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  • 特開-化粧シート及び化粧シートの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096436
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】化粧シート及び化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209539
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克彰
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕輝
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01C
4F100AK03A
4F100AK25D
4F100AK51D
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100EH23C
4F100EH46D
4F100EJ39C
4F100EJ39D
4F100EJ54D
4F100HB31B
4F100JA04A
4F100JA04C
4F100JB13D
4F100JB14D
4F100JB16C
4F100JL10A
4F100JN01C
4F100YY00A
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】比較的高温条件での加工においても、しわや色変化を生じることのない、深度の大きいエンボス加工がなされた化粧シートを提供する。
【解決手段】着色フィルム層11上に、透明熱可塑性樹脂層13、及びトップコート層14がこの順に積層された化粧シート10は、透明熱可塑性樹脂層13にはエンボス部16が形成されており、トップコート層14は、紫外線硬化型樹脂又はウレタン硬化型樹脂を含み、着色フィルム層11は、ポリオレフィン系樹脂を含み、着色フィルム層11の融点は、透明熱可塑性樹脂層13の融点より55℃以上高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色フィルム層上に、透明熱可塑性樹脂層、及びトップコート層がこの順に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボス部が形成されており、
前記トップコート層は、紫外線硬化型樹脂又はウレタン硬化型樹脂を含み、
前記着色フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、
前記着色フィルム層の融点は、前記透明熱可塑性樹脂層の融点より55℃以上高いことを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記着色フィルム層と前記透明熱可塑性樹脂層との間に、絵柄印刷層を備えることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記エンボス部の深さは、60μm以上160μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記着色フィルム層の厚さは、50μm以上90μm以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、38μm以上90μm以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化粧シート。
【請求項6】
ポリオレフィン系樹脂を含む着色フィルム層の一方の面上に、透明熱可塑性樹脂層を押し出してラミネートする工程と、
前記透明熱可塑性樹脂層の上に、トップコート層として紫外線硬化型樹脂層又はウレタン硬化型樹脂層からなる硬化型樹脂層を形成する工程と、
前記トップコート層の表面から前記透明熱可塑性樹脂層にかけてエンボス加工を行う工程と、
を備え、
前記着色フィルム層の融点は、前記透明熱可塑性樹脂層の融点より55℃以上高く、
前記エンボス加工を行う工程は、前記トップコート層の温度を、115℃以上145℃以下として前記エンボス加工を行うことを特徴とする化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート及び化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンボス模様を施すことにより立体感を付与することを可能にした化粧シートは、深度の大きいエンボス意匠を得るために、原反層としてポリオレフィン系樹脂(例えば、PP(polypropylene ポリプロピレン)、PE(polyethylene ポリエチレン)等)を用いている。
深度の大きいエンボスを施す場合には、応力や熱履歴により層間密着が弱くなり、層間剥離を起こしやすくなるという課題がある。
【0003】
これに対し、基材シートに表面シートをラミネートする工程と、表面シートにエンボス加工を施す工程とを別々の工程として行うことにより、基材シートと表面シートとのずれを抑制し、精度よくエンボス加工を行うようにした方法(例えば、特許文献1参照。)、また、化粧シートの接着剤層をマレイン酸変成ポリプロピレン樹脂とエチレン-プロピレン共重合ゴムとに相溶化ゴムを添加したものとすることにより、大深度エンボスを施しても、層間密着性が弱くならない化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-205702号公報
