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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092713
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20220616BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220616BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G02F1/13 101
H01L21/304 643B
H01L21/304 643C
H01L21/304 647Z
B08B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205581
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】手島 理恵
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
【テーマコード(参考)】
2H088
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
2H088FA17
2H088FA21
2H088FA30
2H088HA01
3B201AA01
3B201AB14
3B201BB24
3B201BB89
3B201BB93
3B201CB11
3B201CC01
5F157AB02
5F157AB20
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB62
5F157AB75
5F157AB94
5F157BB23
5F157BB24
5F157BD33
5F157BE12
5F157CD16
5F157CE10
5F157CE32
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF99
5F157DC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送される基板の両面を適正に処理することのできる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置によれば、一方の面を上方に向けた姿勢で搬送される基板Wの前記一方の面に対向して配置され、前記一方の面に対して第1処理液を吐出する第1ノズル23a~fを含む部材(21a~f、23a~f)と、搬送される基板Wの他方の面に対向して配置され、前記他方の面に対して第2処理液を吐出する第2ノズル24a~fと、を備え、第2ノズルは、前記第2処理液の吐出方向が基板Wの前記他方の面に対して斜めになるように、配置された、構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の両面を処理する基板処理装置であって、
一方の面を上方に向けた姿勢で搬送される前記基板の前記一方の面に対向して配置され、前記一方の面に対して第1処理液を吐出する第1ノズルを含む上側配置部材と、
搬送される前記基板の他方の面に対向して配置され、前記他方の面に対して第2処理液を吐出する第2ノズルと、を備え、
前記第2ノズルは、前記第2処理液の吐出方向が前記基板の前記他方の面に対して斜めになるように、配置され、
前記第2ノズルの吐出圧は、基板が無いときに前記上側配置部材に前記第2処理液が到達しない吐出圧である基板処理装置。
【請求項2】
基板の両面を処理する基板処理装置であって、
一方の面を上方に向けた姿勢で搬送される前記基板の前記一方の面に対向して配置され、前記一方の面に対して第1処理液を吐出する第1ノズルを含む上側配置部材と、
搬送される前記基板の他方の面に対向して配置され、前記他方の面に対して第2処理液を吐出する第2ノズルと、を備え、
前記第2ノズルから吐出される前記第2処理液の吐出圧は、前記他方の面に対して垂直に吐出した場合には前記上側配置部材に到達する吐出圧であって、前記第2ノズルは、前記第2処理液が前記上側配置部材に到達しないように、吐出方向が斜めになるように設けられる基板処理装置。
【請求項3】
前記第2ノズルは、前記基板の搬送方向に向けて斜めに前記第2処理液を吐出するように配置された、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1処理液と前記第2処理液とは異なる種類の処理液である、請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1処理液はオゾン水であり、前記第2処理液は純水である、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1ノズルは、前記一方の面に垂直に前記第1処理液を吐出する請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2ノズルはシャワーパイプに設けられたノズルであって、前記第2ノズルは前記シャワーパイプに複数設けられ、
