(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077807
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】管運搬装置
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20220517BHJP
F16L 1/06 20060101ALI20220517BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
F16L1/00 M
F16L1/06
B60P3/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188821
(22)【出願日】2020-11-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】592086798
【氏名又は名称】福井 仁孝
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】福井 仁孝
(57)【要約】
【課題】 既設管X内への運び込みが容易で、屈曲した既設管X内でも新設管Yをスムーズに運搬することができる管運搬装置1を提供する。
【解決手段】 本発明の管運搬装置1は既設管X内での新設管Yの運搬に用いるものであって、先方側保持手段10と後方側保持手段20を備えている。先方側保持手段10は先方ベース座11と先方管セット部12と先方押さえ具13と操作具14を備え、後方側保持手段20は後方ベース座21と後方管セット部22と後方押さえ具23と駆動車25を備えている。先方側保持手段10は、先方管セット部12にセットされた新設管Yを先方押さえ具13で押さえることによって新設管Yを保持することができ、後方側保持手段20は、後方管セット部22にセットされた新設管Yを後方押さえ具23で押さえることによって新設管Yを保持することができるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬装置において、
新設管の先方側を保持する先方側保持手段と、当該新設管の後方側を保持する後方側保持手段を備え、
前記先方側保持手段は、先方車輪を備えた先方ベース座と、当該先方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた先方管セット部と、当該先方管セット部にセットされた新設管を押さえる先方押さえ具と、当該先方ベース座を操作する操作具を備え、
前記後方側保持手段は、後方車輪を備えた後方ベース座と、当該後方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた後方管セット部と、当該後方管セット部にセットされた新設管を押さえる後方押さえ具と、駆動源である駆動車を備え、
前記先方側保持手段は、前記先方管セット部にセットされた新設管を前記先方押さえ具で押さえることによって当該新設管を保持することができ、
前記後方側保持手段は、前記後方管セット部にセットされた新設管を前記後方押さえ具で押さえることによって当該新設管を保持することができる、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項2】
請求項1記載の管運搬装置において、
先方側保持手段は、操作具を左右方向に動かすことによって先方ベース座及び先方管セット部の向きを変えることができ、当該先方ベース座及び先方管セット部の向きを変えることによって先方側保持手段の進行方向を変えることができる、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の管運搬装置において、
先方管セット部は水平方向に回転可能な先方回転手段を介して先方ベース座と連結され、
後方管セット部は水平方向に回転可能な後方回転手段を介して後方ベース座と連結された、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管運搬装置において、
後方側保持手段は駆動車の車高を調整可能な高さ調整手段を備えた、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管運搬装置において、
操作具は操作棒と当該操作棒と交差する向きに突設された操作棒軸部を備え、
先方管セット部はその上面に前記操作棒軸部を差し込み可能な軸受け部を備え、
前記操作棒は一端側が先方ベース座に連結され、
前記操作棒軸部は前記軸受け部に差し込まれ、
前記操作棒の自由端側が左右に動かされると、当該操作棒が連結された前記先方ベース座の進行方向が変わる、
ことを特徴とする管運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管を更生する方法として、既設管内に新設管を設置する方法(いわゆるパイプインパイプ工法)が知られている。この工法では、既設管内に新設管を運び入れ、それら新設管を既設管内で接合することで既設管の更生を行う。
【0003】
