IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図1
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図2
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図3
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図4
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図5
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図6
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図7
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図8
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図9
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図10
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図11
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図12
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図13
  • 特開-検出装置及び歩行支援システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081330
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】検出装置及び歩行支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20220524BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20220524BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61B5/11 210
A61H3/00 B
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192800
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 剛
【テーマコード(参考)】
4C038
4C046
4C601
【Fターム(参考)】
4C038VA12
4C038VB15
4C038VC04
4C038VC14
4C038VC20
4C046AA25
4C046AA42
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD02
4C046EE05
4C046FF02
4C046FF25
4C601EE09
4C601JC06
4C601JC15
(57)【要約】
【課題】動作主体が他の物に与える荷重方向の判定に適した検出装置等を提供する。
【解決手段】検出装置1は、第1の凹部と第2の凹部が刻まれた面部を有し、第1の荷重に応じて当該面部で当該第1の凹部と当該第2の凹部が生じさせる模様と、第2の荷重に応じて当該面部で当該第1の凹部と当該第2の凹部が生じさせる模様と、が異なる弾性体11と、当該面部の凹凸を検出するセンサ部30と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の凹部と第2の凹部が刻まれた面部を有し、第1の荷重に応じて前記面部で前記第1の凹部と前記第2の凹部が生じさせる模様と、第2の荷重に応じて前記面部で前記第1の凹部と前記第2の凹部が生じさせる模様と、が異なる弾性体と、
前記面部の凹凸を検出するセンサと、を備える
検出装置。
【請求項2】
前記第1の凹部と前記第2の凹部はそれぞれ独立した環状の凹部であり、
前記第2の凹部は前記第1の凹部の内側に収まる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1の凹部と前記第2の凹部との間隔がより狭い側に向かう荷重を前記弾性体が受けていると判定する判定部を備える
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記弾性体と前記センサとの間に設けられる絶縁体を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記弾性体は、当該弾性体を取り巻くように設けられた外枠によって規定された変形可能範囲内で変形するよう設けられ、
前記センサは所定位置に固定されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記弾性体は、前記面部の反対側が靴を履いたユーザの足裏に当接し、
前記センサは、前記靴内で前記弾性体よりも靴底側に設けられる
請求項1から5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記センサは、超音波を前記面部に送信して当該超音波の反射波を検出する超音波センサである
