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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090697
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】路面清掃用の車載型ブロワー
(51)【国際特許分類】
   E01H 1/08 20060101AFI20220613BHJP
   F04D 29/56 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E01H1/08 B
F04D29/56 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203147
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】509165585
【氏名又は名称】ゴルフ場用品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】解良 喜久雄
【テーマコード(参考)】
2D026
3H130
【Fターム(参考)】
2D026AC01
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB07
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC22
3H130BA95A
3H130CA06
3H130DD08X
3H130DE06X
3H130DF05X
3H130DG05X
3H130DJ03X
3H130DJ06X
3H130EA00A
3H130EA03A
3H130EB04A
3H130ED02A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】路面に溜まった各種の飛散物や障害物を、短時間での軽快に効率良く吹き飛ばし除去できる車載型ブロワーを提供する。
【解決手段】ケーシング(10)に内蔵された軸流ファンとその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)を、剛性な架台上へ横並び状態に設置すると共に、その架台を道路維持車両(A)の前面へ、上記軸流ファン(11)のエルボ状エヤー吹出しノズル(13)がその車両(A)の運転席(57)側から助手席(58)側の路肩を指向する関係状態に取り付け使用して、上記ノズル(13)から吹き出す風力により路面(G)を清掃するように定めた。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに内蔵された軸流ファンと、その軸流ファンの駆動用エンジンと、上記ケーシングに連通接続されたエルボ状のエヤー吹出しノズルとを備え、
上記軸流ファンとその駆動用エンジンとを剛性な架台上へ横並び状態に設置すると共に、
その架台を道路維持車両又は道路作業車両の前面へ、上記軸流ファンのエヤー吹出しノズルがその車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する関係状態に取り付け使用して、
車両を走行し乍ら上記エヤー吹出しノズルから吹き出す風力により、路面を清掃することを特徴とする路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項2】
架台上に並列設置した軸流ファンの回転軸とその駆動用エンジンの出力軸とを、その平行な両軸の後端部において無端なベルト又はチエンにより伝動連結したことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項3】
軸流ファンを内蔵したケーシングの開口前端部へ、エヤー吹出しノズルの付け根部をその先端部の360度方向変換できるように連通接続すると共に、
上記エヤー吹出しノズルにおける先端部の方角を車両の運転席又は助手席から目視し乍ら、無線式のリモコンによって調整できるように定めたことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項4】
架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化し、
その架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンと、その車両の運転席側となる隣りに軸流ファンと、同じく車両の助手席側となる隣りに燃料タンクとを並列設置したことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項5】
架台の4隅部から支柱を一体的に立設して、その隣り合う支柱同士を少なくとも4本の水平な縦梁と横梁によって連結一体化することにより、上記架台が床面となるほぼ直方体の囲いフレームを架構し、
その囲いフレームにおける上記支柱の上端部へ各々吊り上げ用のリング金具又はフック金具を取り付け固定すると共に、
同じく囲いフレームにおける前側の横梁上へ少なくとも前照灯と車幅灯並びに方向指示灯を並列設置したことを特徴とする請求項4記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項6】
架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化すると共に、
その架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを、車両の前面に既設の取付ブラケット又は車両の前面に後付け固定された別個な取付ブラケットへ、各々上下一対ずつ合計4本の水平なピンによって着脱自在に取り付け固定することを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項7】
取付ブラケット側から架台側のヒッチと対応位置する左右一対の支持ステーを前向き一体的に張り出して、その両支持ステーに各々固定ピン受け入れ孔と係止ピン受け入れ切欠との上下一対を形成する一方、
架台側のヒッチに上記固定ピン受け入れ孔と合致し得る固定ピン受け入れ連通孔と、上記係止ピン受け入れ切欠に係止し得る係止ピンとを各々設けて、
上記ヒッチ側の係止ピンを上記支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ、上方から各々係脱自在に係止した上、その互いに合致させた支持ステー側の固定ピン受け入れ孔とヒッチ側の固定ピン受け入れ連通孔へ、横方向から固定ピンを各々抜き差し自在に差し込み貫通させることにより、上記架台を取付ブラケットへ取り付け固定することを特徴とする請求項6記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項8】
架台側のヒッチを側面視のほぼ三角形な鋼板から平面視の二叉フォーク状に形作って、その三角形の前上角部に固定横架する第1支点ピンにより、架台の後部から一体的に張り出す軸受ステーへ枢着し、
同じくヒッチにおける三角形の後角部に固定横架する係止ピンを、取付ブラケットにおける支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ係止し、
そのヒッチにおける上記前上角部と後角部との相互間に開口する固定ピン受け入れ連通孔から、上記支持ステー側の固定ピン受け入れ孔へ固定ピンを差し込み貫通させると共に、
上記軸受ステーと対応位置する関係として架台の前部から一体的に垂下するアームホルダーと、上記ヒッチにおける三角形の残る前下角部との前後相互間へ、一定長さの架台支持アームを前上がり傾斜状態に介挿設置して、
その架台支持アームの前上部へ巻き付けたサスペンションバネにより、上記架台を緩衝し得るように定めたことを特徴とする請求項7記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項9】
架台側のヒッチにおける三角形の前下角部に固定横架する第2支点ピンによって、架台支持アームの後下部を枢着し、
その第2支点ピンを兼用して、車両の走行時には接地しない車輪を軸支すると共に、
架台におけるアームホルダーよりも前部に付属一体化した軸受筒へ、同じく車両の走行時には接地しないキャスターの支柱を差し込み固定して、
車両の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、上記キャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により移動させることができるように定めたことを特徴とする請求項8記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路面に散乱した落ち葉やゴミをはじめ、走行車両から落下した荷物や砂利、車両事故の破片、その他の各種障害物を除去・清掃するために有効な車載型のブロワーに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンによって駆動される背負い式の送風機(所謂リーフブロワー)は、その各種提案されていて周知であるが、これでは作業者が手持ちしたエヤー吹出し管を、左右方向へ振り動かし作業しなければならないため、狭い場所であればともかく、一般車両が通行する道路(車道)や歩道、公園、運動場、駐車場、その他の広い領域に溜まった落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物を、効率良く吹き飛ばし除去することができず、その清掃作業上多大の労力と時間を要する。
【0003】
このことは、例えば特許文献1に記載の手押し車に搭載されたブロワーについても、全く同様に言える。その手押し車のハンドルと延いてはエヤー吹出し管を、作業者の人力によって振り動かす必要があることに変わりはないからである。
【0004】
何れにしても、上記携帯式の各種送風機(リーフブロワー)や手押し車に搭載のブロワーでは、特に自然災害(台風)や車両事故による道路(公道)の通行止め状態をすばやく解除することに役立たない。
【0005】
この点、本発明の出願人は非特許文献1に示す上記した広い領域の清掃作業に有用な牽引型のブロワーを実施している。これはタービン型の軸流ファンとその回転駆動用エンジンを、左右一対のタイヤ車輪によって支持されたトレーラーフレーム上へ、前後位置関係での直列状態に搭載したものであり、そのトレーラーフレームから前方へ延長した直装式のヒッチを、動力車(乗用の自動三輪車)の後部に連結使用して、その動力車により牽引し乍ら、上記軸流ファンの後部から張り出し屈曲するエルボ状のエヤー吹出しノズルから路面へ、エヤーを強く吹き出す風力によって、その路面に溜まった落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物を、効率良く吹き飛ばし除去・清掃できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-186959号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ゴルフ場用品株式会社「プロフォースブロア」のカタログ[令和2年12月7日検索]、インターネット<http://www2.gyk.co.jp/content/products/index.php?mode=category&id=golf_sagyou1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記非特許文献1に開示のブロワーはあくまでも動力車(乗用の自動三輪車)による牽引型であるため、未だ落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物が散乱したままの不陸状態にある路面に沿って、動力車を走行させなければならず、その運転に困難と危険を伴う。その走行させることさえも不可能な場合には、もはや路面の清掃作業を行うことができない。
