(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089114
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】再資源化処理方法及び再生油製造方法
(51)【国際特許分類】
C11B 13/00 20060101AFI20220608BHJP
C10L 1/00 20060101ALI20220608BHJP
B01D 17/00 20060101ALI20220608BHJP
C02F 1/04 20060101ALI20220608BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
C11B13/00
C10L1/00
B01D17/00 503A
C02F1/04 D
B01D35/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020211832
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】320006793
【氏名又は名称】柘植 泰
(72)【発明者】
【氏名】柘植 泰
【テーマコード(参考)】
4D034
4D116
4H013
4H059
【Fターム(参考)】
4D034AA26
4D034BA01
4D034CA12
4D116AA24
4D116GG21
4D116QA26A
4D116QA26D
4D116QA26G
4D116QA53A
4D116QA53D
4D116QA53G
4D116VV01
4H013AA05
4H059BA33
4H059BC13
4H059CA05
4H059CA06
4H059CA51
4H059CA72
4H059CA93
4H059DA08
4H059DA09
(57)【要約】
【課題】使用済み油又は廃油を産業上有利に再資源化でき、特に、前記使用済み油又は廃油から高品質の再生油を効率よく得ることができる再資源化処理方法及び再生油製造方法を提供する。
【解決手段】使用済み油又は廃油から再生油を分離することにより前記再生油を製造する方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物から、再生油を分離する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み油又は廃油を再資源化処理に付す方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物を前記使用済み油又は廃油として前記再資源化処理に付すことを特徴とする再資源化方法。
【請求項2】
前記溶媒が、水を含む請求項1記載の再資源化処理方法。
【請求項3】
前記使用済み油又は廃油に対する前記溶媒の配合割合が5体積%~35体積%である請求項1又は2に記載の再資源化処理方法。
【請求項4】
前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程をさらに含む請求項1~3のいずれかに記載の再資源化処理方法。
【請求項5】
前記の水分の除去を、水層と油層との層分離及び/又は乾燥により行う請求項4記載の再資源化処理方法。
【請求項6】
前記冷却を、10℃以下の温度にて行う請求項4又は5に記載の再資源化処理方法。
【請求項7】
前記の冷却後、前記冷却によって生じた析出物を濾過フィルターにて除去する請求項4~6のいずれかに記載の再資源化処理方法。
【請求項8】
使用済み油又は廃油から再生油を分離することにより前記再生油を製造する方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物から、再生油を分離することを特徴とする再生油製造方法。
【請求項9】
前記溶媒が、水を含む請求項8記載の再生油製造方法。
【請求項10】
前記使用済み油又は廃油に対する前記溶媒の配合割合が5体積%~35体積%である請求項8又は9に記載の再生油製造方法。
【請求項11】
前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程を含み、前記冷却後、前記再生油を分離する請求項8~10のいずれかに記載の再生油製造方法。
【請求項12】
前記の水分の除去を、水層と油層との層分離及び/又は乾燥により行う請求項11記載の再生油製造方法。
【請求項13】
前記冷却を、10℃以下の温度にて行う請求項11又は12に記載の再生油製造方法。
【請求項14】
前記の冷却後、前記冷却によって生じた析出物を濾過フィルターにて除去する請求項11~13のいずれかに記載の再生油製造方法。
【請求項15】
前記の再生油の分離を、濾過フィルターを用いて濾過することにより行う請求項8~14のいずれかに記載の再生油製造方法。
【請求項16】
前記濾過フィルターが、100メッシュ及び目開き149μm~200メッシュ及び目開き74μmのフィルターである請求項15記載の再生油製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み油又は廃油を再資源化し、再生油を製造する再資源化処理方法及び再生油製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、飲食店、スーパー、コンビニエンスストアー、学校及び一般家庭等において揚げ物等で使用した廃食油が生じ、これをそのまま下水等に放出すると環境問題を引き起こす恐れがあり、廃食油を、環境にやさしくなるように、再資源化処理したり、再生油を分離回収したりすることが検討されている。
【0003】
特許文献1には、色相の悪い廃食油をアルコール等で処理後、活性白土等の吸着剤で精製する方法が開示され、脱色精製処理後の廃食用油を植物インキ用原料やバイオディーゼル用燃料等に利用することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、廃食用油を濾過して遺物を除去しクリーン廃食用油とし、これにメタノール及び苛性アルカリを加えてエステル化し、そのエステル化油を水洗後層分離し、上層部分を吸着処理する廃食用油の再生方法が開示され、得られた再生油を切削油やディーゼルエンジン油等に用いることが開示されている。
【0005】
