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特開2022-84888子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター
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  • 特開-子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター 図1
  • 特開-子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター 図2
  • 特開-子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター 図3
  • 特開-子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084888
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーター
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20220531BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20220531BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/337
A61K31/4745
A61K31/513
A61K31/7068
A61K33/243
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022053345
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2019552958の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】62/480,226
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘイゼル ハント
(57)【要約】
【課題】子宮頸がんを処置するためのグルココルチコイドレセプターモジュレーターの提供。
【解決手段】がん性腫瘍を有する被験体を処置するための方法が、開示される。上記方法は、上記被験体に、有効量の非ステロイド系選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーター(SGRM)および有効量の化学療法剤を投与することを包含する。上記腫瘍は、子宮頸がんであり得る。上記SGRMは、縮合アザデカリンであり得る。実施形態において、上記SGRMは、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンであり得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
がんは、米国における死亡原因第1位である。例えば、子宮頸がんはしばしば、予後不良であり(初期に診断された場合ですら)、そして徴候および症状は、そのがんがかなり進行するまで出現しないことがあり、完全な外科的除去は、可能ではない。
【0002】
子宮頸がんのようながんの従来の処置選択肢としては、外科手術、放射線療法、および化学療法が挙げられる。全てのがん、および全ての子宮頸がんが、診断時に切除可能であるわけではない。進行したステージにある子宮頸がん腫瘍のような腫瘍はしばしば、放射線療法または化学療法の処置を要する。
【0003】
放射線療法は、周りの正常な組織を温存すると同時に、罹患した組織の最大化した曝露を要する。組織内治療(この場合、放射線源を含むニードルが腫瘍の中に埋め込まれる)は、価値ある新たなアプローチになっている。このようにして、大線量の放射線は、周りの正常な構造物を温存すると同時に局所に送達され得る。術中放射線療法(この場合、正常な構造物が安全にビームから離れると同時に、ビームが手術中に腫瘍上に直接配置される)は、もう1つの専門的な放射線技術である。繰り返すと、これは、腫瘍の効果的な照射を達成すると同時に、周りの構造物への曝露を制限する。その照射の局所的な制御の際に推定されるアプローチの明らかな利点にも拘わらず、患者生存率は、まだ非常に低い。
【0004】
化学療法は、結局はがん細胞の破壊をもたらす、DNAへの全般的損傷および染色体構造の不安定化に依拠する。しかし、これらの処置の非選択的性質から、重篤なかつ衰弱させる副作用がしばしば生じる。これら薬物の全身的使用は、正常で健康な器官および組織に損傷を生じ得、その患者の長期の健康状態を損ない得る。
がん細胞に対するグルココルチコイドレセプター(「GR」)媒介性シグナル伝達経路の効果は、概して論争の的になっている。一方では、GRシグナル伝達経路の活性化は、有利なことには、悪性リンパ系がんにおいてアポトーシスを誘導すると考えられる。Schlossmacher, J. Endocrino. (2011) 211, 17-25を参照のこと。他方では、そのGRシグナル伝達経路を遮断する薬剤は、乳がん細胞を殺滅することにおいて、化学療法を強め得ることが報告されている。米国特許第9,149,485号を参照のこと。ミフェプリストン(GRシグナル伝達経路および他のステロイド系シグナル伝達経路(プロゲステロン-レセプターシグナル伝達経路が挙げられる)を遮断するステロイド系非選択的薬剤)は、子宮頸がんの処置に関して示唆されている(米国特許公開番号2004/0102422)。しかし、GRシグナル伝達は、いくつかの他のがんにおいて反対の効果を有すると考えられる。例えば、膵臓がんに関する通説は、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)が、その化学療法剤の副作用を軽減し得、膵臓がんを処置することにおいて、化学療法剤と共投与されるべきであるということである。Zhangら, BMC Cancer, 2006 March 15
6: 61。さらに、デキサメタゾン(グルココルチコイドレセプターアゴニスト)は、膵臓がん細胞成長を阻害することが報告されている。Normalら, J. Surg. Res. 1994 Jul; 57(1): 33-8を参照のこと。従って、文献における報告はしばしば矛盾し、グルココルチコイドシグナル伝達ががんに対して効果を有するのか否か、およびこのような効果が正の効果であり得るのかまたは負の効果であり得るのかは、不明なままである。
よって、多くのがん患者にとって良好な処置選択肢を欠いていることに鑑みて、がん性腫瘍(子宮頸がんを含む)の改善された処置は、望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9149485号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0102422号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Schlossmacher, J. Endocrino. (2011) 211, 17-25
【非特許文献2】Zhangら, BMC Cancer, 2006 March 15 6: 61
【非特許文献2】Normalら, J. Surg. Res. 1994 Jul; 57(1): 33-8
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本明細書で開示されるのは、がん性腫瘍(例えば、子宮頸がん腫瘍または他のがん性腫瘍(例えば、乳がん、卵巣がん、前立腺がん))を抱えている(hosting)被験体を処置
するための新規な方法である。本出願は、GRシグナル伝達を阻害する非ステロイド系化合物を使用して、がんに罹患している患者(子宮頸がんおよび他のがんに罹患している患者が挙げられる)を処置する新規かつ驚くべき併用療法を提供する。その方法は、有効量の化学療法剤および有効量の非ステロイド系選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーター(SGRM)を上記被験体に投与して、上記被験体におけるがん性腫瘍の腫瘍負荷を低減することを包含する。いくつかの場合には、そのがん性腫瘍は、子宮頸がん腫瘍である。
【0008】
いくつかの場合には、上記化学療法剤は、抗微小管薬剤、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗物質、有糸分裂阻害剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、上記化学療法剤はタキサンである。いくつかの場合には、上記化学療法剤は、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチンおよびカペシタビンからなる群より選択される。
【0009】
いくつかの場合には、上記グルココルチコイドレセプターモジュレーターは、経口投与される。いくつかの場合には、上記グルココルチコイドレセプターモジュレーターは、経皮適用によって、霧状化懸濁物(nebulized suspension)によって、またはエアロゾルスプレーによって、投与される。
【0010】
いくつかの場合には、上記SGRMの有効量は、1~100mg/kg/日の間の1日用量であり、ここで上記SGRMは、少なくとも1種の化学療法剤とともに投与される。いくつかの実施形態において、上記SGRMの1日用量は、1mg/kg/日、2mg/kg/日、4mg/kg/日、6mg/kg/日、8mg/kg/日、10mg/kg/日、12mg/kg/日、14mg/kg/日、16mg/kg/日、18mg/kg/日、20mg/kg/日、30mg/kg/日、40mg/kg/日、50mg/kg/日、60mg/kg/日、70mg/kg/日、80mg/kg/日、90mg/kg/日、または100mg/kg/日である。いくつかの場合には、上記グルココルチコイドレセプターモジュレーターは、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、25週間、30週間、35週間、40週間、45週間、50週間、55週間、60週間、65週間、70週間、75週間、または80週間にわたって、投与される。
いくつかの場合には、上記グルココルチコイドレセプターモジュレーター骨格は、縮合アザデカリンである。いくつかの場合には、上記縮合アザデカリンは、以下の式:
【化1】
を有する化合物、またはその塩および異性体であり、
式中LおよびLは、結合および置換されていないアルキレンから独立して選択されるメンバーであり;Rは、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-OR1A、NR1C1D、-C(O)NR1C1D、および-C(O)OR1Aから選択されるメンバーであり、式中R1Aは、水素、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、R1CおよびR1Dは、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、ここでR1CおよびR1Dは、必要に応じて結合して、これらが結合される窒素とともに、置換されていない環を形成し、ここで上記環は、必要に応じて、さらなる環窒素を含み;Rは、式:
【化2】
を有し、式中R2Gは、水素、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-CN、および-CFから選択されるメンバーであり;Jは、フェニルであり;tは、0~5の整数であり;Xは、-S(O)-であり;そしてRは、必要に応じて、1~5個のR5A基で置換されたフェニルであり、ここでR5Aは、水素、ハロゲン、-OR5A1、S(O)NR5A25A3、-CN、および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、式中R5A1は、水素および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、そしてR5A2およびR5A3は、水素および置換されていないアルキルから独立して選択されるメンバーである。
いくつかの場合には、上記縮合アザデカリンは、
【化3】
である。
【0011】
いくつかの場合には、上記グルココルチコイドレセプターモジュレーター骨格は、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンである。いくつかの場合には、上記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、式:
【化4】
またはその塩および異性体を有し、式中Rは、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され;環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで上記ヘテロシクロアルキル環およびヘテロアリール環は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し;各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで上記ヘテロシクロアルキル基は、必要に応じて、1~4個のR2c基で置換されるか;あるいは、同じ炭素に連結された2個のR基は化合して、オキソ基(=O)を形成するか;あるいは、2個のR基は化合して、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで上記ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2d基で置換され;R2aおよびR2bは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;各R2cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、CN、およびNR2a2bからなる群より独立して選択され;各R2dは、水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択されるか、または同じ環原子に結合した2個のR2d基は化合して、(=O)を形成し;Rは、各々必要に応じて、1~4個のR3a基で置換された、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;各R3aは、水素、ハロゲン、およびC1-6ハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして下付きのnは、0~3の整数である。
【0012】
いくつかの場合には、上記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、
【化5】
である。
【0013】
いくつかの場合には、上記オクタヒドロ縮合アザデカリンは、式:
【化6】
またはその塩および異性体を有し、
式中Rは、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、およびC3-8シクロアルキルからなる群より独立して選択され;環Jは、アリール環、ならびに5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3-8シクロアルキル、ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され;あるいは、隣接する環原子上の2個のR基は化合して、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで上記ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2c基で置換され;R2a、R2bおよびR2cは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;各R3aは、独立して、ハロゲンであり;そして下付きのnは、0~3の整数である。
【0014】
いくつかの場合には、そのSGRMは、CORT125134、すなわち、(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、これは、以下の構造:
【化7】
を有する。
【0015】
いくつかの場合には、上記SGRMは、CORT125281、すなわち、((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、これは、以下の構造:
【化8】
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、1)静脈内(i.v.)ビヒクル; 2)7.5mg/kgのi.v.パクリタキセル; 3)CORT125134(30mg/kg)およびパクリタキセル(7.5mg/kg); 4)15mg/kgのi.v.パクリタキセル;ならびに5)CORT125134(30mg/kg)およびパクリタキセル(15mg/kg)で処置した5群のマウスからの腫瘍成長データを示す。
【0017】
図2図2は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)マウス異種移植片モデルにおけるパクリタキセルと組み合わせたCORT125134の効果を示す。1群あたり10匹のマウスに、CORT125134を毎日経口投与し、静脈内パクリタキセルを4日ごとに投与した。データは、平均+SEMを表す。
【0018】
図3図3は、卵巣がんマウス異種移植片モデルにおいてゲムシタビン/カルボプラチンと組み合わせたCORT125134の効果を示す。1群あたり10匹のマウスに、CORT125134を43日目、44日目、50日目および51日目に腹腔内(i.p.)投与し、ゲムシタビン/カルボプラチンを、44日目および51日目にi.p.投与した。データは、平均値を表す。
【0019】
図4図4は、前立腺がん(CRPC)マウス異種移植片モデルにおいて去勢と組み合わせたCORT125134の効果を示す。1群あたり10匹のマウスに、CORT125134を、毎日、21日間にわたって経口投与した。データは、平均+SEMを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
A.緒言
本明細書で開示されるこの方法を使用して、有効量のSGRMを、有効量の化学療法との組み合わせで投与して、がん性腫瘍負荷を低減することによって、そのがん性腫瘍を抱えている患者を処置することができる。実施形態において、そのがんは子宮頸がんである。出願人は、SGRMと化学療法剤とを併用する処置が、その治療剤単独での処置より有効であることを発見した。
【0021】
B.定義
