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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095067
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ウイルス用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/83 20060101AFI20220621BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C11D1/83
C11D1/22
C11D1/29
C11D17/08
C11D1/722
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208168
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大河内 敦
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB15
4H003AB17
4H003AB19
4H003AB21
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC23
4H003BA12
4H003DB01
4H003EA16
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB22
4H003EB28
4H003EB38
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA30
4H003FA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗ウイルス効果に優れ、かつ、低温安定性に優れるウイルス用の液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩と、(B)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩と、(C)成分:下記一般式(c)で表されるノニオン界面活性剤と、を含有し、前記(B)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量で表される質量比((A)/(B)比)が0.8以上であり、30℃におけるpHが8以上である、ウイルス用の液体洗浄剤組成物。
11-O-[(EO)/(A11O)]-(EO)-R12・・・(c)(式中、R11はC8~22の炭化水素基。R12はH原子、C1~6のアルキル基又はC2~6のアルケニル基。EOはオキシエチレン基。s:3~25。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方。t:0~6。u:0~20。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩と、
(B)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩と、
(C)成分:下記一般式(c)で表されるノニオン界面活性剤と、
を含有し、
前記(B)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量で表される質量比((A)/(B)比)が0.8以上であり、
30℃におけるpHが8以上である、
ウイルス用の液体洗浄剤組成物
11-O-[(EO)/(A11O)]-(EO)-R12 ・・・(c)
(一般式(c)中、R11は炭素数8~22の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【請求項2】
さらに、前記30℃におけるpHが8以上とするためのpH調整剤を含有し、
前記pH調整剤は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカノールアミンの群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量で表される質量比((A)/(C)比)は、0.3~4.5である、請求項1または2に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量で表される質量比((C)/(B)比)は、0.2~7である、請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
総界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~45質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、高級脂肪酸又はその塩からなる群から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
さらに、ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミンのアルキレンオキサイド付加体、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドからなる群から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
「前記(A)成分と前記(B)成分を含む非石鹸系アニオン界面活性剤の総含有量」に対する「前記(C)成分を含むノニオン界面活性剤の総含有量」で表される質量比(「(A)成分と(B)成分を含む非石鹸系アニオン界面活性剤」/「(C)成分を含むノニオン界面活性剤」比)は、0.1~9である、請求項1~7のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
さらに、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項10】
さらに、ハイドロトロープ剤を含有し、
前記ハイドロトロープ剤は、クメンスルホン酸またはその塩、パラトルエンスルホン酸またはその塩、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール、フェノキシエタノールからなる群から選ばれるいずれか1種以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項11】
さらに、消泡剤、金属イオン捕捉剤、酵素、酸化防止剤、抗菌剤、ソイルリリース剤、分散剤、着香剤、蛍光剤からなる群から選ばれるいずれか1種以上を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項12】
30℃における粘度が300~900mPa・sである、請求項1~11のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【請求項13】
洗液の30℃におけるpHが7~11である、請求項1~12のいずれか1項に記載のウイルス用の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス効果(ウイルス不活化効果)に優れ、低温安定性に優れるウイルス用の液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、一年を通してウイルスの感染が問題となっている。ウイルスを除去したつもりでも、完全に除去しきれなかったウイルスが空気中に漂い、活性が残っているウイルスに感染する場合がある。
【0003】
家庭においては、インフルエンザウイルスやコロナウイルスの感染を防止するため、手洗いに加えて、繊維製品におけるウイルス除去やウイルス不活化を図ることも有効である。アルキルベンゼンホン酸系界面活性剤などの界面活性剤はウイルスに対して抗ウイルス効果を有することが知られているが(特許文献1、2)、同時に洗浄力の向上も求められている。
