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<図1>
  • -ミル及びその支持具 図1
  • -ミル及びその支持具 図2
  • -ミル及びその支持具 図3
  • -ミル及びその支持具 図4
  • -ミル及びその支持具 図5
  • -ミル及びその支持具 図6
  • -ミル及びその支持具 図7
  • -ミル及びその支持具 図8
  • -ミル及びその支持具 図9
  • -ミル及びその支持具 図10
  • -ミル及びその支持具 図11
  • -ミル及びその支持具 図12
  • -ミル及びその支持具 図13
  • -ミル及びその支持具 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085580
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ミル及びその支持具
(51)【国際特許分類】
   A47J 42/04 20060101AFI20220601BHJP
   B02C 7/18 20060101ALI20220601BHJP
   A47J 43/04 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A47J42/04
B02C7/18
A47J43/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197337
(22)【出願日】2020-11-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】320012200
【氏名又は名称】今永 大二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】今永 大二郎
【テーマコード(参考)】
4B053
4D063
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053BB01
4B053BD12
4D063FF14
4D063GA03
4D063GA10
4D063GC05
4D063GC23
4D063GD02
4D063GD04
4D063GD12
(57)【要約】
【課題】 過剰破砕による微紛化を防止するとともに、破砕効率をより高くし得るミル、及び当該ミルにて破砕された被破砕物を収納器に効率的に収納すべく、ミルを支持する支持具を提供する。
【解決手段】 収納部2内へ投入された被破砕物は、外刃部材7に複数設けられた第1凹部内へ落下し、各第1凹部にそれぞれ設けられた第1外刃と、内刃部材6に設けられた複数の第1内刃との交差によって、破砕される。このとき、第1外刃と第1内刃との交差位置は、外刃部材7が回転するのに伴って、破砕部3の出側から入側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物は各第1凹部内で舞い上げられ、一部はその粒径に応じて、外刃部材7に複数設けられた各第2凹部、各第3凹部、各第4凹部、各第5凹部へ漸次移動する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の内刃本体の内周面に周方向と交わる方向へ突設した複数の内刃を、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる内刃部材と、内刃本体内に挿入された柱状の外刃本体の周面に、前記内刃と交差する複数の外刃を、外刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる外刃部材と、前記外刃本体にその回転軸上に固定したシャフトとを備え、該シャフトによって外刃部材を所定方向へ回転させるように構成してなり、内刃本体及び外刃本体の一端側である入側に投入された被破砕物を前記内刃と外刃とで挟んでこれを破砕し、内刃本体及び外刃本体の出側から排出するようになしたミルにおいて、
前記外刃本体の周面には、その頂点を外刃本体の出側端縁に位置させ、外刃本体の中心軸と平行な中心軸を有する半円錐形状の部分を有し、大きさが相対的に異なる複数種類の凹部が、周方向へ複数、互いに相隣らせて設けてあり、各凹部において、相隣る凹部間を隔てる一対の隔壁であって、半円錐形状の斜辺に対応する部分の内、外刃部材の回転方向側とは反対側の部分をそれぞれ外刃になしてあり、また、外刃本体の入側端面には、所定凹部に連通し被破砕物を受入れるための受口が設けてあることを特徴とするミル。
【請求項2】
外刃本体の出側端縁を頂点とし、外刃本体の入側端縁に亘って半円錐形状になした複数の第1凹部が、外刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてあり、
少なくとも、
相隣る第1凹部の間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第2凹部が設けてあり、
相隣る第1凹部と第2凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第3凹部が設けてある
請求項1記載のミル。
【請求項3】
外刃本体の外径に応じて更に、
相隣る第1凹部と第3凹部との間、又は相隣る第2凹部と第3凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第4凹部が設けてあり、
相隣る第1凹部と第4凹部との間、相隣る第2凹部と第4凹部との間、又は相隣る第3凹部と第4凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第4凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした、若しくは外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第5凹部が設けてある
請求項2記載のミル。
【請求項4】
前記内刃部材には、内刃本体の中心軸と平行をなす軸に対して前記外刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第1内刃が設けてある請求項1から3のいずれかに記載のミル。
【請求項5】
前記第1内刃は、内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から入側縁まで延設してあり、
内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から出側縁までの領域には、前記軸に対して第1内刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第2内刃が、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて突設してある
請求項4記載のミル。
【請求項6】
前記外刃本体の出側端縁の部分は、端縁に向かうに従って漸次縮経するテーパ部になしてある請求項1から5のいずれかに記載のミル。
【請求項7】
前記内刃本体の出側端面には、回転駆動される外刃本体の出側から排出される被破砕物に当接して、これを外刃本体の表面から除去する複数の除去用凸部が内刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてある請求項1から6のいずれかに記載のミル。
【請求項8】
前記内刃部材及び外刃部材の入側に、被破砕物を収納する筒状の収納部が配設してあり、前記内刃本体は収納部の一端縁に着脱可能に連結してあり、収納部内には前記シャフトをその長手方向へ進退可能に受ける受け部が設けてあり、シャフトを後退させた場合、該シャフトが固定された外刃部材が収納部内に格納されるように構成してある請求項1から5のいずれかに記載のミル。
【請求項9】
前記シャフトの外刃本体とは反対の端部側に、シャフトの収納部から垂下される部分の長さを調整するための垂下長調整領域が螺設してあり、該垂下長調整領域の外周面には、前記受け部に当接して、調整した垂下長の位置を保持するための保持具が螺合してある請求項8記載のミル。
【請求項10】
前記保持具は、当該保持具がシャフト周りに回転することを禁止する環状の禁止部材と、該禁止部材と噛合する環状の噛合部材と、該噛合部材との間に前記禁止部材を挟持する環状の挟持部材とを具備しており、
前記シャフトの垂下長調整領域には、シャフトの中心軸と平行をなす縦溝が凹設してあり、
前記禁止部材には前記縦溝に内嵌する第1突起部、及び、前記噛合部材に噛合する第2突起部が設けてあり、
