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特開2022-80038圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080038
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/20 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
G05D16/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190981
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山原 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松本 隼
(72)【発明者】
【氏名】横川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄
【テーマコード(参考)】
5H316
【Fターム(参考)】
5H316AA07
5H316BB08
5H316DD17
5H316EE22
5H316FF05
5H316FF22
5H316FF37
5H316GG08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転管理者が末端圧力の推定値に基づいて余剰圧力を削減することを支援するための圧力制御支援装置を提供する。
【解決手段】実施形態による圧力制御支援装置1は、配水場の監視又は制御を支援する支援情報を提供する装置であって、配水区域内の配水管網の複数の末端の少なくとも1つにおける配水圧力を推定する推定モデルを生成する圧力推定モデル生成部1Fと、推定モデルを用いて末端の圧力の推定値を演算する圧力推定部1Gと、少なくとも末端の圧力の推定値、および、管理値に基づいて、末端ごとの余剰圧力を算出する、余剰圧力算出部1Kと、末端ごとの余剰圧力および末端の圧力の推定値を表示するデータを生成する、余剰圧力表示データ生成部1L、末端圧力表示データ生成部1Hと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水場の監視又は制御を支援する支援情報を提供する装置であって、
配水区域内の配水管網の複数の末端の少なくとも1つにおける圧力を推定する推定モデルを生成する圧力推定モデル生成部と、
前記推定モデルを用いて前記末端の圧力の推定値を演算する圧力推定部と、
少なくとも前記末端の圧力の前記推定値、および、管理値に基づいて、前記末端ごとの余剰圧力を算出する、余剰圧力算出部と、
前記末端ごとの前記余剰圧力および前記推定値を表示するデータを生成する表示データ生成部と、を備える、圧力制御支援装置。
【請求項2】
前記余剰圧力算出部は、更に前記推定値における見込み誤差に基づいて、前記末端ごとの前記余剰圧力を算出する、請求項1記載の圧力制御支援装置。
【請求項3】
前記余剰圧力算出部は、前記末端ごとの前記余剰圧力から前記配水区域全体の前記余剰圧力を更に算出する、請求項1又は請求項2記載の圧力制御支援装置。
【請求項4】
前記表示データ生成部は、前記末端ごとの前記余剰圧力を表示するデータを生成する、請求項1又は請求項2記載の圧力制御支援装置。
【請求項5】
前記表示データ生成部は、前記末端ごとの前記余剰圧力と、前記配水区全体の前記余剰圧力との少なくともいずれかを表示するデータを生成する、請求項3項記載の圧力制御支援装置。
【請求項6】
前記表示データ生成部は、前記末端ごとの前記推定値と前記末端ごとの前記余剰圧力と前記推定値における見込み誤差とのうち少なくとも2つ以上を比較可能に表示するデータを生成する、請求項1又は請求項2記載の圧力制御支援装置。
【請求項7】
前記表示データ生成部は、前記末端ごとの前記推定値と前記末端ごとの前記余剰圧力と前記推定値における見込み誤差と前記配水区域全体の前記余剰圧力とのうち少なくとも2つ以上を比較可能に表示するデータを生成する、請求項3記載の圧力制御支援装置。
【請求項8】
前記配水区域全体の前記余剰圧力と、前記配水区域に対する1つ以上の水の流入点における配水圧力の現在値と、に基づいて前記流入点の各々における配水圧力の圧力目標値を導出する圧力目標値導出部を更に備え、
前記表示データ生成部は、前記圧力目標値、および、前記流入点の配水圧力と前記圧力目標値との差分のうちいずれかを表示するデータを生成する、請求項3請求項5および請求項7のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項9】
前記末端ごとの前記余剰圧力と、前記配水区域に対する1つ以上の水の流入点における配水圧力の現在値とに基づいて、前記流入点の各々における配水圧力の圧力目標値を導出する圧力目標値導出部を更に備え、
前記表示データ生成部は、前記圧力目標値、および、前記流入点の配水圧力と前記圧力目標値との差分のうちいずれかを表示するデータを生成する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項10】
前記末端における配水圧力を制御するコントローラに対して、前記流入点の各々における配水圧力が前記圧力目標値に近付くように制御するための制御情報を出力する制御情報出力部を更に備えた、請求項8または請求項9記載の圧力制御支援装置。
【請求項11】
過去からシミュレーション時点に至るまでの対象期間における前記配水区域の流入点の配水圧力の実績値を基準に、配水圧力設定を変更した場合の状況をシミュレーションする圧力変更シミュレーション部と、
ユーザからの配水圧力設定変更情報として、前記流入点の配水圧力の実績値に対する圧力変更量または変更後の配水圧力値の入力を受け付ける入力部と、を備え、
前記圧力変更シミュレーション部は、前記配水圧力設定変更情報に基づいて、配水圧力設定の変更後の前記流入点の配水圧力、前記末端における圧力、および、前記余剰圧力のうち少なくとも1つ以上の項目に関して、前記対象期間全体にわたってシミュレーションした結果を算出し、前記結果を表示するデータを生成する、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項12】
前記配水圧力設定変更情報に基づいて、前記流入点の配水圧力が変更された場合に得られる効果を算出および表示する圧力変更効果算出部を更に備えた、請求項11記載の圧力制御支援装置。
【請求項13】
前記流入点の配水圧力が変更された場合に得られる効果は漏水削減率である、請求項12記載の圧力制御支援装置。
【請求項14】
ユーザによって指定された1つ以上の誤差算出方法を用いて、前記推定モデルが出力する前記推定値が含みうる誤差の情報を算出する誤差情報算出部と、
前記誤差の情報を表示するデータを生成する推定モデル説明部と、を更に備えた請求項1乃至請求項13記載のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項15】
ユーザの入力によるトリガーに応じて前記推定モデルを再度生成する圧力推定モデル再生成部を更に備えた、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項16】
前記配水区域の状況が変化していることを示唆する情報に基づいて、前記推定モデルを再学習すべきであると判定する圧力推定モデル再生成判定部と、
前記圧力推定モデル再生成判定部の判定結果により、前記推定モデルを再度生成する圧力推定モデル再生成部と、を更に備えた請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の圧力制御支援装置。
【請求項17】
複数の前記末端の少なくとも一部に設置された常設末端圧力計測装置を更に備え、
