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特開2022-92257情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092257
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220615BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220615BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A61B5/00 M
G01N33/50 Q
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204956
(22)【出願日】2020-12-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.刊行物名:日本皮膚科学会雑誌、巻数、号数:第130巻 第5号 2020年 臨時増刊号、発行年月日:2020年(令和2年)5月15日 2.集会名:第119回 日本皮膚科学会総会、開催日:2020年(令和2年)6月7日 3.刊行物名:日本研究皮膚科学会 第45回年次学術大会・総会プログラム集、発行年月日:2020年(令和2年)11月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「令和2年、国立研究開発法人日本医療研究 開発機構「臨床研究等ICT基板構築・人工知能実装研究事業」 委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願」「2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業/実世界に埋め込まれる人間中心の人工知能技術の研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願」
(71)【出願人】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 崇
(72)【発明者】
【氏名】川井 将敬
(72)【発明者】
【氏名】川村 龍吉
【テーマコード(参考)】
2G045
4C117
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA25
2G045CB09
2G045FA19
2G045GB01
2G045JA01
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB09
4C117XC16
4C117XE42
4C117XJ60
4C117XL06
(57)【要約】
【課題】入力された体表面の画像に基づき、皮膚疾患の病勢について医師或いは患者自身の参考となる評価値を出力可能な情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、評価値算出部を備え、前記評価値算出部は、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力可能に構成される、情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価値算出部を備え、
前記評価値算出部は、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力可能に構成される、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
病勢評価学習部をさらに備え、
前記病勢評価学習部は、前記体表面画像を入力とし、前記評価値を出力とした組の教師データに基づく機械学習によって前記病勢評価モデルを生成し、
前記病勢評価学習部は、前記評価値に紐付けられた前記評価値の病勢評価に対する熟練度が所定の選択基準を満たす場合に、前記評価値を含む前記教師データを機械学習に用いるように構成される、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
病勢評価学習部をさらに備え、
前記病勢評価学習部は、敵対的生成ネットワークによって前記病勢評価モデルの機械学習を実行し、
前記敵対的生成ネットワークにおいて、
前記病勢評価モデルはジェネレータとして作用し、
前記病勢評価モデルには、前記体表面画像と、病勢評価に対する熟練度としての乱数と、が入力されるように構成される、
情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、評価値算出ステップを実行させるプログラムであって、
前記評価値算出ステップでは、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力する、
プログラム。
【請求項5】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
評価値算出ステップを備え、
前記評価値算出ステップでは、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚疾患は体表面の視覚的な情報により診断できるものもあり、体表面をカメラ等で撮影した画像に基づく診断支援技術の研究が行われている。特許文献1では、皮膚疾患の分類について深層学習モデルを含む人工知能を用いて判別する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第110648318号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、皮膚疾患の病勢の評価は医師による診断においても、熟練度や状況等によりその評価にバラツキがあり、同一の医師であっても安定した評価が難しいという問題があった。そのため、病勢の評価について、安定した病勢の評価を支援する技術が求められていた。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、入力された体表面の画像に基づき、皮膚疾患の病勢について医師或いは患者自身の参考となる評価値を出力可能な情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、評価値算出部を備え、前記評価値算出部は、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力可能に構成される、情報処理装置が提供される。
