(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092290
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】タッチペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20220615BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205015
(22)【出願日】2020-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安井 章
(72)【発明者】
【氏名】服部 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直行
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タッチパネルに入力しやすいタッチペンを提供する。
【解決手段】タッチペンPは、静電容量方式のタッチパネルに入力するためのタッチペンであって、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部及びペン先部の間に配置され、把持部及びペン先部を電気的に接続する接続部2と、を備える。接続部は、把持部又はペン先部の径よりも細い径の導電性の条体部21を含み、把持部又はペン先部と条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルに入力するためのタッチペンであって、
導電体を含んで構成される把持部と、導電体を含んで構成されるペン先部と、前記把持部及び前記ペン先部の間に配置され、該把持部及びペン先部を電気的に接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記把持部又は前記ペン先部の径よりも細い径の導電性の条体を含み、前記把持部又は前記ペン先部と前記条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成されるタッチペン。
【請求項2】
前記接続部は、前記把持部の先端部から前記ペン先部に亘って設けられる補強部を備え、
前記補強部は、透明であるよう構成される請求項1に記載のタッチペン。
【請求項3】
前記条体は、前記把持部の先端部から前記ペン先部に亘って前記補強部の内部に設けられる請求項2に記載のタッチペン。
【請求項4】
前記条体は、前記把持部の先端部から前記ペン先部に亘って前記補強部の外表面に設けられる請求項2に記載のタッチペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチパネルに入力する際に使用されるタッチペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のようなタッチペンがあった。タッチペンは、導電性ゴムで構成されたペン先と、ペン先を保持するペン軸本体と、を備え、ペン軸本体は、ペン先と電気的に接続されたアルミニウム合金などの導電性材料により構成される。
【0003】
上記のようなタッチペンによれば、ペン使用者が、ペン軸本体を手指で把持して、ペン先をタッチパネルに接触させることで、ペン使用者とタッチペンが導通状態となる。よって、ペン先がタッチパネルに触れることで、タッチパネルに静電容量の変化を生じさせることができるため、タッチパネルに入力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなタッチペンでタッチパネルに入力する際には、ペン先及びペン軸本体をタッチパネルに近づける必要がある。しかしながら、ペン軸本体をタッチパネルに近づけると、ペン軸本体でタッチパネルが部分的に隠され、ペン使用者がタッチパネルを視認しづらくなるため、タッチパネルに入力がしづらくなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、タッチパネルに入力しやすいタッチペンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチペンは、静電容量方式のタッチパネルに入力するためのタッチペンであって、導電体を含んで構成される把持部と、導電体を含んで構成されるペン先部と、前記把持部及び前記ペン先部の間に配置され、該把持部及びペン先部を電気的に接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記把持部又は前記ペン先部の径よりも細い径の導電性の条体を含み、前記把持部又は前記ペン先部と前記条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成される。
【0008】
かかる構成によれば、把持部とペン先部を条体で接続し、把持部又はペン先部と条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成されるので、接続部によってタッチパネルが隠される範囲を抑制できるため、タッチパネルを視認しやすくなり、タッチパネルに入力しやすくなる。