前記噛合部材の禁止部材に対向する部分には、前記第2突起部が嵌入し得るようになした複数の嵌合部が噛合部材の周方向へ適宜の距離を隔てて設けてあり、
噛合部材及び挟持部材はシャフトの垂下長調整領域に螺着してあり、禁止部材はシャフトの垂下長調整領域に遊嵌してある
請求項9記載のミル。
【請求項11】
前記シャフトの長手方向の適宜位置には凸部が設けてあり、
前記受け部の内周面には、シャフトの凸部が嵌入する溝が受け部の厚さ方向の全域に亘って設けてあり、
シャフトが後退される際に前記凸部が前記溝内を通過し、当該凸部が溝から抜出して受け部に係止し得るように構成してある
請求項8から10のいずれかに記載のミル。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、
所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、
前記第1支持部材には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、
前記第2支持部材の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてある
ことを特徴とする支持具。
【請求項13】
前記第1支持部は両側壁部に着脱可能に固定してある請求項12記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆といった豆類、お茶或は干した小魚といった乾物等の食品、又は、廃材或は食品残渣といった廃棄物等の被破砕物を破砕するためのミル、及び当該ミルを支持するための支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆からコーヒーを抽出するために、ミルによってコーヒー豆を適宜の粒径に破砕する操作が行われている。かかるミルには、次のような機構が開発されている。すなわち、プロペラ状の刃を回転させて、打撃によって豆を破砕するブレードグラインダ、内周面に複数の外刃が螺設された筒体内に、外周面に複数の内刃が螺設された円錐台体を挿入させ、外刃と回転する内刃との間に進入する豆を破砕するコニカルカッタ、それぞれ対向面に複数の刃が放射状に螺設された一対の平板を対向配置してなるフラットカッタ、それぞれ外周面に複数の刃が設けられた円筒状のバーを対向配置してなるロールグラインダである。
【0003】
いま、家庭用のミルに着目すると、後半の2機構のミルは全体のサイズが比較的大きく、場所を占有してしまうため、家庭用としては主に前半2機構のミルが用いられている。
【0004】
ところで、破砕したコーヒー豆からコーヒーを抽出する場合、破砕したコーヒー豆の粒径が均等である程、即ち、破砕時に微粉の発生を抑制し得る程、雑味が少ない清んだ味わいのコーヒーを抽出することができるが、ブレードグラインダのミルにあっては、回転するプロペラ状の刃の打撃によって豆を破砕するため、微粉が発生し易い。
【0005】
これに対して、コニカルカッタのミルにあっては、外刃が設けられた筒体と、内刃が設けられた円錐台体との間隙を適宜に調整することによって、微粉の発生を比較的抑制することができるが、後述する特許文献1には微粉の発生をより抑制し得るミルが開示されている。
【0006】
図14は後記する特許文献1に開示されたミルの要部構成を示す分解斜視図であり、図中、160は後述する複数の内刃161,161,…が内設されたサイドミル、170はサイドミル160に内嵌される外刃ミルである。
【0007】
図14に示したように、外刃ミル170は、円錐台状の外刃ミル本体170aを備えており、外刃ミル本体170aの周面であって上底側の領域には5本の螺旋溝171,171,…が連続的に、外刃ミル本体170aの周面を5等分する様態で設けてある。これによって、外刃ミル本体170aの上底側端面は、平断面視が星形状を呈しており、相隣る螺旋溝171,171、171,171、…間の境界によってカッター刃171a,171a,…が形成されている。一方、外刃ミル本体170aの周面であって下底側の領域には、螺旋溝171と平行をなす細溝3本を一対とする5対の細溝群172,172,…が、前記螺旋溝171,171,…の出側に対応する位置に、周方向へ互いに所定距離を隔てて設けてあり、各細溝群172,172,…を構成する相隣る細溝間の境界によってサブカッター刃172a,172a,172a,172a、172a,172a,172a,172a、…が形成されている。
【0008】
一方、サイドミル160は、前記外刃ミル本体170aの高さ寸法と略同じ高さ寸法の円筒状のサイドミル本体160aの上端にフランジ部160bを設けて構成されている。サイドミル本体160aの内側には、サイドミル本体160aの高さ方向の略全長に亘る縦長帯状の6本の内刃161,161,…が、サイドミル本体160aの周方向へ所定の間隔で突設してあり、各内刃161,161,…は、サイドミル本体160aの中心軸から各内刃161,161,…までの寸法が、当該中心軸のフランジ部160b側の位置からフランジ部160bとは反対側の位置に向かうに連れて大きくなしたテーパ状になしてある。
【0009】
このようなサイドミル160及び内刃161を備えるミルにあっては、外刃ミル本体170aの螺旋溝171,171,…内に落下したコーヒー豆が、一方向へ回転駆動される外刃ミル本体170aのカッター刃171a,171a,…と、サイドミル160の内刃161,161,…とによって中程度の粒度まで破砕された後、遠心力によって螺旋溝171,171,…から対応する細溝群172,172,…へ移送され、そこで外刃ミル本体170aのサブカッター刃172a,172a,172a,172a、172a,172a,172a,172a、…と、サイドミル160の内刃161,161,…とによって所要粒度まで破砕される。このとき、前述した如くサイドミル160の内刃161,161,…はサイドミル本体160aの周方向へ互いに距離を隔てて設けてあり、外刃ミル本体170aのサブカッター刃172a,172a,172a,172a、172a,172a,172a,172a、…は、対応する細溝群172,172,…毎に、外刃ミル本体170aの周方向へ互いに距離を隔てて設けてあるため、螺旋溝171,171,…、及び細溝群172,172,…を構成する各細溝内に破砕された豆が充満することが抑制され、これによって豆が微紛化することを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9-173222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来のミルにあっては、前述した如く、サイドミル160の内刃161,161,…はサイドミル本体160aの周方向へ互いに距離を隔てて設けてあり、外刃ミル本体170aのサブカッター刃172a,172a,172a,172a、172a,172a,172a,172a、…は、対応する細溝群172,172,…毎に、外刃ミル本体170aの周方向へ互いに距離を隔てて設けてあるため、外刃及び内刃の総数が相対的に少なく、従って破砕効率が低いという問題があった。また、細溝群172,172,…を構成する各細溝内に破砕された豆が充満することをある程度抑制することはできるものの、各細溝内の破砕物を細溝内から排出させる外力は外刃ミル170からの遠心力及び重力だけであるため、螺旋溝171,171,…から対応する細溝群172,172,…へ大量の破砕物が移動された場合、細溝内で破砕物による目詰まりが生起し、当該細溝における過剰破砕によって微紛化が生じてしまう。
【0012】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、過剰破砕による微紛化を防止するとともに、破砕効率をより高くし得るミル、及び当該ミルにて破砕された被破砕物を収納器に効率的に収納すべく、ミルを支持する支持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係るミルは、円筒状の内刃本体の内周面に周方向と交わる方向へ突設した複数の内刃を、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる内刃部材と、内刃本体内に挿入された柱状の外刃本体の周面に、前記内刃と交差する複数の外刃を、外刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる外刃部材と、前記外刃本体にその回転軸上に固定したシャフトとを備え、該シャフトによって外刃部材を所定方向へ回転させるように構成してなり、内刃本体及び外刃本体の一端側である入側に投入された被破砕物を前記内刃と外刃とで挟んでこれを破砕し、内刃本体及び外刃本体の出側から排出するようになしたミルにおいて、前記外刃本体の周面には、その頂点を外刃本体の出側端縁に位置させ、外刃本体の中心軸と平行な中心軸を有する半円錐形状の部分を有し、大きさが相対的に異なる複数種類の凹部が、周方向へ複数、互いに相隣らせて設けてあり、各凹部において、相隣る凹部間を隔てる一対の隔壁であって、半円錐形状の斜辺に対応する部分の内、外刃部材の回転方向側とは反対側の部分をそれぞれ外刃になしてあり、また、外刃本体の入側端面には、所定凹部に連通し被破砕物を受入れるための受口が設けてあることを特徴とする。
