定された時間内にその試験問題に解答することになる。このように、本実施形態では、解答時間を制限したことにより、受験者が試験問題に解答するための情報を第三者から取得することが難しくなるため、受験者の不正行為を防止することができる。
【0047】
なお、各試験問題は1回ずつ試験問題領域3312に表示されるようにしても良く、2回以上、表示されるようにしても良い。例えば、全ての試験問題が一通り試験問題領域3312に表示された後、解答を見直すために再度、試験問題を試験問題領域3312に表示するようにしても良い。この場合、解答の見直しのために試験問題を表示する時間は1回目の表示時間(つまり解答時間)よりも短くしても良い。
【0048】
また、問題データを送信してから所定の解答時間が経過し、且つ、その問題が最終の問題であれば(ステップ110にてYes,ステップ111にてYes)、解答データの送信を要求する(ステップ112)。端末装置30は、管理サーバ10からの解答データの送信要求を受信すると、受験者による解答作業の受付を終了し、試験画面に送信ボタンを表示する。受験者は、入力操作部332を操作して送信ボタンを選択することにより、試験画面の解答用紙領域3313に入力された解答データが管理サーバ10に送信され、オンライン試験が終了する(ステップ208)。
【符号の説明】
【0049】
10…管理サーバ
110…制御部
111…入出力制御部
112…通信制御部
113…問題送信部
114…画像解析部
115…照合部
121…受験者情報DB
122…試験問題DB
20…通信ネットワーク
30…受験者用端末装置
311…入出力制御部
312…通信制御部
313…解答送信部
314…画像処理部
331…ディスプレイ
3311…試験画面
3312…試験問題領域
3313…解答用紙領域
332…入力操作部
333…ヘッドセット
334…ビデオカメラ
334…ヘッドセット
40…リストバンド
403…受験者識別コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークを介して接続された受験者用端末装置を用いたオンライン受験方法であって、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に、蛍光着色された不正監視用部材を装着するステップと、
所定の撮影範囲をビデオカメラで撮影するステップと、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを通信ネットワークを介して表示装置に送信するステップと、
前記表示装置が受信したデータに基づき前記試験画像を表示画面に表示するステップと、
前記表示画面に表示された前記試験画像に基づき前記不正監視部材の動きを監視するステップと、
を備えることを特徴とする、オンライン受験方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオンライン受験方法において、さらに、
前記受験者用端末装置を使って試験を受けている前記受験者に装着された前記不正監視用部材が前記撮影範囲内に位置するように、前記ビデオカメラを設置するステップを備える、オンライン受験方法。
【請求項3】
請求項1に記載のオンライン受験方法において、さらに、
前記受験者用端末装置を使って試験を受けている前記受験者が所定の試験姿勢にあるときは該受験者に装着された前記不正監視用部材が前記撮影範囲内に位置し、前記受験者が前記試験姿勢にないときは前記不正監視用部材が前記撮影範囲から外れるように、前記ビデオカメラを設置するステップを備える、オンライン受験方法。
【請求項4】
通信ネットワークに接続可能な受験者用端末装置と、
前記通信ネットワークを介して前記受験者用端末装置に試験問題を送信する、試験実施機関が管理する管理サーバと、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に装着される、蛍光着色された不正監視用部材と、
所定の撮影範囲を撮影するビデオカメラと、
前記通信ネットワークに接続された画像解析装置と、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを前記通信ネットワークを介して前記画像解析装置に送信する画像出力装置と、
前記画像解析装置が前記試験画像のデータを解析した結果に基づいて、前記不正監視用部材の位置を検出する検出装置と、
を備える、オンライン受験システム。
【請求項5】
請求項4に記載のオンライン受験システムにおいて、
前記検出装置が検出した前記不正監視用部材の位置に基づき不正行為が行われたか否かを判断し、不正行為が行われたと判断したときに、通信ネットワークを介して受験者用端末装置に警告データを送信する警告出力装置を備える、オンライン受験システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、試験実施機関が管理する管理サーバと通信ネットワークを介して接続された受験者用端末装置を用いたオンライン受験方法であって、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に、蛍光着色された不正監視用部材を装着するステップと、
所定の撮影範囲をビデオカメラで撮影するステップと、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを通信ネットワークを介して表示装置に送信するステップと、
前記表示装置が受信したデータに基づき前記試験画像を表示画面に表示するステップと、
前記表示画面に表示された前記試験画像に基づき前記不正監視部材の動きを監視するステップと、
を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係るオンライン受験システムは、
通信ネットワークに接続可能な受験者用端末装置と、
前記通信ネットワークを介して前記受験者用端末装置に試験問題を送信する、試験実施機関が管理する管理サーバと、
前記受験者用端末装置を使用する受験者の所定部位に装着される、蛍光着色された不正監視用部材と、
所定の撮影範囲を撮影するビデオカメラと、
前記通信ネットワークに接続された画像解析装置と、
前記ビデオカメラが撮影した画像である試験画像のデータを前記通信ネットワークを介して前記画像解析装置に送信する画像出力装置と、
前記画像解析装置が前記試験画像のデータを解析した結果に基づいて、前記不正監視用部材の位置を検出する検出装置と、
を備えることを特徴とする。