【0009】
また、前記接続部は、前記把持部の先端部から前記ペン先部に亘って設けられる補強部を備え、前記補強部は、透明であるよう構成される。
【0010】
かかる構成によれば、把持部の先端からペン先部の間に透明の補強部が設けられるので、把持部とペン先部をしっかり連結しつつ、タッチパネルが隠れる範囲を抑制できる。
【0011】
また、前記条体は、前記補強部の内部に設けられるよう構成される。
【0012】
かかる構成によれば、条体は補強部の内部に設けられるので、衝撃により、条体が破損して導通不良が生じることを抑制できる。
【0013】
また、前記条体は、前記補強部の外表面に設けられるよう構成してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、条体は、補強部の外表面に設けられるので、条体を補強部の外表面で保護しつつ補強部を介してタッチパネルを視認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、タッチパネルに入力しやすいタッチペンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るタッチペンの斜視図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【
図7】本発明の第三実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【
図8】
図7に示すVIII-VIII断面図である。
【
図9】本発明の第四実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【
図11】本発明の第五実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【
図12】本発明の第六実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【
図13】本発明の第七実施形態に係るタッチペンの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一の実施形態のタッチペンPについて説明する。説明の便宜上、先端側、基端側はそれぞれ
図1に記載の方向を基準に説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、タッチペンPは、把持部1と、ペン先部3と、接続部2と、を備える。このようなタッチペンPは、先端部(先端接触部31)を静電容量方式のタッチパネルに接触させて、タッチパネルに入力するために使用される。また、タッチペンPは基端部に、提げ紐を取り付け可能なストラップホールHを備える。ストラップホールHは、環状で、内部に提げ紐を挿通可能である。本実施形態のストラップホールHは、先端部分が把持部1の基端部に挿嵌されて、把持部1に取り付けられる。
【0019】
図2及び
図3に示すように、把持部1は、タッチパネルへの入力時に使用者に把持される部位である。具体的に、把持部1は、使用者に把持される把持外面11aを有する把持本体部11と、把持本体部11及び接続部2を電気的に接続する把持連結部12と、を備える。
【0020】
図3に示すように、把持本体部11は、導電性を有する部位である。具体的に、把持本体部11は、導電体を含んで構成される。また、把持本体部11は、筒状の部位である。本実施形態の把持本体部11は、軸線方向の一端部から他端部に亘って外径及び内径が略一定の円筒形状である。また、本実施形態の把持本体部11は、導電性材料、具体的には金属で構成される。
【0021】
図3及び
図4に示すように、把持連結部12は、把持本体部11の内部に設けられる導電性を有する部位である。具体的に、把持連結部12は、導電体を含んで構成される。また、把持連結部12は、柱状の部位である。具体的には、把持連結部12は、外径が一定の円柱形状であり、把持本体部11の内径に外径が対応した形状である。さらに、把持連結部12は、把持本体部11と電気的に接続される。本実施形態の把持連結部12は、その外周面が把持本体部11の内周面に当接することで、把持本体部11と電気的に接続される。また、本実施形態の把持連結部12には、径方向の中途部分に条体取付孔12aが形成されている。条体取付孔12aは、後述する条体部21を取り付け可能な孔である。また、条体取付孔12aは、把持連結部12の軸線方向に貫通した孔である。即ち、把持連結部12は、把持本体部11と条体部21とを電気的に接続した状態で連結する。さらに、本実施形態の条体取付孔12aは、径方向の中央部分に形成された、軸線方向に沿って形成された貫通孔である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、接続部2は、把持部1及びペン先部3の間に配置され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する。具体的に、接続部2は、導電性を有する条体部21と、透明な補強部22と、先端連結部23と、を備える。本実施形態の接続部2は、把持部1とペン先部3を軸線方向で並ぶように連結することで、一本の棒状体のタッチペンPとなる。