従来、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、台車本体の前方に進行方向を変えるためのガイド車輪を備えたもの(特許文献1)が提案されている。この台車にはガイド車輪を操作するためのハンドルが設けられ、そのハンドルの操作によってガイド車輪を左右に動かすことで台車の進行方向を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1記載の台車はその全長が新設管よりも長く、既設管内への運び込みが困難な場合がある。また、全体が長いため小回りが利きにくく、屈曲した既設管内の移動が困難な場合がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、既設管内への運び込みが容易であり、屈曲した既設管内でも新設管をスムーズに運搬することができる管運搬装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管運搬装置は既設管内での新設管の運搬に用いるものであって、新設管の先方側を保持する先方側保持手段と、新設管の後方側を保持する後方側保持手段を備えている。先方側保持手段は、先方車輪を備えた先方ベース座と、先方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた先方管セット部と、先方管セット部にセットされた新設管を押さえる先方押さえ具と、先方ベース座を操作する操作具を備え、後方側保持手段は、後方車輪を備えた後方ベース座と、後方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた後方管セット部と、後方管セット部にセットされた新設管を押さえる後方押さえ具と、駆動源である駆動車を備えている。先方側保持手段は、先方管セット部にセットされた新設管を先方押さえ具で押さえることによって新設管を保持することができ、後方側保持手段は、後方管セット部にセットされた新設管を後方押さえ具で押さえることによって新設管を保持することができるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の管運搬装置は、先方側保持手段と後方側保持手段が別体であるため、既設管内への運び込みが容易であり、コンパクトな構成で小回りが利くため、屈曲した既設管内でも新設管をスムーズに運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は本発明の管運搬装置の使用状態の一例を示す斜視図、(b)は管運搬装置の使用状態の縦断面図。
【
図2】(a)は先方側保持手段の一例を示す斜視図、(b)は(a)の先方側保持手段を別の角度から見た場合の斜視図。
【
図3】(a)は
図2(a)に示す先方側保持手段の正面図、(b)は(a)のIIIb-IIIb断面図。
【
図4】(a)は後方側保持手段の一例を示す斜視図、(b)は(a)の後方側保持手段の連動機構の詳細説明図、(c)は(b)の連動機構の断面図。
【
図5】(a)~(d)は先方側保持手段及び後方側保持手段の取付け手順説明図。
【
図6】(a)(b)は
図1(a)(b)に示す管運搬装置を用いて屈曲した既設管内に新設管を運搬する場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明の管運搬装置1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の管運搬装置1は各種管部材の運搬に用いることができるが、ここでは、水力発電設備や下水道設備などの用途で設置された直径1800mm(R900)の鋼管(以下「既設管」という)X内に、直径1300mm(R650)の鋼管(以下「新設管」という)Yを運搬する場合を一例として説明する。なお、図面上は簡略化しているが、新設管Yは厚さ12~13mm程度の鋼板を一部が重なるように円筒状に丸めた状態で運搬し、所定位置まで運搬したのち、鋼板の端面同士を突き合わせて重なりのない円筒状に溶接される。
【0011】
一例として
図1(a)(b)に示す管運搬装置1は、先方側保持手段10と、後方側保持手段20を備えている。先方側保持手段10と後方側保持手段20は別体として構成されており、協働して一本の新設管Yを保持するものである。以下、前記各構成について説明する。
【0012】
図2(a)(b)に示すように、前記先方側保持手段10は、車輪(以下「先方車輪」という)11aを備えたベース座(以下「先方ベース座」という)11と、先方ベース座11に水平方向に回転可能に設けられた管セット部(以下「先方管セット部」という)12と、先方管セット部12に配置された新設管Yを押さえる押さえ具(以下「先方押さえ具」という)13と、先方ベース座11を操作する操作具14を備えている。先方ベース座11と先方管セット部12は、両者の間に介在させた水平方向回転手段(以下「先方回転手段」という)15を介して連結されている。先方回転手段15には、スラストベアリングなどを用いることができる。
【0013】
前記先方ベース座11は長手方向の両端側が反りあがるように湾曲した横長の平板材である。先方ベース座11は新設管Yの曲面に沿うように、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。
【0014】
先方ベース座11の先方側中央部には、平板状の水平ブラケット16が前方に向けて水平に突設されている。水平ブラケット16には縦ブラケット17が立設され、その縦ブラケット17の後方側の面に操作具14(後述する)が突設されている。水平ブラケット16と縦ブラケット17は二枚の補強板18が間隔をあけて固定されている。
【0015】
先方ベース座11の裏面側には、その長手方向に間隔をあけて車輪11aが三つ設けられている。
図2(a)(b)及び
図3(a)(b)に示すように、両外側の車輪11aの間には、先方ベース座11を補強するベース補強材(以下「先方ベース補強材」という)19が設けられている。この実施形態では、先方ベース補強材19として、先方ベース座11と同じ曲率で湾曲した平板を用いているが、先方ベース補強材19は湾曲していない平板を用いることもできる。中央の車輪11aは、先方ベース補強材19の裏面側に設けられている。一番荷重がかかる中央部に車輪11aを設けることで、操作具14でのハンドル操作がしやすくなる。
【0016】