前記圧力推定モデル再生成判定部は、前記常設末端圧力計測装置から得られる実測値と、前記末端の少なくとも一部における圧力の前記推定値との差分が、所定の条件を満たしたことを検知したときに、前記推定モデルを再学習すべきであると判定する、請求項16記載の圧力制御支援装置。
【請求項18】
配水管網を介して1以上の配水場から1以上の需要家に水を供給する配水システムであって、
請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の圧力制御支援装置と、
前記圧力制御支援装置から提供される前記支援情報を用いて前記配水場を監視又は制御する監視制御装置と、を備えた配水システム。
【請求項19】
前記表示データ生成部で生成されたデータを表示する表示装置を更に備えた請求項18記載の配水システム。
【請求項20】
コンピュータを、
配水区域内の配水管網の複数の末端の少なくとも1つにおける圧力を推定する推定モデルを生成する圧力推定モデル生成手段と、
前記推定モデルを用いて前記末端の圧力の推定値を演算する圧力推定手段と、
少なくとも前記末端の圧力の前記推定値、および、管理値に基づいて、前記末端ごとの余剰圧力を算出する、余剰圧力算出手段と、
前記末端ごとの前記余剰圧力および前記推定値を表示するデータを生成する表示手段と、して機能させる、圧力制御支援プログラム。
【請求項21】
配水区域内の配水管網の複数の末端の少なくとも1つにおける圧力を推定する推定モデルを生成し、
前記推定モデルを用いて前記末端の圧力の推定値を演算し、
少なくとも前記末端の圧力の前記推定値、および、管理値に基づいて、前記末端ごとの余剰圧力を算出し、
前記末端ごとの前記余剰圧力および前記推定値を表示するデータを生成する、圧力制御支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道事業者が管理する配水管網において、配水管の保護や省エネルギー等のために末端圧力を適切に制御することが求められている。末端圧力を適切に制御するためには、末端圧力推定のための管網モデルの構築か、末端圧力計測装置の永続的な設置が必要であった。しかしながら、末端圧力計測装置を設置する場合、長期運用に耐えうる常設の末端圧力計測装置の設置コストが大きいことや、場所によっては物理的に設置が不可能なケースもある。また、従来提案されている管網モデルを構築する場合、必要なデータを収集するために必要なコストが大きい。
【0003】
上記のことから、例えば中小水道事業者にとって、末端圧力計測装置を設置することや、管網モデルを構築することが困難であり、余分なポンプ圧送エネルギーや漏水量が発生している状況を把握することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-79320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、例えばAI技術等を活用して末端圧力を推定する技術が提案されている。しかし、得られる末端圧力の値はあくまで推定値であり、配水圧力を管理する運転管理者にとって、推定値に基づいて実際に配水圧力を小さくして余剰圧力を削減することは、心理的なハードルが高かった。また、従来の方法により推定値によって複数地点の末端圧力や余剰圧力を比較的容易に把握することはできるが、これらの多地点を含む配水区域全体での余剰圧力を把握/削減することはこれまで考慮されていなかった。
【0006】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、末端圧力の推定値に基づいて配水地域における配水圧力を管理する運転管理者を支援する圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による圧力制御支援装置は、配水場の監視又は制御を支援する支援情報を提供する装置であって、配水区域内の配水管網の複数の末端の少なくとも1つにおける圧力を推定する推定モデルを生成する圧力推定モデル生成部と、前記推定モデルを用いて前記末端の圧力の推定値を演算する圧力推定部と、少なくとも前記末端の圧力の前記推定値、および、管理値に基づいて、前記末端ごとの余剰圧力を算出する、余剰圧力算出部と、前記末端ごとの前記余剰圧力および前記推定値を表示するデータを生成する表示データ生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の圧力制御支援装置を含む配水システムのシステム構成の一例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の圧力制御支援装置において、推定地点の末端圧力の推定モデルを生成する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、圧力推定モデル生成部により生成された推定モデルの一例を概略的に示す図である。
図5図5は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定モデルを用いて圧力目標値を算出して可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、末端圧力表示データ生成部により表示された末端圧力と余剰圧力の一例を概略的に示す図である。
図7図7は、圧力目標値表示データ生成部により表示された圧力目標値の一例を概略的に示す図である。
図8図8は、推定根拠説明部により表示された推定根拠説明の一例を概略的に示す図である。
図9図9は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定地点の末端圧力を推定し、余剰圧力および圧力目標値を算出し、それらを可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、圧力変更シミュレーション部における入力とシミュレーション結果との一表示例を概略的に示す図である。
図11図11は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定モデルを用いて誤差情報を算出して可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、推定モデル説明部による誤差情報表示の一例を概略的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図14図14は、第3実施形態の圧力制御支援装置を含む配水システムのシステム構成の一例を概略的に示す図である。
図15図15は、第3実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図16図16は、第3実施形態の圧力制御支援装置において、推定モデルを再生成すべきと判定されてから、推定モデルが再生成される動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1乃至第3実施形態の圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の圧力制御支援装置を含む配水システムのシステム構成の一例を概略的に示す図である。
配水システム100は、圧力制御支援装置1、監視制御装置2、1以上の配水場3、1以上の末端圧力計測装置4、および、表示装置8を備え、配水管網5を介して水を1以上の需要家6に供給するシステムである。なお図1では、1以上の配水場3の例として配水場31及び32を示し、1以上の末端圧力計測装置4の例として末端圧力計測装置41、42を示し、1以上の需要家6の例として需要家61~63を示す。配水場3、末端圧力計測装置4及び需要家6の数は、図1の例と異なってもよい。
【0011】
圧力制御支援装置1、監視制御装置2、各配水場3、各末端圧力計測装置4のそれぞれは、互いに通信可能に構成される。配水システム100には、送水場等の送水施設(不図示)が含まれていても良い。
