(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081946
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】手持式間接接触具および手持式間接接触具用部材
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193204
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】520457421
【氏名又は名称】須賀 善一
(74)【代理人】
【識別番号】100192326
【弁理士】
【氏名又は名称】水庭 浩吉
(72)【発明者】
【氏名】須賀 善一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する手持式間接接触具を提供する。
【解決手段】使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合を有する手持式間接接触具1で、前記使用者に明示する形状として、使用者が把持可能な第1領域部2と前記第1領域部2から延設される第2領域部3との間の幅方向の両端部からそれぞれ突出し、前記第1領域部2と前記第2領域部3とを衛生的に区分する第1突出部41および第2突出部42とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合を有する手持式間接接触具。
【請求項2】
前記使用者に明示する形状として、使用者が把持可能な第1領域部と前記第1領域部から延設される第2領域部との間の幅方向の両端部からそれぞれ突出し、前記第1領域部と前記第2領域部とを衛生的に区分する第1突出部および第2突出部を有する
請求項1に記載の手持式間接接触具。
【請求項3】
前記第1突出部は、前記第1領域部および前記第2領域部間を越える接触体の接触を防ぐ形状を有し、
前記第2突出部は、前記第1領域部を把持する使用者の手指が触れない位置に前記第2領域部に当接している接触対象が前記第1領域部に接触することを防ぐ形状を有する
請求項2に記載の手持式間接接触具。
【請求項4】
前記第1領域部は、少なくとも使用者の人指し指から薬指までを並べて当接可能な長尺状に構成されている
請求項2または3に記載の手持式間接接触具。
【請求項5】
使用者が把持可能な第1領域部と前記第1領域部から延設される第2領域部との間の幅方向の一端部から突出する第1突出部と、
前記第1領域部と前記第2領域部との間の幅方向の他端部から突出する第2突出部と
を有し、
前記第1領域部は、少なくとも使用者の人指し指から薬指までを並べて当接可能な長尺状に構成され、
前記第1突出部は、前記第1領域部および前記第2領域部間を越える接触体の接触を防ぐ形状を有し、
前記第2突出部は、前記第1領域部を把持する使用者の手指が触れない位置に前記第2領域部に当接している接触対象が前記第1領域部に接触することを防ぐ形状を有する
手持式間接接触具。
【請求項6】
前記第2領域部は、前記第1突出部の突出側に曲がった鉤状部を有し、
前記第1突出部は、前記第2領域部側が先端に近づくにつれて前記第1領域部側に傾斜している
請求項2から5のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項7】
前記第2突出部は、前記第1領域部側が先端に近づくにつれて前記第2領域部側に傾斜する傾斜部を、前記第1領域部を把持する使用者が親指を当接可能な位置に有する
請求項2から6のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項8】
前記第1領域部は、前記第1突出部の基端位置に指当て凹部を有する
請求項2から7のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項9】
前記第2領域部は、使用者が把持可能であり、
前記第1領域部は、前記第1突出部または前記第2突出部の少なくとも何れか一方の突出側に曲がった鉤状部を有する
請求項2から8のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項10】
所定の形態を模した外形形状を有し、
前記第1突出部および前記第2突出部は、前記外形形状の一部を構成する
請求項2から9のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項11】
他の手持式間接接触具を連結可能な連結部を有し、
前記連結部は、前記他の手持式間接接触具との間で接触対象を挟持可能に前記他の手持式間接接触具を連結する
請求項1から10のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項12】
単体で接触対象を挟持可能な挟持具を連結可能な連結部を有し、
前記連結部は、前記挟持具の挟持部を突没自在に連結する
請求項1から11の何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項13】
接触対象との接触部に対して開閉可能なカバー部材を有する
請求項1から12の何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項14】
全体が平板状に構成されている
請求項1から13のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項15】
前記使用者が把持してよい領域とそうでない領域とが着脱自在に構成されている
請求項1から14のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項16】
幅方向における一端側と他端側とを逆向きにして前記使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを取り付け可能に構成されている
請求項15に記載の手持式間接接触具。
【請求項17】
線材により全体が枠状に構成されている
請求項1から13のうちの何れかに記載の手持式間接接触具。
【請求項18】
手持式間接接触具を構成する着脱自在な部材であり、取り付けることで使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合を前記手持式間接接触具に形成する手持式間接接触具用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持式間接接触具および手持式間接接触具用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベータの押釦やドアノブ等を直に手で触らないように使用者が手に持って使用する手持式間接接触具が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、使用者が使用時に指を挿入する指用リング体と、該指用リング体に延設され、レバー型のドアノブを操作可能な鉤状の操作体とを有するドアノブ補助具について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような手持式間接接触具は、特に、新型ウィルス(具体的には、COVID-19)の感染拡大に伴って注目されるようになったものであり、ウィルス感染の収束に向けて、より優れた手持式間接接触具が望まれている。
【0005】
本発明は、より優れた手持式間接接触具および手持式間接接触具用部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合を有する手持式間接接触具である。
【0007】
本発明は、
使用者が把持可能な第1領域部と前記第1領域部から延設される第2領域部との間の幅方向の一端部から突出する第1突出部と、
前記第1領域部と前記第2領域部との間の幅方向の他端部から突出する第2突出部と
を有し、
前記第1領域部は、少なくとも使用者の人指し指から薬指までを並べて当接可能な長尺状に構成され、
前記第1突出部は、前記第1領域部および前記第2領域部間を越える接触体の接触を防ぐ形状を有し、