本発明者らは、直鎖アルキルベンゼンホン酸とポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩を併用し、さらに洗濯時の洗液をアルカリ側にすることで、抗ウイルス効果と洗浄力を両立することができることを見出したが、一方で、低温安定性が下がることが分かった。そこで、さらに特定のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を配合することで、低温安定性の課題を解決することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-218516号公報
【特許文献2】特開2020-040907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、抗ウイルス効果に優れ、かつ、低温安定性に優れるウイルス用の液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]
(A)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩と、
(B)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩と、
(C)成分:下記一般式(c)で表されるノニオン界面活性剤と、
を含有し、
前記(B)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量で表される質量比((A)/(B)比)が0.8以上であり、30℃におけるpHが8以上である、ウイルス用の液体洗浄剤組成物
11-O-[(EO)/(A11O)]-(EO)-R12 ・・・(c)
(一般式(c)中、R11は炭素数8~22の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抗ウイルス効果に優れ、低温安定性に優れるウイルス用の液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<(A)成分>
(A)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩である。
(A)成分は、抗ウイルス効果を示す成分である。また、(A)成分および後述する(B)成分との併用により、洗浄力を向上することができる。
【0009】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~18のものが好ましく、炭素数が10~15のものがより好ましい。
【0010】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。特に増粘効果が得られやすくなる点で、ナトリウム塩が好ましい。
【0011】
(A)成分としては、例えば直鎖アルキル(炭素数10~14)ベンゼンスルホン酸およびそのナトリウム塩などが挙げられる。また、(A)成分の市販品として、ライオン株式会社製の「ライポンLH-200」などが挙げられる。
【0012】
(A)成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、4.5~13.5質量%がより好ましく、8~10質量%がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、ウイルス不活化効果に優れる。一方、上限値以下であれば、外観安定性に優れる。
<(B)成分>
(B)成分は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩である。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(b)で表される化合物(B)が挙げられる。
【0015】
21-O-[(EO)/(PO)]-SO ・・・(b)
式(b)において、R21は、炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、kはEOの平均繰り返し数を表し、0以上の数であり、nはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、Mは対カチオンである。
【0016】
21は、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
【0017】
kは0~5が好ましく、0.5~5がより好ましく、0.5~4がさらに好ましく、0.5~3.5が特に好ましく、1.5~2.5が最も好ましい。
nは0~3が好ましく、0がより好ましい。
k+nは0.5以上が好ましく、0.5~5がより好ましい。
(b)成分がEOとPOとの両方を有する場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
【0018】
塩としては、ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等とのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0019】
(b)成分としては、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造してもよい。公知の合成方法で製造する場合、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに、無水硫酸を反応させるか、クロルスルホン酸を反応させる方法により製造することができる。
【0020】
液体洗浄剤組成物に含まれる(B)成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0021】
液体洗浄剤組成物の総質量に対して、(B)成分の含有量は1~20質量%が好ましく、2~13.5質量%がより好ましく、6~12質量%がより好ましく、8~10質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄性能が高く、ウイルス不活化効果が高い。
<(C)成分>
(C)成分としては、下記一般式(c)で表されるノニオン界面活性剤(以下、「化合物(C)」ともいう。)である。下記一般式(c)で表される化合物はポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤である。
【0022】
11-O-[(EO)/(A11O)]-(EO)-R12 ・・・(c)
(一般式(c)中、R11は炭素数8~22の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
一般式(c)中、R11の炭化水素基の炭素数は、8~22であり、10~18が好ましく、12~18がより好ましい。R11の炭化水素基は直鎖または分岐鎖である。また、R11の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0023】
-O-に結合するR11の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
【0024】
12がアルキル基の場合、炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
【0025】
12がアルケニル基の場合、炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
【0026】
12は水素原子が特に好ましい。
【0027】
sは3~25であり、5~25が好ましく、7~20がより好ましく、7~18がさらに好ましい。
【0028】
tは0~6であり、0~3が好ましい。
【0029】
uは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
【0030】
s+uは3~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、7~20が特に好ましく、7~18が最も好ましい。
【0031】
