(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077129
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ゴム材料の切断方法、空気入りタイヤの製造方法、及びゴム材料の切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/00 20060101AFI20220516BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20220516BHJP
B26D 5/26 20060101ALI20220516BHJP
B26D 5/34 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
B26D3/00 601F
B29D30/00
B26D5/26 B
B26D5/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187807
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池地 大輔
【テーマコード(参考)】
3C024
4F215
【Fターム(参考)】
3C024GG00
4F215AH20
4F215AP11
4F215AQ01
4F215AR12
4F215VA11
4F215VL01
4F215VM01
4F215VM06
4F215VP17
4F215VQ01
4F215VQ07
4F215VQ08
4F215VR01
(57)【要約】
【課題】ゴム材料を切断した切断片の重量のばらつきを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係るタイヤ用のゴム材料の切断方法は、長手方向に沿って搬送される断面矩形状の前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得ステップと、前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算ステップと、前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定ステップと、前記対象領域が切り出されるように前記ゴム材料を前記ゴム材料の幅方向に沿って切断する切断ステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ用のゴム材料の切断方法であって、
長手方向に沿って搬送される断面矩形状の前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得ステップと、
前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算ステップと、
前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定ステップと、
前記対象領域が切り出されるように前記ゴム材料を前記ゴム材料の幅方向に沿って切断する切断ステップと、を含む
ゴム材料の切断方法。
【請求項2】
前記撮像ステップでは、前記ゴム材料の前記一側面と、前記一側面に交差する他側面と、を撮像し、
前記幅寸法取得ステップにおいて取得される前記幅寸法は、前記一側面の撮像画像に基づく幅寸法と、前記他側面の撮像画像に基づく幅寸法と、を含み、
前記設定ステップでは、前記積算値と、前記他側面の撮像画像に基づく幅寸法とに基づいて、前記積算値に関する値を求める
請求項1に記載のゴム材料の切断方法。
【請求項3】
前記設定ステップの後、前記積算値をリセットするステップをさらに含む
請求項1又は請求項2に記載のゴム材料の切断方法。
【請求項4】
ゴム材料を用いる空気入りタイヤの製造方法であって、
長手方向に沿って搬送される断面矩形状の前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得ステップと、
前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算ステップと、
前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定ステップと、
