(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084524
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】吸音板
(51)【国際特許分類】
E01F 8/00 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162780
(22)【出願日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2020195920
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】笠見 智大
(72)【発明者】
【氏名】浦田 容輔
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001BA03
2D001CA01
2D001CB01
2D001CB05
2D001CD01
(57)【要約】
【課題】高速道路等の道路脇に設けられる吸音壁に使用される吸音板であって、パネル体の内部に入り込んだ雨水等をより効率的に排水することが可能な吸音板の提供。
【解決手段】パネル体の内部に吸音材14を備える吸音板1であって、パネル体の内部の吸音材14の下側に配され、パネル体の長手方向に沿って延び、当該長手方向に沿った方向で傾斜する排水レール17と、排水レール17が最も低くなる箇所付近に形成された排水口と、を備えることを特徴とする吸音板1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体の内部に吸音材を備える吸音板であって、
前記パネル体の内部の前記吸音材の下側に配され、前記パネル体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に沿った方向で傾斜する排水レールと、
前記排水レールが最も低くなる箇所付近に形成された排水口と、
を備えることを特徴とする吸音板。
【請求項2】
前記排水レールが、前記長手方向の中央部から、前記パネル体の両端部に向かって傾斜しており、前記排水口が前記長手方向の端部付近に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音板。
【請求項3】
前記排水レールが、前記長手方向の両端部から、前記パネル体の中央部に向かって傾斜しており、前記排水口が前記長手方向の中央付近に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音板。
【請求項4】
前記排水レールが、断面視で略コ字状の形状を有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の吸音板。
【請求項5】
前記排水レールが、前記長手方向に直交する方向においても水平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の吸音板。
【請求項6】
前記パネル体の長手方向に沿って延び、前記パネル体の前面から背面への方向の一端が前記前面の裏面側に接し、他端が前記排水レール内に配され、前記一端側から前記他端側へと傾斜するフード部材を備えることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の吸音板。
【請求項7】
前記排水レール内に配され、前記排水レールと前記吸音材との間に間隔を設けて前記吸音材を支持する支持部材を備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の吸音板。
【請求項8】
前記排水口が、前記パネル体の側面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の吸音板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路等の道路脇に設けられる吸音壁に使用される吸音板に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行音等が騒音となることを低減するため、例えば高速道路等において、道路脇に吸音壁を設置することが行われている。
この吸音壁は、高欄に支柱状に設けられた複数のH形鋼のフランジ間に複数の吸音板が挟まれるように設置される(段積みされる)ことで壁状に形成されているものが、一つの代表的な構造である。
吸音板は、吸音材を内部に有するパネル体を備え、パネル体にはルーバー等の穴が形成された構造をしているが、このルーバー等の穴から内部に入り込んだ雨水等を原因とする腐食の発生が問題となる場合がある。
このような、パネル体の内部に入り込んだ雨水等が原因となる腐食の防止を目的とした技術が、特許文献1~4で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4684018号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187101号公報
【特許文献3】特許第6084550号公報
