(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096468
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/045 20120101AFI20220622BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20220622BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20220622BHJP
B60W 40/112 20120101ALI20220622BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20220622BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220622BHJP
B62L 3/08 20060101ALI20220622BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B60W30/045
B60W40/08
B60W40/09
B60W40/112
B60W50/14
G08G1/16 D
B62L3/08
B60T7/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209587
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 康夫
(72)【発明者】
【氏名】プラシャン エス. エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】齋尾 智明
(72)【発明者】
【氏名】シン チャンドラ プラカシュ
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241BA60
3D241BB30
3D241CA12
3D241CD09
3D241CE02
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3D241DC47Z
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3D246AA11
3D246BA02
3D246DA01
3D246HA64A
3D246HA85A
3D246HA93A
3D246HB11A
3D246JB03
3D246JB32
3D246MA37
5H181AA05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】本発明は、リーン車両の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【解決手段】本発明に係る制御装置(20)及び制御方法では、制御装置(20)の評価部が、リーン車両(1)がカーブ路に進入する前において、カーブ路におけるリーン車両(1)の旋回走行の危険度を評価し、制御装置(20)の実行部が、評価部における危険度の評価結果に応じた運転支援動作をライダー支援システム(10)に実行させ、評価部が、リーン車両(1)の非直進姿勢情報に基づいて危険度を評価する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両(1)のライダーの運転支援動作を実行するライダー支援システム(10)の制御装置(20)であって、
前記リーン車両(1)がカーブ路(R2)に進入する前において、前記カーブ路(R2)における前記リーン車両(1)の旋回走行の危険度を評価する評価部(22)と、
前記評価部(22)における前記危険度の評価結果に応じた前記運転支援動作を前記ライダー支援システム(10)に実行させる実行部(23)と、
を備え、
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)の非直進姿勢情報に基づいて前記危険度を評価する、
制御装置。
【請求項2】
前記非直進姿勢情報は、前記リーン車両(1)のリーン角を含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記非直進姿勢情報は、前記リーン車両(1)の横加速度を含む、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記非直進姿勢情報は、前記リーン車両(1)のヨーレートを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記評価部(22)は、前記カーブ路(R2)の曲率半径に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)の車線幅方向の走行位置に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)の車速に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)のタイヤと路面との摩擦特性情報に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)の搭乗状態情報に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記評価部(22)は、前記リーン車両(1)の荷物情報に基づいて前記危険度を評価する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記運転支援動作は、前記リーン車両(1)のライダーへの警告動作を含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記運転支援動作は、横滑り防止動作を含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記運転支援動作は、前記リーン車両(1)に設けられた周囲環境センサ(15)の出力結果に基づいて取得される周囲環境情報、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して取得される周囲環境情報を用いた動作を含む、