前記対象領域が切り出されるように前記ゴム材料を前記ゴム材料の幅方向に沿って切断する切断ステップと、を含む
空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
タイヤ用のゴム材料の切断装置であって、
断面矩形状の前記ゴム材料を前記ゴム材料の長手方向に沿って搬送するコンベアと、
前記コンベアで搬送される前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像するカメラと、
前記ゴム材料の前記長手方向の移動量を取得する取得部と、
前記カメラの下流側に設けられ前記ゴム材料を切断する切断ユニットと、
前記切断ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記カメラによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得処理と、
前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算処理と、
前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定処理と、
前記撮像画像及び前記移動量に基づいて、前記対象領域が切り出されるように前記切断ユニットを制御する制御処理と、を実行する
切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材料の切断方法、空気入りタイヤの製造方法、及びゴム材料の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造過程においては、原料ゴム等のゴム材料を切断する工程がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は、従来のゴム材料を切断する工程の一例を示す図である。
図6に示すように、断面矩形状のゴム材料100は、搬送コンベア102によって搬送される。搬送コンベア102の上方には、ゴム材料100を切断するための切断ユニット104が設置されている。切断ユニット104は、油圧式又は電動式のアクチュエータ等によって昇降可能な切断刃104aを備える。
ゴム材料100を切断する場合、搬送コンベア102によってゴム材料100を長手方向に沿って移動させ、ゴム材料100における切断目標位置を、切断ユニット104の切断位置に一致させる。その後、切断ユニット104の切断刃104aを下降させ、ゴム材料100を幅方向に沿って切断する。
これにより、ゴム材料100を端面100aから長手方向所定長さの位置で切断し、1つのゴム材料100から複数の切断片106を得る。切断片106は、ゴム練り等の次工程に供される。
【0005】
ここで、切断片106の重量は、次工程であるゴム練りの安定化の観点から一定であることが好ましい。
そこで、例えば、測長器や、光電管を用いてゴム材料100の先端から長手方向に沿って長さを測定し、長手方向に沿った長さを基準にゴム材料100を切断することで、切断片106が一定の重量となるようにゴム材料100を切断していた。
しかし、ゴム材料100の幅寸法は、長手方向に一定ではなく、ばらつきを有することがあり、ゴム材料100を長手方向に一定間隔で切断したとしても、幅寸法のばらつきによって各切断片106の重量にばらつきが生じることがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ゴム材料を切断した切断片の重量のばらつきを抑制することができるゴム材料の切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤ用のゴム材料の切断方法であって、長手方向に沿って搬送される断面矩形状の前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得ステップと、前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算ステップと、前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定ステップと、前記対象領域が切り出されるように前記ゴム材料を前記ゴム材料の幅方向に沿って切断する切断ステップと、を含む。
【0008】