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍」および用語「がん」は交換可能に使用され、ともに、過剰な細胞分裂から生じる組織の異常成長をいう。その周りの組織を侵襲する、および/または転移し得る腫瘍は、「悪性」といわれる。転移しない腫瘍は、「良性」といわれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」または「患者」とは、ヒトまたは非ヒト生物に言及する。従って、本明細書で記載される方法および組成物は、ヒトおよび獣医学的な疾患の両方に適用可能である。ある種の実施形態において、被験体は「患者」、すなわち、疾患または状態の医療ケアを受けている、生きているヒトである。これは、病理の徴候について調査されている、定義されていない病気を有する人を含む。好ましいのは、本発明の組成物および方法によって標的化されている子宮頸がんの既存の診断を有する被験体である。いくつかの場合には、被験体は、がんの1またはこれより多くのタイプに同時に罹患していてもよく、そのうちの少なくとも1つは、本発明の組成物および方法によって標的化される子宮頸がんである。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「がん性腫瘍(cancerous tumor)」とは、任意の固形または半固形の悪性新生物成長をいう。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「子宮頸がん(cervical cancer)」とは、患者の子宮頸部における、または患者の子宮頸部に由来する、任意の腫瘍をいう。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍負荷(tumor load)」または「腫瘍量(tumor burden)」とは一般に、任意の所定のときの被験体の身体におけるがん細胞の数、腫瘍のサイズ、またはがんの量に言及する。腫瘍負荷は、例えば、腫瘍特異的遺伝子マーカーの発現を測定し、本明細書で開示される多くの周知の生化学的方法または画像化方法(下記)によって腫瘍サイズを測定することによって、検出され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」または「治療量」とは、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を処置するか、排除するか、または軽減するために有効な薬理学的薬剤の量に言及する。いくつかの場合には、「治療上有効な量」または「有効量」とは、検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために有用な機能的薬剤または薬学的組成物の量に言及し得る。その効果は、当該分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出され得る。その有効量は、抗腫瘍応答を誘発するために有効な量であり得る、本開示の目的のために、SGRMの有効量または化学療法剤の有効量は、腫瘍負荷を低減するか、またはそれぞれ、化学療法剤もしくはSGRMと併用した場合に、がん改善に関連する他の望ましい有益な臨床転帰をもたらす量である。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「投与する(administer)」、「投与する(administering)」、「投与された」または「投与」とは、被験体または患者に、化合物または組成物(例えば、本明細書で記載されるもの)を提供することをいう。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「併用療法」とは、少なくとも2種の医薬品(pharmaceutical agent)を被験体に投与して、疾患を処置することをいう。その2種の薬剤は
、同時に投与され得るか、またはその処置期間の全体もしくは一部の間に任意の順序において逐次的に投与され得る。その少なくとも2種の薬剤は、同じまたは異なる投与レジメンに従って投与され得る。いくつかの場合には、一方の薬剤は、スケジュールされたレジメンに従って投与される一方で、他方の薬剤は、間欠的に投与される。いくつかの場合には、両方の薬剤が、間欠的に投与される。いくつかの実施形態において、その一方の医薬品(例えば、SGRM)は、毎日投与され、その他方の医薬品(例えば、化学療法剤)は、2日ごと、3日ごと、または4日ごとに投与される。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「化合物」とは、特有の同定可能な化学構造の分子部分を示すために使用される。分子部分(「化合物」)は、その分子部分が他の分子と会合しない遊離種形態で存在し得る。化合物はまた、より大きな凝集物の一部として存在し得、その場合、その化合物は、他の分子(複数可)と会合するが、にもかかわらず、その化学的同一性を保持する。溶媒和物(ここで定義された化学構造の分子部分(「化合物」)は、溶媒の分子(複数可)と会合する)は、このような会合形態の一例である。水和物は、その会合した溶媒が水である溶媒和物である。「化合物」という記載は、その化合物が遊離形態で存在するか、会合形態で存在するかにかかわらず、(その記載された構造の)分子部分自体に言及する。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、薬学的投与と適合性の、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または剤がその活性な化合物と不適合である限りを除いて、組成物におけるその使用は企図される。補助的な活性化合物はまた、その組成物へと組み込まれ得る。
【0031】
用語「グルココルチコステロイド」(「GC」)または「グルココルチコイド」とは、グルココルチコイドレセプターに結合するステロイドホロモンをいう。グルココルチコステロイドは、代表的には、21個の炭素原子、環Aにおけるα,β-不飽和ケトン、および環Dに結合したα-ケトール基を有することによって特徴づけられる。それらは、C-11、C-17、およびC-19における酸素化またはヒドロキシル化の程度において異なる;Rawn, 「Biosynthesis and Transport of Membrane Lipids and Formation of Cholesterol Derivatives」, in Biochemistry, Daisyら (編), 1989, pg. 567を参照のこと。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「グルココルチコイドレセプター(」(「GR」)とは、コルチゾールおよび/またはコルチゾールアナログに特異的に結合する細胞内レセプターのファミリーをいう。そのグルココルチコイドレセプターはまた、コルチゾールレセプターといわれる。その用語は、GRのアイソフォーム、組換えGRおよび変異GRを含む。「グルココルチコイドレセプター(「GR」)とは、コルチゾールおよび/またはコルチゾールアナログ(例えば、デキサメタゾン)に特異的に結合するタイプII GRをいう(例えば、Turner & Muller, J. Mol. Endocrinol. October 1, 2005 35 283-292を参照のこと)。
【0033】
「グルココルチコイドレセプターモジュレーター」とは、アゴニストへのGRの結合と関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の化合物に言及する。例えば、GRアゴニスト(例えば、デキサメタゾン)は、HepG2細胞(ヒト肝細胞癌細胞株;ECACC,
UK)においてチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の活性を増加させる。よって、本発明のGRモジュレーターは、その化合物がデキサメタゾンの効果を阻害する能力を測定することによって同定され得る。TAT活性は、A. Aliらによる文献(J. Med. Chem., 2004, 47, 2441-2452)の中で概説されるように測定され得る。モジュレーターは、10マイクロモル濃度未満のIC50(50%阻害濃度(half maximal inhibition concentration))を有する化合物である。実施例1(下記)を参照のこと。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーター」とは、アゴニストへのGRの結合と関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の組成物または化合物をいう。「選択的」によって、その薬物は、他の核レセプター(例えば、プロゲステロンレセプター(PR)、ミネラロコルチコイドレセプター(MR)またはアンドロゲンレセプター(AR))よりむしろ、GRに優先的に結合する。その選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーターが、MR、AR、もしくはPRに、MRおよびPRの両方に、MRおよびARの両方に、ARおよびPRの両方に、またはMR、AR、およびPRに対するその親和性より10倍高い親和性(そのK値の1/10)でGRを結合することは好ましい。より好ましい実施形態において、その選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーターは、MR、AR、もしくはPRに、MRおよびPRの両方に、MRおよびARの両方に、ARおよびPRの両方に、またはMR、AR、およびPRに対するその親和性より100倍高い親和性(そのK値の1/100)でGRを結合する。別の実施形態において、その選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーターは、MR、AR、もしくはPRに、MRおよびPRの両方に、MRおよびARの両方に、ARおよびPRの両方に、またはMR、AR、およびPRに対するその親和性より1000倍高い親和性(そのK値の1/1000)でGRを結合する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」とは、特定の成分、例えば、上記化合物、それらの互変異性形態、それらの誘導体、それらのアナログ、それらの立体異性体、それらの多形体、それらの重水素化種、それらの薬学的に受容可能な塩、エステル、エーテル、代謝物質、異性体の混合物、それらの薬学的に受容可能な溶媒和物および特定された量での薬学的に受容可能な組成物を含む生成物、ならびに直接的にもしくは間接的に、その特定された量でその特定された成分の組み合わせから生じる任意の生成物を包含することが意図される。薬学的組成物に関連するこのような用語は、活性成分(複数可)、およびキャリアを構成する不活性成分(複数可)を含む生成物、ならびに直接的にもしくは間接的に、組み合わせて、それら成分のうちの任意の2もしくはこれより多くの複合体形成または凝集を生じるか、またはそれら成分のうちの1もしくはこれより多くの解離から生じるか、またはそれら成分のうちの1もしくはこれより多くの反応もしくは相互作用の他のタイプから生じる任意の生成物を包含することが意図される。よって、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能なキャリアを混合することによって作製される任意の組成物を包含することが意味される。
【0036】
いくつかの実施形態において、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、その唯一の活性成分が示された活性成分であるとはいえ、その製剤を安定化、保存などするための他の化合物は、含まれてもよいがその示された活性成分の治療上の効果に直接関与しない製剤における組成物に言及する。いくつかの実施形態において、用語「から本質的になる」とは、その活性成分(active ingredient)およびその活性成分の放出を促進する構成要素(component)を含む組成物に言及し
得る。例えば、その組成物は、その被験体へと経時的にその活性成分の長期の放出を提供する1またはこれより多くの構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、用語「からなる(consisting)」とは、その活性成分および薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含む組成物に言及する。
【0037】
本明細書で使用される場合、SGRMの状況において語句「非ステロイド系骨格」とは、4個の縮合環の中で結合した17個の炭素原子を含むそのステロイド骨格とはコルチゾールに対して構造的相同性を共有せず、コルチゾールの改変でもないSGRMをいう。このような化合物は、タンパク質の合成模倣物およびアナログ(部分的にペプチドの、偽ペプチドの(pseudopeptidic)、および非ペプチドの分子実体を含む)を含む。
【0038】
非ステロイド系SGRM化合物としては、縮合アザデカリン骨格、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格、およびオクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するSGRMが挙げられる。縮合アザデカリン骨格を有する例示的なグルココルチコイドレセプターモジュレーターとしては、米国特許第7,928,237号および同第8,461,172号に記載されるものが挙げられる。ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有する例示的なグルココルチコイドレセプターモジュレーターとしては、米国特許第8,859,774号(標題、Heteroaryl-Ketone Fused Azadecalin Glucocorticoid Receptor Modulators)に記載されるものが挙げられる。オクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有する例示的なグルココルチコイドレセプターモジュレーターとしては、米国特許出願公開番号2015-0148341 A1(標題、Octahydro Fused Azadecalin Glucocorticoid Receptor Modulators、2014年11月21日出願)に記載されるものが挙げられる。
【0039】
置換基が、それらの従来の、左から右に書かれる化学式によって特定される場合、それらは、その構造を右から左に書いていることから生じる化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば、-CHO-は、-OCH-に等価である。
【0040】
「アルキル」とは、示された炭素原子数を有する、直線状または分枝状の、飽和した脂肪族ラジカルをいう。アルキルは、任意の炭素数を含み得る(例えば、C1-2、C1-3、C1-4、C1-5、C1-6、C1-7、C1-8、C1-9、C1-10、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C3-4、C3-5、C3-6、C4-5、C4-6、およびC5-6)。例えば、C1-6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、およびヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「アルコキシ」とは、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルキル基:アルキル-O-をいう。そのアルキル基に関しては、アルコキシ基は、任意の適切な炭素原子数を有し得る(例えば、C1-6)。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。
【0042】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素をいう。
【0043】
「ハロアルキル」とは、水素原子のうちのいくつかまたは全てがハロゲン原子で置き換えられているアルキル(上記で定義されるとおり)をいう。そのアルキル基に関しては、ハロアルキル基は、任意の適切な炭素原子数(例えば、C1-6)を有し得、トリフルオロメチル、フルオロメチルなどが挙げられる。
【0044】
用語「ペルフルオロ」とは、全ての水素がフッ素で置き換えられている化合物またはラジカルを定義するために使用され得る。例えば、ペルフルオロメタンは、1,1,1-トリフルオロメチルを含む。
【0045】
「ハロアルコキシ」とは、水素原子のうちのいくつかまたは全てがハロゲン原子で置換されているアルコキシ基をいう。そのアルキル基に関しては、ハロアルコキシ基は、任意の適切な炭素原子数を有し得る(例えば、C1-6)。そのアルコキシ基は、1個、2個、3個、もしくはこれより多くのハロゲンで置換され得る。全ての水素がハロゲンで(例えば、フッ素によって)置き換えられる場合、その化合物は、ペル置換される(per substituted)(例えば、ペルフルオロ化される)。ハロアルコキシとしては、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、およびペルフルオロエトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「シクロアルキル」とは、3~12個の環原子、または示された原子数を含む、飽和または部分不飽和の、単環式、縮合二環式、または架橋多環式の環アセンブリをいう。シクロアルキルは、任意の炭素数を含み得る(例えば、C3-6、C4-6、C5-6、C3-8、C4-8、C5-8、C6-8、C3-9、C3-10、C3-11、およびC3-12)。飽和単環式シクロアルキル環としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが挙げられる。飽和二環式および多環式シクロアルキル環としては、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレン、およびアダマンタンが挙げられる。シクロアルキル基はまた、環の中に1またはこれより多くの二重結合または三重結合を有する部分不飽和であり得る。部分不飽和である代表的なシクロアルキル基としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-および1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-、1,4-および1,5-異性体)、ノルボルネン、およびノルボルナジエンが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルが飽和単環式C3-8シクロアルキルである場合、例示的な基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルが飽和単環式C3-6シクロアルキルである場合、例示的な基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「ヘテロシクロアルキル」とは、3~12個の環員、ならびにN、O、およびSという1~4個のヘテロ原子を有する飽和環系をいう。さらなるヘテロ原子も有用であり得る(B、Al、Si、およびPが挙げられるが、これらに限定されない)。そのヘテロ原子もまた酸化され得る(例えば、-S(O)-および-S(O)-が挙げられるが、これらに限定されない)。ヘテロシクロアルキル基は、任意の環原子数を含み得る(例えば、3~6個、4~6個、5~6個、3~8個、4~8個、5~8個、6~8個、3~9個、3~10個、3~11個、または3~12個の環員)。任意の適切なヘテロ原子数が、そのヘテロシクロアルキル基の中に含まれ得る(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個、または1~2個、1~3個、1~4個、2~3個、2~4個、もしくは3~4個)。そのヘテロシクロアルキル基としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、キヌクリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン(1,2-、1,3-および1,4-異性体)、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキサン(テトラヒドロピラン)、オキセパン、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、またはジチアンのような基が挙げられ得る。そのヘテロシクロアルキル基はまた、インドリンが挙げられるが、これらに限定されないメンバーを形成するために、芳香族または非芳香族の環系に縮合され得る。
