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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087068
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ゴムシート製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20220602BHJP
   B29C 43/46 20060101ALI20220602BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20220602BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20220602BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
B29D30/06
B29C43/46
B29C43/58
B29L30:00
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193282
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020198121
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
【テーマコード(参考)】
4F204
4F215
【Fターム(参考)】
4F204AA45
4F204AC03
4F204AG01
4F204AH20
4F204AJ08
4F204AR06
4F204FA06
4F204FB02
4F204FG08
4F204FJ09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ32
4F215AH20
4F215AK02
4F215AP05
4F215AP13
4F215AR06
4F215AR14
4F215VA11
4F215VD04
4F215VD07
4F215VD09
4F215VD10
4F215VD11
4F215VD16
4F215VD22
4F215VL28
(57)【要約】
【課題】生産性と品質とを両立させるゴムシート製造装置の提供。
【解決手段】ゴムシート製造装置2は、ゴム材料から帯状の高温シート16を形成するシート成形機4及び6と、軸方向中央に位置し流体が流れる第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置し前記第一流路と個別に流体が流れる第二流路と備え、高温シート16を冷却する冷却ドラム20とを備える。好ましくは、ゴムシート製造装置2は、第一流体の温度を調整する第一温度調節器26と、第二流体の温度を調整する第二温度調節器28とを更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム材料から帯状の高温シートを形成するシート成形機と、
軸方向中央に位置し流体が流れる第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置し前記第一流路と個別に流体が流れる第二流路とを備え、前記高温シートを冷却する冷却ドラムと
を備える、タイヤ用ゴムシート製造装置。
【請求項2】
前記第一流路を流れる流体の温度を調整する第一温度調節器と、
前記第二流路を流れる流体の温度を調整する第二温度調節器と
を更に備える、請求項1に記載のゴムシート製造装置。
【請求項3】
前記第一流路を流れる流体の流量を調整する第一流量調節器と、
前記第二流路を流れる流体の流量を調整する第二流量調節器と
を更に備える、請求項1又は2に記載のゴムシート製造装置。
【請求項4】
前記冷却ドラムが、
前記第二流路の軸方向外側に位置しそれぞれ個別に流体が流れる1又は2以上の流路を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載のゴムシート製造装置。
【請求項5】
前記第二流路の軸方向外側に位置する、それぞれの流路を流れる流体の温度を調整する温度調節器を更に備える、請求項4に記載のゴムシート製造装置。
【請求項6】
前記第二流路の軸方向外側に位置する、それぞれの流路を流れる流体の流量を調整する流量調節器を更に備える、請求項4又は5に記載のゴムシート製造装置。
【請求項7】
ゴム材料から帯状の高温シートを形成し、
