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特開2022-9057冷却パッドを通る冷却流体を循環させるための冷却システム
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  • 特開-冷却パッドを通る冷却流体を循環させるための冷却システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009057
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】冷却パッドを通る冷却流体を循環させるための冷却システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20220106BHJP
   A61F 7/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61F7/00 300
A61F7/10 300H
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167619
(22)【出願日】2021-10-12
(62)【分割の表示】P 2018563173の分割
【原出願日】2017-05-31
(31)【優先権主張番号】1650772-5
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】517132924
【氏名又は名称】ブレインクール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA11
4C099CA12
4C099GA02
4C099HA01
4C099LA07
4C099LA12
4C099LA13
4C099PA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非侵襲的な医療冷却プロセスに使用する改良型冷却システムを提供する。
【解決手段】第1のポンプ70と流体出口導管20と流体入口導管40と流体バイパス導管60を通る冷却流体を流体入口導管から流体出口導管まで圧送するように配置された第2のポンプ80とを備え、第1のポンプが運転されるときに冷却流体がタンク10から流体出口導管まで移送されるように、かつ第2のポンプが運転されるときに冷却流体が流体入口導管から流体出口導管まで移送されるように配置される構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷却パッド(3、4、5)に流れる冷却流体によって人(2)の身体の少なくとも一部を冷却する非侵襲的な医療冷却プロセスに使用する冷却システム(1)であって、
冷却流体を保持するためのタンク(10)と、
前記タンク(10)に連結された、少なくとも第1の冷却パッド(3)の冷却流体用入口に連結されるように構成された出口部分(23)を有する流体出口導管(20)と、
前記タンク(10)に連結された、少なくとも第1の冷却パッド(3)の冷却流体用出口に連結されるように構成された入口部分(43)を有する流体入口導管(40)と、
前記流体出口導管(20)を通る冷却流体を前記タンク(10)から前記出口部分(23)まで圧送するように配置された第1のポンプ(70)と、
前記流体入口導管(40)の前記入口部分(43)および前記流体出口導管(20)の前記出口部分(23)に連結され、それによって前記タンク(10)を迂回する流体バイパス導管(60)であって、前記流体入口導管(40)の前記入口部分(43)に連結される第1の端部(61)と、前記流体出口導管(20)の前記出口部分(23)に連結される第2の端部(62)と、を有する、流体バイパス導管(60)と、
前記流体バイパス導管(60)を通る冷却流体を前記流体入口導管(40)から前記流体出口導管(20)まで圧送するように前記流体バイパス導管(60)の前記第1の端部(61)と前記第2の端部(62)との間に配置された第2のポンプ(80)と、を備え、
冷却流体が前記第1のポンプ(70)に向かう方向に流れるのを防止するために前記流体バイパス導管(60)の前記第2端部(62)と前記第1のポンプ(70)との間に第1の逆止め弁(95)が配置され、
冷却流体が前記第2のポンプ(80)に向かう方向に流れるのを防止するために前記流体バイパス導管(60)の前記第2端部(62)と前記第2のポンプ(80)との間に第2の逆止め弁(96)が配置され、
前記複数の冷却パッド(3、4、5)のそれぞれと、前記出口部分(23)との間に複数の第1の弁手段(90、91、92)が配置され、
冷却システム(1)は、前記第1のポンプ(70)が運転されるときに冷却流体が前記タンク(10)から前記流体出口導管(20)の前記出口部分(23)まで移送されるように、かつ前記第2のポンプ(80)が運転されるときに冷却流体が前記流体入口導管(40)の前記入口部分(43)から前記流体出口導管(20)の前記流体出口部分(23)まで移送されるように配置され、
