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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096233
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220622BHJP
   A47C 27/10 20060101ALI20220622BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20220622BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C27/10 Z
A47C7/14 Z
A47C7/40
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209228
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】太田 誠
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084BA01
3B084EC03
3B087DE10
3B096AC02
(57)【要約】
【課題】装置構成が複雑になることを抑制することができるシート装置を提供する。
【解決手段】シート装置10は、乗員の腰部を支持するシートバック及び臀部を支持するシートクッションと、各複数の第1ブラッダ12及び第2ブラッダ13と、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15と、制御装置18とを備える。複数の第1ブラッダ12はシートバックに配置され、複数の第2ブラッダ13はシートクッションに配置される。第1圧力センサ14は腰部と複数の第1ブラッダ12との間に配置され、第2圧力センサ15は臀部と複数の第2ブラッダ13との間に配置される。制御装置18は、各ブラッダ12,13の第1状態で各圧力センサ14,15から受け取る圧力検出値と各ブラッダ12,13の第2状態で各圧力センサ14,15から受け取る圧力検出値との差である圧力変化量に応じて各ブラッダ12,13を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の臀部を支持するシートクッション及び腰部を支持するシートバックを有するシートと、
前記シートクッション及び前記シートバックの少なくともいずれかに設けられるとともに、流体の注入及び排出によって膨張及び収縮するブラッダと、
前記ブラッダと前記乗員との間に作用する圧力を検出して圧力検出値の信号を出力する圧力センサと、
前記ブラッダの第1状態で前記圧力センサから受け取る前記圧力検出値と前記ブラッダの第2状態で前記圧力センサから受け取る前記圧力検出値との差である圧力変化量に応じて前記ブラッダの膨張及び収縮の状態を制御する制御部と
を備える
ことを特徴とするシート装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力変化量と前記乗員の皮下脂肪量との所定の対応関係の情報に基づき、前記乗員の皮下脂肪量に応じて前記ブラッダの膨張及び収縮の状態を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記圧力変化量が所定閾値よりも小さい場合に前記皮下脂肪量が大きいと判定し、前記圧力変化量が前記所定閾値以上である場合に前記皮下脂肪量が小さいと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート装置。
【請求項4】
前記ブラッダは、膨張時に、前記乗員の座骨及び脊椎の少なくともいずれかを支持する部位に凹部を形成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車両に搭載されるシフト操作装置のシフト位置を検出してシフト位置検出値の信号を出力するシフト位置センサと接続され、
前記圧力変化量に応じた前記ブラッダの膨張及び収縮の制御状態にて前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が後進を示すリバースである場合に前記ブラッダを所定の基準状態に変更する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が前記リバースから停車を示すパーキングを経由せずに前進を示すドライブに変化した場合に、前記ブラッダを前記所定の基準状態から既に取得している前記圧力変化量に応じた膨張及び収縮の制御状態に変更する