請求項1~12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
リーン車両(1)のライダーの運転支援動作を実行するライダー支援システム(10)の制御方法であって、
制御装置(20)の評価部(22)が、前記リーン車両(1)がカーブ路(R2)に進入する前において、前記カーブ路(R2)における前記リーン車両(1)の旋回走行の危険度を評価し、
前記制御装置(20)の実行部(23)が、前記評価部(22)における前記危険度の評価結果に応じた前記運転支援動作を前記ライダー支援システム(10)に実行させ、
前記評価部(22)が、前記リーン車両(1)の非直進姿勢情報に基づいて前記危険度を評価する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、リーン車両の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータサイクル等のリーン車両に関する従来の技術として、安全性を向上させるために、ライダーの運転を支援する技術がある。特に、そのような技術として、リーン車両の旋回走行の危険度を評価し、危険度の評価結果に応じた運転支援動作を実行するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、旋回走行するリーン車両のライダーが対向車と衝突することを防止するために、ライダーの上半身の対向車線へのオーバーハングが将来的にあると評価された場合に、将来的軌道を修正させるためのシグナルを出力するライダー支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リーン車両の旋回走行は、例えば四輪を有する自動車と異なり、リーン車両をロール方向に傾かせることによって実現される。このように、リーン車両の姿勢は、ロール方向の自由度を有するので、不安定になりやすい。リーン車両がロール方向に傾いた状態となるリーン車両の旋回走行においては、安全性を向上させる必要性が特に高いので、安全性を効果的に向上させることが望まれている。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、リーン車両の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置は、リーン車両のライダーの運転支援動作を実行するライダー支援システムの制御装置であって、前記リーン車両がカーブ路に進入する前において、前記カーブ路における前記リーン車両の旋回走行の危険度を評価する評価部と、前記評価部における前記危険度の評価結果に応じた前記運転支援動作を前記ライダー支援システムに実行させる実行部と、を備え、前記評価部は、前記リーン車両の非直進姿勢情報に基づいて前記危険度を評価する。
【0008】
本発明に係る制御方法は、リーン車両のライダーの運転支援動作を実行するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の評価部が、前記リーン車両がカーブ路に進入する前において、前記カーブ路における前記リーン車両の旋回走行の危険度を評価し、前記制御装置の実行部が、前記評価部における前記危険度の評価結果に応じた前記運転支援動作を前記ライダー支援システムに実行させ、前記評価部が、前記リーン車両の非直進姿勢情報に基づいて前記危険度を評価する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の評価部が、リーン車両がカーブ路に進入する前において、カーブ路におけるリーン車両の旋回走行の危険度を評価し、制御装置の実行部が、評価部における危険度の評価結果に応じた運転支援動作をライダー支援システムに実行させ、評価部が、リーン車両の非直進姿勢情報に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両がカーブ路に進入する前において、カーブ路におけるリーン車両の旋回走行の危険度を正確に評価することができる。ゆえに、運転支援動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るリーン車両の概略構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る制御装置が行うライダーへの警告動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態に係るリーン車両が直線路からカーブ路に進入する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。
【0012】
なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが(
図1中のリーン車両1を参照)、本発明に係る制御装置の制御対象となる車両は、旋回時に旋回方向に傾斜した状態で走行するリーン車両であればよく、例えば、三輪のモータサイクル、自転車等であってもよい。モータサイクルには、エンジンを推進源とする車両、電気モータを推進源とする車両等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0013】
また、以下では、車輪を駆動するための動力を出力可能な駆動源としてエンジン(具体的には、後述される
図1中のエンジン11)が搭載されている場合を説明しているが、駆動源としてエンジン以外の他の駆動源(例えば、電気モータ)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0014】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0015】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0016】
<リーン車両の構成>