前記シャワーパイプは、搬送方向に複数本設けられ、
前記第2のノズルは、すべて同じ傾斜角度である請求項1乃至6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板の搬送位置に応じて、前記第2ノズルからの前記第2処理液の吐出態様を制御する制御装置を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
搬送される前記基板が基準位置に達したことを検出する検出器を有し、
前記制御部は、前記検出器によって前記基板が前記基準位置に達したことが検出されたタイミングから第1所定時間後に前記第2ノズルから第2処理液を第1吐出圧にて吐出させ、前記第2処理液の第1吐出圧での吐出開始タイミングから第2所定時間後に、前記第2処理液の吐出圧を前記第1吐出圧より低い第2吐出圧に切り換える吐出圧切換制御部を含む、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記吐出圧切換制御部は、前記第2ノズルからの前記第2処理液の第1吐出圧での吐出タイミングから前記第2所定時間後に、前記第2ノズルからの前記第2処理液の吐出を停止させる、吐出開始・停止制御部を含む、請求項9記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される基板の両面を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される基板洗浄装置(基板処理装置)が知られている。この基板洗浄装置は、ガラス基板の両面を洗浄する第1洗浄部を有している。この第1洗浄部(基板洗浄装置)では、表面(一方の面)を上方に向けた姿勢で搬送されるガラス基板のその表面及び裏面(他方の面)のそれぞれに対向してスプレーノズルが配置されている。そして、ガラス基板が搬送される過程で、上下のスプレーノズルから吐出する洗浄液(処理液)がガラス基板の表面及び裏面に吹きかけれ、そのガラス基板の両面が洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-170828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した基板洗浄装置(第1洗浄部)では、複数のガラス基板が、搬送方向に間隔をあけた状態で連続的に搬送される状況において、連続するガラス基板間の間隔(切れ間)を通して、ガラス基板の下側に配置されたスプレーノズルから吐出される洗浄液が、ガラス基板の搬送面の上側に配置されたスプレーノズルを含む各種部材(洗浄液用の配管、ブラケット等で、「上側の部材」と呼ぶことがある)に吹きかけられ、付着する場合がある。
【0005】
このように、下側のスプレーノズルから吐出する洗浄液が上側の部材に付着すると、上側の部材からその洗浄液が搬送されるガラス基板の表面にぼた落ちする可能性がある。このように、ガラス基板の表面に洗浄液がぼた落ちしてしまうと、処理ムラが生じ、これにより、例えば、液晶用の基板においては表示不良が発生するおそれがある。更に、基板の表裏のそれぞれで処理内容が異なる場合、即ち、基板の表面(一方の面)に対向して配置される上側のノズルから吐出する処理液と、基板の裏面(他方の面)に対向して配置される下側のノズルから吐出する処理液と、が異なる種類である場合には、上述したような処理液のぼた落ちがあると、基板の表面がそのぼた落ちした本来使用されるべきでない種類の処理液によって部分的処理されて、基板の表面に対する正常な処理が損なわれてしまう。
【0006】
上述したような問題を解決するために、搬送される基板の下側に配置されるノズルから吐出する処理液が上側の部材にとどかないように、下側のノズルからの処理液の吐出圧を低くすることが考えられる。しかし、そのようにすると、下側のノズルから吐出する処理液が基板の裏面に十分に供給されず、基板の裏面が処理不足の状態になる可能性があるという、新たな問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、搬送される基板の両面を適正に処理することのできる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基板処理装置は、基板の両面を処理する基板処理装置であって、一方の面を上方に向けた姿勢で搬送される前記基板の前記一方の面に対向して配置され、前記一方の面に対して第1処理液を吐出する第1ノズルを含む上側配置部材と、搬送される前記基板の他方の面に対向して配置され、前記他方の面に対して第2処理液を吐出する第2ノズルと、を備え、前記第2ノズルは、前記第2処理液の吐出方向が前記基板の前記他方の面に対して斜めになるように、配置され、前記第2ノズルの吐出圧は、基板が無いときに前記上側配置部材に前記第2処理液が到達しない吐出圧である、構成となる。