【0012】
圧力制御支援装置1は、配水場3を監視又は制御する監視制御装置2に対して、その制御又は監視を支援する情報(以下「支援情報」という。)を提供する。具体的には、圧力制御支援装置1は、各末端圧力計測装置4から配水管網5の末端圧力の計測値(実績値)を示す末端圧力情報を取得する。
【0013】
圧力制御支援装置1は、各配水場3から各配水場に関する諸量(以下「配水場諸量」という。)を示す配水場情報を取得する。配水場情報は、配水管網に水を配水する配水場の運転状態を示す。配水場情報には、例えば、配水場又は送水場における配水流量、配水の配水圧力等の配水場又は送水場等で取得された計測値(実績値)が含まれる。
【0014】
圧力制御支援装置1は、監視制御装置2から配水システム100における情報(以下「監視情報」という。)を取得する。監視情報は、配水管網5から需要家6に水を配水する配水システム100の監視の結果を示す。監視情報は、設けられたセンサの種類に応じて異なる情報が含まれる。設けられるセンサは、事業者に応じて異なり得る。例えば、配水管網の一部に水の流れを遮断するための止水バルブの開度を示すセンサ、管内水圧を途中で変更するためのバルブとその開度を示すセンサ、管内水圧又は管内流量を示すセンサ等が設置され得る。なお、センサはこれらに限定されず、他のどのようなセンサが設置されてもよい。
【0015】
圧力制御支援装置1は、取得した末端圧力情報、配水場情報及び監視情報に基づいて支援情報を生成する。例えば、支援情報には、配水管網5の各末端における末端圧力の推定値が含まれる。また、支援情報には、末端圧力の推定値に基づいて生成された情報や、末端圧力の推定値に基づく判定結果等が含まれてもよい。
【0016】
監視制御装置2は、圧力制御支援装置1から提供される支援情報を用いて配水場3を監視又は制御する装置である。例えば、監視制御装置2は、各配水場3における配水ポンプの稼働台数や出力強度の調整や、水の供給源である配水池の水位の監視等を行う。
【0017】
配水場3は、需要家6に供給する水を貯える配水池や、配水池の水を配水管網5に送り出す配水ポンプ等の各種設備(不図示)を有し、配水管網5を介して配水池の水を各需要家6に供給する施設である。配水場3が有する各種設備は、監視制御装置2によって監視又は制御される。また、配水場3は、自施設において観測可能な諸量(配水場諸量)を示す配水場情報を圧力制御支援装置1に送信する。
【0018】
一般に、配水管網5の末端圧力は、配水場3におけるポンプの配水流量又は配水圧力との相関性が高いと考えられる。そのため、配水場情報には少なくともポンプの配水流量又は配水圧力を示す情報が含まれる。また、配水管網5の末端圧力は、配水場3における配水池の水位にも相関すると考えられるため、配水場情報には配水池の水位を示す情報が含まれてもよい。
【0019】
末端圧力計測装置4は、配水管網5の末端圧力を計測する装置である。末端圧力計測装置4は、配水管網5の末端に一時的に設けられる。末端とは、配水管網5において圧力が計測又は推定される場所である。末端の場所は予め指定される。例えば、末端は、配水管網5において、圧力が低くなる可能性又は危険性が高いと考えられる場所が指定されてもよい。例えば、末端は、末端における圧力が所定の閾値以上であれば配水管網5における他の地点でも需要家6に水を搬送できる程度の圧力が確保されると考えられる場所が指定されてもよい。所定の閾値とは例えば、配水管網の他のどの場所よりも低い値であってもよいし、予め指定された値であってもよい。例えば、末端は、他の末端の末端圧力を推定する推定モデルの精度を高めるうえで、高い寄与率を有すると考えられる場所であってもよい。なお、末端は、予め指定された場所であればどのような場所であってもよい。
【0020】
末端圧力計測装置4は、計測した末端圧力の計測値を示す末端圧力情報を圧力制御支援装置1に送信する。末端圧力とは、末端の圧力である。
なお、本実施形態の圧力制御支援装置1および給水システムのユーザとは、例えば、運転管理者や、装置/システムの提供者であってもよく、水道事業者であってもよいし、水道事業者から業務委託を受けた事業者であってもよい。
表示装置8は、圧力制御支援装置1から出力された映像信号に基づく映像を提示するための映像出力装置である。表示装置8は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の出力装置である。なお、表示装置8は、圧力制御支援装置1に含まれていてもよく(すなわち圧力制御支援装置1の図示しない表示部であってもよく)、監視制御装置2に含まれていてもよく、監視制御装置2から出力された映像信号に基づく映像を提示するように構成されてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
圧力制御支援装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、補助記憶装置と、各構成間を通信可能に接続するバスと、を備え、プログラムを実行することにより種々の機能を実現可能な演算装置である。
【0022】
圧力制御支援装置1は、プログラムの実行によって通信部(不図示)、入力部(不図示)、表示部(不図示)、記憶部(不図示)及び制御部(不図示)を備える装置として機能し得る。なお、圧力制御支援装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0023】
通信部は、例えばネットワークインタフェースである。通信部は監視制御装置2、配水場3及び末端圧力計測装置4と通信する。通信部は、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Bluetooth(登録商標)又はLTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の通信方式で通信してもよい。
【0024】
入力部は、タッチパネル、マウス及びキーボード等の入力装置を用いて構成され得る。入力部は、入力装置を圧力制御支援装置1に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部は、入力装置において入力された入力信号から入力データ(例えば、圧力制御支援装置1に対する指示を示す指示情報)を生成し、圧力制御支援装置1に入力する。
【0025】
表示部は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の出力装置である。表示部は、出力装置(例えば表示装置8)を圧力制御支援装置1に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部は、映像データから映像信号を生成し自身に接続されている映像出力装置に映像信号を出力する。
【0026】
記憶部は、監視制御装置2に対して支援情報を提供するために用いられる各種の情報を記憶する。記憶部は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部は、後述する末端圧力情報記憶部1B及び配水情報記憶部1Cおよび設定情報記憶部1Aを備え得る。なお、記憶部は、圧力制御支援装置1に含まれていてもよく、圧力制御支援装置1に外付けされて監視制御装置2との間で各種情報を通信可能に構成されてもよい。
【0027】
制御部は、圧力制御支援装置1の各部の動作を制御する。制御部は、例えばCPU等のプロセッサ及びRAM等のメモリを備えた装置により実現し得る。制御部は、プログラムを実行することによって、ソフトウェアにより又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、情報取得部1Dをはじめ、圧力制御支援装置1の各処理ブロックの機能を実現することができる。