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係るリーン車両1の構成について説明する。
【0017】
図1は、リーン車両1の概略構成を示す模式図である。
図2は、制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
リーン車両1は、本発明に係るリーン車両の一例に相当する二輪のモータサイクルである。リーン車両1は、
図1に示されるように、エンジン11と、液圧制御ユニット12と、報知装置13と、ナビゲーション装置14と、周囲環境センサ15と、前輪車輪速センサ16と、後輪車輪速センサ17と、慣性計測装置(IMU)18と、制御装置(ECU)20とを備える。
【0019】
リーン車両1は、ライダーによるリーン車両1の運転を支援するライダー支援システム10を備える。ライダー支援システム10には、上記の構成要素(つまり、エンジン11、液圧制御ユニット12、報知装置13、ナビゲーション装置14、周囲環境センサ15、前輪車輪速センサ16、後輪車輪速センサ17、慣性計測装置18及び制御装置20)が含まれる。
【0020】
エンジン11は、リーン車両1の駆動源の一例に相当し、車輪を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン11には、内部に燃焼室が形成される1又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン11の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0021】
液圧制御ユニット12は、車輪に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。例えば、液圧制御ユニット12は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続する油路上に設けられ、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するためのコンポーネント(例えば、制御弁及びポンプ)を含む。液圧制御ユニット12のコンポーネントの動作が制御されることによって、車輪に生じる制動力が制御される。なお、液圧制御ユニット12は、前輪及び後輪の双方に生じる制動力をそれぞれ制御するものであってもよく、前輪及び後輪の一方に生じる制動力のみを制御するものであってもよい。
【0022】
報知装置13は、ライダーに対する報知を行う。報知装置13は、音出力機能及び表示機能を備える。音出力機能は、音を出力する機能であり、例えば、スピーカによって実現される。表示機能は、情報を視覚的に表示する機能であり、例えば、液晶ディスプレイ又はランプ等によって実現される。
【0023】
ナビゲーション装置14は、リーン車両1の現在位置からライダーが所望する目的地までのルートを案内する装置である。ナビゲーション装置14は、ルート案内に関する各種情報(例えば、リーン車両1の現在位置、案内の対象となる走行ルート、目的地の位置、リーン車両1の現在位置から目的地までの走行ルート上での距離、及び、目的地までの到達時間等)を表示する。
【0024】
周囲環境センサ15は、リーン車両1の周囲(例えば、前方)の環境に関する周囲環境情報を検出する。
図1中の周囲環境センサ15は、リーン車両1の胴体の前部に設けられており、リーン車両1の前方の周囲環境情報を検出する。周囲環境センサ15は、リーン車両1の周囲に存在するターゲットの位置とリーン車両1の位置との関係性に関する情報(例えば、ターゲットに対するリーン車両1の相対的な距離、方向、速度、加速度又は加加速度等)を周囲環境情報として取得するためのものである。また、周囲環境情報は、例えば、リーン車両1の周囲に存在するターゲットの状態情報であってもよい。なお、上記のターゲットは、車両の他に、車両以外の各種障害物(例えば、道路設備、落下物、人、動物等)も含み得る。
【0025】
周囲環境センサ15としては、例えば、リーン車両1の周囲を撮像するカメラ、及び、リーン車両1から周囲のターゲットまでの距離を検出可能なレーダーが用いられる。例えば、カメラにより撮像される画像を用いて先行車両を検出し、先行車両の検出結果及びレーダーの検出結果を利用することによって、リーン車両1と先行車両との車間距離、及び、先行車両に対するリーン車両1の相対速度を検出することができる。なお、周囲環境センサ15の構成は上記の例に限定されない。例えば、周囲環境センサ15において、レーダーがLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)又は超音波センサに置き換えられてもよい。また、例えば、周囲環境センサ15は、ステレオカメラであってもよい。
【0026】
前輪車輪速センサ16は、前輪の車輪速(例えば、前輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ16が、前輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ16は、前輪に設けられている。
【0027】
後輪車輪速センサ17は、後輪の車輪速(例えば、後輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ17が、後輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ17は、後輪に設けられている。
【0028】
慣性計測装置18は、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサを備えており、リーン車両1の姿勢を検出する。慣性計測装置18は、例えば、リーン車両1の胴体に設けられている。具体的には、慣性計測装置18は、リーン車両1のリーン角を検出し、検出結果を出力する。慣性計測装置18が、リーン車両1のリーン角に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。リーン角は、鉛直上方向に対するリーン車両1の車体(具体的には、胴体)のロール方向の傾きを表す角度に相当する。
【0029】
