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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082889
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/20 20060101AFI20220527BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A42B3/20
A41D13/11 Z
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194045
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】507353393
【氏名又は名称】株式会社コクヨMVP
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】岸本 康二
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 真奈
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】メガネに保持させて簡易に使用することができる好適な構成を有したフェイスシールドを提供する。
【解決手段】メガネTにおける左右のツル部分t2に取り付けて使用されるフェイスシールドSであって、目保護部及び口保護部が設けられたシールド本体Aと、シールド本体Aの左右両側部に設けられたメガネ係止部Uとを備えたものであり、シールド本体A及びメガネ係止部Uによってシールド本体Aの内面側に配設されたツル部分t2を挟むことによりメガネTに支持され得るものとした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネにおける左右のツル部分に取り付けて使用されるフェイスシールドであって、
目保護部及び口保護部が設けられたシールド本体と、このシールド本体の左右両側部に設けられたメガネ係止部とを備えたものであり、
前記シールド本体及び前記メガネ係止部によって前記シールド本体の内面側に配設された前記ツル部分を挟むことにより前記メガネに支持され得るものであるフェイスシールド。
【請求項2】
前記メガネ係止部が、前記ツル部分に係止している状態において前記シールド本体に対して面一にならない部分を有している請求項1記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記メガネ係止部が、前記シールド本体に対して近接及び離間する方向に移動し得るものである請求項1又は2記載のフェイスシールド。
【請求項4】
前記メガネ係止部が、第一のスリットにより前記シールド本体に対して切り起こし可能に構成され前記ツル部分を前記シールド本体に対して押し付け得る押し付け片を備えたものである請求項1、2又は3記載のフェイスシールド。
【請求項5】
前記ツル部分に対して前記押し付け片を付勢し得る押し付け片付勢手段を設けている請求項4記載のフェイスシールド。
【請求項6】
前記押し付け片付勢手段が、第二のスリットにより前記押し付け片に対して切り起こし可能に構成され前記シールド本体の外面に係止し得る本体係止片である請求項5記載のフェイスシールド。
【請求項7】
前記第一のスリットに、切り離し可能に構成された複数の連結部が設けられたものであり、前記複数の連結部の切り離し数を増やすことにより前記押し付け片における前記シールド本体に対する切り起こし可能領域を増やすことができるように構成されている請求項4、5又は6記載のフェイスシールド。
【請求項8】
前記シールド本体及び前記メガネ係止部が、可撓性を有する透明のシート材により一体に形成されたものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔を覆うフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メガネに取り付けて使用され使用者の顔を覆うフェイスシールドが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたフェイスシールド(顔面防御壁)は、ヨロイ嵌合穴(12、12)及び蔓係合穴(16、16)を備えている。そして、メガネのヨロイ及び蔓を、ヨロイ嵌合穴及び蔓係合穴に挿し通すことによって、フェイスシールドがメガネに対して支持され得る構成をなしている。
【0004】
