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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085657
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】食品用加工助剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/10 20160101AFI20220601BHJP
   A23L 17/00 20160101ALN20220601BHJP
【FI】
A23L29/10
A23L17/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197451
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】516089979
【氏名又は名称】株式会社ウエノフードテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】上杉 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】藤賀 丈博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏子
【テーマコード(参考)】
4B034
4B035
【Fターム(参考)】
4B034LB02
4B034LE19
4B034LK06X
4B034LK09X
4B034LP05
4B034LP20
4B035LC16
4B035LE03
4B035LG05
4B035LG08
4B035LG09
4B035LG11
4B035LK13
4B035LP02
4B035LT16
4B035LT20
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、食品の味質に対する影響が少なく、保管安定性に優れ、かつ十分な離型作用を有する食品用加工助剤組成物を提供することにある。
【解決手段】エタノール、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有する食品用加工助剤組成物であって、食品用加工助剤組成物全量に対するエタノールの含有量が43重量%以上60重量%未満であり、エタノール100重量部に対するモノグリセリン脂肪酸エステルの割合が3~12重量部であり、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの割合が2~10重量部であることを特徴とする、食品用加工助剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有する食品用加工助剤組成物であって、食品用加工助剤組成物全量に対するエタノールの含有量が43重量%以上60重量%未満であり、エタノール100重量部に対するモノグリセリン脂肪酸エステルの割合が3~12重量部であり、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの割合が2~10重量部であることを特徴とする、食品用加工助剤組成物。
【請求項2】
モノグリセリン脂肪酸エステルが、モノグリセリンオレイン酸エステル、モノグリセリンパルミチン酸エステル、モノグリセリンステアリン酸エステル、またはこれらの組合せである、請求項1に記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項3】
モノグリセリン脂肪酸エステルがモノグリセリンオレイン酸エステルである、請求項1または2に記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項4】
モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルがモノグリセリン酢酸脂肪酸エステルである、請求項1~3のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項5】
さらに、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはジグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項6】
ソルビタン脂肪酸エステルの割合が、エタノール100重量部に対し、3~7重量部である、請求項5に記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項7】
ジグリセリン脂肪酸エステルの割合が、エタノール100重量部に対し、0.5~3.5重量部である、請求項5または6に記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項8】
ソルビタン脂肪酸エステルおよびジグリセリン脂肪酸エステルの合計が、エタノール100重量部に対し、4~10重量部である、請求項5~7のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項9】
ソルビタン脂肪酸エステルがソルビタンラウリン酸エステルであり、ジグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリンオレイン酸エステルである、請求項5~8のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項10】
離型剤として用いられることを特徴とする、請求項1~9いずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項11】
食品製造用器具、食品包装用袋、食品包装用容器のいずれかに使用されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【請求項12】