軸方向中央に位置する第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置する第二流路とを備える冷却ドラムの、前記第一流路に流体を流し、前記第二流路に前記第一流路を流れる流体より高温の流体を流しつつ、前記冷却ドラムで前記高温シートを冷却しゴムシートを得、
前記ゴムシートを用いてタイヤ用ローカバーを形成する、タイヤの製造方法。
【請求項8】
ゴム材料から帯状の高温シートを形成し、
軸方向中央に位置する第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置する第二流路とを備える冷却ドラムの、前記第一流路に流体を流し、前記第二流路に前記第一流路を流れる流体の流量より少ない流量の流体を流しつつ、前記冷却ドラムで前記高温シートを冷却しゴムシートを得、
前記ゴムシートを用いてタイヤ用ローカバーを形成する、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ゴムシート製造装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、ゴムシートから得られるシート部材を含む多数のゴム部材が組み合わされて製造される。ゴムシート製造装置は、ゴム材料を押出しや圧延して高温のゴムシート(以下、高温シートとも称する)を形成する成形機と、高温シートを冷却してゴムシートを得る冷却機とを備える。この冷却機の一例として、高温シートを接触させる冷却ドラムを備える冷却機が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-30204公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この冷却ドラムは、冷却流体が流れる冷却流路を備える。この冷却流路を冷却流体が流れることで、冷却ドラムの外周面が冷却される。この外周面に高温シートが接触することで、高温シートが冷却される。
【0005】
低温の冷却流体を用いることで、冷却ドラムの温度が下げられる。温度が下げられた冷却ドラムは、高温シートの冷却時間を短縮できる。冷却時間の短縮は、生産性の向上に寄与する。しかしながら、温度が過度に下げられた冷却ドラムでは、冷却ドラムの外周面に結露が生じる。この結露は、得られるゴムシートの品質を低下させる。
【0006】
本出願人の意図するところは、生産性と品質とを両立させるゴムシート製造装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましいタイヤ用ゴムシート製造装置は、
ゴム材料から帯状の高温シートを形成するシート成形機と、
軸方向中央に位置し流体が流れる第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置し前記第一流路と個別に流体が流れる第二流路とを備え、前記高温シートを冷却する冷却ドラムと
を備える。
【発明の効果】
【0008】
このゴムシート製造装置は、第一流路を流れる流体と第二流路を流れる流体とを、個別に設定できる。この冷却ドラムでは、高温シートが主に接触する軸方向中央の外周面の温度を、高温シートがあまり接触しない軸方向外側の外周面の温度より、低く設定できる。これにより、高温シートの冷却時間は短縮されつつ、外周面の結露は抑制される。この冷却ドラムを備えるゴムシート製造装置は、ゴムシートの生産性と品質とを両立しうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るゴムシート製造装置が示された概念図である。
図2図2は、図1のゴムシート製造装置が備える冷却ドラムが示された説明図である。
図3図3は、図2の冷却ドラムの構造が示された説明図である。
図4図4は、図2の冷却ドラムの使用状態が高温シートと共に示された説明図である。
図5図5は、他の実施形態に係るゴムシート製造装置が備える冷却ドラムの構造が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1に示されたゴムシート製造装置2は、押出機4、圧延機6、複数のガイドローラ8、冷却機10、搬送コンベア12及び巻取りロール14を備えている。このゴムシート製造装置2は、シート成形機として押出機4及び圧延機6を備える。図1には、押出機4及び圧延機6で成形された高温シート16と、高温シート16が冷却機10で冷却されて得られるゴムシート18とが、ゴムシート製造装置2と共に示されている。高温シート16及びゴムシート18は、図示されないが、長尺の帯状の形状を備える。
【0012】