tが0でない場合、つまり化合物(C)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)/(A11O)]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R11-O-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R11-O-」に結合してもよい。ただし、uが0でない場合、[(EO)/(A11O)]の末端で-(EO)に結合するのはA11O、すなわち、PO又はBOである。
【0032】
tが0でない場合、化合物(C)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%が好ましく、3~13.5質量%がより好ましく、4.5~6質量%がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、洗浄性能に優れる。一方、上限値以下であれば、皮脂洗浄性能に優れる。
(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量で表される質量比(以下、「(A)/(B)比」ともいう。)は、0.8以上が好ましく、0.8~3が好ましく、0.9~2がより好ましく、1~1.25がさらに好ましい。上記範囲内であれば、ウイルス不活化効果と洗浄性能に優れる。
(C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量で表される質量比(以下、「(A)/(C)比」ともいう。)は、0.3~4.5が好ましく、1.7~2.7がより好ましく、2~2.5がさらに好ましい。
上記範囲内であれば、ウイルス不活化効果と洗浄性能に優れる。
(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量で表される質量比(以下、「(C)/(B)比」ともいう。)は、0.2~7が好ましく、0.3~3がより好ましく、0.4~1がさらに好ましい。上記範囲内であれば、洗浄性能に優れる。
(A)成分と(B)成分と(C)成分を含む総界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~45質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましく、20~25質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、洗浄性能に優れる。
(pH)
液体洗浄剤組成物の30℃におけるpHは8以上であり、8~11が好ましく、8.5~11がより好ましく、9~11がさらに好ましく、9.5~11が特に好ましい。上記範囲内であることで、(A)成分と(B)成分の洗浄力が向上する。さらに、(C)成分による低温安定性を向上できる。
また、洗液の30℃におけるpHは、7~11が好ましく、8~11がより好ましく、9~11がさらに好ましい。洗液のpHが上記下限値以上であると、洗浄性能に優れる。洗液のpHが上記上限値以下であると、衣類の損傷を防げる。
上記洗液とは、洗浄時に液体洗浄剤組成物を水などの溶媒に溶解または分散させることにより得られたものをいう。
【0033】
液体洗浄剤組成物および洗液のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
【0034】
本明細書におけるpHは、測定対象を30℃とし、pHメーター(東亜ディーケーケー社製、製品名「HM-30G」)により測定される値である。
pHを8以上にするものとしては、pH調整剤が好ましい。
pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)等が挙げられる。これらの中でも、洗濯液中のpH向上性能や製造時の扱いやすさの観点から、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカノールアミンが好ましい。pH調整剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
pH調整剤の含有量は、30℃でpH8以上となるように適量配合すればよい。
炭酸ナトリウムを配合する場合は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~5質量%が好ましく、1~2.5質量%がより好ましい。上記下限値以上であれば、洗浄性能に優れる。一方、上限値以下であれば、低温安定性に優れる。
炭酸水素ナトリウムを配合する場合は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~2.5質量%が好ましく、1~1.5質量%がより好ましい。上記下限値以上であれば、洗浄性能に優れる。一方、上限値以下であれば、低温安定性に優れる。
アルカノールアミンを配合する場合は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~1質量%が好ましく、0.3~0.7質量%がより好ましい。上記下限値以上であれば、保管時のpH低下を防げる。一方、上限値以下であれば、外観安定性に優れる。
水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して45~80質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましく、65~75質量%がさらに好ましい。
<任意成分>
上記(A)~(C)成分以外に、液体洗浄剤の分野で公知の成分を、任意成分として含んでもよい。
【0035】
任意成分としては、例えば、(A)~(C)成分以外の界面活性剤、ハイドロトロープ剤、有機酸、消泡剤、金属イオン捕捉剤(キレート剤)、酵素、アルカリ剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、風合い向上剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、分散剤、着香剤、着色剤、乳濁化剤、蛍光剤、エキス等が挙げられる。
(A)~(C)成分以外の界面活性剤としては、(A)成分と(B)成分以外のアニオン界面活性剤、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(A)成分と(B)成分以外のアニオン界面活性剤としては、非石鹸系アニオン界面活性剤と高級脂肪酸またはその塩が挙げられる。
【0036】
非石鹸系アニオン界面活性剤としては、例えば、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0037】
非石鹸系アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
【0038】
これらの非石鹸系アニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
【0039】
「高級脂肪酸」とは、炭素数8~22の脂肪酸である。高級脂肪酸又はその塩を含有することで、液体洗浄剤組成物は、すすぎ性を高められる。すすぎ性を高めると、洗浄処理後のすすぎ処理の回数を減らすことができる。
【0040】
高級脂肪酸又はその塩を配合すると、液安定性が低下しやすい。液体洗浄剤組成物のpHを7超にすることで液安定性を高められる。
【0041】
高級脂肪酸としては、炭素数8~18の鎖状モノカルボン酸が好ましい。
【0042】
高級脂肪酸は、下記一般式(i)で表される。
【0043】
31-COOH・・・(i)
(一般式(i)中、R31は炭素数7~17の脂肪族炭化水素基である。)
一般式(i)中、R31の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。R31としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が好ましい。
【0044】
31の炭素数は、7~17であり、11~17が好ましい。R31の炭素数が上記下限値以上であれば、再汚染防止効果が高まる。R31の炭素数が上記上限値以下であれば、水への溶解性が高まる。
【0045】