ことを特徴とする請求項5に記載のシート装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が前記リバースから停車を示すパーキングに変化した後に前記パーキングから前進を示すドライブに変化した場合に、前記ブラッダを前記所定の基準状態から新たに取得する前記圧力変化量に応じた膨張及び収縮の制御状態に変更する
ことを特徴とする請求項5に記載のシート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員の体格を検知するための複数の各種センサを備え、乗員を支持するシート内に設けられたエアセル又はブラッダの膨張又は収縮等によって、乗員の体格に応じて姿勢を制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-194063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来技術の装置では、複数のセンサを備えることによって、装置構成が複雑になり、構成に要する費用が嵩むという問題が生じる。
【0005】
本発明は、乗員の体格を検知するための装置構成が複雑になることを抑制することができるシート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るシート装置(例えば、実施形態でのシート装置10)は、車両(例えば、実施形態での車両1)の乗員(例えば、実施形態での乗員C)の臀部を支持するシートクッション(例えば、実施形態でのシートクッション11c)及び腰部を支持するシートバック(例えば、実施形態でのシートバック11b)を有するシート(例えば、実施形態でのシート11)と、前記シートクッション及び前記シートバックの少なくともいずれかに設けられるとともに、流体の注入及び排出によって膨張及び収縮するブラッダ(例えば、実施形態での第1ブラッダ12及び第2ブラッダ13)と、前記ブラッダと前記乗員との間に作用する圧力を検出して圧力検出値の信号を出力する圧力センサ(例えば、実施形態での第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15)と、前記制御部(例えば、実施形態での制御装置18)とを備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載のシート装置では、前記制御部は、前記圧力変化量と前記乗員の皮下脂肪量との所定の対応関係の情報に基づき、前記乗員の皮下脂肪量に応じて前記ブラッダの膨張及び収縮の状態を制御してもよい。
【0008】
(3)上記(2)に記載のシート装置では、前記制御部は、前記圧力変化量が所定閾値よりも小さい場合に前記皮下脂肪量が大きいと判定し、前記圧力変化量が前記所定閾値以上である場合に前記皮下脂肪量が小さいと判定してもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のシート装置では、前記ブラッダは、膨張時に、前記乗員の座骨及び脊椎の少なくともいずれかを支持する部位(例えば、実施形態での部位PSa及び部位PSb)に凹部(例えば、実施形態での第1凹部S1、第2凹部S2)を形成してもよい。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のシート装置では、前記制御部は、前記車両に搭載されるシフト操作装置(例えば、実施形態でのシフト操作装置21)のシフト位置を検出してシフト位置検出値の信号を出力するシフト位置センサ(例えば、実施形態でのシフト位置センサ22)と接続され、前記圧力変化量に応じた前記ブラッダの膨張及び収縮の制御状態にて前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が後進を示すリバースである場合に前記ブラッダを所定の基準状態に変更してもよい。
【0011】
(6)上記(5)に記載のシート装置では、前記制御部は、前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が前記リバースから停車を示すパーキングを経由せずに前進を示すドライブに変化した場合に、前記ブラッダを前記所定の基準状態から既に取得している前記圧力変化量に応じた膨張及び収縮の制御状態に変更してもよい。
【0012】