ところが、かかる構成のものでは、メガネ本体と使用者の顔との間にフェイスシールドが介在してしまうことになる。そのため、従来のフェイスシールドでは、使用者がメガネを適切に使用し辛いだけでなくシールド面が使用者の顔に近接し過ぎることによる圧迫感等を与え易く、必ずしも、使用者に対して快適な使用感を与えるものとはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3227898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、メガネに取り付けて簡易に使用することができる好適な構成を有したフェイスシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、メガネにおける左右のツル部分に取り付けて使用されるフェイスシールドであって、目保護部及び口保護部が設けられたシールド本体と、このシールド本体の左右両側部に設けられたメガネ係止部とを備えたものであり、前記シールド本体及び前記メガネ係止部によって前記シールド本体の内面側に配設された前記ツル部分を挟むことにより前記メガネに支持され得るものであるフェイスシールドである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記メガネ係止部が、前記ツル部分に係止している状態において前記シールド本体に対して面一にならない部分を有している請求項1記載のフェイスシールドである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記メガネ係止部が、前記シールド本体に対して近接及び離間する方向に移動し得るものである請求項1又は2記載のフェイスシールドである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記メガネ係止部が、第一のスリットにより前記シールド本体に対して切り起こし可能に構成され前記ツル部分を前記シールド本体に対して押し付け得る押し付け片を備えたものである請求項1、2又は3記載のフェイスシールドである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記ツル部分に対して前記押し付け片を付勢し得る押し付け片付勢手段を設けている請求項4記載のフェイスシールドである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記押し付け片付勢手段が、第二のスリットにより前記押し付け片に対して切り起こし可能に構成され前記シールド本体の外面に係止し得る本体係止片である請求項5記載のフェイスシールドである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第一のスリットに、切り離し可能に構成された複数の連結部が設けられたものであり、前記複数の連結部の切り離し数を増やすことにより前記押し付け片における前記シールド本体に対する切り起こし可能領域を増やすことができるように構成されている請求項4、5又は6記載のフェイスシールドである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記シールド本体及び前記メガネ係止部が、可撓性を有する透明のシート材により一体に形成されたものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のフェイスシールドである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、メガネに取り付けて簡易に使用することができる好適な構成を有したフェイスシールドを提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示す展開状態の正面図。
図2】同実施形態における使用状態の側面図。
図3】同実施形態における使用状態の平面図。
図4】同実施形態における使用状態の側面図。
図5】同実施形態における使用状態の平面図。
図6図1におけるX部分拡大図。
図7】同実施形態における使用方法の概略的な説明図。
図8】同実施形態における使用方法の概略的な説明図。
図9】同実施形態における使用方法の概略的な説明図。
図10】同実施形態における押し付け片の切り離し可能領域を説明するための説明図。
図11】同実施形態における押し付け片の切り離し可能領域を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1~11を参照して説明する。
【0019】
フェイスシールドSは、使用者の目や口を前及び横から覆うことにより、ウイルス等の超微粒子や粉塵や体液等の飛沫が前方から使用者側に侵入することや、使用者から出る飛沫が前方に拡散されることを防ぐ役割を担うものである。
【0020】