【0028】
圧力制御支援装置1は、設定情報記憶部1Aと、末端圧力情報記憶部1Bと、配水情報記憶部1Cと、情報取得部1Dと、推定根拠説明部1Eと、圧力推定モデル生成部1Fと、圧力推定部1Gと、末端圧力表示データ生成部1Hと、誤差情報算出部1Iと、推定モデル説明部1Jと、余剰圧力算出部1Kと、余剰圧力表示データ生成部1Lと、圧力目標値導出部1Mと、圧力目標値表示データ生成部1Nと、シミュレーション条件入力部1Oと、圧力変更効果導出部1Pと、圧力変更シミュレーション部1Qと、を備えている。
【0029】
設定情報記憶部1Aには、末端圧力の管理値の情報のほか、地図表示や系統図表示に必要な、配水場、弁、末端等の位置情報、名称、関係情報などが記録される。
情報取得部1Dは、支援情報を提供するために用いられる各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部1Dは、各配水場3から配水場情報を取得する。情報取得部1Dは、監視制御装置2から監視情報を取得する。情報取得部1Dは、各末端圧力計測装置4から末端圧力情報を取得する。
【0030】
情報取得部1Dは、取得した配水場情報及び監視情報を配水情報記憶部1Cに記録する。情報取得部1Dは、取得した末端圧力情報を末端圧力情報記憶部1Bに記録する。情報取得部1Dは、配水場情報、監視情報及び末端圧力情報を所定のタイミングで周期的に繰り返して取得することによって、配水場情報、監視情報及び末端圧力情報を末端圧力情報記憶部1B及び配水情報記憶部1Cに周期的に記録し、情報を蓄積する。
【0031】
圧力推定モデル生成部1Fは、指定の期間における、配水情報記憶部1Cに記録された配水情報と、末端圧力情報記憶部1Bに蓄積された末端圧力情報とを学習用データとして推定モデルを生成する。推定モデルは、末端地点ごとに生成されても良いし、全ての末端地点に関して1つの推定モデルでも良い。圧力推定モデル生成部1Fには、教師あり学習によって識別器を生成又は更新するための機械学習技術等が適用される。
【0032】
圧力推定モデル生成部1Fは、学習用データに基づいて機械学習処理を行うことによって、配水情報に含まれる配水場情報と監視情報と配水管網5の末端圧力情報との関係性を学習する。より具体的には、圧力推定モデル生成部1Fは、配水情報内の配水場情報と監視情報とを説明変数、配水管網5の末端圧力情報を目的変数として、これらの関係性を示す推定モデルを生成する。圧力推定モデル生成部1Fは、生成された識別器を表すパラメータ等のデータを学習結果として圧力推定部1Gに出力する。以下、必要に応じて、上記関係性の学習を「末端圧力の学習」という。
【0033】
圧力推定部1Gは、圧力推定モデル生成部1Fによって学習された配水情報内の配水場諸量と監視情報と配水管網5の末端圧力との関係性に基づいて、与えられた配水情報に対応する末端圧力を推定する。圧力推定部1Gは、圧力推定モデル生成部1Fによって末端圧力の学習が行われた末端について、末端圧力を推定することができる。
【0034】
末端圧力表示データ生成部1Hは、圧力推定部1Gの推定によって得られた末端圧力値を、出力部を介して例えば表示装置8の画面等に表示するデータを生成する。運転管理者にとって把握しやすいように、単に末端圧力値の数値を表示するだけでなく、トレンドグラフや棒グラフなどのグラフで可視化される。
【0035】
推定根拠説明部1Eは、圧力推定部1Gの推定結果に関して、どのようにその推定結果が得られたかの説明に繋がる情報を生成し、出力部を介して例えば表示装置8の画面等に表示するデータを生成する。例えば推定モデルが決定木で生成されている場合、推定モデルの入力値に相当するパスが決定木上のどのパスに相当するかをハイライトするなどして可視化することで、推定結果がどのように得られたかを示すことができる。
【0036】
誤差情報算出部1Iは、圧力推定モデル生成部1Fが生成した推定モデルが推定値にどの程度の誤差を含みうるのかを、実際の誤差データを統計することで算出する。推定モデルの学習データとして使用していない別の期間の、配水情報記憶部1Cに記録された配水情報と、末端圧力情報記憶部1Bに蓄積された末端圧力情報とを評価用データとして使用する。配水情報をもとに得られた末端圧力の推定値と末端圧力情報として蓄積されている実測値を比較し、その誤差を算出する。誤差情報算出部1Iは、時刻ごとの推定値と実測値の誤差だけでなく、統計対象期間の指定を受けて、指定された期間中の平均絶対誤差や最大誤差を算出する。また、誤差情報算出部1Iは、余剰圧力の算出に必要な、末端地点ごとの見込み誤差を算出する。見込み誤差とは推定値に見込まれる誤差を意味する。
【0037】
誤差情報算出部1Iは、これらの誤差情報の算出を、末端地点ごと、かつ時刻ごとに行う。誤差情報算出部1Iが誤差情報を算出する時間粒度は、1時間単位でも良いし、1分単位でも良い。時間粒度は設計パラメータとして事前に決定されるものである。
【0038】
推定モデル説明部1Jは、誤差情報算出部1Iが出力した誤差情報を、出力部を介して例えば表示装置8の画面上に表示するデータを生成する。また、推定モデル説明部1Jは、推定モデルを説明する文章又は図表等を表す説明情報を、出力部を介して例えば表示装置8の画面上に表示させる。
【0039】
余剰圧力算出部1Kは、少なくとも各末端地点の末端圧力の推定値と、各末端圧力の管理下限値とに基づいて、前記末端ごとの余剰圧力を算出することができる。本実施形態では、余剰圧力算出部1Kは、圧力推定部1Gの推定によって得られた各末端地点の末端圧力値と、誤差情報算出部1Iが算出した各末端地点の見込み誤差と、設定情報記憶部1Aに記録された各末端圧力の管理下限値から、末端ごとの余剰圧力を算出する。具体的には、余剰圧力=(末端圧力値-管理下限値)-見込み誤差のように算出可能である。見込み誤差を考慮することで、推定値に基づく余剰圧力が実際の余剰圧力より大きな値となるリスクを軽減できる。
【0040】
余剰圧力算出部1Kは、各末端地点の余剰圧力から、配水区域全体の余剰圧力を算出する。具体的には、配水区域内の全ての末端地点の中で最も小さい余剰圧力の値を配水区域全体の余剰圧力とする。
【0041】
余剰圧力表示データ生成部1Lは、余剰圧力算出部1Kが算出した末端地点ごとの余剰圧力と配水区域全体の余剰圧力のうち少なくとも1つを、出力部を介して例えば表示装置8の画面に表示させるデータを生成する。なお、余剰圧力は、運転管理者にとって把握しやすいように、単に数値を表示するだけでなく、トレンドグラフや棒グラフなどのグラフで可視化され得る。また、運転管理者が余剰圧力と末端圧力とを関連付けて把握しやすいように、余剰圧力と末端圧力は同一画面上で並べる、または、重畳する形で比較可能に可視化される。
【0042】
圧力目標値導出部1Mは、余剰圧力算出部1Kが算出した現在の余剰圧力の値と、各配水場の現在の配水圧力の値とから、圧力目標値を導出する。具体的には、圧力目標値導出部1Mは、圧力目標値を現在の配水圧力から配水区域全体の余剰圧力を引いた差(圧力目標値=現在の配水圧力-配水区域全体の余剰圧力)として、配水場ごとの圧力目標値を導出できる。
【0043】
圧力目標値表示データ生成部1Nは、各配水場の現在の配水圧力の値と圧力目標値とを表示するデータを生成する。運転管理者は、表示された値に基づいて、各配水場の配水圧力を現在の値から圧力目標値まで下げることで、水の安定供給を維持しつつ、管の負担軽減、漏水の削減、配水のためのエネルギーの削減を実現できる。
【0044】
後述する圧力変更シミュレーションでは、過去から現在に至るまでのうち、指定された所定時間(例えば24時間)における配水圧力値を含む配水情報と、監視情報(=推定モデルの入力に相当)と、末端圧力値(=推定モデルの出力に相当)と、余剰圧力と、を取り出して、仮に配水圧力を変更した場合の末端圧力及び余剰圧力の値を導出する。また、併せて、配水圧力を変更した場合の効果として、漏水削減率を導出する。