高級脂肪酸塩における塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩又はマグネシウム塩等が挙げられる。アミン塩としては、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、又はトリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0046】
これらの高級脂肪酸又はその塩は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0047】
また、高級脂肪酸又はその塩は、単一鎖長の混合物でもよく、2以上の鎖長の混合物でもよい。
【0048】
高級脂肪酸又はその塩としては、ヤシ脂肪酸又はその塩を含むことが好ましい。
高級脂肪酸又はその塩の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して2質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましい。また、液体洗浄剤組成物の総質量に対して10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。すなわち、高級脂肪酸又はその塩の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して2~10質量%が好ましく、2.5~7質量%がより好ましい。高級脂肪酸又はその塩の含有量が上記下限値以上であれば、すすぎ性が向上する。
(C)成分以外のノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルは、下記一般式(ii)で表される化合物である。
41-CO-[(EO)/(AO)]-(EO)-R42 ・・・(ii)
式(ii)において、R41は炭素数7~21の炭化水素基であり、R42は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。
EOはオキシエチレン基であり、sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。
AOはPO(オキシプロピレン基)またはBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方であり、tはAOの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。
tが1以上である場合、[(EO)/(AO)]において、EOとAOの配列順は末端がEOでない他は限定がなく、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよいし、ブロック重合の場合、3つ以上のブロックが配列していてもよい。
式(ii)中、R41の炭化水素基の炭素数は、9~21であり、9~19が好ましく、9~17がより好ましい。前記炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。また、不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。R41は直鎖又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。
42がアルキル基の場合、炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。R42がアルケニル基の場合、炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
sは3~25であり、5~18が好ましく、10~18がさらに好ましく、12~18が特に好ましい。tは0~6であり、0~3が好ましい。uは0~20であり、0~10が好ましい。s+uは3~25が好ましく、10~20がより好ましく、12~18が特に好ましい。
「(A)成分と(B)成分を含む非石鹸系アニオン界面活性剤の総含有量」に対する「(C)成分を含むノニオン界面活性剤の総含有量」で表される質量比(以下、「(A)成分と(B)成分を含む非石鹸系アニオン界面活性剤」/「(C)成分を含むノニオン界面活性剤」比ともいう。)は、0.1~9が好ましく、2~7がより好ましく、3~5がさらに好ましい。上記範囲内であれば、ウイルス不活化効果と洗浄性能に優れる。
【0049】
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド等が挙げられる。
【0050】
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
【0051】
これらのカチオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
カチオン界面活性剤を含む場合、カチオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0053】
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0054】
これらの両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤を含む場合、両性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0055】
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
【0056】
これらの半極性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
半極性界面活性剤を含む場合、半極性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
ハイドロトロープ剤としては、例えば、炭素数2~4の1価アルコール、炭素数2~4の多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、ポリオール化合物、メトキシ基を有するアルコール、フェニル基を有するアルコール、糖アルコール、スルホン酸基を有する有機酸塩等が挙げられる。
炭素数2~4の1価アルコールとしては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどが挙げられる。
【0058】
炭素数2~4の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール などが挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)などが挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えばポリエチレングリコール等が挙げられる。
メトキシ基を有するアルコールとしては、例えば、3-メトキシブタノ-ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-2-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-1-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-プロピルブタノ-ル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-2-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-1-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-プロピルブチルアセテートなどが挙げられる。
フェニル基を有するアルコールとしては、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノールなどが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール(D-ソルビトール)、マンニトール、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。