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、であることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、病勢評価学習部をさらに備え、前記病勢評価学習部は、前記体表面画像を入力とし、前記評価値を出力とした組の教師データに基づく機械学習によって前記病勢評価モデルを生成し、前記病勢評価学習部は、前記評価値に紐付けられた前記評価値の病勢評価に対する熟練度が所定の選択基準を満たす場合に、前記評価値を含む前記教師データを機械学習に用いるように構成される、情報処理装置である。
好ましくは、病勢評価学習部をさらに備え、前記病勢評価学習部は、敵対的生成ネットワークによって前記病勢評価モデルの機械学習を実行し、前記敵対的生成ネットワークにおいて、前記病勢評価モデルはジェネレータとして作用し、前記病勢評価モデルには、前記体表面画像と、病勢評価に対する熟練度としての乱数と、が入力されるように構成される、情報処理装置である。
本発明の別の観点によれば、コンピュータに、評価値算出ステップを実行させるプログラムであって、前記評価値算出ステップでは、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力する、プログラムが提供される。
本発明の別の観点によれば、コンピュータが実行する情報処理方法であって、評価値算出ステップを備え、前記評価値算出ステップでは、体表面画像を入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルを用いて、評価対象とする前記体表面画像に基づき前記評価値を出力する、情報処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る病勢評価システム1の概要を示す図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置10及び情報処理端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る情報処理装置10の機能構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る病勢評価モデルMのネットワーク構造の一例の概念図である。
図5】第2実施形態に係る情報処理装置10の機能構成を示すブロック図である。
図6】第4実施形態に係る敵対的生成ネットワークNの一例の概念図である。
図7】真データを用いた敵対的生成ネットワークNのディスクリミネータDの学習について説明する概念図である。
図8】偽データを用いた敵対的生成ネットワークNのディスクリミネータDの学習について説明する概念図である。
図9】敵対的生成ネットワークNのジェネレータGの学習について説明する概念図である。
図10】熟練度評価モデルのネットワーク構造の一例の概念図である。
図11】敵対的生成ネットワークによる熟練度評価モデルの機械学習の一例について説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
<1.第1実施形態>
(1-1.病勢評価システム1)
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、図1に示すような病勢評価システム1の一部を構成する情報処理装置10である。病勢評価システム1は、情報処理装置10、及び情報処理端末20を備える。
【0012】
情報処理装置10は、通信回線5を介して情報処理端末20と通信可能に構成される。情報処理端末20は、対象者Tの体表面の画像Pを撮影し情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10は、情報処理端末20から受信した画像Pを入力として、病勢評価モデルMを用いて当該画像Pについて皮膚疾患の病勢評価値を出力する。以下、各構成について説明する。
【0013】
(1-2.病勢評価システム1のハードウェア構成)
図2を参照し、病勢評価システム1のハードウェア構成を説明する。
【0014】
(1ー2ー1.情報処理装置10のハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10及び情報処理端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13を備える。また、情報処理装置10は、キーボード及びマウス等で構成された各種操作の入力を受け付ける操作入力部14、各種画像を表示する例えば液晶ディスプレイ装置等のモニタ15を備えていてもよい。情報処理装置10は、例えば、サーバやPC等であってよく、一態様においてはスマートフォンやタブレット端末等であってもよい。
【0015】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、情報処理装置10の全体の動作を制御する。
【0016】
記憶部12の一部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、制御部11による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。また、記憶部12の一部は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、又はHDD(Hard Disk Drive)であり、各種データ及び制御部11の処理に利用されるプログラム等を保存する。
【0017】
記憶部12に記憶されるプログラムは、例えば、情報処理装置10の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェア制御するためのドライバ、各種機能を実現するためのプログラム等であって、本実施形態に係るコンピュータプログラムを含む。
【0018】