上記構成の切断方法によれば、例えば、ゴム材料の一側面に交差する他側面の幅寸法に対して一定の値を設定すれば、合計領域に対応するゴム材料の部分の体積を求めることができる。さらに、ゴム材料の比重を用いれば、合計領域に対応する部分の重量を求めることができる。
つまり、本切断方法によれば、ゴム材料の長手方向に沿って所定の寸法間隔ごとに幅寸法から求められる単位領域の面積を求め、その積算値に基づいて長手方向に沿ったゴム材料の部分的な重量を求めることができるので、ゴム材料の幅寸法が長手方向にばらつきを有していても、長手方向に沿ったゴム材料の部分的な重量を精度よく求めることができる。
この結果、上記従来例のように、ゴム材料を長手方向に沿った長さを基準に切断する場合よりも、長手方向に沿ったゴム材料の部分的な重量をより精度よく求めることができる。
本切断方法では、ゴム材料の重量を精度良く表す積算値に関する値に基づいて対象領域を設定しゴム材料を切断するので、ゴム材料から切り出される切断片の重量のばらつきを抑制することができる。
【0009】
また、上記切断方法において、前記撮像ステップでは、前記ゴム材料の前記一側面と、前記一側面に交差する他側面と、を撮像し、前記幅寸法取得ステップにおいて取得される前記幅寸法は、前記一側面の撮像画像に基づく幅寸法と、前記他側面の撮像画像に基づく幅寸法と、を含み、前記設定ステップでは、前記積算値と、前記他側面の撮像画像に基づく幅寸法とに基づいて、前記積算値に関する値を求めてもよい。
この場合、設定ステップにおいて、他側面の撮像画像に基づく幅寸法を用い、合計領域に対応する部分の体積を求めることができる。この結果、より精度良く合計領域に対応する部分の体積を求めることができ、積算値に関する値が表すゴム材料の重量の精度をより高めることができる。
【0010】
また、上記切断方法において、前記設定ステップの後、前記積算値をリセットするステップをさらに含んでいてもよい。
この場合、対象領域を設定した後、再度単位領域の面積の積算を開始し、設定した対象領域に続けて新たな対象領域を設定することができる。
【0011】
また、本発明は、ゴム材料を用いる空気入りタイヤの製造方法であって、長手方向に沿って搬送される断面矩形状の前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得ステップと、前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算ステップと、前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定ステップと、前記対象領域が切り出されるように前記ゴム材料を前記ゴム材料の幅方向に沿って切断する切断ステップと、を含む。
【0012】
また、本発明は、タイヤ用のゴム材料の切断装置であって、断面矩形状の前記ゴム材料を前記ゴム材料の長手方向に沿って搬送するコンベアと、前記コンベアで搬送される前記ゴム材料の少なくとも一側面を撮像するカメラと、前記ゴム材料の前記長手方向の移動量を取得する取得部と、前記カメラの下流側に設けられ前記ゴム材料を切断する切断ユニットと、前記切断ユニットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラによる撮像画像に基づいて、前記長手方向に沿って所定の間隔ごとに前記ゴム材料の幅寸法を順次取得する幅寸法取得処理と、前記幅寸法と前記所定の間隔とに基づいて求められる前記一側面上の単位領域の面積を、前記幅寸法を取得するごとに積算する積算処理と、前記単位領域の面積の積算値に関する値が所定の条件を満たすと、複数の前記単位領域の合計領域を対象領域に定める設定処理と、前記撮像画像及び前記移動量に基づいて、前記対象領域が切り出されるように前記切断ユニットを制御する制御処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゴム材料を切断した切断片の重量のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るゴム材料の切断装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、切断装置を用いた切断工程の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、撮像画像を用いてゴム材料の幅寸法を取得する際の一例を説明するための図であり、ゴム材料の上面の撮像画像を示している。(a)は、エッジが測定位置に一致している状態を示し、(b)は、エッジと測定位置とが一致する位置から所定間隔だけゴム材料が移動したときの状態を示し、(c)は、(b)の状態からさらに所定間隔だけゴム材料が移動したときの状態を示している。