前記第2突出部は、前記第1領域部を把持する使用者の手指が触れない位置に前記第2領域部に当接している接触対象が前記第1領域部に接触することを防ぐ形状を有する
手持式間接接触具である。
【0008】
本発明は、
手持式間接接触具を構成する着脱自在な部材であり、取り付けることで使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合を前記手持式間接接触具に形成する手持式間接接触具用部材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より優れた手持式間接接触具および手持式間接接触具用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る手持式間接接触具の構成例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態における手持式間接接触具の構成例を示す側面図である。
【
図4】手持式間接接触具の使用例を示す斜視図である。
【
図5】手持式間接接触具の使用例を示す斜視図である。
【
図6】手持式間接接触具の使用例を示す斜視図である。
【
図7】手持式間接接触具の他の把持例を示す図である。
【
図8】手持式間接接触具のさらに他の把持例を示す図である。
【
図9】他の手持式間接接触具の連結例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る手持式間接接触具の構成例を示す斜視図である。
【
図15】本実施形態における手持式間接接触具の構成例を示す分解斜視図である。
【
図16】本実施形態における手持式間接接触具の他の組立例を示す斜視図である。
【
図18】接触対象の挟持に対応させる場合の構成例を示す斜視図である。
【
図19】第3実施形態に係る手持式間接接触具の構成例を示す斜視図である。
【
図20】本実施形態における手持式間接接触具の構成例を示す側面図である。
【
図21】本実施形態での挟持具の連結例を示す図である。
【
図22】変形例に係る他の手持式間接接触具の連結例を示す斜視図である。
【
図23】変形例に係る他の手持式間接接触具の連結例を示す斜視図である。
【
図24】変形例に係る手持式間接接触具の構成例を示す側面図である。
【
図25】変形例における明示形状、模様等の例を示す図である。
【
図26】変形例における他の明示形状、模様等の例を示す図である。
【
図27】変形例に係る手持式間接接触具の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合や構成の一部を省略して図示する場合もある。説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態
1-1.手持式間接接触具の構成例
「全体構成」
「第1領域部の構成」
「第2領域部の構成」
「ゾーニング部の構成」
1-2.手持式間接接触具の使用例
1-3.手持式間接接触具の把持例
1-4.オプション部材の取り付け例
「他の手持式間接接触具の連結例」
「挟持具の連結例」
「カバー部材の装着例」
1-5.本実施形態により得られる効果の一例
2.第2実施形態
3.第3実施形態
4.変形例
【0012】
1.第1実施形態
1-1.手持式間接接触具の構成例
「全体構成」
図1および
図2は、本実施形態に係る手持式間接接触具(図中、手持式間接接触具1)の構成例を示している。
図1は、手持式間接接触具1の斜視図であり、
図2は、手持式間接接触具1の側面図である。手持式間接接触具1は、使用者が手持式間接接触具1以外の接触対象(例えば、エレベータの押釦、ドアノブ、吊革、手摺、椅子、机、取手、水栓等)を直に手で触らないように使用者が手に持って使用するものである。
【0013】
手持式間接接触具1は、使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状を有している。具体的には、手持式間接接触具1は、図示するように、使用者が把持可能な第1領域部2と、第1領域部2から延設される第2領域部3とを有しており、第1領域部2および第2領域部3間に第1領域部2と第2領域部3とを衛生的かつ視覚的に区分するゾーニング部4が設けられている。
【0014】
図示するように、手持式間接接触具1は、例えば、全体が平板状に構成されている。ここで平板状とは、表裏面の全域が完全に平坦である状態だけでなく、一部に孔や凹凸がある状態も含む。つまり、表裏面の一部に孔や凹凸が存在していても構わない。また、表裏面が完全な平行面である状態だけでなく、ある程度不完全な平行面も含むものである。例えば、表裏面がそれぞれ外側に向かって膨らみを持つ面であってもよいし、一部にそのような部分を有する面などであってもよい。図示した例においては、手持式間接接触具1は、全体的に厚みが薄く均一(例えば、
図1中の板厚T=4mm)に形成されている。手持式間接接触具1は、単体での使用時には、主にこの厚み形成部Eを部分的に接触対象に接触させて使用する。
【0015】
手持式間接接触具1は、例えば、プラスチック材料によって構成されている。これにより、容易かつ安価で軽量に製造することができる。手持式間接接触具1は、薬品耐性、熱耐性に優れた材料で構成することが好ましい。これにより、アルコール、洗剤、熱湯等によって手持式間接接触具1に付着したウィルスや菌を除去することができる。また、手持式間接接触具1は、抗ウィルス材料、抗菌材料を用いることが好ましい。これにより、手持式間接接触具1におけるウィルスや菌の増殖を抑えることができる。なお、表面加工を施すことで手持式間接接触具1にこれらの特性を持たせてもよい。これらの特性は、既知の材料や加工によって持たせることができる。
【0016】
手持式間接接触具1は、例えば、成形型を用いた成形、3Dプリンタを用いた成形または工作器具を用いた手加工等で製造することができる。なお、手持式間接接触具1は、プラスチック材料以外の材料、例えば、金属、セラミックス、天然樹脂、木材、石材等により構成されていてもよい。また、手持式間接接触具1は、磁性材料で構成されていてもよく、磁力により壁面等に付着可能なものであってもよい。これにより、例えば、複数の使用者が集まる学校、病院等において、使用者に各自の手持式間接接触具1を容易に管理させることができる。また、手持式間接接触具1は、部分的に異なる材料を組み合わせて成形(積層を含む)したものであってもよい。例えば、接触対象との接触部を天然ゴム等の材料で構成して滑りを防止できるものであってもよいし、シリコーンゴムなどの導電性材料で構成してスマートフォン等のタッチパネルを操作できるものであってもよい。
【0017】
図2に示すように、手持式間接接触具1は、例えば、輪郭線が全て曲線状(面取りによるものを含む)となるように構成することが好ましい。これにより、接触対象や人体等の接触物が傷つくことを防止することができる。なお、
図1に示す厚み形成部Eの端部についても適宜、面取りなどにより角が取れていてもよい。
【0018】
ここで、手持式間接接触具1は、所定の形態を模した外形形状を有している。具体的には、手持式間接接触具1は、
図2に示すように、側面視における構成(具体的には、輪郭等)が海獣(具体的には、イルカやシャチ)に似た形状を有している。例えば、第1領域部2は胴体部および尾びれ部に相当し、第2領域部3は頭部に相当し、ゾーニング部4は胸びれ部および背びれ部間に相当する。これにより、手持式間接接触具1は、優れたデザイン性を有するものとなっている。
【0019】
手持式間接接触具1の全体的な大きさは、例えば、標準的なスマートフォンと同程度の大きさ(具体的には、
図2中の全高H=140mm、全幅W=70mm程度)となっている。これにより、例えば、手持式間接接触具1をスマートフォン用のケースに収容することができる。なお、本明細書においては、
図2の図面視のように手持式間接接触具1の第1領域部2側を下側とし第2領域部3側(第2領域部3の延設側)を上側とした場合の上下方向が手持式間接接触具1の高さ方向であり、その高さ方向に直交する左右方向が手持式間接接触具1の幅方向であるものとして説明する。以下、
