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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095280
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220621BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220621BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220621BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01L29/78 616V
H01L29/78 618B
H01L29/78 616M
H01L29/78 617T
H01L29/78 619A
G02F1/1368
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208511
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】境 武志
(72)【発明者】
【氏名】津吹 将志
【テーマコード(参考)】
2H192
3K107
5F110
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BC42
2H192CB02
2H192CB08
2H192CB34
2H192CB37
2H192CB53
2H192CB83
2H192EA15
2H192FB15
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107EE04
3K107FF14
3K107FF15
5F110AA14
5F110BB02
5F110BB11
5F110CC02
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD13
5F110DD14
5F110DD17
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE06
5F110EE14
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF09
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG13
5F110GG25
5F110HJ01
5F110HJ04
5F110HJ06
5F110HJ13
5F110HL03
5F110HL07
5F110HM18
5F110NN03
5F110NN23
5F110NN24
5F110NN27
5F110NN44
5F110QQ11
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の半導体装置は、基材と、前記基材の上方に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁膜の上に配置された酸化物半導体と、前記酸化物半導体を覆う第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に配置され、前記酸化物半導体に重畳するゲート電極と、を備え、前記酸化物半導体は、前記ゲート電極に重畳する第1領域と、前記ゲート電極に重畳しない第2領域と、を有し、前記第1絶縁層、前記第2領域、及び、前記第2絶縁層は、同種の不純物を含み、前記第1絶縁層のうち、前記第2領域の直下の領域に含まれる前記不純物は、前記第2領域に含まれる前記不純物より多い。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上方に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁膜の上に配置された酸化物半導体と、
前記酸化物半導体を覆う第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上に配置され、前記酸化物半導体に重畳するゲート電極と、を備え、
前記酸化物半導体は、前記ゲート電極に重畳する第1領域と、前記ゲート電極に重畳しない第2領域と、を有し、
前記第1絶縁層、前記第2領域、及び、前記第2絶縁層は、同種の不純物を含み、
前記第1絶縁層のうち、前記第2領域の直下の領域に含まれる前記不純物は、前記第2領域に含まれる前記不純物より多い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁層、前記第2領域、及び、前記第2絶縁層に亘る前記不純物の分布において、不純物数のピークは、前記第1絶縁層と前記第2領域との界面、もしくは、前記第1絶縁層にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁層の膜厚は、前記第2絶縁層の膜厚より大きく、
前記第1絶縁層において前記不純物が分布する厚さは、前記第2絶縁層の膜厚と同等以上である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記不純物は、ホウ素(B)である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、シリコン酸化物によって形成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置において、表示領域の画素回路に酸化物半導体を備えたトランジスタが設けられ、且つ、周辺領域の駆動回路にシリコン半導体を備えたトランジスタが設けられる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-183312号公報