しかしながら、いずれも再生油の分離回収効率が悪く、また、粘度の高い廃食油は、前処理で粘度を例えば20mPa・s程度かそれ以下まで低くしなければ分離回収できない等の問題があり、さらにその場合には、分離回収効率が悪くなる等の問題もあり、効率よく高品質の再生油が得られるような方策が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-115711号公報
【特許文献2】特開2005-171161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用済み油又は廃油を産業上有利に再資源化でき、特に、前記使用済み油又は廃油から高品質の再生油を効率よく得ることができる再資源化処理方法及び再生油製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、使用済み油又は廃油を再資源化処理に付す方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物を前記使用済み油又は廃油として前記再資源化処理に付す再資源化方法が、使用済み油又は廃油を産業上有利に再資源化でき、特に、前記使用済み油又は廃油から高品質の再生油を効率よく得ることができる方策であることを知見し、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 使用済み油又は廃油を再資源化処理に付す方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物を前記使用済み油又は廃油として前記再資源化処理に付すことを特徴とする再資源化方法。
[2] 前記溶媒が、水を含む前記[1]記載の再資源化処理方法。
[3] 前記使用済み油又は廃油に対する前記溶媒の配合割合が5体積%~35体積%である前記[1]又は[2]に記載の再資源化処理方法。
[4] 前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程をさらに含む前記[1]~[3]のいずれかに記載の再資源化処理方法。
[5] 前記の水分の除去を、水層と油層との層分離及び/又は乾燥により行う前記[4]記載の再資源化処理方法。
[6] 前記冷却を、10℃以下の温度にて行う前記[4]又は[5]に記載の再資源化処理方法。
[7] 前記の冷却後、前記冷却によって生じた析出物を濾過フィルターにて除去する前記[4]~[6]のいずれかに記載の再資源化処理方法。
[8] 使用済み油又は廃油から再生油を分離することにより前記再生油を製造する方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物から、再生油を分離することを特徴とする再生油製造方法。
[9] 前記溶媒が、水を含む前記[8]記載の再生油製造方法。
[10] 前記使用済み油又は廃油に対する前記溶媒の配合割合が5体積%~35体積%である前記[8]又は[9]に記載の再生油製造方法。
[11] 前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程を含み、前記冷却後、前記再生油を分離する前記[8]~[10]のいずれかに記載の再生油製造方法。
[12] 前記の水分の除去を、水層と油層との層分離及び/又は乾燥により行う前記[11]記載の再生油製造方法。
[13] 前記冷却を、10℃以下の温度にて行う前記[11]又は[12]に記載の再生油製造方法。
[14] 前記の冷却後、前記冷却によって生じた析出物を濾過フィルターにて除去する前記[11]~[13]のいずれかに記載の再生油製造方法。
[15] 前記の再生油の分離を、濾過フィルターを用いて濾過することにより行う前記[8]~[14]のいずれかに記載の再生油製造方法。
[16] 前記濾過フィルターが、100メッシュ及び目開き149μm~200メッシュ及び目開き74μmのフィルターである前記[15]記載の再生油製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の再資源化処理方法及び再生油製造方法によれば、使用済み油又は廃油を産業上有利に再資源化でき、特に、前記使用済み油又は廃油から高品質の再生油を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】試験例における冷却析出分離性の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の再資源化処理方法は、使用済み油又は廃油を再資源化処理に付す方法であって、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である使用済み油含有組成物を得る工程を含み、前記使用済み油含有組成物を前記使用済み油又は廃油として前記再資源化処理に付すことを特長とする。
【0013】
「粘度」は、JIS Z 8803に規定する粘度計を用いて測定されるものであり、液体内部に生じる流れに抵抗する性質で、せん断応力とせん断速度との比をいう。
【0014】
「引火点」は、JIS K 2265-2に規定する迅速平衡密閉法に準拠して測定されるものをいう。
【0015】
また、本発明の再生油製造方法は、前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程を含み、前記冷却後、前記再生油を分離することを特長とする。
【0016】
以下、本発明の好ましい態様を説明するが、本発明は、これら態様に限定されるものではない。
【0017】
本発明においては、好適には、(1)40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である油含有組成物を得る工程、(2)40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する工程、および(3)前記冷却後、前記再生油を分離する工程を含む。
【0018】
工程(1)では、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える前記使用済み油又は廃油に、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒を加えて混合することにより、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である油含有組成物を得る。