【0048】
ヘテロシクロアルキルが3~8個の環員および1~3個のヘテロ原子を含む場合、代表的なメンバーとしては、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、オキサン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサンおよびジチアンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルはまた、5~6個の環員および1~2個のヘテロ原子を有する環を形成し得、代表的なメンバーとしては、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、およびモルホリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
「アリール」とは、任意の適切な環原子数および任意の適切な環数を有する芳香族環系をいう。アリール基は、任意の適切な環原子数(例えば、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、もしくは16個の環原子)、ならびに6~10個、6~12個、または6~14個の環員を含み得る。アリール基は、単環式であり得るか、縮合して二環式もしくは三環式の基を形成し得るか、または結合によって連結されて、ビアリール基を形成し得る。代表的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが挙げられる。他のアリール基としては、メチレン連結基を有するベンジルが挙げられる。いくつかのアリール基は、6~12個の環員を有する(例えば、フェニル、ナフチル、またはビフェニル)。他のアリール基は、6~10個の環員を有する(例えば、フェニルまたはナフチル)。いくつかの他のアリール基は、6個の環員を有する(例えば、フェニル)。アリール基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
【0050】
「ヘテロアリール」とは、5~16個の環原子を含み、ここでその環原子のうちの1~5個は、ヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)である、単環式、縮合二環式、または三環式の芳香族環アセンブリをいう。さらなるヘテロ原子はまた、有用であり得る(B、Al、Si、およびPが挙げられるが、これらに限定されない)。そのヘテロ原子はまた、酸化され得る(例えば、N-オキシド、-S(O)-、および-S(O)-が挙げられるが、これらに限定されない)。ヘテロアリール基は、任意の環原子数を含み得る(例えば、3~6個、4~6個、5~6個、3~8個、4~8個、5~8個、6~8個、3~9個、3~10個、3~11個、または3~12個の環員)。任意の適切なヘテロ原子数が、そのヘテロアリール基の中に含まれ得る(例えば、1個、2個、3個、4個、もしくは5個;または1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、2~3個、2~4個、2~5個、3~4個、もしくは3~5個)。ヘテロアリール基は、5~8個の環員および1~4個のヘテロ原子、または5~8個の環員および1~3個のヘテロ原子、または5~6個の環員および1~4個のヘテロ原子個、または5~6個の環員および1~3個のヘテロ原子を有し得る。そのヘテロアリール基としては、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソオキサゾールのような基が挙げられ得る。そのヘテロアリール基はまた、芳香族環系(例えば、フェニル環)に縮合されて、ベンゾピロール(例えば、インドールおよびイソインドール)、ベンゾピリジン(例えば、キノリンおよびイソキノリン)、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン(例えば、フタラジンおよびシンノリン)、ベンゾチオフェン、およびベンゾフランが挙げられるが、これらに限定されないメンバーを形成し得る。他のヘテロアリール基としては、結合によって連結されたヘテロアリール環(例えば、ビピリジン)が挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
【0051】
そのヘテロアリール基は、その環に対して任意の位置を介して連結され得る。例えば、ピロールは、1-、2-、および3-ピロールを含む;ピリジンは、2-、3-および4-ピリジンを含む;イミダゾールは、1-、2-、4-および5-イミダゾールを含む;ピラゾールは、1-、3-、4-および5-ピラゾールを含む;トリアゾールは、1-、4-および5-トリアゾールを含む;テトラゾールは、1-および5-テトラゾールを含む;ピリミジンは、2-、4-、5-および6-ピリミジンを含む;ピリダジンは、3-および4-ピリダジンを含む;1,2,3-トリアジンは、4-および5-トリアジンを含む;1,2,4-トリアジンは、3-、5-および6-トリアジンを含む;1,3,5-トリアジンは、2-トリアジンを含む;チオフェンは、2-および3-チオフェンを含む;フランは、2-および3-フランを含む;チアゾールは、2-、4-および5-チアゾールを含む;イソチアゾールは、3-、4-および5-イソチアゾールを含む;オキサゾールは、2-、4-および5-オキサゾールを含む;イソオキサゾールは、3-、4-および5-イソオキサゾールを含む;インドールは、1-、2-および3-インドールを含む;イソインドールは、1-および2-イソインドールを含む;キノリンは、2-、3-および4-キノリンを含む;イソキノリンは、1-、3-および4-イソキノリンを含む;キナゾリンは、2-および4-キナゾリンを含む;シンノリンは、3-および4-シンノリンを含む;ベンゾチオフェンは、2-および3-ベンゾチオフェンを含む;そしてベンゾフランは、2-および3-ベンゾフランを含む。
【0052】
いくつかのヘテロアリール基としては、5~10個の環員および1~3個の環原子(N、OまたはSを含む)を有するものが挙げられる:例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、およびベンゾフラン)。他のヘテロアリール基としては、5~8個の環員および1~3個のヘテロ原子を有するものが挙げられる:例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソオキサゾール。いくつかの他のヘテロアリール基としては、9~12個の環員および1~3個のヘテロ原子を有するものが挙げられる:例えば、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフランおよびビピリジン。なお他のヘテロアリール基としては、5~6個の環員および1~2個の環ヘテロ原子(N、OまたはSを含む)を有するものが挙げられる:例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、およびイソオキサゾール。
【0053】
いくつかのヘテロアリール基は、5~10個の環員および窒素のみのヘテロ原子を含む(例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-異性体)、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、およびシンノリン)。他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および酸素のみのヘテロ原子を含む(例えば、フランおよびベンゾフラン)。いくつかの他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および硫黄のみのヘテロ原子を含む(例えば、チオフェンおよびベンゾチオフェン)。なお他のヘテロアリール基は、5~10個の環員および少なくとも2個のヘテロ原子を含む(例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-異性体)、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、およびシンノリン)。
【0054】
「ヘテロ原子」とは、O、S、またはNに言及する。
【0055】
「塩」とは、本発明の方法において使用される化合物の酸または塩基の塩に言及する。薬学的に受容可能な塩の例証的な例は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、および四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。その薬学的に受容可能な塩が非毒性であることは理解される。適切な薬学的に受容可能な塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第17版,
Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985(これは、本明細書に参考として援用される)に見出され得る。
【0056】
「異性体」とは、同じ化学式を有するが、構造的に区別可能である化合物をいう。
【0057】
「互変異性体」とは、平衡状態で存在しかつ一方の形態からもう一方の形態へと容易に変換される、2またはこれより多くの構造異性体に言及する。
【0058】
本発明の化合物の記載は、当業者に公知の化学的結合の原理によって制限される。よって、1つの基が、多くの置換基のうちの1またはこれより多くで置換され得る場合、このような置換基は、化学的結合の原理に従うように、かつ、本質的に不安定-および/または周囲条件(例えば、水性、中性、もしくは生理学的な条件)下で不安定である可能性があると当業者に公知である-ではない化合物を生成するように、選択される。
【0059】
「薬学的に受容可能な賦形剤」および「薬学的に受容可能なキャリア」とは、被験体に対する活性薬剤の投与-および被験体による活性薬剤の吸収-を補助し、患者に対して有害な毒性効果を引き起こすことなしに本発明の組成物の中に含まれ得る物質をいう。薬学的に受容可能な賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常食塩水、乳酸添加リンゲル液、通常スクロース、通常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、フレーバーおよび着色剤などが挙げられる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識する。
【0060】
C.子宮頸部腫瘍
子宮頸がんは、子宮頸部内の、または子宮頸部に由来する悪性腫瘍である。子宮頸がんは、全世界で、女性の最も一般的な死亡原因第4位である。米国では、10,000を優に超える新たな症例が、毎年同定される。子宮頸がんに罹患している患者は、その疾患の初期ステージの間に症状を経験しないこともある。女性における子宮頸がんのリスク因子としては、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の履歴、喫煙、および他の要因が挙げられる。しかし、現在認識されているリスクカテゴリーの中の患者が全て、子宮頸がんを発症するわけではない。
【0061】
子宮頸がんの症状としては、膣からの異常出血および骨盤領域における疼痛が挙げられる。子宮頸がんは、例えば、扁平上皮癌、および腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍、または他のがんタイプであり得る。
子宮頸部の視覚的スクリーニングは、しばしば視覚コントラスト剤(visual contrast agent)(例えば、酢酸)を使用して、日常的な患者の通院の間に一般的に行われるが、その結果は確定ではない。「パップスメア(Pap smear)」テストは、子宮頸がんをスクリーニングするために使用されるが、そのスクリーニング試験の陰性の結果はしばしば不正確である。子宮頸部組織の生検は、子宮頸がんを同定または診断するために使用され得る。画像化ベースの方法のうちの1またはこれより多く(例えば、核磁気共鳴画像法(MRI)、コンピューター断層撮影法(CT)、X線、および陽電子放出断層撮影(PET)スキャン、または超音波検査(US))はしばしば、子宮頸がんを有すると疑われる被験体に対して、例えば、その関連する臨床症状の提示に基づいて行われる。これらの生検または画像化検査の結果はしばしば、その患者の病歴、身体検査および臨床検査(lab test)と組み合わせて、正確な診断およびその腫瘍の起源に関する情報を提供する。
【0062】
子宮頸がんの存在、子宮頸がんのタイプおよびステージは、病理医によって行われる腫瘍の組織学的分析によって確認され得る。組織学によって、子宮頸がんの臨床処置、管理、および予後の多くの局面が規定される。
【0063】
D.がん性腫瘍
本明細書で開示される方法は、がん性腫瘍を処置するために適用可能である。子宮頸がんの診断後、その腫瘍は、ステージおよび他の腫瘍特性を決定するために評価され得る。
【0064】
E.グルココルチコイドレセプターモジュレーター(GRM)
一般に、がん性腫瘍の処置は、有効量の化学療法剤を、有効量の、任意の化学構造または作用機構のSGRMと組み合わせて投与することによって提供され得る。本明細書で提供されるのは、例示的なGRMのクラスおよびこのようなクラスの具体的なメンバーである。しかし、当業者は、本明細書で記載される処置方法で使用され得る他の関連するまたは関連しないSGRMを容易に認識する。
【0065】
非ステロイド系抗グルココルチコイドレセプターモジュレーター
本明細書で提供されるのは、例示的な非ステロイド系グルココルチコイドレセプターモジュレーター(GRM)のクラスおよび本明細書で開示される方法のために使用され得るこのようなクラスの具体的なメンバーである。しかし、当業者は、本明細書で記載される処置方法において使用され得る他の関連するまたは関連しないグルココルチコイドレセプターモジュレーターを容易に認識する。これらは、合成模倣物およびタンパク質のアナログ(部分的にペプチドの、偽ペプチドの、および非ペプチドの分子実体が挙げられる)を含む。例えば、本発明において有用なオリゴマーのペプチド模倣物としては、(α-β-不飽和)ペプチドスルホンアミド、N-置換されたグリシン誘導体、オリゴカルバメート、オリゴウレアペプチド模倣物、ヒドラジノペプチド、オリゴスルホンなどが挙げられる(例えば、Amour, Int. J. Pept. Protein Res. 43:297-304, 1994; de Bont, Bioorganic & Medicinal Chem. 4:667-672, 1996を参照のこと)。
【0066】
非ステロイド系GRモジュレーターの例としては、米国特許第5,696,127号;同第6,570,020号;および同第6,051,573号で開示されるGRアンタゴニスト化合物;米国特許出願 20020077356で開示されるGRアンタゴニスト化合物、Bradleyら, J. Med. Chem. 45, 2417-2424 (2002)で開示されるグルココルチコイドレセプターアンタゴニスト(例えば、4α(S)-ベンジル-2(R)-クロロエチニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオール(「CP 394531」)および4α(S)-ベンジル-2(R)-プロパ-1-イニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオール(「CP 409069」);ならびにPCT国際出願番号 WO 96/19458(これは、ステロイドレセプターの高親和性で非常に選択的なアンタゴニストである非ステロイド系化合物(例えば、6-置換-1,2-ジヒドロ-N-保護-キノリン)を記載する)で開示される化合物が挙げられる。
【0067】
本発明の方法で利用され得るさらなる化合物、ならびにこのような化合物を同定および作製するための方法に関しては、米国特許第4,296,206号(上記を参照のこと);同第4,386,085号(上記を参照のこと);同第4,447,424号;同第4,477,445号;同第4,519,946号;同第4,540,686号;同第4,547,493号;同第4,634,695号;同第4,634,696号;同第4,753,932号;同第4,774,236号;同第4,808,710号;同第4,814,327号;同第4,829,060号;同第4,861,763号;同第4,912,097号;同第4,921,638号;同第4,943,566号;同第4,954,490号;同第4,978,657号;同第5,006,518号;同第5,043,332号;同第5,064,822号;同第5,073,548号;同第5,089,488号;同第5,089,635号;同第5,093,507号;同第5,095,010号;同第5,095,129号;同第5,132,299号;同第5,166,146号;同第5,166,199号;同第5,173,405号;同第5,276,023号;同第5,380,839号;同第5,348,729号;同第5,426,102号;同第5,439,913号;および同第5,616,458号;ならびにWO 96/19458(これは、ステロイドレセプターの高親和性で非常に選択的なモジュレーター(アンタゴニスト)である非ステロイド系化合物(例えば、6-置換-1,2-ジヒドロN-1保護キノリン)を記載する)を参照のこと。
【0068】
いくつかの実施形態において、がんを処置するための併用療法は、縮合アザデカリン骨格、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格、またはオクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するGRMを包含する。
【0069】
縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRMとしては、米国特許第7,928,237号;同第8,461,172号;および同第8,557,839号に記載されるものが挙げられ、そこで開示されるとおりに調製され得る。これらの特許は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。いくつかの場合には、縮合アザデカリン骨格を有するGRMは、以下の構造:
【化9】
またはその塩および異性体を有し、式中
およびLは、結合および置換されていないアルキレンから独立して選択されるメンバーであり;
は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-OR1A、-NR1C1D、-C(O)NR1C1D、および-C(O)OR1Aから選択されるメンバーであり、式中
1Aは、水素、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
1CおよびR1Dは、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、
