(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096451
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】液圧制御装置、ブレーキシステム及び鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B60T 8/34 20060101AFI20220622BHJP
B62L 3/00 20060101ALI20220622BHJP
B62L 3/08 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B60T8/34
B62L3/00 A
B62L3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209562
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】篤 浩明
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246AA11
3D246BA02
3D246DA01
3D246GA13
3D246GB01
3D246GB05
3D246GC16
3D246HA44A
3D246LA03Z
3D246LA04B
3D246LA18B
3D246LA21B
3D246LA23B
3D246LA33B
3D246LA56B
3D246LA59B
3D246LA66A
3D246LA71A
3D246LA72Z
3D246MA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】鞍乗型車両へ搭載した際に、ハンドルバー周りが煩雑になることを従来よりも抑制できる液圧制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る液圧制御装置は、鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられる液圧制御装置であって、マスタシリンダのピストンが設けられたピストン取付穴とホイールシリンダとを連通させるブレーキ流路の一部となる内部流路が形成された、マスタシリンダ一体型の基体と、前記内部流路を開閉し、前記ホイールシリンダへ供給されるブレーキ液の圧力を調節する制御バルブと、前記基体に設けられ、前記内部流路のブレーキ液の圧力を検出するプレッシャセンサと、前記プレッシャセンサの検出結果に基づいて、前記制御バルブの開閉動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記プレッシャセンサの検出結果に基づいて、前記鞍乗型車両のブレーキランプの制御信号を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチロックブレーキ制御を実行可能なブレーキシステム(100)に用いられ、鞍乗型車両(200)のハンドルバー(233)に取り付けられる液圧制御装置(1,2)であって、
マスタシリンダ(50)のピストン(51)が往復動自在に設けられたピストン取付穴(21)と、前記ピストン取付穴(21)とホイールシリンダ(253)とを連通させるブレーキ液の流路の一部となる内部流路(40)とが形成された、マスタシリンダ一体型の基体(10)と、
前記内部流路(40)を開閉し、前記ホイールシリンダ(253)へ供給されるブレーキ液の圧力を調節する制御バルブ(55)と、
前記基体(10)に設けられ、前記内部流路(40)のブレーキ液の圧力を検出するプレッシャセンサ(59)と、
前記プレッシャセンサ(59)の検出結果に基づいて、前記制御バルブ(55)の開閉動作を制御する制御装置(70)と、
を備え、
前記制御装置(70)は、前記プレッシャセンサ(59)の検出結果に基づいて、前記鞍乗型車両(200)のブレーキランプ(221)の制御信号を出力する構成である
液圧制御装置(1,2)。
【請求項2】
前記プレッシャセンサ(59)は、前記ホイールシリンダ(253)に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出する構成である
請求項1に記載の液圧制御装置(1,2)。
【請求項3】
前記制御装置(70)は、前記制御バルブ(55)の開閉状態の変更によって前記内部流路(40)のブレーキ液の圧力が低下した際、前記制御信号を出力する構成である
請求項2に記載の液圧制御装置(1,2)。
【請求項4】
前記アンチロックブレーキ制御における減圧時に前記ホイールシリンダ(253)から逃がしたブレーキ液を前記基体(10)に形成されたアキュムレータ(58)に蓄え、前記アキュムレータ(58)内のブレーキ液をポンプレスで前記アキュムレータ(58)外へ排出する構成である
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の液圧制御装置(1,2)。
【請求項5】
前記制御バルブ(55)として、前記内部流路(40)のうちの、前記ホイールシリンダ(253)から前記アキュムレータ(58)へ流れるブレーキ液が通る流路を開閉するアウトレットバルブ(57)を備え、
前記内部流路(40)は、前記アキュムレータ(58)内のブレーキ液を前記アウトレットバルブ(57)を介さずに前記ピストン取付穴(21)に戻せない構成である
請求項4に記載の液圧制御装置(1,2)。
【請求項6】
前記制御バルブ(55)として、前記内部流路(40)のうちの、前記ピストン取付穴(21)から前記ホイールシリンダ(253)へ流れるブレーキ液が通る流路を開閉するインレットバルブ(56)を備え、
前記内部流路(40)のうちの前記ピストン取付穴(21)と前記インレットバルブ(56)との間となる領域にブレーキ液を送るポンプ(60)を備え、
前記制御装置(70)は、前記ポンプ(60)の動作中に前記プレッシャセンサ(59)によって検出される圧力が増加した際、前記制御信号を出力する構成である
請求項3又は請求項4に記載の液圧制御装置(1,2)。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の液圧制御装置(1,2)を備えている
ブレーキシステム(100)。
【請求項8】
ライダーの手によって握られた際、前記ピストン(51)を押圧するブレーキレバー(241)を備え、
前記ブレーキレバー(241)は、前記ライダーの手によって握られていない状態において、前記ピストン(51)に接触している
請求項7に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のブレーキシステム(100)を備えている
鞍乗型車両(200)。
【請求項10】
当該鞍乗型車両(200)は自転車である
請求項9に記載の鞍乗型車両(200)。
【請求項11】
当該鞍乗型車両(200)はモータサイクルである
請求項9に記載の鞍乗型車両(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に搭載されるブレーキシステムに用いられる液圧制御装置、該液圧制御装置を備えたブレーキシステム、及び、該ブレーキシステムを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両に搭載されるブレーキシステムには、該ブレーキシステムの液圧制御装置が鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられるものがある。このような従来のブレーキシステムにおいては、ハンドルバー周辺に設けられたブレーキレバーをライダーが握ることにより、該ブレーキレバーがマスタシリンダを押圧し、車輪制動部のホイールシリンダへ供給されるブレーキ液の圧力が上昇する(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来のブレーキシステムが搭載された従来の鞍乗型車両では、ブレーキレバーの姿勢を検出する機械式のブレーキスイッチを設け、該ブレーキスイッチの検出結果に基づいてブレーキランプを点灯させていた。具体的には、ブレーキスイッチは、ブレーキレバーの近傍つまりハンドルバーの近傍に設けられる。そして、ブレーキスイッチは、ライダーの手によってブレーキレバーが握られている状態のときに、ブレーキレバーによって押される構成となっている。また、ブレーキスイッチは、押されているとき又は押されていないときに、信号を出力する構成となっている。そして、このような従来のブレーキシステムが搭載された従来の鞍乗型車両では、ブレーキスイッチからの信号の出力の有無に基づいて、ブレーキがかけられているのか否かが判定され、ブレーキランプが点灯されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来のブレーキシステムが搭載された鞍乗型車両では、ブレーキがかけられているのか否かを検出するため専用のブレーキスイッチを、ハンドルバーの近傍に配置する必要があった。また、上述のような従来のブレーキシステムが搭載された鞍乗型車両では、ブレーキスイッチに接続された信号線を、ハンドルバーの近傍に引き回す必要があった。このため、従来のブレーキシステムは、鞍乗型車両に搭載する際、ハンドルバー周りが煩雑になってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられる液圧制御装置であって、該液圧制御装置を備えたブレーキシステムを鞍乗型車両へ搭載した際に、ハンドルバー周りが煩雑になることを従来よりも抑制できる液圧制御装置を得ることを目的とする。また、本発明は、このような液圧制御装置を備えたブレーキシステムを得ることを目的とする。また、本発明は、このようなブレーキシステムを備えた鞍乗型車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液圧制御装置は、アンチロックブレーキ制御を実行可能なブレーキシステムに用いられ、鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられる液圧制御装置であって、マスタシリンダのピストンが往復動自在に設けられたピストン取付穴と、前記ピストン取付穴とホイールシリンダとを連通させるブレーキ液の流路の一部となる内部流路とが形成された、マスタシリンダ一体型の基体と、前記内部流路を開閉し、前記ホイールシリンダへ供給されるブレーキ液の圧力を調節する制御バルブと、前記基体に設けられ、前記内部流路のブレーキ液の圧力を検出するプレッシャセンサと、前記プレッシャセンサの検出結果に基づいて、前記制御バルブの開閉動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記プレッシャセンサの検出結果に基づいて、前記鞍乗型車両のブレーキランプの制御信号を出力する構成となっている。
【0008】
また、本発明に係るブレーキシステムは、本発明に係る液圧制御装置を備えている。
【0009】