(7)上記(5)に記載のシート装置では、前記制御部は、前記シフト位置センサから受け取る前記シフト位置検出値が前記リバースから停車を示すパーキングに変化した後に前記パーキングから前進を示すドライブに変化した場合に、前記ブラッダを前記所定の基準状態から新たに取得する前記圧力変化量に応じた膨張及び収縮の制御状態に変更してもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)によれば、ブラッダと乗員との間に作用する異なる2つ以上の状態での圧力値の差である圧力変化量(体圧変化量)に応じてブラッダを膨張及び収縮させる制御を行う制御部を備えることによって、乗員の体格を検知するための装置構成が複雑になることを抑制することができる。例えば乗員の体脂肪率、体格及び体重等を検出する複数のセンサを必要とせずに、ブラッダの膨張及び収縮による圧力変化量からブラッダが乗員を押し返す反発力を計測し、反発力に応じてブラッダが支持する圧力を調整することによって乗員の姿勢を適正に保持することができる。
また、例えば従来技術のようにセンサによって取得した乗員の体脂肪率又は体格の検出結果に応じて乗員の姿勢を制御する装置では、乗員の服装が例えば生地が硬いデニム素材の衣類等の場合に、生地に反発力が吸収されて乗員の姿勢を支持する圧力が不足するという問題が生じる。これに対して本発明によれば、ブラッダが乗員を押し返す反発力に応じて乗員を支持する圧力を制御するため、服装込みの乗員に対する支持力の制御を簡易な構成で達成することができる。例えば、圧力センサ以外の他のセンサによって得られる乗員の体格データに服装込みの補正をする等の煩雑又は追加的な情報処理を不要とすることができる。
【0014】
上記(2)の場合、ブラッダの圧力変化量に対応付けられた皮下脂肪量に応じてブラッダを制御する制御部を備えることによって、装置構成が複雑になることを抑制することができる。例えば乗員のブラッダに対する反発力から筋肉と脂肪の比率を判定し、判定結果を体脂肪率又は皮下脂肪量と対応させる情報処理を実行することによって、特別なセンサを必要とせずに、ブラッダの膨張及び収縮に係る信号を出力する圧力センサを備えるだけで乗員の体格における皮下脂肪量を検知することができる。
【0015】
上記(3)の場合、皮下脂肪量が大きいほど圧力変化量(体圧変化量)が小さく、皮下脂肪量が小さいほど圧力変化量(体圧変化量)が大きいと判定する制御部を備えることによって、皮下脂肪量に応じた適正な圧力を作用させるようにブラッダを制御することができる。
【0016】
上記(4)の場合、ブラッダの膨張時に形成される凹部に座骨又は脊椎の各位置を誘導することができ、乗員のシート及びブラッダに対する着座位置及び着座姿勢を適正に設定することができる。これにより、圧力センサから受け取る圧力検出値の差である圧力変化量(体圧変化量)の精度を向上させることができる。
例えば筋肉又は脂肪に比べて反力が大きくなる座骨及び脊椎を支持する部位に凹部が形成されることによって、例えば圧力センサから受け取る圧力検出値及び圧力検出値に基づく圧力変化量(体圧変化量)が過剰に増大することを抑制することができる。
【0017】
上記(5)の場合、シフト位置センサから受け取るシフト位置検出値がリバースである場合にブラッダを所定の基準状態に変更する制御部を備えることによって、車両の駐車及び車庫入れ等の所定状態に対してブラッダが過剰に動作することを抑制することができる。例えば乗員が運転者である場合、駐車又は車庫入れ等の所定状態で車両周辺を目視確認するために上半身を左右にひねる動作の負荷がブラッダの膨張によって増大することを抑制することができる。
【0018】
上記(6)の場合、シフト位置検出値がリバースからパーキングを経由せずにドライブに変化した場合に、既に取得している圧力変化量に応じてブラッダを制御する制御部を備えることによって、車両の乗員が変化していない場合に対応してブラッダを適切に制御することができる。
【0019】
上記(7)の場合、シフト位置検出値がリバースからパーキングを経由してドライブに変化した場合に、新たに取得する圧力変化量に応じてブラッダを制御する制御部を備えることによって、車両の乗員が変化している可能性がある場合に対応してブラッダを適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態でのシート装置の構成を側方から見た図。
図2】本発明の実施形態でのシート装置の構成を前方から見た図。
図3】本発明の実施形態でのシート装置のシートクッションの構成を上方から見た図。