ここでR1CおよびR1Dは、必要に応じて、結合して、これらが結合される窒素とともに、不飽和を形成し、ここで上記環は、必要に応じて、さらなる環窒素を含み;
は、式:
【化10】
を有し、式中
2Gは、水素、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-CN、および-CFから選択されるメンバーであり、
Jは、フェニルであり;
tは、0~5の整数であり;
Xは、-S(O)-であり;そして
は、必要に応じて、1~5個のR5A基で置換されたフェニルであり、ここで
5Aは、水素、ハロゲン、-OR5A1、-S(O)NR5A25A3、-CN、および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、式中
5A1は、水素および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、そして
5A2およびR5A3は、水素および置換されていないアルキルから独立して選択されるメンバーである。
【0070】
ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRMとしては、米国2014/0038926に記載されるもの(これは、その中で開示されるとおりに調製され得、その全体において本明細書に援用される)が挙げられる。いくつかの場合には、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有するGRMは、以下の構造:
【化11】
またはその塩および異性体を有し、式中
は5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;
各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-CN、N-オキシド、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで上記ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール環は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、-CN、-OH、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-SR2a、-S(O)R2a、-S(O)2a、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで上記ヘテロシクロアルキル基は、必要に応じて、1~4個のR2c基で置換されるか;
あるいは、同じ炭素に連結された2個のR基は化合して、オキソ基(=O)を形成するか;
あるいは、2個のR基は化合して、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで上記ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2d基で置換され;
2aおよびR2bは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;
各R2cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-CN、および-NR2a2bからなる群より独立して選択され;
各R2dは、水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択されるか、または同じ環原子に結合した2個のR2d基は化合して、(=O)を形成し;
は、各々必要に応じて、1~4個のR3a基で置換された、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;
各R3aは、水素、ハロゲン、およびC1-6ハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
下付きのnは、0~3の整数である。
【0071】
オクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRMとしては、米国特許公開番号20150148341(2014年11月21日出願)に記載されるものが挙げられ、その中で記載されるとおりに調製され得る。米国特許公開番号20150148341の開示は、その全体において本明細書に援用される。いくつかの場合には、オクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するGRMは、以下の構造:
【化12】
またはその塩および異性体を有し、式中
は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;
各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、およびC3-8シクロアルキルからなる群より独立して選択され;
環Jは、アリール環、ならびに5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;
各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、-CN、-OH、-NR2a2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2a2b、-SR2a、-S(O)R2a、-S(O)2a、C3-8シクロアルキル、ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;
あるいは、隣接する環原子上の2個のR基が化合して、5~6個の環員ならびに 各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで上記ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2c基で置換され;
2a、R2bおよびR2cは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;
各R3aは、独立してハロゲンであり;そして
下付きのnは、0~3の整数である。
【0072】
F.選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーター(SGRM)の同定
試験化合物がSGRMであるかどうかを決定するために、その化合物は、これがGRに結合し、GR媒介性活性を阻害する能力(これは、その化合物が、グルココルチコイドレセプターモジュレーターであるかどうかを決定する)を測定するために、先ずアッセイに供される。その化合物は、グルココルチコイドレセプターモジュレーターであると確認された場合には、次いで、その化合物が、非GRタンパク質(例えば、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプター、またはミネラロコルチコイドレセプター)と比較して、GRに特異的に結合し得るか否かを決定するために、選択性試験に供される。一実施形態において、SGRMは、非GRタンパク質に対するより実質的により高い親和性、例えば、少なくとも10倍高い親和性で、GRに結合する。SGRMは、非GRタンパク質への結合と比較して、GRへの結合に関して100倍、1000倍、またはより大きな選択性を示し得る。
【0073】
i.結合
試験化合物がそのグルココルチコイドレセプターに結合する能力は、種々のアッセイを使用して、例えば、その試験化合物がグルココルチコイドレセプターへの結合に関してグルココルチコイドレセプターリガンド(例えば、デキサメタゾン)と競合する能力をスクリーニングすることによって、測定され得る。当業者は、このような競合的結合アッセイを行うために多くの方法が存在することを認識する。いくつかの実施形態において、そのグルココルチコイドレセプターは、標識されたグルココルチコイドレセプターリガンドとともに予めインキュベートされ、次いで、試験化合物と接触される。このタイプの競合的結合アッセイは、本明細書で結合置換アッセイともいわれ得る。グルココルチコイドレセプターに結合した標識リガンドの量の減少は、その試験化合物がそのグルココルチコイドレセプターに結合することを示す。いくつかの場合には、その標識されたリガンドは、蛍光標識された化合物(例えば、蛍光標識されたステロイドまたはステロイドアナログ)である。あるいは、そのグルココルチコイドレセプターへの試験化合物の結合は、標識された試験化合物で直接測定され得る。この後者のタイプのアッセイは、直接結合アッセイといわれる。
【0074】
直接結合アッセイおよび競合的結合アッセイは両方とも、種々の異なる様式(format)において使用され得る。その様式は、イムノアッセイおよびレセプター結合アッセイにおいて使用されるものに類似であり得る。競合的結合アッセイおよび直接結合アッセイを含む結合アッセイに関する異なる様式の説明に関しては、Basic and Clinical Immunology 第7版(D. Stites and A. Terr編) 1991; Enzyme Immunoassay, E.T. Maggio編, CRC Press, Boca Raton, Florida (1980);および「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」, P. Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers B.V. Amsterdam (1985)(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0075】
固相競合的結合アッセイにおいて、例えば、そのサンプル化合物は、固体表面に結合した結合剤上の特異的結合部位に関して、標識された分析物と競合し得る。このタイプの様式において、その標識された分析物は、グルココルチコイドレセプターリガンドであり得、その結合剤は、固相に結合したグルココルチコイドレセプターであり得る。あるいは、その標識された分析物は、標識されたグルココルチコイドレセプターであり得、その結合剤は、固相グルココルチコイドレセプターリガンドであり得る。その捕捉剤に結合した標識された分析物の濃度は、試験化合物がその結合アッセイにおいて競合する能力に反比例する。
【0076】
あるいは、その競合的結合アッセイは、液相において行われ得、当該分野で公知の種々の技術のうちのいずれかが、その結合された標識タンパク質を、その結合されていない標識タンパク質から分離するために使用され得る。例えば、いくつかの手順は、結合したリガンドと過剰な結合したリガンドとの間または結合した試験化合物と過剰な結合していない試験化合物との間を区別するために、開発されている。これらは、スクロース勾配中での沈降、ゲル電気泳動、またはゲル等電点電気泳動による結合した複合体の同定;硫酸プロタミンでのそのレセプター-リガンド複合体の沈殿またはヒドロキシアパタイト上への吸着;およびデキストラン被覆活性炭(DCC)上への吸着もしくは固定化した抗体への結合による結合されていない化合物もしくはリガンドの除去を含む。分離後に、結合したリガンドまたは試験化合物の量が決定される。
【0077】
あるいは、均一結合アッセイ(homogenous binding assay)が行われ得、ここでは、分離工程は必要とされない。例えば、そのグルココルチコイドレセプター上の標識は、グルココルチコイドレセプターの、そのリガンドまたは試験化合物への結合によって、変更され得る。その標識されたグルココルチコイドレセプターにおけるこの変更は、標識が発するシグナルの減少または増加を生じ、その結果、その結合アッセイの終了時のその標識の測定は、結合状態でのそのグルココルチコイドレセプターの検出または定量を可能にする。広く種々の標識が、使用され得る。その構成要素は、いくつかの方法のうちの1つによって標識され得る。有用な放射活性標識としては、H、125I、35S、14C、または32Pを組み込んでいるものが挙げられる。有用な非放射活性標識としては、蛍光団、化学発光剤、リン光剤、電気化学発光剤などを組み込んでいるものが挙げられる。蛍光剤は、タンパク質構造におけるシフトを検出するために使用される分析技術(例えば、蛍光異方性および/または蛍光偏光)において特に有用である。標識の選択は、必要とされる感度、その化合物との結合体化の容易さ、安定性要件、および利用可能な機器類に依存する。使用され得る種々の標識システムまたはシグナル生成システムの総説に関しては、米国特許第4,391,904号(これは、全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。その標識は、当該分野で周知の方法に従ってそのアッセイの所望の構成要素に直接的にまたは間接的に、結合され得る。いくつかの場合には、試験化合物は、GRと、そのGRに対する公知の親和性を有する蛍光標識されたリガンド(例えば、ステロイドまたはステロイドアナログ)の存在下で接触され、結合した標識リガンドおよび遊離の標識リガンドの量が、その標識されたリガンドの蛍光偏光を測定することによって推定される。
【0078】
ii.活性
1)HepG2チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)アッセイ
GRに対する所望の結合親和性を示した化合物は、GR媒介性活性を阻害することにおけるその化合物の活性に関して試験される。その化合物は、代表的には、チロシンアミノトランスフェラーゼアッセイ(TATアッセイ)に供され、このアッセイは、試験化合物が、デキサメタゾンによるチロシンアミノトランスフェラーゼ活性の誘導を阻害する能力を評価する。実施例1を参照のこと。本明細書で開示される方法に適したGRモジュレーターは、10マイクロモル濃度未満のIC50(50%阻害濃度)を有する。他のアッセイ(以下で記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない)はまた、その化合物のGR調節活性を確認するために開発され得る。
【0079】
2)細胞ベースのアッセイ
グルココルチコイドレセプターを含む全細胞または細胞画分が関わる細胞ベースのアッセイはまた、試験化合物の結合またはグルココルチコイドレセプターの活性の調節をアッセイするために使用され得る。本発明の方法に従って使用され得る例示的な細胞タイプとしては、以下が挙げられる:例えば、任意の哺乳動物細胞(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞、およびリンパ球(例えば、T細胞およびB細胞)のような白血球、白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、腫瘍細胞(マウス乳腺腫瘍ウイルス細胞が挙げられる)、内皮細胞、線維芽細胞、心筋細胞(cardiac cell)、筋細胞、乳房腫瘍細胞、卵巣がんの癌(ovarian cancer carcinoma)、子宮頸癌、膠芽腫、肝臓細胞、腎臓細胞、および神経細胞が挙げられる)、ならびに真菌細胞(酵母が挙げられる)。細胞は、初代細胞または腫瘍細胞または不死化細胞株の他のタイプであり得る。当然のことながら、そのグルココルチコイドレセプターは、そのグルココルチコイドレセプターの内因性バージョンを発現しない細胞において発現され得る。
【0080】
いくつかの場合には、そのグルココルチコイドレセプターのフラグメント、ならびにタンパク質融合物は、スクリーニングのために使用され得る。結合に関して、そのグルココルチコイドレセプターリガンドと競合する分子が望ましい場合、その使用されるGRフラグメントは、そのリガンド(例えば、デキサメタゾン)に結合し得るフラグメントである。あるいは、GRの任意のフラグメントは、そのグルココルチコイドレセプターに結合する分子を同定するための標的として使用され得る。グルココルチコイドレセプターフラグメントは、グルココルチコイドレセプターの1個のアミノ酸を除く全てを含むタンパク質までの、例えば、少なくとも20個、30個、40個、50個のアミノ酸の任意のフラグメントを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、グルココルチコイドレセプター活性化が引き金となるシグナル伝達の低減は、グルココルチコイドレセプターモジュレーターを同定するために使用される。そのグルココルチコイドレセプターのシグナル伝達活性は、多くの方法で決定され得る。例えば、下流の分子事象は、シグナル伝達活性を決定するためにモニターされ得る。下流の事象としては、グルココルチコイドレセプターの刺激の結果として起こるそれらの活性または発現が挙げられる。変更していない細胞における転写活性化およびアンタゴニズムの機能評価において有用である例示的な下流の事象としては、多くのグルココルチコイド応答エレメント(GRE)依存性遺伝子(PEPCK、チロシンアミノトランスフェラーゼ、アロマターゼ)のアップレギュレーションが挙げられる。さらに、GR活性化に影響されやすい特異的細胞タイプが使用され得る(例えば、グルココルチコイドによってダウンレギュレートされる骨芽細胞におけるオステオカルシン発現;PEPCKおよびグルコース-6-ホスフェート(G-6-Pase)のグルココルチコイド媒介性アップレギュレーションを示す初代肝細胞)。GRE媒介性遺伝子発現はまた、周知のGRE調節性配列(例えば、レポーター遺伝子構築物の上流にトランスフェクトされたマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV))を使用してトランスフェクトされた細胞株において示された。有用なレポーター遺伝子構築物の例としては、ルシフェラーゼ(luc)、アルカリホスファターゼ(ALP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が挙げられる。転写抑制の機能評価は、単球またはヒト皮膚線維芽細胞のような細胞株において行われ得る。有用な機能アッセイとしては、IL-1β刺激IL-6発現;コラゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2および種々のケモカイン(MCP-1、RANTES)のダウンレギュレーション;LPS刺激サイトカイン放出(例えば、TNFα);またはトランスフェクトされた細胞株におけるNFkBもしくはAP-1転写因子によって調節される遺伝子の発現、を測定するものが挙げられる。
【0082】
全細胞アッセイにおいて試験される化合物はまた、細胞傷害性アッセイにおいて試験され得る。細胞傷害性アッセイは、認められる効果が非グルココルチコイドレセプター結合細胞効果に起因する程度を決定するために使用される。例示的な実施形態において、細胞傷害性アッセイは、構成的に活性な細胞とその試験化合物とを接触させることを含む。細胞活性における任意の減少は、細胞傷害性効果を示す。
【0083】
3)さらなるアッセイ
本発明の方法において利用される組成物を同定するために使用され得る多くのアッセイのさらなる例証は、インビボでのグルココルチコイド活性に基づくアッセイである。例えば、推定GRモジュレーターが、グルココルチコイドによって刺激される細胞におけるDNAへの3H-チミジンの取り込みを阻害する能力を評価するアッセイが、使用され得る。あるいは、その推定GRモジュレーターは、肝細胞癌組織培養物GRへの結合に関して3H-デキサメタゾンと競合し得る(例えば、Choiら, Steroids 57:313-318, 1992を参照のこと)。別の例として、推定GRモジュレーターが3H-デキサメタゾン-GR複合体の核結合を遮断する能力が、使用され得る(Alexandrovaら, J. Steroid Biochem. Mol. Biol.
