(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079309
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 5/00 20060101AFI20220519BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20220519BHJP
A46B 9/04 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A46B5/00 A
A46B15/00 H
A46B9/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190422
(22)【出願日】2020-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】517267385
【氏名又は名称】林 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】林 健史
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB15
3B202BA07
3B202BE13
3B202EE08
3B202EF01
3B202EG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歯の表面の凹凸や歯間或いは歯と歯肉との間に付着した食べかすや歯垢や歯列矯正の装置に対して効率的に磨いて汚れを落とすことが出来る歯ブラシを提供する。
【解決手段】多数の植毛4を植え付け固定してなる植毛台2と、該植毛台2と一体固定されてなる手握部6を有する歯ブラシ1において、前記植毛台2の植毛4を植え付け固定する植毛面3が窪み円弧面7であり、且つ、前記多数の植毛4の中間部が交差し、当該多数の植毛4の先端部5が山型円弧状形体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の植毛を植え付け固定してなる植毛台と、該植毛台と一体固定されてなる手握部を有する歯ブラシにおいて、前記植毛台の植毛を植え付け固定する植毛面が窪み円弧面であり、且つ、前記多数の植毛の中間部が交差し、当該多数の植毛の先端部が山型円弧状形体であることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記窪み円弧部が、中空半球体の内周面の一部又は全部と同型であることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記山型円弧状形体が、半球体の外表面の一部又は全部と同型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯の表面の凹凸や歯間或いは歯と歯肉との間に付着した食べかすや歯垢や歯列矯正の装置に対して効率的に磨いて汚れを落とすことが出来る歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯ブラシは、板状のブラシ台に垂直方向に立ち上がるように固定されたブラシであって先端部分が平らな形状のものが一般的である。このような一般的な歯ブラシにおいては、ブラシの先端部分が垂直に当接する部分でしか洗浄できない。そこで、板状の植毛台に垂直方向に立ち上がるものの各ブラシの長さを変えて先端部分に凹凸を設けたり先端部の一部が傾斜した歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の
図8に示すように、平坦な植毛台21から垂直方向に延びるように全ての植毛41が固定されている歯ブラシ11の場合には、
図9に示すように、多くの毛先51が歯Aの上面の凹凸表面aに直角方向に当たるので、毛先51に加わる力が分散されてしまい十分に磨かれないという問題点がある。又、
図10に示すように、歯Aと歯肉Bの間を磨く場合にも毛先51が歯Aの側面や歯肉Bにも当たって磨く力が分散されて十分に磨ききれないという問題点がある。更に又、