竹輪の製造に用いられる棒に使用されることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の食品用加工助剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用加工助剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造において、型、容器、板、または棒等を利用して食品を成型する場合、成型後に食品が型などから剥離しやすくするために離型剤が使用されている。例えば、竹輪は調味されたすり身をステンレス棒や竹棒に巻きつけた後、加熱して製造する。加熱後、ステンレス棒や竹棒は竹輪から抜き取られるが、その際、すり身が棒から容易に抜けるよう離型剤が用いられている。従来、食品用離型剤としては、大豆白絞脂、なたね白絞油等の植物油が多く用いられているが、離型性は必ずしも満足できるものではなく、しばしば剥離不良を生じて、製品の変形や商品の歩留まり低下をきたす。また、型や棒を十分洗浄すると、再び植物油を塗布しても剥離不良を生じやすい傾向があることから、洗浄が頻繁にできず、その結果、製品へのかすの混入や衛生上の問題が生じていた。そのため、これら植物油に代わり、特許文献1では、脂肪酸エステルを含むアルコール製剤が竹輪用離型剤として提案されている。
【0003】
しかしながら、上記組成物は高濃度の脂肪酸エステルとアルコールを含むため、それら特有の臭いや味が食品の風味や味質を損なうという欠点があった。食品の風味や味質を損なわないよう、脂肪酸エステルやアルコールの濃度を低下させると、離型作用が低下し、製品の変形や商品の歩留まり低下をきたすばかりか、成分が分離または析出し易くなり保管時の安定性が著しく悪化するという問題があった。また、離型作用と同時に脂肪酸エステルやアルコールによる静菌効果を期待する場合も、食品の風味や味質に影響がない程度まで濃度を低下させることにより十分な効果を得られなくなるという問題もあった。このように、組成物において単に脂肪酸エステルやアルコール濃度を下げるだけでは上記課題を解決することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-230054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、食品の味質に対する影響が少なく、保管安定性に優れ、かつ十分な離型作用を有する食品用加工助剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、エタノールにモノグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルを特定の割合で配合することにより、食品の味質に対する影響が少なく、アルコール濃度が低くても成分の相溶性が良く、保管安定性に優れ、かつ十分な離型作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、エタノール、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有する食品用加工助剤組成物であって、食品用加工助剤組成物全量に対するエタノールの含有量が43重量%以上60重量%未満であり、エタノール100重量部に対するモノグリセリン脂肪酸エステルの割合が3~12重量部であり、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの割合が2~10重量部であることを特徴とする、食品用加工助剤組成物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の食品用加工助剤組成物に用いるエタノールは、食品に添加できるものであれば特に限定されない。本発明の食品用加工助剤組成物に含まれるエタノールの割合は、全量に対し43重量%以上60重量%未満であればよく、44~58重量%が好ましく、50~55重量%がより好ましい。エタノールの割合が40重量%未満の場合、溶解成分が析出、分離し、得られる食品用加工助剤組成物の保管安定性が悪くなる傾向にあり、エタノールの割合が60重量%以上の場合、食品の風味や味質が損なわれる傾向にあり、また得られる食品用加工助剤組成物は引火性が高く、取扱いに注意を要するものとなる。
【0009】
本発明の食品用加工助剤組成物に用いるモノグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは構成脂肪酸の炭素数が12~20であり、具体的には、モノグリセリンラウリン酸エステル、モノグリセリンミリスチン酸エステル、モノグリセリンパルミチン酸エステル、モノグリセリンステアリン酸エステル、モノグリセリンパルミトレイン酸エステル、モノグリセリンオレイン酸エステル、モノグリセリンリノール酸エステル、モノグリセリンリノレン酸エステル等が挙げられ、これら1種以上を用いることができる。中でも、相溶性改善効果の高さから、モノグリセリンオレイン酸エステル、モノグリセリンパルミチン酸エステル、モノグリセリンステアリン酸エステル、またはこれらの組合せが好ましく、モノグリセリンオレイン酸エステルと、モノグリセリンパルミチン酸エステルおよび/またはモノグリセリンステアリン酸エステルとの組合せ、または、モノグリセリンオレイン酸エステルがより好ましい。
【0010】
本発明の食品用加工助剤組成物におけるモノグリセリン脂肪酸エステルの割合は、エタノール100重量部に対し、3~12重量部であり、4~11重量部が好ましく、4.5~10重量部がより好ましい。モノグリセリン脂肪酸エステルの割合がエタノール100重量部に対し上記範囲外である場合、成分が析出、分離し易くなり、得られる食品用加工助剤組成物の保管安定性が悪くなる傾向がある。
【0011】