請求項1から6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記センサは、静電容量センサである
請求項1から6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記センサは、光センサである
請求項1から6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第1の凹部と前記第2の凹部との間隔がより狭いほど、より大きい荷重を前記弾性体が受けていると判定する判定部を備える
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の検出装置と、
ユーザの歩行をアシストするアシスト装置と、を備える歩行支援システムであって、
前記検出装置は、荷重方向を示す情報を出力し、
前記荷重方向は、前記センサが検出した前記面部の凹凸に基づいて判定される、
歩行支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置及び歩行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力を検出するセンサ及び圧力に応じて生じる歪みを検出するセンサが知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6-66478号公報
【特許文献2】特開2001-21308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平面視点においてある方向に移動するよう動作する主体(例えば、歩行するヒト)によって当該主体に当接する他の物(例えば、靴底)に与えられる荷重が向かう方向を単純な一次元情報として扱えるようにしたいという需要があるが、上述のセンサはそのような用途を想定したものではなかった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、動作主体が他の物に与える荷重方向の判定に適した検出装置及び歩行支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による検出装置は、第1の凹部と第2の凹部が刻まれた面部を有し、第1の荷重に応じて前記面部で前記第1の凹部と前記第2の凹部が生じさせる模様と、第2の荷重に応じて前記面部で前記第1の凹部と前記第2の凹部が生じさせる模様と、が異なる弾性体と、前記面部の凹凸を検出するセンサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、検出装置を備える靴の模式図である。
図2図2は、検出装置の主要構成例を示す模式図である。
図3図3は、インソールの具体的形状と模様生成部の大きさの差の一例を示す平面図である。
図4図4は、模様生成部とインソールとの関係の一例を示す断面図である。
図5図5は、荷重を受けていない状態の弾性体を示す平面視点の模式図である。
図6図6は、特定方向の荷重Poを受けている状態の弾性体を示す平面視点の模式図である。
図7図7は、弾性体の組成を示す模式図である。
図8図8は、センサ部による第1の凹部と第2の凹部の検出の仕組みを示す模式図である。
図9図9は、荷重方向の判定に関わる構成例を示すブロック図である。
図10図10は、パターン画像データとして記憶された弾性体の背面における複数の溝の状態のパターンと、荷重方向との関係の一例を示す図である。
図11図11は、検出装置による荷重方向の判定の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、アシスト装置と靴との関係の一例を示す模式図である。
図13図13は、弾性体の背面に設けられた模様に含まれる複数の溝の状態を検出可能な他の構成例を示す模式図である。
図14図14は、弾性体の背面に設けられた模様に含まれる複数の溝の状態を検出可能な他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、検出装置1を備える靴100の模式図である。靴100は、内側にインソールISを備える。検出装置1は、靴100の内側に設けられ、靴底SSの上側に位置する。検出装置1は、一部(後述する模様生成部10)が靴底SSに対してインソールISの設けられる位置と重なるよう設けられる。
【0010】
図2は、検出装置1の主要構成例を示す模式図である。検出装置1は、模様生成部10、絶縁体20、センサ部30、支持部材40等を備える。
【0011】
模様生成部10は、弾性体11と、外枠12と、を含む。図2及び後述する図3に示す例では、インソールIS設けられる位置が異なる2つの模様生成部10として、模様生成部10Aと、模様生成部10Bと、を図示している。模様生成部10Aと、模様生成部10Bと、は構成が同一である。以下、模様生成部10と記載した場合、模様生成部10Aと、模様生成部10Bと、で共通する構成を説明することを意図している。
【0012】
なお、図2は、あくまで検出装置1の主要構成及び模様生成部10と他の構成との基本的な位置関係を示すことを目的とした模式図である。図2では、模様生成部10A、模様生成部10Bの大きさやインソールISの形状を具体的に図示していない。
【0013】