また、本発明に係る鞍乗型車両は、本発明に係るブレーキシステムを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液圧制御装置の制御装置は、ホイールシリンダへ供給されるブレーキ液の圧力の制御に用いられるプレッシャセンサの検出結果に基づいて、鞍乗型車両のブレーキランプの制御信号を出力する。このため、本発明に係る液圧制御装置を備えたブレーキシステムを鞍乗型車両に搭載する際、ブレーキがかけられているのか否かを検出するため専用のブレーキスイッチは、省略可能である。したがって、本発明に係る液圧制御装置を備えたブレーキシステムを鞍乗型車両に搭載する際、ブレーキスイッチに接続される信号線も省略可能である。このため、本発明に係る液圧制御装置は、該液圧制御装置を備えたブレーキシステムを鞍乗型車両に搭載する際、ハンドルバー周りが煩雑になることを従来よりも抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載された自転車の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載された自転車のハンドルバー周辺を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る後輪側液圧制御装置を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置の縦断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置の基体を示す底面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例の概略構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例が搭載された自転車の概略構成を示す側面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る液圧制御装置、該液圧制御装置を備えたブレーキシステム、及び、該ブレーキシステムを備えた鞍乗型車両について、図面を用いて説明する。
【0013】
なお、以下では、本発明が自転車(例えば、二輪車、三輪車等)に採用される場合を説明するが、本発明は自転車以外の他の鞍乗型車両に採用されてもよい。鞍乗型車両は、ライダーが跨がって搭乗する車両全般を意味する。自転車以外の他の鞍乗型車両とは、例えば、エンジン及び電動モータのうちの少なくとも1つを駆動源とする自動二輪車、自動三輪車、及びバギー等である。また、自転車とは、ペダルに付与される踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味している。つまり、自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。また、自動二輪車又は自動三輪車は、いわゆるモータサイクルを意味し、モータサイクルには、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。
【0014】
また、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る液圧制御装置、ブレーキシステム及び鞍乗型車両は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。例えば、以下では、本発明に係るブレーキシステムは、前輪にアンチロックブレーキ制御を実行するための前輪側液圧制御装置と、後輪にアンチロックブレーキ制御を実行するための後輪側液圧制御装置とを備えている。しかしながら、本発明に係るブレーキシステムは、前輪側液圧制御装置又は後輪側液圧制御装置の一方のみを備えていてもよい。また、例えば、本発明に係るブレーキシステムは、1つの液圧制御装置によって、前輪及び後輪の双方にアンチロックブレーキ制御を実行するものであってもよい。
【0015】
また、各図においては、同一の又は類似する部材又は部分に、同一の符号を付している、又は、符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。また、重複する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0016】
<ブレーキシステムの自転車への搭載>
実施の形態に係るブレーキシステムの自転車への搭載について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載された自転車の概略構成を示す側面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載された自転車のハンドルバー周辺を示す平面図である。なお、
図1では、紙面左側が自転車200の前方となる。また、
図2では、紙面上側が自転車200の前方となる。また、
図2は、ライダーによってブレーキレバー241が握られていない状態を示している。また、
図2では、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の一部を断面で示している。
【0017】
ブレーキシステム100が搭載される自転車200は、フレーム210と、旋回部230と、サドル218と、ペダル219と、後輪220と、後輪側制動部252と、ブレーキランプ221と、を備えている。
【0018】
フレーム210は、例えば、旋回部230のステアリングコラム231を軸支するヘッドチューブ211と、ヘッドチューブ211に連結されているトップチューブ212及びダウンチューブ213と、トップチューブ212及びダウンチューブ213に連結され、サドル218を保持するシートチューブ214と、シートチューブ214の上下端に連結され、後輪220及び後輪側制動部252を保持しているステー215と、を備えている。
【0019】
旋回部230は、例えば、ステアリングコラム231と、ステアリングコラム231に保持されているハンドルステム232と、ハンドルステム232に保持されているハンドルバー233と、ハンドルバー233周辺に設けられているブレーキレバー241と、ステアリングコラム231に連結されているフロントフォーク216と、フロントフォーク216に回転自在に保持されている前輪217と、前輪側制動部251と、を備えている。フロントフォーク216は、前輪217の両側に設けられている。フロントフォーク216は、一端がステアリングコラム231に連結され、他端が前輪217の回転中心に接続されている。すなわち、前輪217は、一対のフロントフォーク216の間に、回転自在に保持されている。なお、フロントフォーク216は、サスペンション付きフロントフォークであってもよい。
【0020】
本実施の形態に係る自転車200は、2つのブレーキレバー241を備えている。具体的には、
図2に示すように、ブレーキシステム100は、前輪217にアンチロックブレーキ制御を実行するための前輪側液圧制御装置1と、後輪220にアンチロックブレーキ制御を実行するための後輪側液圧制御装置2とを備えている。前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、後述のように、マスタシリンダ一体型の基体10を備えている。マスタシリンダ一体型の基体を備えた液圧制御装置は、ハンドルバーに取り付けられ、ライダーの手で握られたブレーキレバーによってマスタシリンダのピストンが押圧される構成となる。このため、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ハンドルバー233に取り付けられる。そして、自転車200は、前輪側液圧制御装置1用のブレーキレバー241と、後輪側液圧制御装置2用のブレーキレバー241とを備えている。
【0021】
前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の双方がハンドルバー233に取り付けられる場合、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2のうちの一方が、ハンドルバー233の把持部234のうち、ライダーに左手で握られる把持部234(左側の把持部234)の周辺に設けられることになる。また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2のうちの他方が、ハンドルバー233の把持部234のうち、ライダーに右手で握られる把持部234(右側の把持部234)の周辺に設けられることになる。このため、本実施の形態に係るブレーキシステム100においては、自転車200に搭載された際、ハンドルバー233への取付物の左右方向の重量配分が従来よりも均等となり、自転車200の操舵性が従来よりも向上する。なお、
図2では、後輪側液圧制御装置2がライダーに左手で握られる把持部234の周辺に設けられ、前輪側液圧制御装置1がライダーに右手で握られる把持部234の周辺に設けられる例を示している。
【0022】
例えば、フレーム210のダウンチューブ213には、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の電源となる電源ユニット260が取り付けられている。電源ユニット260は、バッテリであってもよく、また、発電機であってもよい。発電機には、例えば、自転車200の走行によって発電するもの(例えば、前輪217又は後輪220の回転によって発電するハブダイナモ、前輪217又は後輪220の駆動源の電動機であって回生電力を発電するもの等)、太陽光によって発電するもの等が含まれる。
【0023】
つまり、自転車200には、少なくとも、ブレーキレバー241と、前輪側制動部251と、後輪側制動部252と、前輪側液圧制御装置1と、後輪側液圧制御装置2と、電源ユニット260と、を含む、ブレーキシステム100が搭載されている。ブレーキシステム100は、前輪側制動部251のブレーキ液の圧力を前輪側液圧制御装置1によって制御することで、前輪217に対するアンチロックブレーキ制御を実行可能である。また、ブレーキシステム100は、後輪側制動部252のブレーキ液の圧力を後輪側液圧制御装置2によって制御することで、後輪220に対するアンチロックブレーキ制御を実行可能である。
【0024】
ブレーキランプ221は、前輪217及び後輪220のうちの少なくとも一方が制動される際、光るものである。
【0025】
<ブレーキシステムの構成>
【0026】
実施の形態に係るブレーキシステムの構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの概略構成を示す図である。
上述のように、ブレーキシステム100は、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2を備えている。そして、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、マスタシリンダ一体型の基体10を備えている。具体的には、詳細は後述するが、基体10には、マスタシリンダ50のピストン51が往復動自在に設けられたピストン取付穴21が形成されている。このピストン取付穴21とピストン51とにより、マスタシリンダ50が構成されている。また、基体10には、ホイールシリンダポート45と、ピストン取付穴21とホイールシリンダポート45とを連通させる内部流路40と、が形成されている。また、基体10には、ピストン取付穴21と接続され、ブレーキ液を貯留するリザーバタンク52が形成されている。