スルホン酸基を有する有機酸塩としては、例えばクメンスルホン酸またはその塩、パラトルエンスルホン酸またはその塩などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~30質量%が好ましい。
消泡剤((C)成分以外のノニオン界面活性剤」を除く)としては、例えばシリコーン、アルコールのプロピレンオキシド付加物、脂肪酸エステル等が挙げられる。
シリコーンとしては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンが挙げられる。これらのシリコーンとしては、例えば、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルション型、自己乳化型等が挙げられる。これらの風合い向上剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~20質量%が好ましい。
アルコールのプロピレンオキシド付加物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のモノアルコールにプロピレンオキシドを付加させたもの;エタンジオール等のジオール、グリセリン等のトリオール、エリスリトール等のテトラオール、ソルビトール等のヘキサオール等の多価アルコールにプロピレンオキシドを付加させたもの等が挙げられる。アルコールのプロピレンオキシド付加物の重量平均分子量は、2500~5500が好ましく、3000~5000がより好ましい。本明細書において重量平均分子量は、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量:800、1,200、2,000、4,000)を標準としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で得られる分子量分布より求められる。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましい。
脂肪酸エステルとしては、例えば、下記式(IV)で表されるものが挙げられる。
【0059】
21-COO-Y21 ・・・(IV)
式中、X21は、炭素数5~21の分岐鎖状アルキル基又は炭素数5~21の直鎖状アルキル基である。X21が直鎖状アルキル基である場合、式(IV)中のカルボニル基の炭素原子に結合する炭素原子は第2級炭素原子である。Y21は、炭素数3~16のアルキル基又は-(R31O)m1-R32である。R31は、炭素数2~4のアルキレン基である。m1はR31Oの平均繰り返し数を示し1~5である。R32は、炭素数1~16のアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。脂肪酸エステルとして具体的には、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(別称:イソオクチル酸2-エチルヘキシル、2H08)等が挙げられる。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
金属イオン捕捉剤(キレート剤)としては、例えば酢酸、アジピン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、モノクロル酢酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の酸又はその塩のカルボン酸類;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラ酢酸(TTHA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、1,3-プロパン-2-ジアミン四酢酸(PDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミンテトラ酢酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸ジ酢酸、β-アラニンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸等の酸又はその塩のアミノカルボン酸類;1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、N,N,N’,N’-テトラキス(ホスホノメチル)エチレンジアミン(EDTMP)等の酸又はその塩 の有機ホスホン酸類などが挙げられる。 キレート剤の塩の形態としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~10質量%が好ましい。
酵素としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。ここで、「酵素」とは、酵素製剤のことを意味する。
プロテアーゼとしては、プロテアーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる、Pr ogress Uno(登録商標)100L、Pr ogress Uno(登録商標)101L、Medley(登録商標) Core210L、Savinase(登録商標)16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Savinase Evity 16L、Everlase(登録商標) 16L TypeEX、Everlase 16L、Everlase Ultra 16L、Esperase(登録商標) 8L、Alcalase(登録商標) 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase(登録商標) 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase(登録商標) 48L(いずれも商品名)、ジェネンコア社から入手できるPurafect(登録商標) L、Purafect OX、Properase L(いずれも商品名)などが挙げられる。
アミラーゼとしては、アミラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる、Termamyl(登録商標) 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl(登録商標) 300L、Stainzyme(登録商標) 12L、Stainzyme Plus 12L、Amplify 12L(登録商標)、Amplify Prime 100L、Medley(登録商標) Core210L(いずれも商品名)、ジェネンコア社から入手できる、Maxamyl(商品名)、天野製薬株式会社から入手できるプルラナーゼアマノ(商品名)、生化学工業株式会社から入手できるDB-250(商品名)などが挙げられる。
リパーゼとしては、リパーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できるLipex(登録商標) 100L、Lipex Evity 100L、Lipolase(登録商標) 100L(いずれも商品名)などが挙げられる。
セルラーゼとしては、セルラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる、Endolase(登録商標) 5000L、Celluzyme(登録商標) 0.4L、Carzyme(登録商標) 4500L(いずれも商品名)等が挙げられる。
マンナナーゼとしては、マンナナーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できるMannaway(登録商標) 4L(商品名)などが挙げられる。