【0009】
また、動力車の運転席から左側又は右側へ身体を無理に捻って、斜め後方を見なければ、軸流ファンの後部から張り出し屈曲しているエヤー吹出しノズルの方角や風力の強弱、その風力による上記飛散物の吹き飛ばし作用状況などを確認することができないので、疲労しやすく、不便でもある。
【0010】
更に、前後方向に沿って直列している軸流ファンとその回転駆動用エンジンが、動力車とこれによって牽引されるトラックフレームの走行中心線上にあり、しかもその軸流ファンの上記エヤー吹出しノズルはその走行中心線上から、道路の路肩側に向かって屈曲する。
【0011】
そのため、今上記動力車やトラックフレームの走行中心線と、道幅又は車線の幅員の二等分線とが合致すると仮定して言えば、その上記エヤー吹出しノズルから吹き出す風力によって、飛散物の吹き飛ばし除去される領域は、その道幅又は車線の幅員の半分以下となり、予め限られた狭小な範囲(面積)しか清掃作業することができず、未だ作業効率に劣る。
【0012】
このことは、動力車が自動三輪車でなく、道路作業車両や道路維持車両などの助手席を有する四輪車であっても、同様に言えることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するための車載型ブロワーとして、請求項1ではケーシングに内蔵された軸流ファンと、その軸流ファンの駆動用エンジンと、上記ケーシングに連通接続されたエルボ状のエヤー吹出しノズルとを備え、
【0014】
上記軸流ファンとその駆動用エンジンとを剛性な架台上へ横並び状態に設置すると共に、
【0015】
その架台を道路維持車両又は道路作業車両の前面へ、上記軸流ファンのエヤー吹出しノズルがその車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する関係状態に取り付け使用して、
【0016】
車両を走行し乍ら上記エヤー吹出しノズルから吹き出す風力により、路面を清掃することを特徴とする。
【0017】
また、請求項2では架台上に並列設置した軸流ファンの回転軸とその駆動用エンジンの出力軸とを、その平行な両軸の後端部において無端なベルト又はチエンにより伝動連結したことを特徴とする。
【0018】
請求項3では軸流ファンを内蔵したケーシングの開口前端部へ、エヤー吹出しノズルの付け根部をその先端部の360度方向変換できるように連通接続すると共に、
【0019】
上記エヤー吹出しノズルにおける先端部の方角を車両の運転席又は助手席から目視し乍ら、無線式のリモコンによって調整できるように定めたことを特徴とする。
【0020】
請求項4では架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化し、
【0021】
その架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンと、その車両の運転席側となる隣りに軸流ファンと、同じく車両の助手席側となる隣りに燃料タンクとを並列設置したことを特徴とする。
【0022】
請求項5では架台の4隅部から支柱を一体的に立設して、その隣り合う支柱同士を少なくとも4本の水平な縦梁と横梁によって連結一体化することにより、上記架台が床面となるほぼ直方体の囲いフレームを架構し、
【0023】
その囲いフレームにおける上記支柱の上端部へ各々吊り上げ用のリング金具又はフック金具を取り付け固定すると共に、
【0024】
同じく囲いフレームにおける前側の横梁上へ少なくとも前照灯と車幅灯並びに方向指示灯を並列設置したことを特徴とする。
【0025】
請求項6では架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化すると共に、
【0026】
その架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを、車両の前面に既設の取付ブラケット又は車両の前面に後付け固定された別個な取付ブラケットへ、各々上下一対ずつ合計4本の水平なピンによって着脱自在に取り付け固定することを特徴とする。
【0027】
請求項7では取付ブラケット側から架台側のヒッチと対応位置する左右一対の支持ステーを前向き一体的に張り出して、その両支持ステーに各々固定ピン受け入れ孔と係止ピン受け入れ切欠との上下一対を形成する一方、
【0028】
架台側のヒッチに上記固定ピン受け入れ孔と合致し得る固定ピン受け入れ連通孔と、上記係止ピン受け入れ切欠に係止し得る係止ピンとを各々設けて、
【0029】
上記ヒッチ側の係止ピンを上記支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ、上方から各々係脱自在に係止した上、その互いに合致させた支持ステー側の固定ピン受け入れ孔とヒッチ側の固定ピン受け入れ連通孔へ、横方向から固定ピンを各々抜き差し自在に差し込み貫通させることにより、上記架台を取付ブラケットへ取り付け固定することを特徴とする。
【0030】
請求項8では架台側のヒッチを側面視のほぼ三角形な鋼板から平面視の二叉フォーク状に形作って、その三角形の前上角部に固定横架する第1支点ピンにより、架台の後部から一体的に張り出す軸受ステーへ枢着し、
【0031】
同じくヒッチにおける三角形の後角部に固定横架する係止ピンを、取付ブラケットにおける支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ係止し、
【0032】
そのヒッチにおける上記前上角部と後角部との相互間に開口する固定ピン受け入れ連通孔から、上記支持ステー側の固定ピン受け入れ孔へ固定ピンを差し込み貫通させると共に、
【0033】
上記軸受ステーと対応位置する関係として架台の前部から一体的に垂下するアームホルダーと、上記ヒッチにおける三角形の残る前下角部との前後相互間へ、一定長さの架台支持アームを前上がり傾斜状態に介挿設置して、
【0034】
その架台支持アームの前上部へ巻き付けたサスペンションバネにより、上記架台を緩衝し得るように定めたことを特徴とする。
【0035】
請求項9では架台側のヒッチにおける三角形の前下角部に固定横架する第2支点ピンによって、架台支持アームの後下部を枢着し、
【0036】
その第2支点ピンを兼用して、車両の走行時には接地しない車輪を軸支すると共に、
【0037】
架台におけるアームホルダーよりも前部に付属一体化した軸受筒へ、同じく車両の走行時には接地しないキャスターの支柱を差し込み固定して、
【0038】
車両の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、上記キャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により移動させることができるように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1の上記構成によれば、ケーシングに内蔵の軸流ファンとその駆動用エンジンとを横並び状態に設置した剛性な架台が、車両の前面に搭載する状態として取り付け使用されるようになっているため、路面に落ち葉などの飛散物や車両から落下した砂利などの障害物があっても、車両の運転を支障なく安全に行えるばかりでなく、その車両の運転席や助手席から安楽な着席姿勢状態のままで、前方の路面清掃作業状況を目視し乍ら、上記飛散物や障害物を短時間での軽快に効率良く除去・清掃できる効果がある。
【0040】
しかも、車両の前方から架台上に設置されたブロワーの先端部までの距離が短く、その前端部に作用する負荷や振動が軽減されるため、車両に対するブロワーの取付安定性と運転操作性が向上する。
【0041】
更に、架台が車両の前面へ取り付け固定された使用状態において、軸流ファンのエヤー吹出しノズルはその車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する関係状態にあるため、そのエヤー吹出しノズルの先端部から吹き出す風力による上記飛散物や障害物の除去・清掃領域が、必ずや道幅又は車線の幅員の半分以上となり、広大な範囲(面積)の清掃作業を行える結果、その作業効率に著しく優れる。
【0042】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、ケーシングに内蔵された軸流ファンと、その駆動用エンジンとを横並び状態として、その軸流ファンのエヤー吸込み口側となる後端部での合理的に伝動連結できる効果がある。
【0043】
特に、請求項3の構成を採用するならば、車両の運転席又は助手席に着席した安楽な姿勢状態のままで、無線式リモコンのワンタッチ操作によりエヤー吹出しノズルのエヤー吹出し方角を調整することができ、作業効率と清掃効果の向上に役立つ。
【0044】
また、請求項4の構成を採用するならば、架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンを据え付けることにより、その両横(左右)隣り位置に軸流ファンと燃料タンクとを重量バランス良く振り分け設置することができ、延いては車両の前面に対するブロワー据付け用架台の取付状態を安定に保てる効果がある。
【0045】
請求項5の構成を採用するならば、架台上に設置された軸流ファンとその駆動用エンジン並びに燃料タンクの全体を、ほぼ直方体に枠組みされた囲いフレームによって安全に防護することができ、その安全な防護状態においてブロワー吊り上げ用のリング金具又はフック金具を利用しつつ、上記架台を吊り上げることにより、車両の前面に対する取付作業を容易に便利良く行える効果があるほか、上記架台の横梁上に並列装備された灯火によって、その車載型ブロワーの取り付け使用状態にある車両の公道走行が可能になる効果もある。
【0046】
また、請求項6の構成を採用するならば、車載型ブロワーの取り付けに言わば専用の別個な治具である取付ブラケットを、車両の前面へ一旦後付け固定して、その取付ブラケットへ固定ピンと係止ピンとの上下一対ずつ合計4本により、架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを連結状態に取り付け固定するか、又は取付ブラケットが上記のような別個独立の専用治具ではなく、車両の前面に既設の構成として予め付属一体化されている場合には、その既設の取付ブラケットへ上記架台側のヒッチを全く同様にして、上記固定ピンと係止ピンとの上下一対ずつ合計4本により、やはり連結する状態に取り付け固定でき、何れにあってもその取りはずすことも可能である。
【0047】
その場合、請求項7の構成を採用するならば、上記架台側のヒッチと対応する左右一対の支持ステーを、車両側の取付ブラケットから前向き一体的に張り出しておくことにより、その車両側の取付ブラケットに対する架台側のヒッチの着脱自在な取り付け固定作業を、ますます容易・円滑に行える効果がある。
【0048】
更に、請求項8の構成を採用するならば、上記架台側のヒッチが2枚1組の鋼板から平面視の二叉フォーク状をなすこととも相俟って、その車両側の取付ブラケットに対する取り付け固定状態をますます安定に保つことができるほか、上記架台の前部から下向き一体的に張り出すアームホルダーと、同じく架台の後部から後向き一体的に張り出す軸受ステーとの前後相互間に介在する架台支持アームにより、その前上部に巻き付けられたサスペンションバネとも相俟って、上記架台の振動や衝撃を緩和できる効果もある。
【0049】
請求項9の構成を採用するならば、上記車両側の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、そのキャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により、地上での移動も便利良く行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の実施形態に係る車載型ブロワーの全体を示す後方から見た斜面図である。
図2図1の正面図である。
図3図2の平面図である。