【0019】
前記使用済み油は、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える使用済み油であれば特に限定されず、公知の使用済み油であってよい。前記使用済み油としては、例えば使用済みの燃料油、食用油、工業用油、家庭用油、鉱物油、植物油、動物油脂等が挙げられる。前記使用済み油は、油成分以外にも水分等の他の成分が含まれていてもよい。前記廃油は、40℃における粘度が48mPa・sを超え、かつ引火点が300℃を超える廃油であれば特に限定されず、公知の廃油であってよい。前記廃油としては、例えば廃食油、廃棄物の燃料油、食用油、鉱物油、植物油又は動物油脂等が挙げられる。前記廃油は、油成分以外にも水分等の他の成分が含まれていてもよい。
【0020】
前記溶媒は、40℃における粘度が48mPa・s以下であり、かつ引火点が300℃以下である溶媒であれば特に限定されず、公知の溶媒であってよい。前記溶媒としては、例えば、無機溶媒又は有機溶媒などが挙げられるが、本発明においては、前記溶媒が、水、アルコール又は苛性アルキルであるのが好ましく、水又は低級アルコールであるのがより好ましく、水であるのが最も好ましい。なお、前記溶媒は、加熱して用いられてもよく、本発明においては、例えば水を50℃~70℃の温度にて用いるのも好ましい。なお、前記水としては、特に限定されないが、水道水、工業用水、川水、地下水、井戸水、蒸留水、イオン交換水、純水などが挙げられる。
【0021】
前記使用油又は廃油に対する前記溶媒の配合割合は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは5体積%~35体積%であり、より好ましくは10体積~30体積%である。
【0022】
前記油含有組成物は、前記使用済み油又は廃油が含まれている組成物であって、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃であれば特に限定されず、液状であっても、ゾル状であっても、ゲル状であってもよい。本発明においては、前記油含有組成物が、前記使用済み油又は廃油を主成分として含むのが好ましい。「主成分」は、全体に対して、50質量%以上含む成分をいう。
【0023】
工程(2)では、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である前記油含有組成物を、前記油含有組成物に含まれる水分を除去した後、冷却する。
【0024】
前記の水分の除去は、前記油含有組成物の水分を除去する処理であれば特に限定されず、完全に水分を除去する必要もなく、一部の水分が除去できればそれでよい。本発明においては、前記の水分の除去を、水層と油層との層分離及び/又は乾燥にて行うのが好ましい。例えば、前記油含有組成物に水を用いた場合には、水層と油層との層分離が生じるので、上澄みの水層を取り除けばよい。また、乾燥も前記水分の全部又は一部が除去できればそれでよく、天日干し等であってよく、高温にて乾燥させる必要もない。
【0025】
前記冷却は、前記油含有組成物を冷却できさえすれば特に限定されないが、本発明においては、前記油含有組成物が冷却によって低温特性が劣る成分が析出するので、析出物が生じるまで冷却するのが好ましい。また、本発明においては、前記冷却を、10℃以下の温度にて行うのが好ましく、5℃以下の温度にて行うのがより好ましい。冷却手段も特に限定されず、公知の冷却手段であってよい。
【0026】
工程(3)では、前記冷却後、前記再生油を分離する。
【0027】
本発明においては、前記冷却によって再生油が分離しやすくなり、特に、前記冷却によって生じる析出物を濾過フィルターにて除去することにより、高品質の再生油を容易にかつ効率的に得ることができる。そのため、本発明においては、前記の再生油の分離を、濾過フィルターを用いて濾過することにより行うのが好ましい。前記濾過フィルターは、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の濾過フィルターであってよい。本発明においては、前記濾過フィルターが、100メッシュ及び目開き149μm~200メッシュ及び目開き74μmのフィルターであるのが好ましい。
【0028】
以上のようにして得られた再生油は、低温特性に優れた高品質な油であるので、必要に応じてさらに公知の添加剤や処理が施され、燃料油、食用油、工業用油、家庭用油等の各種油として種々の用途に用いることができる。
【実施例0029】
植物性廃食油(色:ASTMカラー8.0のこげ茶色、匂い:異臭あり、40℃における粘度48.20mPa・s、引火点306℃)を反応容器に入れ、植物性廃食油100体積部に対して20体積部の配合割合で、水道水を反応容器に攪拌しながら加えた。なお、得られた油含有組成物の40℃における粘度は、40.5mPa・sであり、引火点は250℃であった。また、得られた油含有組成物の色は、ASTMカラー6.0の茶色であり、匂いは植物油臭ありだった。
【0030】
油含有組成物の水分(水層)を除去乾燥後、油含有組成物を反応容器ごと冷蔵室に入れ、油含有組成物が10℃以下の温度になるまで冷却した。そして、低温特性が劣る成分の析出が見られたら、同冷蔵室内にて濾過フィルター(100メッシュ、目開き149μm)に通し、再生油を得た。得られた再生油は、低温特性に優れ、非常に高品質であった。
【0031】
(試験例)
前記油含有組成物の粘度及び引火点により、冷却時の析出に変化が見られたので、配合割合並びに水道水以外の溶媒(アルコール、アルカリ)及びその温度で、前記油含有組成物の粘度及び引火点を変えていって、低温特性が劣る成分の析出の様子を試験評価した。なお、再生油を得る手順は実施例1と同様に行った。また、粘度は49.29mPa・s(40℃)までのものを用い、引火点は310℃までのものを用いた。試験結果を
図1に示す。
図1に示されるエリアAの範囲では、非常に優れた冷却析出分離性、すなわち冷却分離が容易で、得られた再生油が高品質である傾向がみられた。そのため、
図1から明らかなように、40℃における粘度が40mPa・s~48mPa・sであり、かつ引火点が250℃~300℃である油含有組成物を用いると、冷却によって、低温特性に劣る成分が容易に析出し、再生油の高品質を効率よく得られることがわかった。