前記先方管セット部12は、間隔をあけて対向配置された二枚の湾曲板(以下、「先方湾曲板」といい、上側の先方湾曲板を「先方上湾曲板12a」、下側の先方湾曲板を「先方下湾曲板12b」という)とつなぎ板(以下「先方つなぎ板」という)12cを備えた側面視コ字状の部材である。二枚の先方湾曲板12a、12bは、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。二枚の先方湾曲板12a、12bの間隔は、運搬対象である新設管Yが収まる広さとしてある。
【0017】
先方上湾曲板12aの長手方向両外寄りの位置には、先方管セット部12に配置された新設管Yを押さえる先方押さえ具13が設けられている。この実施形態では、先方押さえ具13として金属ボルトを用いている。先方上湾曲板12aには間隔をあけて二つの貫通孔(以下「先方貫通孔」という)12dが形成されている(
図3(a)(b))。先方上湾曲板12aの上面にはそれぞれの先方貫通孔12dと連通するように長ナット(以下「先方ナット」という)12eが溶接され、それぞれの先方ナット12eに先方押さえ具13を一本ずつねじ込めるようにしてある。
【0018】
この実施形態では、先方上湾曲板12aと先方下湾曲板12bの間に新設管Yが収まった状態で先方押さえ具13を締め付けることで当該新設管Yを押さえることができ、締め付けられた先方押さえ具13を緩めることで新設管Yの押さえが解除されるようにしてある。
【0019】
先方上湾曲板12aの中央付近には、円筒状の軸受け部12fが設けられている。軸受け部12fは、後述する操作具14の操作棒軸部14bを差し込むための部材である。この実施形態の操作具14は、金属製の操作棒14aと操作棒14aの長手方向中央よりも根元寄りの位置から下向きに突設された操作棒軸部14bを備え、その操作棒軸部14bが軸受け部12fに差し込まれている。
【0020】
操作棒14aの根元側の端部は縦ブラケット17に溶接されている。この実施形態では、操作棒14aの自由端側を持って左右に動かすと、先方ベース座11及び先方管セット部12が左右に動き、先方側保持手段10の進行方向を変えることができる。このとき、操作棒14aの自由端側を力点、軸受け部12fに差し込まれた操作棒軸部14bを支点、操作棒14aの縦ブラケット17との接合部を作用点とするテコの作用が働き、操作棒14aの自由端側の回転距離以上に先方ベース座11を大きく回転させることができる。なお、この実施形態では、操作棒14aを左右に30度程度回転させられるようにしてある。
【0021】
図4(a)~(c)に示すように、前記後方側保持手段20は、車輪(以下「後方車輪」という)21aを備えたベース座(以下「後方ベース座」という)21と、後方ベース座21に水平方向に回転可能に設けられた管セット部(以下「後方管セット部」という)22と、後方管セット部22に配置された新設管Yを押さえる押さえ具(以下「後方押さえ具」という)23と、後方ベース座21の後方側に立設した連結支柱24と、後方側保持手段20の駆動源である駆動車25と、当該駆動車25の高さを調整する高さ調整ジャッキ26を備えている。後方ベース座21と後方管セット部22は、両者の間に介在させた水平方向回転手段(以下「後方回転手段」という)27を介して連結されている。後方回転手段27には、スラストベアリングなどを用いることができる。
【0022】
図4(a)(b)に示すように、前記後方ベース座21は四方が立ち上がり壁で囲われた横長の平板材であり、底面側には二つの後方車輪21aが設けられている。両後方車輪21aは、後方ベース座21に開口された長孔に沿って位置調整をすることができるようにしてある。図示すは省略しているが、後方ベース座21の裏面には、後方ベース座21を補強するベース補強材(以下「後方ベース補強材」という)が設けられている。この実施形態では、後方ベース補強材として平板を用いている。
【0023】
前記後方管セット部22は、間隔をあけて対向配置された二枚の湾曲板(以下、「後方湾曲板」といい、上側の後方湾曲板を「後方上湾曲板22a」、下側の後方湾曲板を「後方下湾曲板22b」という)とつなぎ板(以下「後方つなぎ板」という)22cを備えた側面視コ字状の部材である。二枚の湾曲板22a、22bは、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。二枚の後方湾曲板22a、22bの間隔は、運搬対象である新設管Yが収まる広さとしてある。
【0024】
後方上湾曲板22aの長手方向両外寄りの位置には、後方管セット部22に配置された新設管Yを押さえる後方押さえ具23が設けられている。この実施形態では、後方押さえ具23として金属ボルトを用いている。後方上湾曲板22aには間隔をあけて二つの貫通孔(以下「後方貫通孔」という)22dが形成されている。後方上湾曲板22aの上面にはそれぞれの後方貫通孔22dと連通するように長ナット(以下「後方ナット」という)22eが溶接され、それぞれの後方ナット22eに後方押さえ具23を一本ずつねじ込めるようにしてある。
【0025】
この実施形態では、後方上湾曲板22aと後方下湾曲板22bの間に新設管Yが収まった状態で後方押さえ具23を締め付けることで当該新設管Yを押さえることができ、締め付けられた後方押さえ具23を緩めることで新設管Yの押さえが解除されるようにしてある。
【0026】
図4(a)(b)に示すように、後方ベース座21の後方側には連結支柱24が立設されている。連結支柱24の後方には機器載置部28が設けられ、前記高さ調整ジャッキ26のほか、駆動車25用の駆動バッテリー29が載置されている。機器載置部28には連結フランジ30が設けられ、当該連結フランジ30に駆動車25の連結板25dが連結されている。
【0027】
前記駆動車25は後方側保持手段20の駆動源である。一例として