通信部13は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、通信回線5に接続する機能を有する。なお、通信部13は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。情報処理装置10は、通信回線5を介して情報処理端末20等の他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行うことができる。
【0019】
これら制御部11、記憶部12、通信部13、操作入力部14、及びモニタ15は、システムバス16を介して相互に電気的に接続されている。従って、制御部11は、記憶部12へのアクセス、モニタ15に対する画像の表示、ユーザによる操作入力部14に対する操作状態の把握、及び通信部13を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行うことができる。
【0020】
(1-2-2.情報処理端末20のハードウェア構成)
情報処理端末20は、例えば、デジタルカメラ、スマートフォンやタブレット端末等の画像を撮影可能なユーザの端末であり、制御部21、記憶部22、通信部23、撮影部24、表示部25を備える。また、情報処理端末20は、音を出力するスピーカ26、電源ボタンその他の操作ボタン等により構成される操作部(図示せず)等を備えていてもよい。以下、情報処理装置10との相違点を中心に説明する。
【0021】
撮影部24は、静止画等を撮影できるカメラを備える。表示部25は、画像等を表示し操作を受け付け可能なタッチパネルディスプレイ等であってもよい。
【0022】
これら制御部21、記憶部22、通信部23、撮影部24、表示部25、及びスピーカ26は、システムバス27を介して相互に電気的に接続されている。従って、制御部21は、記憶部22へのアクセス、撮影部24に対する制御、表示部25による画像の表示、作業者による操作状態の把握、スピーカ26からの音の出力、及び通信部23を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行うことができる。
【0023】
(1-3.情報処理装置10の機能構成)
図3に示すように、情報処理装置10の制御部11は、評価値算出部11aを有する。
【0024】
上述した機能構成は、情報処理装置10に適宜インストールされるソフトウェア(いわゆるアプリを含む)によって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、制御部11がソフトウェアを構成するプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。
【0025】
プログラムを実行することで実現される場合、当該プログラムは、情報処理装置10が内蔵する記憶部12に格納してもよく、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。もしくは、ハードウェアによって実現する場合、ASIC、SOC、FPGA、又はDRPなどの種々の回路によって実現することができる。また、情報処理装置10の機能の一部の機能構成は、ソフトウェア又はハードウェアによって他の情報処理装置等で処理されるようにしてもよい。
【0026】
(1-4.評価値算出部11a)
評価値算出部11aは、体表面画像Pを入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習済みの病勢評価モデルMを用いて、評価対象とする体表面画像Pに基づき評価値を出力可能に構成される。このような構成とすることにより、体表面の画像を入力するだけで、皮膚疾患の病勢について医師及び患者自身の参考となる評価値を得ることができる。
【0027】
体表面画像Pは、患者等の対象者Tを情報処理端末20等で撮影して取得した、対象者Tの皮膚表面の様子を含む画像である。体表面画像Pは、対象者Tの体表面の一部の情報を含んでいればよく、全身の体表面の様子を含んでいなくてもよい。体表面画像Pは、例えば、対象者Tの体表面の一部として、体幹部等の体表面の情報を含んでいる画像である。
【0028】
ここで、病勢についての評価値とは、病気が良くなっているか、悪くなっているかを数値によって表したものである。数値の変動によって対象者Tの皮膚疾患の状態を把握することができる。なお、本発明が対象とする皮膚疾患は、体表面の色等視覚的な様子が変化する疾患であれば特に制限されないが、例えば、乾癬等である。
【0029】
病勢についての評価値は、乾癬に関しては例えばPASIスコア或いはこれに準じた評価値として算出されてよい。PASIスコアは、病巣の状態についての「紅斑」「浸潤」「鱗屑」の各所見の程度と、病巣の「範囲」に基づいて病勢を数値化するものである。「紅斑」「浸潤」「鱗屑」の各点数の合計値に「範囲」の点数を乗算することで得られる。医療現場で主として用いられているPASIスコアは、各部位(頭部、体感、上肢、下肢)についての点数を合計したものであるが、本発明においては一部の部位、または体表面画像Pに含まれる部位のみについての点数をPASIに準じた評価値として算出してもよい。また、PASIスコア以外の種々の評価方法に基づく評価値であってもよい。PASIスコア等は、最終的な合計のスコアのみが算出されてもよく、「紅斑」「浸潤」「鱗屑」等の各状態及び範囲についての点数をモデルから出力後、合計のスコアを計算するように構成されてもよい。
【0030】
病勢評価モデルMは、体表面画像Pを入力して体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を出力するように機械学習を行うことにより生成されるモデルである。「機械学習」は、複数の教師データ(既知の入力データと正解データの組)を用いて学習可能な種々の手法に基づき実行されうる。例えば、機械学習は、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクタマシン(SVM)等の回帰型の手法;決定木、回帰木、ランダムフォレスト、勾配ブースティング木等のツリー型の手法;パーセプトロン、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)等のニューラルネットワーク型の手法;その他の手法及びこれらの組み合わせに基づき実行されうる。また、敵対的生成ネットワークを用いて機械学習を行ってもよい。