【特許文献2】特開2008-179024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原反層とクリア層との融点が近く、エンボス加工を行う際に、エンボス加工を行う面の表面温度が高いと、原反層が伸縮してしまい、しわや色変化を起こし、逆に、表面温度が低いと、エンボス加工時にエンボスの入りが甘くなるという問題がある。また、原反層が濃色である場合には、熱吸収率が高く、熱による紙切れが発生する。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、比較的高温条件での加工においても、しわや色変化を生じることのない、深度の大きいエンボス加工がなされた化粧シート及び化粧シートの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、着色フィルム層上に、透明熱可塑性樹脂層、及びトップコート層がこの順に積層された化粧シートであって、透明熱可塑性樹脂層にはエンボス部が形成されており、トップコート層は、紫外線硬化型樹脂又はウレタン硬化型樹脂を含み、着色フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、着色フィルム層の融点は、透明熱可塑性樹脂層の融点より55℃以上高い、化粧シートが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、ポリオレフィン系樹脂を含む着色フィルム層の一方の面上に、透明熱可塑性樹脂層を押し出してラミネートする工程と、透明熱可塑性樹脂層の上に、トップコート層として紫外線硬化型樹脂層又はウレタン硬化型樹脂層からなる硬化型樹脂層を形成する工程と、トップコート層の表面から透明熱可塑性樹脂層にかけてエンボス加工を行う工程と、を備え、着色フィルム層の融点は、透明熱可塑性樹脂層の融点より55℃以上高く、エンボス加工を行う工程は、トップコート層の温度を、115℃以上145℃以下としてエンボス加工を行う、化粧シートの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的高温条件での加工においてもしわや色変化を生じることのない、深度の大きいエンボス加工がなされた化粧シートを容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る化粧シートの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状などが下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
<化粧シートの構成>
図1は、本実施形態に係る化粧シート10の一構成例を説明するための断面図である。
図1に示すように、化粧シート10は、プライマー層15、着色フィルム層11、絵柄印刷層12、透明熱可塑性樹脂層13、トップコート層14がこの順に積層されている。また、化粧シート10の積層方向の最表層であるトップコート層14から透明熱可塑性樹脂層13にかけて、エンボス部16が賦型されている。以下、各層について詳細に説明する。
【0011】
<着色フィルム層>
着色フィルム層11は、化粧シート10の基材となる層である。本実施形態では、着色フィルム層11として、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。
【0012】
また、着色フィルム層11には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。
着色フィルム層11の厚さは、50μm以上90μm以下の範囲内であることが好ましい。着色フィルム層11の厚さが50μm以上である場合、隠蔽性や加工性の低下を防ぐことができる。また、着色フィルム層11の厚さが90μm以下である場合、着色フィルム層11を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート10の製造コストを削減することができる。
【0013】
また、着色フィルム層11の融点は、後述する透明熱可塑性樹脂層13の融点より55℃以上高い。これにより、着色フィルム層11がポリオレフィン系樹脂を含む場合に、エンボス加工の際の、エンボス加工を施す面(以下、エンボス加工面という。)であるトップコート層14の表面温度が115℃程度以上145℃以下の範囲内であれば、熱伸縮や熱しわの発生を抑制することができ、エンボス加工面の温度を145℃程度とした場合でも、エンボス加工を行うことができる。そして、エンボス加工の際には、高温をかけるほど、より深度の大きいエンボスを形成することができるため、結果的に、意匠性が向上する。
【0014】
<絵柄印刷層>
絵柄印刷層12は、着色フィルム層11上に形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層であり、必要に応じて設けられる。絵柄印刷層12は、着色フィルム層11の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄印刷層12は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダ樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダ樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはそれらの組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート10の隠蔽性を向上するために、絵柄印刷層12と着色フィルム層11との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