図11に示すように、歯並びCに沿って歯Aの内側や外側を太矢符X方向にブラッシングする場合には、一部の植毛41は歯A間に入るものの多くの植毛41は屈曲して歯A間に入るので毛先51に加わる力が分散されて均等に加わらなかったり磨き残りが生じたりする問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の歯ブラシは上記事情に鑑みてなされたものであって、その手段とするところは、多数の植毛を植え付け固定してなる植毛台と、該植毛台と一体固定されてなる手握部を有する歯ブラシにおいて、前記植毛台の植毛を植え付け固定する植毛面が窪み円弧面であり、且つ、前記多数の植毛の中間部が交差し当該多数の植毛の先端部が山型円弧状形体であることにある。又、前記窪み円弧部が、中空半球体の内周面の一部又は全部と同型であることにある。更に又、前記山型円弧状形体が、半球体の外表面の一部又は全部と同型であることにある。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によると、前記植毛台の植毛を植え付け固定する植毛面が窪み円弧面であり、且つ、前記多数の植毛の中間部が交差し当該多数の植毛の先端部が山型円弧状形体であることから、植毛台を口腔内入れて磨く際には、山型円弧状形体の先端部が歯に接触してブラッシングすることになるので、全方向から先端部分が直角に歯に当たり、効率よく磨くことが出来る。又、小さな力で磨くことが出来る。従って、隅々まで効率よく磨くことが出来る。多数の植毛の中間部分が交差しているので、力が作用した時でも相互に補完し合って折れ曲がることがない。
【0007】
前記窪み円弧部が中空半球体の内周面の一部又は全部と同型である場合には、一点で多数の植毛の中間部が束となって捩じれ交わることになり相互に補完し合って折れ曲がり難くい。又、同じ長さの植毛を使用した場合には先端部には窪み円弧部とは逆形状の山型円弧形状体が形成されるので、製作及び成形加工が簡単である。しかも、ブッシング時においても、歯に直角方向からの力が作用し易いので、きれいに磨くことが出来る。
【0008】
前記山型円弧状形体が、半球体の外表面と同型であれば、少ない動作でしかも前記したように効率よくきれいに磨くことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】歯の側面と歯肉の隙間をブラッシングしている説明図
【
図6】歯の側面と歯肉の隙間をブラッシングしている一部断面説明図
【
図7】歯並びの内側と外側をブラッシングしている一部断面説明図
【
図9】従来の歯ブラシで歯の上面をブラッシングしている説明図
【
図10】従来の歯ブラシで歯と歯肉の間をブラッシングしている説明図
【
図11】従来の歯ブラシで歯並びの内側と外側をブラッシングしている説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の歯ブラシの実施形態について以下図に基づいて説明する。
図1~3に示すように、歯ブラシ1は、円弧状の植毛台2の植毛面3にこの植毛面3に垂直方向に多数植え付け固定した植毛4の先端部5を円弧状になるように揃えてなるものである。前記歯ブラシ1は、植毛台2に長細い手握部6が固定されており、この手握部6を握って植毛台2を口腔内に入れて植毛4の先端部5で歯を磨くものである。
【0011】
前記植毛台2は、一面側は円弧状の窪み円弧部7を有しており他面側は口腔内で移動自在なように滑らかな表面形を有する立体形状であり、一端側に手握部6が固定されている。窪み円弧部7は、お椀型、すり鉢型、半球状型などのように凹部が形成されているもので、この窪み円弧部7の植毛面3には多数の植毛4が固定され全体としてブラシ8を形成している。
【0012】
前記植毛4は合成樹脂等からなる細長な線状部材でその根元は窪み円弧部7の植毛面3に適度な隙間を開けて固定されている。この固定は、
図2に示すように、窪み円弧部7の植毛面3からこの植毛面3に対して垂直方向に固定されたものであれば、接着によるものでも一体成型されたものであってもよい。
図2に示す実施形態は、植毛面3に対して垂直に掘られた固定穴9に植毛4の根元部が挿入されて接着剤等で固定されたものである。窪み円弧部7の植毛面3は円弧状であるのでこの植毛面3に垂直とは固定穴9の中心を通る接線方向に対して垂直という意味である。このように固定された植毛4の中間部から先端部5は窪み円弧部7の植毛面3の表面形状によって変化するが、各植毛4の中間部で接しながら束になって捩じるようにして交わり、その先端部5の集合体が形成する磨き表面10は窪み円弧部7の植毛面3とは逆の山形円弧部を形成している。この逆の山型円弧部の形状は植毛面3の形状や植毛4の長さあるいはカッターによるカッティングの仕方によって種々変化する。
【0013】
窪み円弧部7がボール状球体の中空円球状体をその中心を通る面で切断した半円球状体内周面であって、植毛4の長さが同一に揃えられている場合には、
図1に示されるように、円球状体の中心に当たる開口円の中心に各植毛4の中央部が捩じれて接しながら束となって集まり、それら植毛4の先端部5の磨き表面10は、
図3、
図4によく表れているように、逆半球状体となる。これらの先端部5は、窪み円弧部7の植毛面3からその植毛面3に対して垂直方向に延びているので、その先端部5には強い力が作用し、しかも放射状になっているので磨き表面10に当たった歯Aの表面aや歯間(
図5参照)あるいは歯Aと歯肉Bの間(