図4図2の側面図である。
図5】ブロワーの架台とその車両に対する取付ブラケットとの対応位置関係を示す斜面図である。
図6】ブロワーの架台を車両への取付ブラケットに連結した状態の部分拡大平面図である。
図7図6の側面図である。
図8図7の正面図である。
図9】ブロワーを車両への取付ブラケットに連結した状態の全体平面図である。
図10図9の側面図である。
図11】ブロワーの使用による路面の清掃作業を説明するための平面図である。
図12図11の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を詳述する。その実施形態に係る路面清掃用の車載型ブロワー(I)は図1~4から明白なように、送風路を形成するケーシング(10)に内蔵されたタービン型の軸流ファン(11)と、その軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)と、上記ケーシング(10)内の送風路と連通する状態に接続されたエヤー吹出しノズル(13)とを備え、これらが横並び状態に設置された剛性な架台(M)を、移動式道路標識車や道路の除雪用スノープラウ車、道路の凍結防止剤散布車などの道路維持車両又は道路作業車両(以下、単に車両と総称する。)(A)の前面へ搭載する状態として、着脱自在に取り付け使用するようになっている。
【0052】
上記車載型ブロワー(I)における主要な構成部材のうち、先ずそのブロワー据付け用の剛性な架台(M)は角鋼管や溝形鋼、その他の鋼材から、横方向(道路や車両の幅方向)に沿って細長く延在するほぼ長方形に枠組み一体化されている。
【0053】
図示の実施形態では、図5に抽出するような角鋼管から成る長短差がある合計4本の平行な縦床梁(14y)(14y)(15y)(15y)と、同じく角鋼管から成る合計2本の平行な横床梁(16x)(16x)とを交叉状態に溶接することにより、一定の長さ(縦)寸法(Y)とこれよりも大きな一定の幅(横)寸法(X)とを備えたほぼ長方形な平面輪郭形状の架台(M)に仕上げている。(17)はその架台(M)の中央部に固定されたエンジン据付けマウントである。
【0054】
そして、その架台(M)の中央部をなすエンジン据付けマウント(17)には、軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)が据え付け固定されているほか、架台(M)が取り付け使用される上記車両(A)との対応関係上、その車両(A)の運転席側(右側/追い越し車線側)となる隣り位置には軸流ファン(11)と、同じく車両(A)の助手席側(左側/路肩側)となる隣り位置には上記エンジン(12)の燃料(レギュラーガソリン)タンク(18)とが並列設置されてもおり、全体として安定な重量バランス状態を保っている。その燃料タンク(18)の容量は一例として40リットルであり、約3時間の連続作業を行える。(19)は上記エンジン(12)のエヤークリーナーである。
【0055】
その場合、軸流ファン(11)の回転軸(20)とその駆動用エンジン(12)の出力軸(21)とは、前後方向(車両の走行方向)に沿って平行に延在しており、その軸流ファン(11)の回転軸(20)が上記ケーシング(10)の後側(送風路のエヤー吸込み口側)から張り出し露呈する後端部には、伝動プーリー(22)が嵌め付け一体化されている。尚、そのケーシング(10)の後側(送風機のエヤー吸込み口側)は金網や仕切りプレート、ルーバーなどの通気カバー(図示省略)によって、安全に防護しておくことが好ましい。
【0056】
他方、上記エンジン(12)における出力軸(21)の対応的な後端部には、上記伝動プーリー(22)と並列する出力プーリー(23)が嵌め付け一体化されていると共に、その出力プーリー(23)と伝動プーリー(22)との左右相互間には無端なベルト(24)が巻き掛けられている。(25)はそのベルト(24)のテンションプーリーを示している。
【0057】
但し、上記プーリー(22)(23)に代わるスプロケットホイールと無端なベルト(24)に代わるチエンを用いて、軸流ファン(11)の回転軸(20)とその駆動用エンジン(12)の出力軸(21)とを伝動連結してもさしつかえない。
【0058】
また、上記軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)は対衝撃性に富む合成樹脂材からエルボ管状に一体成形されており、そのケーシング(10)の前側(送風路のエヤー吹出し口側)に連通接続(嵌合)された付け根部を、その円形外周面に巻き付けられた歯付きベルト(図示省略)と、その作動用の可逆モーター(図示省略)により回動して、残る先端部を上下方向や左右(横)方向への360度方向変換することができるようになっている。モーターを回転させれば、その回転程度に応じてエヤー吹出しノズル(13)の先端部が方向変換するのである。
【0059】
そのエルボ形のエヤー吹出しノズル(13)における先端部の方角(エヤー吹出し方向並びに路面との交叉角度)調整や風力の強弱(風量の多少)調整、上記エンジン(12)の起動・停止などは、上記車両(A)の運転席又は助手席から前方を目視し乍ら、無線式リモコン(図示省略)のワンタッチボタン操作によって行うことができるようになっている。
【0060】
図5に示したほぼ長方形の平面輪郭形状をなす架台(M)の4隅部に相当する上記長い縦床梁(14y)(14y)の前後両端部からは、やはり角鋼管から成る一定な高さ寸法(Z)の支柱(26)(26)(26)(26)が各々一対ずつ一体的に立設されている。
【0061】
しかも、その隣り合う支柱(26)(26)(26)(26)の上端部付近同士が図1~4から明白なように、角鋼管又は溝形鋼から成る水平な縦梁(27y)(27y)と横梁(28x)(28x)との合計4本を介して連結一体化されることにより、上記架台(M)が言わば床面(底面)となる全体的な直方体の囲いフレーム(F)を架構している。
【0062】
その架台(床面)(M)上に並列設置された上記軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びにそのエンジン(12)の燃料タンク(18)の全体が、剛性な枠組みの囲いフレーム(F)によって安全な防護状態に包囲されているのである。
【0063】
また、上記架台(床面)(M)から合計4本垂立する支柱(26)(26)(26)(26)の上端部には、ブロワー吊り上げ用のリング金具(アイボルト)(29)(29)(29)(29)又はフック金具が各々取り付け固定されており、車載型ブロワー(I)を車両(A)の前面へ着脱自在に取り付け使用する際、その大重量(一例として約250kg)のブロワー(I)を容易に便利良く吊り上げることができるようになっている。
【0064】
(30)(30)(31)(31)(32)(32)は上記囲いフレーム(F)を形作る前側の横梁(28x)上に並列設置された前照灯(ヘッドライト)と車幅灯(スモールライト)並びに方向指示灯(ウィンカー)の左右一対ずつであり、これらの灯火を装備することによって、車載型ブロワー(I)の取り付け使用状態にある車両(A)の公道走行(車検証への反映)が可能になっている。図外の霧灯(フォグランプ)が追加設置されることもある。
【0065】
更に、(H)(H)は上記エヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料(ガソリン)タンク(18)の並列設置された状態にある架台(囲いフレーム(F)の床面)(M)を、車両(A)の前面へ取り付けるためのヒッチであって、その左右一対の各個が図1、5に示すような側面視のほぼ三角形又は扇形をなす鋼板の2枚1組から、平面視の二叉フォーク状に形成されている。
【0066】
しかも、その2枚1組の平行な鋼板は上記三角形の前上角部に固定(溶接)横架された水平な第1支点ピン(ボス)(33)(33)と、同じく三角形の後角部に固定(圧入)横架された水平な係止ピン(34)(34)によって、予め組付け一体化された状態にある。
【0067】
そして、図5~8から明白なように、上記架台(M)における2本の平行な短い縦床梁(15y)(15y)の後端部からは、平面視の倒立U字形をなす軸受ステー(35)(35)の左右一対が、後向き一体的に張り出し設置されており、上記三角形をなすヒッチ(H)(H)の前上角部が第1支点ピン(33)(33)によって、その軸受ステー(35)(35)へ枢着されている。
【0068】
他方、同じく架台(M)における2本の平行な短い縦床梁(15y)(15y)の前端部からは、上記軸受ステー(35)(35)と対応位置するアームホルダー(36)(36)の左右一対が一体的に垂下されている。そのアームホルダー(36)(36)は上記軸受ステー(35)(35)と言わば背中同士が向かい合う平面視の逆向きU字形を呈している。
【0069】
(37)(37)はその架台(M)側のアームホルダー(36)(36)と上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部との前後相互間へ、前上がり傾斜状態に介挿設置された左右一対の架台支持アームであって、一定長さ寸法(L)の丸鋼管や丸棒から成り、その前端ネジ軸部(37a)(37a)が上記アームホルダー(36)(36)へ通し込まれた上、抜け止めナット(38)(38)によって締結されている一方、同じく架台支持アーム(37)(37)の後端部は上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前上角部に固定横架された水平な第2支点ピン(39)によって、そのヒッチ(H)(H)へ枢着されている。
【0070】
しかも、上記架台支持アーム(37)(37)の前端ネジ軸部(37a)(37a)を受け持つアームホルダー(36)(36)と、その架台支持アーム(37)(37)の途中に付与された段差部(図示省略)との前後相互間には、サスペンションバネ(圧縮コイルバネ)(40)(40)が巻き掛けられており、これによって架台(M)を緩衝し得るようになっている。(41)(41)はそのバネ受け(ナット)である。
【0071】
但し、上記架台支持アーム(37)(37)としてショックアブソーバー又はダンパーを採用することにより、架台(M)の振動や衝撃などを緩和しても良い。
【0072】
(42)(42)は上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前上角部と後角部との相互間に開口形成された固定ピン受け入れ連通孔であり、後述する取付ブラケット(B)における支持ステー側の固定ピン受け入れ孔と合致連通するようになっている。
【0073】
また、同じくヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部に固定横架された水平な上記第2支点ピン(39)(39)を兼用して、ブロワー(I)が取り付けられた車両(A)の走行時には接地せず、路面(G)から浮上する状態となる車輪(43)(43)の左右一対が軸支されている。(Dr)はその両車輪(43)(43)の左右相互間隔を示している。
【0074】
更に、ほぼ長方形な平面輪郭形状の架台(M)をなす上記長い縦床梁(14y)(14y)の前端部付近には、左右一対の軸受筒(44)(44)が垂立状態に取り付け固定されており、その軸受筒(44)(44)には上記車輪(43)(43)と同じく、車両(A)の走行時に接地せず、やはり路面(G)からの浮上状態となるキャスター(45)(45)の支柱(46)(46)が、各々差し込み固定されている。(47)(47)はその支柱(46)(46)の固定ピン、(Df)はその両キャスター(45)(45)の左右相互間隔を示しており、上記車輪(43)(43)の左右相互間隔(Dr)よりも広い。
【0075】
つまり、車両(A)の前面から取りはずした架台(M)を言わばトレーラーとして、そのキャスター(45)(45)と車輪(43)(43)との前後一対ずつ合計4個により、例えば車庫やその他の格納庫まで地上を安定良く移動させることができるようになっているのである。その場合、キャスター(45)(45)やその支柱(46)(46)を昇降できるように設定するならば、上記車輪(43)(43)との同じ設置高さとして、上記架台(M)を水平状態に保つ調整が容易となる。