【
図4】
図4は、ゴム材料の一部を示す斜視図であり、ゴム材料における幅寸法と、幅寸法の取得位置とを示している。
【
図5】
図5は、ゴム材料に対して対象領域及び切断目標位置を設定する際の一例を示す図であり、(a)は、制御装置がゴム材料の基準位置を検出した状態を示し、(b)は、1つ目の対象領域及び切断目標位置を定めた状態を示し、(c)は、切断目標位置が切断位置に到達した状態を示している。
【
図6】
図6は、従来のゴム材料を切断する工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔全体構成について〕
図1は、実施形態に係るゴム材料の切断装置の一例を示す図である。
なお、
図1において、互いに直交する3方向を図示のX、Y、Zとする。
【0016】
図1中、切断装置1は、タイヤの製造過程において、ゴム材料を切断する工程で用いられる装置である。この切断工程で切断されるゴム材料Gは、タイヤの原料ゴムであり、断面矩形状の直方体状の素材である。
【0017】
切断装置1は、ゴム材料Gを搬送するための搬送コンベア2と、ゴム材料Gを撮像するカメラ4と、搬送コンベア2に設けられたエンコーダ6と、切断ユニット8と、制御装置10とを含む。
【0018】
搬送コンベア2は、切断ユニット8よりも上流側に設けられた上流側コンベア2aと、切断ユニット8よりも下流側に設けられた下流側コンベア2bとを含む。上流側コンベア2aにはゴム材料Gが載置される。ゴム材料Gは、その長手方向がY方向に平行となるように上流側コンベア2aに載置される。上流側コンベア2aは、載置されるゴム材料GをY方向(長手方向)に沿って一定速度で切断ユニット8の直下へ向けて搬送する。
下流側コンベア2bには、ゴム材料Gを切断することで得られる切断片が載置される。下流側コンベア2bは、切断片を切断ユニット8よりも下流側へ搬送する。
【0019】
カメラ4は、上流側コンベア2aの上方に固定されている。カメラ4は、上流側コンベア2aによって搬送されるゴム材料Gの一側面である上面g1を撮像する。カメラ4は、撮像した撮像画像を制御装置10へ与える。
エンコーダ6は、上流側コンベア2aの駆動軸等に設けられ、上流側コンベア2aの走行距離を示す情報を出力する。エンコーダ6の出力は、制御装置10へ与えられる。
切断ユニット8は、油圧式又は電動式のアクチュエータ等によって昇降可能な切断刃8aを備える。切断ユニット8は、切断刃8aを下方へ降下させることで、下方に位置するゴム材料Gを切断する。切断ユニット8は、切断刃8a直下の切断位置においてゴム材料Gをゴム材料Gの幅方向(X方向)に沿って切断する。
【0020】
制御装置10は、切断ユニット8や、搬送コンベア2、カメラ4を制御する機能を有する。制御装置10は、CPUや、メモリ、ハードディスク等の記憶部を備えたコンピュータによって構成されていてもよいし、プログラマブルロジックコントローラ等、制御装置10が有する各機能の一部又は全部を実現可能なハードウェア回路によって構成されていてもよい。また、制御装置10は、前記コンピュータと前記ハードウェア回路とを組み合わせて構成されていてもよい。制御装置10がコンピュータを含む場合、記憶部には、CPUが実行するためのコンピュータプログラム等が記憶されている。前記CPUは、前記記憶部のようなコンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録された前記コンピュータプログラムを読み込むことで、制御装置10が有する後述の各機能を実現する。
【0021】
〔切断工程について〕
図2は、切断装置1を用いた切断工程の一例を示すフローチャートである。
切断工程においては、まず、ゴム材料Gを上流側コンベア2aに載置し、ゴム材料Gを当該ゴム材料Gの長手方向に沿って搬送させる(ステップS1)。
次いで、カメラ4を用いて、カメラ4の下方を通過するゴム材料Gの上面g1を撮像する。さらに、ゴム材料GのY方向への移動量の取得を制御装置10に行わせる。制御装置10は、エンコーダ6から与えられる出力に基づいてゴム材料GがY方向に移動した距離を移動量として求める。つまり、エンコーダ6は、ゴム材料Gの長手方向の移動量を取得する取得部を構成する。