本実施形態におけるフェイスシールドSは、図2及び図3等に示すように、メガネTを構成する前後方向に延びてなる左右のツル部分t2に取り付けて使用される態様と、図4及び図5に示すように、マスクMに取り付けて使用される態様の何れか一方を選択することができるようになっている。フェイスシールドSは、正面視において右側に設けられた目印取付用の貫通孔Dを除き、左右対称形状をなしている。
【0021】
なお、メガネTやマスクMは、既知の構成のものである。メガネTは、使用者の目の前に位置するメガネ本体t1と、メガネ本体t1における左右両端部から後方に向かって延出し使用者の耳に掛かる部分を有した左右のツル部分t2とを備えたものである。この実施形態のメガネ本体t1は、左右のレンズLを本体フレームt11により支持してなる一般的な形態のものを示している。マスクMは、使用者の口及び鼻を被覆し得る形状をなすマスク本体Hと、マスク本体Hの左右両端部に設けられた耳掛け用の掛け紐Kとを備えてなるものである。
【0022】
フェイスシールドSは、使用者における目の前側を全面的に覆い得る目保護部1及び使用者における口の前側を全面的に覆い得る口保護部2が設けられたシールド本体Aと、シールド本体Aの左右両側部に設けられたメガネ係止部Uと、シールド本体Aの左右両側部に設けられたマスク係止部Bとを備えたものである。メガネ係止部Uは、シールド本体Aにおける左右の各上部に設けられている。メガネ係止部Uは、マスク係止部Bよりも上に配設されている。
【0023】
シールド本体A、メガネ係止部U、及び、マスク係止部Bは、可撓性を有する透明の合成樹脂(PET)製シート材により一体に形成されている。フェイスシールドSは、展開状態(T)においてA4サイズ内に収まる大きさに設定されており、既存の工場において生産し易いものとなっている。
【0024】
フェイスシールドSは、シールド本体A及びメガネ係止部Uによってシールド本体Aの内面I側に沿うように配設されたメガネTのツル部分t2を挟むことにより当該メガネTに支持され得る構成をなしている。
【0025】
まずは、シールド本体Aについて説明する。
【0026】
シールド本体Aは、フェイスシールドSの全体形状を形成し得る主要部をなしている。シールド本体Aは、使用者の額から顎までを前側から覆い得る上下寸法をなしているとともに使用者の目や口を横から覆い得る左右寸法をなしている。
【0027】
シールド本体Aは、不使用時においては、図1に示すように略平板状に展開した展開形状(T)を採るものであり、使用時においては、図2~5に示すように左右方向中間部が左右方向両端部よりも前に位置するように(平面視において前方に向かって凸をなすように)湾曲した湾曲形状(W)を採るものとなっている。
【0028】
シールド本体Aの上端縁e1は、正面視において中間部分が両側部分よりも上に位置するように上方に向かって凸をなすように膨らんだ形状をなしている。シールド本体Aの下端縁e2は、正面視において中間部分が両側部分よりも下に位置するように下方に向かって凸をなすように膨らんだ形状をなしている。
【0029】
次に、メガネ係止部Uについて説明する。
【0030】
メガネ係止部Uは、シールド本体Aと協働して、メガネTのツル部分t2に対して係合し得るものである。メガネ係止部Uは、ツル部分t2に係止している状態においてシールド本体Aに対して面一にならない部分を有している。メガネ係止部Uは、シールド本体Aに対して近接及び離間する方向に移動し得る構成をなしている。
【0031】
メガネ係止部Uは、略下向きコ字状(略上下が逆転したU字状)をなした第一のスリットたる外スリットn1によりシールド本体Aに対して切り起こし可能に構成されツル部分t2をシールド本体Aの内面Iに対して押し付け得る押し付け片u1と、外スリットn1の内側に位置し略上向きコ字状(略U字状)をなした第二のスリットたる内スリットn2により押し付け片u1に対して切り起こし可能に構成され自由端側の領域u22がシールド本体Aの外面Fに係止し得る本体係止片u2とを備えたものである。
【0032】
なお、本体係止片u2は、ツル部分t2に対して押し付け片u1を押し付ける方向に付勢し得る押し付け片付勢手段を構成するものである。
【0033】
外スリットn1は、シールド本体Aに対して切り起こし可能な部位を形成し得るものである。外スリットn1は、左右に対をなし上下方向に延びてなる左右の側外スリット部n11と、左右方向に延び左右の側外スリット部n11の上端部間を繋ぐ上外スリット部n12とを備えたものである。外スリットn1の基端部すなわち左右の側外スリット部n11の下端部には、切り裂け抑制用の湾曲スリット部n13が設けられている。
【0034】
外スリットn1には、手指によって切り離し可能に構成された複数の連結部たる第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3が設けられている。より具体的に言えば、外スリットn1を構成する左右の側外スリット部n11には、上下方向に一定の間隔を空けて上から下に向かって順に第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3が所定の間隔を空けて設けられている。