図3は、インソールISの具体的形状と模様生成部10A、模様生成部10Bの大きさの差の一例を示す平面図である。図3に示すインソールIS及び靴100の形状は、靴100(図1参照)の靴底SS側から見たインソールIS及び模様生成部10の形状である。図3に示す例の場合、模様生成部10Aが模様生成部10Bに比して大きいが、これは模様生成部10Aと模様生成部10Bとの大きさの差の一例であってこれに限られるものでない。模様生成部10Aと模様生成部10Bは、同じ大きさであってもよく、模様生成部10Aが模様生成部10Bに比して小さくてもよく、形状が異なっていてもよい。
【0014】
弾性体11の靴底SS側の面には、模様110が形成されている。模様110は、例えば、図3に示す溝111,112,113,114のように、複数の溝を含む。溝111と、溝112と、溝113と、溝114と、はそれぞれ独立した環状の凹部である。溝114は、溝111、溝112及び溝113の内側に収まる。溝113は、溝111及び溝112の内側に収まる。溝112は、溝111の内側に収まる。模様110が含む複数の溝の各々の底部は、弾性体11の靴底SS側の面に比して、絶縁体20の反対側に凹んでいる。言い換えれば、溝111と溝112との間、溝112と溝113との間、溝113と溝114との間、溝114の内側及び溝111の外側は、溝111,112,113,114の底部に比して絶縁体20側に凸上であるとともに、当該底部に対する突出の度合いが一様であり、面的な範囲を形成する。すなわち、弾性体11の靴底SS側の「面」は、弾性体11の靴底SS側のうち模様110が含む複数の溝以外の部分によって形成されている。
【0015】
なお、図2では、弾性体11のうち絶縁体20と対向する面(裏面)の反対側の面(表面)にも模様110と同様の多重円が模式的に示されているが、これはあくまで模式的なものであり、表面に模様110を設けることは必須でない。弾性体11は、少なくとも裏面に模様110を有していればよい。弾性体11の表面は、靴100を履いたユーザの足の裏と接し、当該足からの荷重を受けて変形、移動する。
【0016】
外枠12は、図3に示す平面視点で、環状の枠体として設けられる。外枠12は、靴100を履いたユーザの足から荷重を受けることによって生じる弾性体11の変形、移動において弾性体11の形状、位置変化可能範囲を外枠12の環状の枠体内に制限する。
【0017】
図4は、模様生成部10とインソールISとの関係の一例を示す断面図である。図3及び図4に示すように、外枠12は、弾性体11とインソールISとの間に介在する。具体的には、図4に示すように、外枠12は、断面視点でインソールISから弾性体11を遮る壁状の部材として設けられる。弾性体11は、外枠12の内側に設けられた立体状、例えば円柱状の弾性体である。
【0018】
なお、図4ならびに後述する図5及び図6では、弾性体11の外周側面11aと外枠12との間に空間Gaがはっきりと図示されているが、これはあくまで弾性体11と外枠12とが接合されていないことを図示するための模式的なものである。実際には、加重が加えられていない状態の弾性体11と、外枠12との間には空間Gaのようなはっきりとした隙間は生じず、外周側面11aと外枠12の内周面とが当接している(図3参照)。
【0019】
なお、図4ではインソールISの両面側に突出する壁面となるよう外枠12が設けられているが、外枠12は、弾性体11の変形範囲を規定する剛体であればよく、当該壁面を形成することは必須でない。具体的には、外枠12は、例えば弾性体11を内包するリング状の金属、合金又はその他の化合物による剛体である。
【0020】
図5は、荷重を受けていない状態の弾性体11を示す平面視点の模式図である。図5に示すように、模様110に含まれる複数の溝(溝111、溝112、溝113、溝114)は、弾性体11が靴100を履いたユーザの足からの荷重を受けていない場合にそれぞれ径の異なる同心円状となるよう弾性体11に刻まれている。
【0021】
図6は、特定方向の荷重Poを受けている状態の弾性体11を示す平面視点の模式図である。模様110は、特定方向の荷重Poが向いている方向に対応する部分で模様110に含まれる複数の溝同士の間隔が狭くなるように弾性体11が変形する。具体的には、特定方向の荷重Poが向かう方向を図6に示すように矢印の始点と終点(先端)との位置関係で示した場合、終点(先端)側に位置する溝111と溝112との間隔が、荷重を受けていない状態(図5参照)に比して狭まる。また、終点(先端)側に位置する溝112と溝113との間隔が、荷重を受けていない状態(図5参照)に比して狭まる。同様に、終点(先端)側に位置する溝113と溝114との間隔が、荷重を受けていない状態(図5参照)に比して狭まる。
【0022】
言い換えれば、模様110に含まれる複数の溝同士の間隔がより狭まっている側に向かう荷重が弾性体11に働いていることを、模様110に含まれる複数の溝同士の間隔に基づいて判定できる。
【0023】
図7は、弾性体11の組成を示す模式図である。第1ゲルRと、第2ゲルFと、を含む。第1ゲルRは、第2ゲルFに比して硬質である。第2ゲルFは、第1ゲルRに比して軟質で柔軟性に富む。第1ゲルRと第2ゲルFとが混在するゲルであることで、弾性体11は、図6を参照して説明したような変形を許容する。上記弾性体11として例えばダブルネットワークゲルを用いてもよい。
【0024】
絶縁体20(図2参照)は、弾性体11の背面と当接する絶縁体である。また、実施形態の絶縁体20は、センサ部30による超音波を利用した弾性体11の背面の状態の検出が十分可能な程度に超音波の透過性が高い薄板状の部材である。具体的例を挙げると、絶縁体20は、超音波を全くまたはほとんど遮蔽しない薄板状の合成樹脂である。