【0009】
このような構成により、搬送される基板の一方の面には第1ノズルから吐出する第1処理液が供給されるとともに、その基板の他方の面には第2ノズルから吐出する第2処理液が供給されて、基板の両面が第1処理液及び第2処理液により処理される。そして、第2ノズルからの第2処理液の吐出方向が搬送される基板の他方の面に対して斜めになって、第2ノズルからその吐出方向における上側配置部材までの距離をかせぐことができるので、第2ノズルからの第2処理液の吐出圧力を基板の前記他方の面の処理に必要な圧力に維持しつつ、第2ノズルから吐出する第2処理液が、連続する基板の切れ間等、基板が存在しない状況で、上側配置部材に到達することを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送される基板の両面を適正に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置が適用される基板の処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示す処理システムにおいて、本発明の実施の形態に係る基板処理装置が構成される第2処理ブース内の側方から見た構造を示す図である。
図3図3は、第2処理ブース内の基板の搬送方向から見た構造を示す図である。
図4図4は、第2シャワーパイプに対する純水(第2処理液)の供給機構及びその制御系を示す図である。
図5図5は、基板の搬送面から第1シャワーノズルまでの距離と、基板の搬送面から第2シャワーノズルまでの距離と、第2シャワーノズルからの純水(第2処理液)の吐出方向及び吐出圧との関係を示す図である。
図6図6は、各シャワーノズルから、処理対象の基板に対して、吐出する処理液の状態を拡大して示す図である。
図7図7は、制御装置の各第2シャワーノズルからの純水(第2処理液)の吐出圧制御動作を示すタイミングチャートである。
図8図8は、各第2シャワーノズルから吐出される純水(第2処理液)の吐出状況(その1)を基板の搬送位置との対応づけて示す図である。
図9図9は、各第2シャワーノズルから吐出される純水(第2処理液)の吐出状況(その2)を基板の搬送位置と対応づけて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
本発明の実施の一形態に係る基板処理装置が適用される基板の処理システムは図1に示すように構成される。
【0014】
図1において、この処理システム100は、直列的に連結された搬入ブース11、第1処理ブース12、第2処理ブース13、リンスブース14及び搬出ブース15を備えている。搬入ブース11から搬出ブース15までの各ブース11~15を通るように搬送ローラ(搬送装置:図1において図示略)が設けられている。搬入ブース11に搬入された処理対象の基板W(例えば、ガラス基板、液晶基板等)は、一方の面(表面という)を上方に、他方の面(裏面という)を下方にそれぞれ向けて、搬送ローラによって搬出ブース15に向けて(搬送方向Dt)搬送される。基板Wは、搬送されながら、第1処理ブース12での処理(例えば、フッ酸を処理液として用いたエッチング処理)、第2処理ブース13での処理(例えば、後述する、表面に対してオゾン水を処理液として用いた親水処理、及び裏面に対して純水を処理液として用いた洗浄処理)、及びリンスブース14での処理(純水を処理液として用いた洗浄処理)を順次経て、搬出ブース15から次工程に搬出される。
【0015】
第2処理ブース13内に、本発明の実施の一形態に係る基板処理装置が形成される。この基板処理装置は、図2及び図3に示すように構成される。なお、図2は、第2処理ブース13内の側方から見た構造を示しており、図3は、第2処理ブース内の基板Wの搬送方向Dtから見た構造を示している。
【0016】
図2及び図3において、第2処理ブース13内を通る搬送ローラ50は、その搬送方向Dtに並ぶ複数のローラユニット51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h(以下、ローラユニットを総称する場合、参照番号51を用いる)を備えている。ローラユニット51は、搬送方向Dtに直交して水平方向に延びる回転軸に装着された複数のローラで構成される。搬送ローラ50の上方には、それぞれ搬送方向Dtに直交して水平方向に延びる複数(例えば、6個)の第1シャワーパイプ21a、21b、21c、21d、21e、21f(以下、第1シャワーパイプを総称する場合、参照番号21を用いる)が搬送方向Dtに所定間隔をもって配列されている。第1シャワーパイプ21aには、複数の第1シャワーノズル23aが所定間隔もって配列されるように設けられている。また、他の第1シャワーパイプ21b~21fにも、同様に、複数の第1シャワーノズル23b、23c、23d、23e、23fが設けられている(以下、第1シャワーノズルを総称する場合、参照番号23を用いる:図3参照)。第1シャワーパイプ21に設けられた第1シャワーノズル23は、直下に向いている。