【0035】
押し付け片u1は、シールド本体Aに対して切り起こし可能な片持ち片状の部位である。押し付け片u1は、基端がシールド本体Aに連結されている。押し付け片u1は、シールド本体Aの内面I側に起き上げられるようになっている。起き上げられた押し付け片u1の外面FはメガネTのツル部分t2に当接し得るものとなる。
【0036】
押し付け片u1の中央部には、本体係止片u2が切り起こされた後に、当該本体係止片u2に対応した形状をなす孔u11が形成されるようになっている。
【0037】
押し付け片u1は、図10及び図11に示すように、第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3の切り離し数を増やすことにより、シールド本体Aに対する切り起こし可能領域y1、y2、y3、y4を段階的に増やすことができるように構成されている。すなわち、押し付け片u1は、切り起こし可能領域y1、y2、y3、y4をメガネTのツル部分t2の大きさに応じて調整できるようになっている。
【0038】
この実施形態の押し付け片u1は、図10及び図11に示すように、上下寸法の異なる四つの切り起こし可能領域y1、y2、y3、y4が設定されている。
【0039】
すなわち、押し付け片u1は、図10(a)に示すように第一の連結部c1を切り離さない場合には最も上下寸法の短い切り起こし可能領域y1が設定されるものであり、図10(b)に示すように第一の連結部c1のみを切り離した場合には二番目に上下寸法の短い切り起こし可能領域y2が設定されるものである。
【0040】
また、押し付け片u1は、図11(c)に示すように第一、第二の連結部c1、c2のみを切り離した場合には二番目に上下寸法の長い切り起こし可能領域y3が設定されるものであり、図11(d)に示すように第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3の全てを切り離した場合には最も上下寸法の長い切り起こし可能領域y4が設定されるものである。
【0041】
内スリットn2は、押し付け片u1をメガネTのツル部分t2に向かって付勢し得る片持ち片状をなす本体係止片u2を形成し得る形状をなしている。内スリットn2は、左右に対をなし上下方向に延びてなる左右の側内スリット部n21と、左右方向に延び左右の側内スリット部n21の下端部間を繋ぐ下内スリット部n22とを備えたものである。内スリットn2の基端部すなわち左右の側内スリット部n21の上端部には、切り裂け抑制用の湾曲スリット部n23が設けられている。
【0042】
本体係止片u2は、略縦長矩形状をなし基端が押し付け片u1に連結されている。本体係止片u2は、押し付け片u1の略中央部から内スリットn2により押し付け片u1の内面I側に切り起こされ、自由端側の領域u22が外スリットn1における上外スリット部n12を通じてシールド本体Aの外面F側に位置するようになっている。
【0043】
本体係止片u2は、基端部に設けられた折り線u21により押し付け片u1の内面I側に向かって折り曲げられ、基端部近傍における一定の領域すなわち基端側の領域u23が押し付け片u1における先端部u12の内面Iに係合し得るものとなっている。また、自由端側が上に位置するように切り起こされた本体係止片u2における自由端側の領域u22は、外スリットn1を通じてシールド本体Aにおける外面F側に位置するとともに当該シールド本体Aに対して弾性的に係止し得るものとなっている。
【0044】
続いて、マスク係止部Bについて説明する。
【0045】
マスク係止部Bは、シールド本体Aの左右両側部におけるメガネ係止部Uの下に設けられている。マスク係止部Bは、掛け紐Kの上部が係わり合う上の掛け紐係止部分3と、掛け紐Kの下部が係わり合う下の掛け紐係止部分4とを備えている。
【0046】
上の掛け紐係止部分3は、掛け紐Kが挿通される上下方向に延びた長孔Gと、長孔Gの外側に設けられた上スリットJ及び下スリットPとを備えている。
【0047】
下の掛け紐係止部分4は、掛け紐Kが挿通される上下方向に延びた長孔Gと、長孔Gの外側に設けられた上スリットQ及び下スリットRとを備えている。
【0048】
上の掛け紐係止部分3を構成する上スリットJ及び下スリットPは、それぞれマスク係止部Bの側端縁から内方に向かって斜め直線状に延びてなるメインスリットm1と、メインスリットm1の延出端に連続して設けられたV字状をなす延出端スリットm2とを備えている。上スリットJ及び下スリットPは、互いに平行に設けられており、且つ、略同一形状をなしている。
【0049】