前記第1のポンプ(70)および前記第2のポンプ(80)が個々に制御され得るように構成され、
第1冷却モードにおいて、
前記第1のポンプ(70)は運転され、
前記第2のポンプ(80)が非活動状態とされ、
前記複数の第1の弁手段(90、91、92)が全て開放位置にあり、
第2冷却モードにおいて、
前記第2のポンプ(80)は運転され、
前記第1のポンプ(70)が非活動状態とされ、
前記複数の第1の弁手段(90、91、92)が全て開放位置にあり、
第3冷却モードにおいて、
前記第2のポンプ(80)は運転され、
前記第1のポンプ(70)が非活動状態とされ、
前記複数の第1の弁手段(90、91、92)の一部のみが開放位置にあることを特徴とする冷却システム(1)。
【請求項2】
冷却流体が前記タンク(10)から前記第2のポンプ(80)に向かう方向に流れるのを防止するために前記流体バイパス導管(60)の前記第1の端部(61)と前記タンク(10)との間に第3の逆止め弁(97)が配置される、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却パッドに流れる冷却流体によって人の身体の少なくとも一部を冷却する
非侵襲的な医療冷却プロセスに使用する冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却パッドは、冷却されるべき身体部分の中または周囲に冷却パッドを配置することに
より人または患者の身体の様々な領域を非侵襲的な方法で医療的に冷却するための医療冷
却プロセスに使用することができる。非侵襲的な冷却システムにとっての最大の利用可能
冷却領域は、患者の背部または胸部上にある。
【0003】
冷却パッドは通常、冷却パッドを通る冷却流体を循環させる冷却システムに連結される
。既知の冷却システムは、冷却流体を一定温度に保つリザーバと冷却パッドを通る冷却流
体を循環させるためのポンプとを備える。既知の冷却システムの一例が米国特許出願第2
002/020317号明細書である。別の冷却システムが国際公開第2016/016
610号パンフレットに示されている。
【0004】
例えば心停止を患っている人は、非侵襲的な医療冷却を受けることができる。この種の
治療の一般的影響は、患者の身体が冷却の結果として震え始めることである。通常の条件
下では、体温がある点、例えば約35℃を越えて低下すると、身体は熱損失を取り戻そう
として震え始める。人によっては不随意の震えが異なる温度で引き起こされることがある
。震えは、震えが患者の力を消費するので望ましくない。さらに、患者は長期の冷却治療
中に熱を出すこともあり、その場合、冷却治療により体温がさらに上昇することもある。
【0005】
患者の震えを回避するために、冷却システムに、冷却流体の温度を制御する加熱回路を
設けることができる。この種の加熱システムは、ヒータ、混合タンクおよび熱交換器を含
み、熱交換器は、既知の冷却システムを複雑にするとともにかさばったものにし、さらに
冷却システムの製造およびメンテナンスの費用を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2002/020317号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/016610号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本開示の目的は、従来技術における問題の少なくとも1つを解決する、非
侵襲的な医療冷却プロセスに使用する改良型冷却システムを提供することである。特に、
本開示の目的は、小型で信頼性がありかつ冷却流体の温度の精密制御を可能にする冷却シ
ステムを提供することである。さらに、本開示の目的は、単純な設計からなりかつ比較的
低い費用で生産され得る冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、これらの目的のうちの少なくとも1つは、冷却パッドに流れる冷却流
体によって人の身体の少なくとも一部を冷却する非侵襲的な医療冷却プロセスに使用する
冷却システムであって、
冷却流体を保持するためのタンクと、
タンクに連結された、少なくとも第1の冷却パッドの冷却流体用入口に連結されるよう
に構成された出口部分を有する流体出口導管と、
タンクに連結された、少なくとも第1の冷却パッドの冷却流体用出口に連結されるよう
に構成された入口部分を有する流体入口導管と、
流体出口導管を通る冷却流体をタンクから出口部分まで圧送するように配置された第1
のポンプと、
流体入口導管の入口部分および流体出口導管の出口部分に連結され、それによってタン
クを迂回する流体バイパス導管であって、流体入口導管の入口部分に連結される第1の端