【特許文献4】特許第6201194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~4で開示される技術は、基本的には何れも、パネル体の下部に穴を形成してこの穴からパネル体の内部に入り込んだ雨水等を排水させるものである。
これらの従来技術では、パネル体の底面が、前面側(道路側)若しくは背面側(民地側)に向かって傾斜していることに基づいて、雨水等を前面側(道路側)若しくは背面側(民地側)へと集めて、これを、パネル体底面に設けた穴から排水するようにしている。これらは、前面側(道路側)から背面側(民地側)へ向かう方向で見れば、排水がスムーズに行われ得るものであるが、パネル体の長手方向(道路に沿った方向)で見ると、必ずしもスムーズな排水が行われ得るものではない。排水のための穴は、パネル体の長手方向に沿って所定間隔をあけて複数設けられているが、これらの穴の間の部分において、雨水等が残留する場合があるものである。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、高速道路等の道路脇に設けられる吸音壁に使用される吸音板であって、パネル体の内部に入り込んだ雨水等をより効率的に排水することが可能な吸音板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
パネル体の内部に吸音材を備える吸音板であって、前記パネル体の内部の前記吸音材の下側に配され、前記パネル体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に沿った方向で傾斜する排水レールと、前記排水レールが最も低くなる箇所付近に形成された排水口と、を備えることを特徴とする吸音板。
【0007】
(構成2)
前記排水レールが、前記長手方向の中央部から、前記パネル体の両端部に向かって傾斜しており、前記排水口が前記長手方向の端部付近に形成されていることを特徴とする構成1に記載の吸音板。
【0008】
(構成3)
前記排水レールが、前記長手方向の両端部から、前記パネル体の中央部に向かって傾斜しており、前記排水口が前記長手方向の中央付近に形成されていることを特徴とする構成1に記載の吸音板。
【0009】
(構成4)
前記排水レールが、断面視で略コ字状の形状を有していることを特徴とする構成1から3の何れかに記載の吸音板。
【0010】
(構成5)
前記排水レールが、前記長手方向に直交する方向においても水平面に対して傾斜していることを特徴とする構成1から4の何れかに記載の吸音板。
【0011】
(構成6)
前記パネル体の長手方向に沿って延び、前記パネル体の前面から背面への方向の一端が前記前面の裏面側に接し、他端が前記排水レール内に配され、前記一端側から前記他端側へと傾斜するフード部材を備えることを特徴とする構成1から5の何れかに記載の吸音板。
【0012】
(構成7)
前記排水レール内に配され、前記排水レールと前記吸音材との間に間隔を設けて前記吸音材を支持する支持部材を備えることを特徴とする構成1から6の何れかに記載の吸音板。
【0013】
(構成8)
前記排水口が、前記パネル体の側面に形成されていることを特徴とする構成2に記載の吸音板。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸音板によれば、パネル体の長手方向に沿って延び、長手方向に沿った方向で傾斜する排水レールを備えることにより、パネル体の内部に入り込んだ雨水等をより効率的に排水することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】実施形態1の吸音板の内部構造の概略を示す図
【
図5】実施形態1の排水レールを傾斜させるレール支持部材を示す図
【
図7】実施形態1の吸音材を支持する支持部材を示す図
【
図8】実施形態1の吸音板の内部構造の概略を示す一部拡大図
【
図11】実施形態2の吸音板の内部構造の概略を示す図
【
図14】実施形態2の排水レールを傾斜させるレール支持部材を示す図
【
図15】実施形態2の排水レールを傾斜させるレール支持部材を示す図
【
図16】実施形態2の吸音材を支持する支持部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0017】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の吸音板を示す図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は上面図、
図1(c)は底面図、
図1(d)は側面図である。
また、
図2は、吸音板の内部構造の概略を示す図(パネル体の長手方向の端部付近における、長手方向に直交する断面による断面図)である。
なお、以下の説明において、パネル体の長手方向(
図1(a)における左右方向であり、道路脇に設置された際には、道路に沿った方向)を単に“長手方向”という。またこの長手方向及び鉛直方向に直交する方向(
図1(d)における左右方向であり、道路脇に設置された際には、道路の幅方向)を“厚さ方向”という。
【0018】
本実施形態の吸音板1は、道路脇に設置される吸音壁に用いられるものである。