制御装置10は、カメラ4からの撮像画像を逐次取得することができる。また、制御装置10は、エンコーダ6からの出力に基づいて逐次ゴム材料Gの移動量を求めることができる。
【0022】
次いで、制御装置10は、取得した撮像画像に基づいて、ゴム材料GのY方向における基準位置を検出する(ステップS2)。
ゴム材料Gは、カメラ4の下方における撮像領域内に到達すると撮像され、撮像画像にゴム材料Gを示す画像領域が現れる。
【0023】
図3は、撮像画像を用いてゴム材料Gの幅寸法を取得する際の一例を説明するための図であり、ゴム材料Gが撮像されている状態を示している。
図3に示すように、上面g1の撮像画像20には、上流側コンベア2aが撮像された領域22と、ゴム材料Gの上面g1が撮像されたゴム材料領域24とが含まれる。なお、カメラ4は固定されているため、撮像画像20の撮像領域は、Y方向に移動しない。撮像画像20内のゴム材料領域24は、ゴム材料Gの移動に伴って撮像画像20内をY方向に沿って切断ユニット8側へ移動する。つまり、ゴム材料領域24は、撮像画像20内を紙面右側から左側へ移動する。
図3中の矢印によって示される測定位置26は、制御装置10がゴム材料Gの幅寸法を測定するY方向の位置である。制御装置10は、測定位置26におけるゴム材料領域24のX方向に沿った幅を示す情報を取得する。幅を示す情報には、ゴム材料領域24の幅を示すX方向における画素数が含まれる。制御装置10は、この画素数を実際の長さに換算することで、ゴム材料Gの上面g1の幅寸法を求める。
【0024】
制御装置10は、取得した撮像画像内に、
図3に示すようなゴム材料領域24が含まれる場合に、ゴム材料Gが撮像されていると判定する。
撮像画像20内にゴム材料Gが撮像されていると判定すると、制御装置10は、ゴム材料領域24のエッジ24aが測定位置26に到達したか否かを判定する。エッジ24aは、撮像画像20内においてゴム材料Gの先端縁g2(
図4)を示している。
【0025】
ゴム材料GがY方向に沿って搬送され、
図3(a)に示すように、エッジ24aが測定位置26に到達し一致したと判定すると、制御装置10は、エッジ24aが測定位置26に一致するゴム材料Gの位置をゴム材料GのY方向における基準位置とし、以降、この基準位置に対するY方向への相対的な移動量を求めることで、ゴム材料GのY方向における位置を把握する。
このように、制御装置10は、ゴム材料GのY方向における基準位置を検出する(
図2中、ステップS2)。
【0026】
次いで、制御装置10は、カメラ4からの撮像画像を取得するとともに、エンコーダ6からの出力に基づいてゴム材料Gの移動量を取得する(ステップS3)。
制御装置10は、基準位置又は直前に幅寸法を取得した位置から所定の間隔aだけゴム材料Gが移動したか否かを移動量に基づいて判定する(ステップS4)。
基準位置から間隔aだけ移動していないと判定すると、制御装置10は、ステップS3に戻り、再度ステップS4を繰り返す。よって、制御装置10は、ゴム材料Gが間隔aだけ移動するまで、ステップS4を繰り返す。
【0027】
ステップS4において、ゴム材料Gが間隔aだけ移動したと判定すると、制御装置10は、ステップS5へ進み、後述する切断目標位置が切断位置(
図1)に位置しているか否かを判定する(
図2中、ステップS5)。
切断目標位置が切断位置に位置していると判定する場合、制御装置10は、ゴム材料Gを切断するように切断ユニット8を制御し(
図2中、ステップS6)、ステップS7へ進む。
一方、ステップS5において切断目標位置が切断位置に位置していないと判定する場合、制御装置10は、そのままステップS7へ進む。
【0028】
次いで、制御装置10は、取得した撮像画像に基づいて、ゴム材料Gの上面g1の幅寸法を取得する(ステップS7)。
図3(b)は、基準位置から間隔aだけゴム材料Gが移動したときの撮像画像20を示している。
ゴム材料Gが基準位置から間隔aだけY方向に移動すると、撮像画像20では、
図3(b)に示すように、ゴム材料領域24のエッジ24aが測定位置26から間隔aに相当する間隔a1だけY方向に移動する。
【0029】
制御装置10は、