【0014】
本発明のミルにあっては、円筒状の内刃本体の内周面に周方向と交わる方向へ突設した複数の内刃を、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる内刃部材と、内刃本体内に挿入された柱状の外刃本体の周面に、前記内刃と交差する複数の外刃を、外刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて配してなる外刃部材と、前記外刃本体にその回転軸上に固定したシャフトとを備えている。そして、シャフトによって外刃部材を所定方向へ回転させ、内刃本体及び外刃本体の一端側である入側に投入された被破砕物を前記内刃と外刃とで挟んでこれを破砕し、内刃本体及び外刃本体の出側から排出するようになしてある。
【0015】
前述した外刃本体の周面には、その頂点を外刃本体の出側端縁に位置させ、外刃本体の中心軸と平行な中心軸を有する半円錐形状の部分を有し、縦断面面積たる大きさが相対的に異なる複数種類の凹部が、周方向へ複数、互いに相隣らせて設けてある。そして、各凹部において、相隣る凹部間を隔てる一対の隔壁であって、半円錐形状の斜辺に対応する部分の内、外刃部材の回転方向側とは反対側の部分をそれぞれ外刃になしてある。一方、外刃本体の入側端面には、所定凹部に連通し被破砕物を受入れるための受口が設けてある。
【0016】
このようなミルでは、外刃本体の入側端面に設けられた受口から所定凹部内へ被破砕物が投入され、該被破砕物は、内刃本体の内周面に設けられた複数の内刃との交差によって挟まれ、破砕される。このとき、外刃と内刃との交差位置は、外刃本体が回転するのに伴って、外刃本体及び内刃本体の出側から入側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物は当該凹部内で舞い上げられ、一部はその粒径に応じて相隣る他の凹部へ漸次移動し、移動した他の凹部に設けられた外刃と内刃本体の内周面に設けられた各内刃との交差によって、更に破砕される。そして、各凹内において、被破砕物は、その粒径が相対的に小さくなるに従って、外刃本体及び内刃本体の出側から外へ排出される。これによって、破砕効率を相対的に高くすることが出来る。
【0017】
また、各凹部内へ移動した被破砕物はそこで破砕される一方、破砕された被破砕物が各凹部内で舞い上げられるため、当該凹部の内部では被破砕物同士が圧接されずに、被破砕物同士間に隙間が生じた状態が保たれる。これによって、被破砕物が過度に破砕されることが防止され、被破砕物の微紛化を回避して、より均一な粒径の被破砕物を生成することができる。
【0018】
(2)本発明に係るミルは、外刃本体の出側端縁を頂点とし、外刃本体の入側端縁に亘って半円錐形状になした複数の第1凹部が、外刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてあり、少なくとも、相隣る第1凹部の間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第2凹部が設けてあり、相隣る第1凹部と第2凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第3凹部が設けてあることを特徴とする。
【0019】
本発明のミルにあっては、外刃本体の出側端縁を頂点とし、外刃本体の入側端縁に亘って半円錐形状になした複数の第1凹部が、外刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてある。前述した受口は第1凹部に連通させてある。
【0020】
また、少なくとも、相隣る第1凹部の間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第2凹部が設けてあり、相隣る第1凹部と第2凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした部分を有する複数の第3凹部が設けてある。
【0021】
このように、相隣る第1凹部の間にそれぞれ第2凹部を形成し、相隣る第1凹部と第2凹部との間にそれぞれ第3凹部を形成することによって、第1凹部で破砕された被破砕物は、より小さい第2凹部、第3凹部へ効率的に順次移動しつつ、第2凹部、第3凹部内で更に破砕されるため、破砕効率を更に高くすることが出来る。
【0022】
(3)本発明に係るミルは、外刃本体の外径に応じて更に、相隣る第1凹部と第3凹部との間、又は相隣る第2凹部と第3凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第4凹部が設けてあり、相隣る第1凹部と第4凹部との間、相隣る第2凹部と第4凹部との間、又は相隣る第3凹部と第4凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第4凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした、若しくは外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第5凹部が設けてあることを特徴とする。
【0023】
本発明のミルにあっては、外刃本体の外径に応じて更に、相隣る第1凹部と第3凹部との間、又は相隣る第2凹部と第3凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第4凹部が設けてあり、相隣る第1凹部と第4凹部との間、相隣る第2凹部と第4凹部との間、又は相隣る第3凹部と第4凹部との間にそれぞれ、外刃本体の出側端縁を頂点とし、第1凹部の隔壁及び第4凹部の隔壁に亘って半円錐形状になした、若しくは外刃本体の出側端縁を頂点とし、第2凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした、又は外刃本体の出側端縁を頂点とし、第3凹部の斜辺に対応する部分の隔壁及び第4凹部の斜辺に対応する部分の隔壁に亘って半円錐形状になした複数の第5凹部が設けてある。
【0024】
このように、外刃本体の外径に応じて更に、第4凹部、第5凹部を形成するため、外刃本体の周面を複数の凹部でより高密度に覆うことができ、破砕効率を更に高くすることが出来る。このとき、相隣る第1凹部と第3凹部との間、又は相隣る第2凹部と第3凹部との間に第4凹部を形成し、また、相隣る第1凹部と第4凹部との間、相隣る第2凹部と第4凹部との間、又は相隣る第3凹部と第4凹部との間に第5凹部を形成するため、破砕が進んだ被破砕物を効率的に第4凹部又は第5凹部へ移動させることができ、全体として破砕効率を向上させることができる。
【0025】
(4)本発明に係るミルは、前記内刃部材には、内刃本体の中心軸と平行をなす軸に対して前記外刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第1内刃が設けてあることを特徴とする。
【0026】
前述したように、相隣る凹部間を隔てる一対の隔壁であって、半円錐形状の斜辺に対応する部分の内、外刃部材の回転方向側とは反対側の部分をそれぞれ外刃になしてある。これに対して、内刃部材には、内刃本体の中心軸と平行をなす軸に対して外刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第1内刃が設けてあり、かかる第1内刃と外刃とによって鋏のように被破砕物を挟んで、効率的にこれを破砕することができる。
【0027】
ここで、第1内刃と外刃との挟み角の角度は適宜に設定することができるが、挟み角が30°±5°に設定した場合、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。
【0028】