本発明の食品用加工助剤組成物に用いるモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルは、モノグリセリンに脂肪酸と有機酸をエステル結合させたものであり、構成脂肪酸の炭素数が12~18であり、有機酸が酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸等から選択され、具体的には、モノグリセリン酢酸ラウリン酸エステル、モノグリセリン酢酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリン酢酸パルミチン酸エステル、モノグリセリン酢酸ステアリン酸エステル、モノグリセリン酢酸オレイン酸エステル、モノグリセリンコハク酸ラウリン酸エステル、モノグリセリンコハク酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリンコハク酸パルミチン酸エステル、モノグリセリンコハク酸ステアリン酸エステル、モノグリセリンコハク酸オレイン酸エステル、モノグリセリン乳酸ラウリン酸エステル、モノグリセリン乳酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリン乳酸パルミチン酸エステル、モノグリセリン乳酸ステアリン酸エステル、モノグリセリン乳酸オレイン酸エステル、モノグリセリンクエン酸ラウリン酸エステル、モノグリセリンクエン酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリンクエン酸パルミチン酸エステル、モノグリセリンクエン酸ステアリン酸エステル、モノグリセリンクエン酸オレイン酸エステル、モノグリセリン酒石酸ラウリン酸エステル、モノグリセリン酒石酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリン酒石酸パルミチン酸エステル、モノグリセリン酒石酸ステアリン酸エステル、モノグリセリン酒石酸オレイン酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸ラウリン酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸ミリスチン酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸パルミチン酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸ステアリン酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル等が例示され、2種以上を併用してもよい。これらモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの中でも、離型効果に優れる点で、モノグリセリン酢酸ラウリン酸エステルおよびモノグリセリンジアセチル酒石酸パルミチン酸エステル、特にモノグリセリン酢酸ラウリン酸エステルが好ましい。
【0012】
本発明の食品用加工助剤組成物におけるモノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの割合は、エタノール100重量部に対し、2~10重量部であり、3~9.5重量部が好ましく、3.5~9重量部がより好ましい。モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルの割合がエタノール100重量部に対し上記範囲外である場合、成分が析出、分離し易くなり、得られる食品用加工助剤組成物の保管安定性が悪くなる傾向がある。
【0013】
本発明の食品用加工助剤組成物においては、離型効果や低温時の保管安定性をより改善するために、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはジグリセリン脂肪酸エステルを含有してもよい。
【0014】
本発明の食品用加工助剤組成物において、ソルビタン脂肪酸エステルは、離型作用を有するものであり、食品に添加できるものであれば特に限定されない。好ましくは、構成脂肪酸の炭素数が8~20のソルビタン脂肪酸エステルであり、具体的には、ソルビタンカプリル酸エステル、ソルビタンカプリン酸エステル、ソルビタンラウリン酸エステル、ソルビタンミリスチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンパルミトレイン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル、ソルビタンリノール酸エステル、ソルビタンリノレン酸エステル等が挙げられ、これら1種以上を用いることができる。中でも、離型効果の高さと食品の風味や味質への影響の低さから、ソルビタンラウリン酸エステルが好ましい。
【0015】
本発明の食品用加工助剤組成物において、ソルビタン脂肪酸エステルの割合は、エタノール100重量部に対し、3~7重量部が好ましく、3.1~6.5重量部がより好ましく、3.2~6重量部がさらに好ましい。
【0016】
本発明の食品用加工助剤組成物に用いるジグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは構成脂肪酸の炭素数が12~20であり、具体的には、ジグリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンミリスチン酸エステル、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンパルミトレイン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、ジグリセリンリノール酸エステル、ジグリセリンリノレン酸エステル等が挙げられ、これら1種以上を用いることができる。中でも、低温時の保管安定性に優れる点で、ジグリセリンオレイン酸エステル好ましい。
【0017】
本発明の食品用加工助剤組成物におけるジグリセリン脂肪酸エステルの割合は、エタノール100重量部に対し、0.5~3.5重量部が好ましく、1~3重量部がより好ましく、1.5~2.5重量部がさらに好ましい。
【0018】