プロテアーゼとしては、上記の中でも、Savinase 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Savinase Evity 16L、Everlase 16L、Everlase Ultra 16L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Progress Unoが好ましく、Alcalase 2.5L、Everlase 16L、Savinase 16L、Savinase Evity 16L、Coronase 48L、Pro gress Unoが特に好ましい。これらの酵素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、エリソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、ローズマリー抽出物等が挙げられる。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~3質量%が好ましい。
防腐剤としては、ダウ・ケミカル社製「ケーソンCG」(商品名)、ソー・ジャパン社製「アクチサイドMBS」(商品名)、クラリアント社製「NIPACIDE BIT 20」(商品名)、Troy Siam Co.,Ltd.社製「Margal KN9」(商品名)、「Margal K20」(商品名)等が挙げられる。防腐剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~1質量%が好ましい。
抗菌剤としては、例えばダイクロサン(4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル)、トリクロサン(5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール)などのジフェニルエーテル抗菌剤、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩)等の陽イオン殺菌剤、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8-オキシキノリン、ポリリジンなどが挙げられる。これらの抗菌剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~10質量%が好ましい。
ソイルリリース剤としては、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位、並びにオキシアルキレン単位を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば国際公開第2017/142012号に記載されているものが挙げられる。SR剤の市販品としては、例えばクラリアント社製の商品名「TexCare SRN -170」などが挙げられる。
また、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体等の高分子(P)が挙げられる。ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体としては、下記式(p)で表される側鎖をアルキレンアミン主鎖及びアルキレンアミン主鎖の窒素原子に結合したものが挙げられる。
-(EO)(PO)・・・式(p)
式(p)中、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、aはEOの平均繰り返し数を表す3~60の数であり、bはPOの平均繰り返し数を表す0~60の数である。このような高分子(P)としては、例えば国際公開第2017/142012号や特表2017-514967号公報に記載されているものが挙げられる。高分子(P)としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」などが挙げられる。
【0060】
また、特開2019-90057に記載されているカチオン化セルロースが挙げられる。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~20質量%が好ましい。
分散剤としては、例えばポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、高分子ポリカルボン酸またはそれらの塩等が挙げられる。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
着香剤としては、香料原料単体、又は、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物を含むものが挙げられ、液体洗浄剤組成物に通常用いられる香料を配合することができる。また、カプセル香料を配合しても良い。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
着色剤としては、キノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アゾ系色素、キサンテン系色素、キノリン系色素、ピレン系色素等が挙げられる。本明細書において、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
【0061】
各色素の構造は「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連絡会編)、染料便覧(有機合成化学協会編)に記載されている。
キノン系色素としては、例えば、C.I.Solvent Blue 63(C.I.ソルベント ブルー 63、青色403号)、C.I.Solvent Violet 13(C.I.ソルベント バイオレット 13、紫色201号)、C.I.Acid Green 25(C.I.アシッド グリーン 25、緑色201号)、C.I.Acid Blue 112、C.I.Solvent Green 3(緑色202号)、C.I.Vat Blue 6(C.I.バット ブルー 6、青色204号)、C.I.Solvent Blue 11、C.I.Solvent Blue 12、C.I.Solvent Blue 36、C.I.Acid Violet 43(紫色401号)、C.I.Acid Blue 41、C.I.Acid Blue 62、C.I.Acid Blue 78、C.I.Direct Green 28(C.I.ダイレクト グリーン 28)、C.I.Acid Violet 34、C.I.Acid Vioret 41、C.I.Acid Vioret 51、C.I.Acid Blue 23、C.I.Acid Blue 25、C.I.Acid Blue 27、C.I.Acid Blue 40、C.I.Acid Blue 43、C.I.Acid Blue 45、C.I.Acid Blue 80、C.I.Acid Blue 126、C.I.Acid Blue 127、C.I.Acid Blue 129、C.I.Acid Blue 138、C.I.Acid Blue 143、C.I.Acid Blue 182、C.I.Acid Blue 183、C.I.Acid Blue 203、C.I.Acid Blue 204、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Green 36、C.I.Acid Green 40、C.I.Acid Green 41、C.I.Acid Green 44、C.I.Acid Brown 27(C.I.アシッド ブラウン 27)、C.I.Acid Black 48(C.I.アシッド ブラック 48)、C.I.Acid Black 50、C.I.Disperse Red 9(C.I.ディスパース レッド 9)、C.I.Solvent Violet 14、C.I.Disperse Violet 1、C.I.Acid Green 27等が挙げられる。また、上記のなかでSolvent系(油溶性)色素に対して、発色団の構造の末端にポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどの水溶性高分子を化学的に修飾して水溶性を増すようにしたものでもよい。具体的には、ミリケン社製のLiquitint Blue HP、Liquitint Blue BL、Liquitint Blue MC等の商品名が挙げられる。