【0015】
絵柄印刷層12の厚さは、3μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。絵柄印刷層12の厚さが3μm以上である場合、印刷を明瞭にすることができる。絵柄印刷層12の厚さが20μm以下である場合、化粧シート10を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
また、絵柄印刷層12には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
また、絵柄印刷層12は、例えば化粧シート10が貼りつけられる下地の色・模様を隠蔽するためにべた塗りされた着色層と、意匠性を付与するための絵柄を付加するための絵柄模様層とを有していてよい。
【0016】
<透明熱可塑性樹脂層>
透明熱可塑性樹脂層13は、絵柄印刷層12上に形成される層であり、化粧シート10に衝撃性などの機能を付与するために設けられた層である。また、透明熱可塑性樹脂層13は、絵柄印刷層12とトップコート層14とを接着する接着層としての役割も持っている。
透明熱可塑性樹脂層13の厚さは、38μm以上90μm以下の範囲内が好ましい。透明熱可塑性樹脂層13の厚さが上記数値範囲内であれば、エンボスによる凹凸を形成することに支障がないことのほか、耐衝撃性や耐キャスター性において十分な効果が得られる。あるいは、意匠性の面でも、透明熱可塑性樹脂層13の存在が絵柄印刷層12と相俟って、より深みや奥行きを感じさせる効果を持つ。具体的には、透明熱可塑性樹脂層13の厚さが38μm以上であると、耐衝撃性や耐キャスター性の各性能が得られる。一方、透明熱可塑性樹脂層13の厚さが90μm以下であると、製造時の生産性が向上しコスト的にも有利となることがある。
【0017】
透明熱可塑性樹脂層13の材料としては、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。
上記樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。特に曲げ加工性においては曲げ部の白化や割れが発生しないことを考慮して選択することが重要である。
【0018】
透明熱可塑性樹脂層13は、透明熱可塑性樹脂層13単独の引張り弾性率が1000MPa以上、特に1500MPa以上であれば好ましい。引張り弾性率の上限は特に限定的ではないが、2000MPa程度とすればよい。
引張り弾性率は、透明熱可塑性樹脂層13と厚さ及び材質が同じである透明性ポリプロピレン系樹脂シートを作製して測定することができる。なお、本明細書における引張り弾性率は、JIS K6734「プラスチック-硬質ポリ塩化ビニルシート-寸法及び特性-第2部:厚さ1mm未満のシート」の規定に従って測定した値である。
【0019】
透明熱可塑性樹脂層13は、上記透明性ポリプロピレン系樹脂を、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により絵柄印刷層12の上にラミネートして形成してもよく、また既成のフィルムを用いてもよい。
透明熱可塑性樹脂層13の表面であって、後記するトップコート層14を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
【0020】
<トップコート層>
トップコート層14は、透明熱可塑性樹脂層13上に形成される層であり、化粧シート10に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。
トップコート層14の材料としては紫外線硬化型樹脂又はウレタン硬化型樹脂が用いられる。紫外線硬化型樹脂として、オリゴマーやモノマーを使用することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂を採用できる。
【0021】
ウレタン硬化型樹脂として、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂が使用可能であり、より好ましくはポリオール成分にアクリル-ウレタンブロック共重合体を用いるのが好ましい。2液硬化型ウレタン樹脂としては、そのイソシアネート成分に、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネートを用いるのが耐候密着性の点で好ましい。また、前記アクリル-ウレタンブロック共重合体についても、そのウレタン部分に於けるイソシアネート成分も、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネートが耐候密着性の点で好ましい。また、脂環式イソシアネートと脂肪族イソシアネートとを併用しても良い。
【0022】
トップコート層14の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上15μm以下の範囲内であることが好ましい。トップコート層14の厚さが0.1μm以上である場合、化粧シート10の耐候性、耐傷性等が向上する。また、トップコート層14の厚さが15μm以下である場合、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
【0023】