図3(b)に示す撮像画像20に基づいて、測定位置26におけるゴム材料領域24のX方向に沿った幅を示す情報を取得し、ゴム材料Gの幅寸法を求める。
これにより、制御装置10は、ゴム材料Gの先端縁g2から間隔aを置いた箇所の幅寸法を取得する。
【0030】
制御装置10は、前回幅寸法を取得した位置から間隔aだけ移動するごとにゴム材料Gの幅寸法を取得する。
図3(c)は、
図3(b)の状態からさらに間隔aだけゴム材料Gが移動したときの撮像画像20を示している。
この場合、ゴム材料領域24は、
図3(b)に示す位置からさらに間隔aに相当する間隔a1だけY方向に移動する。
制御装置10は、
図3(c)に示す撮像画像20に基づいて、測定位置26におけるゴム材料領域24のX方向に沿った幅を示す情報を取得し、ゴム材料Gの幅寸法を求める。
これにより、制御装置10は、ゴム材料Gにおいて前回幅寸法を取得した位置から間隔aを置いた箇所の幅寸法を取得する。
【0031】
このように、制御装置10は、撮像画像に基づいて、ゴム材料Gの長手方向に沿って間隔aごとにゴム材料Gの幅寸法を順次取得する処理(幅寸法取得ステップ、幅寸法取得処理)を実行する。
【0032】
図2に示すように、ゴム材料Gの幅寸法を取得する処理であるステップS7を終えると、制御装置10は、幅寸法と間隔aとを乗算することで求められる上面g1上の単位領域の面積を、幅寸法を取得するごとに求め、単位領域の面積を積算する(ステップS8、積算ステップ、積算処理)。
【0033】
単位領域の面積を積算すると、制御装置10は、単位領域の面積を積算した積算値に基づいて、重量に関する積算値(面積値の積算値に関する値)を求め、この重量に関する積算値が所定の閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS9)。
重量に関する積算値が閾値Th以上でないと判定する場合、制御装置10は、ステップS3へ戻り、上述の処理を繰り返す。すなわち、ゴム材料Gが間隔aだけ移動すると(ステップS4)、ゴム材料Gの幅寸法を取得し(ステップS7)、単位領域の面積の積算値を求める(ステップS8)。制御装置10は、重量に関する積算値が閾値Th以上であると判定するまで、ステップS3~S9を繰り返す。
【0034】
図4は、ゴム材料Gの一部を示す斜視図であり、ゴム材料Gにおける幅寸法と、幅寸法の取得位置とを示している。
制御装置10は、
図2中のステップS3~S9を繰り返すことで、ゴム材料Gの先端縁g2からY方向(長手方向)に沿って間隔aだけ移動するごとに幅寸法を取得する。
ゴム材料Gにおいて、幅寸法が取得された取得位置P
1、P
2、P
3・・・P
nは、ゴム材料Gの長手方向におけるゴム材料G上の位置を示しており、間隔aを置いて長手方向に沿って並んでいる。
図4中、取得位置P
1におけるゴム材料Gの幅寸法はX
1、取得位置P
2におけるゴム材料Gの幅寸法はX
2、取得位置P
3におけるゴム材料Gの幅寸法はX
3、取得位置P
nにおけるゴム材料Gの幅寸法はX
nと表されている。
【0035】
制御装置10は、まず、先端縁g2からY方向に間隔aだけ置いた取得位置P
1の幅寸法X
1を取得する(
図2中、ステップS7)。
このとき、制御装置10は、ゴム材料Gの上面g1上の単位領域A
1の面積S
1を求める。制御装置10は、幅寸法X
1と間隔aとを乗算することで単位領域A
1の面積S
1を求めることができる。
なお、単位領域とは、幅寸法と間隔aとで定まる上面g1上の領域であり、取得される幅寸法ごとに定められる。各単位領域の面積は、幅寸法によってそれぞれ異なる。
【0036】
さらに、制御装置10は、ステップS8へ進み、単位領域の面積の積算値Sを求める。(ステップS8)。なお、ここでは、過去の単位領域の面積が存在しないので、制御装置10は、単位領域A1の面積S1を単位領域の面積の積算値Sとする。
ステップS8において単位領域の面積の積算値Sを求めると、制御装置10は、単位領域の面積の積算値Sに高さHを乗算する。
これにより、単位領域A1に対応する立体領域R1の体積が得られる。
なお、立体領域R1は、仮想的に画定されるゴム材料Gの一部分を構成する立体的な領域であり、単位領域A1に対応するゴム材料Gの一部分を示している。
また、高さHは、上面g1に交差する側面g3(他側面)の幅寸法であり、ゴム材料Gの高さ寸法として予め設定される平均的な値が用いられる。