【0027】
内部流路40はブレーキ液の流路である。内部流路40は、例えば、第1流路41と、第2流路42と、第3流路43と、第4流路44と、を備えている。マスタシリンダ50のピストン取付穴21とホイールシリンダポート45とは、第1流路41及び第2流路42を介して連通している。また、第2流路42の途中部には、第3流路43の入口側の端部が接続されている。
【0028】
前輪側液圧制御装置1の基体10のホイールシリンダポート45には、液管101を介して、前輪側制動部251が接続される。前輪側制動部251は、ホイールシリンダ253と、ロータ254と、を備えている。前輪側制動部251のホイールシリンダ253は、例えば、フロントフォーク216に取り付けられている。前輪側制動部251のホイールシリンダ253は、液管101の圧力に連動して移動するピストン部(図示省略)を備えており、液管101及びホイールシリンダポート45を介して、前輪側液圧制御装置1の第2流路42の出口側に接続されている。すなわち、前輪側液圧制御装置1の基体10のホイールシリンダポート45は、前輪側制動部251のホイールシリンダ253に連通する液管101が接続される。前輪側制動部251のロータ254は、前輪217に保持され、前輪217と共に回転する。前輪側制動部251のホイールシリンダ253のピストン部の移動によって、前輪側制動部251のロータ254にブレーキパッド(図示省略)が押し付けられることで、前輪217が制動される。
【0029】
後輪側液圧制御装置2の基体10のホイールシリンダポート45には、液管101を介して、後輪側制動部252が接続される。後輪側制動部252は、前輪側制動部251と同様に、ホイールシリンダ253と、ロータ254と、を備えている。後輪側制動部252のホイールシリンダ253は、例えば、ステー215に取り付けられている。後輪側制動部252のホイールシリンダ253は、液管101の圧力に連動して移動するピストン部(図示省略)を備えており、液管101及びホイールシリンダポート45を介して、後輪側液圧制御装置2の第2流路42の出口側に接続されている。すなわち、後輪側液圧制御装置2の基体10のホイールシリンダポート45は、後輪側制動部252のホイールシリンダ253に連通する液管101が接続される。後輪側制動部252のロータ254は、後輪220に保持され、後輪220と共に回転する。後輪側制動部252のホイールシリンダ253のピストン部の移動によって、後輪側制動部252のロータ254にブレーキパッド(図示省略)が押し付けられることで、後輪220が制動される。
【0030】
すなわち、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の基体10に形成された内部流路40は、ピストン取付穴21とホイールシリンダ253とを連通させるブレーキ液の流路の一部である。
【0031】
また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、内部流路40を開閉し、ホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を調節する制御バルブ55を備えている。制御バルブ55は、基体10に設けられている。本実施の形態においては、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、制御バルブ55として、インレットバルブ56及びアウトレットバルブ57を備えている。
【0032】
インレットバルブ56は、第1流路41の出口側と第2流路42の入口側との間に設けられており、第1流路41と第2流路42との間のブレーキ液の流通を開閉する。すなわち、インレットバルブ56は、内部流路40のうちの、ピストン取付穴21からホイールシリンダ253へ流れるブレーキ液が通る流路を開閉するものである。アウトレットバルブ57は、第3流路43の出口側と第4流路44の入口側との間に設けられており、第3流路43と第4流路44との間のブレーキ液の流通を開閉する。インレットバルブ56及びアウトレットバルブ57の開閉動作によって、ブレーキ液の圧力が制御される。
【0033】
また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、インレットバルブ56の駆動源としての第1コイル61と、アウトレットバルブ57の駆動源としての第2コイル62と、を備えている。例えば、第1コイル61が非通電状態であるとき、インレットバルブ56は、双方向へのブレーキ液の流動を開放する。そして、第1コイル61に通電されると、インレットバルブ56は、閉止状態となってブレーキ液の流動を遮断する。すなわち、本実施の形態では、インレットバルブ56は、非通電時開の電磁弁となっている。また、例えば、第2コイル62が非通電状態であるとき、アウトレットバルブ57は、ブレーキ液の流動を遮断する。そして、第2コイル62に通電されると、アウトレットバルブ57は、開放状態となって双方向へのブレーキ液の流動を開放する。すなわち、本実施の形態では、アウトレットバルブ57は、非通電時閉の電磁弁となっている。
【0034】
また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の基体10には、アキュムレータ58が形成されている。アキュムレータ58は、第4流路44の出口側に接続されており、アウトレットバルブ57を通過したブレーキ液が貯留される。すなわち、アウトレットバルブ57は、内部流路40のうちの、ホイールシリンダ253からアキュムレータ58へ流れるブレーキ液が通る流路を開閉するものである。
【0035】
また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、内部流路40のブレーキ液の圧力を検出するプレッシャセンサ59を備えている。プレッシャセンサ59は、基体10に設けられている。本実施の形態では、プレッシャセンサ59は、ホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出している。例えば、プレッシャセンサ59は、第2流路42に連通している。
【0036】
また、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、プレッシャセンサ59の検出結果に基づいて制御バルブ55の開閉動作を制御する制御装置70を備えている。なお、制御装置70の各部が、纏められて配設されていてもよく、また、分散して配設されていてもよい。また、前輪側液圧制御装置1の制御装置70の少なくとも一部と後輪側液圧制御装置2の制御装置70の少なくとも一部とが、纏められて配設されていてもよい。制御装置70は、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等を含んで構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なものを含んで構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等を含んで構成されてもよい。例えば、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、次のように構成される。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置を示すブロック図である。また、
図5は、本発明の実施の形態に係る後輪側液圧制御装置を示すブロック図である。
前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70には、プレッシャセンサ59の検出結果が入力される。また、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1の制御装置70には、自転車200の走行状態の情報を検出する検出装置として、前輪217の回転速度を検出する前輪側車輪速センサ271の検出結果が入力される。そして、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、前輪側車輪速センサ271の検出結果に基づいて、前輪217のロック又はロックの可能性を判断する。また、本実施の形態では、後輪側液圧制御装置2の制御装置70には、自転車200の走行状態の情報を検出する検出装置として、後輪220の回転速度を検出する後輪側車輪速センサ272の検出結果が入力される。そして、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、後輪側車輪速センサ272の検出結果に基づいて、後輪220のロック又はロックの可能性を判断する。
【0038】
制御装置70は、機能部として、動作決定部73及び制御部74を備えている。動作決定部73は、制御バルブ55の開閉動作を決定する機能部である。具体的には、動作決定部73は、インレットバルブ56を開状態とするのか閉状態とするのかを決定する。また、動作決定部73は、アウトレットバルブ57を開状態とするのか閉状態とするのかを決定する。制御部74は、制御バルブ55の開閉動作を制御する機能部である。具体的には、制御部74は、第1コイル61への通電を制御し、インレットバルブ56の状態を動作決定部73が決定した状態とする。また、制御部74は、第2コイル62への通電を制御し、アウトレットバルブ57の状態を動作決定部73が決定した状態とする。
【0039】
すなわち、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、前輪側液圧制御装置1のインレットバルブ56及びアウトレットバルブ57の開閉動作を制御することによって、前輪側制動部251のホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を制御し、前輪217の制動力を制御する。換言すると、前輪側液圧制御装置1は、前輪側制動部251のホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を制御するものである。また、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、後輪側液圧制御装置2のインレットバルブ56及びアウトレットバルブ57の開閉動作を制御することによって、後輪側制動部252のホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を制御し、後輪220の制動力を制御する。換言すると、後輪側液圧制御装置2は、後輪側制動部252のホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を制御するものである。
【0040】