トリフェニルメタン系色素としては、例えば青色1号(C.I.42090)、緑色3号(C.I.42053)等が挙げられる。
アゾ系色素としては、例えば黄色4号(C.I.19140)等があげられる。
キサンテン系色素としては、例えば赤色106号(C.I.Acid Red 52)、赤色3号(C.I.Acid Red 51)、赤色214号(C.I.Solvent Red 49)、赤色215号(C.I.Solvent Red 49)、赤色218号(C.I.Solvent Red 48)、赤色223号(C.I.Solvent Red 43)、だいだい色201号(C.I.Solvent Red 72)、だいだい色206号(C.I.Solvent Red 73)、赤色104号の(1)(C.I.Acid Red 92)、赤色105号の(1)(C.I.Acid Red 94)、赤色213号(C.I.Basic Violet 10)、赤色230号の(1)(C.I.Acid Red 87)、赤色230号の(2)(C.I.Acid Red 87)、赤色231号(C.I.Acid Red 92)、赤色232号(C.I.Acid Red 94)、だいだい色207号(C.I.Acid Red 95)、黄色201号(C.I.Acid Yellow 73)、黄色202号の(1)(C.I.Acid Yellow 73)、黄色202号の(2)(C.I.Acid Yellow 73)、赤色401号(C.I.Acid Violet 9)が挙げられる。 ここで「C.I.」とは、「カラーインデックス」の略である。
キノリン系色素としては、例えば黄色203号(C.I.Acid Yellow 3)、黄色204号(C.I.Solvent Yellow 33)が挙げられる。
ピレン系色素としては、例えば緑色204号(C.I.Solvent Green 7)が挙げられる。
蛍光剤としては、4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニ ルジナトリウム塩などのビフェニル型の蛍光剤、4,4’-ビス((4-アミノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩などのスチルベン型の蛍光剤が挙げられる。これらの蛍光剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
(粘度)
液体洗浄剤組成物の30℃における粘度は300~900mPa・sが好ましく、400~800mPa・sがより好ましく500~750mPa・sがさらに好ましい。
【0062】
液体洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計を用い、下記条件で測定した値である。
<<測定条件>>
・ローター:2番ローター。
・回転数:30rpm。
・測定温度:30℃。
・粘度の読み取り:ローターの回転開始30秒後。
(製造方法)
液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤組成物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、必要に応じてpH調整剤を添加してpHを調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%とすることにより製造できる。
(使用方法)
本発明の使用方法は、衣料用(繊維製品用)、硬表面用(食器洗い用、浴室用、トイレ用、キッチン用、壁・床用、コンタクトレンズ用、医療機器用、食品加工用等)、等に特に制限なく使用可能である。
本発明の液体洗浄剤組成物を用いた繊維製品の洗濯方法は特に限定はされず、公知の洗浄剤による洗濯方法と同様であってよい。
具体的には、本発明の洗浄剤組成物を単独で、又は公知の漂白剤や柔軟剤と共に水に入れて洗液とし、この洗液に繊維製品を入れて洗濯機で洗浄する方法、洗液に繊維製品を一定時間漬け置きした後、その後、洗濯機で洗浄する方法などが挙げられる。また、液体洗浄剤組成物を繊維製品の汚れ部分に塗布して適宜放置し、その後、洗濯機で洗浄してもよい。
浸漬時間は、30分以上24時間以内が好ましい。
浸漬する際の浸漬液の温度は、10~50℃が好ましい。
【0063】
本発明において繊維製品としては、例えば、衣料、布巾、シーツ、カーテン、枕カバーなどが挙げられる。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維等のいずれでもよい。
【0064】
洗液中の液体洗浄剤組成物の含有量は、洗液の総質量に対し、0.02~0.3質量%(200~3000ppm)が好ましく、0.1~0.3質量%(1000~3000ppm)がより好ましい。
水に対する液体洗浄剤組成物の添加量は、例えば、水10L当たり、10~30mLとすることが好ましい。
【0065】
本実施形態の液体洗浄剤組成物の対象となるウイルスとしては、エンベロープ型のウイルス、ノンエンベロープ型のウイルスが挙げられる。特にエンベロープ型のウイルスに効果的である。
【0066】
エンベロープ型のウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、風疹ウイルス等が挙げられる。コロナウイルスとしては、例えばSARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)が挙げられる。SARSコロナウイルス-2は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と同様ベータコロナウイルス属に属し、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
ノンエンベロープ型のウイルスとしては、ノロウイルス、ネコカリシウイルス、ポリオウイルス等が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤組成物の対象となるウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルスが特に好ましい。
【実施例0067】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。表1中の配合量は純分換算値である。水の含有量「バランス」は、液体洗浄剤組成物に含まれる全成分の合計が100質量%となるように加えられる残部を意味する。「液体洗浄剤組成物のpH」とは、各例の液体洗浄剤組成物および評価4での30℃におけるpHを示す。また、「洗液のpH」とは、評価1~3での30℃におけるpHを示す。
[使用原料]
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
<(A)成分>
・A-1:LAS:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「ライポン(登録商標)LH-200」。
<(B)成分>
・B-1:AES(2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩。(EOの平均付加モル数2)。商品名:EMAL 270、PT.Kao Indonesia Chemicals社製)
<(C)成分>
・C-1(AE(7EO)):式(c)中、R11=炭素数12の直鎖アルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖アルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)、R12=水素原子、-O-が結合するR11の炭素原子が第一級炭素原子、s=7、t=0、u=0。ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL-70」
・C-2(AE(9EO)):式(c)中、R11=炭素数12の直鎖アルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖アルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)、R12=水素原子、-O-が結合するR11の炭素原子が第一級炭素原子、s=9、t=0、u=0。ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL-90」