さらに、制御装置10は、体積に関する積算値Vにゴム材料Gの比重Jを乗算する。これにより、立体領域R1の部分の重量が得られる。
【0037】
次いで、制御装置10は、取得位置P
2における幅寸法X
2を取得する(
図2中、ステップS7)。さらに、制御装置10は、幅寸法X
2と間隔aとを乗算することで求められる上面g1上の単位領域A
2の面積S
2を求め、単位領域A
2の面積S
2を単位領域A
1の面積S
1に積算する(
図2中、ステップS8)。
【0038】
ステップS8において単位領域の面積の積算値Sを求めると、制御装置10は、単位領域の面積の積算値Sに高さHを乗算する。
これにより、単位領域A1に対応する立体領域R1の体積及び単位領域A2に対応する立体領域R2の体積が積算された積算値Vが得られる。
さらに、制御装置10は、体積に関する積算値Vにゴム材料Gの比重Jを乗算する。これにより、立体領域R1の部分の重量と、立体領域R2の部分の重量との積算値Wが得られる。
【0039】
制御装置10は、重量に関する積算値Wを用いてステップS9における判定を行う(ステップS9)。
その後、制御装置10が、重量に関する積算値Wを閾値Thよりも小さいと判定し(
図2中、ステップS9)、取得位置P
3における幅寸法X
3を取得したとする(
図2中、ステップS7)。
この場合、制御装置10は、幅寸法X
3と間隔aとを乗算することで求められる上面g1上の単位領域A
3の面積S
3を求め、単位領域の面積の積算値Sに積算される(
図2中、ステップS8)。よって、単位領域の面積の積算値Sは、面積S
1、面積S
2、及び面積S
3が積算された値となる。
【0040】
取得位置P1から取得位置Pnまでの幅寸法を取得したときに求められる単位領域の面積の積算値S及び重量に関する積算値Wは、下記式のように表すことができる。
単位領域の面積の積算値S=(X1×a+X2×a+X3×a+・・・+Xn×a)
重量に関する積算値W =S×H×J
【0041】
このように、単位領域の面積の積算値Sは、幅寸法を取得するごとに取得した幅寸法によって求められる単位領域の面積が積算され、徐々に増加する。
図2中、ステップS9において、単位領域の面積の積算値Sに基づいて求められる重量に関する積算値Wが閾値Th以上であると判定すると、単位領域の面積の積算値Sを求めるため用いた面積それぞれの単位領域の合計領域Aを対象領域Cに定め、対象領域Cが切り出されるように切断目標位置を定める(ステップS10、設定ステップ、設定処理)。
【0042】
例えば、
図4中、単位領域A
1,A
2,A
3の面積の積算値Sから求められる重量に関する積算値Wを閾値Th以上であると判定すると、制御装置10は、単位領域A
1、A
2、A
3の合計領域Aを対象領域Cに定める。このように、合計領域Aとは、単位領域を合わせた全体の領域をいう。
また、この場合の重量に関する積算値Wは、立体領域R
1~立体領域R
3の部分の重量を積算した値となる。
【0043】
制御装置10は、対象領域Cの下流側の端縁である、直前に取得したゴム材料Gにおける幅寸法の取得位置を、ゴム材料Gを切断する切断目標位置に定める。
対象領域C及び切断目標位置を定めると、制御装置10は、単位領域の面積の積算値SをリセットしてステップS3へ戻り(ステップS11)、再度、新たに単位領域の面積の積算を開始する。
【0044】
図5は、ゴム材料Gに対して切断目標位置を設定する際の一例を示す図である。
図5(a)において、制御装置10がゴム材料Gの基準位置を取得したとする。その後、制御装置10は、ゴム材料Gの移動に応じて、各取得位置におけるゴム材料Gの幅寸法を繰り返し取得する。制御装置10は、繰り返し複数の幅寸法を取得するごとに求められる単位領域の面積を積算する。
【0045】
図5(b)において、取得位置P
1から取得位置P
10までに含まれる単位領域の面積の積算値Sから重量に関する積算値Wを求め、重量に関する積算値Wが閾値Th以上になったとする。この場合、制御装置10は、取得位置P
1から取得位置P
10までに含まれる単位領域を対象領域Cに設定し、直前に取得したゴム材料Gにおける幅寸法の取得位置P
10を、ゴム材料Gを切断する切断目標位置に定める。その後、制御装置10は、単位領域の面積の積算値をリセットし、再度、新たに単位領域の面積の積算を開始する。
【0046】
この場合、対象領域C及び切断目標位置を設定した後、再度単位領域の面積の積算を開始し、
