(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082047
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】搬送台車、及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
B62B 3/10 20060101AFI20220525BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B62B3/10 A
B66F9/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193366
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 亮佑
【テーマコード(参考)】
3D050
3F333
【Fターム(参考)】
3D050AA32
3D050BB21
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050HH07
3F333AA20
3F333AF06
(57)【要約】
【課題】円筒状の搬送物を搬送するための搬送台車の小型化を可能にすることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の搬送台車1は、台車部2と、台車部2から延びるとともに所定間隔を置いて水平方向に並ぶ互いに平行な一対のアーム10を有し、搬送物Hが一対のアーム10上に積載される積載部4と、を備える。搬送物Hは、搬送物Hの外周部h1が一対のアーム10それぞれに沿った状態で一対のアーム10上に積載される。積載部4は、一対のアーム10の少なくともいずれか一方を水平方向に沿って移動させる移動機構20と、一対のアーム10それぞれに設けられ、搬送物Hの外周部h1に沿って摺接可能に当接し、搬送物Hを支持する摺接支持部40と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の搬送物を搬送する搬送台車であって、
台車部と、
前記台車部から延びるとともに所定間隔を置いて水平方向に並ぶ互いに平行な一対のアームを有し、前記搬送物が前記一対のアーム上に積載される積載部と、を備え、
前記搬送物は、前記搬送物の外周部が前記一対のアームそれぞれに沿った状態で前記一対のアーム上に積載され、
前記積載部は、
前記一対のアームの少なくともいずれか一方を前記水平方向に沿って移動させる移動機構と、
前記一対のアームそれぞれに設けられ、前記搬送物の外周部に沿って摺接可能に当接し、前記搬送物を支持する摺接支持部と、を備える
搬送台車。
【請求項2】
前記摺接支持部は、前記一対のアームの長手方向に平行な回転軸回りに回転可能な支持ローラを含む
請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記一対のアームに設けられ、前記台車部の走行によって従動回転する支持車輪をさらに備える
請求項1又は請求項2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記一対のアームの反対方向に延びる他の前記一対のアームを有する他の前記積載部をさらに備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送台車。
【請求項5】
横向きに載置された円筒状の搬送物を請求項1に記載の搬送台車を用いて搬送する搬送方法であって、
前記搬送物の外周部に沿うように前記搬送物の両側に前記一対のアームを配置するステップと、
前記一対のアームのうちのいずれか一方を移動させることで前記一対のアームの間隔を狭め、前記一対のアームに設けられた摺接支持部を前記搬送物の両側から接近させて前記搬送物の外周部に当接させるステップと、
前記一対のアームの間隔をさらに狭めることで、前記外周部に当接する前記摺接支持部を前記外周部に沿って摺接させつつ、前記搬送物を上昇させ、前記一対のアーム上に積載するステップと、を含む
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の搬送物を搬送する搬送台車、及び円筒状の搬送物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造過程において用いられるワイヤーやスチールコードは、リールやボビン等に巻き回された状態で搬送される。
ワイヤーやスチールコードが巻き回されたリール等の円筒状の搬送物の工場内搬送は、例えば、特許文献1に記載される自走式のフォークリフトを用いて行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、円筒状の搬送物をフォークリフトで搬送する場合の手順を示す図である。
円筒状の搬送物をフォークリフトで搬送する場合、まず、