【0025】
センサ部30(図2参照)は、絶縁体20を間に挟んで模様生成部10と対向する位置に設けられる。センサ部30は、弾性体11の背面側に出力波OW(図8参照)を照射し、その反射波RW(図8参照)に基づいて弾性体11の背面に刻まれた模様110に含まれる複数の溝同士の間隔を検出可能な画像を生成する。ここで、出力波OW及び反射波RWは超音波Waである。すなわち、センサ部30は、弾性体11の背面の状態を示す超音波画像を生成する。
【0026】
図8は、センサ部30による第1の凹部11Aと第2の凹部11Bの検出の仕組みを示す模式図である。センサ部30は、絶縁体20を挟んで弾性体11と対向する側の面から弾性体11に向けて出力波OWを出力する。出力波OWは、少なくとも一部が弾性体11の背面によって反射されて反射波RWとなり、センサ部30側に進む。反射波RWは、センサ部30によって検出される。
【0027】
ここで、弾性体11の背面側には、図8に示す第1の凹部11A、第2の凹部11Bのような複数の溝が刻まれている。第1の凹部11A、第2の凹部11Bはそれぞれ、模様110に含まれる複数の溝のうちいずれかである。図3から図6を参照して説明した模様110の場合、第1の凹部11Aは、溝111、溝112又は溝113である。第2の凹部11Bは、溝112、溝113又は溝114であって、かつ、第1の凹部11Aの内側に位置する溝である。
【0028】
超音波Waは、空中を進んだ距離が長いほど減衰する。従って、弾性体11の背面のうち第1の凹部11A、第2の凹部11Bが刻まれている部分で反射されて反射波RWとなった超音波Waは、弾性体11の背面のうち第1の凹部11A、第2の凹部11Bが刻まれていない部分で反射されて反射波RWとなった超音波Waに比してより大きく減衰する。センサ部30は、このような減衰の度合いの差に基づいて、弾性体11の背面において第1の凹部11A、第2の凹部11Bの位置が現れた超音波画像を生成する。
【0029】
支持部材40(図2参照)は、例えば箱体状の部材である。支持部材40の内側には、センサ部30が固定される。これによって外枠12に対するセンサ部30の位置が固定される。センサ部30は、少なくとも外枠12の枠体内をカバーするように出力波OWを照射することで、弾性体11からの反射波RWを検出して上述の超音波画像を生成できる。支持部材40に対するセンサ部30の固定方法は任意であるが、例えば接着やねじ留め、嵌め込み等が挙げられる。
【0030】
絶縁体20及び支持部材40は、靴100内で靴底SS上に固定される。具体的には、靴100内に設けられたスペースに対して支持部材40、絶縁体20の順で嵌め込まれるように固定される。これによって、絶縁体20と支持部材40との位置関係が定められる。また、外枠12は、インソールISに対して固定されている。これによって、靴100内にインソールISが設けられることで外枠12の位置が定められる。また、当該外枠12内で弾性体11が変形可能となるように規定される。
【0031】
なお、絶縁体20及び支持部材40は、靴100を履くユーザの体重等による上側からの圧力を受ける。従って、絶縁体20及び支持部材40は、当該圧力に耐える強度を有することが望ましい。具体的には、絶縁体20及び支持部材40は、当該強度を有する材質、厚み等を具備する構造体として設けられる。なお、支持部材40の絶縁体20側は、開放されていてもよいし、出力波OW及び反射波RWの伝播を妨げない程度の厚みの蓋状の構造体で閉塞されていてもよい。
【0032】
判定部50(図2参照)は、センサ部30が生成した超音波画像に基づいて、弾性体11に加わった荷重方向を判定する。
【0033】
図9は、荷重方向の判定に関わる構成例を示すブロック図である。センサ部30は、例えば、センサ31と、通信部32と、を備える。センサ31は、センサ部30の機能のうち、上述の超音波Waの入出力、検出及び超音波画像の生成に関する機能を担う。すなわち、センサ31は、上述の出力波OWを出力し、反射波RWを検出し、超音波画像を生成する。通信部32は、センサ31が生成した超音波画像を判定部50に送信する。具体的には、通信部32は、NIC(Network Interface Controller)として機能する回路等を備え、外部の情報処理装置と通信を行う。通信部32は、超音波画像のデータを所定のプロトコルで送信する。図2及び図9では、通信部32が行うデータの送信によって生じる信号Sigを図示することで超音波画像のデータの送信を図示している。
【0034】
判定部50は、例えば、通信部51と、演算部52と、データベース(DB:DataBase)53と、を備える。通信部51は、通信部32が送信した超音波画像のデータを受信する。具体的には、通信部51は、通信部32と同じ所定のプロトコルでの通信を行うNICとして機能する回路等を備える。
【0035】
演算部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、当該CPUが行う演算で取り扱われるソフトウェア・プログラム、データ、パラメータ等が一時的に格納される半導体メモリ、当該ソフトウェア・プログラムが記憶される不揮発性メモリ等を含む情報処理装置である。演算部52は、当該情報処理装置と同様に機能する単一の集積回路であってもよい。当該集積回路の例として、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられるが、これに限られるものでなく、他の形態をとってもよい。