【0045】
シミュレーション条件入力部1Oは、入力部を介して、運転管理者から、圧力変更シミュレーションを実行するために指定すべき条件を取得する。シミュレーション条件入力部1Oは、シミュレーション対象期間(何月何日何時から24時間)と、時間ごとの配水圧力の変更量(たとえば2時は-0.05MPa、3時は-0.03MPaなど)とを取得する。
【0046】
圧力変更シミュレーション部1Qは、シミュレーション条件入力部1Oが取得した対象期間の配水情報と監視情報(推定モデルの入力に相当)を記憶部から取り出す。圧力変更シミュレーション部1Qは、シミュレーション条件入力部1Oが取得した時間ごとの配水圧力の変更量(配水圧力設定変更情報)に基づいて、対象期間における配水場3の配水圧力の値を変更した値を入力として、末端圧力の推定値と余剰圧力を出力する。
【0047】
圧力変更効果導出部1Pは、圧力変更シミュレーション部1Qのシミュレーション結果を受けて、配水圧力の変更によってどのような効果が得られるのかを導出する。具体的には、配水区域内の全末端の変更前の平均末端圧力と、変更後の平均末端圧力の値とから、漏水削減率(XX%)を算出する。
【0048】
図3は、第1実施形態の圧力制御支援装置において、推定地点の末端圧力の推定モデルを生成する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
ここでは、第1実施形態の圧力制御支援装置について、3つの配水場(第1配水場~第3配水場)から配水される配水区域において、推定地点の末端圧力の推定モデルを生成する場合の例について説明する。なお、推定地点とは、末端圧力が推定される場所を表す。
【0049】
情報取得部1Dは、各末端圧力計測装置4から末端圧力情報を、各配水場3から配水場情報を、監視制御装置2から監視情報を取得する(ステップSA1)。配水場情報とは、例えば、第1配水場の配水流量、第1配水場の第1管の吐出圧力、第1配水場の第2管の吐出圧力、第2配水場の配水流量、第2配水場の第1管の吐出圧力、第2配水場の第2管の吐出圧力、第3配水場の配水流量、第3配水場の第1管の吐出圧力、第3配水場の第2管の吐出圧力、送水場の配水流量、送水場の第1管の吐出圧力、送水場の第2管の吐出圧力である。監視情報とは、例えば、第1地点の止水バルブの開度である。
【0050】
情報取得部1Dは、取得した末端圧力情報を末端圧力情報記憶部1Bに記録する。情報取得部1Dは、取得した配水場情報及び監視情報を配水情報記憶部1Cに記録する。このような情報の取得を一定期間、繰り返し実行することにより、圧力制御支援装置1は、末端圧力情報、配水場情報及び監視情報を蓄積する(ステップSA2)。本実施形態では、一時間毎に取得された各情報が28日分蓄積されるものとして説明する。以下、蓄積された末端圧力情報、配水場情報及び監視情報を14日ずつで2分割し、前半の14日分を学習用データ、後半の14日分を評価用データと呼ぶ。
【0051】
圧力推定モデル生成部1Fは、学習データを用いて、配水情報記憶部1Cに蓄積された過去の配水情報(配水場情報及び監視情報)を説明変数、過去の末端圧力情報記憶部1Bに蓄積された末端圧力情報を目的変数として、これらの関係性を学習することで推定モデルを生成する(ステップSA3)。具体的には、圧力推定モデル生成部1Fは、上述の項目の配水情報(第1配水場の配水流量、第1配水場の第1管の吐出圧力、第1配水場の第2管の吐出圧力、第2配水場の配水流量、第2配水場の第1管の吐出圧力、第2配水場の第2管の吐出圧力、第3配水場の配水流量、第3配水場の第1管の吐出圧力、第3配水場の第2管の吐出圧力、送水場の配水流量、送水場の第1管の吐出圧力、送水場の第2管の吐出圧力、第1地点の止水バルブの開度)及び配水情報が取得された時刻、を説明変数、推定地点の末端圧力を目的変数として、機械学習によって推定モデルを生成する。本実施形態では、圧力推定モデル生成部1Fは、例えば決定木アルゴリズムを用いて推定モデルを生成する。
【0052】
図4は、圧力推定モデル生成部により生成された推定モデルの一例を概略的に示す図である。
推定モデル説明部1Jは、推定モデルを説明する文章又は図表等を表す説明情報を、出力部を介して例えば表示装置8の画面上に表示するデータを生成する。得られた推定モデルは、たとえば図4のように可視化される。決定木では、説明変数の値に対して閾値で判定することで末端圧力が推定される。決定木の終端ノードでは、推定地点の末端圧力の推定値が示される。決定木は、説明情報の一態様である。なお、図4の各ノード又は終端ノードには、学習用データのサンプル数が表示されていてもよいし、MSE(Mean Squared Error)の値が表示されていてもよい。
【0053】
誤差情報算出部1Iは、生成された推定モデルと評価データとを用いて、末端圧力の推定値を取得し、実測値と推定値の誤差を算出する。また、誤差情報算出部1Iは、評価データの14日間における誤差を統計し、末端地点ごとの平均絶対誤差、最大誤差を算出する。さらには、誤差情報算出部1Iは、末端地点ごとかつ時刻ごとの平均絶対誤差、最大誤差を算出する。このうち、設定パラメータにおける指定に基づいて、例えば、最大誤差を末端地点ごとかつ時刻ごとの見込み誤差とする(ステップSA4)。
【0054】
続いて、第1実施形態の圧力制御支援装置について、3つの配水場(第1配水場~第3配水場)から配水される配水区域において、推定地点の末端圧力を推定し、余剰圧力を算出し、圧力目標値を算出し、それらを可視化する動作の一例について説明する。
【0055】
図5は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定モデルを用いて圧力目標値を算出して可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
圧力推定部1Gは、配水情報記憶部1Cから配水場情報と監視情報を取得する(ステップSB1、SB2)。配水場情報とは、例えば、第1配水場の配水流量、第1配水場の第1管の吐出圧力、第1配水場の第2管の吐出圧力、第2配水場の配水流量、第2配水場の第1管の吐出圧力、第2配水場の第2管の吐出圧力、第3配水場の配水流量、第3配水場の第1管の吐出圧力、第3配水場の第2管の吐出圧力、送水場の配水流量、送水場の第1管の吐出圧力、送水場の第2管の吐出圧力である。監視情報とは、例えば、第1地点の止水バルブの開度である。なお、図5では、配水場情報を取得(ステップSB1)した後に監視情報を取得(ステップSB2)する手順を示しているが、ステップSB1とステップSB2との順序は逆であってもよく、ステップSB1とステップSB2とが同時に行われても構わない。
【0056】
圧力推定部1Gは、ステップSB1とステップSB2とで取得した値を入力として、推定モデルを用いて末端圧力を推定する(ステップSB3)。
【0057】
次に、圧力推定部1Gは、余剰圧力を算出するために設定情報記憶部1Aから末端圧力の管理下限値を取得し(ステップSB4)、誤差情報算出部1Iが算出した見込み誤差を取得する(ステップSB5)。圧力推定部1Gは、末端圧力の推定値と管理下限値と見込み誤差とから、末端ごとの余剰圧力および配水区域全体の余剰圧力を算出する(ステップSB6)。
【0058】
圧力目標値導出部1Mは、配水区域全体の余剰圧力と、配水情報記憶部1Cから取得した現在の配水場の配水圧力とから、各配水場の圧力目標値を導出する(ステップSB7)。
【0059】
これらの結果、末端圧力表示データ生成部1Hは末端圧力を、余剰圧力表示データ生成部1Lは配水区域全体の余剰圧力を、圧力目標値表示データ生成部1Nは圧力目標値を、出力部を介して、例えば表示装置8の画面上に表示するデータを生成する(ステップSB8)。
【0060】
図6は、末端圧力表示データ生成部により表示された末端圧力と余剰圧力の一例を概略的に示す図である。