冷却機10は、複数の冷却ドラム20、第一配管22、第二配管24、第一温度調節器26及び第二温度調節器28を備える。第一配管22及び第二配管24は、それぞれ複数の冷却ドラム20に接続されている。第一温度調節器26は、第一配管22に接続されている。第一温度調節器26によって、第一配管22を流れる流体の温度は調整可能である。第二温度調節器28は、第二配管24に接続されている。第二温度調節器28によって、第二配管24を流れる流体の温度は調整可能である。
【0013】
図2には、冷却ドラム20の外周面20Aの一部が取り除かれた内部構造が示されている。冷却ドラム20は、軸方向中央に位置する第一流路30と、第一流路30の軸方向外側に位置する一対の第二流路32と、第一流路30と第二流路32とを仕切る一対の隔壁34とを備える。第一流路30は、軸方向一方の隔壁34から他方の隔壁34まで外周面20Aに沿って螺旋状に延びている。それぞれの第二流路32は、隔壁34から軸方向外側に外周面20Aに沿って螺旋状に延びている。
【0014】
冷却ドラム20は、更に、第一供給管36、第一排出管38、第二供給管40及び第二排出管42を備える。第一供給管36は第一流路30の一端に連通している。第一供給管36は、第一配管22に接続されている。第一排出管38は第一流路30の他端に連通している。第二供給管40は、一対の第二流路32の一端に連通している。第二供給管40は、第二配管24に接続されている。第二排出管42は一対の第二流路32の他端に連通している。
【0015】
図3の両矢印Cは、冷却ドラム20の外周面20Aのセンター領域を表している。両矢印Sは、この外周面20Aのサイド領域を表している。センター領域Cでは、第一流路30が外周面20Aに沿って形成されている。それぞれのサイド領域Sでは、第二流路32が外周面20Aに沿って形成されている。それぞれの隔壁34はセンター領域Cとサイド領域Sとの境界で、第一流路30と第二流路32とを仕切っている。
【0016】
この冷却ドラム20では、第一配管22を流れる流体は、第一供給管36から第一流路30に供給される。この流体は、第一流路30を通って第一排出管38から排出される。これにより、流体は、センター領域Cにおける外周面20Aに沿って流動可能である。また、第二配管24を流れる流体は、第二供給管40から第二流路32に供給される。この流体は、第二流路32を通って第二排出管42から排出される。これにより、この流体は、それぞれのサイド領域Sで外周面20Aに沿って流動可能である。
【0017】
図4には、この冷却ドラム20の使用状態が示されている。この冷却ドラム20の外周面20Aに、高温シート16が接触している。この高温シート16は、外周面20Aのセンター領域Cに主に接触している。冷却ドラム20は、図示されない駆動装置によって、回転可能である。この冷却ドラム20が回転することで、高温シート16は、冷却ドラム20によって搬送されつつ冷却されうる。
【0018】
ここで、図1から図4を参照しつつ、ゴムシート製造装置2を用いたタイヤの製造方法が説明される。
【0019】
図1に示される押出機4にゴム材料が供給される(STEP1)。このゴム材料が押出機4で混練され押出成形される(STEP2)。押出成形されたゴム材料が圧延機6で圧延され、高温シート16が得られる(STEP3)。この高温シート16が冷却機10の冷却ドラム20で搬送されつつ冷却され、ゴムシート18が得られる(STEP4)。このゴムシート18が、巻取りロール14に巻き取られる(STEP5)。
【0020】
図示されないが、この巻取りロール14から繰り出されたゴムシート18が所定の長さで切断され、シート部材が得られる(STEP6)。このシート部材が他のゴム部材と組み合わされてローカバーが形成される(STEP7)。このローカバーが加圧及び加熱され、タイヤが得られる(STEP8)。
【0021】
このゴムシート製造装置2の冷却ドラム20は、センター領域Cに位置する第一流路30とサイド領域Sに位置する第二流路32とを備える。この第一流路30を流れる流体の温度と第二流路32を流れる流体の温度とは個別に設定される。言い換えると、センター領域Cの設定温度とサイド領域Sの設定温度とは個別に設定される。この冷却ドラム20は、軸方向の位置で、設定温度を変えることができる。
【0022】
このタイヤの製造方法では、第二流路32を流れる流体の温度が第一流路30を流れる流体の温度より高温にされている。低温にされるセンター領域Cで高温シート16が主に冷却される。低温にされたセンター領域Cを高温シート16に接触させて、冷却時間は短縮される。一方で、センター領域Cより高温にされたサイド領域Sは、高温シート16があまり接触しない領域である。このサイド領域Sは、センター領域Cを低温しても、過度に冷却されない。このサイド領域Sは、過度の冷却による結露の発生が抑制される。