図5(a)に示すように、横置された搬送物100の両側に一対のフォーク102を配置する。このとき、一対のフォーク102は、搬送物100の外周面に沿うように配置される。つまり、フォーク102は、フォーク102の長手方向が搬送物100の外周面の母線に対してほぼ平行となるように配置される。
【0005】
次いで、一対のフォーク102の間隔を、搬送物100の直径よりも小さくなるように狭め(
図5(b))、その後、一対のフォーク102を上昇させる(
図5(c))。
これにより、搬送物100は一対のフォーク102上に積載され、フォークリフトによって搬送される。
【0006】
上記フォークリフトでは、一対のフォーク102を昇降させるためのアクチュエータやリニアガイド等を備えるので、上下方向に大型となる。
さらに、搬送物を昇降させる上記フォークリフトの可搬重量は、車両本体の重量と比例関係にある。このため、重量物を搬送する場合、それに見合った車両本体の重量を有するフォークリフトを用意する必要がある。
ここで、ワイヤーやスチールコードが巻き回されたリール等は、体積が比較的小さいにも関わらず重量が大きくなる傾向がある。このため、リール等のように体積が比較的小さい搬送物を搬送するにも関わらず、比較的大型のフォークリフトを用いる必要があった。
【0007】
比較的大型のフォークリフトは工場といった比較的狭いエリアでの搬送に適しているとはいえず、より小型の搬送台車等を用いることが望ましい。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、円筒状の搬送物を搬送するための搬送台車の小型化を可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、円筒状の搬送物を搬送する搬送台車であって、台車部と、前記台車部から延びるとともに所定間隔を置いて水平方向に並ぶ互いに平行な一対のアームを有し、前記搬送物が前記一対のアーム上に積載される積載部と、を備え、前記搬送物は、前記搬送物の外周部が前記一対のアームそれぞれに沿った状態で前記一対のアーム上に積載され、
前記積載部は、前記一対のアームの少なくともいずれか一方を前記水平方向に沿って移動させる移動機構と、前記一対のアームそれぞれに設けられ、前記搬送物の外周部に沿って摺接可能に当接し、前記搬送物を支持する摺接支持部と、を備える。
【0010】
上記構成の搬送台車によれば、例えば、一対のアームに搬送物が積載されているときに一対のアームの少なくともいずれか一方を水平方向に沿って移動させ、一対のアームの間隔を広げれば、搬送物の外周部と摺接支持部とを摺接させつつ搬送物を下降させることができる。逆に、一対のアームの間隔を狭めれば、搬送物の外周部と摺接支持部とを摺接させつつ搬送物を上昇させることができ、搬送物の外周部が一対のアームそれぞれの内側部に沿うように、搬送物を一対のアーム上に積載することができる。
このように本発明によれば、一対のアームのうちの少なくとも一方を水平方向に沿って移動させれば、一対のアーム上に搬送物を積載することができるとともに、積載した搬送物を降ろすことができる。この結果、アーム等を昇降させるための機構が不要となり上下方向の小型化が可能となる。
さらに、一対のアームを上昇させないので、搬送物を積載した状態においても低重心とすることができ、可搬重量を考慮したとしても台車の車両重量をより小さくすることが可能となる。
このように、アーム等を昇降させるための機構が不要である上に車両重量をより小さくすることができるため、搬送台車全体として小型化を図ることができる。
【0011】
また、上記搬送台車において、前記摺接支持部は、前記一対のアームの長手方向に平行な回転軸回りに回転可能な支持ローラを含んでいてもよい。
この場合、摺接支持部を搬送物の外周部に沿ってより滑らかに摺接させることができる。
【0012】
また、上記搬送台車において、前記一対のアームに設けられ、前記台車部の走行によって従動回転する支持車輪をさらに備えていてもよい。
この場合、一対のアーム上に積載される搬送物の重量を台車部と、支持車輪とによって負担することができる。つまり、台車部だけで搬送物の重量を負担する必要がないので、可搬重量を考慮することなく台車の車両重量を設定することができ台車をさらに軽量にすることができる。この結果、搬送台車をさらに小型化することができる。
【0013】
また、上記搬送台車において、前記一対のアームの反対方向に延びる他の前記一対のアームを有する他の前記積載部をさらに備えていてもよい。
この場合、より多くの搬送物を搬送できるとともに、移動の際の方向転換等が容易となる。
【0014】
また、本発明は、横向きに載置された円筒状の搬送物を上記搬送台車を用いて搬送する搬送方法であって、前記搬送物の外周部に沿うように前記搬送物の両側に前記一対のアームを配置するステップと、前記一対のアームのうちのいずれか一方を移動させることで前記一対のアームの間隔を狭め、前記一対のアームに設けられた摺接支持部を前記搬送物の両側から前記搬送物の外周部に当接させるステップと、前記一対のアームの間隔をさらに狭めることで、前記外周部に当接する前記摺接支持部を前記外周部に沿って摺接させつつ、前記搬送物を上昇させ、前記一対のアーム上に積載するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、円筒状の搬送物を搬送するための搬送台車の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る自走式搬送台車の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、搬送台車の積載部と、台車部の一部構成を示す平面図、