【特許文献2】特開2020-129635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の半導体装置は、
基材と、前記基材の上方に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁膜の上に配置された酸化物半導体と、前記酸化物半導体を覆う第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に配置され、前記酸化物半導体に重畳するゲート電極と、を備え、前記酸化物半導体は、前記ゲート電極に重畳する第1領域と、前記ゲート電極に重畳しない第2領域と、を有し、前記第1絶縁層、前記第2領域、及び、前記第2絶縁層は、同種の不純物を含み、前記第1絶縁層のうち、前記第2領域の直下の領域に含まれる前記不純物は、前記第2領域に含まれる前記不純物より多い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る半導体装置1の一構成例を示す断面図である。
図2図2は、トランジスタTR2の製造方法を説明するための断面図である。
図3図3は、トランジスタTR2の製造方法を説明するための断面図である。
図4図4は、トランジスタTR2の製造方法を説明するための断面図である。
図5図5は、第1実施例の分析結果を示す図である。
図6図6は、第2実施例の分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る半導体装置1は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、電気泳動表示装置、LED表示装置などの各種表示装置の他、静電容量式センサーや光学式センサーなどの各種センサー、その他の電子機器に適用可能である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る半導体装置1の一構成例を示す断面図である。
半導体装置1は、基材10と、絶縁層11乃至19と、トランジスタTR1及びTR2と、素子電極30と、を備えている。
【0012】
トランジスタTR1は、半導体SC1と、ゲート電極(第1ゲート電極)GE1と、ソース電極(第1ソース電極)SE1と、ドレイン電極(第1ドレイン電極)DE1と、を備えている。半導体SC1は、例えば多結晶シリコン半導体であるが、その他のシリコン系半導体であってもよい。ゲート電極GE1は、ゲート線と電気的に接続された電極である。ソース電極SE1は、ソース線SLと電気的に接続された電極である。
【0013】
トランジスタTR2は、半導体SC2と、ゲート電極(第2ゲート電極)GE2と、ソース電極(第2ソース電極)SE2と、ドレイン電極(第2ドレイン電極)DE2と、を備えている。半導体SC2は、例えば酸化物半導体である。ゲート電極GE2は、ゲート線と電気的に接続された電極である。ソース電極SE2は、ソース線あるいは電源線などと電気的に接続された電極である。ドレイン電極DE2は、素子電極30と電気的に接続された電極である。
【0014】
基材10は、ガラス、樹脂フィルム等の絶縁性の材料によって形成されている。絶縁層11は、基材10の上に配置されている。
【0015】
遮光層LS1は、トランジスタTR1に対応して設けられ、絶縁層11の上に配置され、絶縁層12によって覆われている。遮光層LS1は、例えば金属層である。半導体SC1は、遮光層LS1の直上に位置し、絶縁層12の上に配置され、絶縁層13によって覆われている。
【0016】
ゲート電極GE1は、半導体SC1の直上に位置し、絶縁層13の上に配置され、絶縁層14によって覆われている。ゲート電極GE1は、例えば遮光層LS1と同電位である。
【0017】
ソース電極SE1及びドレイン電極DE1は、絶縁層15の上に配置され、絶縁層16によって覆われている。これらのソース電極SE1及びドレイン電極DE1は、それぞれ絶縁層13乃至15を貫通するコンタクトホールCH11及びCH12を介して半導体SC1に接している。
ソース線SLは、絶縁層16の上に配置され、絶縁層17によって覆われている。ソース線SLは、絶縁層16を貫通するコンタクトホールCH13を介してソース電極SE1に接している。
【0018】
遮光層LS2は、トランジスタTR2に対応して設けられ、絶縁層13の上に配置され、絶縁層14によって覆われている。ゲート電極GE1及び遮光層LS2は、同一層に位置し、同一材料によって形成された金属層である。半導体SC2は、遮光層LS2の直上に位置し、絶縁層14の上に配置され、絶縁層15によって覆われている。
【0019】
ゲート電極GE2は、半導体SC2の直上に位置し、絶縁層15の上に配置され、絶縁層16によって覆われている。ゲート電極GE2は、例えば遮光層LS2と同電位である。ゲート電極GE2、ソース電極SE1、及び、ドレイン電極DE1は、同一層に位置し、同一材料によって形成された金属層である。
【0020】
ソース電極SE2及びドレイン電極DE2は、絶縁層16の上に配置され、絶縁層17によって覆われている。これらのソース電極SE2及びドレイン電極DE2は、それぞれ絶縁層15及び16を貫通するコンタクトホールCH21及びCH22を介して半導体SC2に接している。ソース電極SE2、ドレイン電極DE2、及び、ソース線SLは、同一層に位置し、同一材料によって形成された金属層である。
【0021】
接続電極CN1は、絶縁層18の上に配置され、絶縁層19によって覆われている。接続電極CN1は、絶縁層17及び18を貫通するコンタクトホールCH23を介してドレイン電極DE2に接している。接続電極CN1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極であるが、金属層であってもよい。