【0017】
搬送ローラ50の下方には、それぞれ搬送方向にDtに直交して水平方向に延びる複数(例えば、6個)の第2シャワーパイプ22a、22b、22c、22d、22e、22f(以下、第2シャワーパイプを総称する場合、参照番号22を用いる:図3参照)が搬送方向Dtに所定間隔をもって配列されている。第2シャワーパイプ22aには、複数の第2シャワーノズル24aが所定間隔もって配列されるように設けられている。また、他の第2シャワーパイプ22b~22fにも、同様に、複数の第2シャワーノズル24b、24c、24d、24e、24fが設けられている(以下、第2シャワーノズルを総称する場合、参照番号24を用いる:図3参照)。第2シャワーパイプ22に設けられた第2シャワーノズル24は、搬送方向Dtに傾いた方向に向いている。
【0018】
第1シャワーパイプ21には、基板Wの親水処理すべき表面に供給されるオゾン水(第1処理液)の供給機構(図示略)が結合している。前記供給機構から所定の圧力で供給されるオゾン水が第1シャワーパイプ21に供給されることにより、第1シャワーパイプ21に設けられた第1シャワーノズル23からオゾン水が所定の吐出圧にて直下に向けて吐出する。
【0019】
第2シャワーパイプ22には、基板Wの洗浄処理すべき裏面に供給される純水(第2処理液)の供給機構が結合している。この供給機構は、例えば、図4に示すように構成されている。
【0020】
図4において、この供給機構は、第2処理液としての純水の供給源である処理液供給源32と調圧器33とを有している。そして、処理液供給源32からの純水が調圧器33を通して各第2シャワーパイプ22a、22b、22c、22d、22e、22fに並列的に供給される。調圧器33から各第2シャワーパイプ22a、22b、22c、22d、22e、22fに並列的に延びる配管には開閉弁(電磁弁)25a、25b、25c、25d、25e、25f(以下、開閉弁を総称する場合、参照番号25を用いる)が設けられている。調圧器33は、後述する制御装置30の制御のもと、複数の第2シャワーパイプ22a、22b、22c、22d、22e、22fに供給される純水の供給圧力を個別に調整する。
【0021】
第2処理ブース13における基板Wの入口(基準位置)には、基板Wがこの入口に達したか否かを表す検出信号を出力する検出器31が設けられている(図4とともに図2参照)。前述した純水(第2処理液)の供給機構は、制御装置30によって制御される。制御装置30は、検出器31からの検出信号に応じて、第2シャワーパイプ22への純水の供給圧力を比較的低い圧力と比較的高い圧力とで切り換わるように調圧器33を制御する。第2シャワーパイプ22への純水の供給圧力が比較的低い圧力の場合、第2シャワーパイプ22に設けられた第2シャワーノズル24からは純水が比較的低い待機吐出圧(第2吐出圧)にて吐出する。また、第2シャワーパイプ22への純水の供給圧力が比較的高い圧力の場合、第2シャワーノズル24からは純水が比較的高い洗浄吐出圧(第1吐出圧)にて吐出する。なお、調圧器33の制御態様の詳細については後述する。また、制御装置30は、調圧器33から第2シャワーパイプ22に延びる配管に設けられた開閉弁25(電磁弁)の開閉制御も行う。
【0022】
搬送方向Dtに向けて傾けて設けられる第2シャワーノズル24のその傾き角度α、即ち、純水の吐出方向は、例えば、図5に示すように、基板Wの搬送面Stとその搬送面Stの上側に配置された第1シャワーノズル23を含む上側配置部材(本実施の一形態では、第1シャワーパイプ21、第1シャワーパイプ21を固定するブラケット、配管ホース等を含む)との間の最小距離h1、搬送面Stと第2シャワーノズル24の先端との間の距離h2、及び純水(第2処理液)による基板Wの裏面の処理(この場合、洗浄処理)に必要な吐出圧(洗浄吐出圧:第1吐出圧)に基づいて、決めることができ、予め実験などにより求められる。具体的には、基板Wの裏面の処理(洗浄)に必要な吐出圧となり、かつ、第2シャワーノズル24から吐出される純水が前記上側配置部材(第1シャワーノズル23等)にとどかないように第2シャワーノズル24の傾き角度αを決めることができる。言い換えると、傾き角度αは、図5に示すように、第2シャワーノズル24から洗浄吐出圧で吐出された純水の軌跡において、最高到達点が、基板Wの搬送面Stから最小拒理h1の高さ以下となるように設定される。また、第2吐出圧を高くするほど、第2シャワーノズル24の傾き角度αを小さくすればよい。
【0023】
なお、前述したように、調圧器33によって、第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧は、前記洗浄吐出圧より低い待機吐出圧(第2吐出圧)に調整することができる。この待機吐出圧は、例えば、前記傾き角度αに設定された第2シャワーノズル24から吐出する純水(第2処理液)が搬送面Stまでにしか届かない程度、つまり、第2シャワーノズル24から待機吐出圧で吐出された純水の軌跡において、最高到達点が搬送面St以下に設定することができる。この待機吐出圧は、第2シャワーノズル24から吐出される純水によって基板Wの裏面を処理する必要がない状況において、用いることができる。