【0023】
このタイヤの製造方法では、第一流路30を流れる流体と第二流路32を流れる流体との温度差を大きくすることで、冷却時間が短縮され、結露の発生が抑制される。この観点から、第一流路30を流れる流体と第二流路32を流れる流体との温度差は、好ましくは3℃以上であり、更に好ましくは5℃以上である。
【0024】
このゴムシート製造装置2は、第一流路30を流れる流体の温度を調整する第一温度調節器26と第二流路32を流れる流体の温度を調整する第二温度調節器28とを備える。ゴムシート製造装置2では、このセンター領域Cの設定温度とサイド領域Sの設定温度とが、高温シート16や室温等の環境に対応させて設定できる。このゴムシート製造装置2は、厚さが異なる他の高温シート等にも適用しうる。この観点から、ゴムシート製造装置2では、第一温度調節器26と第二温度調節器28とを備えることが好ましい。なお、ゴムシート製造装置2は、必ずしも、第一温度調節器26と第二温度調節器28とを備えなくてもよい。
【0025】
このゴムシート製造装置2では、冷却機10は、8台の冷却ドラム20を備えるが、冷却ドラム20の台数は1台でもよく、特に限定されない。また、冷却機10は、冷却ドラム20と従来の冷却ドラムとを備えていてもよい。また、第一流路30及び第二流路32は、外周面20Aに沿って螺旋状に延びているが、周方向に延びていてもよい。
【0026】
ここでは、ゴムシート製造装置2は、未加硫ゴムからなるゴムシート18の製造に用いられたが、複数のコードとこれらのコードを覆うトッピングゴムとからなる他のゴムシートの製造に用いられてもよい。この場合、ゴムシート製造装置2は、シート成形機として、一対の他のゴムシートを成形する一対の他の圧延機と、並べられた複数のコードを一対のゴムシートで挟み込んで他のゴムシートを成形する更に他の圧延機とを備えていてもよい。
【0027】
ゴムシート製造装置2では、第一流路30を流れる流体の温度と第二流路32を流れる流体の温度とが変えられたが、これに限られない。第一流路30を流れる流体の流量と第二流路32を流れる流体の流量とが変えられてもよい。ここでいう流量とは、単位時間当りの流量を意味ずる。これにより、流量が大きいセンター領域Cで高温シート16が主に冷却される。流量が小さいサイド領域Sは、過度の冷却による結露の発生が抑制されうる。
【0028】
このゴムシート製造装置2では、第一流路30を流れる流体と第二流路32を流れる流体との流量差を大きくすることで、冷却時間が短縮され、結露の発生が抑制される。この観点から、第一流路30を流れる流体と第二流路32を流れる流体との流量比は、好ましくは3/4以下であり、更に好ましくは1/2以下である。
【0029】
このゴムシート製造装置2は、第一温度調節器26に代えて第一流量調節器を備え、第二温度調節器28に代えて第二流量調節器を備えてもよい。これにより、このセンター領域Cの設定流量とサイド領域Sの設定流量とが、高温シート16や室温等の環境に対応させて設定できる。このゴムシート製造装置2は、厚さが異なる他の高温シート等にも適用しうる。この観点から、ゴムシート製造装置2では、第一流量調節器と第二流量調節器とを備えることが好ましい。なお、ゴムシート製造装置2は、必ずしも、第一流量調節器と第二流量調節器とを備えなくてもよい。
【0030】
更に、ゴムシート製造装置2では、第一流路30を流れる流体の温度及び流量と、第二流路32を流れる流体の温度及び流量とが変えられてもよい。この場合には、好ましくは、ゴムシート製造装置2は、第一温度調節器26に加えて第一流量調節器を備え、第二温度調節器28に加えて第二流量調節器を備える。
【0031】
図5には、他の実施形態に係るゴムシート製造装置44が備える冷却ドラム46が示されている。ここでは、ゴムシート製造装置44に関し、ゴムシート製造装置2と異なる構成が説明される。ゴムシート製造装置2と同様の構成について、その説明が省略され、ゴムシート製造装置2と同じ符号を用いて説明がされる。
【0032】
ゴムシート製造装置44は、冷却ドラム20に代えて冷却ドラム46を備える。この冷却ドラム46では、軸方向中央に第一流路48が位置する。第一流路48の軸方向外側に一対の第二流路50が位置する。それぞれの第二流路50の軸方向外側に第三流路52が位置する。それぞれの第三流路52の軸方向外側に第四流路54が位置する。それぞれの第四流路54の軸方向外側に第五流路56が位置する。それぞれの第五流路56の軸方向外側に第六流路58が位置する。それぞれの第六流路58の軸方向外側に第七流路60が位置する。