【0076】
先に一言したブロワー(I)の取付ブラケット(B)は図5から明白なように、車両(A)の前面に予め既設の各種道路作業機用取付ベース盤(48)へ、後付け固定される別個独立の専用治具であって、角鋼管や鋼板などの鋼材から正面視のほぼ等脚台形に枠組み一体化されており、その上端部から後向き一体的に張り出す位置決めアングル(49)を、車両(A)側の取付ベース盤(48)へ位置決め係止した上、同じく上端部と中途高さ位置に設けられた左右一対ずつ合計4個のボス(50)(50)(50)(50)から、車両(A)側の上記取付ベース盤(48)に開口分布するネジ孔(51)(51)(51)(51)へ、各々ボルト(52)(52)(52)(52)をねじ込むことによって安定良く固定設置されるようになっている。
【0077】
しかも、その取付ブラケット(B)からは上記架台(M)側のヒッチ(H)(H)と対応する左右一対の支持ステー(53)(53)が、前向き一体的に張り出されている。その各支持ステー(53)(53)は1枚の鋼板から側面視のほぼ直角三角形に縁取られており、その張り出し前端部には固定ピン受け入れ孔(54)(54)とフック状係止ピン受け入れ切欠(55)(55)との上下一対が形成されている。
【0078】
そのため、架台(M)における2枚1組の平行な鋼板から成るヒッチ(H)(H)によって、取付ブラケット(B)における1枚の鋼板から成る支持ステー(53)(53)の張り出し前端部を言わば挟む関係状態となる。
【0079】
そこで、上記ブロワー(I)の構成部材であるエヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)が横並び状態に設置された架台(M)を、上記車両(A)の前面へ取り付けるに当たっては、その車両(A)の前面に既設の汎用取付ベース盤(48)へ、特別な専用治具としての上記取付ブラケット(B)を図5図9、10のように、複数のボルト(52)(52)(52)(52)によって予め固定設置しておき、その取付ブラケット(B)における左右一対の支持ステー(53)(53)へ上記架台(M)側の対応的な左右一対のヒッチ(H)(H)を、次のように連結すれば良い。
【0080】
即ち、上記囲いフレーム(F)に付属しているブロワー吊り上げ用のリング金具(29)(29)(29)(29)を利用して、その床面となっている架台(M)を吊り上げ乍ら、その架台(M)から後向きに張り出すヒッチ(H)(H)の後角部に固定横架している係止ピン(34)(34)を、上記取付ブラケット(B)から前向きに張り出す支持ステー(53)(53)の係止ピン受け入れ切欠(55)(55)へ、前上方から差し込み係止する。
【0081】
そして、その係止ピン受け入れ切欠(55)(55)へ係止した水平な係止ピン(34)(34)の支点廻りに、上記架台(M)側のヒッチ(H)(H)を後方へ起し上げて行けば、そのヒッチ(H)(H)側の固定ピン受け入れ連通孔(42)(42)が上記支持ステー(53)(53)側の固定ピン受け入れ孔(54)(54)と自ずと合致するため、その合致連通した両孔(54)(54)(42)(42)へ横方向から各々固定ピン(56)(56)を水平に差し込み貫通させる。
【0082】
そうすれば、その固定ピン(56)(56)と上記係止ピン(34)(34)との上下一対ずつ合計4本によって、架台(M)側のヒッチ(H)(H)を車両(A)側の取付ブラケット(B)へ、安定・確固な連結状態に取り付けることができ、上記ブロワー(I)を車両(A)の前面へ搭載した状態に保てるのである。
【0083】
尚、上記取付順序を逆に遂行すれば、そのブロワー(I)の架台(M)を車両(A)側の取付ブラケット(B)から取りはずすことができ、上記キャスター(45)(45)と車輪(43)(43)により地上での自由な移動も行えることは、既述のとおりである。
【0084】
図11、12は車両(A)の前面へ上記のような搭載状態に取り付けられたブロワー(I)による路面清掃作業を示しており、その車両(A)の走行中ブロワー(I)を起動すれば、その高効率なタービン型軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)から勢い良く吹き出す風力によって、路面(G)に溜まった落ち葉や折れた木々、ゴミなどの飛散物をはじめ、走行車両から落下した砂利や車両事故の破片、その他の障害物も、自ずと確実に道路の路肩側へ吹き飛ばし除去することができ、その道路(公道)の通行止め状態をすばやく解除することに役立つ。
【0085】
しかも、冒頭に述べた従来の動力車による牽引型ブロワーと異なり、車載型のブロワー(I)として車両(A)の前面に取り付け固定されているため、路面(G)に上記飛散物や障害物の堆積による不陸があっても、車両(A)の運転を支障なく安全に行えるばかりでなく、その運転席(57)や助手席(58)から安楽な着席姿勢状態のままで、上記路面清掃作業状況を目視・確認することができ、著しく便利である。
【0086】
その場合、車両(A)の運転席(57)や助手席(58)から前方の上記清掃作業状況を目視し乍ら、無線式のリコモンをワンタッチ操作して、上記軸流ファン駆動用エンジン(12)の起動・停止やスロットルの調整(エヤー吹出し風力の強弱調整)、そのエヤー吹出しノズル(13)の方角調整などを行うこともできる。
【0087】
また、エヤー吹出しノズル付きの軸流ファンとその回転駆動用エンジンとをトレーラーフレーム上へ、前後位置関係での直列状態に搭載した従来の上記牽引型ブロワーと異なって、上記軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)が横並び状態に設置された架台(M)を、車両(A)の前面へ搭載する状態に取り付け固定するようになっているため、その車両(A)の前方からブロワー(I)の先端までの距離が短くなり、その前端部にいたずらに大きな振動・衝撃や負荷がかかることを軽減できるのであり、その結果車両(A)に対するブロワー(I)の取付安定性と運転操作性などが著しく向上する。
【0088】
しかも、その場合上記架台(M)は前後方向に沿い一定長さ寸法(L)だけ延在する左右一対の架台支持アーム(37)(37)によって、下方から支持されていると共に、その支持アーム(37)(37)にはサスペンションバネ(40)(40)が巻き掛けられているため、上記ブロワー(I)の使用中や地上での移動中に振動や衝撃を受けても、これを効果的に緩和することができ、このことも上記取付安定性と運転操作性の向上に役立つ。
【0089】
更に、上記ブロワー据付け用架台(M)は左右(横)方向に沿って延在するほぼ長方形の平面輪郭形状に枠組み一体化されており、その中央部に軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)と、その車両(A)の運転席(57)側(右側/追い越し車線側)となる隣りにエヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)と、同じく車両(A)の助手席(58)側(左側/路肩側)となる隣りに上記エンジン(12)の燃料(ガソリン)タンク(18)とが並列設置されているため、上記軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)は図11、12から明白なように、その先端部が車両(A)の走行中心線(道幅又は車線の幅員の二等分線)(O-O)に沿う走行中、道路の右側から左側の路肩を指向し、しかも横下がりの傾斜状態おいてエヤーを高勢力に吹き出す(噴出する)ことになり、その風力による上記飛散物や障害物の吹き飛ばし清掃領域が、必ずや道幅又は車線の幅員(W)の半分以上となって、広大な範囲(面積)の清掃作業を行えるのであり、その作業効率に著しく優れる。
【0090】
そして、このような効果は車両(A)の通行する一般道路のみならず、公園や運動場、駐車場、ゴルフ場、その他の比較的広大な路面の清掃についても言えることである。
【0091】
尚、図示の実施形態では車両(A)の前面に予め固定された既設の取付ベース盤(48)へ、その車両(A)と別個な車載型ブロワー(I)に専用の取付治具である上記ブラケット(B)を、一旦後付け固定して、その取付ブラケット(B)における就中左右一対の支持ステー(53)(53)へ、上記ブロワー据付け用架台(M)の対応的なヒッチ(H)(H)を言わば間接的に取り付け使用するようになっているが、図示の上記取付ベース盤(48)は既設されておらず、その代わりとなる上記取付ブラケット(B)の全体又はその一部をなす左右一対の支持ステー(53)(53)だけが、予め前面に既設されている車両(A)(例えば比較的小型の道路作業車両)もある。
【0092】
このような形式・仕様の車両(A)である場合には、その前面に予め固定された既設の取付ブラケット(B)における就中左右一対の支持ステー(53)(53)へ、図5図9、10に基づき説明した方法(順序)と同様にして、上記ブロワー(I)が据え付けられた架台(M)の対応する左右一対のヒッチ(H)(H)を、言わば直接着脱自在に取り付けて(連結して)、車両(A)への搭載状態に保てば良い。そのために必要な架台(M)側の構成は、図5図9~12に基づき説示した構成と実質的に同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0093】
(10)・・・・・ケーシング
(11)・・・・・軸流ファン
(12)・・・・・エンジン
(13)・・・・・エヤー吹出しノズル
(14y)(15y)・・・縦床梁
(16x)・・・・横床梁
(18)・・・・・燃料タンク
(20)・・・・・回転軸
(21)・・・・・出力軸
(24)・・・・・伝動ベルト
(26)・・・・・支柱
(27y)・・・・縦梁
(28x)・・・・横梁
(29)・・・・・リング金具(アイボルト)
(30)・・・・・前照灯
(31)・・・・・車幅灯
(32)・・・・・方向指示灯
(33)・・・・・第1支点ピン
(34)・・・・・係止ピン
(35)・・・・・軸受ステー
(36)・・・・・アームホルダー
(37)・・・・・架台支持アーム
(39)・・・・・第2支点ピン
(40)・・・・・サスペンションバネ
(42)・・・・・固定ピン受け入れ連通孔
(43)・・・・・車輪
(45)・・・・・キャスター
(46)・・・・・キャスターの支柱
(48)・・・・・既設取付ベース盤
(50)・・・・・ボス
(51)・・・・・ネジ孔
(52)・・・・・ボルト
(53)・・・・・支持ステー
(54)・・・・・固定ピン受け入れ孔
(55)・・・・・係止ピン受け入れ切欠
(56)・・・・・固定ピン
(57)・・・・・運転席
(58)・・・・・助手席
(A)・・・・・・車両
(B)・・・・・・取付ブラケット
(F)・・・・・・囲いフレーム
(G)・・・・・・路面
(H)・・・・・・ヒッチ
(I)・・・・・・ブロワー
(M)・・・・・・架台
(O-O)・・・・走行中心線
(W)・・・・・・道幅(車線の幅員)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2020-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
しかも、車両の前から架台上に設置されたブロワーの先端部までの距離が短く、その前端部に作用する負荷や振動が軽減されるため、車両に対するブロワーの取付安定性と運転操作性が向上する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