【0024】
上述したような第2処理ブース13内に構成される基板処理装置では、図6に示すように、第2処理ブース13内を搬送される基板Wの表面には、第1シャワーノズル23から所定の吐出圧にて直下に向けて吐出して広がるオゾン水(第1処理水)が吹きかけられ、前の第1処理ブース12で処理された(例えば、フッ酸等でエッチング処理された)その表面がオゾン水により処理(親水処理)される。一方、搬送される基板Wの裏面には、第2シャワーノズル24から前記洗浄吐出圧(図5参照)にて基板Wの搬送方向Dtに傾いた方向(傾き角度α)に向けて吐出して広がる純水(第2処理水)が吹きかけられ、基板Wの裏面が純水により処理(洗浄処理)される。
【0025】
隣り合う2つの第1シャワーノズル23、例えば、図6に示すように、2つの第1シャワーノズル23a、23bから吐出して広がるオゾン水は、基板Wの表面にオーバーラップした状態(OL1)で吹きかけられる。また、隣り合う2つの第2シャワーノズル24についても、例えば、図6に示すように、2つの第2シャワーノズル24a、24bから斜めに吐出して広がる純水は、基板Wの裏面にオーバーラップした状態(OL2)で吹きかけられる。このように各ノズルから吐出して広がる処理液がオーバーラップしながら基板Wの各面に吹きかけられるので、搬送される基板Wの各面に、対応する処理液をムラなく吹きかけることができ、ムラの無い処理が可能となる。
【0026】
また、隣り合う2つの第2シャワーノズル24a、24bから斜めに純水が吐出しているので、基板Wの裏面にてそれら2つのシャワーノズルから吐出する純水のオーバーラップ(OL2)が比較的広くなる。その結果、第2シャワーノズル24から搬送される基板Wの裏面に、純水をよりムラなく吹きかけることができる。
【0027】
制御装置30(吐出圧切換制御部)は、開閉弁25を開に維持した状態で、検出器31からの検出信号に基づいて、例えば、図7に示すタイミングチャートに従って調圧器33を制御して、各第2シャワーノズル24a、24b、24c、24d、24e、24fからの純水の吐出圧を切り換える。
【0028】
制御装置30は、通常、第2シャワーノズル24a~24fから純水が待機吐出圧にて吐出するように調圧器33を制御する。その結果、図8(a)に示すように、第2シャワーノズル24a、24b(24c~24f:図示略(以下、図8及び図9において同様))から純水(第2処理液)が搬送ローラ50の搬送面Stに達する程度の強さで吐出する。
【0029】
この状態で、制御装置30は、図7に示すように、時刻t1にて、検出器31から基板W(例えば、基板Wの先端)が入口(基準位置)に達したことを表す検出信号を取得すると、その取得タイミングt1から所定時間Δt1(第1所定時間)後に、最も上流側に位置する第2シャワーノズル24aからの純水の吐出圧を前記待機吐出圧から洗浄吐出圧に切り換える。その結果、図8(b)に示すように、他の第2シャワーノズル24b(24c~24f)から純水が搬送面Stに達する程度の強さで吐出する状態が維持されつつ、最も上流側の第2シャワーノズル24aから純水が、基板Wの裏面の処理(洗浄)に適した洗浄吐出圧にて吐出する。前記所定時間Δt1は、例えば、入口に達した基板Wが搬送されて第2シャワーノズル24aからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間に基づいて決めることができる。
【0030】
第2シャワーノズル24aからの純水の吐出圧が洗浄吐出圧に切り換えられた当初、基板Wに吹きかけられずに搬送面Stより上方に至る純水は、上述したように(図5参照)、搬送面Stの上方に配置された上側配置部材(第1シャワーノズル23等)に到達することはない。そして、基板Wの移動にともなって、第2シャワーノズル24aから吐出する純水の基板Wの裏面に吹きかけられる領域が徐々に増大する。
【0031】
制御装置30は、前記検出信号の取得タイミング(t1)から所定時間Δt2(第1所定時間:例えば、入口に達した基板Wが第2シャワーノズル24bからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間)後に、次の第2シャワーノズル24bからの純水の吐出圧力を前記待機吐出圧から洗浄吐出圧に切り換える。その結果、図8(c)に示すように、最も上流側の第2シャワーノズル24aから洗浄吐出圧にて吐出する純水にて基板Wの裏面が洗浄される状態が維持されるとともに、他の第2シャワーノズル(24c~24f)から純水が搬送面Stに達する程度の強さで吐出する状態が維持されつつ、次の第2シャワーノズル24bから純水が、基板Wの裏面の処理(洗浄)に適した洗浄吐出圧にて吐出する。
【0032】