ここで、リーン車両1のリーン角は、リーン車両1の非直進姿勢情報の一例に相当する。非直進姿勢情報は、リーン車両1が非直進走行(例えば、旋回走行又は車線変更等)することにより変化するリーン車両1の姿勢が反映される物理量に関する情報である。なお、後述するように、非直進姿勢情報は、リーン車両1の横加速度を含んでもよく、リーン車両1のヨーレートを含んでもよい。
【0030】
制御装置20は、ライダー支援システム10を制御する。例えば、制御装置20の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置20の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置20は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0031】
制御装置20は、
図2に示されるように、例えば、取得部21と、評価部22と、実行部23とを備える。また、制御装置20は、ライダー支援システム10の各装置と通信する。
【0032】
取得部21は、ライダー支援システム10の各装置から情報を取得し、評価部22及び実行部23へ出力する。例えば、取得部21は、ナビゲーション装置14、周囲環境センサ15、前輪車輪速センサ16、後輪車輪速センサ17及び慣性計測装置18から情報を取得する。特に、取得部21は、リーン車両1の非直進姿勢情報として、リーン車両1のリーン角を慣性計測装置18から取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0033】
評価部22は、リーン車両1がカーブ路に進入する前において、カーブ路におけるリーン車両1の旋回走行の危険度(以下、単に旋回走行の危険度とも呼ぶ)を評価する。なお、カーブ路は、リーン車両1の運転操作に影響を及ぼす程度に大きな曲率半径を有する走行路である。また、旋回走行の危険度を評価するタイミングは、例えば、後述される運転支援動作を適切なタイミングで実行し得るようなタイミングである。特に、評価部22は、リーン車両1の非直進姿勢情報(例えば、リーン角)に基づいて旋回走行の危険度を評価する。評価部22は、旋回走行の危険度の評価結果を実行部23へ出力する。
【0034】
実行部23は、運転支援動作をライダー支援システム10に実行させる。運転支援動作は、ライダーの運転を支援する動作であり、種々の動作を含み得る。例えば、運転支援動作は、ライダーへの警告動作、横滑り防止動作、又は、周囲環境情報を用いた動作(例えば、アダプティブクルーズコントロール等)等の動作を含み得る。なお、これらの動作の詳細については、後述する。運転支援動作において、実行部23は、エンジン11、液圧制御ユニット12及び報知装置13の動作を適宜制御する。
【0035】
上記のように、制御装置20では、評価部22は、リーン車両1がカーブ路に進入する前において、カーブ路におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を非直進姿勢情報に基づいて評価する。そして、実行部23は、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じた運転支援動作をライダー支援システム10に実行させる。それにより、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることが実現される。このような制御装置20が行う運転支援動作に関する処理については、後述にて詳細に説明する。
【0036】
<制御装置の動作>
図3及び
図4を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0037】
上述したように、本実施形態では、制御装置20の実行部23は、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じた運転支援動作をライダー支援システム10に実行させる。以下、実行部23がライダーへの警告動作をライダー支援システム10に運転支援動作として実行させる例を説明する。ただし、運転支援動作は、上述したように、ライダーへの警告動作以外の動作であってもよい。
【0038】
図3は、制御装置20が行うライダーへの警告動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3に示される制御フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し実行される。
図3におけるステップS101は、
図3に示される制御フローの開始に対応する。
図3におけるステップS106は、
図3に示される制御フローの終了に対応する。
【0039】
図3に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、実行部23は、リーン車両1の前方にカーブ路(例えば、リーン車両1が走行している走行路の前方に連なって接続されているカーブ路)が検出されたか否かを判定する。リーン車両1の前方にカーブ路が検出されたと判定された場合(ステップS102/YES)、ステップS103に進み、旋回走行の危険度の予測が行われる。一方、リーン車両1の前方にカーブ路が検出されていないと判定された場合(ステップS102/NO)、
図3に示される制御フローは終了する。
【0040】
図4は、リーン車両1が直線路R1からカーブ路R2に進入する様子を示す模式図である。
図4では、リーン車両1が走行している直線路R1に対して前方にカーブ路R2が連なって接続されている様子が示されている。
【0041】
図4に示される例では、実行部23は、リーン車両1が直線路R1を走行している時に、リーン車両1の前方のカーブ路R2を検出することができる。例えば、実行部23は、ナビゲーション装置14から取得される情報、又は、周囲環境センサ15の出力結果に基づいて、カーブ路R2を検出することができる。
【0042】