【0023】
図3及び
図4に示すように、条体部21は、導電性を有する条体である。具体的に、条体部21の外径は、把持部1又はペン先部3の外径よりも小さい。さらに、条体部21の外径は、把持部1及びペン先部3の基端部分の外径の半分以下である。本実施形態の条体部21の外径は、把持部1及びペン先部3の基端部分の外径の1/5以下である。また、条体部21は、線状又は棒状或いは柱状に形成された条体であり、本実施形態では直線状に延びる棒状体である。よって、条体部21は、基端部から先端部まで略同一の外径で形成される。さらに、条体部21は、基端部が条体取付孔12aに挿通されて把持連結部12に取り付けられる。即ち、条体部21の基端部が把持部1の径方向の略中央に連結される。また、条体部21は、先端側がペン先部3の径方向における略中央に連結される。
【0024】
補強部22は、把持部1の先端部からペン先部3に亘って延びる部位である。具体的に、補強部22は、把持部1の先端からペン先部3の基端に亘って延びる。また、補強部22は、補強部22を通して径方向の一方側から他方側が視認できる程度の透明性を有する。本実施形態の補強部22は、無色透明の樹脂である。また、本実施形態の補強部22は、非導電性の樹脂である。さらに、本実施形態の補強部22は、把持部1に連結される補強基端部24と、ペン先部3に連結される補強先端部25と、補強基端部24及び補強先端部25の間に亘って設けられる主視認部26と、を備える。主視認部26は、透明で、径方向の一方側から他方側を視認可能なように構成されている。本実施形態で、補強基端部24の外径は、把持部1の先端部の外径と略同じであり、補強先端部25の外径は、ペン先部3の基端部分の外径と略同じである。さらに、補強部22は、全体として先細の形状であり、具体的に、補強基端部24の外径は、補強先端部25の外径よりも大きい。また、本実施形態の補強部22は、中実に構成されている。具体的に、後述するように、条体部21を挿通される部位を除いて、補強部22は、中実の樹脂である。
【0025】
補強部22には、複数の平面部221が形成される。具体的に、補強部22の外周面は、径方向で対向する2か所に形成される平面部221と、両平面部221の間に亘って延びる連結面部222と、を備える。本実施形態で、平面部221は、主視認部26に形成される。また、本実施形態の連結面部222は、曲面である。さらに、両連結面部222間の距離は、主視認部26の外径に略等しい。
【0026】
図3及び
図4に示すように、先端連結部23は、条体部21とペン先部3とを連結する部位である。また、先端連結部23は、条体部21とペン先部3を電気的に接続した状態で連結する。具体的に、先端連結部23には、基端側に条体部21が連結され、先端側にペン先部3が連結される。即ち、
図4に示すように、先端連結部23は、基端側に設けられ、条体部21が連結される条体連結部231と、先端側に設けられ、ペン先部3が連結されるペン先連結部232と、条体連結部231及びペン先連結部232を連結する連結本体部233と、を備える。さらに、本実施形態で、条体部21と先端連結部23は一体成型された導電体である。また、先端連結部23の外径(最大径)は、把持部1の外径及びペン先部3の基端部分の外径よりも小さい。さらに、条体部21、先端連結部23、及び、ペン先部3は、略同軸に設けられる。即ち、先端連結部23は、条体部21が、ペン先部3の軸心(径方向における中央部分)に位置するように、条体部21とペン先部3を連結する。
【0027】
図3及び
図4に示すように、条体部21は、補強部22の内部に設けられている。具体的に、条体部21のうち、把持部1の先端よりも先端側の部分(把持本体部11から先端側に突出している部分)は、補強部22の内部に設けられている。また、条体部21は、補強部22に密着するように補強部22の内部に設けられている。本実施形態で、補強部22は、条体部21をインサート成形して構成されている。即ち、条体部21は、補強部22の内部に埋め込まれ、外周面が補強部22に密着している。さらに、本実施形態の条体部21は、把持部1の先端部分よりも先端側の部分は、全て補強部22の内部に設けられている。即ち、条体部21は、基端側の外周面が把持部1に覆われ、先端側の外周面が補強部22に覆われている。また、条体部21は全体が把持部1又は補強部22に覆われたている。さらに、条体部21は、補強部22の径方向における略中央に設けられる。また、本実施形態では、条体部21及び先端連結部23が補強部22に埋め込まれている。
【0028】
図2及び
図4に示すように、補強部22には、条体部21を挿通可能な孔である補強孔220が形成される。本実施形態で、補強孔220は、条体部21をインサート成形する際に、条体部21の周りに形成される孔である。補強孔220は、条体部21の外径と略同じ径の孔である。即ち、補強孔220に挿通された条体部21は、補強孔220の内周面に密着する。さらに、補強孔220は、補強部22の軸線方向に貫通して形成された孔である。