例えば、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、次のように動作する。ライダーがブレーキレバー241を握って、前輪側液圧制御装置1のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、前輪217の制動が開始される。前輪217が制動されている際に、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、前輪側車輪速センサ271の検出結果に基づいて前輪217のロック又はロックの可能性があると判断すると、アンチロックブレーキ制御を開始する。
【0041】
アンチロックブレーキ制御が開始されると、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、第1コイル61を通電状態にして、インレットバルブ56を閉止させ、マスタシリンダ50から前輪側制動部251のホイールシリンダ253へのブレーキ液の流動を遮断することで、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液の増圧を抑制する。一方、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、第2コイル62を通電状態にして、アウトレットバルブ57を開放させ、前輪側制動部251のホイールシリンダ253からアキュムレータ58へのブレーキ液の流動を可能にすることで、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液の減圧を行う。これにより、前輪217のロックが解除又は回避される。前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、プレッシャセンサ59の検出結果から、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液が所定の値まで減圧されたと判断すると、第2コイル62を非通電状態にしてアウトレットバルブ57を閉止させ、短時間の間、第1コイル61を非通電状態にしてインレットバルブ56を開放させて、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液の増圧を行う。前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、前輪側制動部251のホイールシリンダ253の増減圧を1回のみ行ってもよく、また、複数回繰り返してもよい。
【0042】
ここで、上述のように、プレッシャセンサ59は、内部流路40に存在するブレーキ液の圧力のうち、ホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出している。このため、プレッシャセンサ59は、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液を直接的に検出することができる。このため、プレッシャセンサ59がホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出することにより、前輪側液圧制御装置1は、前輪217へのアンチロックブレーキ制御を高精度に行うことができる。
【0043】
アンチロックブレーキ制御が終了して、前輪側液圧制御装置1に対応するブレーキレバー241が戻されると、前輪側液圧制御装置1のマスタシリンダ50内が大気圧状態となり、前輪側制動部251のホイールシリンダ253内のブレーキ液が戻される。また、アンチロックブレーキ制御が終了して、前輪側液圧制御装置1に対応するブレーキレバー241が戻された際、前輪側液圧制御装置1は、アウトレットバルブ57を開放状態にする。これにより、内部流路40内のブレーキ液の圧力がアキュムレータ58に蓄えられているブレーキ液の圧力よりも低くなると、アキュムレータ58に蓄えられているブレーキ液は、ポンプレス(つまり、昇圧レス)でアキュムレータ58外へ排出される。そして、アキュムレータ58外へ放出されたブレーキ液は、第4流路44、アウトレットバルブ57、第3流路43、第2流路42及び第1流路41を通ってマスタシリンダ50に戻る。また、マスタシリンダ50に戻ったブレーキ液の余剰分は、リザーバタンク52に貯留される。
【0044】
同様に、例えば、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、次のように動作する。ライダーがブレーキレバー241を握って、後輪側液圧制御装置2のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、後輪220の制動が開始される。後輪220が制動されている際に、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、後輪側車輪速センサ272の検出結果に基づいて後輪220のロック又はロックの可能性があると判断すると、アンチロックブレーキ制御を開始する。
【0045】
アンチロックブレーキ制御が開始されると、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、第1コイル61を通電状態にして、インレットバルブ56を閉止させ、マスタシリンダ50から後輪側制動部252のホイールシリンダ253へのブレーキ液の流動を遮断することで、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液の増圧を抑制する。一方、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、第2コイル62を通電状態にして、アウトレットバルブ57を開放させ、後輪側制動部252のホイールシリンダ253からアキュムレータ58へのブレーキ液の流動を可能にすることで、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液の減圧を行う。これにより、後輪220のロックが解除又は回避される。後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、プレッシャセンサ59の検出結果から、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液が所定の値まで減圧されたと判断すると、第2コイル62を非通電状態にしてアウトレットバルブ57を閉止させ、短時間の間、第1コイル61を非通電状態にしてインレットバルブ56を開放させて、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液の増圧を行う。後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、後輪側制動部252のホイールシリンダ253の増減圧を1回のみ行ってもよく、また、複数回繰り返してもよい。
【0046】
ここで、上述のように、プレッシャセンサ59は、内部流路40に存在するブレーキ液の圧力のうち、ホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出している。このため、プレッシャセンサ59は、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液を直接的に検出することができる。このため、プレッシャセンサ59がホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出することにより、後輪側液圧制御装置2は、後輪220へのアンチロックブレーキ制御を高精度に行うことができる。
【0047】
アンチロックブレーキ制御が終了して、後輪側液圧制御装置2に対応するブレーキレバー241が戻されると、後輪側液圧制御装置2のマスタシリンダ50内が大気圧状態となり、後輪側制動部252のホイールシリンダ253内のブレーキ液が戻される。また、アンチロックブレーキ制御が終了して、後輪側液圧制御装置2に対応するブレーキレバー241が戻された際、後輪側液圧制御装置2は、アウトレットバルブ57を開放状態にする。これにより、内部流路40内のブレーキ液の圧力がアキュムレータ58に蓄えられているブレーキ液の圧力よりも低くなると、アキュムレータ58に蓄えられているブレーキ液は、ポンプレスでアキュムレータ58外へ排出される。そして、アキュムレータ58外へ放出されたブレーキ液は、第4流路44、アウトレットバルブ57、第3流路43、第2流路42及び第1流路41を通ってマスタシリンダ50に戻る。また、マスタシリンダ50に戻ったブレーキ液の余剰分は、リザーバタンク52に貯留される。
【0048】
上述のように、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、アンチロックブレーキ制御における減圧時にホイールシリンダ253から逃がしたブレーキ液をアキュムレータ58に蓄え、アキュムレータ58内のブレーキ液をポンプレスでアキュムレータ58外へ排出する構成となっている。このように構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ポンプを用いてアキュムレータ内のブレーキ液をアキュムレータ外へ排出する液圧制御装置と比べ、小型化することができ、自転車200への取付自由度が向上する。
【0049】
ここで、アキュムレータ内のブレーキ液をポンプレスでアキュムレータ外へ排出する従来の液圧制御装置においては、アキュムレータ内のブレーキ液をアウトレットバルブを介さずにマスタシリンダに戻す内部流路となっている。このような従来の液圧制御装置の内部流路は、一端がアキュムレータに接続され、他端がマスタシリンダとインレットバルブとの間の流路に接続されたバイパス流路を備えている。また、このような従来の液圧制御装置の内部流路は、ブレーキ液がバイパス流路を通ってアキュムレータに流れ込むことを防止するため、バイパス流路に、マスタシリンダ側からアキュムレータ側にブレーキ液が流れることを規制する逆止弁を設けている。一方、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、アキュムレータ58内のブレーキ液をアウトレットバルブ57を介さずにマスタシリンダ50に戻せない構成となっている。すなわち、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、アキュムレータ58内のブレーキ液を、アウトレットバルブ57を介さずに基体10に形成されたピストン取付穴21(マスタシリンダ50の一構成)に戻せない構成となっている。このように構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、従来の液圧制御装置が備えていた上述のバイパス流路及び逆止弁が不要となる。このため、このように構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、さらに小型化することができ、自転車200への取付自由度がさらに向上する。
【0050】