図6の上段に配水圧力および流量(推定モデルの入力に相当)を示すグラフG1、中段に各末端地点の末端圧力の推定値のグラフG2、下段に配水区域全体の余剰圧力と時刻ごとの見込み誤差とを示すグラフG3を表示している。それぞれ時間軸(横軸)をそろえて、直近24時間の値を可視化したものである。
【0061】
このように関連する情報を並べて(若しくは重畳して)、比較可能となるように運転管理者に提示することで、運転管理者は、どのような配水情報と監視情報を基に末端圧力推定値が得られたか、どのような末端圧力の状態で何時頃にどれくらいの余剰圧力が存在していたかを把握できる。
【0062】
また、図6では、配水区域マップMPを合わせて表示している。配水区域マップMPには、グラフで表示した末端圧力と余剰圧力とに対応する配水区域に含まれる配水場(第1配水場~第3配水場)と、末端a-cの位置関係が概略的に示されている。運転管理者が、例えば、配水区域マップMPに示された末端a-cのいずれかを例えば表示装置8の画面上で選択することにより、選択された末端に対応するグラフが強調して表示されてもよい。
【0063】
図7は、圧力目標値表示データ生成部により表示された圧力目標値の一例を概略的に示す図である。
図7では、各配水場の現在の配水圧力と圧力目標値を表示している。また、末端における管理下限値、末端圧力の推定値、そこから想定される余剰圧力も併せて表示している。運転管理者は、提示された末端圧力の推定値や、想定される余剰圧力などを考慮して、配水圧力を調整することが可能である。
最後に、推定根拠説明部1Eが、推定根拠を表示する(ステップSB9)。
【0064】
図8は、推定根拠説明部により表示された推定根拠説明の一例を概略的に示す図である。
ここでは、推定値が決定木上のどのパスで得られたかを示すように、該当のパス上のノードがハイライトによって強調表示されている。この場合、決定木のパスは、第3配水場_流量が331.5以下であるか否かを判断するノードではFalseを経由して、第1配水場_第2管の吐出圧力が0.575以下であるか否かを判断するノードではTrueを経由したことがわかる。
【0065】
また、推定された末端圧力の値は0.3824であることがわかる。なお、推定根拠説明のおける強調表示の方法は、例えば、該当パス上のノードを描画する線を太線としてもよいし、色又は明るさを変更してもよいし、どのような態様で表示されてもよい。このように、推定モデルの中身を可視化し、かつ推定結果と連動した見せ方をすることで、運転管理者は推定根拠を把握することができ、納得度を高めることができる。
【0066】
次に、第1実施形態の圧力制御支援装置について、推定地点の末端圧力を推定し、余剰圧力および圧力目標値を算出し、それらを可視化する動作について説明する。
図9は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定地点の末端圧力を推定し、余剰圧力および圧力目標値を算出し、それらを可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0067】
まず、運転管理者が、入力部を介してシミュレーション条件を入力する。シミュレーション条件とは、対象期間および各時刻における配水圧力の変更量である。このことにより、シミュレーションのベースとなる対象期間が指定される(ステップSC1)。
【0068】
シミュレーション条件入力部1Oは、入力されたシミュレーション条件を取得し、対象期間の配水場の配水圧力の値と、配水圧力の変更量から、仮の配水圧力設定値を算出する(ステップSC2)。圧力変更シミュレーション部1Qが、仮の配水圧力設定値(配水圧力設定変更情報)を入力として、推定モデルを用いて末端圧力を推定し(ステップSC3)、末端圧力の推定値から末端ごとの余剰圧力および配水区域全体の余剰圧力を算出する(ステップSC4)。なお、末端圧力の推定と余剰圧力の算出などの処理は、内部的には圧力推定部1Gや余剰圧力算出部1Kが実行してもよい。
【0069】
続いて、圧力変更効果導出部1Pが、末端圧力の推定値に基づいて、圧力変更効果を導出する(ステップSC5)。
最後に、圧力変更シミュレーション部1Qが、出力部を介して、例えば表示装置8の画面上に圧力変更前後の配水圧力、末端圧力、余剰圧力、および圧力変更効果を表示するデータを生成する(ステップSC6)。
【0070】
図10は、圧力変更シミュレーション部における入力とシミュレーション結果との一表示例を概略的に示す図である。
図10の上段は、シミュレーション設定を示すグラフG4であり、図10の下段はシミュレーション結果を示すグラフG5である。末端圧力と余剰圧力は、運転管理者の操作により切り替えて表示できるようになっている。上段のグラフG4において折れ線で指定された圧力変更量の場合、想定される漏水削減率が9.9%であることが、下段のグラフG5近傍に表示されている。
【0071】
次に、第1実施形態の圧力制御支援装置について、誤差情報を算出して可視化する動作の一例について説明する。
図11は、第1実施形態の圧力制御支援装置が、推定モデルを用いて誤差情報を算出して可視化する動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0072】
誤差情報算出部1Iは、設定情報記憶部1Aから誤差算出方法の指定に関するパラメータを取得し、誤差算出方法を決定する(ステップSD1)。誤差情報算出部1Iは、決定した誤差算出方法に基づいて、学習データと評価データを決定する(ステップSD2)。
【0073】
誤差算出方法として、例えば、第1方法は、14日間の学習データで推定モデルを生成し、14日間の評価データに対する推定値と真値との誤差情報を算出する方法である。例えば、第2方法は、14日間の学習データで推定モデルを生成し、同じ14日間のデータを評価データの代替として使用して推定値と真値との誤差情報を算出する方法である。第2方法の場合、誤差情報の信頼性が下がる代わりに、評価データの収集期間が短くなるため、早期に実運用を開始できるメリットがある。
【0074】
以下では、第1方法を誤差算出方法に決定した例について説明する。すなわち、誤差情報算出部1Iは、学習データを用いて推定モデルを生成し、評価データを対象に推定値を算出する(ステップSD3)。
【0075】
誤差情報算出部1Iは、第1方法で推定値と真値との誤差を算出する(ステップSD4)。また、誤差情報算出部1Iは、算出した結果を統計し、末端ごとの平均絶対誤差と最大誤差とを算出するとともに、末端ごとかつ時刻ごとの平均絶対誤差と最大誤差とを算出する(ステップSD5)。
最後に、推定モデル説明部1Jは、算出した誤差情報を、出力部を介して、例えば表示装置8の画面上に表示するデータを生成する(ステップSD6)。
【0076】
図12は、推定モデル説明部による誤差情報表示の一例を概略的に示す図である。
図12の上段のグラフG6には、末端ごとの平均絶対誤差と最大誤差とが棒グラフで表示されている。画面上ではプルダウンメニューで時刻を指定できるようになっており、グラフG6では10時の誤差が表示されている。またプルダウンメニューで時刻を指定しない場合、グラフG6に全時刻で統計された誤差が表示されてもよい。
【0077】
中段のグラフG7には、指定の末端地点における、時刻毎の平均絶対誤差と最大誤差とが示されている。
【0078】
下段のグラフG8には、指定の末端地点における末端圧力の推定値と実測値とがトレン
ドグラフで示されている。また、時刻ごとの誤差として、(推定値-実測値)の差分がプラス誤差とマイナス誤差を識別できるように表示されている。
【0079】
このように誤差情報を表示することにより、運転管理者は、グラフG6により複数の末端に関する誤差を把握でき、グラフG7およびグラフG8により特に注目したい末端に関する詳細な誤差の情報を把握できる。運転管理者は、末端地点による誤差の違いや時刻による誤差の違い、誤差の方向(プラス/マイナス)などの誤差情報を確認することにより、末端圧力の推定値には誤差が含まれているということを認識した上で、配水圧力を下げることを検討できる。