【0029】
このような構成の接続部2は、把持部1とペン先部3を連結する。具体的に、条体部21の基端部が把持部1に連結され、先端連結部23の先端部がペン先部3に連結されることで、接続部2は把持部1とペン先部3を連結する。即ち、条体部21は、先端連結部23を介して把持部1とペン先部3を連結する。また、本実施形態で、補強部22は、条体部21及び先端連結部23の強度を補う。即ち、補強部22は、条体部21及び先端連結部23を補強して、例えばタッチパネルへの入力時などに、条体部21又は先端連結部23に力がかかり、破損することを抑制する。
【0030】
図2に示すように、ペン先部3は、導電性を含んで構成される。具体的に、ペン先部3は導電性を有する。また、ペン先部3は、タッチパネルと導通可能である。具体的に、ペン先部3は、タッチパネルに接触する先端接触部31と、基端側が接続部2に連結され、先端側に先端接触部31を固定する先端固定部32と、を備える。
【0031】
先端接触部31は、導電性を有する。また、先端接触部31は、タッチパネルに接触した際に、タッチパネルを損傷させない程度の柔軟性を有する。本実施形態の先端接触部31は、導電性繊維で構成される。
【0032】
図4に示すように、先端固定部32は、導電性を有する。また、先端固定部32は、接続部2及び先端接触部31を電気的に接続する。本実施形態の先端固定部32には、先端側に先端接触部31が嵌合可能な嵌合凹部321が形成される。即ち、本実施形態の先端固定部32は、先端接触部31を嵌合凹部321に嵌合させ、電気的に接続した状態で先端固定部32を保持する。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の条体部21、先端連結部23、及び先端固定部32は一体成型される。即ち、条体部21、先端連結部23、及び先端固定部32は一つの導電部品4として構成される。本実施形態の導電部品4は、金属で構成される。また、本実施形態の補強部22は、導電部品4の中途部分をインサート成形して構成される。即ち、導電部品4の中途部分は、補強部22の内部に設けられ、外周面が補強部22に密着している。
【0034】
以上のようなタッチペンPにおいて、使用者が、把持本体部11を把持して、先端接触部31をタッチパネルに接触させると、使用者とタッチパネルがタッチペンPを介して導通状態となるため、タッチパネルに入力することができる。
【0035】
上記のようなタッチペンPによれば、把持部1とペン先部3を条体(条体部21)で接続し、把持部1又はペン先部3と条体(条体部21)との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成されるので、接続部2によってタッチパネルが隠される範囲を抑制できるため、タッチパネルを視認しやすくなり、タッチパネルに入力しやすくなる。
【0036】
また、把持部1の先端からペン先部3の間に透明の補強部22が設けられるので、把持部1とペン先部3をしっかり連結しつつ、タッチパネルが隠れる範囲を抑制できる。
【0037】
さらに、条体(条体部21)は補強部22の内部に設けられるので、衝撃により、条体(条体部21)が破損して導通不良が生じることを抑制できる。
【0038】
また、ペン先部3は、タッチパネルに接触する先端接触部31と、基端側が条体(条体部21)に連結され、かつ、先端側で先端接触部31を固定する先端固定部32と、を備えるので、先端固定部32は、先端接触部31を固定し、かつ、条体と連結されるため、先端接触部31と把持部1の導通を確保することができる。
【0039】
さらに、条体(条体部21)は、直線状に延び、径方向において、把持部1の略中央及びペン先部3の略中央を接続するので、タッチペンPの向きにかかわらずタッチパネルを補強部22越しに視認することができる。よって、接続部2によってタッチパネルが隠れることを抑制できるため、タッチパネルに入力しやすくなる。
【0040】
また、把持部1は、筒状で導電性を有する把持本体部11と、柱状で導電性を有する把持連結部12と、を備え、把持連結部12は、把持本体部11の内面に接するように設けられ、条体(条体部21)は、基端部分が把持連結部12に連結されるよう構成される。よって、条体(条体部21)は、把持連結部12によって把持本体部11に電気的に接続されるので、把持本体部11と条体(条体部21)とを確実に導通させることができる。
【0041】
さらに、補強部22には、補強孔220が形成され、条体(条体部21)は、補強孔220に挿通され、補強孔220の内周面と条体(条体部21)の外周面とが密着するので、条体(条体部21)は、補強部22に密着するように補強部22の内部に設けられるので、補強部22と条体(条体部21)の間に隙間ができることを抑制できるため、タッチパネルを補強部22越しにきれいにみることができる。具体的に、補強部22の内部に隙間ができることにより、タッチパネルが歪んで見えることが抑制できる。
【0042】