【0036】
演算部52は、通信部51が受信した超音波画像のデータを取得し、当該超音波画像に基づいて、当該超音波画像に対応する弾性体11の状態がセンサ部30によって検出された瞬間に弾性体11に加えられていた荷重方向を判定する判定処理を行う。演算部52は、当該判定処理に際して、DB53を参照する。
【0037】
DB53は、パターン画像データ53aを記憶する。パターン画像データ53aは、予め定められた荷重方向に対応した荷重が加えられた場合の弾性体11の背面の状態を示す画像データである。より具体的には、パターン画像データ53aは、荷重方向に応じて変化する、模様110に含まれる複数の溝の間隔の状態を示す画像データである。
【0038】
DB53は、荷重方向を示す情報と、当該荷重方向に対応するパターン画像データ53aと、が対応付けられたDBである。
【0039】
図10は、パターン画像データ53aとして記憶された弾性体11の背面における複数の溝の状態のパターンと、荷重方向との関係の一例を示す図である。以下、図10を参照した説明で「パターン」と記載した場合、パターン画像データ53aとして記憶された弾性体11の背面における複数の溝の状態のパターンをさす。また、図10に示す複数の「パターン」の各々では、破線CL1と、破線CL2と、を図示している。破線CL1と破線CL2は直交する。破線CL1と破線CL2との交差点は、弾性体11が荷重を受けていない状態である場合に模様110に含まれる複数の溝が描く円の中心と重なる。
【0040】
なお、図10に示す複数の「パターン」の各々の最外周の円は、外周側面11aに対応する。当該最外周の内側の円が、模様110に含まれる複数の溝に対応する。
【0041】
図10に示すの「例1」の「パターン」では、複数の溝が、破線CL1と破線CL2との交差点を中心とする同心円状になっている。これは、図5を参照して説明したように、荷重を受けていない状態の弾性体11の状態に対応する。従って、当該「例1」の「パターン」と対応付けられる「荷重方向」は、「無し」である。
【0042】
図10に示すの「例2」、「例3」、「例4」の「パターン」では、それぞれ異なる位置で複数の溝同士の間隔が狭まり、破線CL1と破線CL2との交差点を挟んでその位置の反対側で複数の溝同士の間隔がその位置に比して相対的に広がっている状態になっている。これらは、図6を参照して説明したように、荷重を受けている状態の弾性体11の状態に対応する。従って、「例2」、「例3」、「例4」の「パターン」とそれぞれ対応付けられる「荷重方向」は、複数の溝同士の間隔が狭まっている方向に、破線CL1と破線CL2との交差点を挟んでその反対側から向かう方向である。
【0043】
DB53のパターン画像データ53aは、例えば図10の「パターン」のいずれかに該当するようなパターンと一致又は類似するパターン画像のデータである。ここでいう類似とは、例えば、検出パターン、すなわち、センサ部30によって検出された弾性体11の背面において複数の溝が形成しているパターンと、パターン画像データにおける複数の円環の位置が形成するパターンとの差が所定範囲以内に入っていることをさす。当該所定範囲は、弾性体11の設計時点で当該弾性体11の溝の大きさや形状に応じて設定される。DB53は、図10の「パターン」として例示したようなパターン画像データ53aに限らず、弾性体11に働きうるより多方向の荷重方向の各々に対応したパターン画像データ53aを記憶する。また、DB53は、記憶されている複数のパターン画像データ53aの各々と対応付けられた荷重方向を示す情報を記憶する。
【0044】
演算部52は、通信部51から超音波画像のデータを取得すると、DB53に記憶されているパターン画像データ53aのうち1つを参照し、当該超音波画像とパターン画像データ53aの画像とを比較するパターンマッチング処理を行う。パターンマッチング処理では、当該超音波画像を前者とし、パターン画像データ53aの画像を後者とする。演算部52は、前者と後者とが一致する又は前者と後者とが類似した画像である場合に、当該パターン画像データ53aの画像とDB53で対応付けられている荷重方向が、当該超音波画像に対応する弾性体11の状態がセンサ部30によって検出された瞬間に弾性体11に加えられていた荷重方向であると判定する。一方、演算部52は、前者と後者とが一致も類似もしていない場合、DB53に記憶されている他のパターン画像データ53aのうち1つを新たに参照して再度パターンマッチング処理を行う。演算部52は、前者と一致又は類似するパターン画像データ53aが発見され、荷重方向が特定されるまでパターンマッチング処理を繰り返す。
【0045】
なお、パターンマッチング処理における前者と後者との一致又は類似の判定の詳細は、一般的な画像のパターンマッチングアルゴリズムに基づくものであってもよいし、専用に構築されたアルゴリズムに基づくものであってもよい。一般的な画像のパターンマッチングアルゴリズムの例として、NCC(Normalized Cross Correlation)、ZNCC(Zero―mean NCC)、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)等が挙げられる。
【0046】