図2を参照して手持式間接接触具1を構成する各部の形状について詳細に説明する。
【0020】
「第1領域部の構成」
図2に示すように、第1領域部2は、例えば、全体的に長尺状に構成され、使用者が五指および手のひらを用いて片手でしっかりと握ることができる形状を有している。
図3は、使用者による手持式間接接触具1の把持例を示している。なお、
図3は、成人男性の平均から若干長めの手指をモデルとしている。他の図に表される手指についても同様である。
図3に示すように、第1領域部2は、例えば、使用者がハンマーグリップ(パワーグリップとも呼ばれる)またはガングリップで握ることができる形状となっている。これにより、使用者に大きな力を発揮させることができる。
【0021】
図2に示すように、第1領域部2は、例えば、第2領域部3の延設側とは反対側の端部に鉤状部(第1領域部側鉤状部)2aを有している。鉤状部2aは、接触対象(例えば、レバー型のドアノブや手摺、環状の吊革、椅子、机、取手、水栓等)に引っ掛け可能な形状を有している。具体的には、第1領域部2は、長尺部21と延出部22とでT字状に構成され、この長尺部21と延出部22との接続部により鉤状部2aを構成する。例えば、長尺部21は、上述したイルカやシャチにおける胴体部付近に相当し、延出部22は、尾びれ部に相当する。
【0022】
長尺部21は、
図3に示したように、例えば、大人の場合に指3本、子供の場合に指4本を並べて配置できる程度の所定の長さ(例えば、40mm以上)を有している。つまり、長尺部21は、少なくとも使用者の人指し指から薬指までを並べて当接可能な形状を有している。これにより、第1領域部2を使用者にしっかりと握らせることができる。また、長尺部21は、例えば、使用者が力を入れやすい所定の太さ(例えば、10~60mmの範囲内)で構成されている。ここで、長尺部21の太さは、少なくとも一部が20mm以上であることが好ましい。この太さを確保することで、大柄な大人の大きな手から子供の小さな手まで幅広い大きさの手による安定的な把持に対応させることができる。
【0023】
図2に示すように、長尺部21は、手持式間接接触具1の幅方向の一方側(具体的には、図面視での左側)における第2領域部3側の端部(後述する第1突出部41の基端部)に指当て凹部21aを有している。指当て凹部21aは、例えば、指が嵌まる曲線状の窪み形状を有しており、
図3に示したように、使用者が第1領域部2を把持する際に、人差し指を当接可能に構成されている。これにより、使用者は視認せずに握りの状態を把握することができる。また、使用者の握りやすさを向上させることができる。
【0024】
図2に示すように、長尺部21の長手方向の一端側にはゾーニング部4を介して第2領域部3が延設されている。長尺部21は、例えば、長手方向の一端側が第2領域部3の延設方向(具体的には、図示における上方向)に向かって延びるように構成されている。これにより、第1領域部2を把持する使用者の力を第2領域部3側に効率良く伝えることができる。
【0025】
一方、長尺部21の長手方向の他端側には延出部22が設けられている。延出部22は、例えば、長尺部21の長手方向に略直交(直交を含む。以下、同様。)する方向(具体的には、図面視での左右方向)に突き出るように設けられている。詳述すると、延出部22は、長尺部21とともに上述した鉤状部2aを構成する第1延出部23と、第1延出部23とは反対側に突き出る第2延出部24とを有している。延出部22を設けることで、例えば、第1領域部2を使用者がしっかりと握ることができ、さらに、第1領域部2を把持している使用者の手がすっぽ抜けることを防止することができる。なお、延出部22は、接触対象に接触可能な端部形状を有している。
【0026】
第1延出部23は、長尺部21との接続部から長尺部21の長手方向に略直交する方向に延びる曲線部23aを有している。曲線部23aは、先端側が第2領域部3側に曲がっており、例えば、接触対象の引っ掛け状態を保持するための返しとして機能する。第2延出部24は、例えば、第1延出部23よりも短い延出長で構成されている。なお、この第2延出部24および長尺部21の接続部により構成される鉤状部2b(他の第1領域部側鉤状部)を上述した鉤状部2aと同様の用途に用いることもできる。
【0027】
「第2領域部の構成」
第2領域部3は、接触対象に接触可能な形状として、第1端部31、第2端部32および鉤状部(第2領域側鉤状部)33を有している。第1端部31および第2端部32は、例えば、曲線状(具体的には、円弧状)の突出形状を有している。第1端部31は、第1領域部2が設けられている側とは反対側(具体的には、手持式間接接触具1の上端部)から突き出るように設けられている。第2端部32は、第1端部31の突出方向と略直交する方向(具体的には、後述する第1突出部41の突出側)から突出している。
【0028】
第1端部31は、第2端部32よりも大きく(具体的には、半径Rが大きく)構成されている。このように、第2領域部3は、大きさおよび突出方向がそれぞれ異なる第1端部31および第2端部32を有している。例えば、第1端部31は、上述したイルカやシャチの頭頂部付近に相当し、第2端部32は、口先部に相当する。
【0029】
第1端部31および第2端部32は、例えば、接触対象を押す、支える、留めるなどの用途に使用することができる。具体的には、第1端部31および第2端部32は、押釦や各種スイッチの操作等に使用することができる。なお、上述した第1領域部2の延出部22も同様の用途に使用することができる。
【0030】
鉤状部33は、接触対象(例えば、レバー型のドアノブや手摺、環状の吊革、椅子、机、取手、水栓等)に引っ掛け可能な形状を有している。これにより、鉤状部33は、例えば、接触対象への引っ掛け、接触対象の押し下げまたは押し上げ、横移動等の用途に使用することができる。上述した第1領域部2の鉤状部2a,2bも同様の用途に使用することができる。鉤状部33は、図示するように、手持式間接接触具1の幅方向の一方の端部側(具体的には、後述する第1突出部41の突出側)に曲がった鉤形状を有している。鉤状部33は、例えば、第1領域部2側から手持式間接接触具1の幅方向の一方(具体的には、図面視での左側)に向かって凹状に曲がる曲線部33aと、曲線部33aの一端部から手持式間接接触具1の幅方向の一方に延びる直線部33bとで構成されている。
【0031】
つまり、鉤状部33には、接触対象を引っ掛けた状態から外れにくいようにするための返しが設けられていない。これにより、例えば、引っ掛け状態において接触対象に意図しない外力が加わったときなどに使用者が引っ掛け状態を即座に解除して、手持式間接接触具1および使用者が損傷することを防止することができる。つまり、安全性を高めることができる。なお、図示するように、鉤状部33は、上述した鉤状部2aよりも接触対象の引っ掛け可能な範囲(幅)が小さく構成されている。
【0032】
「ゾーニング部の構成」
手持式間接接触具1は、第1領域部2および第2領域部3間における手持式間接接触具1の幅方向の一方の端部から突出する第1突出部41と、第1領域部2および第2領域部3間における手持式間接接触具1の幅方向の他方の端部から突出する第2突出部42とを有している。第1突出部41および第2突出部42は、第1領域部2と第2領域部3とを衛生的かつ視覚的に区分するゾーニング部4を形成する。例えば、第1突出部41は、上述したイルカやシャチの胸びれ部に相当し、第2突出部42は、背びれ部に相当する。
【0033】
第1突出部41は、所定の突出長および突出幅で構成されており、第1領域部2および第2領域部3間を越える接触体の接触を防ぐ形状を有している。ここでいう接触体とは、手持式間接接触具1に接触させる接触対象と手持式間接接触具1を把持する使用者の手指の両方を含むものである。つまり、第1突出部41は、第1領域部2と第2領域部3とを使用者が把持する部分と接触対象が接触する部分とに物理的に分けて、第1領域部2および第2領域部3を手持式間接接触具1の幅方向の一方側において衛生的に区分する。
【0034】