トップコート層14の形成方法は、トップコート層14となる硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、まず、透明熱可塑性樹脂層13上に、トップコート層14となる紫外線硬化型樹脂を塗布し、メタルハライドランプ等を用いて紫外線照射を行い、紫外線硬化型樹脂を硬化させることでトップコート層14を形成する。そして、後述する深度の大きいエンボス部16を賦型する。
紫外線硬化型樹脂を硬化させるための紫外線の紫外線原としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常、190nm以上380nm以下の範囲が好ましい。
【0024】
トップコート層14となる硬化型樹脂としてとしてウレタン硬化型樹脂を用いる場合には、まず、透明熱可塑性樹脂層13上にトップコート層となる、ウレタン硬化型樹脂を塗布する。例えば、ウレタン硬化性樹脂からなる塗液を用いてグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法で、塗布する。その後、ウレタン硬化性樹脂が硬化し、硬化物となることでトップコート層14を得ることができる。そして、後述する深度の大きいエンボス部16を賦型する。
トップコート層14には、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤等を含んでもよい。
【0025】
<エンボス部>
化粧シート10の最表層であるトップコート層14となる紫外線硬化型樹脂層又はウレタン硬化型樹脂層の表面に対し、エンボス加工(エンボス版を用いた凹凸賦型)を施し、化粧シート10の表面にエンボス部16を賦型(付与)する。化粧シート10は、トップコート層14の表面に賦型されたエンボス部16により、触感による立体感をより感じさせる構成とすることができる。エンボス部16の深さは、60μm以上160μm以下が好ましい。エンボス部16の深さが60μm以上である場合、化粧シート10に立体感を十分に付与することができる。エンボス部16の深さが160μm以下である場合、エンボス部16の深さが化粧シート10の総厚より小さく、エンボス部16が化粧シート10を貫通することがなくなる。
【0026】
エンボス付与方法としては、非接触で加熱するヒーターの温度が100~200℃、余熱を与えるロールが70~100℃の条件で、加熱状態で化粧シート10の表面にエンボス付与後、冷却することで設けることが出来る。エンボス加工では、例えば、トップコート層14となる紫外線硬化型樹脂層又はウレタン硬化型樹脂層と透明熱可塑性樹脂層13との間に形成された導管部の深さまでコートすることにより、化粧シート10に凹凸形状を施すようにしても良い。エンボス部16としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
【0027】
エンボス付与時には、トップコート層14の表面温度、つまり、エンボス加工面温度が、115℃以上145℃以下であることが好ましい。エンボス加工面温度が115℃以上145℃以下であれば、意匠性を有するエンボス部を形成することができる。エンボス加工面温度の調整は、例えば、前述の非接触で加熱するヒーターの温度を調整する方法や、エンボス加工用ロール自体の表面温度を調整すること等により行うことができる。
【0028】
<プライマー層>
プライマー層15は、樹脂の接着性を改善することを目的としたアンカーコート層である。また、プライマー層15の機能には、接着性改善のほか、表面処理後の表面安定化、金属表面の防食、粘着性の付与、接着剤の劣化防止等も含まれる。プライマー層15を形成するプライマー(下塗り剤)としては、例えば、二液ウレタン樹脂系のプライマーが使用可能である。プライマーの種類は、被着材や用途に応じて異なる。被着材としては、例えば、金属系又は木質系からなる板状の部材がある。金属系としては、例えば、アルミ、鋼、ステンレス、複合パネル等がある。複合パネルとしては、例えば、芯材となる樹脂層と、樹脂層の両面それぞれに貼り付けられた金属板(アルミニウム、ガルバリウム、ステンレス等)とを備えたものがある。また、木質系としては、MDF(medium density fiberboard:中密度繊維板)、合板、パーチクルボード等がある。
【0029】
<化粧シートの製造方法>
化粧シート10は、以下の手順で形成する。
まず、熱可塑性樹脂からなる着色フィルム層11の一方の表面に、絵柄印刷層12を形成する。
次に、着色フィルム層11の、他方の表面に、プライマー層を形成する。プライマー層は、例えば、ウレタン系樹脂をプライマーとして塗工し、プライマー層15を形成する。
次に、絵柄印刷層12の表面に、透明熱可塑性樹脂層13を形成する。具体的には、透明性ポリプロピレン系樹脂を、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により絵柄印刷層12の上にラミネートする。このとき、着色フィルム層11の融点が、透明熱可塑性樹脂層13の融点よりも55℃以上高くなる材料を、着色フィルム層11及び透明熱可塑性樹脂層13として用いる。
【0030】
次に、透明熱可塑性樹脂層13の表面に、紫外線硬化型樹脂を塗布し、トップコート層14となる紫外線硬化型樹脂層を形成し、紫外線硬化型樹脂層に対し、メタルライドランプにより紫外線照射を行って硬化させ、トップコート層14を形成する。
次に、トップコート層14の表面にエンボス版を用いた凹凸賦型を施し、インライン深エンボス加工によりエンボス部16を賦型する。ここで、「インライン深エンボス加工」とは、透明熱可塑性樹脂層を形成するためのラミネート工程、トップコート層となる紫外線硬化型樹脂層を形成する工程及びエンボス加工工程を一つのラインで行うことを意味する。つまり、インライン深エンボス加工では、ラミネート工程からエンボス加工までの工程を一連のインラインで行うことができる。