41:723-725, 1992)。推定GRモジュレーターをさらに同定するために、グルココルチコイドアゴニストとモジュレーターとの間を、レセプター結合動力学によって区別し得る動力学的アッセイも、使用され得る(Jones, Biochem J. 204:721-729, 1982に記載されるとおり)。
【0084】
別の例証的例において、Daune, Molec. Pharm. 13:948-955, 1977によって;および米国特許第4,386,085号に記載されるアッセイは、抗グルココルチコイド活性を同定するために使用され得る。簡潔には、副腎摘出ラットの胸腺細胞を、デキサメタゾンを含む栄養培地中、種々の濃度の試験化合物(推定GRモジュレーター)とともにインキュベートする。H-ウリジンを、その細胞培養物に添加し、これをさらにインキュベートし、ポリヌクレオチドへの放射性標識の組み込みの程度を測定する。グルココルチコイドアゴニストは、組み込まれるH-ウリジンの量を減少させる。従って、GRモジュレーターは、この効果に対抗する。
【0085】
iii.選択性
上記で選択されるGRモジュレーターは、次いで、それらがSGRMであるかどうかを決定するために、選択性アッセイを受ける。代表的には、選択性アッセイは、グルココルチコイドレセプターをインビトロで結合する化合物を、非グルココルチコイドレセプタータンパク質に結合する程度に関して試験することを含む。選択性アッセイは、インビトロで、または細胞ベースのシステムで行われ得る(上記のとおり)。結合は、任意の適切な非グルココルチコイドレセプタータンパク質(抗体、レセプター、酵素などが挙げられる)に対して試験され得る。例示的な実施形態において、その非グルココルチコイドレセプター結合タンパク質は、細胞表面レセプターまたは核レセプターである。別の例示的な実施形態において、その非グルココルチコイドレセプタータンパク質は、ステロイドレセプター(例えば、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプター、またはミネラロコルチコイドレセプター)である。
【0086】
そのMRと比較してGRのアンタゴニストの選択性は、当業者に公知の種々のアッセイを使用して測定され得る。例えば、特異的アンタゴニストは、MRと比較して、そのアンタゴニストがGRに結合する能力を測定することによって同定され得る(例えば、米国特許第5,606,021号;同第5,696,127号;同第5,215,916号;同第5,071,773号を参照のこと)。このような分析は、直接結合アッセイを使用して、または既知のリガンドの存在下で精製されたGRまたはMRへの競合的結合を評価することによって、のいずれかで行われ得る。例示的アッセイでは、グルココルチコイドレセプターまたはミネラロコルチコイドレセプターを安定して高レベルで発現する細胞(例えば、米国特許第5,606,021号を参照のこと)は、精製レセプターの供給源として使用される。次いで、そのレセプターに対するリガンドの親和性が直接測定される。次いで、MRと比較して、GRに対して少なくとも10倍、100倍高い親和性、しばしば1000倍高い親和性を示すそれらGRモジュレーターは、本発明の方法における使用のために選択される。
【0087】
その選択性アッセイはまた、GR媒介性活性を阻害するが、MR媒介性活性は阻害しない能力をアッセイすることを含み得る。このようなGR特異的モジュレーターを同定する1つの方法は、トランスフェクションアッセイを使用して、アンタゴニストがレポーター構築物の活性化を防止する能力を評価することである(例えば、Bocquelら, J. Steroid Biochem Molec. Biol. 45:205-215, 1993; 米国特許第5,606,021号、同第5,929,058号を参照のこと)。例示的なトランスフェクションアッセイでは、レセプターをコードする発現プラスミドおよびレセプター特異的調節エレメントに連結されるレポーター遺伝子を含むレポータープラスミドは、適切なレセプター陰性宿主細胞へと共トランスフェクトされる。次いで、そのトランスフェクトした宿主細胞は、そのレポータープラスミドのホルモン応答性プロモーター/エンハンサーエレメントを活性化し得るホルモン(例えば、コルチゾールまたはそのアナログ)の存在下および非存在下で培養される。次に、そのトランスフェクトしかつ培養した宿主細胞は、そのレポーター遺伝子配列の生成物の誘導(すなわち、存在)に関してモニターされる。最後に、そのホルモンレセプタータンパク質(その発現プラスミド上のレセプターDNA配列によってコードされ、そのトランスフェクトしかつ培養した宿主細胞において生成される)の発現および/またはステロイド結合能力は、アンタゴニストの存在下および非存在下で、そのレポーター遺伝子の活性を決定することによって測定される。化合物のアンタゴニスト活性は、そのGRレセプターおよびMRレセプターの公知のアンタゴニストとの比較において決定され得る(例えば、米国特許第5,696,127号を参照のこと)。次いで、有効性は、参照アンタゴニスト化合物と比較して、各化合物について観察されたパーセント最大応答として報告される。次いで、MR、PR、またはARと比較して、GRに対して少なくとも100倍、しばしば1000倍、またはより大きな活性を示すGRモジュレーターは、本明細書で開示される方法における使用のために選択される。
【0088】
本明細書で開示される方法において使用され得る例示的なSGRMは、CORT 108297、すなわち、(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、これは、以下の構造を有する:
【化13】
【0089】
本明細書で開示される方法において使用され得る例示的なSGRMは、CORT 125134、すなわち、(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、これは、以下の構造を有する:
【化14】
【0090】
本明細書で開示される方法において使用され得る別の例示的なSGRMは、CORT125281、すなわち、((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、これは、以下の構造を有する:
【化15】
【0091】
G.薬学的組成物および投与
いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能な賦形剤およびSGRMを含む薬学的組成物を提供する。
【0092】
SGRMは、広く種々の経口的、非経口的、および局所的な投与形態で調製および投与され得る。経口用調製物としては、患者による摂取に適切な、錠剤、丸剤、粉剤・散剤(powder)、糖衣錠、カプセル剤、液体、ロゼンジ剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などが挙げられる。SGRMはまた、注射によって、すなわち、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、または腹腔内に投与され得る。また、SGRMは、吸入によって、例えば、鼻内に投与され得る。さらに、SGRMは、経皮的に投与され得る。よって、本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤およびSGRMを含む薬学的組成物を提供する。
【0093】
薬学的組成物をSGRMから調製するために、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、粉剤・散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性粒剤が挙げられる。固体キャリアは、1またはこれより多くの物質であり得、これは、希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料(encapsulating material)としても作用し得る。製剤化および投
与に関する技術の詳細は、科学文献および特許文献(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Maack Publishing Co, Easton PA(「Remington’s」)の最新版を参照のこと)に十分に記載される。
【0094】
粉剤・散剤では、そのキャリアは、微細に分割された固体であり、これは、その微細に分割された活性構成要素、SGRMと混合した状態にある。錠剤では、その活性構成要素は、適切な割合で必要な結合特性を有するキャリアと混合され、望ましい形状およびサイズに圧縮される。
【0095】
その粉剤・散剤および錠剤は、好ましくは、5%または10%から70%の活性化合物を含む。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。用語「調製物」とは、カプセルを提供するキャリアとしての封入材料を用いたその活性化合物の製剤を含むことが意図され、そのカプセルの中で、他のキャリアありまたはなしのその活性構成要素が、キャリアによって囲まれ、そのキャリアは、従ってその構成要素と会合状態にある。同様に、カシェ剤およびロゼンジ剤が含まれる。錠剤、粉剤・散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固体投与形態として使用され得る。
【0096】
適切な固体賦形剤は、炭水化物またはタンパク充填剤であり、これらとしては、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが挙げられる);トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、もしくは他の植物に由来するデンプン;セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム);およびガム(アラビアガムおよびトラガカントガムが挙げられる);ならびにタンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン)が挙げられるが、これらに限定されない。望ましい場合、崩壊剤または可溶化剤が添加され得る(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸、またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))。
【0097】
糖衣錠コアは、濃縮糖溶液(これは、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、および適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物をも含み得る)のような適切なコーティング剤とともに提供される。染料または顔料は、製品識別のために、または活性化合物の量(すなわち、投与量)を特徴づけるために、その錠剤もしくは糖衣錠のコーティングに添加され得る。本発明の薬学的調製物はまた、例えば、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびコーティング剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製されるソフトシールカプセルを使用して経口的に使用され得る。プッシュフィットカプセルは、充填剤または結合剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)、滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定化剤と混合されたGRモジュレーターを含み得る。ソフトカプセルでは、そのGRモジュレーター化合物は、安定化剤ありまたはなしの適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁され得る。
【0098】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョン剤(例えば、水または水/プロピレングリコール溶液)を含む。非経口注射のために、液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤に製剤化され得る。
【0099】
経口使用に適した水性の液剤は、水にその活性構成要素を溶解し、適切な着色剤、フレーバー、安定化剤、および増粘剤(望ましい場合)を添加することによって、調製され得る。経口使用に適した水性懸濁剤は、微細に分割した活性構成要素を、粘性材料(例えば、天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム)、ならびに分散剤または湿潤剤(例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン))、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)とともに水の中に分散させることによって、作製され得る。その水性懸濁剤はまた、1またはこれより多くの保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル)、1またはこれより多くの着色剤、1またはこれより多くの矯味矯臭剤および1またはこれより多くの甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテームまたはサッカリン)を含み得る。製剤は、容積オスモル濃度について調節され得る。
【0100】
使用直前に、経口投与のために液体形態調製物へと変換されることが意図される固体形態調製物がまた、含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョン剤が挙げられる。これらの調製物は、その活性構成要素に加えて、着色剤、フレーバー、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0101】