図4(a)に示す駆動車25は2.5tまで牽引可能な既存のバッテリー駆動車であり、駆動車本体25aと、駆動車本体25aの下端側に設けられた左右の車輪25bと、駆動車本体25aの上方に設けられたハンドル25cを備えている。この駆動車25は機器載置部28に載置された駆動バッテリー29に接続され、当該駆動バッテリー29によって駆動するように構成されている。駆動車25にはエンジン駆動車など、バッテリー駆動車以外のものを用いることもできる。
【0028】
前記駆動車25は、高さ調整ジャッキ26によって車高を調整できるようにしてある。一例として
図4(a)に示す高さ調整ジャッキ26は、ジャッキ部26aと、手動ポンプ部26bと、油圧ホース26cを備えている。ジャッキ部26aと手動ポンプ部26bは油圧ホース26cで連結されている。ジャッキ部26aの側方には、ジャッキ部26aをガイドするガイド部26dが設けられている。
【0029】
前記手動ポンプ部26bには図示しない操作ハンドル及びリリースバルブが設けられている。操作ハンドルを操作することでジャッキ部26aのロッドを伸長させ、手動ポンプ部26bのリリースバルブを緩めて圧力を抜くことでロッドを収縮させることができる。この高さ調整ジャッキ26の動作によって、駆動車25の車高を調整することができる。なお、この実施形態では、高さ調整ジャッキ26として手動操作のものを用いているが、高さ調整ジャッキ26には自動操作式のものを用いることもできる。
【0030】
この実施形態では、駆動車25と後方ベース座21とが連動機構で連結され、駆動車25のハンドル操作に連動して後方ベース座21の向きが変わるようにしてある。
図4(a)(b)に示すように、この実施形態の連動機構は、後方ベース座21から後ろ向きに突設された二本の第一連結具32と、駆動車25の車輪25b用のフランジに横向きに突設された二本の第二連結具33と、第一連結具32及び第二連結具33の双方にボルト35とナット36で固定される連結プレート34を備えている。
【0031】
前記二本の第一連結具32は連結支柱24の両外側の位置から後ろ向きに突設され、前記二本の第二連結具33は車輪25bの両外側の位置から横向きに突設されている。第一連結具32及び第二連結具33には、頭部にリング状のナット部を備えたリングボルトなどを、連結プレート34には、細長の平鋼などを用いることができる。
図4(c)に示すように、連結プレート34は一端側が第一連結具32の下側に宛がわれて固定され、他端側が第二連結具33の上側に載せられて固定されている。連動機構は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0032】
(その他の実施形態)
前記実施形態の構成は一例であり、先方側保持手段10の構成を後方側保持手段20の構成として採用するなど、適宜構成を変形することができる。たとえば、先方側保持手段10の先方ベース座11の構成として、後方側保持手段20の後方ベース座21の構成を採用することができる。これ以外にも、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。
【0033】
(取付け手順)
次に、本発明の管運搬装置1の新設管Yへの取付け手順について説明する。
図5(a)のように、既設管X内に本発明の管運搬装置1を運び入れたのち、クレーンで吊った新設管Yを立坑Zから所定位置に配置する。その状態から
図5(b)のように先方側保持手段10を新設管Y側へ移動させ、先方管セット部12の二枚の先方湾曲板12a、12b間に新設管Yの先方側を収める。先方管セット部12に新設管Yが収まった状態で先方押さえ具13を締め付け、新設管Yの先端側を保持する。
【0034】
次いで、
図5(c)のように後方管セット部22の二枚の後方湾曲板22a、22b間に新設管Yの後方側を収める。後方管セット部22に新設管Yが収まった状態で後方押さえ具23を締め付け、新設管Yの後端側を保持する(
図5(d))。
【0035】
ここで説明した取付け手順は一例であり、本発明の管運搬装置1は上記以外の手順で取り付けることもできる。たとえば、先方側保持手段10に先立ち、後方側保持手段20で新設管Yを保持したり、複数人の作業者で先方側保持手段10及び後方側保持手段20の双方で同時に新設管Yを保持したりすることもできる。
【0036】
(使用例)
次に、本発明の管運搬装置1の使用例について説明する。
図1(b)に示すように、本発明の管運搬装置1は、新設管Y内に入って先方側保持手段10を操作する人P1と、後方側保持手段20の駆動車25を操作する人P2の二人が必要である。本発明の管運搬装置1を用いて新設管Yを運搬する場合、駆動車25の動力によって管運搬装置1を前進させる。このとき、
図6(a)(b)に示すように、既設管Xの屈曲に沿うように先方側保持手段10の操作具14を操作して進行方向を変えることで、新設管Yを屈曲した既設管Xの内壁に衝突させることなく、所望位置まで運搬することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の管運搬装置1は、各種管部材の運搬に用いることができ、特に、既設管X内での新設管Yの運搬に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 管運搬装置
10 先方側保持手段
11 ベース座(先方ベース座)
11a 車輪(先方車輪)
12 管セット部(先方管セット部)
12a 上側の先方湾曲板(先方上湾曲板)
12b 下側の先方湾曲板(先方下湾曲板)
12c つなぎ板(先方つなぎ板)
12d 貫通孔(先方貫通孔)
12e 長ナット(先方ナット)
12f 軸受け部
13 押さえ具(先方押さえ具)
14 操作具
14a 操作棒
14b 操作棒軸部
15 水平方向回転手段(先方回転手段)
16 水平ブラケット
17 縦ブラケット