部および流体出口導管の出口部分に連結される第2の端部を有する、流体バイパス導管と

流体バイパス導管を通る冷却流体を流体入口導管から流体出口導管まで圧送するように
流体バイパス導管の第1の端部と第2の端部との間に配置された第2のポンプと
を備える冷却システムにおいて、
冷却流体が第1のポンプに向かう方向に流れるのを防止するために流体バイパス導管の
第2端部と第1のポンプとの間に第1の逆止め弁が配置され、
冷却流体が第2のポンプに向かう方向に流れるのを防止するために流体バイパス導管の
第2端部と第2のポンプとの間に第2の逆止め弁が配置され、
冷却システムは、第1のポンプが運転されるときに冷却流体がタンクから流体出口導管
の出口部分まで移送されるように、かつ第2のポンプが運転されるときに冷却流体が流体
入口導管の入口部分から流体出口導管の出口部分まで移送されるように配置されること
を特徴とする冷却システムによって満たされる。
【0009】
本開示の冷却システムでは、流体バイパス導管により、すべての冷却流体が流体入口導
管の入口開口から流体出口開口の出口開口まで冷却材タンクを通過せずに直接循環させら
れることが可能になる。冷却流体がこのようにして循環させられると、驚いたことに冷却
流体の十分な混合が冷却パッド内で実現されることが分かっている。すなわち、冷却パッ
ド内の冷却流体が患者の皮膚から熱を除去するのと同時に、冷却流体は混合され、速やか
に患者の皮膚温の温度に近い温度になる。
【0010】
冷却パッドの温度は患者の皮膚温に近い温度に保持されるので、患者は、震えまたは発
熱の点で何の副作用もなく十分に冷却され得る。特に、熱のある患者を過度に冷却すると
発熱の増大を引き起こす。さらに、熱のある人において、体温、またはいわゆる発熱曲線
が経時的に変化することがある。しかしながら、冷却パッドの温度は、患者の皮膚のどん
な温度変化にも速やかに順応し、人の発熱曲線に近い温度のままである。
【0011】
本開示による冷却システムの付加的利点は、冷却流体が3つの冷却パッドに選択的に供
給され得ることである。タンクからも流体バイパス導管からも。これは、多かれ少なかれ
冷受容器(cold receptors)を有する身体の各領域に冷却流体を選択的に
導く可能性を提供し、それによって患者を冷却する高度の自由度を提供する。
【0012】
したがって、本開示による冷却システムは、単純でコンパクトな設計で、冷却パッドの
冷却流体の温度の効果的な制御を維持するのを容易にする。
【0013】
さらに、冷却システムの特徴および代替手段は、以下の詳細な説明および添付の特許請
求の範囲に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の好ましい一実施形態による冷却システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本開示による冷却システムについて以下でより詳細に説明する。しかしながら、
本開示による冷却システムは多くの様々な形で具現化することができ、本明細書に記載さ
れている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は
、本開示が徹底的で完全なものとなり、本開示の範囲を当業者に十分に伝達するように、
例として提供される。同じ参照番号は、本明細書全体を通じて同じ要素を参照する。
【0016】
図1は、本開示による冷却システム1の概略図を示す。冷却システム1は、冷却パッド
3、4、5に流れる冷却流体によって人2の身体の少なくとも一部を冷却する非侵襲的な
医療冷却プロセスに使用するためのものである。各冷却パッドは、冷却液(coolin
g liquid)の流れを冷却パッドに導入するための入口開口(図示せず)と冷却パ
ッドから冷却液の流れを出すための出口開口(図示せず)とを有する。冷却パッドは、対
向するシリコンシートで製造され、適切な体積、例えば2~5cm3の冷却液を含むよう
に設計することができる。冷却パッドは、さらに、冷却パッドを通る冷却液の乱流を引き
起こし、それによって冷却液と患者の皮膚との間の良好な混合および効果的な熱伝達を確
実にするように構成され得る。本開示の冷却システムに適した冷却パッドが、出願人の非
公開のスウェーデン特許出願第1551499-5号明細書に記述されている。
【0017】
冷却システムは冷却流体を保持するためのタンク10を備え、冷却流体は水または水と
MPGグリコールとの混合物とすることができる。タンクは、冷却流体の温度を所定の水
準、例えば4℃に保つための熱交換器ユニット(図示せず)を備えることもできる。
【0018】
冷却システム1は、冷却流体をタンク4から冷却パッド3、4、5まで移送するための
流体出口導管20を備える。流体出口導管20はタンク10に連結され、流体出口導管2
0を通る冷却流体をポンプで送るための第1のポンプ70を備える。ポンプは遠心ポンプ