油懸濁剤は、植物性油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油)中に、または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に;またはこれらの混合物中に、SGRMを懸濁することによって製剤化され得る。その油懸濁剤は、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。甘味剤は、快い経口調製物を提供するために添加され得る(例えば、グリセロール、ソルビトールまたはスクロース)。これらの製剤は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を添加することによって保存され得る。注射用油ビヒクルの例として、Minto, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281:93-102, 1997を参照のこと。本発明の薬学的製剤はまた、水中油型エマルジョンの形態にあり得る。その油相は、植物性油もしくは鉱油(上記)、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然に存在するガム(例えば、アカシアガムおよびトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズレシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルもしくは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、およびこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。そのエマルジョン剤はまた、シロップ剤およびエリキシル剤の製剤におけるように、甘味剤および矯味矯臭剤を含み得る。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、または着色剤を含み得る。
【0102】
SGRMは、局所経路によって経皮的に送達され得、アプリケータースティック、液剤、懸濁剤、エマルジョン剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、パスタ剤、ゼリー剤、塗布剤(paint)、粉剤・散剤、およびエアロゾル剤として製剤化され得る。
【0103】
SGRMはまた、身体における緩慢放出のためにマイクロスフェアとして送達され得る。例えば、マイクロスフェアは、薬物含有マイクロスフェアの皮内注射を介して(これは、皮下にゆっくりと放出する)(Rao, J. Biomater Sci. Polym. Ed. 7:623-645, 1995を参照のこと);生分解性および注射用ゲル製剤として(例えば、Gao Pharm. Res. 12:857-863,
1995を参照のこと);または経口投与のためのマイクロスフェアとして(例えば、Eyles, J. Pharm. Pharmacol. 49:669-674, 1997を参照のこと)投与され得る。経皮経路および皮内経路の両方が、数週間または数ヶ月にわたって一定の送達を与える。
【0104】
本発明の薬学的製剤は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)で形成され得る。塩は、その相当する遊離塩基形態である水性溶媒または他のプロトン溶媒中でより溶解性である傾向にある。他の場合、その調製物は、使用前に緩衝液と組み合わされる、4.5~5.5のpH範囲の、1mM~50mM ヒスチジン、0.1%~2% スクロース、2%~7% マンニトール中の凍結乾燥粉剤であり得る。
【0105】
別の実施形態において、本発明の製剤は、細胞膜と融合するかまたはエンドサイトーシスされるリポソームの使用によって、すなわち、エンドサイトーシスを生じる細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合するリポソームに結合した、またはそのオリゴヌクレオチドに直接結合したリガンドを使用することによって、送達され得る。リポソームを使用することによって、特に、そのリポソーム表面が標的細胞に対して特異的なリガンドを有するか、または別の方法で特異的器官に優先的に指向される場合、インビボでのその標的細胞へのGRモジュレーターの送達に焦点が当てられ得る(例えば、Al-Muhammed, J. Microencapsul. 13:293-306, 1996; Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6:698-708,
1995; Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576-1587, 1989を参照のこと)。
【0106】
薬学的調製物は、好ましくは、単位投与形態にある。このような形態では、その調製物は、その活性構成要素であるGRMの適切な量を含む単位用量へとさらに分けられる。その単位投与形態は、パッケージされた調製物、調製物の別個の量を含むパッケージ(例えば、パケット錠剤(packeted tablet)、カプセル剤、およびバイアルもしくはアンプル中の粉剤・散剤)であり得る。また、その単位投与形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ剤自体であり得るか、またはパッケージされた形態にあるこれらのうちのいずれかの適切な数であり得る。
【0107】
単位用量調製物中の活性構成要素の量は、0.1mg~10000mg、より代表的には1.0mg~6000mg、最も代表的には50mg~500mgまで変動され得るかまたは調節され得る。適切な投与量はまた、その特定の適用およびその活性構成要素の効力に従って、約1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、または2000mgを含む。その組成物は、望ましい場合、他の適合性の治療剤も含み得る。
【0108】
製剤の単回のまたは複数回の投与は、その患者によって必要とされかつ許容されるとおりの投与量および頻度に依存して、投与され得る。その製剤は、疾患状態を有効に処置するために、活性薬剤の十分量を提供するべきである。従って、一実施形態において、GRMの経口投与のための薬学的製剤は、1日あたり体重1kgあたり約0.01~約150mg(mg/kg/日)の間の毎日の量にある。いくつかの実施形態において、その毎日の量は、約1.0~100mg/kg/日、5~50mg/kg/日、10~30mg/kg/日、および10~20mg/kg/日である。その薬物が、経口投与とは対照的に、血流へと、体腔へとまたは器官の内腔へと解剖学的に隔離された部位(例えば、脳脊髄液(CSF)空間に投与される場合には特に、より低い投与量が使用され得る。局所投与では、実質的により高い投与量が使用され得る。非経口投与用の製剤を調製するための実際の方法は、当業者に公知または明らかであり、Remington’s(前出)のような刊行物中により詳細に記載される。Nieman, In 「Receptor Mediated Antisteroid Action」, Agarwal,ら編, De Gruyter, New York (1987)もまた参照のこと。
【0109】
がん性腫瘍の腫瘍負荷を低減するか、または別の方法でその腫瘍の症状を改善するために、SGRMで処置する継続期間は、被験体の状態の重篤度およびその被験体のSGRMに対する応答に従って変動し得る。いくつかの実施形態において、SGRMは、約1週間~104週間(2年間)、より代表的には約6週間~80週間、最も代表的には約9~60週間の期間にわたって投与され得る。適切な投与期間はまた、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、および96~104週間を含む。適切な投与期間はまた、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、24週間、25週間、30週間、32週間、35週間、40週間、45週間、48週間、50週間、52週間、55週間、60週間、64週間、65週間、68週間、70週間、72週間、75週間、80週間、85週間、88週間、90週間、95週間、96週間、100週間、および104週間を含む。一般に、SGRMの投与は、臨床上有意な低減または改善が観察されるまで継続されるべきである。本発明に従うSGRMでの処置は、2年間程度またはさらにより長く続き得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、SGRMの投与は、連続でなく、1またはこれより多くの期間にわたって停止され得、投与が再開される1またはこれより多くの期間が続き得る。投与が停止する適切な期間は、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、および96~100週間を含む。投与が停止する適切な期間はまた、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、24週間、25週間、30週間、32週間、35週間、40週間、45週間、48週間、50週間、52週間、55週間、60週間、64週間、65週間、68週間、70週間、72週間、75週間、80週間、85週間、88週間、90週間、95週間、96週間、および100週間を含む。
【0111】
投与量レジメンはまた、当該分野で周知の薬物動態パラメーター、すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティー、代謝、クリアランスなどを考慮に入れる(例えば、Hidalgo-Aragones (1996) J. Steroid Biochem.
Mol. Biol. 58:611-617; Groning (1996) Pharmazie 51:337-341; Fotherby (1996) Contraception 54:59-69; Johnson (1995) J. Pharm. Sci. 84:1144-1146; Rohatagi (1995) Pharmazie 50:610-613; Brophy (1983) Eur. J. Clin. Pharmacol. 24:103-108;Remington’s(前出)の最新版を参照のこと)。その技術水準は、臨床医が各個々の患者に関する投与量レジメン、GRモジュレーターおよび処置される疾患または状態を決定することを可能にする。
【0112】
SGRMは、グルココルチコイドレセプターを調節することにおいて有用であることが公知の他の活性薬剤と、または単独では有効ではない可能性があるが、その活性薬剤の有効性に寄与し得る補助的薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、共投与は、1種の活性薬剤であるSGRMを、第2の活性薬剤の0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、または24時間以内に投与することを包含する。共投与は、2種の活性薬剤を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1分、5分、10分、15分、20分、または30分以内に)、または任意の順序において逐次的に投与することを含む。いくつかの実施形態において、共投与は、共製剤化、すなわち、両方の活性薬剤を含む単一の薬学的組成物を調製することによって達成され得る。他の実施形態において、その活性薬剤は、別個に製剤化され得る。別の実施形態において、その活性薬剤および/または補助的薬剤は、互いに連結されてもよいし、結合体化されてもよい。
【0114】
本発明のGRモジュレーターを含む薬学的組成物を受容可能なキャリア中に製剤化した後に、その組成物は、適切な容器の中に入れられ、示された状態の処置のために表示される。SGRMの投与に関して、このような表示は、例えば、投与の量、頻度および方法に関する指示を含む。
【0115】
本発明の薬学的組成物は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)で形成され得る。塩は、その相当する遊離塩基形態である水性溶媒または他のプロトン溶媒中でより溶解性である傾向にある。他の場合、その調製物は、使用前に緩衝液と組み合わされる、4.5~5.5のpH範囲の、1mM~50mM ヒスチジン、0.1%~2% スクロース、2%~7% マンニトール中の凍結乾燥粉剤であり得る。
【0116】
別の実施形態において、本発明の組成物は、非経口投与(例えば、静脈内(IV)投与または体腔もしくは器官の内腔への投与)に有用である。投与のための製剤は一般に、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解された本発明の組成物の液剤を含む。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水およびリンゲル溶液、等張性塩化ナトリウムがある。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来どおり使用され得る。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の刺激の少ない不揮発性油が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射剤の調製において同様に使用され得る。これらの液剤は無菌であり、望ましくない物質を概して含まない。これらの製剤は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。その製剤は、生理学的条件に近づけるために必要な場合、薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調節剤および緩衝剤、張度調節剤(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど))を含み得る。これらの製剤における本発明の組成物の濃度は、広く変動し得、選択された特定の投与様式および患者の必要性に従って、流体容積、粘性、体重などに主に基づいて選択される。IV投与に関しては、その製剤は、滅菌注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤)であり得る。この懸濁剤は、それら適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知技術に従って製剤化され得る。その滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒(例えば、1,3-ブタンジオールの溶液)中の滅菌注射用液剤または懸濁剤であり得る。
【0117】
H.化学療法剤
本発明のSGRMとの組み合わせての使用に適した化学療法剤は、がん細胞を殺滅するかまたはがん細胞成長を阻害するという特性を有する薬剤(例えば、米国特許公開番号20150218274、および同様にhttp://chemocare.com/chemotherapy/what-is-chemotherapy/types-of-chemotherapy.aspxに開示されるもの)を含む。これらの薬剤としては、抗微小管薬剤(例えば、タキサンおよびビンカ・アルカロイド)、トポイソメラーゼ阻害剤および代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ(例えば、ゲムシタビンのように作用する))、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、アントラサイクリン、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉し得る薬剤、アポトーシスを促進する楽剤、プロテアソーム阻害剤などが挙げられるが、これらに限定されない。.