図4図2に示すA-A線の位置で車両の上下方向に直交する平面で切断した断面図。
図5図3に示すB-B線の位置で車両の前後方向に直交する平面で切断した断面図。
図6】本発明の実施形態のシート装置を搭載する車両の機能構成を示すブロック図。
図7】本発明の実施形態のシート装置での皮下脂肪量と体圧変化量との対応関係の一例を示すグラフ図。
図8】本発明の実施形態のシート装置の動作の一例を示すフローチャート。
図9】本発明の実施形態のシート装置の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るシート装置10について、添付図面を参照しながら説明する。実施形態に係るシート装置10は、例えば車両1に搭載されている。
図1は、実施形態でのシート装置10の構成を側方から見た図である。図2は、実施形態でのシート装置10の構成を前方から見た図である。図3は、実施形態でのシート装置10のシートクッションの構成を上方から見た図である。図4は、図2に示すA-A線の位置で上下方向に直交する平面で切断した断面図である。図5は、図3に示すB-B線の位置で前後方向に直交する平面で切断した断面図である。
以下において、3次元空間で互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各軸方向は、各軸に平行な方向である。例えば図1から図5に示すように、Z軸方向はシート装置10を搭載する車両1の上下方向に平行であり、X軸方向は車両1の左右方向に平行であり、Y軸方向は車両1の前後方向に平行である。Z軸方向の正方向は車両1の上下方向の上方向に平行である。X軸方向の正方向は車両1の左右方向の左方向に平行である。Y軸方向の正方向は車両1の前後方向の前方向に平行である。
【0022】
図1図2及び図3に示すように、実施形態のシート装置10は、例えば、車両1の乗員Cを支持するシート11と、複数の第1ブラッダ12と、複数の第2ブラッダ13と、第1圧力センサ14と、第2圧力センサ15とを備える。
シート11は、乗員Cの頭部を支持するヘッドレスト11aと、乗員Cの腰部を支持するシートバック11bと、乗員Cの臀部を支持するシートクッション11cとを備える。
【0023】
複数の第1ブラッダ12の各々の外形は、例えば矩形袋状である。複数の第1ブラッダ12は、シートバック11bの内部に配置されている。複数の第1ブラッダ12は、例えば、車両1の上下方向の上方側で左右方向の中央部から両側にずれて配置される一対の上方側第1ブラッダ12a,12aと、車両1の上下方向の下方側で左右方向の中央部から両側にずれて配置される一対の下方側第1ブラッダ12b,12bとである。シートバック11bでの車両1の左右方向の中央部は、例えば乗員Cの脊椎Saを支持する部位である。一対の上方側第1ブラッダ12a,12aと、一対の下方側第1ブラッダ12b,12bとは、例えば、車両1の上下方向で相互の一部を重ね合うように配置されている。例えば相互に重なり合う部位にて、一対の下方側第1ブラッダ12b,12bは一対の上方側第1ブラッダ12a,12aよりも車両1の前後方向の前方側に配置されている。
【0024】
複数の第2ブラッダ13の各々の外形は、例えば矩形袋状である。複数の第2ブラッダ13は、シートクッション11cの内部に配置されている。複数の第2ブラッダ13は、例えば、シートクッション11cの所定部位から車両1の左右方向の両側にずれて配置される一対の左右側第2ブラッダ13a,13aと、シートクッション11cの所定部位から車両1の前後方向の両側にずれて配置される一対の前後側第2ブラッダ13b,13bとである。シートクッション11cの所定部位は、例えば乗員Cの左右一対の座骨Sb,Sbを支持する部位の中央部である。一対の左右側第2ブラッダ13a,13aと、一対の前後側第2ブラッダ13b,13bとは、例えば、相互の一部を重ね合うように配置されている。例えば相互に重なり合う部位にて、一対の左右側第2ブラッダ13a,13aは一対の前後側第2ブラッダ13b,13bよりも車両1の上下方向の上方側に配置されている。
【0025】
各第1ブラッダ12及び各第2ブラッダ13は、例えば空気等の流体の注入及び排出によって膨張及び収縮する。
図4は、図2に示すA-A線の位置で車両1の上下方向に直交する平面で切断した断面図である。図5は、図3に示すB-B線の位置で車両の前後方向に直交する平面で切断した断面図である。