例えば、長尺部21における手持式間接接触具1の幅方向の一方側の端部からの第1突出部41の突出長L1は、使用者が長尺部21を握った状態の手指を超える長さ(例えば、L1=20mm以上)で構成されている。また例えば、第1突出部41の突出幅L2は、接触対象に対する手持式間接接触具1のズレや傾きを考慮したうえでの、第1領域部2を把持している使用者の手指と鉤状部33に当接している接触対象との接触を防止できる長さ(例えば、L2=5mm以上)で構成されている。
【0035】
第1突出部41は、具体的には、第1突出部41の頂部41bを境にして第1領域部2と第2領域部3とを区分する。頂部41bは、使用者が目視にて容易に認識することができるので、第1突出部41は、第1領域部2と第2領域部3とを衛生的かつ視覚的に区分する。
【0036】
なお、第1突出部41は、第2領域部3側に曲線部33aの他端部と連続する傾斜部41aを有している。傾斜部41aは、第1突出部41の基端から先端に近づくにつれて第1領域部2側(具体的には、図面視における下側)に傾斜する形状を有している。これにより、鉤状部33に当接している接触対象から第1突出部41側に力が働いた場合にその力を逃がすことができ、手持式間接接触具1や使用者の手指が損傷することを防止することができる。例えば、レバー型のドアノブに鉤状部33を引っ掛けている状態において、ドアの反対側にいる第三者によってドアが不意に手前側に開けられた場合でも手持式間接接触具1が傾斜部41aに沿って動くことで力を逃がすことができる。つまり、安全性を高めることができる。なお、第1突出部41の第1領域部2側は、使用者が第1領域部2側を把持した場合にその手指を受け止める障壁として機能する。
【0037】
第2突出部42は、例えば、第1領域部2を把持する使用者が触れない位置に第2領域部3に当接している接触対象が第1領域部2に接触することを防ぐ形状(例えば、後述する傾斜部42a)を有している。第2突出部42は、具体的には、傾斜部42aと傾斜部42bとを有しており、この2つの傾斜部42a,42bによって、例えば、山状に構成されている。傾斜部42aは、例えば、第2突出部42の基端から先端に近づくにつれて第1領域部2側(具体的には、図面視での下側)に傾斜する形状を有しており、接触対象が第2領域部3側から移動して第1領域部2に接触することを防止する。つまり、傾斜部42aは、第2領域部3側の接触対象が第1領域部2に触れないように機能する。
【0038】
これにより、第2突出部42は、第1領域部2と第2領域部3とを使用者が把持する部分と接触対象が接触する部分とに物理的に分けて、第1領域部2および第2領域部3を手持式間接接触具1の幅方向の他方側において衛生的に区分する。上述したように、第1突出部41は、第1領域部2側を把持する使用者の手指を受け止めるため、第2突出部42は、第1領域部2を把持する使用者の手指全体が第2領域部3側へ移動するのを防ぐことまでを考慮した形状とする必要がない。つまり、第2突出部42は、第1突出部41同様の形状にせずとも(具体的には、図示するように、第1突出部41よりも小さい形状で)衛生的な区分を行うことができる。第1突出部41と第2突出部42とを必ずしも同じ形状にする必要がないため、デザインの幅を広げることができる。
【0039】
第2突出部42は、具体的には、第2突出部42の頂部42cを境にして第1領域部2と第2領域部3とを区分する。頂部42cは、使用者が目視にて容易に認識することができるので、第2突出部42は、第1領域部2と第2領域部3とを衛生的かつ視覚的に区分する。手持式間接接触具1は、第1突出部41および第2突出部42がそれぞれ第1領域部2と第2領域部3とを視覚的に区分することで、使用者が把持してよい領域とそうでない領域(接触対象に接触させる領域を含む領域)とを使用者に明示する。
【0040】
なお、傾斜部42bは、第2突出部42の基端から先端に近づくにつれて第2領域部3側(具体的には、図面視における上側)に傾斜する形状を有している。傾斜部42bは、具体的には、第1領域部2を把持する使用者が親指を当接可能な位置に設けられている。これにより、第1領域部2を握った状態において接触対象への当接を安定的に行わせることができる。
【0041】
1-2.手持式間接接触具の使用例
ここで、
図4から
図6を参照して、手持式間接接触具1の具体的な使用例について説明する。
図4は、第1端部31を接触対象に当接させる使用例を示す斜視図である。
図4Aは、当接前の状態を示しており、
図4Bは、当接中の状態を示している。手持式間接接触具1は、
図3に示した把持状態で使用者に把持されているものとする。
図5および
図6についても同様である。
【0042】
図4に示す例では、エレベータ等の押釦C1を接触対象としている。
図4Aおよび
図4Bに示すように、使用者は第1領域部2を把持した状態で第2領域部3の第1端部31を押釦C1に押圧させることで、押釦C1を操作することができる。これにより、使用者は、押釦C1を直に触らずに操作することができる。
【0043】
図5は、第2端部32を接触対象に当接させる使用例を示す斜視図である。
図5Aおよび
図5Bに示すように、使用者は第1領域部2を把持した状態で第2領域部3の第2端部32を押釦C1に押圧させることで、押釦C1を操作することができる。これにより、使用者は、押釦C1を直に触らずに操作することができる。
【0044】
このように、手持式間接接触具1は、第2領域部3が第1端部31および第2端部32を有することで、状況に応じて接触対象と接触させる接触部を第1端部31と第2端部32とで使用者に選択させることができる。例えば、接触対象の形状が大きい場合や接触対象が使用者の前方に位置する場合には第1端部31を接触部として使用し、接触対象の形状が小さい場合や接触対象が使用者の上方または下方に位置する場合には第2端部32を接触部として使用することで操作性の向上を図ることができる。
【0045】
図6は、鉤状部33を接触対象に当接させる使用例を示す斜視図である。
図6Aおよび
図6Bに示すように、使用者は第1領域部2を把持した状態で鉤状部33をレバー型のドアノブC2に引っ掛けて押し下げ、手前に引くもしくは奥に押すことで、ドアの開閉操作を行うことができる。これにより、使用者は、ドアノブC2を直に触らずに操作することができる。なお、ドアノブC2を奥に押す場合には、例えば、手持式間接接触具1の延出部22が設けられている側を下方に傾けて操作することで、引っ掛け状態を保持することができる。
【0046】
このように、手持式間接接触具1は、上述した構成を有することで、使い方の自由度を高いものとすることができる。なお、手持式間接接触具1の使い方は、どのような使い方(例えば、側面を使って接触対象を横にずらすなど)であっても構わないが、例えば、接触対象が
図2に示す境界部Bを超えない使い方をすることが好ましい。これにより、上述した衛生的な区分を確実に行うことができる。
【0047】
1-3.手持式間接接触具の把持例
手持式間接接触具1は、
図3に示した握り方だけでなく、種々の握り方が可能である。
図7は、手持式間接接触具1の他の把持例を示している。例えば、
図7Aに示すように、手持式間接接触具1は、
図3に示した握りとは第1突出部41と第2突出部42とが逆になる握り方(
図3の図面視において上下逆となる握り方)で握ることもできる。これにより、例えば、接触対象に鉤状部33を引っ掛けて上方に押し上げるような操作を使用者に容易に行わせることができる。
【0048】
また、例えば、
図7Bに示すように、手持式間接接触具1は、第2領域部3を把持することもできる。つまり、
図3に示した握りとは手持式間接接触具1の一端部と他端部とが逆になる握り方(
図3の図面視において左右逆となる握り方)で握ることもできる。これにより、例えば、接触対象が鉤状部33に引っ掛けられないような太いものであっても、鉤状部2aに引っ掛けることができる。つまり、手持式間接接触具1は、第1領域部2の鉤状部2aと第2領域部3の鉤状部33とを異なる形状としていることで、状況に応じて接触対象と接触させる接触部を鉤状部2aと鉤状部33とで使用者に選択させることができる。
【0049】