その場合、軸流ファン(11)の回転軸(20)とその駆動用エンジン(12)の出力軸(21)とは、前後方向(車両の走行方向)に沿って平行に延在しており、その軸流ファン(11)の回転軸(20)が上記ケーシング(10)の後側(送風路のエヤー吸込み口側)から張り出し露呈する後端部には、伝動プーリー(22)が嵌め付け一体化されている。尚、そのケーシング(10)の後側(送風のエヤー吸込み口側)は金網や仕切りプレート、ルーバーなどの通気カバー(図示省略)によって、安全に防護しておくことが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
(37)(37)はその架台(M)側のアームホルダー(36)(36)と上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部との前後相互間へ、前上がり傾斜状態に介挿設置された左右一対の架台支持アームであって、一定長さ寸法(L)の丸鋼管や丸棒から成り、その前端ネジ軸部(37a)(37a)が上記アームホルダー(36)(36)へ通し込まれた上、抜け止めナット(38)(38)によって締結されている一方、同じく架台支持アーム(37)(37)の後端部は上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前角部に固定横架された水平な第2支点ピン(39)(39)によって、そのヒッチ(H)(H)へ枢着されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
その場合、車両(A)の運転席(57)や助手席(58)から前方の上記清掃作業状況を目視し乍ら、無線式のリモコンをワンタッチ操作して、上記軸流ファン駆動用エンジン(12)の起動・停止やスロットルの調整(エヤー吹出し風力の強弱調整)、そのエヤー吹出しノズル(13)の方角調整などを行うこともできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
また、エヤー吹出しノズル付きの軸流ファンとその回転駆動用エンジンとをトレーラーフレーム上へ、前後位置関係での直列状態に搭載した従来の上記牽引型ブロワーと異なって、上記軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)が横並び状態に設置された架台(M)を、車両(A)の前面へ搭載する状態に取り付け固定するようになっているため、その車両(A)の前からブロワー(I)の先端までの距離が短くなり、その前端部にいたずらに大きな振動・衝撃や負荷がかかることを軽減できるのであり、その結果車両(A)に対するブロワー(I)の取付安定性と運転操作性などが著しく向上する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風路となるケーシングに内蔵された軸流ファンとその駆動用エンジンとを、剛性な架台上へ左右横並び状態に設置し、
前後方向に沿って平行に延在する軸流ファンの回転軸とその駆動用エンジンの出力軸とを、その上記ケーシングのエヤー吸込み口側となる後側から張り出す両軸の後端部において、無端なベルト又はチェンにより伝動連結する一方、
上記ケーシングのエヤー吹出し口側となる開口前端部へエルボ管状をなすエヤー吹出しノズルの付け根部を、その吹出しノズルの先端部が上下方向や左右横方向へ360度方向変換できる連通接続状態に嵌合すると共に、
上記架台を道路維持車両又は道路作業車両の前面へ取り付け使用して、その車両を走行し乍ら上記軸流ファンにおけるエヤー吹出しノズルの先端部が、車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する横下がりの傾斜状態のもとで吹き出す風力により、路面に溜まった飛散物や障害物を吹き飛ばし清掃作業するように定めたことを特徴とする路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項2】
車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する横下がりの傾斜状態にあるエヤー吹出しノズルの先端部が、路面と交叉する角度の調整や風力の強弱調整、エンジンの起動・停止を、車両の運転席又は助手席から目視し乍ら無線式リモコンの操作によって行うように定めたことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項3】
ケーシングのエヤー吹出し口側となる開口前端部へ連通接続状態に嵌合したエヤー吹出しノズルの付け根部を、その円形外周面に巻き付けられた歯付きベルトと、その作動用の可逆モーターにより回動して、上記エヤー吹出しノズルの先端部を方向変換することができるように定めたことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項4】
架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化し、
その架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンと、その車両の運転席側となる隣りに軸流ファンと、同じく車両の助手席側となる隣りに燃料タンクとを並列設置したことを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項5】
架台の4隅部から支柱を一体的に立設して、その隣り合う支柱同士を少なくとも4本の水平な縦梁と横梁によって連結一体化することにより、上記架台が床面となるほぼ直方体の囲いフレームを架構し、
その囲いフレームにおける上記支柱の上端部へ各々吊り上げ用のリング金具又はフック金具を取り付け固定すると共に、
同じく囲いフレームにおける前側の横梁上へ少なくとも前照灯と車幅灯並びに方向指示灯を並列設置したことを特徴とする請求項4記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項6】
架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化すると共に、
その架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを、車両の前面に既設の取付ブラケット又は車両の前面に後付け固定された別個な取付ブラケットへ、各々上下一対ずつ合計4本の水平なピンによって着脱自在に取り付け固定することを特徴とする請求項1記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項7】
取付ブラケット側から架台側のヒッチと対応位置する左右一対の支持ステーを前向き一体的に張り出して、その両支持ステーに各々固定ピン受け入れ孔と係止ピン受け入れ切欠との上下一対を形成する一方、
架台側のヒッチに上記固定ピン受け入れ孔と合致し得る固定ピン受け入れ連通孔と、上記係止ピン受け入れ切欠に係止し得る係止ピンとを各々設けて、
上記ヒッチ側の係止ピンを上記支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ、上方から各々係脱自在に係止した上、その互いに合致させた支持ステー側の固定ピン受け入れ孔とヒッチ側の固定ピン受け入れ連通孔へ、横方向から固定ピンを各々抜き差し自在に差し込み貫通させることにより、上記架台を取付ブラケットへ取り付け固定することを特徴とする請求項6記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項8】
架台側のヒッチを側面視のほぼ三角形な鋼板から平面視の二叉フォーク状に形作って、その三角形の前上角部に固定横架する第1支点ピンにより、架台の後部から一体的に張り出す軸受ステーへ枢着し、
同じくヒッチにおける三角形の後角部に固定横架する係止ピンを、取付ブラケットにおける支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ係止し、
そのヒッチにおける上記前上角部と後角部との相互間に開口する固定ピン受け入れ連通孔から、上記支持ステー側の固定ピン受け入れ孔へ固定ピンを差し込み貫通させると共に、
上記軸受ステーと対応位置する関係として架台の前部から一体的に垂下するアームホルダーと、上記ヒッチにおける三角形の残る前下角部との前後相互間へ、一定長さの架台支持アームを前上がり傾斜状態に介挿設置して、
その架台支持アームの前上部へ巻き付けたサスペンションバネにより、上記架台を緩衝し得るように定めたことを特徴とする請求項7記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【請求項9】
架台側のヒッチにおける三角形の前下角部に固定横架する第2支点ピンによって、架台支持アームの後下部を枢着し、
その第2支点ピンを兼用して、車両の走行時には接地しない車輪を軸支すると共に、
架台におけるアームホルダーよりも前部に付属一体化した軸受筒へ、同じく車両の走行時には接地しないキャスターの支柱を差し込み固定して、
車両の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、上記キャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により移動させることができるように定めたことを特徴とする請求項8記載の路面清掃用の車載型ブロワー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路面に散乱した落ち葉やゴミをはじめ、走行車両から落下した荷物や砂利、車両事故の破片、その他の各種障害物を除去・清掃するために有効な車載型のブロワーに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンによって駆動される背負い式の送風機(所謂リーフブロワー)は、その各種提案されていて周知であるが、これでは作業者が手持ちしたエヤー吹出し管を、左右方向へ振り動かし作業しなければならないため、狭い場所であればともかく、一般車両が通行する道路(車道)や歩道、公園、運動場、駐車場、その他の広い領域に溜まった落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物を、効率良く吹き飛ばし除去することができず、その清掃作業上多大の労力と時間を要する。
【0003】
このことは、例えば特許文献1に記載の手押し車に搭載されたブロワーについても、全く同様に言える。その手押し車のハンドルと延いてはエヤー吹出し管を、作業者の人力によって振り動かす必要があることに変わりはないからである。
【0004】
何れにしても、上記携帯式の各種送風機(リーフブロワー)や手押し車に搭載のブロワーでは、特に自然災害(台風)や車両事故による道路(公道)の通行止め状態をすばやく解除することに役立たない。
【0005】
この点、本発明の出願人は非特許文献1に示す上記した広い領域の清掃作業に有用な牽引型のブロワーを実施している。これはタービン型の軸流ファンとその回転駆動用エンジンを、左右一対のタイヤ車輪によって支持されたトレーラーフレーム上へ、前後位置関係での直列状態に搭載したものであり、そのトレーラーフレームから前方へ延長した直装式のヒッチを、動力車(乗用の自動三輪車)の後部に連結使用して、その動力車により牽引し乍ら、上記軸流ファンの後部から張り出し屈曲するエルボ状のエヤー吹出しノズルから路面へ、エヤーを強く吹き出す風力によって、その路面に溜まった落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物を、効率良く吹き飛ばし除去・清掃できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-186959号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ゴルフ場用品株式会社「プロフォースブロア」のカタログ[令和2年12月7日検索]、インターネット<http://www2.gyk.co.jp/content/products/index.php?mode=category&id=golf_sagyou1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記非特許文献1に開示のブロワーはあくまでも動力車(乗用の自動三輪車)による牽引型であるため、未だ落ち葉や木片、ゴミなどの飛散物が散乱したままの不陸状態にある路面に沿って、動力車を走行させなければならず、その運転に困難と危険を伴う。その走行させることさえも不可能な場合には、もはや路面の清掃作業を行うことができない。