【0118】
アルキル化剤は、細胞の静止期において最も活性である。これらのタイプの薬物は、細胞周期非特異的である。本発明のSGRMと組み合わせて使用され得る例示的なアルキル化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune.TM.)、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))。さらなる例示的なアルキル化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-Dとしても公知であり、Cosmegen(登録商標));メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタードとしても公知であり、Alkeran(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知であり、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)およびMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても公知であり、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても公知であり、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQ);クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても公知であり、DTIC-Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知であり、Hexalen(登録商標));イホスファミド(Ifex(登録商標));プレドニムスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチンおよび塩酸メクロレタミン(mechloroethamine
hydrochloride)としても公知であり、Mustargen(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホルアミド(thiophosphoamide)、TESPAおよびTSPAとしても公知であり、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));ならびにベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))。
【0119】
抗腫瘍抗生物質は、土壌真菌Streptomycesの種によって生成される天然生成物から得られる化学剤(chemo agent)である。これらの薬物は、細胞周期の複数の相の間に作用し、細胞周期特異的であると考えられる。抗腫瘍抗生物質にはいくつかのタイプがあり、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、およびイダルビシン)、クロモマイシン(例えば、ダクチノマイシンおよびプリカマイシン)、マイトマイシンおよびブレオマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
代謝拮抗物質は、細胞周期特異的である化学療法処置のタイプである。その細胞が、これらの代謝拮抗物質(antimetabolite substance)を細胞代謝の中に組み込む場合、それらは分裂できない。これらのクラスの化学療法剤としては、葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート);ピリミジンアンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン(Foxuridine)、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン);プリンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン);アデノシンデアミナーゼインヒビター(例えば、クラドリビン、フルダラビン、ネララビンおよびペントスタチン)が挙げられる。
【0121】
本発明のSGRMと組み合わせて使用され得る例示的なアントラサイクリンとしては、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(Lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(ダウノルビシン塩酸塩、ダウノマイシン、およびルビドマイシン塩酸塩、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence);イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシン(Desacetylravidomycin)が挙げられる。
【0122】
抗微小管薬剤としては、ビンカ・アルカロイドおよびタキサンが挙げられる。本発明のSGRMと組み合わせて使用され得る例示的なビンカ・アルカロイドとしては、ビノレルビン酒石酸塩(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(ビンブラスチン硫酸塩、ビンカロイコブラスチンおよびVLBとしても公知であり、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標));およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のSGRMと組み合わせて使用され得る例示的なタキサンとしては、パクリタキセルおよびドセタキセルが挙げられるが、これらに限定されない。パクリタキセル薬剤の非限定的な例としては、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(Abraxis BioscienceによってABRAXANEとして市場に出ている「nab-パクリタキセル」)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Protargaによって市場に出されているTaxoprexin)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、Cell Therapeuticによって市場に出されているXYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)、ANG105(ImmunoGenによって市場に出されている、パクリタキセルの3分子に結合したAngiopep-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル;Liら, Biopolymers (2007) 87:225-230を参照のこと)、およびグルコース結合体化パクリタキセル(例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート、Liuら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2007) 17:617-620を参照のこと)が挙げられる。
【0123】
本発明のSGRMと組み合わせて使用され得る例示的なプロテアソームインヒビターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ボルテゾミブ(Velcade.RTM.);カルフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N--((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド-o)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI-0052);イキサゾミブシトレート(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(-2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)。
【0124】
いくつかの実施形態において、その化学療法剤は、以下からなる群より選択される:クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ストレプトゾシン、カルムスチン、ロムスチン、ベンダムスチン、ウラムスチン、エストラムスチン、カルムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、マンノスルファン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、チオテパ、アルトレタミン、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、ペメトレキセド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、SN-38、ARC、NPC、カンプトテシン、トポテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ルビフェン、ギマテカン(gimatecan)、ジフロモテカン(diflomotecan)、BN80927、DX- 895 If、MAG-CPT、アムサクリン、エトポシド、エトポシドホスフェート、テニポシド、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、accatin III、10-デアセチルタキソール、7-キシロシル-10-デアセチルタキソール、セファロマンニン、10-デアセチル-7-エピタキソール、7-エピタキソール、10-デアセチルバッカチンIII、10-デアセチルセファロマンニン、ゲムシタビン、イリノテカン、アルブミン結合パクリタキセル、オキサリプラチン、カペシタビン、シスプラチン、ドセタキセル、イリノテカンリポソーム、およびエトポシド、ならびにこれらの組み合わせ。
【0125】
ある種の実施形態において、その化学療法剤は、経験的最適化を条件として、米国食品医薬品局(FDA)または他の規制当局が承認する用量およびスケジュールによってガイドされ得る用量およびスケジュールにおいて投与される。いくつかの場合には、その化学療法剤は、約100~1000mg、例えば、約200mg~800mg、約300mg~700mg、または約400mg~600mg、例えば、約200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、または700mgの用量で投与される。その投与スケジュールは、例えば、毎週、5日ごと、4日ごと、1日おきから毎日、1日に2回または1日に3回まで変動し得る。一実施形態において、その化学療法剤は、毎日約100mg~600mg、例えば、処置期間の全体または一部にわたって、毎日、1日おきまた
は4日おきに、約100mg、200mg、260mg、300mg、400mgまたは600mgの経口用量または静脈内用量で投与される。いくつかの実施形態において、その化学療法剤はタキサンであり、本発明の方法に従って、任意の標準的用量(例えば、FDAによって承認されたもの)で使用され得る。種々の実施形態において、そのタキサンはnab-パクリタキセルであり、これは、80mg~125mg/平方メートル体表面積の範囲の用量で、静脈内注入として、28日サイクルごとに、1日目、8日目および15日目に、30分間にわたって投与される。
【0126】
なおさらなる実施形態において、1より多くの化学療法剤は、処置期間の全体または一部の間に、同時に、または任意の順序において逐次的に投与され得る。その2種の薬剤は、同じまたは異なる投与レジメンに従って投与され得る。
【0127】
I.併用療法
SGRMと化学療法剤との種々の組み合わせ(またはこのような薬剤および化合物の組み合わせ)は、患者において腫瘍負荷を低減するために使用され得る。「併用療法」または「と組み合わせて」とは、治療剤が同時に投与されなければならないおよび/または一緒に送達するために製剤化されなければならないことを意味することは意図されないが、これらの送達方法は、本明細書で記載される範囲内である。そのSGRMおよび化学療法剤は、同じまたは異なる投与レジメンに従って投与され得る。いくつかの実施形態において、そのSGRMおよび化学療法剤は、処置期間の全体または一部の間に、任意の順序において逐次的に投与される。いくつかの実施形態において、そのSGRMおよび抗がん剤は、同時にまたはほぼ同時に(例えば、互いに約1分、5分、10分、15分、20分、または30分以内に)投与される。併用療法の非限定的な例は、以下のとおりであり、そのSGRMおよび化学剤(chemo agent)の投与に伴って、例えば、SGRMは、「A」であり、抗がん剤、または化学療法レジメンの一部として与えられる化合物は、「B」である:
【0128】
A/B/AB/A/BB/B/AA/A/BA/B/BB/A/AA/B/B/B B/A/B/B
【0129】
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A
B/B/A/A
【0130】
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A
A/A/B/A
【0131】
患者へのその治療化合物または治療剤の投与は、その治療の毒性(あるとすれば)を考慮に入れて、このような化合物の投与の一般的プロトコルに従う。外科的介入がまた、その記載される治療と組み合わせて適用され得る。
関与する本発明の方法は(The present methods involvin)、他の処置手段(例え
ば、外科手術、放射線療法、標的化治療、免疫療法、成長因子阻害剤、または抗血管新生因子の使用)と併用され得る。
【0132】
J.腫瘍負荷の低減における改善の評価
本明細書で開示されるSGRM治療は、腫瘍負荷を低減し得、がん性腫瘍を有する患者に有益な臨床転帰を与え得る。これらの応答を測定するための方法は、がん治療の分野における当業者に周知である(例えば、ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/docs/recist_guideline.pdfで入手可能な、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (「RECIST」)ガイドラインに記載されるとおり)。
【0133】
1つのアプローチでは、その腫瘍負荷は、腫瘍特異的生体マーカーの発現をアッセイすることによって測定される。このアプローチは、転移性腫瘍に関して特に有用である。腫瘍特異的生体マーカーは、がん細胞に特有であるかまたは非がん細胞と比較した場合に、それらマーカーにおいて存在量が遙かに多い、タンパク質または他の分子である。子宮頸がんを同定するために有用であると考えられる生体マーカーとしては、例えば、αアクチニン-4。ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2など(例えば、Van Raemdonckら, PLoS One September 2014, http://dx.doi.org/10.1371/jounal.pone.0160488を参照のこと)が挙げられる。
【0134】
腫瘍特異的遺伝子マーカーの発現レベルを測定するための方法は、周知である。いくつかの実施形態において、遺伝子マーカーのmRNAは、血液サンプルまたは腫瘍組織から単離され、リアルタイム逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、その遺伝子マーカーの発現を定量するために行われる。いくつかの実施形態において、ウェスタンブロットまたは免疫組織化学分析を行って、その腫瘍特異的遺伝子マーカーのタンパク質発現を評価する。代表的には、その腫瘍特異的遺伝子マーカーのレベルは、本発明の併用療法の経時的に採取した複数のサンプルにおいて測定され、レベルの減少は、腫瘍負荷における低減と相関する。
【0135】
別のアプローチでは、本明細書で開示される併用療法による腫瘍負荷の低減は、身体における腫瘍サイズの低減またはがんの量の低減によって示される。腫瘍サイズの測定は、代表的には、画像化ベースの技術によって達成される。例えば、コンピューター断層撮影(CT)スキャンは、腫瘍収縮もしくは腫瘍成長のみならず、既存の病変における成長または新たな病変もしくは腫瘍転移の発生のいずれかを同定することによる疾患の進行についても、正確かつ信頼性の高い解剖学的情報を提供し得る。
【0136】
なお別のアプローチでは、腫瘍負荷の低減は、機能および代謝画像化技術によって評価され得る。これらの技術は、灌流、酸素化、および代謝における変更を観察することによる治療応答のより早期の評価を提供し得る。例えば、18F-FDG PETは、放射標識グルコースアナログ分子を使用して、組織代謝を評価する。腫瘍は代表的には、グルコースの上昇した取り込みを有し、腫瘍組織代謝における減少に相当する値の変化は、腫瘍負荷の低減を示す。類似の画像化技術は、Kangら, Korean J. Radiol. (2012) 13(4) 371-390に開示される。
【0137】
本明細書で開示される治療を受ける患者は、腫瘍負荷低減の種々の程度を示し得る。いくつかの場合には、患者は、完全奏効(CR)(「疾患の証拠なし(no evidence of disease)(NED)」ともいわれる)を示し得る。CRは、全ての検出可能な腫瘍が、検査、身体検査およびスキャンによって示されるように消失していることを意味する。いくつかの場合には、本明細書で開示される併用療法を受ける患者は、部分奏効(PR)を経験し得、これは、概して、全腫瘍容積において少なくとも50%に相当するが、いくらかの残存疾患がなお留まっているという証拠もある。いくらかの場合には、深部の部分奏効における残存疾患は、実際には死滅した腫瘍または瘢痕であり得、そのため、PRを有すると分類される数名の患者が、実際にはCRを有し得る。また、処置の間に収縮を示す多くの患者は、継続した処置に伴ってさらなる収縮を示し、CRを達成し得る。いくつかの場合には、併用療法を受ける患者は、僅かな奏効(Minor Response)(MR)を経験し得、これは、概して、全腫瘍容積の25%超であるが、PRになる50%よりは少ない、少量の収縮を意味する。いくつかの場合には、併用療法を受ける患者は、安定な疾患(SD)を示し得、これは、その腫瘍は概して同じサイズのままであるが、少量の成長(代表的には20%または25%未満)または少量の収縮(僅かな奏効が起こらなければ、PR未満のもの。そうであれば、SDは、代表的には25%未満と定義される)のいずれかを含み得ることを意味する。
【0138】
その併用療法からの望ましい有益な結果または望ましい臨床結果としてはまた、例えば、周辺の器官への低減した(すなわち、ある程度まで緩慢にするおよび/または停止させる)がん細胞浸潤;阻害された(すなわち、ある程度まで緩慢にするおよび/または停止させる)腫瘍転移;増加した奏効率(RR);奏効継続期間の増加;そのがんと関連する症状のうちの1もしくはこれより多くをある程度まで軽減;その疾患を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量の減少;その疾患の進行の遅延;ならびに/または患者の生存の長期化ならびに/または改善したクオリティー・オブ・ライフが挙げられ得る。これらの効果を評価するための方法は、周知である、および/または例えば、cancerguide.org/endpoints.htmlおよびRECISTガイドライン(前出)で開示される。
【0139】
本明細書で引用される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、参考として援用されることが具体的にかつ個々に示されるかのように、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0140】