このように、手持式間接接触具1は、第2領域部3も使用者が把持可能に構成されている。つまり、手持式間接接触具1は、使用者が第1領域部2を把持して使用する場合には第2領域部3側を接触対象に接触させる接触部として使用可能であり、第2領域部3を把持して使用する場合には第1領域部2側を接触対象に接触させる接触部として使用可能な構成を有している。なお、ここでは図示を省略するが、手持式間接接触具1は、第2領域部3を把持する場合においても、第1突出部41と第2突出部42とが逆になる握り方で使用することも可能である。
【0050】
図8は、手持式間接接触具1のさらに他の把持例を示している。なお、
図8は、使用者目線で見た場合を示している。例えば、
図8Aおよび
図8Bに示すように、手持式間接接触具1は、
図3に示したように縦に握る握り方(具体的には、手持式間接接触具1の側面が指の付け根部分に接する握り方)での使用に限らず、横に握る握り方(具体的には、手持式間接接触具1の厚み形成部Eが指の付け根部分に接する握り方)で使用してもよい。つまり、
図3に示す状態から手持式間接接触具1を長軸中心に左または右に90°回転させた握り方で握ることもできる。これにより、例えば、接触対象に鉤状部33を引っ掛けて横移動させるような動作を使用者に容易に行わせることができる。なお、
図7Bに示した握り方についても同様に横に握ってもよい。また、
図8Cに示すように、手持式間接接触具1は、子供がよくする親指を立てない握り方で握ることもできる。他図の握りの場合も同様である。
【0051】
このように、手持式間接接触具1は、上述した構成を有することで、持ち方の自由度を高いものとすることができる。なお、手持式間接接触具1の持ち方は、どのような持ち方であっても構わないが、例えば、使用者の手指が
図2に示す境界部Bを超えない持ち方をすることが好ましい。これにより、上述した衛生的な区分を確実に行うことができる。
【0052】
1-4.オプション部材の取り付け例
手持式間接接触具1は、オプション部材を取り付け可能な構造を有している。
図2に示すように、手持式間接接触具1は、例えば、オプション部材の取り付け構造として8つの連結部(連結部51~連結部58)を有している。例えば、連結部51~連結部57は丸孔で構成され、連結部58は長孔で構成されている。
【0053】
連結部51~54は、手持式間接接触具1の他端部側に設けられている。連結部51~54は、例えば、延出部22の第2延出部24側の端部から第1延出部23側の端部にかけて順に設けられている。連結部55,56は、この連結部51~54よりも手持式間接接触具1の一端部側に設けられている。連結部55,56は、例えば、ゾーニング部4の第2突出部42側の端部から第1突出部41側の端部にかけて順に設けられている。連結部57は、例えば、手持式間接接触具1の一端部側における第1端部31および第2端部32間付近に設けられている。例えば、連結部57は、上述したイルカやシャチの目に相当する。
【0054】
連結部58は、連結部52および連結部56間に設けられている。具体的には、連結部58は、長尺部21の長手方向に沿うように、長尺部21の中央部近傍(中央部を含む)位置に設けられている。以下、この連結部51~58を用いたオプション部材の具体的な取り付け例について説明する。
【0055】
「他の手持式間接接触具の連結例」
手持式間接接触具1は、オプション部材として他の手持式間接接触具1を連結可能に構成されている。
図9は、他の手持式間接接触具1の連結例を示している。
図9Aは、連結状態での開状態を示しており、
図9Bは、連結状態での閉状態を示している。図示するように、この例では、手持式間接接触具1に他の手持式間接接触具1を連結して接触対象を挟持可能に構成している。つまり、手持式間接接触具1は、他の手持式間接接触具1を連結し、他の手持式間接接触具1との間で接触対象を挟持可能な構造を有している。例えば、手持式間接接触具1は、3つの連結部51,53,55を用いて他の手持式間接接触具1を着脱自在に連結する。
【0056】
具体的には、図示するように、各手持式間接接触具1の連結部51間に連結部材61を嵌挿し、連結部53間に連結部材62を嵌挿し、連結部55間に連結部材63を嵌挿することで2つの手持式間接接触具1を固定する。つまり、連結部材61~63は、各々孔状の連結部51,53,55を通り、複数の手持式間接接触具1を連結可能な形状および強度を有している。連結部材61~63は、例えば、長尺状の弾性部材で構成されている。なお、これらは図示した棒状のものに限らず、例えば、環状、バネ状、板状または紐状のものであってもよい。連結部材61~63としては、例えば、シリコーンゴム等の管状部材に金属製の芯材を嵌挿させたものを用いることができる。図示するように、連結部材61~63は、例えば、各々2つの手持式間接接触具1間を所定の距離(推奨として例えば、4~20mm)だけ離間して連結する。これにより、使用者の手指が手持式間接接触具1間に挟まることを防止して、安全性を高めることができる。
【0057】
図9Aおよび
図9Bに示すように、手持式間接接触具1に他の手持式間接接触具1を連結した状態では、各手持式間接接触具1の第2端部32間を開閉可能とすることができる。これにより、使用者は第2端部32間を開閉して第2端部32部分で接触対象を挟持することができる。つまり、掴む、持つ、捻るなどの接触対象を挟む(咥えこむ)必要がある動作を行うことができる。なお、連結状態においても単体での手持式間接接触具1の使用(例えば、上述した使用例を参照)と同じ使い方をすることができる。連結状態であることで使用時の強度を向上させることができる。手持式間接接触具1に他の手持式間接接触具1を連結する連結部の構造は、上述したものに限らず、他の既知の構造を採用してもよい。
【0058】
「挟持具の連結例」
接触対象を挟持するために手持式間接接触具1に連結するものは、他の手持式間接接触具1以外であってもよい。
図10は、挟持具(図中、挟持具7)の連結例を示している。なお、
図10では手持式間接接触具1と挟持具7とが明確となるように手持式間接接触具1を破線で表している。
図11~
図13についても同様である。
図10Aは、挟持具7の固定状態を示し、
図10Bは、挟持具7の固定解除状態(使用時の状態)を示している。
【0059】
挟持具7は、単体でも接触対象を挟持可能なものである。挟持具7は、例えば、手持式間接接触具1と同様に、全体が平板状に構成されている。挟持具7の全体的な大きさは、例えば、全長が手持式間接接触具1の全高H(
図2を参照)と同程度で、全幅が長尺部21の太さと同程度となっている。これにより、連結時の大型化を避けることができる。また、連結状態においても単体での手持式間接接触具1の使用と同様に使用することができるように構成することができる。挟持具7は、例えば、手持式間接接触具1と同様の材料で構成されている。
【0060】
挟持具7は、例えば、一端側に設けられた挟持部71と、他端側に設けられた連結部72と、挟持部71および連結部72間に設けられた連結部73とを有している。具体的には、連結部72は丸孔で構成され、連結部73は挟持具7の長手方向に沿って形成された長孔で構成されている。挟持具7は、例えば、長手方向の中央部から一端側に向かって枝分かれ状に構成されており、一端側に一対の棒状部71a,71bを有している。棒状部71aおよび棒状部71bは、例えば、互いに対向する側の基端部にそれぞれ凹部71cを有している。
【0061】
手持式間接接触具1は、例えば、2つの連結部52,56を用いて挟持具7を着脱自在に連結可能に構成されている。具体的には、図示するように、手持式間接接触具1の連結部52と挟持具7の連結部72とに連結部材81を嵌挿することで手持式間接接触具1と挟持具7とを固定する。連結部材81は、例えば、上述した連結部材61~63と同様の長尺状の弾性部材で構成されている。
【0062】
また、手持式間接接触具1の連結部56と、挟持具7の棒状部71aおよび棒状部71b間の間隙とに連結部材82を嵌挿する。連結部材82は、図示するように、挟持具7側にT字状に屈曲した端部を有している。他の構造は、連結部材81と同様である。T字状端部の長手方向の長さL3は、棒状部71aおよび棒状部71bの間隙長Gよりも長く、短手方向の長さL4は、間隙長Gよりも短く構成されている。連結部材82は、例えば、図中の矢印で示すように回転可能に軸支されており、回転させることで手持式間接接触具1と挟持具7とを固定する固定状態と、その固定状態を解除する解除状態とを切り替え可能に構成されている。