【0009】
また、動力車の運転席から左側又は右側へ身体を無理に捻って、斜め後方を見なければ、軸流ファンの後部から張り出し屈曲しているエヤー吹出しノズルの方角や風力の強弱、その風力による上記飛散物の吹き飛ばし作用状況などを確認することができないので、疲労しやすく、不便でもある。
【0010】
更に、前後方向に沿って直列している軸流ファンとその回転駆動用エンジンが、動力車とこれによって牽引されるトラックフレームの走行中心線上にあり、しかもその軸流ファンの上記エヤー吹出しノズルはその走行中心線上から、道路の路肩側に向かって屈曲する。
【0011】
そのため、今上記動力車やトラックフレームの走行中心線と、道幅又は車線の幅員の二等分線とが合致すると仮定して言えば、その上記エヤー吹出しノズルから吹き出す風力によって、飛散物の吹き飛ばし除去される領域は、その道幅又は車線の幅員の半分以下となり、予め限られた狭小な範囲(面積)しか清掃作業することができず、未だ作業効率に劣る。
【0012】
このことは、動力車が自動三輪車でなく、道路作業車両や道路維持車両などの助手席を有する四輪車であっても、同様に言えることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するための車載型ブロワーとして、請求項1では送風路となるケーシングに内蔵された軸流ファンとその駆動用エンジンとを剛性な架台上へ左右横並び状態に設置し、
【0014】
前後方向に沿って平行に延在する軸流ファンの回転軸とその駆動用エンジンの出力軸とを、その上記ケージングのエアー吸込み口側となる後側から張り出す両軸の後端部において、無端なベルト又はチエンにより伝動連結する一方
【0015】
上記ケージングのエヤー吹出し口側となる開口前端部へエルボ管状をなすエヤー吹出しノズルの付け根部を、その吹き出しノズルの先端部が上下方向や左右横方向へ360度方向変換できる連用接続状態に嵌合すると共に、
【0016】
上記架台を道路維持車両又は道路作業車両の前面へ取り付け使用して、その車両を走行し乍ら上記軸流ファンにおけるエヤー吹出しノズルの先端部が、車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する横下がりの傾斜状態のもとで吹き出す風力により、路面に溜まった飛散物や障害物を吹き飛ばし清掃作業するように定めたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2では車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する横下がりの傾斜状態にあるエヤー吹出しノズルの先端部が、路面と交叉する角度の調整や風力の強弱調整、エンジンの起動・停止を、車両の運転席又は助手席から目視し乍ら無線式リモコンの操作によって行うように定めたことを特徴とする。
【0018】
請求項3ではケーシングのエヤー吹出し口側となる開口前端部へ連通接続状態に嵌合したエアー吹出しノズルの付け根部を、その円形外周面に巻き付けられた歯付きベルトと、その作動用の可逆モーターにより回動して、上記エヤー吹出しノズルの先端部を方向変換することができるように定めたことを特徴とする。
【0019】
請求項4では架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化し、
【0020】
その架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンと、その車両の運転席側となる隣りに軸流ファンと、同じく車両の助手席側となる隣りに燃料タンクとを並列設置したことを特徴とする。
【0021】
請求項5では架台の4隅部から支柱を一体的に立設して、その隣り合う支柱同士を少なくとも4本の水平な縦梁と横梁によって連結一体化することにより、上記架台が床面となるほぼ直方体の囲いフレームを架構し、
【0022】
その囲いフレームにおける上記支柱の上端部へ各々吊り上げ用のリング金具又はフック金具を取り付け固定すると共に、
【0023】
同じく囲いフレームにおける前側の横梁上へ少なくとも前照灯と車幅灯並びに方向指示灯を並列設置したことを特徴とする。
【0024】
請求項6では架台を鋼材から横方向に沿って延在するほぼ長方形に枠組み一体化すると共に、
【0025】
その架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを、車両の前面に既設の取付ブラケット又は車両の前面に後付け固定された別個な取付ブラケットへ、各々上下一対ずつ合計4本の水平なピンによって着脱自在に取り付け固定することを特徴とする。
【0026】
請求項7では取付ブラケット側から架台側のヒッチと対応位置する左右一対の支持ステーを前向き一体的に張り出して、その両支持ステーに各々固定ピン受け入れ孔と係止ピン受け入れ切欠との上下一対を形成する一方、
【0027】
架台側のヒッチに上記固定ピン受け入れ孔と合致し得る固定ピン受け入れ連通孔と、上記係止ピン受け入れ切欠に係止し得る係止ピンとを各々設けて、
【0028】
上記ヒッチ側の係止ピンを上記支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ、上方から各々係脱自在に係止した上、その互いに合致させた支持ステー側の固定ピン受け入れ孔とヒッチ側の固定ピン受け入れ連通孔へ、横方向から固定ピンを各々抜き差し自在に差し込み貫通させることにより、上記架台を取付ブラケットへ取り付け固定することを特徴とする。
【0029】
請求項8では架台側のヒッチを側面視のほぼ三角形な鋼板から平面視の二叉フォーク状に形作って、その三角形の前上角部に固定横架する第1支点ピンにより、架台の後部から一体的に張り出す軸受ステーへ枢着し、
【0030】
同じくヒッチにおける三角形の後角部に固定横架する係止ピンを、取付ブラケットにおける支持ステー側の係止ピン受け入れ切欠へ係止し、
【0031】
そのヒッチにおける上記前上角部と後角部との相互間に開口する固定ピン受け入れ連通孔から、上記支持ステー側の固定ピン受け入れ孔へ固定ピンを差し込み貫通させると共に、
【0032】
上記軸受ステーと対応位置する関係として架台の前部から一体的に垂下するアームホルダーと、上記ヒッチにおける三角形の残る前下角部との前後相互間へ、一定長さの架台支持アームを前上がり傾斜状態に介挿設置して、
【0033】
その架台支持アームの前上部へ巻き付けたサスペンションバネにより、上記架台を緩衝し得るように定めたことを特徴とする。
【0034】
請求項9では架台側のヒッチにおける三角形の前下角部に固定横架する第2支点ピンによって、架台支持アームの後下部を枢着し、
【0035】
その第2支点ピンを兼用して、車両の走行時には接地しない車輪を軸支すると共に、
【0036】
架台におけるアームホルダーよりも前部に付属一体化した軸受筒へ、同じく車両の走行時には接地しないキャスターの支柱を差し込み固定して、
【0037】
車両の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、上記キャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により移動させることができるように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
請求項1の上記構成によれば、ケーシングに内蔵の軸流ファンとその駆動用エンジンとを左右横並び状態に設置した剛性な架台が、車両の前面に搭載する状態として取り付け使用されるようになっているため、路面に落ち葉などの飛散物や車両から落下した砂利などの障害物があっても、車両の運転を支障なく安全に行えるばかりでなく、その車両の運転席や助手席から安楽な着席姿勢状態のままで、前方の路面清掃作業状況を目視し乍ら、上記飛散物や障害物を短時間での軽快に効率良く除去・清掃できる効果がある。
【0039】
しかも、軸流ファンとその駆動用エンジンとを左右横並び状態に設置した架台が、車両の前面へ搭載する状態に取り付け使用されるようになっているため、車両の前面からブロワーの先端部までの距離が短くなり、その前端部に作用する振動・衝撃や負荷が軽減される結果、車両に対するブロワーの取付安定性と運転操作性が向上する。
【0040】
また、上記架台が車両の前面へ取り付け固定された使用状態において、軸流ファンのエルボ管状をなすエヤー吹出しノズルの先端部は、その車両の運転席側から助手席側の路肩を指向する横下がりの傾斜状態にあり、その状態のもとで吹き出す風力によって、路面に溜まった上記飛散物や障害物を吹き飛ばし除去・清掃するようになっているため、その清掃領域が必ずや道幅又は車線の幅員の半分以上となって、広大な範囲(面積)の清掃作業を行えるのであり、その作業効率に著しく優れる。
【0041】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、車両の運転席又は助手席に着席した安楽な姿勢状態のままで前方を目視し乍ら、無線式リモコンの操作によりエヤー吹出しノズルの先端部が路面と交叉する角度の調整や風力の強弱調整、エンジンの起動・停止を行えるのであり、作業効率と清掃効果の向上に役立つ。
【0042】
請求項3の構成を採用するならば、歯付きベルト作動用の可逆モーターを回転させることにより、その回転程度に応じてエヤー吹出しノズルの先端部を方向変換することができる。
【0043】
また、請求項4の構成を採用するならば、架台の中央部に軸流ファンの駆動用エンジンを据え付けることにより、その両横(左右)隣り位置に軸流ファンと燃料タンクとを重量バランス良く振り分け設置することができ、延いては車両の前面に対するブロワー据付け用架台の取付状態を安定に保てる効果がある。
【0044】
請求項5の構成を採用するならば、架台上に設置された軸流ファンとその駆動用エンジン並びに燃料タンクの全体を、ほぼ直方体に枠組みされた囲いフレームによって安全に防護することができ、その安全な防護状態においてブロワー吊り上げ用のリング金具又はフック金具を利用しつつ、上記架台を吊り上げることにより、車両の前面に対する取付作業を容易に便利良く行える効果があるほか、上記架台の横梁上に並列装備された灯火によって、その車載型ブロワーの取り付け使用状態にある車両の公道走行が可能になる効果もある。
【0045】
請求項6の構成を採用するならば、車載型ブロワーの取り付けに言わば専用の別個な治具である取付ブラケットを、車両の前面へ一旦後付け固定して、その取付ブラケットへ固定ピンと係止ピンとの上下一対ずつ合計4本により、架台の後部から張り出す左右一対のヒッチを連結状態に取り付け固定するか、又は取付ブラケットが上記のような別個独立の専用治具ではなく、車両の前面に既設の構成として予め付属一体化されている場合には、その既設の取付ブラケットへ上記架台側のヒッチを全く同様にして、上記固定ピンと係止ピンとの上下一対ずつ合計4本により、やはり連結する状態に取り付け固定でき、何れにあってもその取りはずすことも可能である。
【0046】
その場合、請求項7の構成を採用するならば、上記架台側のヒッチと対応する左右一対の支持ステーを、車両側の取付ブラケットから前向き一体的に張り出しておくことにより、その車両側の取付ブラケットに対する架台側のヒッチの着脱自在な取り付け固定作業を、ますます容易・円滑に行える効果がある。
【0047】
更に、請求項8の構成を採用するならば、上記架台側のヒッチが2枚1組の鋼板から平面視の二叉フォーク状をなすこととも相俟って、その車両側の取付ブラケットに対する取り付け固定状態をますます安定に保つことができるほか、上記架台の前部から下向き一体的に張り出すアームホルダーと、同じく架台の後部から後向き一体的に張り出す軸受ステーとの前後相互間に介在する架台支持アームにより、その前上部に巻き付けられたサスペンションバネとも相俟って、上記架台の振動や衝撃を緩和できる効果もある。