なお、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、少なくとも一部が、制御基板71として構成されている。具体的には、本実施の形態では、制御装置70のうち、動作決定部73及び制御部74の構成要素が、制御基板71として構成されている。すなわち、制御基板71は、制御バルブ55の開閉動作を制御するものである。換言すると、制御基板71は、第1コイル61及び第2コイル62と電気的に接続され、第1コイル61及び第2コイル62への通電を制御するものである。
【0051】
ここで、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、機能部として、プレッシャセンサ59の検出結果に基づいてブレーキランプ221の制御信号を出力する信号出力部75を備えている。すなわち、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、プレッシャセンサ59の検出結果に基づいて、ブレーキランプ221の制御信号を出力する構成となっている。
【0052】
具体的には、前輪217を制動するためにライダーがブレーキレバー241を握り、前輪側液圧制御装置1のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、前輪側液圧制御装置1の内部流路40内のブレーキ液の圧力は、ライダーによってブレーキレバー241が握られていない状態と比べ、上昇する。すなわち、ライダーがブレーキレバー241を握り、前輪側液圧制御装置1のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、前輪側液圧制御装置1のプレッシャセンサ59の検出圧力は、ライダーによってブレーキレバー241が握られていない状態と比べ、上昇する。その際、前輪側液圧制御装置1の制御装置70は、ブレーキランプ221の制御信号を出力する。そして、自転車200は、前輪側液圧制御装置1から出力されたブレーキランプ221の制御信号を受信すると、ブレーキランプ221を点灯させる。
【0053】
同様に、後輪220を制動するためにライダーがブレーキレバー241を握り、後輪側液圧制御装置2のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、後輪側液圧制御装置2の内部流路40内のブレーキ液の圧力は、ライダーによってブレーキレバー241が握られていない状態と比べ、上昇する。すなわち、ライダーがブレーキレバー241を握り、後輪側液圧制御装置2のマスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241で押圧されると、後輪側液圧制御装置2のプレッシャセンサ59の検出圧力は、ライダーによってブレーキレバー241が握られていない状態と比べ、上昇する。その際、後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、ブレーキランプ221の制御信号を出力する。そして、自転車200は、後輪側液圧制御装置2から出力されたブレーキランプ221の制御信号を受信すると、ブレーキランプ221を点灯させる。
【0054】
ライダーが握るブレーキレバーによってマスタシリンダのピストンが押圧される従来の液圧制御装置を搭載した鞍乗型車両においては、ブレーキレバーの姿勢を検出する機械式のブレーキスイッチを設け、該ブレーキスイッチの検出結果に基づいてブレーキランプを点灯させていた。具体的には、ブレーキスイッチは、ブレーキレバーの近傍つまりハンドルバーの近傍に設けられる。そして、ブレーキスイッチは、ライダーの手によってブレーキレバーが握られている状態のときに、ブレーキレバーによって押される構成となっている。また、ブレーキスイッチは、押されているとき又は押されていないときに、信号を出力する構成となっている。そして、このような従来の液圧制御装置が搭載された鞍乗型車両では、ブレーキスイッチからの信号の出力の有無に基づいて、ブレーキがかけられているのか否かが判定され、ブレーキランプが点灯されていた。
【0055】
このように、上述のような従来の液圧制御装置を搭載した鞍乗型車両においては、ブレーキがかけられているのか否かを検出するため専用のブレーキスイッチを、ハンドルバーの近傍に配置する必要があった。また、上述のような従来の液圧制御装置を搭載した鞍乗型車両においては、ブレーキスイッチに接続された信号線を、ハンドルバーの近傍に引き回す必要があった。このため、上述のような従来の液圧制御装置は、すなわち当該液圧制御装置を備えたブレーキシステムは、鞍乗型車両に搭載された際、ハンドルバー周りが煩雑になってしまう。
【0056】
一方、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、ホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力の制御に用いられるプレッシャセンサ59の検出結果に基づいて、自転車200のブレーキランプ221の制御信号を出力する。このため、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2を備えたブレーキシステム100を自転車200に搭載する際、ブレーキがかけられているのか否かを検出するため専用のブレーキスイッチは、不要となる。したがって、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2を備えたブレーキシステム100を自転車200に搭載する際、ブレーキスイッチに接続される信号線も不要となる。このため、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ブレーキシステム100を自転車200に搭載する際、ハンドルバー233周りが煩雑になることを従来よりも抑制できる。
【0057】
また、機械式のブレーキスイッチは、壊れやすい。また、ブレーキスイッチに接続される信号線がハンドルバーの近傍に引き回された場合、信号線にライダーの手等が引っかかりやすい。この点を鑑みると、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ブレーキスイッチ及び該ブレーキスイッチに接続される信号線が不要となるので、自転車200の信頼性も向上する。
【0058】
また、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ハンドルバー233周りが煩雑になることを従来よりも抑制できる結果として、自転車200への取付が容易となり、自転車200への取付自由度が向上する。また、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の基体10は、マスタシリンダ一体型となっている。マスタシリンダ50と基体10とが別体の場合、マスタシリンダ50と基体10とを接続する液管等の配管を、ハンドルバー233近傍に引き回す必要がある。一方、基体10がマスタシリンダ一体型の場合、上述の液管等の配管をハンドルバー233近傍に引き回す必要がない。このため、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、マスタシリンダ50と基体10とが別体の場合と比べ、自転車200への取付自由度がより向上し、自転車200の信頼性もより向上する。
【0059】
また、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、制御バルブ55の開閉状態の変更によって内部流路40のブレーキ液の圧力が低下した際、ブレーキランプ221の制御信号を出力する。すなわち、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70は、アンチロックブレーキ制御によるホイールシリンダ253のブレーキ液の減圧を行った際、ブレーキランプ221の制御信号を出力する。アンチロックブレーキ制御によるホイールシリンダ253のブレーキ液の減圧を行った際のブレーキランプ221の制御信号は、アンチロックブレーキ制御を行っていない場合のブレーキランプ221の制御信号とは識別可能な信号である。これにより、自転車200は、例えば、制動中にアンチロックブレーキ制御が行われているか否かによって、ブレーキランプ221の光り方を異ならせることができる。例えば、制動中、自転車200は、アンチロックブレーキ制御が行われていないときにはブレーキランプ221を点灯させ、アンチロックブレーキ制御が行われているときにはブレーキランプ221を点滅させる。このように、自転車200の制動中にアンチロックブレーキ制御が行われているか否かによって、ブレーキランプ221の光り方を異ならせることにより、例えば、該自転車200の後方を走行中の車両は、自転車200の制動力が変化したことを知ることができる。したがって、制御バルブ55の開閉状態の変更によって内部流路40のブレーキ液の圧力が低下した際、ブレーキランプ221の制御信号を出力することにより、自転車200の安全性が向上する。なお、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の制御装置70から出力されるブレーキランプ221の制御信号は、ブレーキランプ221を光らせる以外の制御に用いられてもよい。
【0060】
また、
図2に示すように、本実施の形態に係るブレーキシステム100においては、ブレーキレバー241は、ライダーの手によって握られていない状態において、マスタシリンダ50のピストン51に接触している。このため、ライダーがブレーキレバー241を握り始めると、マスタシリンダ50のピストン51がブレーキレバー241によって即座に押圧され始める。すなわち、ライダーがブレーキレバー241を握り始めると、内部流路40内のブレーキ液の圧力が即座に上昇し始める。このため、このように構成されたブレーキシステム100においては、ライダーが自転車200の制動を開始してからブレーキランプ221が光るまでの遅れを抑制でき、自転車200の安全性が向上する。
【0061】
<液圧制御装置の構成>
実施の形態に係るブレーキシステムの液圧制御装置の構成について説明する。
なお、本実施の形態に係るブレーキシステム100は、2つの液圧制御装置(前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2)を備えている。そして、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2が自転車200のハンドルバー233に取り付けられた際、前輪側液圧制御装置1と後輪側液圧制御装置2とは、左右に反転させた形状となる。このため、以下では、前輪側液圧制御装置1について説明していく。すなわち、以下に説明する前輪側液圧制御装置1を左右に反転させれば、後輪側液圧制御装置2となる。前輪側液圧制御装置1と後輪側液圧制御装置2とを左右に反転させた形状とすることにより、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の設計が容易となる。
また、以下では、前輪側液圧制御装置1が自転車200のハンドルバー233に取り付けられ、自転車200が直進している状態での該前輪側液圧制御装置1を観察しながら、前輪側液圧制御装置1の構成について説明していく。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置を示す斜視図である。この