ステップS102でYESと判定された場合、ステップS103において、評価部22は、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を予測する。つまり、評価部22は、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を予測する。
【0043】
図3に示される制御フローでは、後述されるステップS104において、評価部22は、ステップS103で予測した旋回走行の危険度が閾値より大きいか否かを判定する。評価部22は、この判定結果に応じて旋回走行の危険度を評価する。ゆえに、ステップS103及びステップS104の処理が、旋回走行の危険度の評価の処理に相当する。
【0044】
ステップS103では、評価部22は、各種パラメータに基づいて、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を予測する。この危険度は、リーン車両1が将来的にカーブ路R2を旋回走行した場合に想定される危険性を示す度合いである。
【0045】
基本的には、評価部22は、リーン車両1の走行状態に関するパラメータに基づいて、旋回走行の危険度を予測する。走行状態に関するパラメータは、例えば、カーブ路R2の曲率半径、リーン車両1の車線幅方向の走行位置、及び、リーン車両1の車速を含む。
【0046】
図4には、理解を容易にするために、直線路R1及びカーブ路R2が1車線である例が示されている。カーブ路R2の曲率半径は、具体的には、カーブ路R2における車線幅方向の特定の位置(例えば、車線幅方向の中央位置、左端の位置、又は、右端の位置)での曲率半径である。カーブ路R2の曲率半径は、例えば、ナビゲーション装置14からの情報に基づいて取得され得る。なお、カーブ路R2が複数車線である場合、カーブ路R2の曲率半径として、カーブ路R2のうちリーン車両1が進入すると想定される車線における車線幅方向の特定の位置が用いられ得る。
【0047】
リーン車両1の車線幅方向の走行位置は、例えば、
図4に示されるように、直線路R1における車線幅方向の右端の位置とリーン車両1との間の車線幅方向の距離D1によって表され得る。距離D1は、例えば、周囲環境センサ15(例えば、カメラ)又はGPS(Global Positioning System)衛星から送信される情報に基づいて取得され得る。ただし、リーン車両1の車線幅方向の走行位置は、直線路R1における車線幅方向の左端の位置とリーン車両1との間の車線幅方向の距離等によって表されてもよい。なお、直線路R1が複数車線である場合、リーン車両1の車線幅方向の走行位置は、直線路R1のうちリーン車両1が走行している車線における車線幅方向の左端又は右端の位置とリーン車両1との間の車線幅方向の距離等によって表され得る。リーン車両1の車速は、例えば、前輪の車輪速及び後輪の車輪速に基づいて取得され得る。
【0048】
図4に示される例では、評価部22は、例えば、カーブ路R2の曲率半径、及び、リーン車両1の車線幅方向の走行位置に基づいて、リーン車両1が将来的に走行すると予想される予想軌跡T1を予測する。例えば、評価部22は、リーン車両1がカーブ路R2を旋回走行する際に、リーン車両1の車線幅方向の走行位置が維持されると仮定し、予想軌跡T1を予測する。それにより、評価部22は、カーブ路R2における予想軌跡T1の曲率半径を予測することができる。
【0049】
そして、評価部22は、カーブ路R2に進入する前にリーン車両1が減速することを加味した上で、カーブ路R2を旋回走行する際の車速が現在の車速に対してある程度低下した値に維持されると仮定し、現在の車速、及び、カーブ路R2における予想軌跡T1の曲率半径に基づいて、カーブ路R2の走行時におけるリーン車両1のリーン角を予測する。例えば、評価部22は、現在の車速(つまり、直線路R1の走行中の車速)が大きいほど、大きな値をリーン車両1のリーン角として予測する。また、例えば、評価部22は、カーブ路R2における予想軌跡T1の曲率半径が小さいほど、大きな値をリーン車両1のリーン角として予測する。なお、リーン車両1のリーン角が大きいほど、リーン車両1はロール方向に大きく傾く。
【0050】
評価部22は、カーブ路R2の走行時におけるリーン車両1のリーン角の予測結果に基づいて、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を予測する。例えば、カーブ路R2の走行時におけるリーン車両1のリーン角が大きいほど、大きな値を旋回走行の危険度として予測する。また、評価部22は、リーン車両1がロール方向に最大限傾いた場合であっても、上記の走行状態に関するパラメータに基づいて予測された予想軌跡T1を、リーン車両1が走行できない(つまり、曲がり切れない)と判断した場合に、危険度が最大であると予測してもよい。
【0051】
ここで、本実施形態では、評価部22は、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を非直進姿勢情報に基づいて予測する。上述したように、非直進姿勢情報としては、例えば、リーン車両1のリーン角が用いられる。
【0052】
図4に示される例では、評価部22は、例えば、上記の例で挙げたリーン車両1の走行状態に関するパラメータに加えて、現在のリーン車両1のリーン角(つまり、直線路R1の走行中のリーン角)に基づいて、リーン車両1の予想軌跡T1を予測する。ここで、直線路R1の走行中においても、例えば、直線路R1の後方にカーブ路が連なっている場合、又は、リーン車両1が車線変更を行っている場合には、リーン車両1はロール方向に傾き得る。現在のリーン車両1のリーン角に応じて、カーブ路R2に進入する際のリーン車両1の車線幅方向の走行位置、及び、進行方向は異なる。ゆえに、現在のリーン車両1のリーン角に基づいて予想軌跡T1を予測することによって、予想軌跡T1をより正確に予測することができる。評価部22は、予想軌跡T1に基づいて、上記の例と同様に、カーブ路R2の走行時におけるリーン車両1のリーン角を予測し、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を予測する。それにより、旋回走行の危険度をより正確に評価することができる。
【0053】