図4に示すように、シートバック11bに内蔵される各一対の上方側第1ブラッダ12a,12a及び下方側第1ブラッダ12b,12bは、乗員Cの脊椎Saを支持する部位PSaから左右方向の両側にずれて配置される。これにより、各第1ブラッダ12の膨張時に一対の上方側第1ブラッダ12a,12aの間及び一対の下方側第1ブラッダ12b,12bの間に形成されるシートバック11bの表面上の第1凹部S1に脊椎Saからの圧力Paが作用する。
図5に示すように、シートクッション11cに内蔵される各一対の左右側第2ブラッダ13a,13a及び前後側第2ブラッダ13b,13bは、乗員Cの左右一対の座骨Sb,Sbを支持する部位PSb,PSbの中央部から左右方向及び前後方向の各々の両側にずれて配置される。これにより、各第2ブラッダ13の膨張時に一対の左右側第2ブラッダ13a,13aの間及び一対の前後側第2ブラッダ13b,13bの間に形成されるシートクッション11cの表面上の第2凹部S2に左右一対の座骨Sb,Sbからの各圧力Pbが作用する。
【0026】
図1図2及び図3に示すように、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々の外形は、例えば可撓性のシート状又は薄板状である。第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々は、例えば分散配置される複数の圧力検出部の集合体である。複数の圧力検出部の各々は、例えば、外部から受ける圧力を静電容量に変換して出力する電極対を備える静電容量型のセンサ等である。
第1圧力センサ14は、乗員Cの腰部に接するシートバック11bの表面とシートバック11bの内部の複数の第1ブラッダ12との間に配置されている。第1圧力センサ14は、乗員Cの腰部とシートバック11bの接触面との間に生じる接触圧(体圧)を検出して、圧力検出値の信号を出力する。
第2圧力センサ15は、乗員Cの臀部に接するシートクッション11cの表面とシートクッション11cの内部の複数の第2ブラッダ13との間に配置されている。第2圧力センサ15は、乗員Cの臀部とシートクッション11cの接触面との間に生じる接触圧(体圧)を検出して、圧力検出値の信号を出力する。
【0027】
図6は、実施形態のシート装置10を搭載する車両1の機能構成を示すブロック図である。
シート装置10は、第1ブラッダ12を駆動する第1ブラッダ駆動部16と、第2ブラッダ13を駆動する第2ブラッダ駆動部17と、制御装置18とを備える。
第1ブラッダ駆動部16及び第2ブラッダ駆動部17の各々は、例えば第1ブラッダ12及び第2ブラッダ13の各々に空気等の流体を供給するポンプ及び各ブラッダ12,13から流体を排出させるバルブ等を備える。
【0028】
制御装置18は、シート装置10の動作を統合的に制御する。
制御装置18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。制御装置18の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0029】
制御装置18は、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々に接続されるとともに、車両1に搭載されるシフト操作装置21のシフト位置を検出するシフト位置センサ22に接続されている。
シフト操作装置21は、運転者の入力操作を受け付けて車両1の動力伝達装置(図示略)の各種動作を指示する。シフト操作装置21は、運転者の入力操作によって選択可能な複数のシフト位置として、例えば、車両1の前進を示すドライブ、車両1の後進を示すリバース、車両1の動力伝達の遮断を示すニュートラル及び車両1の動力伝達がロックされて車両1の停止を示すパーキング等のシフト位置を備える。
シフト位置センサ22は、シフト操作装置21のシフト位置を検出してシフト位置検出値の信号を出力する。
【0030】
制御装置18は、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々から受け取る圧力検出値の信号と、シフト位置センサ22から受け取るシフト位置検出値の信号とに基づいて、第1ブラッダ駆動部16及び第2ブラッダ駆動部17の各々を制御する。
図7は、実施形態のシート装置10での皮下脂肪量と体圧変化量との対応関係の一例を示すグラフ図である。
図7に示すように、制御装置18は、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々から受け取る圧力検出値の信号の変化に基づく圧力変化量(体圧変化量T)と、乗員の皮下脂肪量(体脂肪率)との所定の対応関係の情報を記憶している。図7に示す一例では、乗員の皮下脂肪量(体脂肪率)の増大に伴って、圧力変化量(体圧変化量T)が低下傾向に変化している。