前述の発明が、理解を明瞭にする目的で例証および例示によっていくらか詳細に記載されているとはいえ、ある種の変化および改変が、添付の請求項の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明に対してなされ得ることは、本発明の教示に鑑みて当業者に容易に明らかである。
【実施例0141】
以下の実施例は、例証によって提供されるに過ぎず、限定によって提供されるのではない。当業者は、本質的に類似の結果を生じるように変化または改変され得る、種々の重大でないパラメーターを容易に認識する。
【0142】
実施例1.HepG2チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)アッセイ
以下のプロトコルは、HepG2細胞(ヒト肝臓肝細胞癌細胞株; ECACC, UK)においてデキサメタゾンによるTATの誘導を測定するためのアッセイを記載する。HepG2細胞を、10%(v/v) ウシ胎仔血清; 2mM L-グルタミンおよび1%(v/v) NEAAを補充したMEME培地を使用して、37℃、5%/95%(v/v) CO/空気において培養する。次いで、そのHepG2細胞を計数し、フェノールレッドなしのRPMI 1640、10%(v/v) 活性炭処理FBS(charcoal stripped FBS)、2mM L-グルタミン中で0.125×10 細胞/mlの密度を得るように調節し、200μl中25,000細胞/ウェルで96ウェルの滅菌組織培養マイクロタイタープレートに播種し、37℃、5% COにおいて24時間インキュベートする。
【0143】
次いで、成長培地を除去し、アッセイ培地{フェノールレッドなしのRPMI 1640、2mM L-グルタミン + 10μM フォルスコリン}と交換する。次いで、試験化合物を、100nM デキサメタゾンのチャレンジに対してスクリーニングする。次いで、化合物を、100%(v/v) ジメチルスルホキシド中で10mM ストックから段階的に半対数(half log)希釈する。次いで、8点半対数希釈曲線を生成し、続いて、アッセイ培地へと1:100希釈して、10倍の最終アッセイの化合物濃度をもたらす。これは、0.1% (v/v) ジメチルスルホキシド中に10~0.003μMの範囲に及ぶ化合物濃度の最終アッセイをもたらす。
【0144】
試験化合物を、マイクロタイタープレート中の細胞と、30分間、37℃、5/95(v/v) CO/空気において予めインキュベートし、その後、100nM デキサメタゾンを添加し、次いで、引き続いて20時間にわたって、最適なTAT誘導を可能にする。
【0145】
次いで、HepG2細胞を、プロテアーゼインヒビターカクテルを含む30μlの細胞溶解緩衝液で、15分間、4℃において溶解する。次いで、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に5.4mM チロシンナトリウム塩、10.8mM αケトグルタレートおよび0.06mM ピリドキサール5’リン酸を含む155μlの基質混合物を添加し得る。37℃で2時間のインキュベーション後、その反応物を、15μlの10M 水酸化カリウム水性溶液を添加することによって終了させ得、そのプレートを、さらに30分間、37℃においてインキュベートし得る。そのTAT活性生成物を、λ340nmでの吸光度によって測定し得る。
【0146】
IC50値を、化合物濃度に対して%阻害(100nM デキサメタゾン TAT刺激に対して正規化)をプロットし、そのデータを4パラメーターロジスティック方程式にフィットさせることによって計算し得る。IC50値を、ChengおよびPrusoffの式を使用して、アンタゴニストがデキサメタゾンに関して競合的インヒビターであると想定して、Ki(平衡解離定数)に変換し得る。
【0147】
実施例2.CORT125134およびパクリタキセルの併用療法を使用する、マウスにおいて移植した子宮頸がん腫瘍成長の低減
ヒトHeLa子宮頸がん細胞の懸濁物を、5~6週齢の免疫抑制雌性マウス(Balb/cヌード)の右側腹部に皮下注射した(500万個の細胞/マウス)。腫瘍を、それらが容積100~200mmに達するまで成長させた。次いで、マウスを5群(10匹/群)に分けた。群1に、パクリタキセルビヒクル(滅菌食塩水)を静脈内(i.v.)に4日ごとに投与し、CORT125134ビヒクルを経口(p.o.)的に(10% DMSO、0.1% Tween 80および89.9% HPMC(0.5%)、10ml/kg)4日ごとに投与した。群2に、パクリタキセル(7.5mg/kg)i.v.を4日ごとに投与した。群3に、パクリタキセルi.v.を4日ごとに、およびCORT125134(30mg/kg)p.o.をパクリタキセル投与の前日およびパクリタキセル投与の同日に投与した。群4に、パクリタキセル(15mg/kg)i.v.を4日ごとに与えた。群5に、パクリタキセル(15mg/kg)i.v.を4日ごとに、およびCORT125134(30mg/kg)p.o.をパクリタキセル(15mg/kg)i.v.投与の前日および当日に与えた。
【0148】
その腫瘍の最長直径(L)および最短直径(S)を1週間3回、電子式カリパスで測定し、腫瘍容積を、楕円体に関する式:S×L×(0.5)を使用して計算した。その腫瘍成長データを、図1に示す。図1では、各マウス群の平均腫瘍容積を、処置の開始以来の腫瘍成長の日数に対してプロットする。表1は、結果のまとめを提供する。全ての処置は、ビヒクル単独と比較して利益を提供する。パクリタキセルとCORT125134との組み合わせは、パクリタキセルのいずれの用量に関してもパクリタキセル単独より有効である。
【表1】
【0149】
実施例2.パクリタキセルと組み合わせたCORT125134でのトリプルネガティブ乳がん外植片の処置
MDA-MB-231細胞(1000万個の細胞/マウス)を、雌性Balb/cヌードマウスの群において右側の乳腺脂肪パッドに同所性に注射した。その腫瘍が容積100~200mmに達したときに、そのマウスを10匹の群へと無作為化し、処置を開始した。マウスを以下のとおりに処置した:群1に、ビヒクルを毎日与え、群2に、パクリタキセル5mg/kg i.v.を4日ごとに与え、群3に、パクリタキセル5mg/kg i.v.を4日ごとにおよびCORT125134 30mg/kg p.o.を毎日与えた。腫瘍容積を、カリパスを使用して1週間に3回二次元で測定し、その容積を、式V=0.5a×b2(ここでaおよびbは、それぞれ、その腫瘍の長径および短径である)を使用してmm単位で表した。投与を、28日間継続したが、状態がよくないか、または3000mmを超える腫瘍を有するマウスはどれも、終了した。2群間を比較するために、独立サンプルt検定を使用した;3群またはこれより多くの群の間で比較するために、一元配置ANOVAを行い、次に、多重比較法を行った。p値<0.05を、統計的に有意と見做した。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)マウス異種移植片モデルにおけるパクリタキセルと組み合わせたCORT125134の効果を、図2に示す。データは、平均+SEMを表す。5mg/kgの用量のパクリタキセルの投与は、このモデルでは有効でなく、ビヒクル処置マウスと比較して、pは有意でなかった。パクリタキセルおよびCORT125134の組み合わせは、ビヒクル処置マウスと比較して(p<0.05)、またはパクリタキセル単独の使用と比較して(p<0.05)、腫瘍成長の有意な阻害を達成した。
【0150】
実施例3.ゲムシタビン/カルボプラチンと組み合わせたCORT125134による卵巣がん外植片の処置
卵巣がんマウス異種移植片モデルにおけるゲムシタビン/カルボプラチンと組み合わせたCORT125134の効果は、1群あたり10匹のマウスの群の結果を表す図3に示す。CORT125134を、43日目、44日目、50日目および51日目に腹腔内(i.p.)投与し、ゲムシタビン/カルボプラチンを、44日目および51日目にi.p.投与した。データは、平均値を表す。SK-OV-3細胞(500万個の細胞/マウス)を、雌性Balb/cヌードマウスの右側腹部に注射した。腫瘍が容積200mmに達したときに、そのマウスを10匹の群へと無作為化し、処置を開始した。マウスを以下のとおり処置した:群1に、1日目、2日目、8日目および9日目の投与の際に、ビヒクルを与えた。群2に、2日目および9日目の投与の際に、ゲムシタビン(80mg/kg
i.p.)およびカルボプラチン(15mg/kg i.p.)を与え、群3に、群2と同じレジメンでゲムシタビン/カルボプラチンを、1日目、2日目、8日目および9日目の投与の際に、+CORT125134(20mg/kg i.p.)を与えた。腫瘍容積を、1週間に3回測定し、腫瘍容積を上記で詳述されるように計算した。状態がよくないか、または2000mmを超える腫瘍を有するマウスはどれも、終了した。その結果を、上記の実施例2に示されるように分析した。これらの用量でのゲムシタビン/カルボプラチンの投与は、SK-OV-3モデルにおいて有効でなかった(ビヒクル処置マウスに対してp=NS)。ゲムシタビン/カルボプラチンとCORT125134との組み合わせは、ビヒクルと比較して(p<0.001)、およびカルボプラチン/ゲムシタビンと比較して(p<0.01)、腫瘍成長の有意な阻害を達成した。
【0151】
実施例4.去勢マウスにおけるcort125134による前立腺がん外植片の処置
前立腺がん(CRPC)マウス異種移植片モデルにおける去勢と組み合わせたCORT125134の効果を、図4に示す。22Rv1細胞(1000万個の細胞/マウス)を、雄性Balb/cヌードマウスの右側腹部に注射した。その腫瘍が容積100~200mmに達したときに、そのマウスを、10匹の群へと無作為化し、次いで、3群のうちの2群に去勢を行った。処置を、去勢の翌日に以下のように開始した:群1(去勢していない)に、ビヒクルを与え、群2(去勢した)にビヒクルを与え、群3(去勢した)に、21日間毎日、CORT125134 30mg/kgを経口(p.o.)で与えた。腫瘍容積を、先に記載されたように1週間に3回測定した。状態がよくないか、または3000mmを超える腫瘍を有するマウスはどれも、終了した。その結果を、上記の実施例2に示されるように分析した。データは、平均+SEMを表す。去勢したマウスは、去勢しなかったマウスと比較して、低減した腫瘍成長を示した(p<0.0001)。去勢したマウスへのCORT125134の投与はまた、去勢しなかったマウスと比較して、腫瘍成長を阻害した(p<0.0001)。去勢およびCORT125134の組み合わせは、去勢単独より有効であった(p<0.05)。
【0152】
実施例5.SGRMおよび化学療法剤による子宮頸がんを有する患者の処置
68歳の女性患者は、上腹部痛を訴えている。彼女は、食欲減退、悪心および嘔吐のエピソード、ならびに顕著な体重減少を経験している。CTスキャンによれば、子宮頸部に腫瘍があると疑われることが示される。その疑われる腫瘍は、組織分析によってがん性腫瘍であることが確認される。その患者は、8週間にわたって1日に1回200mgの用量のCORT125134と、28日間のサイクルごとに1日目、8日目および15日目に、30分間にわたって静脈内注入物として80mg/平方メートル体表面積の用量のnab-パクリタキセルの静脈内注入とを組み合わせて処置する。腫瘍負荷を、処置前、処置中および処置後に増強MRIを用いてモニターする。その画像化は、腫瘍サイズが減少しつつあり、かつその低減が、処置期間の最後には50%より高いことを示す。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
がん性腫瘍を抱えている被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の化学療法剤および有効量の非ステロイド系選択的グルココルチコイドレセプターモジュレーター(SGRM)を投与して、該がん性腫瘍の腫瘍負荷を低減することを包含する方法。
(項目2)
がん性腫瘍は、子宮頸がん腫瘍である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記化学療法剤は、タキサン、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗物質、有糸分裂阻害剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記化学療法剤はタキサンである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記化学療法剤は、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチンおよびカペシタビンからなる群より選択される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記グルココルチコイドレセプターモジュレーター骨格は、縮合アザデカリンである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記縮合アザデカリンは、以下の式:
【化16】

を有する化合物、またはその塩および異性体であり、式中
およびLは、結合および置換されていないアルキレンから独立して選択されるメンバーであり;
は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-OR1A、NR1C1D、-C(O)NR1C1D、および-C(O)OR1Aから選択されるメンバーであり、式中
1Aは、水素、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
1CおよびR1Dは、置換されていないアルキルおよび置換されていないヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、
ここでR1CおよびR1Dは、必要に応じて結合して、これらが結合される窒素とともに、置換されていない環を形成し、ここで該環は、必要に応じて、さらなる環窒素を含み;
は、式:
【化17】

を有し、式中
2Gは、水素、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、-CN、および-CFから選択されるメンバーであり;
Jは、フェニルであり;
tは、0~5の整数であり;
Xは、-S(O)-であり;そして
は、1~5個のR5A基で必要に応じて置換されたフェニルであり、ここで
5Aは、水素、ハロゲン、-OR5A1、S(O)NR5A25A3、-CN、および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、式中
5A1は、水素および置換されていないアルキルから選択されるメンバーであり、そして
5A2およびR5A3は、水素および置換されていないアルキルから独立して選択されるメンバーである、
項目6に記載の方法。
(項目8)
前記縮合アザデカリンは、
【化18】

である、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記グルココルチコイドレセプターモジュレーター骨格は、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンである、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、式:
【化19】

またはその塩および異性体を有し、式中
は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;
各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで該ヘテロシクロアルキル環およびヘテロアリール環は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3-8シクロアルキル、およびC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該ヘテロシクロアルキル基は、必要に応じて、1~4個のR2c基で置換されるか;
あるいは、同じ炭素に連結された2個のR基は化合して、オキソ基(=O)を形成するか;
あるいは、2個のR基は化合して、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで該ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2d基で置換され;
2aおよびR2bは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;
各R2cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、CN、およびNR2a2bからなる群より独立して選択され;
各R2dは、水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはその同じ環原子に結合した2個のR2d基は化合して、(=O)を形成し;
は、各々必要に応じて、1~4個のR3a基で置換された、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;
各R3aは、水素、ハロゲン、およびC1-6ハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
下付きのnは、0~3の整数である、
項目9に記載の方法。
(項目11)
前記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、
【化20】

である、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記オクタヒドロ縮合アザデカリンは、式:
【化21】

またはその塩および異性体を有し、式中
は、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有し、必要に応じて、各々R1aから独立して選択される1~4個の基で置換されたヘテロアリール環であり;
各R1aは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、およびC3-8シクロアルキルからなる群より独立して選択され;
環Jは、アリール環、ならびに5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;
各Rは、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、CN、OH、NR2a2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2a2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2a、C3-8シクロアルキル、ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;
あるいは、隣接する環原子上の2個のR基は化合して、5~6個の環員ならびに各々N、OおよびSからなる群より独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで該ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、1~3個のR2c基で置換され;
2a、R2bおよびR2cは、各々水素およびC1-6アルキルからなる群より独立して選択され;
各R3aは、独立して水素であり;そして
下付きのnは、0~3の整数である、
項目9に記載の方法。
(項目13)
前記オクタヒドロ縮合アザデカリンは、式:
【化22】

を有する、項目9に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】