図2(b)は、搬送台車の積載部と、台車部の一部構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、搬送物を昇降する際の態様を示した図であり、(a)は、搬送物が床面に接地している状態を示す図、(b)は、搬送物が床面から離間している状態を示す図である。
【
図4】
図4は、変形例に係る摺接支持部を示す図である。
【
図5】
図5は、円筒状の搬送物をフォークリフトで搬送する場合の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔搬送台車の全体構成について〕
図1は、実施形態に係る自走式搬送台車の一例を示す斜視図である。
図1中、自走式搬送台車1は、例えば、タイヤを製造する工場において、ワイヤーやスチールコードが巻き回されたリールやボビンといった円筒状の搬送物Hを搬送するための搬送台車である。
自走式搬送台車1(以下、単に搬送台車1ともいう)は、台車部2と、搬送物Hを積載するための積載部4とを備える。
【0018】
台車部2は、直方体状であり、フレーム6と、フレーム6上に設けられた筐体8とを有する。フレーム6には、搬送台車1が自走するために必要な機能が搭載される。
搬送台車1は、台車部2において一面2a及び一面2aの反対面2bが向く方向に進行するように構成されている。以下の説明では、
図1中の矢印に示す、一面2a及び一面2aの反対面2bが向く水平な方向を進行方向、進行方向に直交する水平な方向を幅方向という。
【0019】
積載部4は、台車部2のフレーム6に設けられている。積載部4は、一対のアーム10を備えている。一対のアーム10は、台車部2から進行方向に沿って延びるとともに所定間隔を置いて幅方向に並べて配置される。一対のアーム10は、床面から所定の高さ位置とされ、互いに平行となるように配置される。
搬送物Hは一対のアーム10上に積載される。搬送物Hは、搬送物Hの外周部h1が一対のアーム10それぞれに沿った状態で一対のアーム10上に積載される。つまり、搬送物Hは、一対のアーム10の長手方向と搬送物Hの外周部h1の母線とがほぼ平行となるように一対のアーム10上に積載される。
【0020】
なお、搬送物Hが円筒外周面を有する場合、外周部h1は、円筒外周面を含む。
ワイヤーやスチールコードが巻き回されるリールやボビンは、ワイヤー等が巻き回される軸部と、軸部の両端に設けられる円板状の一対の鍔部とを有する。よって、搬送物Hがリールやボビンの場合、外周部h1は、一対の鍔部の外周端面を含む。また、搬送物Hがリールやボビンの場合、外周部h1は、一対の鍔部の外周端面によって仮想的に画定される円筒形状の外周面を指すことがある。
【0021】
積載部4は、台車部2の一面2a側及び一面2aの反対面2b側の両方に設けられている。反対面2b側に設けられている積載部4の一対のアーム10は、進行方向に沿うとともに一面2a側のアーム10の反対方向に延びている。一面2a側に設けられている積載部4及び反対面2b側に設けられている積載部4は同じ構成である。
【0022】
図2(a)は、搬送台車1の積載部4と、台車部2の一部構成を示す平面図、
図2(b)は、搬送台車1の積載部4と、台車部2の一部構成を示す側面図である。
図2(a)及び
図2(b)では、台車部2の内部構成を模式的に示している。
【0023】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、台車部2のフレーム6には、一対の駆動輪12と、一対の駆動輪12を駆動する一対のモータ14とが搭載されている。一対の駆動輪12は、フレーム6の下面から露出し、床面Rに接地している。一対の駆動輪12は、フレーム6に設けられた軸受装置(図示省略)によって回転自在に支持され、台車部2を床面Rに対して支持する。
一対のモータ14は、一対の駆動輪12を駆動し、搬送台車1を走行させる。一対のモータ14は、フレーム6に搭載された制御装置16によって制御される。
【0024】
積載部4は、一対のアーム10の他、一対のアーム10を幅方向に沿って移動させる移動機構20を備える。
移動機構20は、リニアアクチュエータを構成しており、フレーム6に搭載されている。移動機構20は、一対のアーム10及び一対のアーム10が取り付けられた一対の取付プレート22を幅方向に沿って移動させる機能を有する。
移動機構20は、一対の取付プレート22を支持する一対のブラケット24と、一対のブラケット24が取り付けられるボールねじ26と、ボールねじ26を駆動するモータ28とを備える。
【0025】