メインスリットm1は、マスク係止部Bの側端縁から中央部すなわちシールド本体A側に向かって漸次下方に位置するように傾斜した姿勢をなしている。
【0050】
下の掛け紐係止部分4を構成する上スリットQ及び下スリットRは、それぞれマスク係止部Bの側端縁から内方に向かって斜め直線状に延びてなるメインスリットm1と、メインスリットm1の延出端に連続して設けられたV字状をなす延出端スリットm2とを備えている。上スリットQ及び下スリットRは、互いに平行に設けられており、且つ、略同一形状をなしている。
【0051】
メインスリットm1は、マスク係止部Bの側端縁から中央部すなわちシールド本体A側に向かって漸次下方に位置するように傾斜した姿勢をなしている。
【0052】
続いて、主に、図7~9を参照しつつ、フェイスシールドSをメガネTのツル部分t2に取り付ける手順について、その一例を説明する。
【0053】
まず、図7に示すように、メガネ係止部Uに設けられた本体係止片u2を切り起こし、押し付け片u1の内面I側に向かって折り曲げる。メガネ係止部Uから立ち上げられた本体係止片u2は、基端部の折り線u21を中心に約180°折り曲げ回転されて、自由端側の領域u22が基端側の領域u23よりも上に位置するように姿勢変更されることになる。
【0054】
次に、図8に示すように、押し付け片u1の先端部u12すなわち自由端側をシールド本体Aの内面I側に起き上げるとともにメガネTのツル部分t2をシールド本体Aの内面Iに沿って降下させて、当該ツル部分t2を押し付け片u1の外面Fとシールド本体Aの内面Iとの間に挟まるように位置させる。
【0055】
なお、図8の例では、第一の連結部c1が切り離されていないので、押し付け片u1には最も短い上下寸法の切り離し可能領域y1(図10(a)を参照)が設定されている。そのため、ツル部分t2は、第一の連結部c1よりも上における押し付け片u1の可動部分(すなわち先端部u12)及びシールド本体Aの間に挟まれたものとなっている。シールド本体Aに対して起き上げられた押し付け片u1の先端部u12は、シールド本体Aに対して面一になる方向に復帰しようとする部材の弾性変形力によりツル部分t2をシールド本体Aの方向に押圧し得るものとなっている。
【0056】
続いて、本体係止片u2を一時的に弾性変形させて大きく曲げながら自由端側の領域u22を、外スリットn1における上外スリット部n12を通じてシールド本体Aにおける外面F側に移動させる。このようにすると、図9に示すように、本体係止片u2における自由端側の領域u22のみが、シールド本体Aにおける外面F側に位置することになる。
【0057】
このとき、本体係止片u2における基端側の領域u22は、押し付け片u1の先端部u12及びメガネTのツル部分t2によってシールド本体Aの外面F側への移動が阻止されている。そのため、本体係止片u2における自由端側の領域u22は、平板状に復帰しようとする部材の弾性変形力によって、シールド本体Aの外面Fを内面I側に向かって押圧し得るものとなっている。
【0058】
以上の手順により、シールド本体A及び押し付け片u1は、メガネTのツル部分t2を外側及び内側から挟圧し得るものとなり、フェイスシールドSをメガネTのツル部分t2に対して適切に取り付けることができるようになっている。
【0059】
なお、上述したものは、メガネTのツル部分t2に対してフェイスシールドSを装着するための一例を示したものに過ぎず、例えば、図7図8の手順は逆であっても構わない。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るフェイスシールドSは、メガネTにおける左右のツル部分t2に取り付けて使用されるものである。フェイスシールドSは、目保護部1及び口保護部2が設けられたシールド本体Aと、シールド本体Aの左右両側部に設けられたメガネ係止部Uとを備えている。フェイスシールドSは、シールド本体A及びメガネ係止部Uによってシールド本体Aの内面I側に配設されたツル部分t2を挟むことによりメガネTに支持され得るものとなっている。
【0061】
このため、メガネTに取り付けて簡易に使用することができる好適な構成を有したフェイスシールドSを提供することができるものとなる。
【0062】
メガネ係止部Uが、ツル部分t2に係止している状態においてシールド本体Aに対して面一にならない部分を有している。
【0063】
このため、メガネ係止部Uは、シールド本体Aと協働してツル部分t2を挟み得る好適な構成を採りやすいものとなっている。
【0064】
メガネ係止部Uが、シールド本体Aに対して近接及び離間する方向に移動し得るものである。
【0065】
このため、メガネ係止部Uは、シールド本体Aとの間で、大きさの異なる種々のツル部分t2を柔軟に挟み得るものとなっている。
【0066】