吸音板1は、ルーバー12等の穴が形成された前面部111と背面部112と側面部113によって構成される箱状のパネル体11の内部に吸音材14を備えている(なお、上面及び底面については、背面部112(若しくは前面部111)が折り返されることによって形成されている)。この基本的な構成自体は従来のものと同様であり、ここでのこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0019】
吸音板1は、
パネル体の内部の吸音材14の下側に配され、長手方向に沿って延び、長手方向の端部に向かって傾斜する(即ち長手方向に沿った方向で傾斜する)排水レール17と、
パネル体の側面部113に形成された排水口15と、
長手方向に沿って延び、厚さ方向(前面から背面への方向)の一端が前面部111の裏面側に接し、他端が排水レール17内に配され、一端側から他端側へと傾斜するフード部材18と、
排水レール17内に配され、排水レール17と吸音材14との間に間隔を設けて吸音材14を支持する支持部材16と、
排水レール17に傾斜を与えつつ排水レール17を支持するレール支持部材13と、
を備えている。
【0020】
図3は、排水レール17の上面図であり、
図4は側面図である。
排水レール17は、底面172、前面171、背面173を有し、断面視で略コ字状の形状であることにより、“樋”としての機能を有するものである。
図4に示されるように前面171の先端部には、折り返しによって係止部174が形成されている。係止部174は、以下で説明するフード部材18を係止するためのものである。
背面173には、屈曲部1731が設けられている。屈曲部1731は、背面173の強度を高くするためのものである。
【0021】
図5は、レール支持部材13を示す図であり、
図5(a)は背面側の端面図、
図5(b)は平面図、
図5(c)は前面側の端面図である。
レール支持部材13は、排水レール17に、水平面に対する傾斜を与えつつ排水レール17を支持する部材であり、基本態様としては板状の部材で、山部131が形成されている。
図1(c)に示されるように、レール支持部材13は、パネル体の底面部の内側において、長手方向の略中央付近に、リベットRによって固定される。
このレール支持部材13の上に、排水レール17が配置され、排水レール17の両端がリベットRによってパネル体の底面部に固定される。
即ち、排水レール17の長手方向の中央付近は、その両端に比べて、レール支持部材13の山部131によって持ち上げられることになる。これにより、排水レール17が、長手方向の中央部から、パネル体の両端部に向かって水平面に対して傾斜して設けられる構成となる。
【0022】
図6は、フード部材18の長手方向に直交する断面の形状を示す図である。
フード部材18は、排水レール17と略同じ長さで長手方向に沿って延び、排水レール17とパネル体の前面(前面部111の裏面)との間を覆って、雨水などが排水レール17とパネル体の前面の間で、パネル体の底面へと落ちることを低減させる部材である。
本実施形態のフード部材18は、ゴムで形成された板状の部材であり、底面側の幅方向の略中央付近に、排水レール17の係止部174を受け入れて係合する係合部181が形成されている。
【0023】
図7は、支持部材16を示す図であり、
図7(a)は側面側から見た図、
図7(b)は前面側から見た図、
図7(c)は平面図である。
支持部材16は、排水レール17と吸音材14との間に間隔を設けて吸音材14を支持する部材であり、
図7に示されるように、本実施形態では略Z字状の部材である。
本実施形態では、2つの支持部材16によって吸音材14が支持されるものであるが、3つ以上の支持部材16を用いるものであってもよいし、長手方向により長い長さを有する支持部材を1つ用いて吸音材14を支持するものであってよい。
【0024】
図8は、
図2の下部付近を拡大した図である。
図8にも示されるようにパネル体は、前面の下端において、前面部111と背面部112がはぜ嵌合Fによって接合され、パネル体の底面が、前面から背面に向けて傾斜している(この構成自体は従来のパネル体と同様である)。
排水レール17は、パネル体の底面に配置されるため、幅方向において前面から背面に向けて傾斜(長手方向に直交する方向において水平面に対して傾斜)して設けられることになる。加えて、前述したように、長手方向の中央付近においてレール支持部材13の山部131によって持ち上げられるため、長手方向の中央部からパネル体の両端部に向かって水平面に対して傾斜している。
また、フード部材18の幅方向の一端が前面部111の裏面側に接し、他端が排水レール17内に配され、一端側から他端側へと水平面に対して傾斜して設けられている。
【0025】
本実施形態の吸音板1は、上記の構成を有することにより、パネル体11の内部に入り込んだ雨水等をより効率的に排水することができる。
図9は、吸音板1の排水作用を説明する概念図である。