【0063】
つまり、
図10Aに示すように、連結部材82の端部の長手方向が棒状部71aおよび棒状部71bの間隙方向に対して交差する状態では、手持式間接接触具1と挟持具7とが固定される。したがって、手持式間接接触具1と挟持具7とが連結部材81および連結部材82により2点支持される。一方、
図10Bに示すように、連結部材82の端部の長手方向が棒状部71aおよび棒状部71bの間隙方向に沿う状態では、連結部材82による手持式間接接触具1と挟持具7との固定が解除される。したがって、手持式間接接触具1と挟持具7とは連結部材81の1点により支持されることになり、挟持部71側が開閉可能な状態、つまり、挟持可能な状態となる。
【0064】
図11は、挟持具7の使用例を示す模式図である。図示するように、挟持可能な状態においては、接触対象を手持式間接接触具1と挟持具7とで挟持することができる。なお、
図10に示すように、挟持具7は、一端側の幅が他部分の幅よりも太く形成されており、手持式間接接触具1との挟持を行い易いように構成されている。
【0065】
図12は、挟持具7の他の連結例を示している。手持式間接接触具1は、例えば、2つの連結部56,58を用いて挟持具7を着脱自在に連結できるように構成されている。具体的には、図示するように、手持式間接接触具1の連結部56と、挟持具7の棒状部71aおよび棒状部71b間の間隙とに連結部材82を嵌挿して手持式間接接触具1と挟持具7とを固定する。また、手持式間接接触具1の連結部58と挟持具7の連結部73とに連結部材83を嵌挿して手持式間接接触具1と挟持具7とを固定する。連結部材83は、例えば、連結部材82と同様の構成のものである。連結時は、連結部材82および連結部材83を固定状態にする。これにより、挟持具7は、手持式間接接触具1にスライド可能に連結され、挟持部71が手持式間接接触具1に対して突没自在となる。
【0066】
つまり、
図12Aに示す挟持具7(具体的には、挟持部71)が手持式間接接触具1側に収まる状態と、
図12Bに示す挟持具7が手持式間接接触具1から突出する状態とで切り替え可能とすることができる。これにより、挟持具7の不使用時には、
図12Aに示す状態としてコンパクトな構成とすることができる。一方、挟持具7の使用時には、矢印方向にスライドさせて、
図12Bに示す状態とする。
図12Bに示す状態では、連結部材82の端部が凹部71cに嵌まり、スライド位置がロックされるように構成されている。このように挟持部71を突出させることで接触対象を挟持することができる。なお、挟持具7は、手持式間接接触具1に連結状態で携帯してもよいし、外した状態で携帯し単体利用してもよい。
【0067】
「カバー部材の装着例」
手持式間接接触具1は、オプション部材として接触対象に接触する接触部に対して開閉可能なカバー部材を装着可能に構成されている。
図13は、カバー部材(図中、カバー部材9)の装着例を示している。
図13Aは、カバー部材9を閉じている状態を示し、
図13Bは、カバー部材9を開けている状態を示している。カバー部材9は、第2領域部3の接触部を覆う構造を有している。なお、図示する例では、カバー部材9は、第2領域部3の全体とゾーニング部4の一部を覆っている。
【0068】
手持式間接接触具1は、例えば、連結部55を用いてカバー部材9を着脱自在に装着可能に構成されている。具体的には、図示するように、手持式間接接触具1の連結部55にカバー部材9を回転可能に軸支する。これにより、使用者は、例えば、第2突出部42の形状に対応する回転操作部91に指を掛け、カバー部材9を回転させることで、閉状態と開状態とを切り替えることができる。閉状態とは第2領域部3の第1端部31、第2端部32および鉤状部33がカバー部材9で覆われている状態であり、開状態とは第2領域部3の第1端部31、第2端部32および鉤状部33のうちの少なくとも何れか1つが露出している状態である。
【0069】
このように、
図13Aに示す閉状態では接触部が覆われるため不使用時に閉状態とすることで第2領域部3が他の部材や人体等と接触することを容易に防止することができる。使用時には
図13Bに示すように接触部を露出させることができるので、上述した使用が可能となる。なお、第1領域部2側に同様のカバー部材を装着してもよい。
【0070】
手持式間接接触具1は、オプション部材としてストラップを装着してもよい。その場合は、例えば、
図2に示した連結部54,57等をストラップの装着部として利用することができる。また、手持式間接接触具1は、オプション部材として磁石等の磁性体を装着してもよい。その場合は、例えば、
図2に示した連結部55,56等を磁性体の装着部として利用することができる。手持式間接接触具1に磁性体を装着することで、例えば、使用者は、手持式間接接触具1を磁力により容易に壁面等に付けたり身に着けたりすることができ、取り扱いを容易なものとすることができる。
【0071】
1-5.本実施形態により得られる効果の一例
以上、説明した本実施形態によれば、手持式間接接触具1は、使用者が把持してよい領域(第1領域部2または第2領域部3)とそうでない領域(第1領域部2を把持する場合には第2領域部3、第2領域部3を把持する場合には第1領域部2)とを明示する形状を有している。
【0072】
具体的には、使用者が把持可能な第1領域部2と第1領域部2から延設される第2領域部3との間の幅方向の両端部からそれぞれ突出し、第1領域部2と第2領域部3とを衛生的かつ視覚的に区分する第1突出部41および第2突出部42を有している。これにより、手持式間接接触具1の使用時に使用者の手指が接触対象に触れないようにすることができる。また、使用時に限らず、使用者に手持式間接接触具1の触れても構わない部分と触れてはいけない部分とを容易に把握させることができる。つまり、清潔区域と不潔区域とが明確となり、清潔物(例えば、使用者の手指)の汚染リスクを減らすことができる。
【0073】
2.第2実施形態
図14および
図15は、第2実施形態に係る手持式間接接触具(図中、手持式間接接触具1A)の構成例を示している。
図14は、手持式間接接触具1Aの斜視図であり、
図15は、手持式間接接触具1Aの分解斜視図である。
図14に示すように、手持式間接接触具1Aは、第1領域部2、第2領域部3およびゾーニング部4Aを有している。
【0074】
図示するように、ゾーニング部4Aは、例えば、第1領域部2および第2領域部3間を隔てる柱体状(具体的には、四角柱状)に構成されている。ゾーニング部4Aの長手方向の一端側で第1突出部41が形成され、他端側で第2突出部42が形成されている。なお、ゾーニング部4Aの他端側の第2領域部3側の角部42dは、第1実施形態の傾斜部42aと同様に、第2領域部3に当接している接触対象が第1領域部2に接触することを防ぐ。つまり、角部42dは、第2領域部3側の接触対象が第1領域部2に触れないように機能する。
【0075】
ゾーニング部4Aの厚さT1は、第1領域部2および第2領域部3の厚さTよりも大きく(例えば、片側1~2mm)構成されている。これにより、手持式間接接触具1Aは、第1領域部2と第2領域部3とを側面部においても衛生的かつ視覚的に区分することができる。つまり、ゾーニング部4Aは、第1領域部2および第2領域部3よりも厚いことで、上述した衛生的な区分を側面部においても行うとともに、把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する。なお、ゾーニング部4Aの厚さT1は、第1領域部2および第2領域部3の厚さTと等しくてもよいし、それより小さくても構わない。
【0076】
ここで、第1実施形態の手持式間接接触具1は、第1領域部2、第2領域部3およびゾーニング部4が一体的に形成されていたが、手持式間接接触具1Aにおいては、第1領域部2と第2領域部3とがゾーニング部4A部分において着脱自在に構成されている。つまり、本実施形態における手持式間接接触具1Aは、着脱自在な構造を有する点が、第1実施形態の手持式間接接触具1と相違する。他の部分は、基本的に第1実施形態において説明した通りである。