18 補強板
19 ベース補強材(先方ベース補強材)
20 後方側保持手段
21 ベース座(後方ベース座)
21a 車輪(後方車輪)
22 管セット部(後方管セット部)
22a 上側の後方湾曲板(後方上湾曲板)
22b 下側の後方湾曲板(後方下湾曲板)
22c つなぎ板(後方つなぎ板)
22d 貫通孔(後方貫通孔)
22e 長ナット(後方ナット)
23 押さえ具(後方押さえ具)
24 連結支柱
25 駆動車
25a 駆動車本体
25b 車輪
25c ハンドル
25d 連結板
26 高さ調整ジャッキ
26a ジャッキ部
26b 手動ポンプ部
26c 油圧ホース
26d ガイド部
27 水平方向回転手段(後方回転手段)
28 機器載置部
29 駆動バッテリー
30 連結フランジ
32 第一連結具
33 第二連結具
34 連結プレート
35 ボルト
36 ナット
X 鋼管(既設管)
Y 鋼管(新設管)
Z 立坑
【手続補正書】
【提出日】2021-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管を更生する方法として、既設管内に新設管を設置する方法(いわゆるパイプインパイプ工法)が知られている。この工法では、既設管内に新設管を運び入れ、それら新設管を既設管内で接合することで既設管の更生を行う。
【0003】
従来、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、台車本体の前方に進行方向を変えるためのガイド車輪を備えたもの(特許文献1)が提案されている。この台車にはガイド車輪を操作するためのハンドルが設けられ、そのハンドルの操作によってガイド車輪を左右に動かすことで台車の進行方向を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1記載の台車はその全長が新設管よりも長く、既設管内への運び込みが困難な場合がある。また、全体が長いため小回りが利きにくく、屈曲した既設管内の移動が困難な場合がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、既設管内への運び込みが容易であり、屈曲した既設管内でも新設管をスムーズに運搬することができる管運搬装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管運搬装置は既設管内での新設管の運搬に用いるものであって、新設管の先方側を保持する先方側保持手段と、新設管の後方側を保持する後方側保持手段を備えている。先方側保持手段は、先方車輪を備えた先方ベース座と、先方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた先方管セット部と、先方管セット部にセットされた新設管を押さえる先方押さえ具と、先方ベース座を操作する操作具を備え、後方側保持手段は、後方車輪を備えた後方ベース座と、後方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた後方管セット部と、後方管セット部にセットされた新設管を押さえる後方押さえ具と、駆動源である駆動車を備えている。先方側保持手段は、先方管セット部にセットされた新設管を先方押さえ具で押さえることによって新設管を保持することができ、後方側保持手段は、後方管セット部にセットされた新設管を後方押さえ具で押さえることによって新設管を保持することができる。操作具は操作棒と当該操作棒と交差する向きに突設された操作棒軸部を備え、先方管セット部はその上面に操作棒軸部を差し込み可能な軸受け部を備えている。操作棒は一端側が先方ベース座に連結され、操作棒軸部は軸受け部に差し込まれ、操作棒の自由端側が左右に動かされると、当該操作棒が連結された先方ベース座の進行方向が変わるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の管運搬装置は、先方側保持手段と後方側保持手段が別体であるため、既設管内への運び込みが容易であり、コンパクトな構成で小回りが利くため、屈曲した既設管内でも新設管をスムーズに運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は本発明の管運搬装置の使用状態の一例を示す斜視図、(b)は管運搬装置の使用状態の縦断面図。
【
図2】(a)は先方側保持手段の一例を示す斜視図、(b)は(a)の先方側保持手段を別の角度から見た場合の斜視図。
【
図3】(a)は
図2(a)に示す先方側保持手段の正面図、(b)は(a)のIIIb-IIIb断面図。
【
図4】(a)は後方側保持手段の一例を示す斜視図、(b)は(a)の後方側保持手段の連動機構の詳細説明図、(c)は(b)の連動機構の断面図。
【
図5】(a)~(d)は先方側保持手段及び後方側保持手段の取付け手順説明図。
【
図6】(a)(b)は
図1(a)(b)に示す管運搬装置を用いて屈曲した既設管内に新設管を運搬する場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明の管運搬装置1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の管運搬装置1は各種管部材の運搬に用いることができるが、ここでは、水力発電設備や下水道設備などの用途で設置された直径1800mm(R900)の鋼管(以下「既設管」という)X内に、直径1300mm(R650)の鋼管(以下「新設管」という)Yを運搬する場合を一例として説明する。なお、図面上は簡略化しているが、新設管Yは厚さ12~13mm程度の鋼板を一部が重なるように円筒状に丸めた状態で運搬し、所定位置まで運搬したのち、鋼板の端面同士を突き合わせて重なりのない円筒状に溶接される。
【0011】
一例として