上記ソルビタン脂肪酸エステルおよびジグリセリン脂肪酸エステルは、両成分を併用するのが好ましく、その割合は、エタノール100重量部に対し、ソルビタン脂肪酸エステルおよびジグリセリン脂肪酸エステルの合計が、4~10重量部が好ましく、5~9重量部がより好ましく、6~8重量部がさらに好ましい。
【0019】
本発明の食品用加工助剤組成物は、さらに必要に応じて、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン、乳酸ナトリウム、還元水飴、ポリソルベート、グアーガム、キサンタンガム等の増粘安定剤等の成分の相溶性改善作用を有する成分を含むことができる。
【0020】
また、本発明の食品用加工助剤組成物は、その効果に影響を及ぼさない範囲で、目的に応じ、別途、乳酸、クエン酸等の有機酸及びその塩、リン酸等の無機酸及びその塩、ビタミンE等のビタミン類、抗菌剤、殺菌剤、香料を含むことができる。
【0021】
本発明の食品用加工助剤組成物は、離型剤として使用される場合、様々な食品の製造において使用される器具、型、容器、板、棒等に、スプレー等で噴霧したり、刷毛、布、スポンジなどを用いて塗布して使用される。製造される食品としては、ケーキ、クッキー、マドレーヌ等の洋菓子類、餅等の和菓子類、煎餅、おかき等の米菓類、おにぎり、寿司等の米飯類、竹輪、蒲鉾等の水産練製品類等が挙げられる。本発明の食品用離型剤組成物は、特に、竹輪の製造に使用されるのが好ましく、例えば、食品工場等で使用される一般的な竹輪棒(太さ1~2cm、長さ40~70cm)に使用する場合、本発明の食品用離型剤組成物の竹輪棒一本あたりの使用量は、0.1~1gが好ましく、0.15~0.4gがより好ましい。
【0022】
本発明の食品用加工助剤組成物は、包装用袋や容器に適用して、食品の包装袋や包装容器への付着を防止するために用いることもできる。かかる場合は、包装用袋あるいは容器の食品と接する面へスプレー等による噴霧、刷毛、布、スポンジなどを用いて塗布して使用される。食品としては特に限定なく、包装用袋や容器に封入して流通、販売される加工食品に用いることができる。
【0023】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0024】
実施例1~13および比較例1~13
下記に示す材料を表1-1~1-4に示す割合で配合し、製剤A~Zを得た。得られた製剤を用いて、相溶性試験、安定性試験、離型性試験および官能試験を実施した。尚、各試験において、評価基準を満たさなかった製剤(評価が×となった製剤)は、その時点で評価を終了した。
・エタノール(日本アルコール産業株式会社)
・モノグリセリンオレイン酸エステル(理研ビタミン株式会社製)
・モノグリセリン脂肪酸(オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)エステル(理研ビタミン株式会社製)
・モノグリセリン酢酸ラウリン酸エステル(理研ビタミン株式会社製)
・モノグリセリンジアセチル酒石酸ステアリン酸エステル(太陽化学株式会社製)
・ソルビタンラウリン酸エステル(日油株式会社製)
・ジグリセリンオレイン酸エステル(理研ビタミン株式会社製)
【0025】
相溶性試験
各製剤を50ml容ネジ蓋付き試験管に入れ、調製直後の透明性を目視にて確認した。評価は、透明であった場合を〇、白濁が発生した場合を×とした。結果を表1-1~1-4に示す。
【0026】
安定性試験(低温保管安定性)
各製剤を0℃で3日間保管し、保管直後および室温で2時間静置した後の各製剤の透明性を目視にて確認した。評価は、外観に異常(白濁、沈殿、析出または分離)が認められなかった場合を〇、保管直後は外観に異常が認められたが2時間静置後に異常が解消された場合を△、保管直後から2時間静置後まで異常が解消されなかった場合を×とした。結果を表1-1~1-4に示す。
【0027】
離型試験1(竹輪)
竹輪用の練り肉を巻きつけるΦ9mm、長さ22.5cmのステンレス製の棒を中性洗剤で洗浄し、水洗後に水をふき取った。これに、各製剤を不織布を用いて塗布し、次いで風乾した。この竹輪棒に練り肉を巻き付けて成型し、加熱して竹輪を製造した。その後、棒抜きを行い、ステンレス棒上に残った練り肉について下記基準で評価した。
【0028】
離型試験1評価基準
○:棒上に練り肉が殆ど残らない
△:棒上に練り肉がわずかに残る
×:棒上に半分以上の練り肉が残る
【0029】
離型試験2(餅)
Φ9mm、長さ22.5cmのステンレス製の棒に各製剤を、不織布を用いて塗布した後、出力500Wの電子レンジで45秒間加熱した切り餅(サトウ食品株式会社製)を、8cmの長さになるように巻きつけ、室温で30分間放冷した。その後、棒抜きを行い、棒上の餅のこびりつきについて下記基準で評価した。
【0030】
離型試験2評価基準
○:棒上に餅が殆ど残らない
△:棒上に餅がわずかに残る
×:棒上に半分以上の餅が残る
【0031】
官能試験
上記各試験において、評価基準を満たした製剤(評価が〇または△であった製剤)については、水で10倍に薄めた液を調製し、被験者が口に含み、風味(苦味およびえぐ味)を下記基準で評価した。
【0032】
官能試験評価基準
〇:苦味およびえぐ味が感じられない
△:苦味およびえぐ味をわずかに感じる
×:苦味およびえぐ味を強く感じる
【0033】
実施例1~13の製剤(製剤A~M)は、調製直後において、成分の白濁、沈殿、析出および分離が発生せず、0℃保存においてこれらが発生しないか、または2時間静置後に解消され、相溶性および保管安定性に優れており、離型性においても優れた結果を示し、風味も良好であった。一方、比較例1、2、5、9および13の製剤(製剤N、O、R、VおよびZ)は、調製直後に白濁が発生し、比較例3、4、6および11の製剤(製剤P、Q、SおよびX)は、離型性に劣り、比較例10および12の製剤(製剤WおよびY)は、相溶性は良好であったものの、低温保管後に分離が発生し、2時間静置後も分離が解消することはなかった。また、比較例7および8の製剤(製剤TおよびU)は、風味が著しく劣るものであった。
【0034】
【表1-1】
【0035】
【表1-2】
【0036】
【表1-3】
【0037】
【表1-4】