また、条体(条体部21)、先端連結部23、及び先端固定部32は一つの導電部品4として構成されるので、部材間の接触不良などによる導電不良が生じることを抑制できる。
【0043】
さらに、補強部22には、径方向で対向する2か所に形成される平面部221を備えるので、補強部22越しにタッチパネル視認する際に、両平面部221を通して視認することで、タッチパネルが歪んで見えることを抑制できる。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態のタッチペンPについて
図5及び
図6を用いて説明する。第一の実施形態と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
本実施形態のタッチペンPは、把持部1及び接続部2の構成が第一の実施形態と異なる。本実施形態のタッチペンPは、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部1又はペン先部3よりも細い条体を含んで構成され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する接続部2と、を備える。接続部2は、条体の条体部21Aと、条体部21Aを補強する補強部22Aと、を備える。
【0046】
本実施形態の把持部1は、筒状の把持本体部11を備える。また、本実施形態の把持部1は、把持連結部12を備えない。本実施形態において、条体部21Aは、把持本体部11に直接連結される。なお、把持連結部12を介して条体部21Aを把持本体部11に連結する構成とすることもできる。
【0047】
本実施形態の条体部21Aは、補強部22Aの外側に設けられる条体である。具体的に、条体部21Aは、基端部が把持本体部11の外周面に連結され、先端部がペン先部3の外周面に連結され、把持本体部11の先端からペン先部3に亘って補強部22Aの外周面に沿って延びるように設けられる。また、条体部21Aの先端部は、先端固定部32の外周面に連結される。さらに、条体部21Aは、補強部22Aの外周面のうち、連結面部222Aに沿って延びるように設けられる。本実施形態で、条体部21Aは、軸線方向の全部に亘って補強部22Aから露出するように設けられる。また、本実施形態の条体部21Aは、補強部22Aの外表面に接着される。なお、補強部22Aの外周面に条体部21Aを収容する溝部を設け、条体部21Aを該溝部に収容することで、補強部22Aの外周面に設ける構成とすることもできる。
【0048】
補強部22Aは、把持部1とペン先部3の間に設けられる透明な部位である。本実施形態で補強部22Aは、把持部1の先端部及びペン先部3の基端部に接着される。
【0049】
本実施形態のタッチペンPでは、把持部1の外表面と先端固定部32の外表面を条体部21Aが連結している。即ち、把持部1と先端固定部32が外表面に連結される条体部21Aを介して電気的に接続されている。
【0050】
以上のような構成のタッチペンPによれば、条体(条体部21A)は、補強部22Aの外表面に設けられるので、条体(条体部21A)を補強部22Aの外表面で保護しつつ補強部22Aを介してタッチパネルを視認することができる。
【0051】
また、補強部22Aの外周面は、径方向で対向する2か所に形成される平面部221Aと、両平面部221Aの間に亘って延びる連結面部222Aと、を備え、条体(条体部21A)は、補強部22Aの外表面のうち、連結面部222Aに設けられるので、条体は平面部221A以外の外表面に設けられ、平面を通してのタッチパネルの視認性を確保できるため、入力時にタッチパネルを視認しやすくなる。
【0052】
次に本発明の第三の実施形態のタッチペンPについて
図7及び
図8を用いて説明する。
【0053】
本実施形態のタッチペンPは、補強部22Bの構成が第一の実施形態と異なる。本実施形態のタッチペンPは、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部1又はペン先部3よりも細い条体を含んで構成され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する接続部2と、を備える。接続部2は、条体の条体部21と、条体部21を補強する補強部22Bと、先端連結部23と、を備える。
【0054】
本実施形態の補強部22Bには、軸線方向の少なくとも一部に、径方向に貫通する貫通孔22B1が形成されている。具体的に、補強部22Bには、両平面部221Bを径方向に貫通する貫通孔22B1が形成されている。貫通孔22B1は、平面部221Bの軸線方向のほぼ全域亘って延びる孔である。また、貫通孔22B1は、平面部221Bの径方向の半分以上の範囲に亘って形成される孔である。
【0055】
条体部21は、基端側が把持連結部12に連結され、先端側が先端連結部23を介して先端固定部32に連結されている。また、条体部21は、把持部1の先端から突出した部分のうち、一部が補強部22Bに埋め込まれ、他の一部が露出している。即ち、条体部21は、貫通孔22B1を横切るように設けられている。また、条体部21の径外側には、柱状の主視認部26Bが一対設けられている。また、条体部21の先端及び先端連結部23は、補強部22Bに埋め込まれている。