・C-3(AE(15EO)):式(c)中、R11=炭素数12の直鎖アルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖アルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)、R12=水素原子、-O-が結合するR11の炭素原子が第一級炭素原子、s=15、t=0、u=0。商品名「ECOLAT 24-15/85」、ETHOXYLATES MANUFACTURING PTE LTD.製。
<pH調整剤>
・炭酸ナトリウム:T. Bariwat Co., Ltd.社製、商品名「NaCO」。
【0068】
・MEA(モノエタノールアミン):PETRONAS CHEMICALS DERIVATIVES SDN BHD/INEOS N.V.社製、商品名「Monoethanolamides」。
・NaOH(水酸化ナトリウム48%水溶液):MALAY―SINO CHEMICAL INDUSTRIES SDN. BHD.社製、商品名「Caustic Soda」。
・クエン酸:Citric Acid Industries社製、商品名「Citric Acid」。
・ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体:BASF社製、商品名「Sokalan HP20」。
・クメンスルホン酸ナトリウム:テイカ株式会社製、商品名「テイカトックスN5040」。
・増粘高分子:Lubirizol社製、商品名「Novethix HC200」。
・MIT/BIT:Thor社製、商品名「Acticide MBS」。
・BIT:Troy Siam Co., Ltd.社製、商品名「Margal K20」。
・プロテアーゼ:DDPスペシャルティ・プロダクツ・ジャパン株式会社製、商品名「Preferenz P300」。
・ダイクロサン:BASF社製、商品名「Tinosan HP100」。
・香料1:Givaudan社製、商品名「COOL Clean」。
・香料2:高砂香料社製、商品名「BLOOMING SEASON T15140612」
・酸化防止剤(BHT):ジャパンケムテック社製、商品名「アイオノールCP」
・着色剤1(Blue C.I. 42090):興洋化学株式会社製、商品名「青色1号」
・着色剤2(Yellow C.I. 19140):三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、商品名「食用黄色4号」
・水:商品名「精製水」、関東化学社製。
<洗浄剤組成物の調製>
500mLのビーカーに、表1の配合量に従い、水の一部と他の成分全体を投入し、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に攪拌した。
【0069】
次いで、30℃でのpHが所定値になるように、pH調整剤を適量添加した後、全体量が100質量%になるように水を加えて、液体洗浄剤組成物を得た。
<評価1:抗ウイルス効果(ウイルス不活化効果)>
試験液はイオン交換水に表1の各例の液体洗浄剤組成物を1167ppmとなるように希釈し用意した。
試験液900μLに対して100μLのインフルエンザA H1N1ウイルス液(10~10PFU/mL)を入れ、10分間室温にて反応させた。反応後、900μLのSCDLP培地(Soybean-Casein Casein Broth with Lecithin & Polylobate 80)に反応液100μLを混合し、EMEM(Eagle's minimal essential medium)にて10倍希釈系列を作成した。
96穴マイクロプレートに,単層培養したMDCK細胞(Madin-Darby canine kidney cell)が均一に分布していることを倒立顕微鏡で確認した後、増殖培地を除去した。EMEM0.1mLを加え、細胞表面を洗浄した後、EMEMを除去した。この操作を2回繰り返し、細胞表面を洗浄した。
前述の各希釈系列0.1mLを1希釈系列当たり8穴ずつ、細胞表面に接種した。接種後の96穴マイクロプレートを34℃のCOインキュベーターに入れ、1時間保温した。プレートから上澄みを除去し、EMEM0.1mLを加えて表面を洗浄後、EMEMを除去し、トリプシン3ppmを含んだEMEM0.2mLを加えた。その後、96穴マイクロプレートを34℃のCOインキュベーターに入れ、4~7日間培養した。
倒立顕微鏡によってそれぞれの穴の細胞変性効果を確認し、細胞変性効果を確認後,ベーレンス・ケルバー法によってウイルスの感染価を算出し、不活化性能を評価した。下記評価基準において、〇を合格とした。
【0070】
《評価基準》
〇:不活化性能が99.9%以上
×:不活化性能が99.9%未満
<評価2:皮脂洗浄力>
本方法において、布の反射率の測定は、色差計(日本電色工業社製、製品名:SE-2000)を用い、下記式(1)により、ハンター白度Zから反射率Rを算出した。
【0071】
R=Z/100 ・・・(1)
まず、洗浄前の湿式人工汚染布(洗濯科学協会より購入。以下、「汚染布」ともいう。)10枚の反射率をそれぞれ測定した。Terg-O-Tometer (U.S.Testing社製)を洗浄試験器として用いた。洗浄液は30℃の5°DH硬水900mLに衣料用液体洗浄剤組成物を、1167ppmとなるように溶解したものを用いた。
【0072】
洗浄槽に、汚染布10枚と、チャージ布(メリヤス布を細かく裁断し、十分に洗浄とすすぎを行い乾燥したもの)を入れ、洗浄液を入れた。チャージ布の量は浴比が30倍又は10倍となるように設定した。
【0073】
回転数120rpm、温度30℃で10分間洗浄した後、30℃の2°DH硬水900mLで3分間すすぎを2回行い。乾燥させた。乾燥後の汚染布(以下、洗浄布ともいう。)の反射率Rを460nmフィルターを使用して測定し、下記式(2)によって洗浄率(単位:%。少数点以下は四捨五入。)を算出した。式中、Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは反射率をそれぞれ表す。標準白布とは、汚れを付けていない元の白布(原布)であり、標準白布の反射率Rは80とし計算した。下記式(2)で得られる洗浄率の値が大きいほど洗浄力が高いことを示す。下記評価基準において、◎及び○を合格とした。
洗浄率(%)=(汚染布K/S-洗浄布K/S)/(汚染布K/S-未汚染布K/S)×100・・・(2)
K/S=(1-R/100)/(2R/100)
《評価基準》
汚染布10枚の洗浄率の平均値が以下。
◎:75%以上
〇:70%以上75%未満
×:70%未満
<評価3:タンパク洗浄力>
前述の評価2の湿式人工汚染布の代わりに、EMPA117汚染布(日本資材株式会社より購入)を用いて、評価2と同様の方法にて洗浄率を算出した。
下記評価基準において、◎及び○を合格とした。
【0074】
《評価基準》
汚染布10枚の洗浄率の平均値が以下。
◎:65%以上
〇:57%以上65%未満
×:57%未満
<評価4:低温安定性>
各例の液体洗浄剤組成物30mLを、円筒ガラス瓶に取り、蓋を閉めて密閉した。この状態で10℃の恒温槽中に放置し、1ヶ月間保存した。
その後、該恒温槽より取り出し、液体洗浄剤の透明均一性と流動性を目視で観察し、下記基準に基づいて液体洗浄剤の外観安定性を評価した。
【0075】
下記評価基準において、◎及び○を合格とした。
《評価基準》
◎:透明均一であり、流動性を示した。
〇:不透明だが、25℃の恒温槽中に1日放置することで、透明均一になった。
×:ガラス瓶の底部に沈殿物が観察され、ガラス瓶を軽く振っても沈殿物が消失しなかった。または、液体洗浄剤が不透明均一で25℃の恒温槽に1日放置しても透明均一にならない。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示すように各実施例では、いずれも優れたウイルス不活化効果と洗浄力と低温安定性を示した。
【0078】