(5)本発明に係るミルは、前記第1内刃は、内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から入側縁まで延設してあり、内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から出側縁までの領域には、前記軸に対して第1内刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第2内刃が、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて突設してあることを特徴とする。
【0029】
本発明のミルにあっては、前述した第1内刃は、内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から入側縁まで延設してあり、これによって、前述した如く各凹部内で、被破砕物を舞い上げつつこれを破砕することができる。
【0030】
一方、内刃本体の出側から所定寸法入側の位置から出側縁までの領域には、前記軸に対して第1内刃の傾斜方向とは反対の方向へ傾斜させた複数の第2内刃が、内刃本体の周方向へ適宜距離を隔てて突設してある。かかる第2内刃と前述した外刃との交差位置は、外刃本体が回転するのに伴って、内刃本体及び外刃本体の入側から出側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物には当該出側へ押し出される力が印加される。これによって、被破砕物が過度に破砕されることが防止され、所定の粒度まで破砕された被破砕物が円滑に内刃本体及び外刃本体から排出されるため、より均一な粒径の被破砕物が生成される。
【0031】
(6)本発明に係るミルは、前記外刃本体の出側端縁の部分は、端縁に向かうに従って漸次縮経するテーパ部になしてあることを特徴とする。
【0032】
本発明のミルにあっては、前述した外刃本体の出側端縁の部分は、端縁に向かうに従って漸次縮経するテーパ部になしてあるため、内刃本体及び外刃本体によって破砕された被破砕物は、内刃本体及び外刃本体の出側からより円滑に排出される。従って、被破砕物が過度に破砕されることが防止される。
【0033】
(7)本発明に係るミルは、前記内刃本体の出側端面には、回転駆動される外刃本体の出側から排出される被破砕物に当接して、これを外刃本体の表面から除去する複数の除去用凸部が内刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてあることを特徴とする。
【0034】
本発明のミルにあっては、前述した内刃本体の出側端面に複数の除去用凸部が内刃本体の周方向へ適宜の間隔で設けてあり、各除去用凸部は、回転駆動される外刃本体の出側から排出される被破砕物に当接して、これを外刃本体の表面から除去する。従って、内刃本体及び外刃本体によって破砕された被破砕物は、内刃本体及び外刃本体の出側から更に円滑に排出され、被破砕物が過度に破砕されることが防止される。
【0035】
(8)本発明に係るミルは、前記内刃部材及び外刃部材の入側に、被破砕物を収納する筒状の収納部が配設してあり、前記内刃本体は収納部の一端縁に着脱可能に連結してあり、収納部内には前記シャフトをその長手方向へ進退可能に受ける受け部が設けてあり、シャフトを後退させた場合、該シャフトが固定された外刃部材が収納部内に格納されるように構成してあることを特徴とする。
【0036】
本発明のミルにあっては、前述した内刃部材及び外刃部材の入側に、被破砕物を収納する筒状の収納部が配設してあり、内刃本体は収納部の一端縁に着脱可能に連結してある。従って、収納部の一端縁から内刃本体を脱離させることによって、内刃本体の内外を容易に清掃することができる。
【0037】
このとき、収納部内には前記シャフトをその長手方向へ進退可能に受ける受け部が設けてあり、シャフトを後退させた場合、シャフトが固定された外刃部材が収納部内に格納されるように構成してある。収納部の一端縁から内刃本体を脱離させるに当たって、予め外刃部材を収納部内に格納させておくことによって、外刃本体に設けられた外刃に指等が接触することが回避され、内刃本体を安全に脱離させることができる。
【0038】
また、収納部の一端縁から内刃本体を脱離させた状態で、収納部内に格納された外刃部材を収納部から外へ抜出することによって、外刃部材を容易に清掃することができる。
【0039】
(9)本発明に係るミルは、前記シャフトの外刃本体とは反対の端部側に、シャフトの収納部から垂下される部分の長さを調整するための垂下長調整領域が螺設してあり、該垂下長調整領域の外周面には、前記受け部に当接して、調整した垂下長の位置を保持するための保持具が螺合してあることを特徴とする。
【0040】
本発明のミルにあっては、前記シャフトの外刃本体とは反対の端部側に、シャフトの収納部から垂下される部分の長さを調整するための垂下長調整領域が螺設してあり、この垂下長調整領域の外周面には、シャフトを受ける受け部に当接して、調整した垂下長の位置を保持するための保持具が螺合してある。垂下長調整領域の長手方向における保持具の相対位置を調整することによって、内刃本体とこれに挿入された外刃本体との間隙を調整し、破砕された被破砕物の粒度を調整する。このとき、調整した垂下長の位置が保持部によって保持されるため、前述した如くシャフトが固定された外刃部材を収納部内に格納させた前後において、内刃本体と外刃本体との間隙は一定に保持され、破砕される被破砕物の粒度を一定に保持することができる。
【0041】
(10)本発明に係るミルは、前記保持具は、当該保持具がシャフト周りに回転することを禁止する環状の禁止部材と、該禁止部材と噛合する環状の噛合部材と、該噛合部材との間に前記禁止部材を挟持する環状の挟持部材とを具備しており、前記シャフトの垂下長調整領域には、シャフトの中心軸と平行をなす縦溝が凹設してあり、前記禁止部材には前記縦溝に内嵌する第1突起部、及び、前記噛合部材に噛合する第2突起部が設けてあり、前記噛合部材の禁止部材に対向する部分には、前記第2突起部が嵌入し得るようになした複数の嵌合部が噛合部材の周方向へ適宜の距離を隔てて設けてあり、噛合部材及び挟持部材はシャフトの垂下長調整領域に螺着してあり、禁止部材はシャフトの垂下長調整領域に遊嵌してあることを特徴とする。
【0042】
本発明のミルにあっては、前述した保持具は、当該保持具がシャフト周りに回転することを禁止する環状の禁止部材と、この禁止部材と噛合する環状の噛合部材と、噛合部材との間に禁止部材を挟持する環状の挟持部材と具備している。一方、シャフトの垂下長調整領域には、シャフトの中心軸と平行をなす縦溝が凹設してある。
【0043】
そして、禁止部材には、シャフトの縦溝に内嵌する第1突起部、及び、噛合部材に噛合する第2突起部が設けてあり、第1突起部がシャフトの縦溝に内嵌し、第2突起部が噛合部材に噛合することによって、噛合部材がシャフト周りに回転することが禁止される。この噛合部材の禁止部材に対向する部分には、第2突起部が嵌入し得るようになした複数の嵌合部が噛合部材の周方向へ適宜の距離を隔てて設けてあり、噛合部材をシャフト周りに回転させた場合であっても、いずれかの嵌合部に第2突起部が嵌入し得るようになっている。
【0044】
ここで、噛合部材及び挟持部材はシャフトの垂下長調整領域に螺着してあり、禁止部材はシャフトの垂下長調整領域に遊嵌してある。
【0045】
垂下長調整領域における保持具の相対位置を変更する場合、挟持部材を回転させて禁止部材から離隔させるとともに、禁止部材を噛合部材から離隔させて、嵌合部から第2突起部を抜出させた後、噛合部材を正逆回転させて垂下長調整領域における噛合部材の相対位置を変更する。その状態で、禁止部材を噛合部材に当接させて、第2突起部を嵌合部に嵌合させ、その後、挟持部材を回転させて禁止部材を挟持固定する。
【0046】
これによって、固定部材がシャフト周りに回転することが禁止され、垂下長調整領域における保持具の相対位置が固定される。
【0047】
(11)本発明に係るミルは、前記シャフトの長手方向の適宜位置には凸部が設けてあり、前記受け部の内周面には、シャフトの凸部が嵌入する溝が受け部の厚さ方向の全域に亘って設けてあり、シャフトが後退される際に前記凸部が前記溝内を通過し、当該凸部が溝から抜出して受け部に係止し得るように構成してあることを特徴とする。
【0048】