図1(a)(b)に示す管運搬装置1は、先方側保持手段10と、後方側保持手段20を備えている。先方側保持手段10と後方側保持手段20は別体として構成されており、協働して一本の新設管Yを保持するものである。以下、前記各構成について説明する。
【0012】
図2(a)(b)に示すように、前記先方側保持手段10は、車輪(以下「先方車輪」という)11aを備えたベース座(以下「先方ベース座」という)11と、先方ベース座11に水平方向に回転可能に設けられた管セット部(以下「先方管セット部」という)12と、先方管セット部12に配置された新設管Yを押さえる押さえ具(以下「先方押さえ具」という)13と、先方ベース座11を操作する操作具14を備えている。先方ベース座11と先方管セット部12は、両者の間に介在させた水平方向回転手段(以下「先方回転手段」という)15を介して連結されている。先方回転手段15には、スラストベアリングなどを用いることができる。
【0013】
前記先方ベース座11は長手方向の両端側が反りあがるように湾曲した横長の平板材である。先方ベース座11は新設管Yの曲面に沿うように、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。
【0014】
先方ベース座11の先方側中央部には、平板状の水平ブラケット16が前方に向けて水平に突設されている。水平ブラケット16には縦ブラケット17が立設され、その縦ブラケット17の後方側の面に操作具14(後述する)が突設されている。水平ブラケット16と縦ブラケット17は二枚の補強板18が間隔をあけて固定されている。
【0015】
先方ベース座11の裏面側には、その長手方向に間隔をあけて車輪11aが三つ設けられている。
図2(a)(b)及び
図3(a)(b)に示すように、両外側の車輪11aの間には、先方ベース座11を補強するベース補強材(以下「先方ベース補強材」という)19が設けられている。この実施形態では、先方ベース補強材19として、先方ベース座11と同じ曲率で湾曲した平板を用いているが、先方ベース補強材19は湾曲していない平板を用いることもできる。中央の車輪11aは、先方ベース補強材19の裏面側に設けられている。一番荷重がかかる中央部に車輪11aを設けることで、操作具14でのハンドル操作がしやすくなる。
【0016】
前記先方管セット部12は、間隔をあけて対向配置された二枚の湾曲板(以下、「先方湾曲板」といい、上側の先方湾曲板を「先方上湾曲板12a」、下側の先方湾曲板を「先方下湾曲板12b」という)とつなぎ板(以下「先方つなぎ板」という)12cを備えた側面視コ字状の部材である。二枚の先方湾曲板12a、12bは、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。二枚の先方湾曲板12a、12bの間隔は、運搬対象である新設管Yが収まる広さとしてある。
【0017】
先方上湾曲板12aの長手方向両外寄りの位置には、先方管セット部12に配置された新設管Yを押さえる先方押さえ具13が設けられている。この実施形態では、先方押さえ具13として金属ボルトを用いている。先方上湾曲板12aには間隔をあけて二つの貫通孔(以下「先方貫通孔」という)12dが形成されている(
図3(a)(b))。先方上湾曲板12aの上面にはそれぞれの先方貫通孔12dと連通するように長ナット(以下「先方ナット」という)12eが溶接され、それぞれの先方ナット12eに先方押さえ具13を一本ずつねじ込めるようにしてある。
【0018】
この実施形態では、先方上湾曲板12aと先方下湾曲板12bの間に新設管Yが収まった状態で先方押さえ具13を締め付けることで当該新設管Yを押さえることができ、締め付けられた先方押さえ具13を緩めることで新設管Yの押さえが解除されるようにしてある。
【0019】
先方上湾曲板12aの中央付近には、円筒状の軸受け部12fが設けられている。軸受け部12fは、後述する操作具14の操作棒軸部14bを差し込むための部材である。この実施形態の操作具14は、金属製の操作棒14aと操作棒14aの長手方向中央よりも根元寄りの位置から下向きに突設された操作棒軸部14bを備え、その操作棒軸部14bが軸受け部12fに差し込まれている。
【0020】
操作棒14aの根元側の端部は縦ブラケット17に溶接されている。この実施形態では、操作棒14aの自由端側を持って左右に動かすと、先方ベース座11及び先方管セット部12が左右に動き、先方側保持手段10の進行方向を変えることができる。このとき、操作棒14aの自由端側を力点、軸受け部12fに差し込まれた操作棒軸部14bを支点、操作棒14aの縦ブラケット17との接合部を作用点とするテコの作用が働き、操作棒14aの自由端側の回転距離以上に先方ベース座11を大きく回転させることができる。なお、この実施形態では、操作棒14aを左右に30度程度回転させられるようにしてある。
【0021】
図4(a)~(c)に示すように、前記後方側保持手段20は、車輪(以下「後方車輪」という)21aを備えたベース座(以下「後方ベース座」という)21と、後方ベース座21に水平方向に回転可能に設けられた管セット部(以下「後方管セット部」という)22と、後方管セット部22に配置された新設管Yを押さえる押さえ具(以下「後方押さえ具」という)23と、後方ベース座21の後方側に立設した連結支柱24と、後方側保持手段20の駆動源である駆動車25と、当該駆動車25の高さを調整する高さ調整ジャッキ26を備えている。後方ベース座21と後方管セット部22は、両者の間に介在させた水平方向回転手段(以下「後方回転手段」という)27を介して連結されている。後方回転手段27には、スラストベアリングなどを用いることができる。
【0022】