図4、
図6参照)にも入り込んで、少ない移動で小さい力で当たっても万遍なく磨くことができる。
【0014】
以上の実施形態においては、窪み円弧部7の植毛台2が中空半円球状体の内周面である場合について説明したが、窪みの深さがもっと浅い面すなわち中空球状体の中心を通らない面で切断した窪み円弧部7としてもよい。この場合は、各植毛4の中間部分は窪み円弧部7の外側で束となって捩じれて交わり、先端部5によって形成される磨き表面10は逆半円球状体よりも小さい径のものとなり、植毛台2自体が小さくなり、したがって歯ブラシ1全体も小型のものとなる。
【0015】
なお、植毛4は窪み円弧部7の植毛面3に対して垂直方向に植え付け又は固定されていなく、窪み円弧部7の形状に合わせて所定の角度を有していてもよい。先端部5の磨き表面10が山型円弧部になるようにカッターでカットして揃えるようにしてもよい。
【0016】
上記した構成からなるこの発明の歯ブラシ1を用いて歯Aをブラシすると、植毛3の先端の集合体は半円球体になっているので、手握部4を掴んで歯Aを磨く際に、歯方向へ力をかけて植毛台2を歯並びCに沿って移動させると磨き表面10の半球状の先端が、歯Aのトップ面aの凹凸のある表面に種々の方向から当たり磨かれ、食べ物カスを除去する。又、歯Aと歯Aの間に入った際にも同様に種々の方向からブラッシングできる。同様に、歯Aの間に入った食べかすや歯垢も少ない移動ブラッシングで磨き落とすことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0017】
歯ブラシの多様化を図ることができ、歯ブラシ業界の活性化を図ることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 歯ブラシ
2 植毛台
3 植毛面
4 植毛
5 先端部
6 手握部
7 窪み円弧部
8 ブラシ
9 固定穴
10 磨き表面
【手続補正書】
【提出日】2020-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
しかしながら、上記の従来
の技術の歯ブラシを含め一般的に図8に示すように、平坦な植毛台21から垂直方向に延びるように全ての植毛41が固定されている歯ブラシ11の場合には、
図9に示すように、多くの毛先51が歯Aの上面の凹凸表面aに直角方向に当たるので、毛先51に加わる力が分散されてしまい十分に磨かれないという問題点がある。又、
図10に示すように、歯Aと歯肉Bの間を磨く場合にも毛先51が歯Aの側面や歯肉Bにも当たって磨く力が分散されて十分に磨ききれないという問題点がある。更に又、
図11に示すように、歯並びCに沿って歯Aの内側や外側を太矢符X方向にブラッシングする場合には、一部の植毛41は歯A間に入るものの多くの植毛41は屈曲して歯A間に入るので毛先51に加わる力が分散されて均等に加わらなかったり磨き残りが生じたりする問題点がある。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の植毛を植え付け固定してなる植毛台と、該植毛台と一体固定されてなる手握部を有する歯ブラシにおいて、
前記植毛台の植毛を植え付け固定する植毛面が中空半円球体の窪み円弧面であり、
前記多数の植毛の長さは均一に揃えられ、且つ、前記植毛の根元は前記内周面に対してそれぞれ直角方向に固定され、前記多数の植毛の中間部で束になるように交わっており、更に、前記多数の植毛の先端部が前記中空半円球体の内周面と対称の山型円弧状形体であることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記窪み円弧部が、前記中空半球体の内周面の一部又は全部と同型であることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記山型円弧状形体が、前記中空半球体の外表面の一部又は全部と同型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
この発明の歯ブラシは上記事情に鑑みてなされたものであって、その手段とするところは、多数の植毛を植え付け固定してなる植毛台と、該植毛台と一体固定されてなる手握部を有する歯ブラシにおいて、前記植毛台の植毛を植え付け固定する植毛面が中空半円球体の窪み円弧面であり、前記多数の植毛の長さは均一に揃えられ、且つ、前記植毛の根元は前記内周面に対してそれぞれ直角方向に固定され、前記多数の植毛の中間部で束になるように交わっており、更に、前記多数の植毛の先端部が前記中空半円球体の内周面と逆の山型円弧状形体であることにある。又、前記窪み円弧部が、中空半球体の内周面の一部又は全部と同型であることにある。更に又、前記山型円弧状形体が、半球体の外表面の一部又は全部と同型であることにある。