ボールねじ26は幅方向に延びている。一対のブラケット24は、ボールねじ26に螺合している。一対のブラケット24は、ボールねじ26が一方向に回転すると、ボールねじ26に沿って互いに接近する方向に移動し、ボールねじ26が一方向と反対の方向に回転すると、ボールねじ26に沿って互いに離間する方向に移動する。
よって、一対のブラケット24は、ボールねじ26を一方向に回転させると、一対のブラケット24の間隔が狭まるように同時に移動し、ボールねじ26を反対の方向に回転させると、一対のブラケット24の間隔が広がるように同時に移動する。
【0026】
モータ28は、ボールねじ26を駆動し回転させることで、一対のブラケット24を幅方向に沿って移動させ、一対のブラケット24の間隔を拡縮する。
よって、一対のアーム10は、モータ28による駆動力によって幅方向に沿って移動し、一対のアーム10の間隔が拡縮される。
よって、モータ28は、一対のアーム10の間隔を拡縮することができる。
モータ28は、制御装置16によって制御される。
【0027】
制御装置16は、台車部2や一対のアーム10等に設けられたカメラやセンサ(図示省略)から与えられる出力に基づいて、プログラム等によって定められたパターンに従って一対のモータ14及びモータ28を制御する。
これにより、制御装置16は、搬送台車1の走行制御、及び搬送物の積み卸しの際における一対のアーム10の間隔を制御する。
【0028】
一対のアーム10は、上述のように一対の取付プレート22に取り付けられている。
一対の取付プレート22は、幅方向に延びるリニアガイド(図示省略)によって幅方向に沿って移動可能に支持されている。
【0029】
一対のアーム10は、角柱状の部材であり、取付プレート22を基端として進行方向に沿って延びている。一対のアーム10は、搬送物Hが積載される積載アーム部30と、積載アーム部30の先端から上方向に延びる段差部32と、段差部32の先端からさらに進行方向へ延びる延長部34とを備える。
【0030】
段差部32は、積載アーム部30に積載される搬送物Hが進行方向に移動するのを規制することができる。
延長部34には、一対のアーム10を支持するための支持キャスタ36が設けられている。支持キャスタ36は、延長部34の下面に固定されたキャスタ本体36aと、支持車輪36bとを備える。
キャスタ本体36aは、支持車輪36bを回転自在かつ旋回可能に支持する。これにより、キャスタ本体36aは、搬送台車1の走行する方向に応じて支持車輪36bが従動回転するように支持する。
支持キャスタ36は、一対のアーム10の先端部を支持する。これにより、一対のアーム10上に積載される搬送物Hの重量を台車部2と、支持キャスタ36とによって負担することができる。
【0031】
一対の積載アーム部30それぞれには、搬送物Hの外周部h1に当接して搬送物Hを支持する摺接支持部40が設けられている。
摺接支持部40は、支持ローラ42と、支持ローラ42を支持する支持ブラケット44とを含む。
支持ブラケット44は、一対の積載アーム部30それぞれにおいて互いに対向する内側面30aから突出して設けられている。
【0032】
支持ローラ42は、積載アーム部30に平行に延びる長尺のローラである。支持ローラ42の両端は、支持ブラケット44及び取付プレート22によって回転可能に支持される。
支持ローラ42は、積載アーム部30の長手方向に平行な回転軸回りに回転可能とされている。
一対の積載アーム部30それぞれの支持ローラ42は、搬送物Hの外周部h1に当接し、搬送物Hを支持する。
【0033】
〔搬送物Hの昇降について〕
図3は、搬送物Hを昇降する際の態様を示した図であり、(a)は、搬送物Hが床面Rに接地している状態を示す図、(b)は、搬送物Hが床面Rから離間している状態を示す図である。
【0034】
本実施形態の搬送台車1に搬送物Hを積載する場合、まず、横向きに載置された搬送物Hの外周部h1に沿うように搬送物Hの両側に一対のアーム10を配置する。このとき、一対のアーム10の間隔Wは、摺接支持部40の支持ローラ42が外周部h1に当接しない程度に拡げられる。
【0035】
次いで、一対のアーム10を移動させて、間隔Wを狭め、摺接支持部40の支持ローラ42を搬送物Hの両側から接近させて、
図3(a)に示すように外周部h1に当接させる。
次いで、一対のアーム10をさらに移動させて、間隔Wをさらに狭める。間隔Wをさらに狭めると、
図3(b)に示すように、外周部h1に当接する摺接支持部40の支持ローラ42が、外周部h1に沿って摺接又は転動し、搬送物Hを上昇させ、搬送物Hを床面Rから離間させる。これによって、搬送物Hは、外周部h1が一対のアーム10それぞれに沿った状態で一対のアーム10上に積載される。
このように、一対のアーム10の間隔Wを狭めれば、搬送物Hの外周部h1と摺接支持部40の支持ローラ42とを摺接させつつ搬送物Hを上昇させることができ、搬送物Hを一対のアーム10上に積載することができる。
【0036】
さらに、