【0080】
上記のように、本実施形態によれば、末端圧力の推定値に基づいて配水地域における配水圧力を管理する運転管理者を支援する圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法を提供することが出来る。
【0081】
なお、上記第1実施形態では、機械学習手法として決定木アルゴリズムを採用した例について説明したが、機械学習手法は決定木アルゴリズムに限定されるものではない。例えば、深層学習や、線形回帰、ランダムフォレスト、など他の手法を機械学習手法として採用しても良い。また、複数の手法を組み合わせても良い。
【0082】
また、本実施形態において、誤差情報算出部1Iによって算出される誤差の種類は平均絶対誤差や最大誤差に限定するものではなく、平均誤差や最小誤差、RMSE(Root Mean Square Error)など、他の誤差の種類でも良い。
【0083】
また、本実施形態において、誤差情報算出部1Iによって算出される見込み誤差は最大誤差に限定するものではなく、平均絶対誤差や最小誤差、あるいは複数の誤差の値を基に算出した値などを見込み誤差としても良い。
【0084】
また、本実施形態において、配水区域全体の余剰圧力の算出方法は、全末端地点の中で最小の余剰圧力のみに限定するものではない。一部の末端地点の余剰圧力のみを対象として算出しても良いし、最小ではなく平均の余剰圧力を求めるなど他の方法で算出した値でも良い。
【0085】
また、本実施形態において、シミュレーションの対象期間は1日に限定するものではない。2日でも7日でも良いし、あるいは意図的に不連続な日を数日抽出して、シミュレーション対象としてもよい。所定時刻から所定時間の間をシミュレーション対象期間としてもよい。
また、本実施形態において、シミュレーションの圧力設定は時単位に限るものではない。たとえば、30分単位や2時間単位などでも良い。
【0086】
また、本実施形態において、漏水削減率の計算方法は一例であり、別の計算方法でも良い。また、漏水削減率の導出で末端地点の圧力を基準にしているのは一例であり、配水圧力など別の地点の圧力を基準にしても良い。なお、漏水削減率はXX%~YY%などの範囲を持つものでも良い。
【0087】
また、本実施形態において、圧力変更効果は漏水削減率に限るものではない。漏水削減率以外の効果を圧力変更効果として示しても良いし、それらを漏水削減率と併せて表示しても良い。漏水削減率以外の例として、例えば、漏水削減量や様々なコスト削減量がある。例えば、送水ポンプや追塩設備などの電力コスト、浄水場での薬品コストなどの削減量を圧力変更効果としても良い。
【0088】
また、本実施形態では配水区域への水の流入点として配水場に言及し、配水場の配水圧力と配水流量に着目しているが、水の流入点は必ずしも配水場に限定されるものではない。実際には配水場以外に、配水区域の流入点の圧力制御が可能な弁なども配水場と同等に水の流入点として考えることができる。
【0089】
また、本実施形態では根拠説明として決定木アルゴリズムの推定におけるパスを挙げているが、このようにアルゴリズムの内部的な情報を根拠として提示することに限るものではない。例えば、入力値が類似している過去の複数の事例を提示して、今回の推定結果と似た値を示していることで、根拠説明としてもよい。
いずれの場合であっても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
次に、第2実施形態の圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
図13は、第2実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
上述の第1実施形態の圧力制御支援装置1は、運転管理者に支援情報を提示し、実際の制御に反映するか否かは運転管理者が決定するものとしていた。これに対し、本実施形態の圧力制御支援装置1は、配水圧力の制御目標値を制御情報としてコントローラに出力し、自動的に制御する仕組みを備えている。
【0092】
すなわち、本実施形態において、圧力制御支援装置1は、制御情報出力部1Rと、コントローラCTRとを更に備えている。なお、コントローラCTRは、圧力制御支援装置1に含まれていてもよく、配水システムの構成として圧力制御支援装置1の外部に設けられても良い。
制御情報出力部1Rは、圧力目標値導出部1Mが算出した圧力目標値をコントローラCTRに出力する。
【0093】
コントローラCTRは、制御情報出力部1Rから受信した配水圧力目標値に従って、配水圧力を制御する。コントローラCTRは、例えば、プロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備える演算装置である。
【0094】
本実施形態の圧力制御支援装置1は、上記以外の構成は上述の第1実施形態の圧力制御支援装置1と同様である。本実施形態では、例えば上述の第1実施形態の圧力制御支援装置1を用いて一定期間の運用をした後に、推定値に基づいて実際に配水圧力を小さくして余剰圧力を削減することに対する運転管理者の心理的にハードルが下がった場合、運転管理者を介することなく余剰圧力を削減するように配水圧力を制御可能である。運転管理者にとっては、手を煩わせることなく適切な配水圧力制御が可能となり、空いた時間を別のタスクに活用できるメリットが生まれる。
【0095】
すなわち、本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果が得られるものであって、末端圧力の推定値に基づいて配水地域における配水圧力を管理する運転管理者を支援する圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法を提供することが出来る。
【0096】
次に、第3実施形態の圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法について図面を参照して詳細に説明する。
図14は、第3実施形態の圧力制御支援装置を含む配水システムのシステム構成の一例を概略的に示す図である。
【0097】
本実施形態の配水システムは、圧力推定モデルを再学習する仕組みをさらに備える点において上述の第1実施形態の圧力制御支援装置と相違している。
圧力推定モデルは、人口増減や町の開発等によって、配水網/配水区域の状況が中長期的に変化し、生成済みの推定モデルが十分な精度で末端圧力を推定できなくなる可能性がある。本実施形態の配水システムは、このような場合に、圧力推定モデルを再学習する構成を備えている。
【0098】
具体的には、本実施形態の配水システムは、常設末端圧力計測装置7を更に備えている点において上述の第1実施形態と相違している。常設末端圧力計測装置7が設置されている末端地点については、末端圧力を推定する必要がなく、実測値が収集され得る。
【0099】
図15は、第3実施形態の圧力制御支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の圧力制御支援装置1は、圧力推定モデル再生成部1Sと圧力推定モデル再生成判定部1Tとを更に備えている点において上述の第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態の圧力制御支援装置1と異なる点について説明する。
【0100】
圧力推定モデル再生成判定部1Tは、配水区域の状況が変化していることを示唆する情報を基に、一定以上の状況変化を検知し、圧力推定モデルを再生成すべきであると判定する。圧力推定モデル再生成判定部1Tの判定結果は、出力部を介して、例えば表示装置8の画面上に表示されるなどして、運転管理者が把握できるようになる。(メール等で通知しても良いし、運転管理者以外に装置/システムの提供者にメンテナンスを促す連絡がいってもよい。)