【0031】
病勢評価モデルMは、種々のネットワーク構造を有していてよいが、一例においては、CNNを利用したものである。より具体的には、図4に示すような、畳み込み層CLとプーリング層PLを有するエンコーダと、全結合層FLとを含むネットワーク構造であってよい。
【0032】
なお、エンコーダから出力され、全結合層に入力される前の中間データは、画像P上に重ね合わせることで病勢評価モデルMによって病巣と判定された範囲を可視化しうる。病巣は「紅斑」「浸潤」「鱗屑」等の状態毎に分けて判定することも可能である。
【0033】
また、病勢評価モデルMに入力される体表面画像Pについては、入力前に種々の前処理が行われてもよく、特定の特徴量を抽出したものを体表面画像Pとして入力してもよい。
【0034】
(1-5.処理の流れ)
病勢評価システム1による処理の流れについて説明する。
【0035】
まず、撮影工程が実行される。撮影工程では、情報処理端末20により対象者Tの体表面画像Pが撮影される。次に、画像入力工程が実行される。画像入力工程では、情報処理装置10は、情報処理端末20から画像Pを受信する。一態様においては、情報処理装置10は、取外し可能な記憶媒体から画像Pを読み込んでもよい。
【0036】
次に、評価値算出工程が実行される。評価値算出工程では、評価値算出部11aが、病勢評価モデルMを用いて、評価対象とする体表面画像Pに基づき評価値を出力する。
【0037】
<2.第2実施形態>
(2-1.病勢評価システム2)
第2実施形態における病勢評価システム2は、図5に示すように制御部11が病勢評価学習部11bをさらに有する点で異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0038】
(2-2.病勢評価学習部11b)
病勢評価学習部11bは、体表面画像Pを入力とし、病勢評価値を出力とした組の教師データに基づく機械学習によって病勢評価モデルMを生成するように構成される。
【0039】
また、病勢評価学習部11bは、病勢評価値に紐付けられた病勢評価値の病勢評価に対する熟練度が所定の選択基準を満たす場合に、病勢評価値を含む教師データを機械学習に用いるように構成されてもよい。例えば、熟練度が5段階の1~5で各病勢評価値について設定されている場合に、熟練度が3以上の病勢評価値のデータのみを用いるように構成することができる。このような構成とすることにより、病勢評価モデルMによる評価値を、熟練度が所定の基準を満たす医師等による評価値に近づけることができる。
【0040】
ここで、熟練度とは、教師データとした病勢評価値を作成した者(評価者)を、所定の基準に基づいて判定した度合いである。所定の基準は、評価者病勢評価を高い精度で行うことができるかの1又は複数の指標により判定可能な基準である。指標としては、例えば、病勢評価の経験やや医師として活動履歴等である。また、指標は、他の医師からの評価であってもよく、一定の資格を有していることや講習を受けたこと等であってもよい。
【0041】
(2-3.処理の流れ)
病勢評価システム2による処理においては、第1実施形態の工程に加えて、病勢評価学習工程が実行される。病勢評価学習工程では、体表面画像Pを入力とし、病勢評価値を出力とした組の教師データに基づく機械学習によって病勢評価モデルMを生成する。
【0042】
<3.第3実施形態>
(3-1.病勢評価システム3)
第3実施形態における病勢評価システム3は、第2実施形態と同様に、制御部11が病勢評価学習部11bをさらに有するが、体表面画像Pと共に熟練度を入力として機械学習を行う点で異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0043】
(3-2.病勢評価学習部11b)
病勢評価学習部11bは、体表面画像P及び熟練度を入力とし、病勢評価値を出力とした組の教師データに基づく機械学習によって病勢評価モデルMを生成するように構成される。このような構成とすることで、任意の熟練度を有する医師による病勢評価と同様の病勢評価値を出力可能となる。
【0044】
(3-3.評価値算出部11a)
評価値算出部11aは、病勢評価モデルMを用いて、評価対象とする体表面画像Pに基づき、期待する出力の熟練度に応じて評価値を出力可能に構成されてもよい。
【0045】
<4.第4実施形態>
(4-1.病勢評価システム4)
第4実施形態における病勢評価システム4は、第2実施形態又は第3実施形態と同様に、制御部11が病勢評価学習部11bを有するが、機械学習を敵対的生成ネットワークによって行う点で異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0046】
(4-2.病勢評価学習部11b)
病勢評価学習部11bは、敵対的生成ネットワークNによって病勢評価モデルMの機械学習を実行し、敵対的生成ネットワークNにおいて、病勢評価モデルMはジェネレータGとして作用し、病勢評価モデルMには、体表面画像Pと、病勢評価に対する熟練度としての乱数と、が入力されるように構成される。このような構成とすることにより、体表面画像Pについて、入力した種々の熟練度に対応する評価値を算出可能な病勢評価モデルMを生成することができる。また、比較的少ない教師データで学習が可能となる。
【0047】
敵対的生成ネットワークNによる機械学習の一例は、図6に示すように、敵対的生成ネットワークNは、ジェネレータG(生成器)とディスクリミネータD(識別器)を有する。また、乱数を発生させる乱数発生器Rを有する。
【0048】
[ディスクリミネータDの学習]
ディスクリミネータDは、体表面画像Pと病勢評価値を入力として、当該体表面画像Pに対する病勢評価値として入力された病勢評価値が医師等による実際の病勢評価値である(真)か否か(偽)を判定可能となるように機械学習が行われる。
【0049】
体表面画像Pとともに、データベースDBに体表面画像Pと紐付けて記憶されている当該体表面画像Pについての医師等による実際の病勢評価値がディスクリミネータDに入力された場合には、ディスクリミネータDは真を意味する出力を行うように学習する(図7)。このような場合に入力される病勢評価値は真データとしての病勢評価値である。用意すべき真データが当該学習における教師データといえる。