【0031】
なお、トップコート層14としてウレタン硬化型樹脂を用いる場合には、透明熱可塑性樹脂層13の表面にウレタン硬化型樹脂を塗布し、ウレタン硬化型樹脂が硬化した後、深エンボス加工を行う。
以上の工程により、化粧シート10が形成される。
【0032】
<本実施形態の効果>
本実施形態に係る化粧シート10は、着色フィルム層11と透明熱可塑性樹脂層13の融点の差を55℃以上とした。また、エンボス加工の際に、エンボス加工面温度を115℃以上145℃以下とした。そのため、熱伸縮や熱しわの発生を抑制することができる。また、エンボス加工面に145℃程度の高温をかけた場合であっても、熱伸縮や熱しわの発生を抑制することができるため、より高温でのエンボス加工を行うことができる。そのため、より深度の大きいエンボスを形成することができ、意匠性を向上させることができる。
【0033】
つまり、着色フィルム層11やトップコート層14として、PP層等の硬い材料を用いると、特に着色フィルム層11とトップコート層14との融点が近い場合には、エンボス加工時に図2(a)に示すように、トップコート層14、さらには透明熱可塑性樹脂層13が割れてしまい、すなわち、化粧シート10の表面が割れてしまう可能性がある。
しかしながら、本発明に係る化粧シート10は、着色フィルム層11及び透明熱可塑性樹脂層13として、着色フィルム層11の融点が、透明熱可塑性樹脂層13の融点より55℃以上高い材料を用いている。つまり、加熱したとき、着色フィルム層11よりも透明熱可塑性樹脂層13の方が柔らかくなりやすい。そのため、図2(b)に示すように、エンボス加工時には、化粧シート10の、エンボス加工が行われる側の面の方が柔らかいため、着色フィルム層11に比較して透明熱可塑性樹脂層13側は変形しやすくなり、透明熱可塑性樹脂層13はエンボス加工による形状変化を許容しつつ、着色フィルム層11の変形が抑制される。
【0034】
その結果、原反層である着色フィルム層11に、熱伸縮や熱しわ、また色変化などが生じることを抑制することができ、結果的に、トップコート層14や透明熱可塑性樹脂層13、つまり、化粧シート10の表面に割れが生じることを抑制することができる。
また、着色フィルム層11として比較的耐熱性の高い材質のものを用いたとしても、着色フィルム層11と透明熱可塑性樹脂層13の融点の差が55℃以上であれば、熱伸縮や熱しわ、色変化等を抑制することができる。そのため、着色フィルム層11としてPBTや、PET等の比較的耐熱性の高い材質を用いることができ、着色フィルム層11の耐熱性を向上させることができる。その結果、より高温でエンボス加工を行うことができるため、より深いエンボスであっても、より確実にエンボスを形成することができ、意匠性を向上させることができる。
また、このように、熱伸縮や割れの発生等を抑制することができるため、比較的深いエンボス加工を行ったとしても、エンボスの導管部をトップコート層14で覆った状態が維持されやすくなるため、耐候性を向上させることができる。
【実施例0035】
本発明に係る化粧シート10の効果を確認するために行った実施例を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例及び比較例の試験体の作製>
(実施例1)
着色フィルム層として、厚さ60μmのオレフィン系素材からなる熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)からなる樹脂層を用いた。着色フィルム層の一方の面に絵柄印刷層として絵柄をグラビア印刷機で印刷して設け、他方の面に、二液ウレタン樹脂系のプライマーを乾燥後の坪量1.2g/mで塗工して、プライマー層を形成した。
【0036】
次に、絵柄印刷層上に、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を押出してラミネートした。このとき、透明熱可塑性樹脂層の厚さを70μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、95℃であった。
次に、透明熱可塑性樹脂層の上に、紫外線硬化型樹脂層を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線照射を行い、紫外線硬化型樹脂層を硬化させ、トップコートを作製した。
次に、トップコートの表面にエンボス加工を行った。エンボス深度は80μmとした。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は140℃であった。
以上により、実施例1の化粧シートを作製した。
【0037】
(実施例2)
着色フィルム層として、厚さ60μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリエチレン樹脂(PE)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを55μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、90℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は120℃とし、エンボス深度は80μmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の化粧シートを作製した。
【0038】
(実施例3)