この状況でも、次の第2シャワーノズル24bから吐出して基板Wに吹きかけられずに搬送面Stより上方に至る純水についても、搬送面Stの上方に配置された上側配置部材(第1シャワーノズル23等)に到達することはない。そして、図8(d)に示すように、基板Wの移動にともなって、第2シャワーノズル24bから吐出する純水の基板Wの裏面に吹きかけられる領域が徐々に増大する。
【0033】
以後、同様に(図7参照)、制御装置30は、前記検出信号の取得タイミングt1から、所定時間Δt3(第1所定時間:例えば、入口に達した基板Wが第2シャワーノズル24cからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間)後に、所定時間Δt4(第1所定時間:例えば、入口に達した基板Wが第2シャワーノズル24dからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間)後に、所定時間Δt5(第1所定時間:例えば、入口に達した基板Wが第2シャワーノズル24eからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間)後に、そして、前記タイミングt1から所定時間Δt6(第1所定時間:例えば、入口に達した基板Wが第2シャワーノズル24fからの純水が吹きかけられる領域に達すると見込まれる時間)後に、それぞれ第2シャワーノズル24c、24d、24e、24fからの純水の吐出圧を、順次、待機吐出圧から基板Wの裏面の洗浄に適した洗浄吐出圧に切り換える。
【0034】
このように、基板Wの移動にともなって、各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吐出圧が順次、待機吐出圧から洗浄吐出圧に切り換えられて、基板Wの裏面の純水による処理(洗浄)が進行していく。
【0035】
このような過程で、制御装置30は、各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吐出圧を、順次、上述したように洗浄吐出圧に切り換えたタイミングから所定時間Δtt(第2所定時間)後に、前記洗浄吐出圧から待機吐出圧に切り換える。前記所定時間Δttは、各第2シャワーノズル24a~24fから純水の吐出が開始されてから、移動する基板Wがその第2シャワーノズル24からの純水が吹きかけられる領域から抜け出すまでと見込まれる時間に基づいて決めることができる。
【0036】
第2シャワーノズル24から吐出する純水により洗浄される基板は、図9(a)、(b)、(c)に示すように、最も上流側の第2シャワーノズル24aから順番に各第2シャワーノズル24a~24fそれぞれからの純水の吹きかけ領域から抜け出していく。その過程で、上記のような制御装置30による各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吐出圧の洗浄吐出圧から待機吐出圧への切り換えにより、基板Wが各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吹きかけ領域から抜け出す際に、その第2シャワーノズル24からの純水は、基板Wの搬送面Stに達する程度の強さで吐出する状態となる。このように各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吐出圧が切り換えられる過程においても、各第2シャワーノズル24a~24fから吐出する純水は、搬送面Stより上方に配置される上側配置部材に達することはない。
【0037】
以後、複数の基板Wが連続して搬送される過程で、制御装置30は、各基板Wが入口に達したことを表す検出信号を検出器31から取得するタイミング(t2、t3・・・)毎に、上述したのと同様に(図7図8図9参照)、各第2シャワーノズル24a~24fからの純水の吐出圧力を切り換える。
【0038】
上述したような基板処理装置によれば、各第2シャワーノズル24a~24fからの純水(第2処理液)の吐出方向が搬送される基板Wの裏面に対して斜めになって、その第2シャワーノズル24からその吐出方向における上側配置部材までの距離をかせぐことができるので、第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧を基板Wの裏面の処理(洗浄)に必要な圧力(洗浄吐出圧)に維持しつつ、第2シャワーノズル24から吐出する純水が、連続する基板Wの切れ間等、基板Wが存在しない状況で、上側配置部材(第1シャワーノズル23等)に達することを防止することができる。これにより、第2シャワーノズル24から吐出する純水が上側配置部材に付着して、その純水が基板Wの表面にぼた落ちすることを未然に防止することができる。よって、基板Wの両面を適正に処理することができる。
【0039】