【0022】
素子電極30は、絶縁層19の上に配置され、絶縁層19を貫通するコンタクトホールCH24を介して接続電極CN1に接している。素子電極30は、各種電子機器の画素電極、下部電極、アノード、あるいは、カソードなどを構成するものである。素子電極30は、例えば、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、素子電極30は、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、素子電極30は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。例えば、素子電極30は、透明電極、金属電極、及び、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。
【0023】
絶縁層11乃至17は、例えば、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸化物(SiO)などによって形成された透明な無機絶縁層である。なお、絶縁層11乃至17の各々は、単一の絶縁材料によって形成された単層体であってもよいし、複数の絶縁材料によって形成された積層体であってもよい。
絶縁層18及び19は、ポリイミドなどによって形成された透明な有機絶縁層である。
【0024】
次に、図1に示したトランジスタTR2の製造方法の一例について説明する。
【0025】
まず、図2に示すように、絶縁層14を形成した後に、絶縁層14の上に酸化物半導体膜を形成し、この酸化物半導体膜をパターニングすることにより、島状の半導体(酸化物半導体)SC2を形成する。絶縁層14は、例えば、シリコン窒化物を堆積して形成した薄膜14Aと、シリコン酸化物を堆積して形成した薄膜14Bとの積層体である。半導体SC2は、薄膜14Bに接している。
その後、絶縁層14及び半導体SC2の上に、シリコン酸化物を堆積して、絶縁層15を形成する。これにより、半導体SC2は、シリコン酸化物である薄膜(第1絶縁層)14Bと絶縁層(第2絶縁層)15との間に位置することになる。
その後、絶縁層15の上に、金属膜を形成し、この金属膜をパターニングすることにより、半導体SC2に重畳するゲート電極GE2を形成する。ゲート電極GE2は、例えば、チタン系金属層、アルミニウム系金属層、及び、チタン系金属層の積層体、あるいは、モリブデン-タングステン合金によって形成される。
【0026】
続いて、図3に示すように、ゲート電極GE2をマスクとして、半導体SC2にイオン注入を行う。一例では、イオン注入により不純物としてホウ素(B)を半導体SC2にドープする。なお、ドープする不純物は、ホウ素に限らない。
これにより、半導体SC2には、ゲート電極GE2に重畳する領域として、ほとんど不純物がドープされないチャネル領域(第1領域)C2が形成され、また、ゲート電極GE2に重畳しない領域として、不純物がドープされたソース領域(第2領域)S2及びドレイン領域(第2領域)D2が形成される。
なお、チャネル領域C2とソース領域S2との間には、チャネル領域C2よりも不純物濃度が高くソース領域S2よりも不純物濃度が低い領域が形成されてもよい。同様に、チャネル領域C2とドレイン領域D2との間には、チャネル領域C2よりも不純物濃度が高くドレイン領域D2よりも不純物濃度が低い領域が形成されてもよい。
また、このイオン注入により、ゲート電極GE2の内部、絶縁層15のうちゲート電極GE2に重畳しない領域、絶縁層14のうちソース領域S2の直下の領域及びドレイン領域D2の直下の領域にも、ソース領域S2及びドレイン領域D2と同種の不純物(例えばホウ素)がドープされる。
【0027】
続いて、図4に示すように、絶縁層16を形成し、絶縁層15及び16を貫通するコンタクトホールCH21及びCH22を形成し、ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を形成する。これにより、トランジスタTR2を備えた半導体装置1が製造される。
【0028】
次に、図4に示した断面図における点線で囲んだ領域Aに含まれる不純物を二次イオン質量分析によって検出し、加速エネルギーの違いによる不純物の分布を比較した。領域Aは、絶縁層14のうちのソース領域S2の直上の領域、半導体SC2のソース領域S2、及び、絶縁層15のうちのソース領域S2の直下の領域に亘る範囲の領域に相当する。なお、ここで検出する不純物は、質量数11のホウ素(11)である。
【0029】
図5は、第1実施例の分析結果を示す図である。図の横軸は、絶縁層15と絶縁層16との界面を基準とした深さ(nm)であり、縦軸は、二次イオン強度(counts/sec)である。二次イオン強度とは、1秒間に検出した二次イオン数である。絶縁層14の膜厚は約100nmであり、半導体SC2の膜厚は約30nmである。図中には、検出対象である不純物(11)の他に、質量数30の珪素(30Si)、及び、質量数113のインジウム(113In)の分析結果も併せて図示している。
【0030】
第1実施例では、図3を参照して説明したイオン注入の際の加速エネルギーを29keV(3*1015ions/cm)に設定した。
【0031】
図5に示す分析結果によれば、絶縁層14に含まれる不純物は、ソース領域S2に含まれる不純物より多いことが確認された。また、図示した不純物の分布において、不純物数のピークは、4.1*10counts/secであり、絶縁層14とソース領域S2との界面に出現することが確認された。ソース領域S2における不純物の分布に着目すると、深さ方向の中央部での不純物数は、絶縁層14との界面での不純物数、及び、絶縁層15との界面での不純物数より少ない。また、絶縁層14とソース領域S2との界面での不純物数は、絶縁層15とソース領域S2との界面での不純物数より多い。絶縁層14の不純物の分布に着目すると、ソース領域S2との界面での不純物数が最大であり、深くなるほど不純物数が低減する傾向にある。