パターンマッチング処理の精度をより高める目的で、実施形態のパターン画像データ53aは、超音波画像データであることが望ましい。すなわち、パターン画像データ53aは、DB53で対応付けられる荷重方向に対応する荷重を受けた弾性体11を実際に検出したセンサ部30によって生成された超音波画像データをDB53に登録したものであることが望ましい。
【0047】
図10で模式的に示すように、弾性体11は、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bを含む模様110が刻まれた面部を有し、第1の荷重に応じて面部で第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが生じさせる模様と、第2の荷重に応じて面部で第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが生じさせる模様と、が異なる弾性体である。ここで、「模様」を図10では「パターン」で模式的に示している。また、この「模様」を生じさせるのが第1の凹部11Aと第2の凹部11B、すなわち、模様110であり、それをセンサ部30によって検出可能であることは、図8を参照した説明で示している。また、「第1の荷重」、「第2の荷重」を図10では「荷重方向」で模式的に示している。なお、荷重方向における溝同士の密度が高いほど、弾性体11が受ける荷重として加わる力が強くなっていることを示す。「溝同士の密度」とは、模様110に含まれる複数の溝同士の間隔の狭さをさす。従って、「溝同士の密度がより高い」とは、模様110に含まれる複数の溝同士の間隔がより狭いことをさす。そこで、荷重の強さに応じて溝同士の密度がそれぞれ異なる複数のパターン画像を用意してパターン画像データ53aに含ませ、当該複数のパターン画像と荷重の強さを示す情報とを対応付けるようにしてもよい。これによって、検出装置1は、さらに、荷重の強さを判定できる。後述する出力情報OPに、このようにして判定された荷重の強さを示す情報をさらに加えるようにし、アシスト装置Asが荷重の強さに応じた動作を行えるようにしてもよい。
【0048】
なお、センサ部30の機能と判定部50の機能は一体化された装置内に設けられていてもよい。その場合、通信部32と通信部51は省略され、センサ31から出力された超音波画像のデータが演算部52に入力される。また、DB53が判定部50とは別の装置に設けられていてもよい。その場合、当該別の装置に通信部51と同様の通信部が設けられ、当該別の装置と判定部50とが通信することで、演算部52がDB53を参照する。
【0049】
図11は、検出装置1による荷重方向の判定の流れを示すフローチャートである。まず、センサ部30によるゲルの溝パターンの取得が行われる(ステップS1)。ここでいうゲルの溝パターンとは、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝が形成するパターンをさす。具体的には、ステップS1の処理において、例えばセンサ31が出力波OWを弾性体11の背面に照射して反射波RWを検出することで弾性体11の背面に刻まれた模様110に含まれる複数の溝の状態を示す超音波画像を生成する。通信部32は、センサ31が生成した超音波画像のデータを判定部50に送信する。演算部52は、通信部51を介して、センサ31が生成した超音波画像のデータを取得する。
【0050】
演算部52は、パターンマッチング処理の進行を管理するためのカウンタを設定する。具体的には、演算部52は、当該カウンタで用いられる変数Nの初期値を0(N=0)で設定する(ステップS2)。
【0051】
演算部52は、Nの値がDB53に記憶されているパターン画像データ53aの数未満であるか判定する。具体的には、DB53に記憶されているパターン画像データ53aの数をnとすると、演算部52は、N<nが成立するか判定する(ステップS3)。ここで、N<nが成立すると判定された場合(ステップS3;Yes)、演算部52は、DB53に記憶されているN番目のパターン画像データ53aを読み出す(ステップS4)。なお、ステップS4の処理では、0番目のパターン画像データ53aを最初のパターン画像データ53aとして扱う。
【0052】
演算部52は、ステップS1の処理で取得された溝パターンと、直前に行われたステップS4の処理で取得されたパターン画像データ53aが示す溝パターンとが一致又は類似するか判定する(ステップS5)。ここで、ステップS1の処理で取得された溝パターンと、直前に行われたステップS4の処理で取得されたパターン画像データ53aが示す溝パターンとが一致又は類似すると判定された場合(ステップS5;Yes)、演算部52は、N番目のパターン画像データ53aが示す方向を荷重方向として判定する(ステップS6)。すなわち、演算部52は、DB53においてN番目のパターン画像データ53aと対応付けられた荷重方向を示す情報を取得し、当該荷重方向をN番目のパターン画像データ53aが示す方向であり、ステップS1の処理が行われた時点で弾性体11が受けている荷重情報であるとする。なお、ステップS5の一致又は類似の判定に基づき、ステップS6で、上述した荷重の強さをさらに判定するようにしてもよい。
【0053】
一方、ステップS5の処理でステップS1の処理で取得された溝パターンと、直前に行われたステップS4の処理で取得されたパターン画像データ53aが示す溝パターンとが一致も類似もしないと判定された場合(ステップS5;No)、演算部52は、Nの値に1を加算する(ステップS7)。演算部52は、ステップS7の処理後、ステップS3の処理に移行する。