図6は、前輪側液圧制御装置1の後方右側から、該前輪側液圧制御装置1を観察した斜視図となっている。
図7は、本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置の縦断面図である。
図8は、本発明の実施の形態に係る前輪側液圧制御装置の基体を示す底面図である。
以下、これら
図6~
図8と前述の図とを参照しながら、前輪側液圧制御装置1を説明していく。
【0063】
前輪側液圧制御装置1の基体10は、例えば、アルミニウム合金を素材とする、略直方体の部材である。なお、基体10の各面は、平坦であってもよく、湾曲部を含んでいてもよく、また、段差を含んでいてもよい。基体10には、リザーバタンク52、インレットバルブ取付穴24、アウトレットバルブ取付穴26、ホイールシリンダポート45、及び、マスタシリンダ50のピストン取付穴21が形成されている。
【0064】
リザーバタンク52は、第1面11に開口するように、基体10に形成されている。換言すると、リザーバタンク52の開口部53は、第1面11に形成されている。前輪側液圧制御装置1は、リザーバタンク52内を大気圧に維持するため、リザーバタンク52の開口部53が該リザーバタンク52の上部となるように、自転車200に取り付けられる。このため、第1面11は、基体10の上面となる。なお、リザーバタンク52の開口部53は、蓋54で覆われている。
【0065】
インレットバルブ取付穴24は、インレットバルブ56が往復動自在に設けられる穴である。インレットバルブ取付穴24は、第1面11の反対面である第2面12に開口するように、基体10に形成されている。換言すると、インレットバルブ取付穴24の開口部25は、第2面12に形成されている。第2面12は、基体10の下面となる面である。インレットバルブ取付穴24は、例えば、上下方向に沿って、基体10に形成されている。インレットバルブ取付穴24には、内部流路40のうち、
図3に示す第1流路41及び第2流路42が連通している。そして、インレットバルブ56がインレットバルブ取付穴24で往復動することにより、第1流路41と第2流路42との間のブレーキ液の流通を開閉する。
【0066】
アウトレットバルブ取付穴26は、アウトレットバルブ57が往復動自在に設けられる穴である。アウトレットバルブ取付穴26は、第2面12に開口するように、基体10に形成されている。換言すると、アウトレットバルブ取付穴26の開口部27は、第2面12に形成されている。アウトレットバルブ取付穴26は、例えば、上下方向に沿って、基体10に形成されている。アウトレットバルブ取付穴26には、内部流路40のうち、
図3に示す第3流路43及び第4流路44が連通している。そして、アウトレットバルブ57がアウトレットバルブ取付穴26で往復動することにより、第3流路43と第4流路44との間のブレーキ液の流通を開閉する。
【0067】
マスタシリンダ50のピストン取付穴21には、上述のように、マスタシリンダ50のピストン51が往復動自在に設けられる。ピストン取付穴21は、第1面11と第2面12とを接続する第3面13に開口するように、基体10に形成されている。換言すると、ピストン取付穴21の開口部23は、第3面13に形成されている。第3面13は、基体10の側面となる面である。より詳しくは、ハンドルバー233の右側の把持部234周辺に設けられる前輪側液圧制御装置1の場合、第3面13は、基体10の右側面となる。また、ハンドルバー233の左側の把持部234周辺に設けられる後輪側液圧制御装置2の場合、第3面13は、基体10の左側面となる。
【0068】
マスタシリンダ50は、平面視において、ハンドルバー233におけるマスタシリンダ50と対向する範囲に沿うように延びている。換言すると、マスタシリンダ50は、平面視において、概略、左右方向に延びるように基体10に形成されている。ホイールシリンダポート45は、第3面13の反対面である第4面14に開口するように、基体10に形成されている。
【0069】
インレットバルブ取付穴24にインレットバルブ56が設けられている状態において、インレットバルブ56の一部は、インレットバルブ取付穴24の開口部25から、インレットバルブ取付穴24の外部に突出している。すなわち、インレットバルブ取付穴24にインレットバルブ56が設けられている状態において、インレットバルブ56の一部は、基体10の第2面12から、基体10の下方に突出している。インレットバルブ56の駆動源である第1コイル61は、インレットバルブ56における基体10の下方に突出している箇所を囲うように、設けられている。また、第1コイル61は、端子63を介して、制御基板71と電気的に接続されている。
【0070】
アウトレットバルブ取付穴26にアウトレットバルブ57が設けられている状態において、アウトレットバルブ57の一部は、アウトレットバルブ取付穴26の開口部27から、アウトレットバルブ取付穴26の外部に突出している。すなわち、アウトレットバルブ取付穴26にアウトレットバルブ57が設けられている状態において、アウトレットバルブ57の一部は、基体10の第2面12から、基体10の下方に突出している。アウトレットバルブ57の駆動源である第2コイル62は、アウトレットバルブ57における基体10の下方に突出している箇所を囲うように、設けられている。また、第2コイル62は、端子64を介して、制御基板71と電気的に接続されている。
【0071】
第1コイル61、第2コイル62及び制御基板71は、前輪側液圧制御装置1が備えるハウジング80に収納されている。このハウジング80は、基体10と接続されている。基体10の下方に配置されている第1コイル61、第2コイル62及び制御基板71を収納するハウジング80もまた、基体10の下方に配置されている。
【0072】
マスタシリンダ一体型の基体を備えた従来の液圧制御装置においては、インレットバルブ取付穴及びアウトレットバルブ取付穴は、ハンドルバーに液圧制御装置が取り付けられた状態において略水平方向に延びるように、基体に形成されている。すなわち、マスタシリンダ一体型の基体を備えた従来の液圧制御装置においては、ハンドルバーに液圧制御装置が取り付けられた際、鞍乗型車両の前方、後方、又は側方にインレットバルブ取付穴及びアウトレットバルブ取付穴が開口した状態となる。ここで、基体におけるインレットバルブ取付穴及びアウトレットバルブ取付穴が開口する面に対向して、インレットバルブの駆動源となるコイル、アウトレットバルブの駆動源となるコイル、及びこれらのコイルへの通電を制御する制御基板を収納したハウジングが配置される。すなわち、マスタシリンダ一体型の基体を備えた従来の液圧制御装置は、ハンドルバーに液圧制御装置を取り付ける際、液圧制御装置の前方、後方、又は側方にハウジングを配置するスペースを確保しなければならない。しかしながら、鞍乗型車両は、液圧制御装置の取付位置の後方には、ハンドルバーが設けられる。また、鞍乗型車両は、液圧制御装置の取付位置の前方及び側方にも、いろいろな物が設けられる。このため、マスタシリンダ一体型の基体を備えた従来の液圧制御装置は、鞍乗型車両への取付自由度が低い。
【0073】
一方、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1の基体10では、インレットバルブ取付穴24及びアウトレットバルブ取付穴26は、前輪側液圧制御装置1が自転車200のハンドルバー233に取り付けられた際に下面となる第2面12に形成されている。このため、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1においては、自転車200のハンドルバー233に取り付けられた際、第1コイル61、第2コイル62、制御基板71及びハウジング80は、基体10の下方に配置されることになる。ここで、鞍乗型車両では、液圧制御装置の取付位置周辺は、前方、後方、及び側方に比べ、上下方向に空間的な余裕がある。このため、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1は、換言すると本実施の形態に係る後輪側液圧制御装置2は、自転車200への取付自由度が従来よりも向上する。
【0074】
ここで、
図8からわかるように、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25とアウトレットバルブ取付穴26の開口部27との並び方向は、ピストン取付穴21の延在方向(延びる方向)に沿っている。詳しくは、自転車200のハンドルバー233に取り付けられた前輪側液圧制御装置1を上方又は下方から観察した際、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25とアウトレットバルブ取付穴26の開口部27との並び方向は、ピストン取付穴21の延在方向(延びる方向)に沿っている。なお、本実施で表現する「沿う」とは、比較する2つの方向が厳密に平行になっていることを示すものではない。比較する2つの方向が多少傾いていてもよい。例えば、2つの方向の傾きが45°未満であればよい。
【0075】
一般的に、マスタシリンダ一体型の基体を備えた液圧制御装置は、ピストン取付穴の延在方向に大きくなる。また、鞍乗型車両では、液圧制御装置の取付位置周辺は、前後方向と比べ、左右方向に空間的な余裕がある。すなわち、鞍乗型車両では、液圧制御装置の取付位置周辺は、前後方向、左右方向及び上下方向のうち、前後方向に空間的な余裕が最もない。このため、一般的に、マスタシリンダ一体型の基体を備えた液圧制御装置は、平面視において、ピストン取付穴の延在方向が鞍乗型車両の左右方向に沿うように、鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられる。換言すると、一般的に、マスタシリンダ一体型の基体を備えた液圧制御装置は、平面視において、ピストン取付穴の延在方向がハンドルバーに沿うように、鞍乗型車両のハンドルバーに取り付けられる。
図2に示すように、本実施の形態に係る前輪側液圧制御装置1も同様である。この際、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25とアウトレットバルブ取付穴26の開口部27との並び方向がピストン取付穴21の延在方向に沿う構成を備えた前輪側液圧制御装置1は、自転車200の前輪側液圧制御装置1の取付位置において空間的な余裕が最もない前後方向の幅を抑制することができる。このため、当該構成を備えた前輪側液圧制御装置1は、換言すると当該構成を備えた後輪側液圧制御装置2は、自転車200への取付自由度がより向上する。
【0076】
