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特開2022-96769燃料電池の出力電圧予測システムおよび予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096769
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】燃料電池の出力電圧予測システムおよび予測方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220623BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220623BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20220623BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220623BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220623BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20220623BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20220623BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220623BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220623BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220623BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/04664
H01M8/00 Z
B60L3/00 N
B60L50/70
B60L58/30
G16Y10/40
G16Y40/20
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209926
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 圭史
(72)【発明者】
【氏名】則本 理人
(72)【発明者】
【氏名】猪子 寛司
(72)【発明者】
【氏名】大田 歩加
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125BA00
5H125BD15
5H125EE32
5H125EE35
5H125EE36
5H125EE38
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127CC07
5H127DB49
5H127DB53
(57)【要約】
【課題】燃料電池の出力電圧を精度良く予測する。
【解決手段】燃料電池の出力電圧予測システムは、燃料電池の出力電流が予め定められた電流範囲内であるときの、燃料電池の劣化の進行に関する劣化指標量の累積量である累積劣化指標量の対数と燃料電池の出力電圧との関係を記憶する記憶部と、燃料電池の累積劣化指標量を入力データとして取得する入力データ取得部と、入力データ取得部によって取得された入力データを対数変換し、入力データの対数と記憶部に記憶された関係とに基づいて燃料電池の出力電圧を予測する予測部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の出力電圧予測システムであって、
燃料電池の出力電流が予め定められた電流範囲内であるときの、前記燃料電池の劣化の進行に関する劣化指標量の累積量である累積劣化指標量の対数と前記燃料電池の出力電圧との関係を記憶する記憶部と、
前記燃料電池の前記累積劣化指標量を入力データとして取得する入力データ取得部と、
前記入力データ取得部によって取得された前記入力データを対数変換し、前記入力データの対数と前記記憶部に記憶された前記関係とに基づいて前記燃料電池の出力電圧を予測する予測部と、
を備える出力電圧予測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の出力電圧予測システムであって、
前記劣化指標量は、前記燃料電池の運転時間と、前記燃料電池の発電のオンオフ回数と、前記燃料電池の出力電圧の変動回数とのうちのいずれか一つである、出力電圧予測システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の出力電圧予測システムであって、
前記電流範囲は、前記燃料電池の過電圧における活性化過電圧の占める割合が50%を超える範囲である、出力電圧予測システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の出力電圧予測システムであって、
前記燃料電池の前記劣化指標量または前記累積劣化指標量と、前記燃料電池の出力電流と、前記燃料電池の出力電圧とが時系列的に表された時系列データを取得するデータ取得部と、
前記時系列データを用いて前記関係を生成し、前記関係を前記記憶部に記憶させる関係生成部と、
を備える、出力電圧予測システム。
【請求項5】
請求項4に記載の出力電圧予測システムであって、
前記関係生成部は、機械学習によって前記関係を生成する、出力電圧予測システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の出力電圧予測システムであって、
前記燃料電池は、燃料電池車両の走行用モータに電力を供給する、出力電圧予測システム。
【請求項7】
燃料電池の出力電圧予測方法であって、
燃料電池の出力電流が予め定められた電流範囲内であるときの、前記燃料電池の劣化の進行に関する劣化指標量の累積量である累積劣化指標量の対数と前記燃料電池の出力電圧との関係を記憶部に記憶させる工程と、
前記燃料電池の前記累積劣化指標量を入力データとして取得する工程と、
前記入力データを対数変換し、前記入力データの対数と前記記憶部に記憶された前記関係とに基づいて前記燃料電池の出力電圧を予測する工程と、