【0101】
圧力推定モデル再生成部1Sは、例えば、圧力推定モデル再生成判定部1Tの判定結果に基づいて、若しくは、運転管理者の操作により圧力推定モデルを再生成する指令を受けたときに、指定の期間の配水情報と監視情報と末端圧力情報とを用いて、推定モデルを再生成する。
本実施形態の圧力制御支援装置1は、上記の構成以外は上述の第1実施形態と同様である。
【0102】
図16は、第3実施形態の圧力制御支援装置において、推定モデルを再生成すべきと判定されてから、推定モデルが再生成される動作の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、情報取得部1Dは、配水区域の状況変化を把握するための情報を取得する(ステップSE1)。圧力推定モデル再生成判定部1Tは、配水区域の状況変化を監視するための情報として、例えば、常設末端圧力計測装置7から末端圧力情報を常時取得し、末端圧力情報記憶部1Bに記録する。
【0103】
圧力推定モデル再生成判定部1Tは、常設末端圧力計測装置7から取得された末端地点の実測値と、同地点の末端圧力を推定して得られる推定値の誤差を算出する。続いて、圧力推定モデル再生成判定部1Tは、設定情報記憶部1Aに記録されている設定パラメータから誤差統計対象期間長を取得する。たとえば、7日間とする。圧力推定モデル再生成判定部1Tは、最新の7日間の実測値と推定値の誤差を統計し、平均絶対誤差を算出する。この値を、推定モデル生成時の誤差情報算出で得られた平均絶対誤差と比較し、誤差が2倍以上(所定の閾値以上)になれば、推定モデルを再生成すべきと判定する(ステップSE2)。すなわち、推定モデル生成当初の誤差と現在の誤差の乖離度合を判断要素とする。
【0104】
次に情報取得部1Dは、推定モデル再生成のために末端地点に設置された末端圧力計測装置41、42から推定地点の末端圧力の実測値を一定期間取得し、末端圧力情報記憶部1Bに記録する。
【0105】
圧力推定モデル再生成部1Sは、配水情報、監視情報、末端圧力情報(新たに取得された実測値)を用いて、推定モデルを改めて生成する(再学習する)(ステップSE3)。
【0106】
以後は、図5に示すステップSA1-SB9と同様に、圧力推定部1Gが、再生成された推定モデルを用いて末端圧力を推定し、末端圧力、余剰圧力、圧力目標値、根拠説明を導出し、表示するデータを生成する(ステップSE4)。また、図8に示すステップSD1-SD6と同様に、誤差情報を算出し、表示するデータを生成する(ステップSE5)。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、配水区域の状況変化に応じて推定モデルを再学習して更新可能な構成を備えることにより、推定モデルによる推定の精度が低下することを抑制し、推定値と実測値とが乖離することを回避することが出来る。
【0108】
すなわち、本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果が得られるものであって、末端圧力の推定値に基づいて配水地域における配水圧力を管理する運転管理者を支援する圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法を提供することが出来る。
【0109】
なお、圧力推定モデル再生成判定部がなく、判定作業は運転管理者等が実施した後に、運転管理者等が入力部を介してトリガーを入力することで、圧力推定モデル再生成部1Sが再学習の処理を開始しても良い。
【0110】
また、本実施形態において、平均絶対誤差の乖離を判定する基準(条件)について限定するものではなく、乖離を判定する際の閾値は2倍に限らず、1.5倍や3倍でも良い。また、閾値は比率でなくとも、差分が所定の閾値以上であることで判定しても良い。また、平均絶対誤差ではなく最大誤差や最小誤差など、他の誤差でも良い。
【0111】
さらには、乖離を判定する際に用いる情報は、常設末端圧力計測装置7が設置されている末端地点の推定値と実測値との誤差情報に限定するものではない。例えば、人口、給水戸数、末端地点の数、日配水量、時間配水量のような情報、および、これらを組み合わせた情報を基に判定することも可能である。
【0112】
以上のように、第1乃至第3実施形態によれば、運転管理者が末端圧力の推定値に基づいて余剰圧力の削減することを支援するための圧力制御支援装置、配水システム、圧力制御支援プログラム、および、圧力制御支援方法を提供することができる。
【0113】
具体的には、第1乃至第3実施形態では、個別の末端地点における圧力の推定値と、その推定値が含みうる見込み誤差の情報に基づいて余剰圧力を算出することで、推定値に基づいて配水圧力を下げた場合に水の安定供給を損なうリスクを低減できるため、推定値に基づいて配水圧力を制御することに対する運転管理者の心理的ハードルを下げることができる。
【0114】
また、第1乃至第3実施形態では、複数の末端地点における余剰圧力から、配水区域全体の余剰圧力を導出する。さらに導出した余剰圧力に基づいて、配水区域に対する複数の流入点における配水圧力の目標値を運転管理者に提示することで、運転管理者は1地点だけでなく配水区域全体を考慮した余剰圧力削減を実現できる。
【0115】
また、第1乃至第3実施形態では、仮に配水圧力を下げた場合の末端圧力や余剰圧力のシミュレーションが可能である。このことにより、運転管理者は、実際に配水圧力を下げる前にその影響を把握し、運転管理者のさじ加減で配水圧力をどの程度下げるかを検討できるため、推定値に基づいて配水圧力を制御することに対する心理的ハードルを下げることができる。
【0116】
また、第1乃至第3実施形態によれば、運転管理者に対して、シミュレーション結果と共に、配水圧力を下げた場合に得られる効果・メリット(漏水削減率XX%など)を併せて提示することで、運転管理者は、積極的に余剰圧力を削減することができる。
【0117】
また、第1乃至第3実施形態によれば、推定モデルが出力する推定値が含みうる誤差情報を可視化して運転管理者に提示することで、誤差の大きさなど運転管理者は推定値に基づく配水圧力制御のリスクについて把握/納得でき、推定値に基づいて配水圧力を制御することに対する心理的ハードルを下げることができる。
【0118】
また、第1乃至第3実施形態によれば、どのように推定結果が得られたかの説明に繋がる情報を提示することで、運転管理者の推定値に対する信用度・納得度を高めることができ、推定値に基づいて配水圧力を制御することに対する運転管理者の心理的ハードルを下げることができる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1…圧力制御支援装置、1A…設定情報記憶部、1B…末端圧力情報記憶部、1C…配水情報記憶部、1D…情報取得部、1E…推定根拠説明部、1F…圧力推定モデル生成部、1G…圧力推定部、1H…末端圧力表示データ生成部、1I…誤差情報算出部、1J…推定モデル説明部、1K…余剰圧力算出部、1L…余剰圧力表示データ生成部、1M…圧力目標値導出部、1N…圧力目標値表示データ生成部、1O…シミュレーション条件入力部、1P…圧力変更効果導出部、1Q…圧力変更シミュレーション部、1R…制御情報出力部、1S…圧力推定モデル再生成部、1T…圧力推定モデル再生成判定部、2…監視制御装置、3、31、32…配水場、4、41、42…末端圧力計測装置、5…配水管網、6、61-63…需要家、7…常設末端圧力計測装置、8…表示装置、100…配水システム、G1-G8…グラフ、a-c…末端
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