なお、上述したように、非直進姿勢情報は、リーン車両1の横加速度を含んでもよい。リーン車両1の横加速度は、例えば、リーン車両1に設けられる横加速度センサによって検出され得る。また、非直進姿勢情報は、リーン車両1のヨーレートを含んでもよい。リーン車両1のヨーレートは、例えば、慣性計測装置18によって検出され得る。上述したように、直線路R1の走行中においても、例えば、直線路R1の後方にカーブ路が連なっている場合、又は、リーン車両1が車線変更を行っている場合には、リーン車両1はロール方向に傾き得るので、横加速度又はヨーレートが生じ得る。現在の(つまり、直線路R1の走行中の)リーン車両1の横加速度又はヨーレートに基づいて、リーン車両1の予想軌跡T1を予測することによっても、予想軌跡T1をより正確に予測することができる。よって、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度をより正確に評価することができる。
【0054】
上記では、旋回走行の危険度の予測に用いられるパラメータについて説明した。ただし、旋回走行の危険度の予測に用いられるパラメータは、少なくとも非直進姿勢情報を含めばよく、上記の例に限定されない。例えば、上記の例で挙げたリーン車両1の走行状態に関するパラメータの一部が省略され、又は、変更されてもよい。また、例えば、評価部22は、上述したパラメータ以外のパラメータをさらに用いて、旋回走行の危険度を評価してもよい。以下、旋回走行の危険度の予測に用いられるパラメータのうち、上述したパラメータ以外のパラメータについて説明する。
【0055】
例えば、評価部22は、リーン車両1のタイヤと路面との摩擦特性情報に基づいて、旋回走行の危険度を予測してもよい。摩擦特性情報は、リーン車両1のタイヤと路面との摩擦特性に関する情報であり、例えば、タイヤ特性情報、又は、天候情報を含む。タイヤ特性情報は、タイヤの特性に関する情報であり、例えば、リーン車両1の走行距離を示す情報(つまり、タイヤの摩耗の程度を示す指標)、又は、リーン車両1の車種を示す情報等を含み、制御装置20の記憶素子に予め記憶されている。天候情報は、天候を示す情報であり、例えば、ナビゲーション装置14から取得され得る。評価部22は、例えば、現在走行している直線路R1における摩擦特性情報が、カーブ路R2における摩擦特性情報と一致するとみなして、旋回走行の危険度を予測することができる。例えば、評価部22は、上記の摩擦特性情報に基づいて、カーブ路R2の旋回走行時におけるタイヤと路面との間で生じる摩擦力の程度を予測する。そして、評価部22は、カーブ路R2の旋回走行時にタイヤと路面との間で生じる摩擦力が小さいほど、大きな値を旋回走行の危険度として予測する。
【0056】
また、例えば、評価部22は、リーン車両1の搭乗状態情報に基づいて、旋回走行の危険度を予測してもよい。搭乗状態情報は、リーン車両1に搭乗している搭乗者(例えば、ライダー)の状態情報である。
【0057】
例えば、搭乗状態情報は、ライダーの姿勢を示す姿勢情報(例えば、ライダーの体の部位のリーン車両1に対する位置及び向きの少なくとも一方を示す情報)であってもよい。姿勢情報は、例えば、リーン車両1に設けられるカメラにより撮像されるライダーを映す画像に基づいて取得され得る。また、例えば、搭乗状態情報は、リーン車両1に搭乗している搭乗者の人数を示す搭乗人数情報であってもよい。また、例えば、搭乗状態情報は、リーン車両1に搭乗している搭乗者の体重を示す体重情報であってもよい。搭乗人数情報及び体重情報は、例えば、ライダーによる入力情報に基づいて取得されてもよく、リーン車両1に設けられる各種センサにより検出されてもよい。
【0058】
また、例えば、評価部22は、リーン車両1の荷物情報に基づいて、旋回走行の危険度を予測してもよい。荷物情報は、リーン車両1に搭載されている荷物を示す情報である。荷物情報は、例えば、ライダーによる入力情報に基づいて取得されてもよく、リーン車両1に設けられる各種センサにより検出されてもよい。
【0059】
図3中のステップS103の次に、ステップS104において、評価部22は、旋回走行の危険度が閾値より大きいか否かを判定する。旋回走行の危険度が閾値より大きいと判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進み、警告動作が行われる。一方、旋回走行の危険度が閾値以下であると判定された場合(ステップS104/NO)、
図3に示される制御フローは終了する。
【0060】
閾値は、ステップS103で予測された旋回走行の危険度が、ライダーに対して警告動作を行う必要が生じる程度に高いか否かを適切に判断し得る値に設定される。旋回走行の危険度が閾値より大きいと判定された場合、評価部22は、ライダーに対して警告動作を行う必要が生じる程度に旋回走行の危険度が高いと評価する。一方、旋回走行の危険度が閾値以下であると判定された場合、評価部22は、ライダーに対して警告動作を行う必要が生じる程度には旋回走行の危険度が高くないと評価する。
【0061】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、実行部23は、ライダーへの警告動作を実行し、
図3に示される制御フローは終了する。例えば、ライダーへの警告動作が設定時間継続した後に、
図3に示される制御フローは終了する。また、例えば、ライダーへの警告動作を停止させるための入力操作がライダーにより行われた場合に、
図3に示される制御フローは終了する。
【0062】
ライダーへの警告動作は、ライダーに対して運転の注意を喚起するための警告を各種装置に行わせる動作である。例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、運転の注意を喚起する表示を報知装置13に行わせる。また、例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、運転の注意を喚起する音声出力を報知装置13に行わせる。
【0063】
なお、ライダーへの警告動作は、報知装置13を用いた上記の例に限定されない。
【0064】