【0033】
第一流路48、第二流路50、第三流路52、第四流路54、第五流路56、第六流路58及び第七流路60の間は、それぞれ隔壁62で仕切られている。第一流路48、第二流路50、第三流路52、第四流路54、第五流路56、第六流路58及び第七流路60のそれぞれは、外周面46Aに沿って周方向に延びている。
【0034】
図示されないが、冷却ドラム46は、第一流路48から第七流路60までのそれぞれの流路に対応する配管、供給管及び排出管を備える。これにより、冷却ドラム46では、それぞれの流路に個別に流体が流される。ゴムシート製造装置44は、更に、第一流路48から第七流路60のそれぞれを流れる流体の温度を調整する温度調節器を備える。
【0035】
この冷却ドラム46では、第一流路48から第七流路60までのそれぞれの流路を流れる流体の温度は、個別に変更される。この冷却ドラム46では、外周面46Aの軸方向位置に対応させて細かく設定温度を変えることができる。
【0036】
更に、ゴムシート製造装置44が、第一流路48から第七流路60までのそれぞれを流れる流体の温度を調整する温度調節器を備える。これにより、高温シート16の形状や室温等の環境に対応させて、軸方向位置毎に温度が設定されうる。例えば、その厚さが軸方向に異なる形状を備える高温シート16の冷却では、厚い部分に対応する位置で設定温度を下げて、薄い部分に対応する位置で設定温度を上げることできる。この観点から、ゴムシート製造装置44は、第一流路48から第七流路60を流れるそれぞれの流体の温度を調整する温度調節器を備えることが好ましい。
【0037】
この冷却ドラム46は、第一流路48から第七流路60までを備えたが、これに限定されない。この冷却ドラム46の流路の数は、2以上の複数であればよい。
【0038】
また、冷却ドラム46は、第一流路48の軸方向外側に、一対の第二流路50から一対の第七流路60までの流路を備えたが、これに限定されない。例えば、この冷却ドラム46の一対の第二流路50から一対の第七流路60までの流路がそれぞれ別個の流路として形成されてもよい。この場合、冷却ドラム46が備える流路の数は13である。
【0039】
このゴムシート製造装置44では、第一流路48から第七流路60までのそれぞれを流れる流体の温度が変えられたが、これに限られない。ゴムシート製造装置44では、第一流路48から第七流路60までのそれぞれを流れる流体の流量が変えられてもよい。
【0040】
この場合には、好ましくは、ゴムシート製造装置44は、流体の温度を調整する温度調節器に代えて、第一流路48から第七流路60のそれぞれを流れる流体の流量を調整する流量調節器を備える。この冷却ドラム46では、第一流路48から第七流路60までのそれぞれの流路を流れる流体の流量は、個別に変更される。この冷却ドラム46では、外周面46Aの軸方向位置に対応させて細かく設定流量を変えることができる。
【0041】
更に、高温シート16の形状や室温等の環境に対応させて、軸方向位置毎に流量が設定されうる。例えば、その厚さが軸方向に異なる形状を備える高温シート16の冷却では、厚い部分に対応する位置で設定流量を上げ、薄い部分に対応する位置で設定流量を下げることできる。この観点から、ゴムシート製造装置44は、第一流路48から第七流路60を流れるそれぞれの流体の流量を調整する流量調節器を備えることが好ましい。
【0042】
更に、ゴムシート製造装置44では、第一流路48から第七流路60までのそれぞれを流れる流体の温度及び流量が変えられてもよい。この場合には、好ましくは、ゴムシート製造装置44は、第一流路48から第七流路60のそれぞれを流れる流体の温度を調整する温度調節器に加えて、第一流路48から第七流路60のそれぞれを流れる流体の流量を調整する流量調節器を備える。
【実施例0043】
以下、実施例に係るゴムシート製造装置の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本明細書で開示された範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0044】
[実施例1]
図1に示されたゴムシート製造装置が用いられて、一週間、ゴムシートが製造された。第一流路には第一流体としての水が供給され、第二流路には第一流路を流れる水より高温の水が供給された。なお、高温の水は21℃であり、低温の水は16℃であり、いずれの水の温度も室温より低温にされた。この第一流路及び第二流路を流れる水の流量はいずれもV(m/min)にされた。
【0045】