図5(c)に示すように、設定した対象領域Cの下流側に続けて新たな対象領域Cを設定することができる。
図5(c)では、取得位置P
10の後、取得位置P
10から取得位置P
20の間に対象領域Cが設定され、同様に、取得位置P
20から取得位置P
30の間、取得位置P
30から取得位置P
40の間にも対象領域Cが設定されている。
【0047】
また、
図5(c)では、切断目標位置に設定された取得位置P
1が切断位置に到達した状態を示している。
この場合、制御装置10は、ゴム材料Gを切断するように切断ユニット8を制御する(
図2中、ステップS5、ステップS6、切断ステップ、制御処理)。これにより、ゴム材料Gの一部が切断され、切断片Tが得られる。
【0048】
上記構成の切断方法によれば、合計領域Aに対応するゴム材料Gの部分の体積を求めることができる。さらに、ゴム材料Gの比重を用いれば、合計領域Aに対応する部分の重量を求めることができる。
つまり、本切断方法によれば、ゴム材料Gの長手方向に沿って所定の寸法間隔ごとに幅寸法から求められる単位領域の面積を求め、その積算値に基づいて長手方向に沿ったゴム材料Gの部分的な重量を求めることができるので、ゴム材料Gの幅寸法が長手方向にばらつきを有していても、長手方向に沿ったゴム材料Gの部分的な重量を精度よく求めることができる。
この結果、上記従来例のように、ゴム材料Gを長手方向に沿った長さを基準に切断する場合よりも、長手方向に沿ったゴム材料Gの部分的な重量をより精度よく求めることができる。
本切断方法では、ゴム材料Gの重量を精度良く表す積算値W(単位領域の面積の積算値に関する値)に基づいて対象領域Cを設定しゴム材料Gを切断するので、ゴム材料Gから切り出される切断片Tの重量のばらつきを抑制することができる。
【0049】
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
上記実施形態では、カメラ4によりゴム材料Gの上面g1の撮像画像に基づいて幅寸法を取得した場合を例示したが、ゴム材料Gの側面g3を撮像するためのカメラを設け、ゴム材料Gの上面g1の撮像画像に基づいて幅寸法を取得するとともに、ゴム材料Gの側面g3の撮像画像に基づいて側面g3の幅寸法である高さHを取得し、上面g1の撮像画像に基づく幅寸法及び側面g3の撮像画像に基づく高さHに基づいて重量に関する積算値Wを求めてもよい。
この場合、上面g1の撮像画像に基づく幅寸法と、側面g3の撮像画像に基づく幅寸法とを用いて、合計領域Aに対応する部分の体積を求めることができる。この結果、より精度良く合計領域Aに対応する部分の体積を求めることができ、積算値Wが表すゴム材料Gの重量の精度をより高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、
図2中ステップS9において、積算値Sに関する値として、重量に関する積算値Wを用いて判定した場合を例示したが、重量に関する積算値Wに代えて体積に関する積算値Vを用いて判定するように構成してもよいし、単位領域の面積の積算値Sそのものを用いて判定するように構成してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、積算値Sに関する値(重量に関する積算値W)が閾値Th以上であるという条件を満たす場合に、合計領域Aを対象領域Cに設定する場合を示した(
図2中、ステップS9、S10)。しかし、これは、例示であり、合計領域Aを対象領域Cに設定する際の条件は、製造されるタイヤやその他の条件応じて任意に設定可能である。
【0052】
本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 切断装置
2 搬送コンベア
2a 上流側コンベア
2b 下流側コンベア
4 カメラ
6 エンコーダ
8 切断ユニット
8a 切断刃
10 制御装置
20 撮像画像
22 領域
24 ゴム材料領域
24a エッジ
26 測定位置
A 合計領域
A1 単位領域
A2 単位領域
A3 単位領域
C 対象領域
G ゴム材料
H 高さ
P1 取得位置
P2 取得位置
P3 取得位置
P10 取得位置
P20 取得位置
P30 取得位置
P40 取得位置
Pn 取得位置
R1 立体領域
R2 立体領域
R3 立体領域
T 切断片
a 間隔
a1 間隔
g1 上面
g2 先端縁
g3 側面