着色フィルム層として、厚さ50μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを80μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、55℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は140℃とし、エンボス深度は80μmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の化粧シートを作製した。
【0039】
(実施例4)
着色フィルム層として、厚さ50μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを38μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、55℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は140℃とし、エンボス深度は80μmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の化粧シートを作製した。
【0040】
(実施例5)
着色フィルム層として、厚さ50μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを38μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、55℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は115℃とし、エンボス深度は55μmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の化粧シートを作製した。
【0041】
(実施例6)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を145℃に変更した。それ以外は、実施例5と同様の方法で、実施例6の化粧シートを作製した。
【0042】
(比較例1)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を110℃に変更した。それ以外は、実施例6と同様の方法で、比較例1の化粧シートを作製した。
(比較例2)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を150℃に変更した。それ以外は、実施例6と同様の方法で、比較例2の化粧シートを作製した。
【0043】
(比較例3)
着色フィルム層として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリブチレンテレフタレート(PBT)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを38μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、50℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は145℃とし、エンボス深度は55μmとした。それ以外は、実施例6と同様の方法で、比較例4の化粧シートを作製した。
【0044】
(比較例4)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を150℃に変更した。それ以外は、比較例3と同様の方法で、比較例4の化粧シートを作製した。
(比較例5)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を110℃に変更した。それ以外は、比較例3と同様の方法で、比較例5の化粧シートを作製した。
(比較例6)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を115℃に変更した。それ以外は、比較例3と同様の方法で、比較例6の化粧シートを作製した。
【0045】
(比較例7)
着色フィルム層として、厚さ55μmのポリエチレン樹脂(PE)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを38μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、-35℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は110℃とし、エンボス深度は70μmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で、比較例7の化粧シートを作製した。
【0046】
(比較例8)
エンボス加工時のエンボス加工面の温度を130℃とした。それ以外は、比較例7と同様の方法で、比較例8の化粧シートを作製した。
(比較例9)
着色フィルム層として、厚さ60μmのポリプロピレン樹脂(PP)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層として透明性を有するポリプロピレン樹脂(PP)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを70μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、0℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は130℃とし、エンボス深度は70μmとした。それ以外は、比較例7と同様の方法で、比較例9の化粧シートを作製した。
【0047】
(比較例10)