【0032】
絶縁層14の膜厚が絶縁層15の膜厚より大きい場合において、絶縁層14に不純物が分布する厚さ(深さ)は、絶縁層15の膜厚と同等以上であることが確認された。すなわち、ここに示す例では、絶縁層15の膜厚は100nmであり、絶縁層14においてはソース領域S2との界面から100nm以上の深さの範囲に亘って不純物が分布している。
【0033】
単位体積当たりの不純物数として表される不純物濃度に関しては、絶縁層14の不純物濃度がソース領域S2の不純物濃度より高い。第1実施例においては、不純物濃度のピークは、絶縁層14とソース領域S2との界面にある、とみなすことができる。
【0034】
このような第1実施例において、トランジスタTR2に関する信頼性試験を行った。信頼性試験では、ゲート電極GE2に対してトランジスタTR2のオン電圧を印加し続け、ソース-ドレイン間に所定の電圧を印加し、初期のドレイン電流と10時間後のドレイン電流とを比較して、電流低下率を測定した。第1実施例では、電流低下率は2.8%であった。
【0035】
図6は、第2実施例の分析結果を示す図である。図の横軸は、絶縁層15と絶縁層16との界面を基準とした深さ(nm)であり、縦軸は、二次イオン強度(counts/sec)である。絶縁層14の膜厚は約100nmであり、半導体SC2の膜厚は約30nmである。第2実施例では、図3を参照して説明したイオン注入の際の加速エネルギーを35keV(3*1015ions/cm)に設定した。
【0036】
図6に示す分析結果によれば、絶縁層14に含まれる不純物は、ソース領域S2に含まれる不純物より多いことが確認された。また、図示した不純物の分布において、不純物数のピークは、3.9*10counts/secであり、絶縁層14内(特に、絶縁層14のうちのソース領域S2との界面の近傍)に出現することが確認された。ソース領域S2における不純物の分布に着目すると、深さ方向の中央部での不純物数は、絶縁層14との界面での不純物数、及び、絶縁層15との界面での不純物数より少ない。また、絶縁層14とソース領域S2との界面での不純物数は、絶縁層15とソース領域S2との界面での不純物数より多い。絶縁層14の不純物の分布に着目すると、ソース領域S2との界面の近傍での不純物数が最大であり、深くなるほど不純物数が低減する傾向にある。
【0037】
絶縁層14の膜厚が絶縁層15の膜厚より大きい場合において、絶縁層14に不純物が分布する厚さ(深さ)は、絶縁層15の膜厚と同等以上であることが確認された。すなわち、ここに示す例では、絶縁層15の膜厚は100nmであり、絶縁層14においてはソース領域S2との界面から130nm以上の深さの範囲に亘って不純物が分布している。
【0038】
絶縁層14の不純物濃度は、ソース領域S2の不純物濃度より高い。第2実施例においては、不純物濃度のピークは、絶縁層14内にある、とみなすことができる。
【0039】
このような第2実施例において、第1実施例と同様のトランジスタTR2に関する信頼性試験を行ったところ、10時間後の電流低下率は1.9%であった。
【0040】
なお、上記の第1実施例及び第2実施例では、半導体SC2のソース領域S2を含む領域についての分析を行ったが、半導体SC2のドレイン領域D2を含む領域についても、ソース領域S2を含む領域と同様の傾向がみられることは言うまでもない。
【0041】
以上説明したように、酸化物半導体である半導体SC2にイオン注入により不純物(例えばホウ素)をドープする際、加速エネルギーを最適化することにより、半導体SC2を貫通して絶縁層14に到達する不純物が増加し、半導体SC2の内部の結晶欠陥の生成が促進される。
【0042】
このように加速エネルギーが最適化された場合には、絶縁層14に存在する不純物数は、半導体SC2に存在する不純物数より多くなり、また、不純物濃度のピークは、半導体SC2よりも下層である絶縁層14、あるいは、半導体SC2と絶縁層14との界面に出現する。
【0043】
半導体SC2のうち、ゲート電極GE2に重畳しない領域の内部に、より多くの結晶欠陥が生成されることにより、半導体SC2の低抵抗領域であるソース領域S2及びドレイン領域D2が形成される。半導体SC2のうち、ゲート電極GE2に重畳する領域の内部には、ほとんど不純物が到達せず、高抵抗領域であるチャネル領域C2が形成される。
【0044】
上記のように、ソース領域S2及びドレイン領域D2における結晶欠陥の生成が促進されることで、チャネル領域C2とソース領域S2との抵抗差、及び、チャネル領域C2とドレイン領域D2との抵抗差が増大し、動作電圧のストレスが長時間加わった後であっても、半導体SC2の劣化が抑制され、電流の低下(あるいは、抵抗の増加)を抑制することができる。したがって、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態として説明した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0047】
1…半導体装置 10…基材 14…絶縁層 15…絶縁層
TR2…トランジスタ GE2…ゲート電極 SE2…ソース電極 DE2…ドレイン電極
SC2…半導体(酸化物半導体) C2…チャネル領域(第1領域) S2…ソース領域(第2領域) D2…ドレイン領域(第2領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6