【0054】
また、ステップS3の処理で、N<nが成立しない、すなわち、N=nになった場合(ステップS3;No)、演算部52は、予め定められた判定不可対応処理を行う(ステップS8)。判定不可対応処理の詳細は任意であるが、例えば荷重方向を判定できなかったとするエラー出力処理であってもよいし、その後に行われる再度のステップS1の処理後に行われるステップS6の処理まで荷重方向の判定を保留する処理であってもよいし、その他の処理であってもよい。
【0055】
なお、実施形態では、センサ部30による弾性体11の背面の状態の検出、当該検出に基づいた超音波画像の生成、当該超音波画像の出力及び当該超音波画像に基づいた演算部52による判定処理は、所定時間が経過する度に繰り返される。これによって、靴100を履いたユーザが弾性体11、すなわち、インソールISが設けられた靴底側に与えている荷重方向を当該所定時間毎に周期的に判定し続けられる。
【0056】
以上説明したように、実施形態によれば、検出装置1は、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが刻まれた面部を有し、第1の荷重に応じて面部で第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが生じさせる模様と、第2の荷重に応じて面部で第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが生じさせる模様と、が異なる弾性体11と、当該面部の凹凸を検出するセンサ(センサ部30)と、を備える。これによって、検出された面部の凹凸が生じさせる模様に基づいて弾性体11が受けている荷重方向を判定できる。従って、検出装置1は、動作主体(例えば、ヒトであるユーザ)が他の物(例えば、靴底)に与える荷重方向の判定に適している。
【0057】
また、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bはそれぞれ独立した環状の凹部であり、第2の凹部11Bは第1の凹部11Aの内側に収まる。これによって、第1の凹部11Aが描く環と第2の凹部11Bが描く環との間隔の変化に基づいて荷重方向を判定できる。
【0058】
また、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bとの間隔がより狭い側に向かう荷重を弾性体11が受けていると判定する判定部50を備える。これによって、検出装置1で荷重方向の判定を完結できる。
【0059】
また、弾性体11は、当該弾性体11を取り巻くように設けられた外枠12によって規定された変形可能範囲内で変形するよう設けられ、センサ部30は所定位置に固定されている。実施形態では、弾性体11は、外枠12内を変形可能範囲内とする。センサ部30は、支持部材40に固定される。これによって、センサ部30による検出をより高精度に行うことができる。
【0060】
また、弾性体11は、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが刻まれた面部(背面)の反対側の面(表面)が靴100を履いたユーザの足裏に当接する。センサ部30は、靴100内で弾性体11よりも靴底SS側に設けられる。これによって、靴100を履いたユーザが歩行等の移動に伴い靴100に与える荷重の方向を判定できる。
【0061】
また、センサ31は、超音波Waの出力波OWを弾性体11に送信して反射波RWを検出する超音波センサである。これによって、第1の凹部11Aと第2の凹部11Bが生じさせる模様を良好に取得できる。
【0062】
なお、演算部52が行った判定処理によって導出された荷重方向を示す出力情報OP(図9参照)を、靴100を履いたユーザの歩行をアシストするアシスト装置Asに与えるようにしてもよい。
【0063】
図12は、アシスト装置Asと靴100との関係の一例を示す模式図である。アシスト装置Asは、例えば、腰部ユニットMu、脚部ユニットPu、連結部SL等を備える。アシスト装置Asは、ユーザの脚Leに固定された脚部ユニットPuの移動を腰部ユニットMuに設けられた電動機等の駆動部によってアシストする。当該電動機と脚部ユニットPuとは連結部SLで連結される。図12に示す靴100からは、配線Wiが延出している。図12に示す靴100では、支持部材40内にセンサ部30及び判定部50が設けられるか、または判定部50がセンサ部30に統合されて一体的になっている。配線Wiは、当該判定部50の演算部52からの出力情報OP(図9参照)を伝送する。配線Wiによる信号伝送経路は、連結部SLを介して腰部ユニットMuまで連続する。腰部ユニットMuに設けられた図示しない制御回路は、出力情報OPが示す荷重方向に基づいてユーザの移動方向、すなわち、歩行の状態を把握する。当該制御回路は、このようにして把握された歩行の状態に応じて駆動部を動作させてユーザの歩行をアシストする。
【0064】
図12を参照して説明した歩行支援システムは、検出装置1と、ユーザの歩行をアシストするアシスト装置Asと、を備える。検出装置1は、荷重方向を示す情報(出力情報OP)を出力する。当該荷重方向は、センサ部30が検出した第1の凹部11A、第2の凹部11Bに基づいて判定される。これによって、検出装置1は、ユーザの歩行に伴って第1の凹部11A、第2の凹部11Bが生じさせた模様に基づいて判定された荷重方向を示す情報をアシスト装置Asに提供できる。従って、アシスト装置Asは、荷重方向を示す情報に基づいたより高精度な歩行のアシストが可能になる。