例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、運転の注意を喚起する表示を、ライダーの頭に装着されるヘルメットに設けられる表示装置(例えば、ライダーの視線上に配置される透過性を有するディスプレイ)に行わせてもよい。また、例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、運転の注意を喚起する音声出力を、ライダーの頭に装着されるヘルメットに設けられる音声出力装置に行わせてもよい。
【0065】
また、例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、運転の注意を喚起する振動を振動発生装置に発生させてもよい。なお、振動発生装置は、リーン車両1に設けられてもよく、ライダーに装着されてもよい。
【0066】
また、例えば、実行部23は、ライダーへの警告動作において、リーン車両1を瞬時的に減速させることによって、運転の注意を喚起してもよい。なお、上記の瞬時的な減速は、エンジン11の出力を低下させることによって実現されてもよく、液圧制御ユニット12により制動力を生じさせることによって実現されてもよく、リーン車両1の変速機構の変速比を変化させることによって実現されてもよい。
【0067】
以上説明したように、
図3に示される制御フローでは、評価部22は、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を非直進姿勢情報に基づいて評価する。それにより、上述したように、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、予想軌跡T1をより正確に予測することができるので、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することができる。そして、実行部23は、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じた運転支援動作(具体的には、ライダーへの警告動作)をライダー支援システム10に実行させる。ゆえに、運転支援動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる。
【0068】
上記では、ライダーへの警告動作が、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じて実行される例を説明した。ただし、実行部23は、上述したように、運転支援動作として、ライダーへの警告動作以外の動作を実行してもよい。
【0069】
運転支援動作は、例えば、横滑り防止動作を含み得る。横滑り防止動作は、旋回走行中のリーン車両1の姿勢を安定化するために、リーン車両1の制動力又は駆動力を制御する動作である。
【0070】
実行部23は、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じて、横滑り防止動作をライダー支援システム10に実行させてもよい。例えば、実行部23は、横滑り防止動作において、評価部22により予測された危険度に応じて、リーン車両1の制動力又は駆動力を変化させてもよい。ただし、評価部22は、予測した旋回走行の危険度と閾値との大小関係を比較する処理(つまり、上述したステップS104に相当する処理)を必ずしも行わなくてもよい。この場合、旋回走行の危険度を予測する処理が、旋回走行の危険度の評価の処理に相当する。
【0071】
運転支援動作は、例えば、リーン車両1に設けられた周囲環境センサ15の出力結果に基づいて取得される周囲環境情報、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して取得される周囲環境情報を用いた動作を含み得る。
【0072】
周囲環境情報を用いた動作は、例えば、他車両の接近をライダーに対して通知する通知動作であってもよい。実行部23は、上記の通知動作において、例えば、他車両の接近をライダーに対して通知する表示又は音声出力を報知装置13に行わせる。また、周囲環境情報を用いた動作は、例えば、アダプティブクルーズコントロールであってもよい。実行部23は、アダプティブクルーズコントロールにおいて、先行車両との衝突が回避されるように、リーン車両1と先行車両との車間距離に応じて、リーン車両1の速度を制御する。また、周囲環境情報を用いた動作は、例えば、自動緊急ブレーキであってもよい。実行部23は、自動緊急ブレーキにおいて、先行車両との衝突が回避されるように、リーン車両1が先行車両に過度に接近した場合、リーン車両1に自動で制動力を生じさせる。
【0073】
実行部23は、評価部22における旋回走行の危険度の評価結果に応じて、周囲環境情報を用いた動作をライダー支援システム10に実行させてもよい。例えば、実行部23は、周囲環境情報を用いた動作において、評価部22により予測された危険度に応じて、他車両の接近をライダーに対して通知するタイミング、リーン車両1の制動力及び駆動力を変化させてもよい。ただし、評価部22は、予測した旋回走行の危険度と閾値との大小関係を比較する処理(つまり、上述したステップS104に相当する処理)を必ずしも行わなくてもよい。この場合、旋回走行の危険度を予測する処理が、旋回走行の危険度の評価の処理に相当する。
【0074】
上記では、リーン車両1のタイヤと路面との摩擦特性情報、リーン車両1の搭乗状態情報、又は、リーン車両1の荷物情報に基づいて旋回走行の危険度が予測される例を説明した。ただし、評価部22は、これらのパラメータに基づいて、ステップS104の閾値を変化させてもよい。例えば、評価部22は、カーブ路R2の旋回走行時にタイヤと路面との間で生じる摩擦力が小さいほどステップS104の閾値が小さくなるように、摩擦特性情報に基づいてステップS104の閾値を変化させてもよい。
【0075】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置20の効果について説明する。
【0076】