図4(a)(b)に示すように、前記後方ベース座21は四方が立ち上がり壁で囲われた横長の平板材であり、底面側には二つの後方車輪21aが設けられている。両後方車輪21aは、後方ベース座21に開口された長孔に沿って位置調整をすることができるようにしてある。図示すは省略しているが、後方ベース座21の裏面には、後方ベース座21を補強するベース補強材(以下「後方ベース補強材」という)が設けられている。この実施形態では、後方ベース補強材として平板を用いている。
【0023】
前記後方管セット部22は、間隔をあけて対向配置された二枚の湾曲板(以下、「後方湾曲板」といい、上側の後方湾曲板を「後方上湾曲板22a」、下側の後方湾曲板を「後方下湾曲板22b」という)とつなぎ板(以下「後方つなぎ板」という)22cを備えた側面視コ字状の部材である。二枚の湾曲板22a、22bは、新設管Yと同様の曲率で湾曲させてある。二枚の後方湾曲板22a、22bの間隔は、運搬対象である新設管Yが収まる広さとしてある。
【0024】
後方上湾曲板22aの長手方向両外寄りの位置には、後方管セット部22に配置された新設管Yを押さえる後方押さえ具23が設けられている。この実施形態では、後方押さえ具23として金属ボルトを用いている。後方上湾曲板22aには間隔をあけて二つの貫通孔(以下「後方貫通孔」という)22dが形成されている。後方上湾曲板22aの上面にはそれぞれの後方貫通孔22dと連通するように長ナット(以下「後方ナット」という)22eが溶接され、それぞれの後方ナット22eに後方押さえ具23を一本ずつねじ込めるようにしてある。
【0025】
この実施形態では、後方上湾曲板22aと後方下湾曲板22bの間に新設管Yが収まった状態で後方押さえ具23を締め付けることで当該新設管Yを押さえることができ、締め付けられた後方押さえ具23を緩めることで新設管Yの押さえが解除されるようにしてある。
【0026】
図4(a)(b)に示すように、後方ベース座21の後方側には連結支柱24が立設されている。連結支柱24の後方には機器載置部28が設けられ、前記高さ調整ジャッキ26のほか、駆動車25用の駆動バッテリー29が載置されている。機器載置部28には連結フランジ30が設けられ、当該連結フランジ30に駆動車25の連結板25dが連結されている。
【0027】
前記駆動車25は後方側保持手段20の駆動源である。一例として
図4(a)に示す駆動車25は2.5tまで牽引可能な既存のバッテリー駆動車であり、駆動車本体25aと、駆動車本体25aの下端側に設けられた左右の車輪25bと、駆動車本体25aの上方に設けられたハンドル25cを備えている。この駆動車25は機器載置部28に載置された駆動バッテリー29に接続され、当該駆動バッテリー29によって駆動するように構成されている。駆動車25にはエンジン駆動車など、バッテリー駆動車以外のものを用いることもできる。
【0028】
前記駆動車25は、高さ調整ジャッキ26によって車高を調整できるようにしてある。一例として
図4(a)に示す高さ調整ジャッキ26は、ジャッキ部26aと、手動ポンプ部26bと、油圧ホース26cを備えている。ジャッキ部26aと手動ポンプ部26bは油圧ホース26cで連結されている。ジャッキ部26aの側方には、ジャッキ部26aをガイドするガイド部26dが設けられている。
【0029】
前記手動ポンプ部26bには図示しない操作ハンドル及びリリースバルブが設けられている。操作ハンドルを操作することでジャッキ部26aのロッドを伸長させ、手動ポンプ部26bのリリースバルブを緩めて圧力を抜くことでロッドを収縮させることができる。この高さ調整ジャッキ26の動作によって、駆動車25の車高を調整することができる。なお、この実施形態では、高さ調整ジャッキ26として手動操作のものを用いているが、高さ調整ジャッキ26には自動操作式のものを用いることもできる。
【0030】
この実施形態では、駆動車25と後方ベース座21とが連動機構で連結され、駆動車25のハンドル操作に連動して後方ベース座21の向きが変わるようにしてある。
図4(a)(b)に示すように、この実施形態の連動機構は、後方ベース座21から後ろ向きに突設された二本の第一連結具32と、駆動車25の車輪25b用のフランジに横向きに突設された二本の第二連結具33と、第一連結具32及び第二連結具33の双方にボルト35とナット36で固定される連結プレート34を備えている。
【0031】
前記二本の第一連結具32は連結支柱24の両外側の位置から後ろ向きに突設され、前記二本の第二連結具33は車輪25bの両外側の位置から横向きに突設されている。第一連結具32及び第二連結具33には、頭部にリング状のナット部を備えたリングボルトなどを、連結プレート34には、細長の平鋼などを用いることができる。
図4(c)に示すように、連結プレート34は一端側が第一連結具32の下側に宛がわれて固定され、他端側が第二連結具33の上側に載せられて固定されている。連動機構は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0032】
(その他の実施形態)
前記実施形態の構成は一例であり、先方側保持手段10の構成を後方側保持手段20の構成として採用するなど、適宜構成を変形することができる。たとえば、先方側保持手段10の先方ベース座11の構成として、後方側保持手段20の後方ベース座21の構成を採用することができる。これ以外にも、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。
【0033】
(取付け手順)
次に、本発明の管運搬装置1の新設管Yへの取付け手順について説明する。
図5(a)のように、既設管X内に本発明の管運搬装置1を運び入れたのち、クレーンで吊った新設管Yを立坑Zから所定位置に配置する。その状態から