また、第2シャワーノズル24の吐出方向を搬送される基板Wの裏面に対して斜めになるようにして、第2シャワーノズル24から洗浄吐出圧にて吐出する純水が上方配置部材(第1シャワーノズル23等)に達することが防止されるので、基板Wが第2シャワーノズル24の純水の吹きかけ領域に進入する直前でその吐出圧を待機吐出圧から洗浄吐出圧に切り換えても、また、基板Wが第2シャワーノズル24の純水の吹きかけ領域から脱する直後にその吐出圧を洗浄吐出圧から待機吐出圧に切り換えても、その純水が上方配置部材に達することがない。このため、第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧の切り換えタイミングを時間に応じて比較的ラフに制御しても、基板Wの裏面の適正な洗浄(処理)を維持することができ、また、吐出圧を待機吐出圧に切り換えることによる純水の無駄を防止するという利益も同時に得ることができる。
【0040】
上述した基板処理装置では、第2シャワーノズル24から待機吐出圧で吐出する純水は、基板Wの搬送面Stに達する程度の吐出圧であったが、これに限定されない。前記待機吐出圧は、第2シャワーノズル24から純水が吐出するものの、搬送面Stに届かない程度でもよい。また、前記待機吐出圧をゼロ、すなわち、第2シャワーノズル24からの純水の吐出を停止するようにしてもよい。この場合、制御装置30(吐出開始・停止制御部)は、調圧器33を、常時、第2シャワーノズル24から洗浄吐出圧で純水が吐出するように調圧器33を制御するとともに、第2シャワーノズル24からの純水の吐出を停止すべきタイミングで開閉弁25を開から閉に切り換えるようにしてもよい。
【0041】
なお、上述した基板処理装置では、第2シャワーノズル24から純水が搬送方向Dtに向けて斜めに吐出ものであったが、これに限定されず、第2シャワーノズル24から純水が搬送方向Dtの反対方向に向けて斜めに吐出するものであってもよい。更に、第2シャワーノズル24からの純水(第2処理液)の吐出方向は、搬送方向Dtを横切る方向に向けて斜め方向等、搬送面Stに対して斜めの方向であればよい。ただし、第2シャワーノズル24からの純水の吐出方向は、実施の形態で述べたように、搬送方向Dtに向けて斜めに傾いた方向が好ましい。これは、第2シャワーノズル24から吐出する純水の勢いによって、基板Wの搬送が妨げられないからである。
【0042】
また、上述した基板処理装置では、第1処理液としてオゾン水(親水処理用)、第2処理液として純水(洗浄処理用)が用いられたが、これに限定されない、第1処理液と第2処理液とは同種の処理液であっても、他の異なる種類の処理液であってもよい。
【0043】
更に、上述した基板処理装置では、第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧を切り換えるタイミングの基準となる基板Wの基準位置(検出器31の設置位置)は、この基板処理装置が構成される第1処理ブース13の入口であったが、これに限定されない。前記基準位置は、最も上流側の第2シャワーノズル24aより上流側の任意の位置に設定することができる。
【0044】
上述した基板処理装置では、複数の第2シャワーパイプ22a~22fについて個々的に対応する第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧を切り換えていたが、これに限定されず、複数の第2シャワーパイプ22の組毎に、対応する第2シャワーノズル24からの純水の吐出圧を切り換えるようにしてもよい。
【0045】
また、検出器31からの検出信号に基づいて、全ての第2シャワーパイプ22の全ての第2シャワーノズル24からの純水(第2処理液)の吐出圧を、時差なく、洗浄吐出圧と待機吐出圧とで切り換えるようにしてもよい。また、検出器31を設けることなく、基板処理装置の稼働中に、全ての第2シャワーパイプ22の全ての第2シャワーノズル24から洗浄吐出圧にて純水(第2処理液)を吐出させるようにしてもよい。これらの場合であっても、各第2シャワーノズル24の吐出方向が搬送面に対して斜めに傾いているため、各第2シャワーノズル24から洗浄吐出圧にて純水が吐出しても、その純水は、上方配置部材(第1シャワーノズル23等)に達することはない。
【0046】
複数の第1シャワーノズル23及び複数の第2シャワーノズル24が、それぞれ第1シャワーパイプ21及び第2シャワーパイプ22に個々的に丸穴形状にて形成されるものであったが、これに限定されず、第1シャワーパイプ21及び/または第2シャワーパイプ22にスリット状の一又は複数のノズルを形成するようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
11 搬入ブース
12 第1処理ブース
13 第2処理ブース
14 リンスブース
15 搬出ブース
21、21a~21f 第1シャワーパイプ
22、22a~22f 第2シャワーパイプ
23、23a~23f 第1シャワーノズル
24、24a~24f 第2シャワーノズル
25、25a~25f 開閉器
30 制御装置
31 検出器
32 処理液供給源
33 調圧器
50 搬送ローラ
51、51a~51h ローラユニット
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9