[実施例2]
第一流路及び第二流路の両方に、実施例1の第一流路に用いられた水が供給された。第一流路を流れる水の流量は実施例1のそれと同じにされた。第二流路を流れる水の流量は第一流路を流れる水の流量の1/2にされた。その他は、実施例1と同様にして、一週間、ゴムシートが製造された。
【0046】
[比較例1]
第一流路及び第二流路に、実施例1の第二流路に用いられた水が供給された。その他は、実施例1と同様にして、一週間、ゴムシートが製造された。
【0047】
[比較例2]
第一流路及び第二流路に、実施例1の第一流路に用いられた水が供給された。その他は、実施例1と同様にして、一週間、ゴムシートが製造された。
【0048】
[評価]
それぞれのゴムシートの製造における、冷却ドラムの結露の有無と、ゴムシートの不良率と、ゴムシートの生産性(単位時間当り生産数量)との評価結果が、表1に示されている。ゴムシートの不良率の評価は、比較例2の不良率を100とする指数で表されている。この指数は小さいほど不良率が低く、好ましい。ゴムシートの生産性の評価は、比較例2の生産性を100とする指数で表されている。この指数は大きいほど生産性が高く、好ましい。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【0051】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0052】
[項目1]
ゴム材料から帯状の高温シートを形成するシート成形機と、
軸方向中央に位置し流体が流れる第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置し前記第一流路と個別に流体が流れる第二流路とを備え、前記高温シートを冷却する冷却ドラムと
を備える、タイヤ用ゴムシート製造装置。
【0053】
[項目2]
前記第一流路を流れる流体の温度を調整する第一温度調節器と、
前記第二流路を流れる流体の温度を調整する第二温度調節器と
を更に備える、項目1に記載のゴムシート製造装置。
【0054】
[項目3]
前記第一流路を流れる流体の流量を調整する第一流量調節器と、
前記第二流路を流れる流体の流量を調整する第二流量調節器と
を更に備える、項目1又は2に記載のゴムシート製造装置。
【0055】
[項目4]
前記冷却ドラムが、
前記第二流路の軸方向外側に位置しそれぞれ個別に流体が流れる1又は2以上の流路を更に備える、項目1から3のいずれかに記載のゴムシート製造装置。
【0056】
[項目5]
前記第二流路の軸方向外側に位置する、それぞれの流路を流れる流体の温度を調整する温度調節器を更に備える、項目4に記載のゴムシート製造装置。
【0057】
[項目6]
前記第二流路の軸方向外側に位置する、それぞれの流路を流れる流体の流量を調整する流量調節器を更に備える、項目4又は5に記載のゴムシート製造装置。
【0058】
[項目7]
ゴム材料から帯状の高温シートを形成し、
軸方向中央に位置する第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置する第二流路とを備える冷却ドラムの、前記第一流路に流体を流し、前記第二流路に前記第一流路を流れる流体より高温の流体を流しつつ、前記冷却ドラムで前記高温シートを冷却しゴムシートを得、
前記ゴムシートを用いてタイヤ用ローカバーを形成する、タイヤの製造方法。
【0059】
[項目8]
ゴム材料から帯状の高温シートを形成し、
軸方向中央に位置する第一流路と前記第一流路の軸方向外側に位置する第二流路とを備える冷却ドラムの、前記第一流路に流体を流し、前記第二流路に前記第一流路を流れる流体の流量より少ない流量の流体を流しつつ、前記冷却ドラムで前記高温シートを冷却しゴムシートを得、
前記ゴムシートを用いてタイヤ用ローカバーを形成する、タイヤの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0060】
前述のゴムシート製造装置は、押出しや圧延等によってゴム材料から得られるゴムシートの製造に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0061】
2、44・・・ゴムシート製造装置
4・・・押出成形機
6・・・圧延機
16・・・高温シート
18・・・ゴムシート
20・・・冷却ドラム
26・・・第一温度調節器
28・・・第二温度調節器
30、48・・・第一流路
32、50・・・第二流路
52・・・第三流路
54・・・第四流路
56・・・第五流路
58・・・第六流路
60・・・第七流路
図1
図2
図3
図4
図5