【0056】
本実施形態の補強部22Bは、条体部21をインサート成形して構成される。即ち、条体部21は、補強部22Bに埋め込まれる範囲において、外周面が補強部22Bに密着している。なお、補強部22Bに孔を形成し、条体部21を該孔に挿通して構成することもできる。
【0057】
以上のような構成のタッチペンPによれば、補強部22Bには、軸線方向の少なくとも一部に径方向に貫通する貫通孔22B1が形成されているので、貫通孔22B1を通してタッチパネルを視認することができるため、光が補強部22Bを通ることによる屈折でタッチパネルが歪んで見えることを抑制できる。
【0058】
また、補強部22Bに貫通孔22B1が形成されつつ、条体(条体部21)の先端部は補強部22Bに埋め込まれるので、条体(条体部21)の強度を保ちつつ視認性を高めることができる。
【0059】
さらに、条体部21が、貫通孔22B1を横切るように設けられているので、透明な補強部22Bを通して条体部21が見えることにより、条体部21が太く見えることを抑制できるため、タッチパネルが視認しやすくなる。
【0060】
次に本発明の第四の実施形態のタッチペンPについて
図9及び
図10を用いて説明する。
【0061】
本実施形態のタッチペンPは、接続部2の構成が第一の実施形態と異なる。本実施形態のタッチペンPは、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部1又はペン先部3よりも細い条体を含んで構成され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する接続部2と、を備える。接続部2は、条体の条体部21Cと、条体部21を補強する補強部22Cと、先端連結部23と、を備える。
【0062】
本実施形態の補強部22Cは、透明の筒状である。具体的に、補強部22Cは、把持本体部11の先端部と先端固定部32の外縁部分とを連結する。また、補強部22Cは、把持本体部11及び先端固定部32に接着される。さらに、補強部22Cは、先端側が細くなる先細の形状である。具体的に、補強部22Cの基端部の外径は、把持部1の先端部の外径に等しく、補強部22Cの先端部の外径は、ペン先部3の基端部の外径に等しい。また、補強部22Cは、厚みが軸線方向に亘って略一定の筒状体である。さらに、本実施形態の補強部22Cには、内部に軸線方向に貫通した補強孔220Cが形成されている。本実施形態の補強孔220Cの内径は、条体部21Cの外径よりも大きい。さらに、本実施形態の補強部22Cは、円筒形状である。即ち、本実施形態の補強部22Cの外周面は、全体が曲面である。
【0063】
本実施形態の条体部21Cの内部に設けられる。即ち、条体部21は、補強部22Cに挿通されている。一方で条体部21Cの外周面は、補強部22Cに接していない。即ち、
図10に示すように、補強部22Cの内周面と条体部21Cの外周面との間には隙間Sがある。
【0064】
以上のような構成のタッチペンPによれば、補強部22Cと条体(条体部21C)は離間しているので、補強部22Cに加わった衝撃が条体(条体部21C)に伝わることを抑制できるため、衝撃により、条体(条体部21C)が破損して導通不良が生じることを抑制できる。
【0065】
次に本発明の第五の実施形態のタッチペンPについて
図11を用いて説明する。
【0066】
本実施形態のタッチペンPは、把持部1及び条体部21Dの構成が第一の実施形態と異なる。本実施形態のタッチペンPは、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部1又はペン先部3よりも細い条体を含んで構成され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する接続部2と、を備える。接続部2は、条体の条体部21Dと、条体部21Dを補強する補強部22と、を備える。
【0067】
本実施形態の把持部1は、筒状の把持本体部11を備える。一方で、把持部1は、把持連結部12を備えない。本実施形態で、条体部21Dは、把持本体部11の内周面に直接連結される。なお、条体部21Dが、把持連結部12を介して把持本体部11に連結される構成とすることもできる。
【0068】
また、本実施形態の条体部21Dは、基端部が把持本体部11の内周面に連結され、先端部が先端固定部32に連結されている。即ち、本実施形態の接続部2は先端連結部23を備えない。なお、条体部21Dが、先端連結部23を介してペン先部3に連結される構成とすることもできる。また、本実施形態の条体部21Dは、軸線に交差する方向に延びている。具体的に、条体部21Dは、基端部が径方向の一端部に、先端側が径方向の他端部に延びるように設けられている。さらに、条体部21Dは、正面視で、両平面部221の径方向一端側から他端側に向かって伸びるように設けられている。また、本実施形態の条体部21Dは、径方向の一端側から他端側に向かって、軸線に対して傾斜するように直線状に延びる。