【0031】
図4に示すように、制御装置18は、第1圧力センサ14のうち各一対の上方側第1ブラッダ12a,12a及び下方側第1ブラッダ12b,12bと前後方向で向かい合う左右一対の部位L1,R1から出力される左右の圧力検出値の平均値を算出する。左右一対の部位L1,R1は、乗員Cの脊椎Saからの圧力Paが作用するシートバック11bの表面上の第1凹部S1から左右方向の両側にずれている。
制御装置18は、複数の第1ブラッダ12の膨張及び収縮に関する第1状態での左右の圧力検出値の平均値と、複数の第1ブラッダ12の膨張及び収縮に関する第1状態とは異なる第2状態での左右の圧力検出値の平均値との差である圧力変化量を算出する。制御装置18は、記憶している圧力変化量と乗員の皮下脂肪量との所定の対応関係の情報に基づき、算出した圧力変化量に対応する乗員Cの腰部の皮下脂肪量を取得する。
【0032】
図5に示すように、制御装置18は、第2圧力センサ15のうち各一対の左右側第2ブラッダ13a,13a及び前後側第2ブラッダ13b,13bと上下方向で向かい合う左右一対の部位L2,R2から出力される左右の圧力検出値の平均値を算出する。左右一対の部位L2,R2は、乗員Cの左右一対の座骨Sb,Sbからの各圧力Pbが作用するシートクッション11cの表面上の第2凹部S2から左右方向の両側にずれている。
制御装置18は、複数の第2ブラッダ13の膨張及び収縮に関する第1状態での左右の圧力検出値の平均値と、複数の第2ブラッダ13の膨張及び収縮に関する第1状態とは異なる第2状態での左右の圧力検出値の平均値との差である圧力変化量を算出する。制御装置18は、記憶している圧力変化量と乗員の皮下脂肪量との所定の対応関係の情報に基づき、算出した圧力変化量に対応する乗員Cの臀部の皮下脂肪量を取得する。
【0033】
制御装置18は、乗員Cの腰部及び臀部の各々に対して、各圧力変化量が所定閾値よりも小さい場合に皮下脂肪量が大きいと判定し、各圧力変化量が所定閾値以上である場合に皮下脂肪量が小さいと判定する。制御装置18は、乗員Cの腰部及び臀部の各々に対して、取得した皮下脂肪量に応じて各ブラッダ12,13の膨張及び収縮を制御する。
【0034】
以下、実施形態のシート装置10の動作について説明する。
図8は、実施形態のシート装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、例えば動作開始時等に実行される処理である。
図8に示すように、先ず、制御装置18は、ステップS01において、複数の第1ブラッダ12及び複数の第2ブラッダ13の各々を第1状態、例えば適宜の膨張状態に設定する。
次に、制御装置18は、ステップS02において、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々から圧力検出値を取得する。制御装置18は、各圧力センサ14,15に対して、左右の圧力検出値の平均値を算出する。
次に、制御装置18は、ステップS03において、複数の第1ブラッダ12及び複数の第2ブラッダ13の各々を第2状態、例えば適宜の収縮状態に設定する。
次に、制御装置18は、ステップS04において、第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15の各々から圧力検出値を取得する。制御装置18は、各圧力センサ14,15に対して、左右の圧力検出値の平均値を算出する。
【0035】
次に、制御装置18は、ステップS05において、各圧力センサ14,15に対して、各ブラッダ12,13の第1状態での左右の圧力検出値の平均値と、各ブラッダ12,13の第2状態での左右の圧力検出値の平均値との差である圧力変化量を算出する。
次に、制御装置18は、ステップS06において、各圧力センサ14,15に対して、記憶している圧力変化量と乗員の皮下脂肪量との所定の対応関係の情報に基づき、算出した圧力変化量に対応する乗員Cの腰部及び臀部の皮下脂肪量を取得する。
次に、制御装置18は、ステップS07において、乗員Cの腰部及び臀部の皮下脂肪量に応じて複数の第1ブラッダ12及び複数の第2ブラッダ13の各々の膨張及び収縮を制御する。そして、制御装置18は処理をエンドに進める。
【0036】
図9は、実施形態のシート装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、例えば所定周期毎に実行される処理である。