【0065】
なお、上述のセンサ部30は超音波Waを利用して超音波画像を生成することで弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の状態を検出していたが、当該複数の溝の状態の検出が可能な構成はこれに限られるものでない。以下、当該複数の溝の状態の検出が他の構成例について、図13図14を参照して説明する。
【0066】
図13は、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の状態を検出可能な他の構成例を示す模式図である。図13に示すセンサ30Aは、静電容量に基づいて検出面20Aに対する弾性体11の当接の有無を検知するタッチセンサ(静電容量センサ)である。具体的には、センサ30Aは、内部に複数の検出電極Tを有する。各検出電極Tと検出面20Aとの間の電荷Eは、検出面20Aを挟んで検出電極Tと対向する位置にある弾性体11が検出面20Aと接触しているか否かに応じて大きく変化する。ここで、第1の凹部11A、第2の凹部11Bのような複数の溝は、検出面20Aと当接しない。一方、第1の凹部11A、第2の凹部11Bが刻まれていない部分の弾性体11の背面は、検出面20Aと当接する。このため、上述の絶縁体20の位置に検出面20Aを配置し、検出面20Aと弾性体11との当接範囲をカバーするように複数の検出電極Tを配置することで、センサ30Aは、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の位置を二次元的に検出できる。従って、センサ部30が超音波画像を生成したように、センサ30Aは、当該複数の溝の位置を示す二次元画像を生成できる。
【0067】
図14は、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の状態を検出可能な他の構成例を示す模式図である。センサ30Bは、光源Lsから照射されて検出面20Bで生じた屈折を経てレンズLで導かれた光(例えば、光L1,L2)を検出する光センサである。検出面20Bは、透光性を有する樹脂又はガラスである。光の屈折は、屈折率がそれぞれ異なる物と物との境界でよりはっきり起こる。ここで、弾性体11が有する屈折率と、第1の凹部11A、第2の凹部11Bのような溝に入り込んでいる空気の屈折率とは異なる。このため、第1の凹部11A、第2の凹部11Bが位置するために検出面20Bに対して弾性体11の背面が当接していない位置と、検出面20Bに対して弾性体11の背面が当接している位置と、では屈折率が異なる。従って、光源Lsから第1の凹部11A、第2の凹部11Bの位置に照射された光L1と、光源Lsから検出面20Bと弾性体11の背面とが当接する位置に照射された光L2と、では屈折率に差が生じる。この屈折率の差は、結果としてセンサ30Bに検出される範囲内における光L1の強度と光L2の強度との差として現れる。センサ30Bは、このような光の強度に基づいて、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の位置を二次元的に検出できる。
【0068】
なお、上述の例では弾性体11がゲルであるが、ゴムのような他の弾性部材であってもよい。また、図4に示す外枠12が形成する壁は、インソールISの両面側に突出しているが、一方に突出するようにしてもよい。例えば、靴100を履くユーザの足が当接する側のインソールISの一面において外枠12の壁が突出しないようにすることで、靴100の履き心地がよりよくなる。また、絶縁体20と対向する側のインソールISの一面で外枠12の壁が突出しないようにすることで、インソールISと絶縁体20とを当接させることができ、インソールISと絶縁体20との間を埋める構成を省略できる。なお、インソールISと絶縁体20との間を埋める構成として、例えばクッション材等、靴100の履き心地と、絶縁体20に対する荷重の低減とを考慮して選定された部材であることが望ましい。
【0069】
また、上述の例では検出装置1が靴100内に設けられているが、これに限られるものでない。例えば、原動機を備える機械等のように振動する構成と、床又は地面と、の間に設けられてもよい。この場合、弾性体11の背面に設けられた模様110に含まれる複数の溝の位置の変化に基づいて振動の有無及び振動による荷重方向を検知できる。
【0070】
また、模様110に含まれる複数の溝は、それぞれが完全な円環である必要はない。当該複数の溝は、その位置関係の変位によって荷重方向を判定可能な形状及び配置であればよい。例えば第1の凹部11A、第2の凹部11Bの各々が1つ以上の円弧を有し、当該円弧が円環状の模様を形成するものであってもよいし、第1の凹部11A、第2の凹部11Bの各々が円環状でなく多角形状の溝であってもよい。
【0071】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0072】
1 検出装置
10 模様生成部
11 弾性体
11A 第1の凹部
11B 第2の凹部
12 外枠
30 センサ部
31 センサ
50 判定部
100 靴
110 模様
111,112,113,114 溝
As アシスト装置
SS 靴底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14