とすることができる。流体出口導管20は、第1のポンプ70から延びて少なくとも1つ
の出口開口27で終端する出口部分23をさらに備え、出口開口27は、少なくとも1つ
の冷却パッドの入口開口に液密連結されるように構成される。開示された実施形態では、
出口部分23は、出口開口27、28、29でそれぞれ終端する3つの出口分岐24、2
5、26を備える。
【0019】
少なくとも1つの出口開口27、28、29を閉鎖するために、出口部分23に少なく
とも1つの弁手段90、91、92、例えばオン/オフ弁が設けられてもよい。図1では
、分岐24~26はそれぞれ、各分岐の流体出口27、28、29を閉じるためのオン/
オフ弁の形をとる弁手段90、91、92を有する。弁手段90、91、92は互いに独
立して操作され、したがって出口開口27、28、29の選択的閉鎖を可能にすることが
できる。
【0020】
冷却システム1は、タンク10から、少なくとも1つの入口開口47で終端する入口部
分43まで延びる流体入口導管40をさらに備え、入口部分43は、少なくとも1つの冷
却パッドの出口開口に液密連結されるように構成される。既述の実施形態では、入口部分
43は、入口開口47、48、49でそれぞれ終端する3つの入口分岐44、45、46
を備える。
【0021】
したがって、冷却液がタンク10から供給され、第1のポンプ70によって流体出口導
管20を通って冷却パッド110、120、130に圧送され、冷却パッド110、12
0、130から流体入口導管40を通ってタンク10に戻され得る。
【0022】
本開示によれば、冷却システム1は流体バイパス導管60を備え、流体バイパス導管6
0は、流体入口導管40の流体入口部分43および流体出口導管20の流体出口部分23
に連結される。冷却システム1は第2の流体ポンプ80をさらに備え、第2の流体ポンプ
80は、冷却流体を流体入口導管40の入口部分43から流体出口導管20の出口部分2
3まで圧送するように配置される。冷却システム1は、第1のポンプ70が運転されると
きにすべての冷却流体がタンク10から流体出口導管20の出口部分23まで移送される
ように配置される。冷却システム1はさらに、第2のポンプ80が運転されるときにすべ
ての冷却流体が流体入口導管40の入口部分43から流体出口導管20の流体出口部分2
3まで移送されるように配置される。
【0023】
流体バイパス導管60はそれによって第1の端部61および第2の端部62を備える。
第1の端部61は流体入口導管40の入口部分43に連結され、第2の端部62は流体出
口導管20の出口部分23に連結される。
【0024】
第2のポンプ80は、流体バイパス導管60において、流体バイパス導管60の第1の
端部61と第2の端部62との間に配置される。第2のポンプ80は、第2のポンプ80
が流体を流体バイパス流路60の第1の端部61から流体バイパス流路60の第2の端部
62への方向に圧送するように配置される。冷却システム1は、第1のポンプ70および
第2のポンプ80が運転されるときに冷却流体の流れを制御するための3つの逆止め弁9
5、96、97をさらに備える。逆止め弁は、弁を通る流体の一方向の流れを可能にする
が、弁を通る流体の逆方向の流れを阻止する。
【0025】
第1の逆止め弁95は、流体出口導管20の出口部分23に配置される。第1の逆止め
弁95はそれによって第1の流体ポンプ70と流体バイパス導管60の第2の端部62と
の間に配置される。第1の逆止め弁95は、冷却流体が流体バイパス導管の第2の端部6
2から第1の流体ポンプ70に向かう方向に流れるのを阻止するように配置される。
【0026】
したがって、流体バイパス導管60の第2の端部62は、第1の逆止め弁95と出口部
分23の出口開口27、28、29との間に配置される。特に、流体バイパス導管60の
第2の端部62は、出口部分23の弁手段90、91、92と第1の逆止め弁95との間
に配置される。
【0027】
第2の逆止め弁96は、流体バイパス導管60において、流体バイパス導管60の第2
の端部62と第2のポンプ80との間の位置に配置される。第2の逆止め弁96は、冷却
流体が流体バイパス導管60の第2の端部62から第2の流体ポンプ80に向かう方向に
流れるのを阻止するように配置される。
【0028】
第3の逆止め弁97は、流体入口流路40において、タンク10と流体バイパス導管6
0の第1の端部61との間の位置に配置される。第2の逆止め弁96は、冷却流体がタン
ク10から流体バイパス導管60に向かう方向に流れるのを阻止するように配置される。
【0029】
したがって、流体バイパス導管60の第1の端部61は、流体入口部分40の入口開口
47、48、40と第3の逆止め弁97との間に配置される。
以下では、本開示による冷却システム1の運転について説明する。
【0030】