図9に示すように、制御装置18は、ステップS11において、シフト位置センサ22から受け取るシフト位置検出値の信号によって、シフト位置がリバースであるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、制御装置18は処理をステップS12に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合、制御装置18は処理をリターンに進める。
次に、制御装置18は、ステップS12において、複数の第1ブラッダ12及び複数の第2ブラッダ13の各々を所定の初期状態(例えば、各ブラッダ12,13が収縮した基準状態等)に設定する。
次に、制御装置18は、ステップS13において、シフト位置センサ22から受け取るシフト位置検出値の信号によって、シフト位置がパーキングを経由してドライブに変化したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、制御装置18は処理をステップS14に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合、制御装置18は処理をステップS15に進める。
【0037】
次に、制御装置18は、ステップS14において、車両1の乗員Cが変更された可能性があると判断して、新たに取得する各圧力センサ14,15の圧力検出値に基づく乗員Cの腰部及び臀部の各皮下脂肪量に応じて各ブラッダ12,13を制御する。そして、制御装置18は処理をリターンに進める。
また、制御装置18は、ステップS15において、シフト位置センサ22から受け取るシフト位置検出値の信号によって、シフト位置がパーキングを経由せずにドライブに変化したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、制御装置18は処理をステップS16に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合、制御装置18は処理をリターンに進める。
次に、制御装置18は、ステップS16において、車両1の乗員Cが変更されていないと判断して、既に取得している乗員Cの腰部及び臀部の各皮下脂肪量に応じて各ブラッダ12,13を制御する。そして、制御装置18は処理をリターンに進める。
【0038】
上述したように、実施形態のシート装置10によれば、各ブラッダ12,13と乗員Cとの間に作用する異なる2つの状態での圧力値の差である圧力変化量(体圧変化量)に応じて各ブラッダ12,13を膨張及び収縮させる制御を行う制御装置18を備えることによって、乗員Cの体格を検知するための装置構成が複雑になることを抑制することができる。例えば乗員Cの体脂肪率、体格及び体重等を検出する複数のセンサを必要とせずに、マッサージ機能に必要とされる各ブラッダ12,13と最小限の各圧力センサ14,15を備えるだけでシート装置10を構成することができる。各ブラッダ12,13の膨張及び収縮による圧力変化量から各ブラッダ12,13が乗員Cを押し返す反発力を計測し、反発力に応じて各ブラッダ12,13が支持する圧力を調整することによって乗員Cの姿勢を適正に保持することができる。
また、例えば従来技術のようにセンサによって取得した乗員Cの体脂肪率又は体格の検出結果に応じて乗員Cの姿勢を制御する装置では、乗員Cの服装が例えば生地が硬いデニム素材の衣類等の場合に、生地に反発力が吸収されて乗員Cの姿勢を支持する圧力が不足するという問題が生じる。これに対して本発明によれば、各ブラッダ12,13が乗員Cを押し返す反発力に応じて乗員Cを支持する圧力を制御するため、服装込みの乗員Cに対する支持力の制御を簡易な構成で達成することができる。例えば、各圧力センサ14,15以外の他のセンサによって得られる乗員Cの体格データに服装込みの補正をする等の煩雑又は追加的な情報処理を不要とすることができる。
【0039】
各ブラッダ12,13の圧力変化量に対応付けられた皮下脂肪量に応じて各ブラッダ12,13を制御する制御装置18を備えることによって、乗員Cの体格を検知するための装置構成が複雑になることを抑制することができる。例えば乗員Cの各ブラッダ12,13に対する反発力から筋肉と脂肪の比率を判定し、判定結果を体脂肪率又は皮下脂肪量と対応させる情報処理を実行することによって、特別なセンサを必要とせずに、各ブラッダ12,13の膨張及び収縮に係る信号を出力する各圧力センサ14,15を備えるだけで乗員Cの体格における皮下脂肪量を検知することができる。
【0040】