メガネ係止部Uが、第一のスリットたる外スリットn1によりシールド本体Aに対して切り起こし可能に構成されツル部分t2をシールド本体Aに対して押し付け得る押し付け片u1を備えたものである。
【0067】
このため、押し付け片u1によって、ツル部分t2をシールド本体Aの方向に押圧することにより、ツル部分t2は、押し付け片u1とシールド本体Aとの間で好適に挟まれ得るものとなっている。
【0068】
ツル部分t2に対して押し付け片u1を付勢し得る押し付け片付勢手段が設けられたものであり、押し付け片付勢手段が、第二のスリットである内スリットn2により押し付け片u1に対して切り起こし可能に構成されシールド本体Aの外面Fに係止し得る本体係止片u2である。
【0069】
このため、本体係止片u2によって、押し付け片u1をツル部分t2方向に付勢することにより、押し付け片u1及びシールド本体Aはツル部分t2に対して好適に係着されるものとなっている。
【0070】
第一のスリットである外スリットn1に、切り離し可能に構成された複数の連結部たる第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3が設けられたものである。そして、第一、第二、第三の連結部c1、c2、c3の切り離し数を増やすことにより押し付け片u1におけるシールド本体Aに対する切り起こし可能領域y1、y2、y3、y4を増やすことができるように構成されている。
【0071】
このため、メガネTのツル部分t2の大きさに合わせて押し付け片u1の切り起こし可能領域y1、y2、y3、y4を調整し得るものとなっている。
【0072】
シールド本体A及びメガネ係止部Uが、可撓性を有する透明のシート材により一体に形成されたものである。
【0073】
このため、簡易な構成によって所期の目的を達成し得るものとなっている。しかも、いわゆる一枚ものの合成樹脂製の透明シート材を用いているため、所定の剛性を維持しつつ軽量化を実現し易いものとなっている。
【0074】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0075】
フェイスシールドを取り付ける対象であるメガネやマスクは取り付け可能な構成を具備したものであれば、どのようなものであってもよい。
【0076】
フェイスシールドは、マスク係止部を設けていないものであってもよい。
【0077】
フェイスシールドは、シールド本体及びメガネ係止部によって、ツル部分を挟むことができるものであればよく、その具体的な構成は上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。
【0078】
例えば、メガネ係止部は、シールド本体が形成される基材とは別体の部材により構成されたものであってもよい。
【0079】
メガネ係止部は、シールド本体に対して溶着等の適宜の手段によって取り付けられたものであってもよい。
【0080】
押し付け片は、シールド本体に対して起き上がり可能な形状をなしたものであればよく、その具体的な形状は第一のスリットの形状により種々設定可能であることはいうまでもない。
【0081】
本体係止片は、シールド本体又は押し付け片に対して立ち上がり可能な形状をなしたものであればよく、その具体的な形状は第二のスリットの形状により種々設定可能であることはいうまでもない。
【0082】
押し付け片付勢手段は、ツル部分に対して押し付け片を付勢し得るものであればよく、上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。
【0083】
押し付け片付勢手段は、例えば、シールド本体における外スリットよりも上の領域に設けられ、略下向きコ字状をなすスリット等によってシールド本体の外面側に切り起こされる切り起こし片であってもよい。かかる切り起こし片の自由端側を、外スリットを通じて押し付け片の内面側に添接させるようにすれば、押し付け片はツル部分をシールド本体の方向に付勢し得るものとなるため、初期の目的を達成し得るものとなる。
【0084】
シールド本体を主体として構成されているフェイスシールドの全体的な形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の形状に設定し得るものである。
【0085】
マスク係止部は、マスクと係り合って当該マスクに保持されるものであればよく、その具体的な形態は種々設定し得るものである。
【0086】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0087】
S…フェイスシールド
A…シールド本体
U…メガネ係止部
B…マスク係止部
T…メガネ
t2…ツル部分
M…マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11