本発明のミルにあっては、前述したシャフトの長手方向の適宜位置には凸部が設けてあり、収納部内に設けられた受け部の内周面には、シャフトの凸部が嵌入する溝が受け部の厚さ方向の全域に亘って設けてある。シャフトが後退される際に当該シャフトの凸部が受け部の溝内を通過する。そして、凸部を溝から抜出させ、シャフトを回動させることによって、凸部と溝との位置を異ならせ、凸部を受け部に係止させることができる。この場合、前述した如く外刃部材が収納部内に格納されるが、凸部が受け部に係止されることによって、シャフトを開放した場合であっても、外刃部材が落下することが防止される。
【0049】
(12)本発明に係る支持具は、(1)から(11)のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、前記第1支持部材には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、前記第2支持部材の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてあることを特徴とする。
【0050】
本発明の支持具にあっては、(1)から(11)のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、前記第1支持部材には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、前記第2支持部材の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてある。第1支持部の支持孔に(1)から(11)のいずれかに記載のミルを嵌入させる一方、第1支持部の保持孔又は保持凹部に、例えばドリッパー又は保存瓶といった収容器を嵌め込むことによって、収容器とミルとを上下に対向するように配置する。この状態で、ミルをして被破砕物を破砕させることによって、ミルから排出される被破砕物を直接、収容器内へ投下収容することができる。
【0051】
(13)本発明に係る支持具は、前記第1支持部は両側壁部に着脱可能に固定してあることを特徴とする。
【0052】
本発明の支持具にあっては、第1支持部は両側壁部に着脱可能に固定してあり、これによって、収容器に収容された被破砕物に影響を及ぼすことなく、支持具から収容器を脱離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明に係るミルの外観斜視図である。
図2図1に示したミルの分解斜視図である。
図3図1に示したミルの縦断面図である。
図4図1に示したミルの縦断面図である。
図5】外刃部材の拡大斜視図である。
図6】外刃部材の正面図である。
図7】内刃部材の縦断面図である。
図8】破砕部の底面側斜視図である。
図9図2に示した保持具の機能を説明する説明図である。
図10図2に示した保持具の機能を説明する説明図である。
図11】本発明に係るミルの使用様態を説明する説明図である。
図12】本発明に係るミルの使用様態を説明する説明図である。
図13】コーヒー豆が破砕される様態を説明する説明図である。
図14】特許文献1に開示されたミルの要部構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明に係るミルを図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明するミルは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0055】
図1は本発明に係るミルの外観斜視図であり、図中、2はコーヒー豆といった豆類、お茶、又は干した小魚といった乾物等の被破砕物を一時的に収納する収納部、3は収納部2から落下する被破砕物を破砕する破砕部である。また、図2図1に示したミルの分解斜視図、図3及び図4図1に示したミルの縦断面図である。なお、これらの図中、相互に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0056】
図1図3に示した如く、収納部2はドアノブ形筒状に成形してなり、円筒状の頭部20とこれに連なるスカート部30とを備えている。頭部20の天井側開口は半円状の支持板部21でその一部が塞止してあり、頭部20内の中心軸上に配置してあり、収納部2より長い棒状のシャフト5を回転可能に受ける短寸2段円筒状の受け部22が、前記支持板部21によって支持されている。受け部22の一端側は前記支持板部21から突出させて突出部22aにしてあり、この突出部22aの内径は受け部22の他の領域の内径より大きくしてある。また、突出部22aの端部には蓋部材14が着脱可能に外嵌螺着してあり、蓋部材14の中央位置に開設した貫通孔を前記シャフト5の一端側が貫通させてある。
【0057】
受け部22には半環状の開閉扉15が回動自在に取り付けてあり、該開閉扉15によって、頭部20の支持板部21で塞止されていない投入口23が開閉されるようになっている。この開閉扉15の一側縁には摘み部15aが突設してあり、該摘み部15aを把持して開閉扉15を、支持板部21の一縁方向へ回動させて投入口23を開させることによって、投入口23から頭部20内へ被破砕物を投入させ、また、摘み部15aを把持して開閉扉15を反対方向へ、当該摘み部15aが支持板部21の他縁に当接するまで回動させて投入口23を閉させた状態で、頭部20内へ投入された被破砕物を破砕する。
【0058】
前述したシャフト5の一端には、当該シャフト5を回転させるための回転アーム10の一端が取り付けてあり、回転アーム10の他端には使用者が把持するノブ11が回転自在に取り付けてある。また、シャフト5の一端近傍の所定領域には、雄螺子を羅設してなり、シャフト5の収納部2から垂下される部分の長さ寸法を調整する垂下長調整領域51が形成してある。
【0059】
シャフト5の垂下長調整領域51には、調整した垂下長の位置を保持するための保持具8が外嵌してあり、保持具8の両端側には座金WS,WSがそれぞれ外嵌してある。保持具8は、当該保持具8がシャフト5周りに回転することを禁止する環状の禁止部材82と、この禁止部材82と噛合する環状の噛合部材83と、噛合部材83との間に前記禁止部材82を挟持する環状の挟持部材81とを具備して構成してある。
【0060】
図9及び図10図2に示した保持具8の機能を説明する説明図であり、両図を用いて保持具8の機能を詳述する。なお、両図中、図1図3に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0061】
図9及び図10に示したように、禁止部材82は平板な環状体の一面に一本歯状の第1突起部82aが設けてあり、該第1突起部82aの一端は環状体の内周面から中心軸側へ少し突出させて第2突起部82bになしてある。前述したシャフト5の垂下長調整領域51の周方向の適宜位置には、中心軸と平行をなす縦溝51aが垂下長調整領域51の全長に亘って設けてあり、禁止部材82は第2突起部82bを縦溝51aに嵌入させた状態で、シャフト5の垂下長調整領域51周りに遊嵌されるようになっている。従って、禁止部材82は、第2突起部82bを縦溝51aに嵌入させた状態で、シャフト5の長手方向へ摺動可能であるが、シャフト5の中心軸回りには回動し得ないようになしてある。なお、第2突起部82bの形状は適宜に設定することができる。
【0062】
また、噛合部材83は禁止部材82の第1突起部82aに対向するように配されるが、前述した受け部22の突出部22a以外の領域の内径より大きく、突出部22aの内径より小さい外径の環状体を具備している。この環状体の禁止部材82の第1突起部82aに対向する側の面には、第1突起部82aを嵌合させる複数の嵌合部83a,83a,…が、噛合部材83の周方向へ適宜の距離を隔てて放射状に設けてあり、いずれかの嵌合部83aに第1突起部82aが嵌入して、噛合部材83と禁止部材82とが噛合する。また、噛合部材83の環状体の内周面には、垂下長調整領域51に設けられた雄螺子に螺合する雌螺子が設けてある。
【0063】
一方、挟持部材81は、前記禁止部材82を挟んで噛合部材83と対峙するように配されるが、前同様、受け部22の突出部22a以外の領域の内径より大きく、突出部22aの内径より小さい外径の環状体を具備している。この環状体の内周面には、垂下長調整領域51に設けられた雄螺子に螺合する雌螺子が設けてあり、垂下長調整領域51に外嵌螺合させた挟持部材81を禁止部材82へ接近する方向に回動させて、噛合部材83に噛合させた禁止部材82に固接させることによって、噛合部材83と禁止部材82とを強固に噛合させるようになっている。
【0064】