【0069】
このような構成のタッチペンPによれば、条体(条体部21D)の先端部がペン先部3に直接連結されているので、条体部21とペン先部3との導通を確保することができる。
【0070】
また、条体部21Dは、軸線方向と交差する方向に延びているので、条体(条体部21D)によって隠される部分が径方向の一部分に集中することを抑制できる。
【0071】
次に第六の実施形態のタッチペンPについて
図12を用いて説明する。
【0072】
本実施形態のタッチペンPは、条体部21Eの構成が第二実施形態のタッチペンPと異なる。
【0073】
本実施形態の条体部21Eは、補強部22Bに形成された貫通孔22B1を迂回するように補強部22Bの内部に設けられている。即ち、本実施形態で、条体部21Eは、貫通孔22B1の内部を通らないように構成されている。具体的に、補強部22Bには、貫通孔を迂回するように軸線方向に貫通した補強孔220Eが形成されている。補強孔220Eは、条体部21Eの外径と略同じ径の孔である。また、条体部21Eは、補強孔220Eに挿通されている。条体部21Eは、貫通孔22B1の上方及び下方で径方向に沿って延びる横延伸部22E1と、貫通孔の径外側で軸線方向に延びる縦延伸部22E2と、を備える。また、本実施形態の条体部21Eは、把持部1の先端から突出している範囲の全部に亘って補強部22Bに埋め込まれている。さらに、条体部21Eの外周面は、補強孔220Eの内周面に密着するように設けられている。
【0074】
以上のような構成のタッチペンPによれば、貫通孔22B1の内部以外の位置に条体(条体部21E)が設けられるので、条体(条体部21E)によって、貫通孔22B1を通してタッチパネルが視認しづらくなることを抑制できる。
【0075】
さらに、条体部21Eの把持部1から突出する部分全体が補強部22Bに埋め込まれるので、補強部22Bで条体部21Eを補強でき、条体部21Eを細くすることができるため、タッチパネルの視認性が向上する。
【0076】
次に、第七の実施形態のタッチペンPについて、
図13を用いて説明する。
【0077】
本実施形態のタッチペンPは、第一実施形態のタッチペンPと接続部2の構成が異なる。本実施形態のタッチペンPは、導電体を含んで構成される把持部1と、導電体を含んで構成されるペン先部3と、把持部1又はペン先部3よりも細い条体を含んで構成され、把持部1及びペン先部3を電気的に接続する接続部2と、を備える。本実施形態の接続部2は、条体の条体部21Fを備えており、別体の補強部は備えていない。
【0078】
条体部21Fには、外周面に、径内方に窪む凹部である視認凹部21F3が形成されている。具体的に、条体部21Fは、基端部に設けられ、把持本体部11と電気的に接続された状態で連結される条体基端部21F1と、先端部に設けられ、ペン先部3と電気的に接続した状態で連結される先端連結部23Fと、条体基端部21F1及び先端連結部23の間にわたって形成され、条体基端部21F1及び先端連結部23を電気的に接続した状態で連結する視認部21F2と、を備える。また、視認凹部21F3は、条体基端部21F1の外周面、視認部21F2の外周面、及び先端連結部23の外周面によって画定される凹部である。本実施形態で、視認部21F2は、視認凹部21F3の底面を画定する。また、条体基端部21F1は、把持本体部11の先端部に挿嵌されて、把持部1に連結される。
【0079】
視認部21F2は、把持部1の外径の半分以下且つ、ペン先部3の基端部分の外径の半分以下の外径を有する条体である。また、視認部21F2は、柱状に形成され、把持部1とペン先部3を連結した状態でタッチペンとしての剛性を有するのに十分な強度を有する。具体的に、視認部21F2は、外径が把持部1の外径の半分程度の中実の柱状体である。なお、強度に問題がなければ、視認部21F2を中空とすることもできるし、径を小さくすることもできる。
【0080】
このような構成のタッチペンPによれば、条体部21に視認凹部21F3が形成されるので、視認凹部21F3を通してタッチパネルを視認することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。また、各実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。
【0082】
例えば、補強部22は、無色透明であるとして説明したが、補強部22越しに径方向における一方側から他方側が視認できる程度の透明があればよく、例えば有色透明であってもよいし、他方側が曇ったり、歪んだりして見える程度の透明度であってもよい。
【0083】
また、先端接触部31は、半球状である場合について説明したが、先端接触部31の形状はこのような形状に限らず、円錐形や、透明の円盤状等種々の形状を採用することができる。
【0084】
さらに、把持本体部11は、筒状であるとして説明したが、柱状であってもよい。このような構成の場合には、把持本体部11の先端部分に条体部21を挿通可能な把持連結部12が形成され、把持連結部12に条体部21が挿嵌される。
【0085】