冷却システム1は、患者2に強い冷却が提供される第1の冷却モードで運転することが
できる。第1の冷却モードでは、第2のポンプ80はオフ状態、すなわち非活動状態であ
り、したがって冷却液を圧送しない。3つの弁手段90、91、92は開放位置にあり、
したがって冷却流体の3つの冷却パッド3、4、5の中への流れを可能にすることができ
る。第1のポンプ70は運転され、すなわちオン状態であり、冷却液をタンク10から流
体出口導管20を通って流体出口27、28、29までかつ冷却パッド3、4、5の中に
まで圧送される。第1のポンプ70の運転中、第2の逆止め弁96は、冷却流体が流体バ
イパス導管60に流れるのを阻止する。冷却液は、冷却パッド3、4、5から流体入口開
口47、48、49を経由して戻り、流体入口導管40を通ってタンク10に戻される。
第1の冷却モードでは、冷却液は、タンク10において継続的に再循環させられ、したが
って一定低温、例えば4℃に保持される。患者2の中核体温は、冷却中に温度センサ6に
よって監視され得る。設定された目標中核温度値になると、患者2の冷却は、震えを回避
するために弁手段90、91、92のうちの1つまたは複数を閉じることによって低減す
ることができる。例えば、弁91が閉じられると、患者の胸部上および腋窩付近の冷却が
低減されることになり得る。患者の冷却を低減するために弁手段90、91、92のうち
の1つまたは複数を繰返し開閉することも可能である。
【0031】
第2の冷却モードでは、目的は、発熱を引き起こす冷却効果を回避するために冷却パッ
ド3、4、5を患者の皮膚温に近い温度に保持することである。したがって、第2の冷却
モードでは、第1の流体ポンプ70はオフ状態、すなわち非活動状態であり、第2の流体
ポンプ80は運転される、すなわちオン状態である。第2の流体ポンプ80はそれによっ
て、冷却パッド3、4、5から流体入口導管40に流れ込む冷却流体をすべて、流体バイ
パス導管60を通って流体出口ライン20の流体出口部分23の中に、そして冷却パッド
110、120、130の中に直接圧送する。したがって、冷却流体は冷却パッドを通っ
て循環し、タンク10内の冷却液と混合されることはない。したがって、冷却温度は速や
かに患者2の皮膚温になる。
【0032】
冷却システム1は、熱のある患者に軽度の冷却を提供する第3の冷却モードで運転する
こともできる。この場合、冷却システムは第2のモードと同様に運転されるが、弁手段9
2のみ開放している。これにより、冷却流体は、患者の大腿部を冷却する冷却パッド5だ
けを通って循環されることになる。大腿部には冷受容器がほとんどなく、この領域内での
冷却流体の選択的循環により、冷却パッド5の温度は患者の発熱曲線に近い温度に保持さ
れることになる。
【0033】
特定の実施形態が詳細に開示されているが、これは、例示のために行われているにすぎ
ず、限定するものではない。特に、様々な置換、改変および修正が添付の特許請求の範囲
内でなされ得ることが考えられる。
【0034】
特に、「流体出口導管」および「流体入口導管」とは冷却流体を移送するための連続的
流路を意味することが理解されるであろう。
【0035】
特に、流体出口導管は、タンク10から第1のポンプ70まで延びる第1の導管部分と
ポンプ70から第1の逆止め弁95まで延びる第2の導管部分とを備え、第3の導管部分
が第1の逆止め弁95から出口開口27、28、29まで延びることができ、第3の導管
は、第1の逆止め弁95から出口開口27、28、29内で終端する2つまたは3つ以上
の導管分岐24、25、26まで延びることもできることが理解されるであろう。
【0036】
流体入口導管40は、タンク10から第3の逆止め弁97まで延びる第1の導管部分を
備えることができ、第2の導管部分が第3の逆止め弁97から出口開口47、48、49
まで延びることができ、第2の導管部分は、第3の逆止め弁97から入口開口47、48
、49内でそれぞれ終端する2つまたは3つ以上の導管分岐44、45、46まで延びる
こともできる。
【0037】
流体バイパス導管60は、流体入口導管40の第2の導管から第2のポンプ80まで延
びる第1の導管部分と第2のポンプ80から第2の逆止め弁96まで延びる第2の導管部
分と第2の逆止め弁96から流体出口導管40の第2の導管部分まで延びる第3の導管部
分とを備えることができる。
上記に開示された導管部分は、パイプまたは管もしくは管類の形をとることができる。
【0038】
さらに、特定の用語が本明細書に使用されることがあるが、これらの用語は、一般的で
記述的な意味でのみ使用され、限定するために使用されるものではない。さらに、本明細
書では、「~を備える(comprise/comprises)」という用語は他の要
素の存在を除外するものではない。最後に、特許請求の範囲における参照符号は、単に明
解な例として提供され、特許請求の範囲を限定するものと何ら解釈されるべきではない。
図1