図9において雨水の流れる経路として矢印で示されているように、パネル体11の内部に入り込んだ雨水は、下方へ滴って排水レール17へと導かれる。そして、排水レール17の底面が前面から背面に向けて水勾配が形成されていることによって、排水レール17内の背面側に雨水が集められつつ、排水レール17の長手方向の中央部から両端部に向けた水勾配が設けられていることによって、長手方向の両端へ向かって雨水が流れ、パネル体の側面部113(即ち、排水レールが最も低くなる箇所付近)に形成された排水口15から、外部へと雨水が排出されるものである。
【0026】
以上のごとく、本実施形態の吸音板1によれば、パネル体の内部に入り込んだ雨水等を効率的に排水することができる。
従来の吸音板は、前面側(道路側)から背面側(民地側)へ向かう方向で見れば、排水がスムーズに行われ得るものであるが、長手方向で見ると、長手方向に所定間隔をあけて複数設けられている排水用の穴の間の部分において、雨水等が残留する場合があるものであった。これに対し、本実施形態の吸音板1によれば、パネル体の長手方向に沿って延び、長手方向の端部に向かって傾斜する排水レールを備えることにより、パネル体の内部に入り込んだ雨水等をより効率的に排水することができるものである。
【0027】
本実施形態の吸音板1では、フード部材18によって、前面部111の裏面側を伝って落ちてくる雨水等も排水レール17内へと誘導されるため、はぜ嵌合Fの部分等への雨水等の侵入が抑制され、はぜ嵌合Fの部分の腐食の防止がなされる。
なお、排水レール17自体を前面部111の裏面側に接するように配置することで、前面部111の裏面側を伝って落ちてくる雨水等を排水レール17内へと誘導するようにしてもよい(フード部材18は必ずしも必須のものではない)。ただし、本実施形態のように、ゴムや樹脂などの弾性若しくは柔軟性のある部材で形成したフード部材18を用いることで、前面部111の裏面側との密着性が高く、より確実に雨水等を排水レール17内へと誘導することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、排水レール17が、長手方向の中央部から両端へ向かって傾斜しているものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、長手方向の一端から他端へと向かって一方向的に傾斜しているものであってもよい。
ただし、吸音板1が設けられる道路が、上り勾配や下り勾配である場合があり、これらの勾配との関係で排水レールの傾斜がほぼ水平になってしまうと、排水効果が低減される場合がある。排水レールを、長手方向の一方向のみに傾斜させるものである場合、この問題が大きくなる場合もあるため、本実施形態のごとく、中央部から両方向へと傾斜させたものの方が好ましい。
【0029】
本実施形態では、排水口15がパネル体の側面部113に形成されているものを例としており、側面部113に至る排水レール17の端部に合わせた位置に排水口が形成されている。ここで、排水レール17を、排水口15を通して側面部113から少し突出させて設けるようにしてもよい。これにより、より確実に雨水をパネル体の外部へと導出させるものである。
なお、本実施形態では、排水口をパネル体の側面部に形成するものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、長手方向の端部付近のパネル体の底面に排水口を形成するようなもの等であってよい。
【0030】
<実施形態2>
図10は、本発明に係る実施形態2の吸音板を示す図であり、
図10(a)は正面図、
図10(b)は上面図、
図10(c)は底面図、
図10(d)は側面図である。
また、
図11は、吸音板の内部構造の概略を示す図(パネル体の長手方向に直交する面において断面的に示した図)である。
なお、実施形態1と同様の構成となるものついては、同一の符号を使用し、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
【0031】
実施形態2は、「長手方向に沿った方向で傾斜する排水レールと、排水レールが最も低くなる箇所付近に形成された排水口」を備えるという概念自体は実施形態1と同様であるが、実施形態2の吸音板1´では、排水レールが長手方向の両端部から中央部に向かって傾斜しており、排水口が長手方向の中央付近においてパネル体の前面側に開口するように形成されている。
図10(a)に示されるように、排水口15´は、前面部111´の中央下部に形成されている。なお、前面部111´は、排水口15´が形成されている以外は、実施形態1の前面部111と同様の構成である。
【0032】
図12(a)は、本実施形態の排水レール17´の正面図であり、
図12(b)は上面図である。また、
図13は側面図である。
排水レール17´は、底面172´、前面171´、背面173´、両側面175を有する。断面視で略コ字状の形状であることにより、“樋”としての機能を有するものである点は実施形態1と同様である。
本実施形態では、前述のごとく、「排水レールが長手方向の両端部から中央部に向かって傾斜する」ものであり、極端な表現をすると、排水レール17´が、V字状に設けられるものである。当該V字状の配置とするために、背面173´には、スリット1732(切り込み)が形成される。スリット1732があることにより、排水レール17´をV字状に設置する際に、排水レール17´に生じる応力が緩和される。