また、タッチペンPは、把持本体部11を使用者が把持し、先端接触部31をタッチパネルに接触させることで、タッチペンPを介して使用者とタッチパネルが導通状態となる場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、使用者とタッチペンPは導通状態とならず、タッチペンPとタッチパネルだけが導通状態でありながらタッチパネルに入力可能なように構成することができる。上記のような構成の場合、例えば把持本体部11の一部又は全部を中実とすることで、タッチペンPがタッチパネルに接触した際に静電容量に変化を生じさせることができる。また、把持連結部12の体積を大きくすることでも、同様に、タッチペンPがタッチパネルに接触した際に静電容量に変化を生じさせることができる。即ち、把持部1のうち、金属部分の体積が所定の体積を超えると、使用者とタッチパネルが導通状態とならずとも、タッチペンPがタッチパネルに接触した際に、タッチパネルの静電容量に変化を生じさせることができる。
【0086】
さらに、補強部22は、非導電性樹脂であるとして説明したが、このような場合に限らず、補強部は導電性樹脂やガラスなどであってもよい。
【0087】
また、補強部22の形状は、補強可能であれば任意の形状とすることができる。例えば、円柱状や角柱状としてもよい。
【0088】
さらに、第一実施形態及び第五実施形態において、条体(条体部21)は、直線状に延びる場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、らせん状に延びるよう構成してもよい。
【0089】
また、先端接触部31は、先端固定部32に嵌合して取り付けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、螺合や接着等の他の手段で取り付けられるように構成してもよい。
【0090】
さらに、第一実施形態において、条体(条体部21)は、把持連結部12を介して把持本体部11に連結される場合について説明したが、条体(条体部21)は、把持本体部11に溶接などによって直接連結されてもよい。
【0091】
また、第二実施形態において、条体部21Aは補強部22Aに接着されるとして説明したが、このような構成に限らず、例えば、補強部22Aの外周面に形成された凹部に嵌め込まれるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…把持部、11…把持本体部、11a…把持外面、12…把持連結部、12a…条体取付孔、2…接続部、21…条体部、22…補強部、221…平面部、222…連結面部、23…先端連結部、231…条体連結部、232…ペン先連結部、233…連結本体部、3…ペン先部、31…先端接触部、32…先端固定部、321…嵌合凹部、4…導電部品、P…タッチペン
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルに入力するためのタッチペンであって、
導電体を含んで構成される把持部と、導電体を含んで構成されるペン先部と、前記把持部及び前記ペン先部の間に配置され、該把持部及びペン先部を電気的に接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記把持部又は前記ペン先部の径よりも細い径の導電性の条体を含み、前記把持部又は前記ペン先部と前記条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成され、
前記ペン先部は、前記タッチパネルに接触する先端接触部と、基端部が前記接続部に連結され、先端側に前記先端接触部を固定する先端固定部と、を備え、
前記先端固定部は、前記先端接触部と前記接続部とを電気的に接続するよう構成されるタッチペン。
【請求項2】
先端固定部は、径方向長さが条体よりも太く形成され、かつ、先端接触部が、電気的に接続した状態で嵌合可能に形成される請求項1に記載のタッチペン。
【請求項3】
前記接続部は、前記条体としての条体部のみを備え、
該条体部には、外周面に、径内方に窪む凹部である視認凹部が形成され、
前記接続部は、前記把持部又は前記ペン先部と前記条体部との径方向における間の領域において、前記視認凹部を介して径方向一方側から他方側を視認可能に構成される請求項1又は2に記載のタッチペン。
【請求項4】
静電容量方式のタッチパネルに入力するためのタッチペンであって、
導電体を含んで構成される把持部と、導電体を含んで構成されるペン先部と、前記把持部及び前記ペン先部の間に配置され、該把持部及びペン先部を電気的に接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記把持部又は前記ペン先部の径よりも細い径の導電性の条体を含み、前記把持部又は前記ペン先部と前記条体との径方向における間の領域において径方向一方側から他方側を視認可能に構成され、
前記接続部は、前記把持部の先端部から前記ペン先部に亘って設けられる補強部を備え、
前記補強部は、透明であり、外周面における径方向で対向する2か所に平面部が形成されているタッチペン。