【0077】
手持式間接接触具1Aは、具体的には、第1領域部2と第2領域部3とがスライド可能に嵌合する構成を有している。ゾーニング部4Aは、例えば、第1領域部2に設けられている第1嵌合部25と、第2領域部3に設けられている第2嵌合部34とで構成されている。
図15に示すように、第1嵌合部25は、手持式間接接触具1Aの幅方向の両端間を結ぶ溝状の嵌合凹部25aを有している。一方、第2嵌合部34は、嵌合凹部25aにスライド可能に嵌合する嵌合凸部34aを有している。また、第2嵌合部34は、一端側(第1突出部41が形成される側)に、スライド嵌合させた第1嵌合部25の一端側が当接する当接部34bを有している。
【0078】
嵌合凹部25aの第1突出部41の形成側(
図15の図面視での下側)から嵌合凸部34aをスライド嵌合させ、当接部34bを第1嵌合部25の一端側に当接させることで
図14に示す状態となり、第1領域部2および第2領域部3間にゾーニング部4Aが形成される。なお、第1領域部2に対してスライド嵌合させる第2領域部3の向きは、
図15に示すものに限らない。つまり、第2領域部3について手持式間接接触具1Aの幅方向における一端側と他端側(
図15の図面視における第2領域部3の上側と下側)とを逆にし、第1領域部2に対して第2突出部42の形成側(
図15の図面視での上側)から嵌合凸部34aをスライド嵌合させてもよい。これにより、手持式間接接触具1Aを、
図16に示す構成とすることができる。
【0079】
本実施形態によれば、手持式間接接触具用部材としての第1領域部2、第2領域部3の各々は、手持式間接接触具1Aを構成する着脱自在な部材であり、取り付けることで使用者が把持してよい領域とそうでない領域とを使用者に明示する形状を手持式間接接触具1Aに形成する。具体的には、第1領域部2は、第2領域部3を取り付けることで、第1領域部2および第2領域部3間にゾーニング部4Aを形成し、手持式間接接触具1Aとすることができる。逆に言うと、手持式間接接触具用部材としての第2領域部3は、第1領域部2を取り付けることで、第1領域部2および第2領域部3間にゾーニング部4Aを形成し、手持式間接接触具1Aとすることができる。手持式間接接触具1Aは、ゾーニング部4Aを有することで上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
また、第1領域部2および第2領域部3よりもゾーニング部4Aの厚さを厚く構成していることで、側面においても衛生的かつ視覚的な区分を行うことができる。また、第1領域部2と第2領域部3とが着脱自在に構成されていることで、例えば、第1領域部2および第2領域部3の何れかが損傷した場合に、損傷した方を新しいものに交換することができる。また、第1領域部2に対して第2領域部3を逆向きに取り付けることができる。さらに、第1領域部2および第2領域部3の何れか一方を他の構成のものに交換することもできる。
【0081】
例えば、
図17に示すように、第2領域部3に替えて、棒状の接触部を有する第2領域部3Aを取り付け、別の手持式間接接触具1Bとすることもできる。このように、本実施形態によれば、使い勝手を飛躍的に向上させることができる。なお、第1実施形態と同様、手持式間接接触具1Aに他の手持式間接接触具1Aを連結して接触対象を挟持可能としてもよいし、
図10および
図12に示した挟持具7を連結して接触対象を挟持可能としてもよい。他の手持式間接接触具1Aまたは挟持具7との間で挟持可能とする場合には、例えば、手持式間接接触具1Aを
図18に示すように構成することが好ましい。つまり、第1領域部2の連結部および第2領域部3の挟持部にそれぞれ段差部Sを設けて各々の厚さをゾーニング部4Aと同じとする。これにより、接触対象を良好に挟持することができる。なお、各段差部Sは、ゾーニング部4Aと同じ厚さに調整するものに限らない。例えば、各段差部Sによって第1領域部2および第2領域部3の厚さに差を付け、把持状態、挟持状態、接触の度合い等の調整をするようにしてもよい。各段差部Sの形状(高さを含む)、位置等は、適宜、設定してもよく、例えば、デザイン的に設けてもよい。
【0082】
第1領域部2および第2領域部3を着脱自在とする構造は、図示したもの以外であっても構わない。例えば、嵌め込み式など既知の着脱構造を採用することができる。また、ゾーニング部4Aは、上述した第1実施形態のゾーニング部4と同様に角が取れているものであってもよい。さらに、手持式間接接触具1Aは、上述した第1実施形態の手持式間接接触具1と同様に第1領域部2、第2領域部3およびゾーニング部4Aが一体的に構成されているものであってもよい。
【0083】
3.第3実施形態
図19および
図20は、第3実施形態に係る手持式間接接触具(図中、手持式間接接触具1C)の構成例を示している。
図19は、手持式間接接触具1Cの斜視図であり、
図20は、手持式間接接触具1Cの側面図である。第1実施形態における手持式間接接触具1は、全体が平板状に構成されていたが、本実施形態に係る手持式間接接触具1Cは、枠状に構成されている。他の点は、基本的に第1実施形態の手持式間接接触具1と同様である。
【0084】
手持式間接接触具1Cは、
図19に示すように、全体が枠状(具体的には、平枠状)に構成されている。手持式間接接触具1Cは、例えば、金属製の線材(例えば、直径φ=4mm)によって構成されている。なお、手持式間接接触具1Cを構成する枠は、断面が円形のものに限らず、楕円形や角形等であってもよく、また、外枠だけではなく外枠内に補強用の枠等が設けられて構成されていても構わない。手持式間接接触具1Cは、例えば、この金属製の線材を折り曲げ加工し、両端を接合することで製造することができる。
【0085】
なお、手持式間接接触具1Cは、金属製の線材に限らず、線材以外の金属や、金属以外の材料、例えば、プラスチック材料、セラミックス、天然樹脂、木材、石材等により構成されていてもよい。また、第1実施形態の手持式間接接触具1と同様に、他の材料や特性を含んでいてもよい。また、手持式間接接触具1Cは、線材の折り曲げ加工に限らず、成形型を用いた成形、3Dプリンタを用いた成形等で製造してもよい。
【0086】
手持式間接接触具1Cは、第1領域部2、第2領域部3およびゾーニング部4を有している。
図20に示すように、第1領域部2、第2領域部3およびゾーニング部4の各構成は、基本的に上述した第1実施形態において説明した通りである。
【0087】
本実施形態に係る手持式間接接触具1Cによれば、上述した第1実施形態に係る手持式間接接触具1と同様の効果を奏することができる。また、全体が枠状に構成されていることでアクセサリー的なデザインとなり、デザイン性をさらに向上させることができる。さらに、線材だけあれば手で折り曲げて容易に製造することができる。そのため、例えば、物資欠乏時や緊急時などに容易かつ迅速に製造することができる。また、枠の外側だけでなく内側も有効利用(例えば、オプション部材の取り付けに利用)することができる。
【0088】
図21は、挟持具(図中の挟持具7A)の連結例を示す図である。例えば、図示するように、手持式間接接触具1Cの枠の内側および外側を利用し、単体で接触対象を挟持可能な挟持具7Aをオプション部材として連結することで、
図12に示した手持式間接接触具1と同様の使い方をすることができる。
【0089】
4.変形例
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の内容は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、第1突出部41および第2突出部42は、図示した形状に限らず、台形状に突出した形状、円弧状や多角形の周縁状に突出した形状等、種々の形状とすることができる。
【0090】
また、例えば、上述した第1実施形態に係る手持式間接接触具1は、3つの連結部(連結部51,53,55)によって他の手持式間接接触具1と連結する構成を例示したが、連結構成は、これに限らない。例えば、
図22に示すように、連結部51,53の2つで連結する構成であってもよいし、