着色フィルム層として、厚さ60μmのオレフィン系素材からなる熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)からなる樹脂層を用いた。また、透明熱可塑性樹脂層としてポリエチレンポリエチレン樹脂(PE)を用い、透明熱可塑性樹脂層の厚さを40μmとした。着色フィルム層と透明熱可塑性樹脂層との融点の差(着色フィルム層の融点-透明熱可塑性樹脂層の融点)は、130℃であった。また、エンボス加工時のエンボス加工面の温度は110℃とし、エンボス深度は70μmとした。それ以外は、比較例7と同様の方法で、比較例10の化粧シートを作製した。
【0048】
<評価方法および評価基準>
<性能評価方法>
以上のようにして得た実施例1~6、比較例1~10の試験体としての化粧シートに対し、以下の評価を行なった。
〔意匠性評価〕
試験体としての化粧シートの表面を目視にて確認し、凹凸模様による意匠感を評価した。
(評価基準)
◎:凹凸模様の凹凸による意匠の効果があった。
○:凹凸模様の凹凸による意匠の効果が多少あった。
×:凹凸模様の凹凸が浅く意匠としての効果がなかった。
意匠性評価の結果を表1に示す。
【0049】
〔熱伸縮性評価〕
試験体としての化粧シートについて、100mm角にカットした化粧シートに縦横100mmの線を引き、60℃オーブンで15分加熱後に、縦横の線の長さを実測した。測定結果を元に、以下の式から加熱伸縮率を計算した。
(加熱後の実測値-100[mm])/100[mm]×100[%]
(評価基準)
○:加熱伸縮率が5%以下である。
×:加熱伸縮率が5%よりも大きい。
熱伸縮性評価の結果を表1に示す。
【0050】
〔深エンボス意匠評価〕
実施例1~実施例4の化粧シートそれぞれについて、エンボス加工面温度のみを変更し、それ以外は、同様の方法で化粧シートを作製し、意匠評価を行った。エンボス加工面温度は、110℃から145℃の間で変更した。
(評価基準)
◎:エンボスの転移が良好であった。
○:エンボスの転移がほぼ良好であった。
△:エンボスの転移が多少行われた。
×:エンボスの転移が行われなかった。
深エンボス意匠評価の結果を表2に示す。
【0051】
〔耐候性評価〕
サンシャインウェザーメータによる、耐候性試験を行った。
実施例1~実施例4に記載の化粧シートを、インライン品及びオフライン品としてそれぞれ作製した。作製した化粧シートについて、(UV照射20時間+結露4時間)を1サイクルとして、500時間、1000時間、1500時間、及び2000時間それぞれに相当するサイクル数の(UV照射20時間+結露4時間)処理を実施した後、実施後の化粧シートの外観を目視評価した。具体的には、化粧シートの外観に変化が生じたか、化粧シートに白化が認められるか、化粧シートにワレが認められるか等を観察した。なお、ここでいうインライン品とは、透明熱可塑性樹脂層をラミネートする工程から、トップコート層となる硬化型樹脂層を形成する工程及びエンボス加工を行う工程が同一ラインで行われて作製された化粧シートのことをいう。オフライン品とは、透明熱可塑性樹脂層をラミネートする工程及びトップコート層となる硬化型樹脂層を形成する工程とが同一ラインで行われ、エンボス加工を行う工程は別のラインで行われて作製された化粧シートのことをいう。
耐候性評価の結果を表3に示す。
【0052】
<評価結果>
表1中に示されるように、着色フィルム層の融点の方が透明熱可塑性樹脂層の融点よりも55℃以上大きく、かつエンボス加工面温度を115℃以上145℃以下としてエンボス加工を行った実施例1~実施例6の場合には、意匠性及び熱伸縮性共に、良好であった。
また、着色フィルム層及び透明熱可塑性樹脂層の融点の差が55℃以上であっても、エンボス加工面温度が115℃以上145℃以下ではない比較例1、比較例2、及び比較例10の場合には、熱伸縮性が不良であった。
また、着色フィルム層及び透明熱可塑性樹脂層の融点の差が55℃よりも小さい比較例3~比較例9の場合には、エンボス加工面温度を115℃以上145℃以下としてエンエンボス加工を行ったとしても意匠性及び熱伸縮性の少なくともいずれか一方が不良であった(比較例3、4、6、8、9)。
【0053】
また、表2中に示されるように、深エンボス意匠は、エンボス加工面温度が高いときほど良好な意匠を得ることができ、さらに、エンボス加工面温度が115℃以上145℃以下であれば、多少なりとも意匠性を得ることができることがわかる。なお、表2は、実施例1~4の化粧シートそれぞれについて、エンボス加工面温度を変化させたときの評価結果を示し、実施例1~4のいずれの化粧シートの場合でも同様の結果が得られた。
【0054】
さらに、表3中に示されるように、耐候性試験におけるUV照射時間に関わらず、オフライン及びインラインで形成した化粧シートのいずれにも著しい変化はみられなかった。また、透明熱可塑性樹脂層としてPPやPEを用い、着色フィルム層としてPPやPEに比較して耐熱性のより高いPBTやPETを用いた場合であっても、十分な耐侯性を有することが確認された。表3は、実施例1~4の化粧シートそれぞれについて、耐候性試験による評価結果を示したものであって、実施例1~4のいずれの化粧シートの場合でも同様の結果が得られた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、本発明の化粧シートは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 化粧シート
11 着色フィルム層
12 絵柄印刷層
13 透明熱可塑性樹脂層
14 トップコート層
15 プライマー層
16 エンボス部
図1
図2