また、排水レール17´の中央付近には、切欠き176が形成される。切欠き176によって、排水レール17´がV字状に配置されることで中央部に集まる雨水を、後に説明する排水口導水部材19へと導出するものである。切欠き176は、底面172´の前面側及び前面171´を切り欠くことによって形成されている。
なお、前面171´の先端部に、折り返しによって係止部174´(フード部材18を係止する部分)が形成されている点は実施形態1と同様である。フード部材については実施形態1と同様の概念であるため、ここでの説明を省略する。
【0033】
図14と
図15は、レール支持部材13A、Bをそれぞれ示す図であり、
図14(a)、
図15(a)は端面図、
図14(b)、
図15(b)は平面図、
図14(c)、
図15(c)は側面図である。
レール支持部材13A、Bは、排水レール17´に、水平面に対する傾斜を与えつつ排水レール17´を支持する部材であり、
図14,15に示されるように、上面部134、底面部132、垂直部133を有するZ字状の部材である。レール支持部材13Aとレール支持部材13Bは、垂直部133の寸法が異なることによって高さが異なっている点以外は同様の構成である。
レール支持部材13A、Bは、底面部132がパネル体の底面にリベット止め等によって固定され、上面部134が排水レール17´にリベット止め等によって固定される。
本実施形態では、排水レール17´が、その底面172´の両端部分(
図12(b)のRAの位置)において、垂直方向の寸法の大きいレール支持部材13Aによって支持され、底面172´の略中央部分(
図12(b)のRBの位置)において、垂直方向の寸法の小さいレール支持部材13Bによって支持される。これにより、排水レール17´が、長手方向の両端部から中央部に向かって傾斜するように構成される。
また、
図14(c)、
図15(c)に示されるように、レール支持部材13A、Bは、その側面視において、底面部132に対して上面部134が傾斜している。この傾斜により、
図11からも理解されるように、排水レール17´の底面が前方側へと傾斜するように構成される。即ち、レール支持部材13A、Bの底面部132と上面部134の相対角度は、パネル体の底面の水平面に対する傾斜角度よりも大きくなるように構成される。
上記構成により、排水レール17´へと案内された雨水は、排水レール17´の中央部の前面側、即ち、排水レール17´の切欠き176へと導かれることになる。
【0034】
図16は、支持部材16´を示す図であり、
図16(a)は側面側から見た図、
図16(b)は前面側から見た図、
図16(c)は平面図である。
支持部材16´は、排水レール17´と吸音材14との間に間隔を設けて吸音材14を支持する部材であり、形状は実施形態1の支持部材16と異なっているが、概念としては同様であり、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0035】
図17は、排水口導水部材19を示す図であり、
図17(a)は正面図、
図17(b)は底面図、
図17(c)は側面図である。
排水口導水部材19は、排水レール17´の切欠き176の下部側に取り付けられて、雨水を排水口15´へと導く部材であり、前方側で開口するトレイ状の部材である。
図17(a)~(c)に示されるように、排水口導水部材19は、底面192、背面194、両側面193を有することで、前方側で開口するトレイ状の構造を有し、排水レール17´の底面側に取り付けるための取付部191を有する。
図17(c)に示されるように、取付部191は、底面192に対して傾斜して形成されている。これにより、底面192が前方側(前面側)へ向かって下る傾斜となり、雨水を前方側へ効率的に排出することができる。
排水口導水部材19の先端部(
図17(b)、(c)の上部側)は、排水口15´に接続される。排水口導水部材19の先端部を、排水口15´から外部へと少し突出するように設けると、より確実に雨水がパネル体の外部へと排出される。
【0036】
本実施形態の吸音板1´によれば、上記の構成を有することにより、実施形態1と同様に、パネル体の内部に入り込んだ雨水等を効率的に排水することができる。
即ち、パネル体11の内部に入り込んだ雨水は、下方へ滴って排水レール17´へと導かれる。そして、排水レール17´の底面が背面から前面に向けて水勾配が形成されていることによって、排水レール17´内の前面側に雨水が集められつつ、排水レール17´の長手方向の両端部から中央部に向けた水勾配が設けられていることによって、雨水が中央部へ向かって流れ、排水口導水部材19を介して、パネル体の中央部(即ち、排水レールが最も低くなる箇所)に形成された排水口15´から、外部へと雨水が排出されるものである。
【0037】
なお、本実施形態では、排水口をパネル体の前面部に形成するものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、長手方向の中央付近のパネル体の底面に排水口を形成するようなもの等であってよい。
【符号の説明】
【0038】
1...吸音板
11...パネル体
14...吸音材
15...排水口
16...支持部材
17...排水レール
18...フード部材