【0050】
一方、体表面画像Pとともに、ジェネレータGにより生成された病勢評価値がディスクリミネータDに入力された場合には、ディスクリミネータDは偽を意味する出力を行うように学習する(図8)。このような場合に入力される病勢評価値は偽データとしての病勢評価値である。ジェネレータGには、体表面画像Pと乱数発生器Rによって出力された熟練度としての乱数が入力される。入力されたこれらの情報に基づき偽データとしての病勢評価値を出力する。ディスクリミネータDの学習時は、ジェネレータGのネットワークについてのパラメータは固定して行われうる。
【0051】
[ジェネレータGの学習]
ジェネレータGは、ディスクリミネータDに入力した際に体表面画像Pの病勢評価値として真データ(医師等による実際の病勢評価値)であると判定されるように学習する(図9)。ジェネレータGの学習時は、ディスクリミネータDのネットワークについてのパラメータは固定して行われうる。
【0052】
これらのディスクリミネータD及びジェネレータGの学習は繰り返し行われてもよく、複数の体表面画像Pについて行われてもよい。
【0053】
学習が進むと、ジェネレータGは、体表面画像Pと熟練度を入力することにより、体表面画像Pについて指定した熟練度に応じた病勢評価値を出力可能になることが期待できる。このようなジェネレータGは、病勢評価モデルMとして利用可能となる。
【0054】
(4-3.変形例)
一態様においては、学習済みのジェネレータGは、第2実施形態又は第3実施形態における教師データを提供するために用いられてもよい。すなわち、ジェネレータGは、ある体表面画像Pについて指定した熟練度に応じた病勢評価値を出力可能であり、教師データの組として当該体表面画像Pを入力とした場合の出力を生成することができる。言い換えれば、ジェネレータGは、疑似医師として教師データを提供するAIとなりうる。
【0055】
<5.その他の実施形態>
以上、本発明における実施形態及びその変形例について説明したが、本開示の適用は上述の内容に限定されるものではない。
【0056】
(種々の機能構成)
情報処理装置10が情報処理端末20の機能を有していてもよく、このような場合情報処理装置10はスマートフォンやタブレット等であってよい。また、情報処理装置10は、カメラが内蔵又は接続されたPC等であってもよい。
【0057】
本発明の別の観点によれば、評価値算出部11aを有さず、病勢評価学習部11bを有する情報処理装置が提供されてもよい。
【0058】
(熟練度算出装置)
また、本発明の別の観点によれば、熟練度算出装置が提供される。熟練度算出装置は、情報処理装置10と同様のハードウェア構成を備えていてよい。熟練度算出装置の制御部は、熟練度算出部を備える。熟練度算出部は、体表面画像P及び体表面における皮膚疾患の病勢についての評価値を入力して病勢評価における熟練度を出力する熟練度評価モデルを用いて、評価対象とする体表面画像P及びユーザが入力した病勢評価値に基づき熟練度を出力可能に構成される。例えば、図10に示すように、体表面画像Pと、体表面画像Pについての病勢評価値とを入力し、その病勢評価値について真偽(正しいと考えられる病勢評価値との一致度或いは乖離度)とともに熟練度を出力することが可能である。
【0059】
このような熟練度評価モデルの機械学習は、病勢評価モデルMと同様に種々の機械学習によって実現することができる。
【0060】
また、このような機能を搭載した熟練度算出装置は、医師等が自身のスキルチェックを行うために用いることができる。このようなスキルチェックの際には既存の体表面画像を利用してもよく、熟練度算出装置が備えるカメラ等によってその場で撮影した体表面画像を利用してもよい。
【0061】
一態様においては、熟練度評価モデルの機械学習は、第4実施形態と同様に機械学習を敵対的生成ネットワークによって行うように構成されうる。このような態様においては、図11に示すように、熟練度評価モデルは、ディスクリミネータDとして作用し学習が行われる。このとき、ディスクリミネータDは、さらに熟練度も出力するように構成される。
【0062】
(その他)
また、本発明は、上述の情報処理装置、システムを機能させるプログラムとして実現することもできる。
【0063】
また、本発明は、上述のプログラムを格納する、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【0064】
また、本明細書において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものをも含む。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0065】
また、広義の回路とは、回路(circuit)、回路類(circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CLPD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))、GPU(Graphics Processing Unit)等を含むものである。
【0066】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1~4 :病勢評価システム
5 :通信回線
10 :情報処理装置
11 :制御部
11a :評価値算出部
11b :病勢評価学習部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :操作入力部
15 :モニタ
16 :システムバス
20 :情報処理端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :撮影部
25 :表示部
26 :スピーカ
27 :システムバス
D :ディスクリミネータ
G :ジェネレータ
M :病勢評価モデル
N :敵対的生成ネットワーク
P :体表面画像
R :乱数発生器
T :対象者
CL :畳み込み層
PL :プーリング層
FL :全結合層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11