図23に示すように、連結部51,55の2つで連結する構成であってもよい。
図22に示すものでは、手持式間接接触具1および他の手持式間接接触具1の第1端部31間を大きく開閉することができる。また、
図23に示すものでは、
図9に示すものよりも第2端部32間を容易に開閉することができる。このように、連結部の数、位置、構造等は、適宜、変更が可能である。さらに、挟持可能とするために連結する部材は、上述したもの以外であってもよい。例えば、単体で挟持可能に構成されていない他の形状の手持式間接接触具であってもよい。具体的には、手持式間接接触具1に第2実施形態に係る手持式間接接触具1Bを連結させて使用してもよい。これにより、連結時の厚みを抑えて第2実施形態と同様の効果を持たせることができる。
【0091】
また、例えば、上述した各実施形態では、接触対象に接触させる接触部として、第1端部31、第2端部32および鉤状部33、鉤状部2a、鉤状部2b、延出部22を例示したが、接触対象と接触させる接触部の数、形状、大きさ、位置等は、上述したものに限らない。例えば、第1端部31と第2端部32とが同じ大きさであってもよいし、棒状に突き出た形状であってもよい。また例えば、鉤状部33、鉤状部2a、鉤状部2bの各形状は、公知のL字状やU字状の引っ掛け形状などであってもよく、返し形状を適宜有するものであってもよい。また例えば、接触部となる別の端部を有していてもよいし、接触部の一部が省略されていてもよい。
【0092】
図24は、変形例に係る手持式間接接触具(図中、手持式間接接触具1D)の構成例を示す側面図である。上述した第1実施形態に係る手持式間接接触具1は、鉤状部33を構成する要素として曲線状の曲線部33aを有していた(
図2を参照)が鉤状部33の構成はこれに限らない。例えば、手持式間接接触具1Dでは、曲線部33aに替えて多角形の周縁状に屈曲した屈曲部33cを有している。例えば、図示した例では、屈曲部33cは、正十六角形の周縁状に屈曲(角度θ=22.5°)したものとなっている。これにより、接触対象との接触面積を減らすことができる。なお、屈曲部33cは、屈曲した形状を有していればよく、正十六角形に限らない。また、屈曲部33cに替えて突起等で接触する構成としてもよい。
【0093】
また、例えば、上述した第1実施形態に係る手持式間接接触具1は、第1突出部41および第2突出部42を設けることで第1領域部2および第2領域部3の境界(例えば、
図2に示す境界部B)を使用者に明示するものを例示したが、これに限らず、他の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合(以下、形状、模様等と称する。)を設けることで明示してもよい。また、第1突出部41および第2突出部42に加えて、他の形状、模様等を設けることで明示してもよい。明示する形状、模様等を複数組み合わせることで使用者の知覚性を向上させることができる。
【0094】
図25は、変形例における明示形状、模様等の例を示している。例えば、
図25に示すように、手持式間接接触具1の側面に第1突出部41と第2突出部42との境界を表す立体的な形状を設けてもよい。例えば、立体的な形状として、
図25Aに示すように、溝状の凹部43aを設けてもよいし、
図25Bに示すように、線状の凸部43bを設けてもよい。これにより、第1領域部2と第2領域部3とを使用者に視覚および触覚により知覚させることができる。なお、図示するように、境界の全てを表してもよいし、知覚可能な範囲で一部(例えば、全体の7割程度)を表してもよい。また、凸部43bは、第1領域部2および第2領域部3を衛生的に区分する形状とすることもできる。使用者に知覚させるものは、立体的(3次元的)なものに限らず、平面的(2次元的)なものであってもよい。平面的なものは、例えば、印刷、刻印、成形等で付すことができる。
【0095】
図26は、変形例における他の明示形状、模様等の例を示している。例えば、
図26Aに示すように、手持式間接接触具1の側面に第1領域部2と第2領域部3との境界を表す線を付してもよい。
図26Bに示すように、実線に限らず破線を付してもよいし、
図26Cに示すように、デザイン的な模様を付してもよい。また、
図26D、
図26Eに示すように、文字や記号を付して知覚性の向上を図ってもよい。さらに、
図26Fに示すように、色彩によって第1領域部2と第2領域部3との境界を表してもよいし、これらを組み合わせてもよい。なお、使用者に明示する形状、模様等は、第1領域部2と第2領域部3との境界を表すものであれば、図示したものに限らない。例えば、この形状、模様等は、第1領域部2と第2領域部3とを着脱自在な構造とし、これらの連結部分に表れる境界線によって表現してもよいし、第2実施形態のように、グレーゾーン的に幅を持たせて表現(具体的には、ゾーニング部4の範囲を表現)するものであってもよい。また、第1実施形態の手持式間接接触具1に限らず、第2実施形態の手持式間接接触具1A,1B、第3実施形態の手持式間接接触具1C等についても同様に使用者に明示する形状、模様等を有していてもよい。
【0096】
また、例えば、上述した第2実施形態では、着脱自在な手持式間接接触具用部材としての第1領域部2および第2領域部3を一体的に組み立てることでゾーニング部4Aを形成する場合を例示したが、手持式間接接触具用部材は、これらに限らない。例えば、ゾーニング部が形成されている第1領域部2に第2領域部3を取り付ける構造であってもよいし、ゾーニング部が形成されている第2領域部3に第1領域部2を取り付ける構造であっても構わない。また例えば、ゾーニング部自体を第1領域部2および第2領域部3に対して着脱自在な構成とし、ゾーニング部自体を手持式間接接触具用部材としてもよい。
【0097】
また、例えば、上述した各実施形態では、海獣(具体的には、イルカやシャチ)を模した形状について説明したが、模倣する形態は、これに限らない。
図27は、変形例に係る手持式間接接触具(手持式間接接触具1E)の構成例を示す側面図である。手持式間接接触具1Eは、象を模した形状を有している。例えば、第1領域部2は、象の胴体部および後足部に相当し、第2領域部3は頭部に相当し、ゾーニング部4は、前足部と耳部間に相当する。具体的には、第1突出部41が前足部に相当し、第2突出部42が耳部に相当する。このように、他の形態を模した外形形状で構成してもよい。なお、手持式間接接触具1Eにおいては、第1領域部2の長尺部21Aは、他端側において屈曲しており、この屈曲部分を鉤状部としている。このように、長尺部は屈曲したものやカーブしたものであってもよい。
【0098】
また、例えば、上述した第1実施形態および第2実施形態では、全体が平板状の構成の手持式間接接触具1,1Aについて例示し、第3実施形態では、全体が平枠状の構成の手持式間接接触具1Cについて例示したが、手持式間接接触具は、平たい形状に限らず、全体が立体的な形状であっても構わない。
【0099】
上述の実施形態および変形例においてあげた構成(相対的な配置を含む)、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよく、公知のもので置き換えることも可能である。また、実施形態および変形例における構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、技術的な矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせることが可能であり、適宜、省略することも可能である。
【0100】
なお、本明細書中で例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0101】
1,1A~1E・・・手持式間接接触具
2・・・第1領域部
2a,2b,33・・・鉤状部
3,3A・・・第2領域部
4,4A・・・ゾーニング部
7,7A・・・挟持具
9・・・カバー部材
21,21A・・・長尺部
21a・・・指当て凹部
22・・・延出部
31・・・第1端部
32・・・第2端部
41・・・第1突出部
41a,42a,42b・・・傾斜部
42・・・第2突出部
51~58・・・連結部
71・・・挟持部