このような保持具8にあっては、挟持部材81を禁止部材82から離隔する方向に回動させて、噛合部材83と禁止部材82との噛合を緩め、シャフト5の垂下長を長くする場合は、禁止部材82をシャフト5の一端側へ摺動させ、一方、シャフト5の垂下長を短くする場合は、禁止部材82をシャフト5の他端側へ摺動させる。このとき、噛合部材83は必要に応じて適宜回動させて、禁止部材82の摺動を邪魔しないようにする。そして、禁止部材82のシャフト5の長手方向の位置が決まると、噛合部材83を回動させて禁止部材82を噛合部材83に噛合させ、その後、挟持部材81を禁止部材82へ接近する方向に回動させて、噛合部材83に噛合させた禁止部材82に固定させる。これによって、後述する如くシャフト5を進退させる場合にあっても、シャフト5の垂下長が保持される。
【0065】
ところで、図3に示したように、受け部22の突出部22a以外の領域の内周面には、受け部22の中心軸と平行をなす溝22bが当該領域の全長に亘って設けてあり、シャフト5の他端側から適宜寸法を隔てた位置の周面には、この溝22b内に嵌入して溝22bの長手方向へ摺動することができる凸部55が設けてある。後述する如く、シャフト5の他端は、複数の外刃を設けてなり、収納部2の内径より小さい外径の外刃本体70にその中心軸上になるように固定してあり、蓋部14を外した状態で、シャフト5の凸部55と前記溝22bとを位置合わせし、シャフト5を一端側へ引き上げて凸部55を溝22b内に嵌入させ、更に、シャフト5を引き上げることによって、シャフト5の凸部55を突出部22a内に移動させ、シャフト5の凸部55と溝22bとの位置を異ならせることができるようになっている。このとき、図4に示したように、外刃本体70は収納部2のスカート部30内に格納されるようになっており、シャフト5の凸部55が受け部22の突出部22aと他の部分との境界段差部に係止することによって、シャフト5の他端に垂下された外刃本体70は、収納部2内に収容された様態に保持される。
【0066】
図1図3に示したように、収納部2を構成するスカート部30の出側には被破砕物を破砕する破砕部3が配設してある。破砕部3は、略円筒形の内刃部材6及び、この内刃部材6内に挿入され、そこで回転駆動される外刃部材7にて構成されており、内刃部材6は前記スカート部30に着脱可能に連結固定してある。また、外刃部材7の中心軸上に前述したシャフト5の他端が連結固定してあり、外刃部材7はシャフト5の回転によって、シャフト5の中心軸回りに正逆回転されるようになっている。
【0067】
図5及び図6は外刃部材7の拡大斜視図及び正面図であり、図7は内刃部材6の縦断面図であり、更に図8は破砕部3の底面側斜視図である。これらの図面を用いて外刃部材7及び内刃部材6を詳述する。なお、図5図8中、図1図4に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0068】
図5及び図6に示したように、外刃部材7は、円柱体の周面に後述する大小複数の倒立略半円錐形状の複数の凹部を設けてなる外刃本体70を具備してなり、外刃本体70の前述した収納部2側の端には、環体77内を放射状に複数(例えば3)分割して、収納部2から落下する複数の被破砕物を受け入れる受口78,78,78が形成してある。外刃本体70の周面には、各受口78,78,78を底部側とする倒立略半円錐形状の第1凹部71,71,71がそれぞれ、外刃本体70の前記収納部2とは反対側の端縁に亘って、各第1凹部71,71,71の中心軸が外刃本体70の中心軸と平行をなすように設けてあり、倒立略半円錐形の斜辺を構成するV字状の陵線部分はそれぞれ、第1隔壁SW1,SW1、SW1,SW1、SW1,SW1になしてある。
【0069】
これら、対をなす両第1隔壁SW1,SW1、SW1,SW1、SW1,SW1の内、後述する内刃部材6の内面に斜設された複数の第1内刃61,61,…(図7参照)の傾斜方向とは鏡像的に異なる方向へ傾斜する、即ち外刃部材7の回転方向側とは反対側の第1隔壁SW1,SW1,SW1の側縁はそれぞれ第1外刃71a,71a,71aになしてある。なお、各第1凹部71,71,71の頂角の角度は2°以上90°未満の範囲で適宜に定めてよいが、30°±5°程度に設定した場合、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。また、第1外刃71a,71a,71aの外刃本体70の中心軸に対する傾斜角は、第1凹部71の頂角の角度の1/2である。
【0070】
このような外刃本体70の周面であって、相隣る第1凹部71,71,71の間にはそれぞれ、外刃本体70の前記収納部2とは反対側の端縁を頂点とし、対応する第1隔壁SW1,SW1,SW1に達する倒立略半円錐形状凹部と、該倒立略半円錐形状凹部に続けて、これに相隣る第1隔壁SW1,SW1で囲まれる領域を凹部になして、全体として略菱形の第2凹部72,72,72が設けてあり、倒立略半円錐形の斜辺を構成するV字状の陵線部分はそれぞれ、第2隔壁SW2,SW2、SW2,SW2、SW2,SW2になしてある。
【0071】
これら、対をなす両第2隔壁SW2,SW2、SW2,SW2、SW2,SW2の内、前述した第1外刃71a,71a,71aと平行をなす各第2隔壁SW2,SW2,SW2の側縁はそれぞれ第2外刃72a,72a,72aになしてある。なお、各第2凹部72,72,72の頂角の角度も前同様、2°以上90°未満の範囲で適宜に定めてよいが、30°±5°程度に設定した場合、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。
【0072】
更に、外刃本体70の周面であって、相隣る第1凹部71,71,71と、第2凹部72,72,72との間にはそれぞれ、外刃本体70の収納部2とは反対側の端縁を頂点とし、対応する第1隔壁SW1又は第2隔壁SW2に達する倒立略半円錐形凹部と、該倒立略半円錐形凹部に続けて、これに相隣る第1隔壁SW1と第2隔壁SW2とで囲まれる領域を凹部になして、第2凹部72より小さい略菱形の第3凹部73,73,73,73,73,73が設けてあり、倒立略半円錐形の斜辺を構成するV字状の陵線部分はそれぞれ、第3隔壁SW3,SW3,…になしてある。
【0073】
これら、対をなす両第3隔壁SW3,SW3、SW3,SW3、…,…の内、前述した第1外刃71a,71a,71aと平行をなす各第3隔壁SW3,SW3,…の側縁はそれぞれ第3外刃73a,73a,…になしてある。なお、各第3凹部73,73,…の頂角の角度も前同様、2°以上90°未満の範囲で適宜に定めてよいが、30°±5°程度に設定した場合、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。
【0074】
更に加えて、外刃本体70の周面には、その寸法が第3凹部73より漸次小さい略菱形の第4凹部74,74,…、第5凹部75,75,…が、前同様にして設けてあり、外刃本体70の周面は第1凹部71,71,71~第5凹部75,75,…にて覆われている。そして、対をなす両第4隔壁SW4,SW4、SW4,SW4、…,…、両第5隔壁SW5,SW5、SW5,SW5、…,…の内、前述した第1外刃71a,71a,71aと平行をなす各第4隔壁SW4,SW4,…、各第5隔壁SW5,SW5,…の側縁はそれぞれ第4外刃74a,74a,…、第5外刃75a,75a,…になしてある。
【0075】
なお、本実施の形態では、外刃本体70の周面を第1凹部71,71,…~第5凹部75,75,…で覆った場合について示したが、本発明はこれに限らず、外刃本体70の大きさに応じて、第1凹部71~第n凹部7nで覆えばよい。
【0076】
ところで、外刃本体70であって前記収納部2とは反対側である出側の周縁部はその直径を漸次小さくしたテーパ部70aになしてあり、これによって破砕された被破砕物が破砕部3から外へ排出され易くなっている。
【0077】
一方、内刃部材6は円筒状の内刃本体60を具備してなり、内刃本体60の内径は、前述したスカート部30側から、スカート部30とは反対側へ向かって漸次小さくしてある。また、内刃本体60の前記収納部2側である入側の縁部にはリム63が設けてあり、該リム63は、その内径を出側へ向かって漸次小さくなして広口漏斗状になっている。
【0078】
一方、内刃部材6の外周面であって前述したリム63の近傍位置には、後述する如く支持具40(図11及び図12参照)にミル1を取り付けた際に、ミル1の回動を防止するための複数の回動防止部64,64,…が内刃部材6の周方向へ適宜の間隔で突設してある。また、内刃部材6の外周面であって回動防止部64,64,…の近傍位置には、支持具40にミル1を固定するための固定用リング9が着脱可能に螺着してある。
【0079】