【0048】
請求項9の構成を採用するならば、上記車両側の取付ブラケットから取りはずした架台をトレーラーとして、そのキャスターと車輪との前後一対ずつ合計4個により、地上での移動も便利良く行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1本発明の実施形態に係る車載型ブロワーの全体を示す後方から見た斜面図である。
図2図1の正面図である。
図3図2の平面図である。
図4図2の側面図である。
図5ブロワーの架台とその車両に対する取付ブラケットとの対応位置関係を示す斜面図である。
図6ブロワーの架台を車両への取付ブラケットに連結した状態の部分拡大平面図である。
図7図6の側面図である。
図8図7の正面図である。
図9ブロワーを車両への取付ブラケットに連結した状態の全体平面図である。
図10図9の側面図である。
図11図9の正面図である。
図12ブロワーの使用による路面の清掃作業を説明するための平面図である。
図13図12の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を詳述する。その実施形態に係る路面清掃用の車載型ブロワー(I)は図1~4から明白なように、送風路を形成するケーシング(10)に内蔵されたタービン型の軸流ファン(11)と、その軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)と、上記ケーシング(10)内の送風路と連通する状態に接続されたエヤー吹出しノズル(13)とを備え、これらが横並び状態に設置された剛性な架台(M)を、移動式道路標識車や道路の除雪用スノープラウ車、道路の凍結防止剤散布車などの道路維持車両又は道路作業車両(以下、単に車両と総称する。)(A)の前面へ搭載する状態として、着脱自在に取り付け使用するようになっている。
【0051】
上記車載型ブロワー(I)における主要な構成部材のうち、先ずそのブロワー据付け用の剛性な架台(M)は角鋼管や溝形鋼、その他の鋼材から、横方向(道路や車両の幅方向)に沿って細長く延在するほぼ長方形に枠組み一体化されている。
【0052】
図示の実施形態では、図5に抽出するような角鋼管から成る長短差がある合計4本の平行な縦床梁(14y)(14y)(15y)(15y)と、同じく角鋼管から成る合計2本の平行な横床梁(16x)(16x)とを交叉状態に溶接することにより、一定の長さ(縦)寸法(Y)とこれよりも大きな一定の幅(横)寸法(X)とを備えたほぼ長方形な平面輪郭形状の架台(M)に仕上げている。(17)はその架台(M)の中央部に固定されたエンジン据付けマウントである。
【0053】
そして、その架台(M)の中央部をなすエンジン据付けマウント(17)には、軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)が据え付け固定されているほか、架台(M)が取り付け使用される上記車両(A)との対応関係上、その車両(A)の運転席側(右側/追い越し車線側)となる隣り位置には軸流ファン(11)と、同じく車両(A)の助手席側(左側/路肩側)となる隣り位置には上記エンジン(12)の燃料(レギュラーガソリン)タンク(18)とが並列設置されてもおり、全体として安定な重量バランス状態を保っている。その燃料タンク(18)の容量は一例として40リットルであり、約3時間の連続作業を行える。(19)は上記エンジン(12)のエヤークリーナーである。
【0054】
その場合、軸流ファン(11)の回転軸(20)とその駆動用エンジン(12)の出力軸(21)とは、前後方向(車両の走行方向)に沿って平行に延在しており、その軸流ファン(11)の回転軸(20)が上記ケーシング(10)の後側(送風路のエヤー吸込み口側)から張り出し露呈する後端部には、伝動プーリー(22)が嵌め付け一体化されている。尚、そのケーシング(10)の後側(送風路のエヤー吸込み口側)は金網や仕切りプレート、ルーバーなどの通気カバー(図示省略)によって、安全に防護しておくことが好ましい。
【0055】
他方、上記エンジン(12)における出力軸(21)の対応的な後端部には、上記伝動プーリー(22)と並列する出力プーリー(23)が嵌め付け一体化されていると共に、その出力プーリー(23)と伝動プーリー(22)との左右相互間には無端なベルト(24)が巻き掛けられている。(25)はそのベルト(24)のテンションプーリーを示している。
【0056】
但し、上記プーリー(22)(23)に代わるスプロケットホイールと無端なベルト(24)に代わるチエンを用いて、軸流ファン(11)の回転軸(20)とその駆動用エンジン(12)の出力軸(21)とを伝動連結してもさしつかえない。
【0057】
また、上記軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)は耐衝撃性に富む合成樹脂材からエルボ管状に一体成形されており、そのケーシング(10)の前側(送風路のエヤー吹出し口側)に連通接続(嵌合)された付け根部を、その円形外周面に巻き付けられた歯付きベルト(図示省略)と、その作動用の可逆モーター(図示省略)により回動して、残る先端部を上下方向や左右(横)方向への360度方向変換することができるようになっている。モーターを回転させれば、その回転程度に応じてエヤー吹出しノズル(13)の先端部が方向変換するのである。
【0058】
そのエルボ形のエヤー吹出しノズル(13)における先端部の方角(エヤー吹出し方向並びに路面との交叉角度(θ))調整や風力の強弱(風量の多少)調整、上記エンジン(12)の起動・停止などは、上記車両(A)の運転席又は助手席から前方を目視し乍ら、無線式リモコン(図示省略)のワンタッチボタン操作によって行うことができるようになっている。
【0059】
図5に示したほぼ長方形の平面輪郭形状をなす架台(M)の4隅部に相当する上記長い縦床梁(14y)(14y)の前後両端部からは、やはり角鋼管から成る一定な高さ寸法(Z)の支柱(26)(26)(26)(26)が各々一対ずつ一体的に立設されている。
【0060】
しかも、その隣り合う支柱(26)(26)(26)(26)の上端部付近同士が図1~4から明白なように、角鋼管又は溝形鋼から成る水平な縦梁(27y)(27y)と横梁(28x)(28x)との合計4本を介して連結一体化されることにより、上記架台(M)が言わば床面(底面)となる全体的な直方体の囲いフレーム(F)を架構している。
【0061】
その架台(床面)(M)上に並列設置された上記軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びにそのエンジン(12)の燃料タンク(18)の全体が、剛性な枠組みの囲いフレーム(F)によって安全な防護状態に包囲されているのである。
【0062】
また、上記架台(床面)(M)から合計4本垂立する支柱(26)(26)(26)(26)の上端部には、ブロワー吊り上げ用のリング金具(アイボルト)(29)(29)(29)(29)又はフック金具が各々取り付け固定されており、車載型ブロワー(I)を車両(A)の前面へ着脱自在に取り付け使用する際、その大重量(一例として約250kg)のブロワー(I)を容易に便利良く吊り上げることができるようになっている。
【0063】
(30)(30)(31)(31)(32)(32)は上記囲いフレーム(F)を形作る前側の横梁(28x)上に並列設置された前照灯(ヘッドライト)と車幅灯(スモールライト)並びに方向指示灯(ウィンカー)の左右一対ずつであり、これらの灯火を装備することによって、車載型ブロワー(I)の取り付け使用状態にある車両(A)の公道走行(車検証への反映)が可能になっている。図外の霧灯(フォグランプ)が追加設置されることもある。
【0064】
更に、(H)(H)は上記エヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料(ガソリン)タンク(18)の並列設置された状態にある架台(囲いフレーム(F)の床面)(M)を、車両(A)の前面へ取り付けるためのヒッチであって、その左右一対の各個が図1、5に示すような側面視のほぼ三角形又は扇形をなす鋼板の2枚1組から、平面視の二叉フォーク状に形成されている。
【0065】
しかも、その2枚1組の平行な鋼板は上記三角形の前上角部に固定(溶接)横架された水平な第1支点ピン(ボス)(33)(33)と、同じく三角形の後角部に固定(圧入)横架された水平な係止ピン(34)(34)によって、予め組付け一体化された状態にある。
【0066】
そして、図5~8から明白なように、上記架台(M)における2本の平行な短い縦床梁(15y)(15y)の後端部からは、平面視の倒立U字形をなす軸受ステー(35)(35)の左右一対が、後向き一体的に張り出し設置されており、上記三角形をなすヒッチ(H)(H)の前上角部が第1支点ピン(33)(33)によって、その軸受ステー(35)(35)へ枢着されている。
【0067】
他方、同じく架台(M)における2本の平行な短い縦床梁(15y)(15y)の前端部からは、上記軸受ステー(35)(35)と対応位置するアームホルダー(36)(36)の左右一対が一体的に垂下されている。そのアームホルダー(36)(36)は上記軸受ステー(35)(35)と言わば背中同士が向かい合う平面視の逆向きU字形を呈している。
【0068】
(37)(37)はその架台(M)側のアームホルダー(36)(36)と上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部との前後相互間へ、前上がり傾斜状態に介挿設置された左右一対の架台支持アームであって、一定長さ寸法(L)の丸鋼管や丸棒から成り、その前端ネジ軸部(37a)(37a)が上記アームホルダー(36)(36)へ通し込まれた上、抜け止めナット(38)(38)によって締結されている一方、同じく架台支持アーム(37)(37)の後端部は上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部に固定横架された水平な第2支点ピン(39)(39)によって、そのヒッチ(H)(H)へ枢着されている。
【0069】
しかも、上記架台支持アーム(37)(37)の前端ネジ軸部(37a)(37a)を受け持つアームホルダー(36)(36)と、その架台支持アーム(37)(37)の途中に付与された段差部(図示省略)との前後相互間には、サスペンションバネ(圧縮コイルバネ)(40)(40)が巻き掛けられており、これによって架台(M)を緩衝し得るようになっている。(41)(41)はそのバネ受け(ナット)である。
【0070】
但し、上記架台支持アーム(37)(37)としてショックアブソーバー又はダンパーを採用することにより、架台(M)の振動や衝撃などを緩和しても良い。
【0071】
(42)(42)は上記ヒッチ(H)(H)における三角形の前上角部と後角部との相互間に開口形成された固定ピン受け入れ連通孔であり、後述する取付ブラケット(B)における支持ステー側の固定ピン受け入れ孔と合致連通するようになっている。
【0072】
また、同じくヒッチ(H)(H)における三角形の前下角部に固定横架された水平な上記第2支点ピン(39)(39)を兼用して、ブロワー(I)が取り付けられた車両(A)の走行時には接地せず、路面(G)から浮上する状態となる車輪(43)(43)の左右一対が軸支されている。(Dr)はその両車輪(43)(43)の左右相互間隔を示している。
【0073】
更に、ほぼ長方形な平面輪郭形状の架台(M)をなす上記長い縦床梁(14y)(14y)の前端部付近には、左右一対の軸受筒(44)(44)が垂立状態に取り付け固定されており、その軸受筒(44)(44)には上記車輪(43)(43)と同じく、車両(A)の走行時に接地せず、やはり路面(G)からの浮上状態となるキャスター(45)(45)の支柱(46)(46)が、各々差し込み固定されている。(47)(47)はその支柱(46)(46)の固定ピン、(Df)はその両キャスター(45)(45)の左右相互間隔を示しており、上記車輪(43)(43)の左右相互間隔(Dr)よりも広い。