複数の第1ブラッダ12の膨張時に形成される第1凹部S1に脊椎Saの位置を誘導することができるとともに、複数の第2ブラッダ13の膨張時に形成される第2凹部S2に座骨Sbの位置を誘導することができる。これにより、乗員Cのシート11及び各ブラッダ12,13に対する着座位置及び着座姿勢を適正に設定することができ、各圧力センサ14,15から受け取る圧力検出値に基づく乗員Cの腰部及び臀部の各々の圧力変化量(体圧変化量)の精度を向上させることができる。
例えば筋肉又は脂肪に比べて反力が大きくなる脊椎Sa及び座骨Sbを支持する各部位PSa,PSbに各凹部S1,S2が形成されることによって、例えば各圧力センサ14,15から受け取る圧力検出値及び圧力検出値に基づく圧力変化量(体圧変化量)が過剰に増大することを抑制することができる。
【0041】
シフト位置センサ22から受け取るシフト位置検出値がリバースである場合に各ブラッダ12,13を所定の基準状態(初期状態)に変更する制御装置18を備えることによって、車両1の駐車及び車庫入れ等の所定の運転状態に対して各ブラッダ12,13が過剰に動作することを抑制することができる。例えば乗員Cが運転者である場合、駐車又は車庫入れ等の所定状態で車両1周辺を目視確認するために上半身を左右にひねる動作の負荷が各ブラッダ12,13の膨張によって増大することを抑制することができる。
シフト位置検出値がリバースからパーキングを経由せずにドライブに変化した場合に、既に取得している圧力変化量に応じて各ブラッダ12,13を制御する制御装置18を備えることによって、車両1の乗員Cが変化していない場合に対応して各ブラッダ12,13を適切に制御することができる。
シフト位置検出値がリバースからパーキングを経由してドライブに変化した場合に、新たに取得する圧力変化量に応じて各ブラッダ12,13を制御する制御装置18を備えることによって、車両1の乗員Cが変化している可能性がある場合に対応して各ブラッダ12,13を適切に制御することができる。
【0042】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
上述した実施形態では、シートバック11b及びシートクッション11cの各々に各4つの第1ブラッダ12及び第2ブラッダ13を備えるとしたが、これに限定されず、例えばシートバック11b及びシートクッション11cの一方のみに適宜の数のブラッダを備えてもよい。
また、上述した実施形態では、複数の第1ブラッダ12及び複数の第2ブラッダ13を備えるとしたが、これに限定されない。例えば、シートバック11b及びシートクッション11cの各々に、環状又は鞍型等のように膨張時に中央部が凹む形状となる単一のブラッダを備えてもよい。つまり、膨張時に乗員Cの脊椎Saを支持する部位PSaに凹部を形成するブラッダと、膨張時に乗員Cの座骨Sbを支持する部位PSbに凹部を形成するブラッダとを備えてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、シート装置10は可撓性のシート状又は薄板状の第1圧力センサ14及び第2圧力センサ15を備えるとしたが、これに限定されず、他の圧力センサを備えてもよい。
他の圧力センサは、例えば、各ブラッダ12,13を膨張及び収縮させる流体の増減を示す流量を計測することによって各ブラッダ12,13と乗員との間に作用する圧力を検出してもよい。
また、他の圧力センサは、例えば、各ブラッダ12,13自体が兼ねてもよく、各ブラッダ12,13に付加される機能によって各ブラッダ12,13と乗員との間に作用する圧力を検出してもよい。
【0044】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
1…車両、10…シート装置、11…シート、11b…シートバック、11c…シートクッション、12…第1ブラッダ(ブラッダ)、12a…上方側第1ブラッダ(ブラッダ)、12b…下方側第1ブラッダ(ブラッダ)、13…第2ブラッダ(ブラッダ)、13a…左右側第2ブラッダ(ブラッダ)、13b…前後側第2ブラッダ(ブラッダ)、14…第1圧力センサ(圧力センサ)、15…第2圧力センサ(圧力センサ)、16…第1ブラッダ駆動部、17…第2ブラッダ駆動部、18…制御装置(制御部)、21…シフト操作装置、22…シフト位置センサ、C…乗員、Pa,Pb…圧力、PSa,PSb…部位、S1…第1凹部(凹部)、S2…第2凹部(凹部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9