上述のように、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1は、プレッシャセンサ59を備えている。プレッシャセンサ59は、基体10に形成されたプレッシャセンサ取付穴30に設けられている。プレッシャセンサ取付穴30は、第2面12に開口するように、基体10に形成されている。換言すると、プレッシャセンサ取付穴30の開口部31は、第2面12に形成されている。プレッシャセンサ取付穴30は、例えば、上下方向に沿って、基体10に形成されている。プレッシャセンサ取付穴30の開口部31を第2面12に形成することにより、プレッシャセンサ59と制御基板71とを前後方向に接続することができる。このため、プレッシャセンサ取付穴30の開口部31を第2面12に形成することにより、プレッシャセンサ59を基体10に設ける場合でも、前後方向及び左右方向に前輪側液圧制御装置1が大きくなることを抑制できる。したがって、プレッシャセンサ取付穴30の開口部31が第2面12に形成された前輪側液圧制御装置1は、換言するとプレッシャセンサ取付穴30の開口部31が第2面12に形成された後輪側液圧制御装置2は、プレッシャセンサ59を基体10に設ける場合でも、自転車200への取付自由度が従来よりも向上する。
【0077】
また、
図8からわかるように、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25、アウトレットバルブ取付穴26の開口部27、及びプレッシャセンサ取付穴30の開口部31の並び方向は、ピストン取付穴21の延在方向(延びる方向)に沿っている。詳しくは、自転車200のハンドルバー233に取り付けられた前輪側液圧制御装置1を上方又は下方から観察した際、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25、アウトレットバルブ取付穴26の開口部27、及びプレッシャセンサ取付穴30の開口部31の並び方向は、ピストン取付穴21の延在方向(延びる方向)に沿っている。このように構成された前輪側液圧制御装置1は、プレッシャセンサ59を基体10に設ける際、自転車200の前輪側液圧制御装置1の取付位置において空間的な余裕が最もない前後方向の幅を抑制することができる。このため、このように構成された前輪側液圧制御装置1は、換言するとこのように構成された後輪側液圧制御装置2は、プレッシャセンサ59を基体10に設ける際、自転車200への取付自由度がより向上する。なお、第2面12におけるインレットバルブ取付穴24の開口部25、アウトレットバルブ取付穴26の開口部27、及びプレッシャセンサ取付穴30の開口部31の並びは、必ずしも一直線上に並んでいる必要はなく、ジグザグ状に並んでいてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、ホイールシリンダポート45に対して遠い順に、インレットバルブ取付穴24、アウトレットバルブ取付穴26、及びプレッシャセンサ取付穴30で並んでいる。上述のように、本実施の形態では、プレッシャセンサ59は、ホイールシリンダ253に圧力を付与しているブレーキ液の圧力を検出している。このような場合、マスタシリンダ50のピストン取付穴21からホイールシリンダポート45に向かって内部流路40を流れるブレーキ液の流れ方向に沿って、インレットバルブ取付穴24、アウトレットバルブ取付穴26、プレッシャセンサ取付穴30及びホイールシリンダポート45が並ぶこととなる。このため、このように構成された前輪側液圧制御装置1は、換言するとこのように構成された後輪側液圧制御装置2は、インレットバルブ取付穴24からホイールシリンダポート45に至る内部流路40形状が簡単になり、製造コストを抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、基体10に、ライダーの手によって握られるブレーキレバー241の保持部95の少なくとも一部が一体形成されている。保持部95の構成は特に限定されないが、本実施の形態では、保持部95は、一対の保持板96を備えている。これらの保持板96には、ブレーキレバー241の軸部242(
図2参照)を回転自在に支持する穴97が形成されている。そして、ブレーキレバー241の軸部242が穴97に挿入された状態で、一対の保持板96がブレーキレバー241を移動自在に挟持することにより、ブレーキレバー241は保持部95に揺動自在に保持されている。また、一対の保持板96のうちの一方は、例えば基体10の前面となる第5面15において、基体10と一体形成されている。なお、一対の保持板96のうちの他方は、例えば、ネジ止め等によって、基体10に固定されている。保持部95の少なくとも一部を基体10に一体形成することにより、保持部95を基体10とは別体に形成した場合と比べ、ブレーキシステム100の部品点数及び組立工数等を削減でき、ブレーキシステム100の製造コストを抑制することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、基体10に、該基体10をハンドルバー233に取り付けるための取付部90の少なくとも一部が一体形成されている。取付部90の構成は特に限定されないが、本実施の形態では、取付部90は、基体10に一体形成された基部91と、基部91にネジ止め等によって固定される挟持部92とを備えている。基部91は、例えば基体10の背面となる第6面16において、基体10と一体形成されている。基部91と挟持部92とでハンドルバー233を挟持し、基部91に挟持部92を固定することにより、基体10がハンドルバー233に固定される。取付部90の少なくとも一部を基体10に一体形成することにより、取付部90を基体10とは別体に形成した場合と比べ、ブレーキシステム100を搭載した自転車200の部品点数及び組立工数等を削減でき、自転車200の製造コストを抑制することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、前輪側液圧制御装置1の基体10には、アキュムレータ58が形成されている。この際、アキュムレータ58は、ピストン取付穴21の底部22を基準として、該ピストン取付穴21の開口部23とは反対側に配置されている。換言すると、マスタシリンダ50のピストン取付穴21とアキュムレータ58とは、平面視において左右方向に並んでいる。このようにアキュムレータ58が形成された前輪側液圧制御装置1は、自転車200の前輪側液圧制御装置1の取付位置において空間的な余裕が最もない前後方向の幅を抑制することができる。このため、このようにアキュムレータ58が形成された前輪側液圧制御装置1は、換言するとこのようにアキュムレータ58が形成された後輪側液圧制御装置2は、基体10にアキュムレータ58を形成する構成とする際、自転車200への取付自由度が向上する。なお、本実施の形態では、第6面16に開口する穴の開口部を閉塞し、アキュムレータ58としている。しかしながら、このアキュムレータ58の構成は、あくまでも一例である。例えば、第4面14に開口する穴の開口部を閉塞し、アキュムレータ58を形成してもよい。また、例えば、第5面15に開口する穴の開口部を閉塞し、アキュムレータ58を形成してもよい。
【0082】
<液圧制御装置の効果>
実施の形態に係る液圧制御装置の効果について説明する。
本実施の形態に係る液圧制御装置(前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2)は、アンチロックブレーキ制御を実行可能なブレーキシステム100に用いられ、自転車200のハンドルバー233に取り付けられる液圧制御装置である。本実施の形態に係る液圧制御装置は、基体10と、制御バルブ55と、プレッシャセンサ59と、制御装置70とを備えている。基体10には、マスタシリンダ50のピストン51が往復動自在に設けられたピストン取付穴21と、ピストン取付穴21とホイールシリンダ253とを連通させるブレーキ液の流路の一部となる内部流路40とが形成されている。制御バルブ55は、内部流路40を開閉し、ホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力を調節するものである。プレッシャセンサ59は、基体10に設けられ、内部流路40のブレーキ液の圧力を検出するものである。制御装置70は、プレッシャセンサ59の検出結果に基づいて、制御バルブ55の開閉動作を制御するものである。そして、制御装置70は、プレッシャセンサ59の検出結果に基づいて、自転車200のブレーキランプ221の制御信号を出力する構成である。
【0083】
このように構成された本実施の形態に係る液圧制御装置の制御装置70は、ホイールシリンダ253へ供給されるブレーキ液の圧力の制御に用いられるプレッシャセンサ59の検出結果に基づいて、自転車200のブレーキランプ221の制御信号を出力する。このため、このように構成された本実施の形態に係る液圧制御装置を自転車200に搭載する際、ブレーキがかけられているのか否かを検出するため専用のブレーキスイッチは、不要となる。したがって、このように構成された本実施の形態に係る液圧制御装置を自転車200に搭載する際、ブレーキスイッチに接続される信号線も不要となる。このため、このように構成された本実施の形態に係る液圧制御装置は、本実施の形態に係る液圧制御装置を自転車200に搭載する際、ハンドルバー233周りが煩雑になることを従来よりも抑制できる。
【0084】
<変形例>
図9は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例の概略構成を示す図である。
上述のように、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、アンチロックブレーキ制御における減圧時にホイールシリンダ253から逃がしたブレーキ液をアキュムレータ58に蓄え、アキュムレータ58内のブレーキ液をポンプレスでアキュムレータ58外へ排出する構成となっている。このような構成を実現する前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、
図9のように構成されていてもよい。
【0085】
具体的には、
図9に示す前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の内部流路40は、
図2で示した内部流路40の構成に加え、バイパス流路46及び逆止弁47を備えている。バイパス流路46は、一端がアキュムレータ58に接続され、他端が第1流路41に接続されている。逆止弁47は、バイパス流路46に設けられ、マスタシリンダ50側からアキュムレータ58側にブレーキ液が流れることを規制している。このような内部流路40が構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2においても、アンチロックブレーキ制御における減圧時にホイールシリンダ253から逃がしたブレーキ液をアキュムレータ58に蓄え、バイパス流路46を介して、アキュムレータ58内のブレーキ液をポンプレスでアキュムレータ58外へ排出することができる。
【0086】
図10は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例を示すブロック図である。また、
図11は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例が搭載された自転車の概略構成を示す側面図である。
【0087】
図10に示すブレーキシステム100の前輪側液圧制御装置1においては、動作決定部73の構成要素は、制御基板71とは異なる動作決定用制御基板72として構成されている。このため、