制御装置20において、評価部22は、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を評価する。実行部23は、評価部22における危険度の評価結果に応じた運転支援動作をライダー支援システム10に実行させる。ここで、評価部22は、リーン車両1の非直進姿勢情報に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、予想軌跡T1をより正確に予測することができるので、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することができる。ゆえに、運転支援動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることができる。
【0077】
好ましくは、制御装置20において、非直進姿勢情報は、リーン車両1のリーン角を含む。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することが、カーブ路R2に進入する前のリーン車両1のリーン角に基づいて適切に実現される。
【0078】
好ましくは、制御装置20において、非直進姿勢情報は、リーン車両1の横加速度を含む。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することが、カーブ路R2に進入する前のリーン車両1の横加速度に基づいて適切に実現される。
【0079】
好ましくは、制御装置20において、非直進姿勢情報は、リーン車両1のヨーレートを含む。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することが、カーブ路R2に進入する前のリーン車両1のヨーレートに基づいて適切に実現される。
【0080】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、カーブ路R2の曲率半径に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2における予想軌跡T1の曲率半径を予測することが適切に実現される。ゆえに、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することが適切に実現される。
【0081】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、リーン車両1の車線幅方向の走行位置に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2における予想軌跡T1の曲率半径を正確に予測することができる。ゆえに、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することがより適切に実現される。
【0082】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、リーン車両1の車速に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2の走行時におけるリーン車両1のリーン角を適切に予測することができる。ゆえに、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を正確に評価することが適切に実現される。
【0083】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、リーン車両1のタイヤと路面との摩擦特性情報に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を、摩擦特性情報に基づいてより正確に評価することができる。
【0084】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、リーン車両1の搭乗状態情報に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を、搭乗状態情報に基づいてより正確に評価することができる。
【0085】
好ましくは、制御装置20において、評価部22は、リーン車両1の荷物情報に基づいて危険度を評価する。それにより、リーン車両1がカーブ路R2に進入する前において、カーブ路R2におけるリーン車両1の旋回走行の危険度を、荷物情報に基づいてより正確に評価することができる。
【0086】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、リーン車両1のライダーへの警告動作を含む。それにより、ライダーへの警告動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることが適切に実現される。
【0087】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、横滑り防止動作を含む。それにより、横滑り防止動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることが適切に実現される。
【0088】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、リーン車両1に設けられた周囲環境センサ15の出力結果に基づいて取得される周囲環境情報、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して取得される周囲環境情報を用いた動作を含む。それにより、周囲環境情報を用いた動作を旋回走行の危険度に応じて適切に実行することができる。よって、リーン車両1の旋回走行における安全性を効果的に向上させることが適切に実現される。
【0089】
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 リーン車両、10 ライダー支援システム、11 エンジン、12 液圧制御ユニット、13 報知装置、14 ナビゲーション装置、15 周囲環境センサ、16 前輪車輪速センサ、17 後輪車輪速センサ、18 慣性計測装置、20 制御装置、21 取得部、22 評価部、23 実行部、D1 距離、R1 直線路、R2 カーブ路、T1 予想軌跡。