図3(b)に示すように、一対のアーム10に搬送物Hが積載されているときに一対のアーム10を移動させ、一対のアーム10の間隔Wを広げれば、搬送物Hの外周部h1と摺接支持部40の支持ローラ42とを摺接させつつ搬送物Hを下降させ、搬送物Hを床面Rに接地させることができる。つまり、積載した搬送物Hを搬送台車1から降ろすことができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、一対のアーム10を移動させ間隔Wを拡縮すれば、一対のアーム10上に搬送物Hを積載することができるとともに、積載された搬送物Hを降ろすことができる。この結果、アーム等を昇降させるための機構が不要となり、上下方向の小型化が可能となる。
さらに、一対のアーム10を上昇させないので、搬送物Hを積載した状態においても低重心とすることができ、可搬重量を考慮したとしても搬送台車1の車両重量をより小さくすることが可能となる。
このように、アーム等を昇降させるための機構が不要である上に車両重量をより小さくすることができるため、搬送台車1全体として小型化を図ることができる。
【0038】
本実施形態では、上述のように低重心化が可能であるため、特に、体積が比較的小さいにも関わらず重量が大きい、タイヤの製造に用いられるワイヤー等が巻き回されたリール等の搬送に特に有利である。
【0039】
また、本実施形態の摺接支持部40は、搬送物Hの外周部h1に当接し搬送物Hを支持する支持ローラ42を含むので、摺接支持部40を搬送物Hの外周部h1に沿って滑らかに摺接させることができる。
また、本実施形態では、支持キャスタ36が一対のアーム10の先端部を支持し、一対のアーム10上に積載される搬送物Hの重量を台車部2と、支持キャスタ36とによって負担することができる。つまり、台車部2だけで搬送物Hの重量を負担する必要がないので、可搬重量を考慮することなく搬送台車1の車両重量を設定することができ搬送台車1をさらに軽量にすることができる。この結果、搬送台車1をさらに小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態では、積載部4は、台車部2の一面2a側及び一面2aの反対面2b側の両方に設けられている。このため、より多くの搬送物Hを搬送できるとともに、移動の際の方向転換等が容易となる。
【0041】
また、本実施形態では、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、摺接支持部40の支持ローラ42が積載アーム部30(一対のアーム10)の上面よりも下方に設けられている。
この場合、積載アーム部30上の搬送物Hが幅方向へ移動しようとしたときに、積載アーム部30の上端が搬送物Hの外周部h1に当接し、搬送物Hの幅方向への移動を制限することができる。このように、支持ローラ42を積載アーム部30の上面よりも下方に設けることで、一対のアーム10を搬送物Hが幅方向へ移動するのを制限するストッパとして機能させることができる。
【0042】
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
上記実施形態では、摺接支持部40が支持ローラ42を含む構成の場合を例示したが、摺接支持部40は、搬送物Hの外周部h1に摺接可能に当接し搬送物Hを支持することができるものであればよく、
図4に示すように、板状の部材を含む構成としてもよい。
図4に示す摺接支持部40は、一対の積載アーム部30の内側面30aから突出するブラケット54と、ブラケット54の先端に設けられた摺接板52とを備える。
摺接板52は、積載アーム部30に平行に延びる長尺の板状部材である。摺接板52は、搬送物Hを昇降させる範囲で、摺接面52aが搬送物Hの外周部h1に線接触するように設けられている。
この場合も、外周部h1と摺接支持部40(の摺接板52)とを摺接させつつ一対のアーム10の間隔Wを拡縮し、一対のアーム10上に搬送物Hを昇降させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、一対のアーム10の両方を水平方向に沿って移動させる場合を例示したが、一対のアーム10のうち少なくともいずれか一方を移動させるように構成してもよい。
また、本実施形態では、支持キャスタ36(支持車輪36b)を一対のアーム10の先端部に設けた場合を例示したが、先端部以外の部分に設けてもよいし、より多数の支持車輪を設けてもよい。
【0044】
本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 自走式搬送台車
2 台車部
2a 一面
2b 反対面
4 積載部
6 フレーム
8 筐体
10 アーム
12 駆動輪
14 モータ
16 制御装置
20 移動機構
22 取付プレート
24 ブラケット
26 ボールねじ
28 モータ
30 積載部
30a 内側面
32 段差部
34 延長部
36 支持キャスタ
36a キャスタ本体
36b 支持車輪
40 摺接支持部
42 支持ローラ
44 支持ブラケット
52 摺接板
52a 摺接面
54 ブラケット
100 搬送物
102 フォーク
H 搬送物
R 床面
W 間隔
h1 外周部