かかる内刃本体60の内周面であって内刃本体60の出側より所定寸法入側の位置から内刃本体60の入側縁部に亘る領域には、複数の第1内刃61,61,…が内刃本体60の周方向へ互いに距離を隔てて突設してある。各第1内刃61,61,…は、内刃本体60の中心軸に対して前述した第1外刃71a,71a,71aと軸対称となる方向へ傾斜させてあり、後述するように第1内刃61,61,…と第1外刃71a,71a,…~第5外刃75a,75a,…とで、鋏のように被破砕物を破砕しつつ、当該破砕物を第1凹部71,71,71~第5凹部75,75,…内の入側へ舞い上げるようになっている。
【0080】
ここで、第1内刃61,61,…の内刃本体60の中心軸に対する傾斜角度は、2°以上45°未満の範囲で適宜に定めてよいが、15°±2.5°程度に設定した場合、前述した第1外刃71a,71a,71a…~第5外刃75a,75a,…との挟み角が30°±5°であり、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。
【0081】
また、第1内刃61,61,…の刃面は円弧状の凹になしてあり、これによって、第1内刃61,61,…と第1外刃71a,71a,…~第5外刃75a,75a,…とで破砕した被破砕物が、当該第1凹部71,71,…~第5凹部75,75,…内へ戻り易くなしてある。
【0082】
一方、内刃本体60の内周面であって内刃本体60の出側縁部から所定寸法入側の位置に亘る領域には、内刃本体60の中心軸に対して前述した第1内刃61,61,61と軸対称となる方向へ傾斜させてなる複数の第2内刃62,62,…が、内刃本体60の周方向へ互いに距離を隔てて突設してあり、各第2内刃62,62,…と第1外刃71a,71a,…~第5外刃75a,75a,…の第2内刃62,62,…に対向する部分とによって、被破砕物を鋏のように被破砕物を破砕しつつ、当該破砕物を第1凹部71,71,…~第5凹部75,75,…から破砕部3の出側へ排出させるようになっている。
【0083】
ここで、第2内刃62,62,…の内刃本体60の中心軸に対する傾斜角度は、2°以上90°未満の範囲で適宜に定めてよいが、45°±2.5°程度に設定した場合、前述した第1外刃71a,71a,71a~第5外刃75a,75a,…との挟み角が30°±5°であり、被破砕部に対する破砕力が相対的に高いため好適である。
【0084】
また、第2内刃62,62,…の刃面は平坦な斜面になしてあり、これによって、各第2内刃62,62,…と第1外刃71a,71a,…~第5外刃75a,75a,…の第2内刃62,62,…に対向する部分とによって破砕された被破砕物が、第1凹部71,71,…~第5凹部75,75,…から破砕部3の出側へ排出させ易くなしてある。
【0085】
ところで、図8に示したように、内刃本体60の出側端面の内周面側には、当該端面の他の部分より一段低くした環状段差部60aが設けてあり、該環状段差部60aには、外刃本体70の前述したテーパ部70aの表面に付着する被破砕物に当接して、これをテーパ部70aの表面から除去する複数の除去用凸部65,65,…が、環状段差部60aの周方向へ適宜の間隔で設けてある。なお、内刃本体60と外刃本体70との相対位置は、内刃本体60の除去用凸部65,65,…と外刃本体70のテーパ部70aとが対向するように調整されるようになっている。
【0086】
次に、このようなミルの動作について説明する。
図11及び図12は、本発明に係るミルの使用様態を説明する説明図であり、被破砕物としてコーヒー豆を破砕する場合を示している。また、図13はコーヒー豆が破砕される様態を説明する説明図である。
【0087】
図11に示した如く、ミル1を支持する支持具40が設置してある。支持具40は、ミル1を受ける板状の第1支持部41と、該第1支持部41の下方に配置されるドリッパー91を受ける板状の第2支持部42とを上下平行に配置してなり、第2支持部42の両端が固定された両側壁部43,43の天端間に、第1支持部41が着脱可能に架設されるようになっている。
【0088】
第1支持部41の略中央にはミル1の内刃部材6を嵌入させてこれを支持する支持孔41aが開設してあり、両側壁部43,43の天端から第1支持部41を取り外した状態で、前述した固定用リング9を取り外した内刃部材6を当該支持孔41aに貫通させ、内刃部材6の外周面に固定用リング9を螺着させることによって、内刃部材6のリム63と固定用リング9にて第1支持部41を挟持し、ミル1を第1支持部41に固定する。一方、第2支持部42の略中央にはドリッパー91の出側脚部を嵌入させてこれを保持する保持孔42aが開設してあり、該保持孔42aに出側脚部を嵌入させてドリッパー91を第2支持部42に着脱可能に取り付けておく。
【0089】
なお、本形態では第2支持部42に保持孔42aを開設した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、保持孔に替えて、ドリッパー91を保持する保持凹部を設けてもよいことは言うまでもない。
【0090】
そして、図12に示した如く、ミルが固定された第1支持部41を側壁部43,43の天端間に架設し、前述した開閉扉15の摘み部15aを把持して開閉扉15を回動させて投入口を開させて、適宜量の被破砕物を投入口から収納部2内へ投入した後、開閉扉15を、逆方向へ回動させて投入口を閉させる。なお、被破砕物に応じて、シャフト5の長手方向における保持具の位置を調整しておくことによって、破砕された被破砕部の粒度を予め調整しておく。
【0091】
そして、ノブ11を把持して回転アーム10を所定方向へ回転させて、シャフト5及び該シャフトが固定された外刃本体を回転させる。このとき、前述したように内刃部材6の周面に複数の回動防止部64,64,…が突設してあるため、回転アーム10を回転させた場合であっても、ミル1を押えることなく、当該ミル1が回動するのを防止することができる。
【0092】
収納部2内へ投入された被破砕物は、外刃本体70の受口78,78,78内を通過して、第1凹部71,71,71(図13参照)内へ落下し、第1凹部71,71,71に設けられた第1外刃71a,71a,71aと、内刃部材6に設けられた第1内刃61,61,…(図7参照)との交差によって、破砕される。このとき、第1外刃71aと第1内刃61との交差位置は、外刃本体70が回転するのに伴って、破砕部2の出側から入側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物は第1凹部71,71,71内で舞い上げられ、一部はその粒径に応じて第2凹部72,72,72、第3凹部73,73,73,73,73,73、第4凹部74,74,…、第5凹部75,75,…へ漸次移動する。また、第1凹部71,71,71、第2凹部72,72,72、第3凹部73,73,73,73,73,73、第4凹部74,74,…、第5凹部75,75,…内において、被破砕物は、その粒径が相対的に小さくなるに従って、破砕部3の出側へ落下する。
【0093】
このように、第1凹部71,71,71内へ落下した被破砕物はそこで破砕される一方、破砕された被破砕物が第1凹部71,71,71内で舞い上げられるため、第1凹部71,71,71の内部では被破砕物同士が圧接されずに、被破砕物同士間に隙間が生じた状態が保たれる。これによって、被破砕物が過度に破砕されることが防止され、被破砕物の微紛化を回避して、より均一な粒径の被破砕物を生成することができる。
【0094】
ところで、被破砕物を破砕する場合、破砕開始時に、被破砕物から外刃本体に大きな反作用が印加されるため、従来のミルにあっては、外刃本体と内刃本体との間隙が一時的に拡がって、被破砕物の粒度が不均一になることがあるが、本発明に係るミル1にあっては、前述したように、第1凹部71,71,71内へ落下した被破砕物は、外刃本体70が回転するのに伴って、その交差位置が、破砕部2の出側から入側に向けて漸次移動する第1外刃71a及び第1内刃61によって破砕されるため、被破砕物から第1外刃71aには、破砕部2の入側から出側へ向かう反作用が印加される。これによって、破砕開始時に、被破砕物から外刃本体に大きな反作用が印加された場合であっても、外刃本体70と内刃本体60との間隙が拡がることが可及的に抑制され、被破砕物の粒度を一定に保持することができる。
【0095】