図10に示すブレーキシステム100の前輪側液圧制御装置1においては、制御部74の構成要素が制御基板71として構成されている。同様に、
図10に示すブレーキシステム100の後輪側液圧制御装置2においても、動作決定部73の構成要素は、制御基板71とは異なる動作決定用制御基板72として構成されている。このため、
図10に示すブレーキシステム100の後輪側液圧制御装置2においては、制御部74の構成要素が制御基板71として構成されている。そして、前輪側液圧制御装置1の動作決定用制御基板72と後輪側液圧制御装置2の動作決定用制御基板72とは、共用される構成となっている。また、この動作決定用制御基板72は、前輪側液圧制御装置1のハウジング80及び後輪側液圧制御装置2のハウジング80とは異なる箇所に収納される。なお、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の信号出力部75も、動作決定用制御基板72として構成されている。
【0088】
すなわち、動作決定用制御基板72は、自転車200の走行状態の情報に基づいて、前輪側液圧制御装置1の制御バルブ55の開閉動作を決定し、後輪側液圧制御装置2の制御バルブ55の開閉動作を決定する。また、前輪側液圧制御装置1の制御基板71は、動作決定用制御基板72による決定に基づいて、前輪側液圧制御装置1の制御バルブ55の開閉動作を制御する。換言すると、前輪側液圧制御装置1の制御基板71は、動作決定用制御基板72による決定に基づいて、前輪側液圧制御装置1の第1コイル61及び第2コイル62への通電を制御する。また、後輪側液圧制御装置2の制御基板71は、動作決定用制御基板72による決定に基づいて、後輪側液圧制御装置2の制御バルブ55の開閉動作を制御する。換言すると、後輪側液圧制御装置2の制御基板71は、動作決定用制御基板72による決定に基づいて、後輪側液圧制御装置2の第1コイル61及び第2コイル62への通電を制御する。
【0089】
このように構成されたブレーキシステム100においては、動作決定用制御基板72を、前輪側液圧制御装置1のハウジング80及び後輪側液圧制御装置2のハウジング80とは異なるハウジングに収納することができる。すなわち、このように構成されたブレーキシステム100においては、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2をより小型化することができ、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の自転車200への取付自由度がより向上する。また、このように構成されたブレーキシステム100においては、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2に接続される信号線の本数を削減することができ、ハンドルバー233周りが煩雑になることをより抑制できる。
【0090】
ここで、
図11に示すように、動作決定用制御基板72は、自転車200においてハンドルバー233よりも後方となる位置に取り付けられることが好ましい。これにより、自転車200の走行中、動作決定用制御基板72を収納するハウジングに石等がぶつかることを抑制でき、ブレーキシステム100の信頼性が向上する。
【0091】
また、
図10に示すように、ブレーキシステム100以外の装置の制御基板である他装置制御基板280が自転車200に搭載される場合、動作決定用制御基板72は、他装置制御基板280と一体形成されていることが好ましい。ここで、
図11に示す自転車200は、電源ユニット260の充電量を監視する制御基板を備えている。このため、
図11に示す自転車200では、電源ユニット260の充電量を監視する制御基板を他装置制御基板280として用いている。なお、他装置制御基板280は、ブレーキシステム100以外の装置の制御基板であれば、特に限定されない。例えば、駆動源としてエンジンを備えた鞍乗型車両には、エンジンコントロールユニットを備えたものが存在する。例えば、このエンジンコントロールユニットの制御基板を他装置制御基板280として用いてもよい。
【0092】
このようにブレーキシステム100を構成することにより、動作決定用制御基板72を専用の制御基板として製作する場合と比べ、ブレーキシステム100の製造コストを削減することができる。また、動作決定用制御基板72が制御バルブ55の開閉動作の決定に用いる情報を検出する検出装置(例えば、プレッシャセンサ59等)と、他装置制御基板280とが信号線で接続されている場合、動作決定用制御基板72が専用の制御基板として製作されている場合と比べ、自転車200に引き回す信号線の本数を削減することができ、自転車200の製造工数及び製造コストを削減することができる。
【0093】
図12は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの変形例の概略構成を示す図である。
図12に示す前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、内部流路40のうちのマスタシリンダ50(換言するとピストン取付穴21)とインレットバルブ56との間となる領域にブレーキ液を送るポンプ60を備えている。具体的には、
図12に示す前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、
図9で示した前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2のバイパス流路46にポンプ60が設けられている。このように構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ポンプ60を動作させることにより、アンチロックブレーキ制御における減圧時にアキュムレータ58に蓄えられたブレーキ液を、バイパス流路46を介してアキュムレータ58外へ排出することができる。
【0094】
このように構成された前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2においては、上述の効果のうち、アキュムレータ58内のブレーキ液をポンプレスでアキュムレータ58外へ排出することによる前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2の小型化という効果は得られないが、その他の効果は得ることができる。
【0095】
また、
図12のように構成された前輪側液圧制御装置1は、ライダーがブレーキレバー241を握っていない状態において、インレットバルブ56を開放させ、アウトレットバルブ57を閉止させ、ポンプ60を動作させることにより、前輪側制動部251のホイールシリンダ253のブレーキ液を増圧でき、前輪217に制動力を生じさせることができる。同様に、
図12のように構成された後輪側液圧制御装置2は、ライダーがブレーキレバー241を握っていない状態において、インレットバルブ56を開放させ、アウトレットバルブ57を閉止させ、ポンプ60を動作させることにより、後輪側制動部252のホイールシリンダ253のブレーキ液を増圧でき、後輪220に制動力を生じさせることができる。
【0096】
このように前輪217及び後輪220のうちの少なくとも一方に制動力を生じさせることにより、例えば、自転車200に自動ブレーキ機能を備えることができる。また、例えば、このように前輪217及び後輪220のうちの少なくとも一方に制動力を生じさせることにより、自転車200の旋回時にスリップを抑制できる等、自転車200の挙動を安定させることもできる。
【0097】
ここで、このように前輪217に制動力を生じさせる場合、前輪側液圧制御装置1では、プレッシャセンサ59によって検出される圧力が増加する。同様に、このように後輪220に制動力を生じさせる場合、後輪側液圧制御装置2では、プレッシャセンサ59によって検出される圧力が増加する。このため、前輪側液圧制御装置1及び後輪側液圧制御装置2は、ポンプ60の動作中にプレッシャセンサ59によって検出される圧力が増加した際、ブレーキランプ221の制御信号を出力するのが好ましい。上述のように自転車200の車輪に制動力を生じさせる場合、ブレーキスイッチの検出結果に基づいてブレーキランプを点灯させる従来の方法では、ライダーがブレーキレバー241を握っていないため、ブレーキランプ221を光らせることができない。しかしながら、ポンプ60の動作中にプレッシャセンサ59によって検出される圧力が増加した際、ブレーキランプ221の制御信号を出力することにより、ライダーがブレーキレバー241を握っていない状態において自転車200の車輪に制動力が発生したときに、ブレーキランプ221を光らせることができる。そして、これにより、自転車200の後方を走行中の車両は、自転車200の制動力が変化したことを知ることができる。したがって、ポンプ60の動作中にプレッシャセンサ59によって検出される圧力が増加した際、ブレーキランプ221の制御信号を出力することにより、自転車200の安全性が向上する。
【0098】
以上、実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態の説明に限定されない。例えば、本発明は、実施の形態の説明の一部のみが実施されていてもよい。また、例えば、本発明は、マスタシリンダ50と基体10とが別体になっていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 前輪側液圧制御装置、2 後輪側液圧制御装置、10 基体、11 第1面、12 第2面、13 第3面、14 第4面、15 第5面、16 第6面、21 ピストン取付穴、22 底部、23 開口部、24 インレットバルブ取付穴、25 開口部、26 アウトレットバルブ取付穴、27 開口部、30 プレッシャセンサ取付穴、31 開口部、40 内部流路、41 第1流路、42 第2流路、43 第3流路、44 第4流路、45 ホイールシリンダポート、46 バイパス流路、47 逆止弁、50 マスタシリンダ、51 ピストン、52 リザーバタンク、53 開口部、54 蓋、55 制御バルブ、56 インレットバルブ、57 アウトレットバルブ、58 アキュムレータ、59 プレッシャセンサ、60 ポンプ、61 第1コイル、62 第2コイル、63 端子、64 端子、70 制御装置、71 制御基板、72 動作決定用制御基板、73 動作決定部、74 制御部、75 信号出力部、80 ハウジング、90 取付部、91 基部、92 挟持部、95 保持部、96 保持板、97 穴、100 ブレーキシステム、101 液管、200 自転車、210 フレーム、211 ヘッドチューブ、212 トップチューブ、213 ダウンチューブ、214 シートチューブ、215 ステー、216 フロントフォーク、217 前輪、218 サドル、219 ペダル、220 後輪、221 ブレーキランプ、230 旋回部、231 ステアリングコラム、232 ハンドルステム、233 ハンドルバー、234 把持部、241 ブレーキレバー、242 軸部、251 前輪側制動部、252 後輪側制動部、253 ホイールシリンダ、254 ロータ、260 電源ユニット、271 前輪側車輪速センサ、272 後輪側車輪速センサ、280 他装置制御基板。