【0074】
つまり、車両(A)の前面から取りはずした架台(M)を言わばトレーラーとして、そのキャスター(45)(45)と車輪(43)(43)との前後一対ずつ合計4個により、例えば車庫やその他の格納庫まで地上を安定良く移動させることができるようになっているのである。その場合、キャスター(45)(45)やその支柱(46)(46)を昇降できるように設定するならば、上記車輪(43)(43)との同じ設置高さとして、上記架台(M)を水平状態に保つ調整が容易となる。
【0075】
先に一言したブロワー(I)の取付ブラケット(B)は図5から明白なように、車両(A)の前面に予め既設の各種道路作業機用取付ベース盤(48)へ、後付け固定される別個独立の専用治具であって、角鋼管や鋼板などの鋼材から正面視のほぼ等脚台形に枠組み一体化されており、その上端部から後向き一体的に張り出す位置決めアングル(49)を、車両(A)側の取付ベース盤(48)へ位置決め係止した上、同じく上端部と中途高さ位置に設けられた左右一対ずつ合計4個のボス(50)(50)(50)(50)から、車両(A)側の上記取付ベース盤(48)に開口分布するネジ孔(51)(51)(51)(51)へ、各々ボルト(52)(52)(52)(52)をねじ込むことによって安定良く固定設置されるようになっている。
【0076】
しかも、その取付ブラケット(B)からは上記架台(M)側のヒッチ(H)(H)と対応する左右一対の支持ステー(53)(53)が、前向き一体的に張り出されている。その各支持ステー(53)(53)は1枚の鋼板から側面視のほぼ直角三角形に縁取られており、その張り出し前端部には固定ピン受け入れ孔(54)(54)とフック状係止ピン受け入れ切欠(55)(55)との上下一対が形成されている。
【0077】
そのため、架台(M)における2枚1組の平行な鋼板から成るヒッチ(H)(H)によって、取付ブラケット(B)における1枚の鋼板から成る支持ステー(53)(53)の張り出し前端部を言わば挟む関係状態となる。
【0078】
そこで、上記ブロワー(I)の構成部材であるエヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)が横並び状態に設置された架台(M)を、上記車両(A)の前面へ取り付けるに当たっては、その車両(A)の前面に既設の汎用取付ベース盤(48)へ、特別な専用治具としての上記取付ブラケット(B)を図5図9~11のように、複数のボルト(52)(52)(52)(52)によって予め固定設置しておき、その取付ブラケット(B)における左右一対の支持ステー(53)(53)へ上記架台(M)側の対応的な左右一対のヒッチ(H)(H)を、次のように連結すれば良い。
【0079】
即ち、上記囲いフレーム(F)に付属しているブロワー吊り上げ用のリング金具(29)(29)(29)(29)を利用して、その床面となっている架台(M)を吊り上げ乍ら、その架台(M)から後向きに張り出すヒッチ(H)(H)の後角部に固定横架している係止ピン(34)(34)を、上記取付ブラケット(B)から前向きに張り出す支持ステー(53)(53)の係止ピン受け入れ切欠(55)(55)へ、前上方から差し込み係止する。
【0080】
そして、その係止ピン受け入れ切欠(55)(55)へ係止した水平な係止ピン(34)(34)の支点廻りに、上記架台(M)側のヒッチ(H)(H)を後方へ起し上げて行けば、そのヒッチ(H)(H)側の固定ピン受け入れ連通孔(42)(42)が上記支持ステー(53)(53)側の固定ピン受け入れ孔(54)(54)と自ずと合致するため、その合致連通した両孔(54)(54)(42)(42)へ横方向から各々固定ピン(56)(56)を水平に差し込み貫通させる。
【0081】
そうすれば、その固定ピン(56)(56)と上記係止ピン(34)(34)との上下一対ずつ合計4本によって、架台(M)側のヒッチ(H)(H)を車両(A)側の取付ブラケット(B)へ、安定・確固な連結状態に取り付けることができ、上記ブロワー(I)を図9~11のような車両(A)の前面へ搭載した状態に保てるのである。
【0082】
尚、上記取付順序を逆に遂行すれば、そのブロワー(I)の架台(M)を車両(A)側の取付ブラケット(B)から取りはずすことができ、上記キャスター(45)(45)と車輪(43)(43)により地上での自由な移動も行えることは、既述のとおりである。
【0083】
図12、13は車両(A)の前面へ上記のような搭載状態に取り付けられたブロワー(I)による路面清掃作業を示しており、その車両(A)の走行中ブロワー(I)を起動すれば、その高効率なタービン型軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)から勢い良く吹き出す風力によって、路面(G)に溜まった落ち葉や折れた木々、ゴミなどの飛散物をはじめ、走行車両から落下した砂利や車両事故の破片、その他の障害物も、自ずと確実に道路の路肩側へ吹き飛ばし除去することができ、その道路(公道)の通行止め状態をすばやく解除することに役立つ。
【0084】
しかも、冒頭に述べた従来の動力車による牽引型ブロワーと異なり、車載型のブロワー(I)として車両(A)の前面に取り付け固定されているため、路面(G)に上記飛散物や障害物の堆積による不陸があっても、車両(A)の運転を支障なく安全に行えるばかりでなく、その運転席(57)や助手席(58)から安楽な着席姿勢状態のままで、上記路面清掃作業状況を目視・確認することができ、著しく便利である。
【0085】
その場合、車両(A)の運転席(57)や助手席(58)から前方の上記清掃作業状況を目視し乍ら、無線式のリモコンをワンタッチ操作して、上記軸流ファン駆動用エンジン(12)の起動・停止やスロットルの調整(エヤー吹出し風力の強弱調整)、そのエヤー吹出しノズル(13)における先端部の方角(エヤー吹出し方向並びに路面との交叉角度(θ))調整などを行うこともできる。
【0086】
また、エヤー吹出しノズル付きの軸流ファンとその回転駆動用エンジンとをトレーラーフレーム上へ、前後位置関係での直列状態に搭載した従来の上記牽引型ブロワーと異なって、上記軸流ファン(11)とその駆動用エンジン(12)並びに燃料タンク(18)が横並び状態に設置された架台(M)を、車両(A)の前面へ搭載する状態に取り付け固定するようになっているため、その車両(A)の前面からブロワー(I)の先端までの距離が短くなり、その前端部にいたずらに大きな振動・衝撃や負荷がかかることを軽減できるのであり、その結果車両(A)に対するブロワー(I)の取付安定性と運転操作性などが著しく向上する。
【0087】
しかも、その場合上記架台(M)は前後方向に沿い一定長さ寸法(L)だけ延在する左右一対の架台支持アーム(37)(37)によって、下方から支持されていると共に、その支持アーム(37)(37)にはサスペンションバネ(40)(40)が巻き掛けられているため、上記ブロワー(I)の使用中や地上での移動中に振動や衝撃を受けても、これを効果的に緩和することができ、このことも上記取付安定性と運転操作性の向上に役立つ。
【0088】
更に、上記ブロワー据付け用架台(M)は左右(横)方向に沿って延在するほぼ長方形の平面輪郭形状に枠組み一体化されており、その中央部に軸流ファン(11)の駆動用エンジン(12)と、その車両(A)の運転席(57)側(右側/追い越し車線側)となる隣りにエヤー吹出しノズル(13)付きの軸流ファン(11)と、同じく車両(A)の助手席(58)側(左側/路肩側)となる隣りに上記エンジン(12)の燃料(ガソリン)タンク(18)とが並列設置されているため、上記軸流ファン(11)のエヤー吹出しノズル(13)は図12、13から明白なように、その先端部が車両(A)の走行中心線(道幅又は車線の幅員の二等分線)(O-O)に沿う走行中、道路の右側から左側の路肩を指向し、しかも図10、11のように路面との交叉角度(θ)を保つ横下がりの傾斜状態においてエヤーを高勢力に吹き出す(噴出する)ことになり、その風力による上記飛散物や障害物の吹き飛ばし清掃領域が、必ずや道幅又は車線の幅員(W)の半分以上となって、広大な範囲(面積)の清掃作業を行えるのであり、その作業効率に著しく優れる。
【0089】
そして、このような効果は車両(A)の通行する一般道路のみならず、公園や運動場、駐車場、ゴルフ場、その他の比較的広大な路面の清掃についても言えることである。
【0090】
尚、図示の実施形態では車両(A)の前面に予め固定された既設の取付ベース盤(48)へ、その車両(A)と別個な車載型ブロワー(I)に専用の取付治具である上記ブラケット(B)を、一旦後付け固定して、その取付ブラケット(B)における就中左右一対の支持ステー(53)(53)へ、上記ブロワー据付け用架台(M)の対応的なヒッチ(H)(H)を言わば間接的に取り付け使用するようになっているが、図示の上記取付ベース盤(48)は既設されておらず、その代わりとなる上記取付ブラケット(B)の全体又はその一部をなす左右一対の支持ステー(53)(53)だけが、予め前面に既設されている車両(A)(例えば比較的小型の道路作業車両)もある。
【0091】
このような形式・仕様の車両(A)である場合には、その前面に予め固定された既設の取付ブラケット(B)における就中左右一対の支持ステー(53)(53)へ、図5図9~11に基づき説明した方法(順序)と同様にして、上記ブロワー(I)が据え付けられた架台(M)の対応する左右一対のヒッチ(H)(H)を、言わば直接着脱自在に取り付けて(連結して)、車両(A)への搭載状態に保てば良い。そのために必要な架台(M)側の構成は、図5図9~11に基づき説示した構成と実質的に同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0092】
(10)・・・・・ケーシング
(11)・・・・・軸流ファン
(12)・・・・・エンジン
(13)・・・・・エヤー吹出しノズル
(14y)(15y)・・・縦床梁
(16x)・・・・横床梁
(18)・・・・・燃料タンク
(20)・・・・・回転軸
(21)・・・・・出力軸
(24)・・・・・伝動ベルト
(26)・・・・・支柱
(27y)・・・・縦梁
(28x)・・・・横梁
(29)・・・・・リング金具(アイボルト)
(30)・・・・・前照灯
(31)・・・・・車幅灯
(32)・・・・・方向指示灯
(33)・・・・・第1支点ピン
(34)・・・・・係止ピン
(35)・・・・・軸受ステー
(36)・・・・・アームホルダー
(37)・・・・・架台支持アーム
(39)・・・・・第2支点ピン
(40)・・・・・サスペンションバネ
(42)・・・・・固定ピン受け入れ連通孔
(43)・・・・・車輪
(45)・・・・・キャスター
(46)・・・・・キャスターの支柱
(48)・・・・・既設取付ベース盤
(50)・・・・・ボス
(51)・・・・・ネジ孔
(52)・・・・・ボルト
(53)・・・・・支持ステー
(54)・・・・・固定ピン受け入れ孔
(55)・・・・・係止ピン受け入れ切欠
(56)・・・・・固定ピン
(57)・・・・・運転席
(58)・・・・・助手席
(A)・・・・・・車両
(B)・・・・・・取付ブラケット
(F)・・・・・・囲いフレーム
(G)・・・・・・路面
(H)・・・・・・ヒッチ
(I)・・・・・・ブロワー
(M)・・・・・・架台
(O-O)・・・・走行中心線
(W)・・・・・・道幅(車線の幅員)
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
図11
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正の内容】
図12
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】追加
【補正の内容】
図13