図5(b)のように先方側保持手段10を新設管Y側へ移動させ、先方管セット部12の二枚の先方湾曲板12a、12b間に新設管Yの先方側を収める。先方管セット部12に新設管Yが収まった状態で先方押さえ具13を締め付け、新設管Yの先端側を保持する。
【0034】
次いで、
図5(c)のように後方管セット部22の二枚の後方湾曲板22a、22b間に新設管Yの後方側を収める。後方管セット部22に新設管Yが収まった状態で後方押さえ具23を締め付け、新設管Yの後端側を保持する(
図5(d))。
【0035】
ここで説明した取付け手順は一例であり、本発明の管運搬装置1は上記以外の手順で取り付けることもできる。たとえば、先方側保持手段10に先立ち、後方側保持手段20で新設管Yを保持したり、複数人の作業者で先方側保持手段10及び後方側保持手段20の双方で同時に新設管Yを保持したりすることもできる。
【0036】
(使用例)
次に、本発明の管運搬装置1の使用例について説明する。
図1(b)に示すように、本発明の管運搬装置1は、新設管Y内に入って先方側保持手段10を操作する人P1と、後方側保持手段20の駆動車25を操作する人P2の二人が必要である。本発明の管運搬装置1を用いて新設管Yを運搬する場合、駆動車25の動力によって管運搬装置1を前進させる。このとき、
図6(a)(b)に示すように、既設管Xの屈曲に沿うように先方側保持手段10の操作具14を操作して進行方向を変えることで、新設管Yを屈曲した既設管Xの内壁に衝突させることなく、所望位置まで運搬することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の管運搬装置1は、各種管部材の運搬に用いることができ、特に、既設管X内での新設管Yの運搬に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 管運搬装置
10 先方側保持手段
11 ベース座(先方ベース座)
11a 車輪(先方車輪)
12 管セット部(先方管セット部)
12a 上側の先方湾曲板(先方上湾曲板)
12b 下側の先方湾曲板(先方下湾曲板)
12c つなぎ板(先方つなぎ板)
12d 貫通孔(先方貫通孔)
12e 長ナット(先方ナット)
12f 軸受け部
13 押さえ具(先方押さえ具)
14 操作具
14a 操作棒
14b 操作棒軸部
15 水平方向回転手段(先方回転手段)
16 水平ブラケット
17 縦ブラケット
18 補強板
19 ベース補強材(先方ベース補強材)
20 後方側保持手段
21 ベース座(後方ベース座)
21a 車輪(後方車輪)
22 管セット部(後方管セット部)
22a 上側の後方湾曲板(後方上湾曲板)
22b 下側の後方湾曲板(後方下湾曲板)
22c つなぎ板(後方つなぎ板)
22d 貫通孔(後方貫通孔)
22e 長ナット(後方ナット)
23 押さえ具(後方押さえ具)
24 連結支柱
25 駆動車
25a 駆動車本体
25b 車輪
25c ハンドル
25d 連結板
26 高さ調整ジャッキ
26a ジャッキ部
26b 手動ポンプ部
26c 油圧ホース
26d ガイド部
27 水平方向回転手段(後方回転手段)
28 機器載置部
29 駆動バッテリー
30 連結フランジ
32 第一連結具
33 第二連結具
34 連結プレート
35 ボルト
36 ナット
X 鋼管(既設管)
Y 鋼管(新設管)
Z 立坑
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬装置において、
新設管の先方側を保持する先方側保持手段と、当該新設管の後方側を保持する後方側保持手段を備え、
前記先方側保持手段は、先方車輪を備えた先方ベース座と、当該先方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた先方管セット部と、当該先方管セット部にセットされた新設管を押さえる先方押さえ具と、当該先方ベース座を操作する操作具を備え、
前記後方側保持手段は、後方車輪を備えた後方ベース座と、当該後方ベース座に水平方向に回転可能に設けられた後方管セット部と、当該後方管セット部にセットされた新設管を押さえる後方押さえ具と、駆動源である駆動車を備え、
前記先方側保持手段は、前記先方管セット部にセットされた新設管を前記先方押さえ具で押さえることによって当該新設管を保持することができ、
前記後方側保持手段は、前記後方管セット部にセットされた新設管を前記後方押さえ具で押さえることによって当該新設管を保持することができ、
前記操作具は操作棒と当該操作棒と交差する向きに突設された操作棒軸部を備え、
前記先方管セット部はその上面に前記操作棒軸部を差し込み可能な軸受け部を備え、
前記操作棒は一端側が先方ベース座に連結され、
前記操作棒軸部は前記軸受け部に差し込まれ、
前記操作棒の自由端側が左右に動かされると、当該操作棒が連結された前記先方ベース座の進行方向が変わる、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項2】
請求項1記載の管運搬装置において、
先方側保持手段は、操作具を左右方向に動かすことによって先方ベース座及び先方管セット部の向きを変えることができ、当該先方ベース座及び先方管セット部の向きを変えることによって先方側保持手段の進行方向を変えることができる、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の管運搬装置において、
先方管セット部は水平方向に回転可能な先方回転手段を介して先方ベース座と連結され、
後方管セット部は水平方向に回転可能な後方回転手段を介して後方ベース座と連結された、
ことを特徴とする管運搬装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管運搬装置において、
後方側保持手段は駆動車の車高を調整可能な高さ調整手段を備えた、
ことを特徴とする管運搬装置。