第2凹部72,72,72、又は第3凹部73,73,73,73,73,73へ移動した被破砕物は、第2凹部72,72,72に設けられた第2外刃72a,72a,72a、又は第3凹部73,73,73,73,73,73に設けられた第3外刃73a,73a,73a,73a,73a,73aと、第1内刃61,61,…との交差によって、破砕される。前同様、第2外刃72aと第1内刃61との交差位置、第3外刃73aと第1内刃61との交差位置は、外刃本体70が回転するのに伴って、破砕部3の出側から入側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物は第2凹部72,72,72内、又は第3凹部73,73,73,73,73,73内で舞い上げられ、一部はその粒径に応じて第3凹部73,73,73,73,73,73、第4凹部74,74,…、第5凹部75,75,…へ漸次移動する。
【0096】
このように、破砕された被破砕物が第2凹部72,72,72、第3凹部73,73,73,73,73,73、第4凹部74,74,…、第5凹部75,75,…へ漸次移動するため、被破砕物の破砕効率をより向上させることができ、被破砕物の単位時間当たりの破砕量をより多くすることができる。
【0097】
一方、第1凹部71,71,71、第2凹部72,72,72、又は第3凹部73,73,73,73,73,73であって、内刃部材6に設けられた第2内刃62,62,…に対向する領域に落下した被破砕物、及び、第4凹部74,74,…、又は第5凹部75,75,…へ移動した被破砕物は、それぞれ対応する第1外刃71a,71a,71a、第2外刃72a,72a,72a、第3外刃73a,73a,73a,73a,73a,73a、第4外刃74a,74a,…、第5外刃75a,75a,…と、第2内刃62,62,…との交差によって、更に破砕される。このとき、第1外刃71a~第5外刃75aと第2内刃62との交差位置は、外刃本体70が回転するのに伴って、破砕部3の入側から出側に向けて漸次移動するため、破砕された被破砕物には破砕部3の出側へ押し出される力が印加される。これによって、被破砕物が過度に破砕されることが防止され、所定の粒度まで破砕された被破砕物が円滑に破砕部3から排出されるため、より均一な粒径の被破砕物が生成される。
【0098】
ところで、前述した如く、内刃本体60の出側端面には除去用凸部65,65,…(図8参照)が設けてあるため、外刃本体70のテーパ部70aの表面に沿って排出される被破砕物は、除去用凸部65,65,…に当接して、テーパ部70aの表面から剥離されて、落下して行く。
【0099】
図12に示したように、破砕部3の直下にはドリッパー91が配置してあり、破砕部3で所要の粒径まで破砕された被破砕物CMは、破砕部3からドリッパー91内へ直接落下するようになっている。
【0100】
収納部2内の被破砕部が全て破砕されると、ミル1が固定された第1支持部41を両側壁部43,43から取り外した後、被破砕物CMを貯留したドリッパー91を第2支持部42から取り外し、当該ドリッパー91をサーバー又はカップ等の適宜の容器にセットする。
【0101】
ところで、本発明に係るミルにあっては、破砕部3の内部を容易に清掃することができる。
【0102】
すなわち、図4で説明した如く、蓋部14を外した状態で、シャフト5の凸部55と溝22bとを位置合わせし、シャフト5を一端側へ引き上げて凸部55を溝22b内に嵌入させ、更に、シャフト5を引き上げることによって、シャフト5の凸部55を受け部22の突出部22a内に移動させて、外刃本体70を収納部2のスカート部30内に格納する。そして、シャフト5の凸部55と溝22bとの位置を異ならせることによって、シャフト5の凸部55が受け部22の突出部22aと他の部分との境界段差部に係止させ、シャフト5の他端に垂下された外刃本体70を収納部2内に格納された様態に保持させる。
【0103】
次に、内刃本体60を収納部2のスカート部30から螺脱させ、内刃本体60の内部を刷毛といった適当な清掃具を用いて清掃する。このように、内刃本体60を収納部2から容易に取り外すことができるため、内刃本体60を容易に、かつ入念に清掃することができる。一方、内刃本体60を収納部2から取り外す際、外刃本体70が収納部2のスカート部30内に格納されているため、取り外し作業中、外刃本体70の第1外刃71a~第5外刃75aに指が接触して傷つくことを回避することができる。
【0104】
一方、前述した格納操作とは逆の操作を行うことによって、格納した外刃本体70を収納部2のスカート部30から外へ抜出し、当該外刃本体70の外周面を適当な清掃具を用いて清掃する。これによって、外刃本体70も容易に、かつ入念に清掃することができる。
【0105】
ところで、このように外刃本体70をスカート部30内に格納し、またスカート部30から抜出する操作を行った場合であっても、前述した如くシャフト5の垂下長調整領域51に保持具8が固着してあるため、当該保持具8からシャフト5の他端に固定された外刃本体70までの距離は一定に保持される。そのため、内刃本体60及び外刃本体70を清掃した後に、外刃本体70に外嵌させた内刃本体60を収納部2のスカート部30に螺着させた場合、外刃本体70と内刃本体60との間隙が清掃前の寸法に復帰するので、当該間隙を再調整することなく、破砕された被破砕物の粒度を一定に保つことができる。
【0106】
その一方で、保持具8の移動可能領域は、前述した如くシャフト5の垂下長調整領域51内であるので、保持具8の垂下長調整領域51における位置を異ならせた場合でも、支持具40の第1支持部41に支持されたミル1から、第2支持部42に支持されたドリッパー91までの距離は一定に保たれる。そのため、保持具8の垂下長調整領域51における位置を最下位に設定した場合であっても、第2支持部42に支持されたドリッパー91内に貯留された被破砕物CMに外刃本体70が接触等することが回避され、ミル1が固定された第1支持部41を両側壁部43,43から取り外す作業を円滑に実施することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 ミル
2 収納部
3 破砕部
5 シャフト
6 内刃部材
7 外刃部材
8 保持具
20 頭部
30 スカート部
60 内刃本体
60a 環状段差部
61 第1内刃
62 第2内刃
65 除去用凸部
70 外刃本体
70a テーパ部
71 第1凹部
71a 第1外刃
72 第2凹部
72a 第2外刃
73 第3凹部
73a 第3外刃
74 第4凹部
74a 第4外刃
75 第5凹部
75a 第5外刃
SW1 第1隔壁
SW2 第2隔壁
SW3 第3隔壁
SW4 第4隔壁
SW5 第5隔壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、
所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、
前記第1支持部には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、
前記第2支持部の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてある
ことを特徴とする支持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
(12)本発明に係る支持具は、(1)から(11)のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、前記第1支持部には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、前記第2支持部の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてあることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
本発明の支持具にあっては、(1)から(11)のいずれかに記載のミルを支持するための支持具であって、所定距離を隔てて立設した一対の側壁部と、両側壁部の間に、側壁部の高さ方向へ距離を隔ててそれぞれ架設した第1支持部及び第2支持部とを備え、前記第1支持部には、前記ミルを貫通支持する支持孔が開設してあり、前記第2支持部の第1支持孔に対向する位置には、ミルから排出される被破砕物を収容する収容器を保持する保持孔又は保持凹部が設けてある。第1支持部の支持孔に(1)から(11)のいずれかに記載のミルを嵌入させる一方、第1支持部の保持孔又は保持凹部に、例えばドリッパー又は保存瓶といった収容器を嵌め込むことによって、収容器とミルとを上下に対向するように配置する。この状態で、ミルをして被破砕物を破砕させることによって、ミルから排出される被破砕物を直接、収容器内へ投下収容することができる。