を有する出力電圧予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池の出力電圧予測システムおよび予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池に燃料ガスを供給するポンプの駆動電圧を複数回計測することによってポンプの使用期間に対するポンプの駆動電圧の勾配値を取得し、この勾配値を用いて所定期間経過後のポンプの駆動電圧を予測する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した文献には、ポンプの駆動電圧を予測する技術は記載されているものの、燃料電池の出力電圧を予測する技術は記載されていない。上述した文献に記載された技術を燃料電池の出力電圧を予測する技術にそのまま適用して、燃料電池の使用期間に対する出力電圧の勾配値を用いて燃料電池の出力電圧を予測しても、精度良く予測することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、燃料電池の出力電圧予測システムが提供される。この劣化予測装置は、燃料電池の出力電流が予め定められた電流範囲内であるときの、前記燃料電池の劣化の進行に関する劣化指標量の累積量である累積劣化指標量の対数と前記燃料電池の出力電圧との関係を記憶する記憶部と、前記燃料電池の前記累積劣化指標量を入力データとして取得する入力データ取得部と、前記入力データ取得部によって取得された前記入力データを対数変換し、前記入力データの対数と前記記憶部に記憶された前記関係とに基づいて前記燃料電池の出力電圧を予測する予測部と、を備える。
この形態の出力電圧予測システムによれば、燃料電池が、予め定められた電流範囲内のときの累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係が線形となる特性を有する場合に、燃料電池の出力電圧を精度良く予測できる。
(2)上記形態の出力電圧予測システムにおいて、前記劣化指標量は、前記燃料電池の運転時間と、前記燃料電池の発電のオンオフ回数と、前記燃料電池の出力電圧の変動回数とのうちのいずれか一つであってもよい。
この形態の出力電圧予測システムによれば、燃料電池の運転時間の累積量と、燃料電池の発電のオンオフ回数の累積量と、燃料電池の出力電圧の変動回数の累積量とのうちのいずれか一つを入力データとして、燃料電池の出力電圧を精度良く予測できる。
(3)上記形態の出力電圧予測システムにおいて、前記電流範囲は、前記燃料電池の過電圧における活性化過電圧の占める割合が50%を超える範囲であってもよい。
この形態の出力電圧予測システムによれば、燃料電池の過電圧における活性化過電圧の占める割合が大きい場合に燃料電池の累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係が線形になりやすいので、燃料電池の出力電圧を精度良く予測できる。
(4)上記形態の出力電圧予測システムは、前記燃料電池の前記劣化指標量または前記累積劣化指標量と、前記燃料電池の出力電流と、前記燃料電池の出力電圧とが時系列的に表された時系列データを取得するデータ取得部と、前記時系列データを用いて前記関係を生成し、前記関係を前記記憶部に記憶させる関係生成部と、を備えてもよい。
この形態の出力電圧予測システムによれば、データ取得部によって取得された時系列データを用いて、燃料電池の累積劣化指標量の対数と燃料電池の出力電圧との関係を生成できる。
(5)上記形態の劣化予測装置において、前記関係生成部は、機械学習によって前記関係を生成してもよい。
この形態の出力電圧予測システムによれば、燃料電池の出力電圧の予測精度を高めることができる。
(6)上記形態の出力電圧予測システムにおいて、前記燃料電池は、燃料電池車両の走行用モータに電力を供給してもよい。
この形態の出力電圧予測システムによれば、燃料電池車両に搭載された燃料電池では累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係が線形になりやすいので、燃料電池車両に搭載された燃料電池の出力電圧を精度良く予測できる。
本開示は、燃料電池の出力電圧予測システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池の劣化予測システム、燃料電池の出力電圧予測方法、燃料電池の劣化予測方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の出力電圧予測システムの構成を模式的に示す説明図。
図2】第1実施形態の出力電圧予測システムの構成を示すブロック図。
図3】燃料電池の単セルの電流密度と過電圧との関係を示す説明図。
図4】第1実施形態の学習処理の内容を示すフローチャート。
図5】対数変換処理前後の時系列データを模式的に示す説明図。
図6】フィルタ処理前後の時系列データを模式的に示す説明図。
図7】第1実施形態の予測処理の内容を示すフローチャート。
図8】第1実施形態の予測モデルと計測値との乖離度合いを示す説明図。
図9】比較例の予測モデルと計測値との乖離度合いを示す説明図。
図10】第2実施形態の出力電圧予測システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における出力電圧予測システム10の構成を模式的に示す説明図である。出力電圧予測システム10は、複数の燃料電池車両100A~100Eと、情報処理装置200とを備えている。図1には、5台の燃料電池車両100A~100Eを備える出力電圧予測システム10が表されている。各燃料電池車両100A~100Eの構成は同じである。各燃料電池車両100A~100Eの符号の末尾に付された「A」~「E」の文字は、各燃料電池車両100A~100Eを区別するために付されている。各燃料電池車両100A~100Eを特に区別せずに説明する場合には、「A」~「E」の文字を付さずに説明する。なお、出力電圧予測システム10が備える燃料電池車両100の数は、5台に限られず、例えば、数千台や数万台でもよい。
【0009】
燃料電池車両100は、燃料電池110と、水素タンク112と、二次電池115と、走行用モータ120と、制御部130と、車両通信装置190とを備えている。燃料電池車両100は、燃料電池110を電源として走行する。
【0010】
本実施形態では、燃料電池110は、固体高分子形の燃料電池である。燃料電池110は、複数の単セルが積層された構造を有している。燃料電池110は、水素タンク112に貯蔵された水素ガス、および、大気から取り込まれた空気の供給を受けて発電する。燃料電池110は、例えば、冷却水等の冷媒によって冷却される。燃料電池110によって発電された電力は、走行用モータ120に供給される。燃料電池110によって発電された電力は、二次電池115に充電されてもよい。
【0011】
走行用モータ120は、燃料電池110から供給される電力によって燃料電池車両100を走行させる。走行用モータ120は、一時的に、二次電池115から供給される電力によって燃料電池車両100を走行させてもよい。
【0012】
制御部130は、燃料電池車両100のECUによって構成されている。制御部130は、1つのECUによって構成されてもよいし、複数のECUによって構成されてもよい。制御部130は、燃料電池110の発電をはじめとして、燃料電池車両100の各部を制御する。制御部130は、車両通信装置190を介して情報処理装置200と双方向に通信する。
【0013】
情報処理装置200は、例えば、燃料電池車両100A~100Eの情報を管理する管理センタに設置されている。情報処理装置200は、1つまたは複数のプロセッサと、記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インタフェースとを備えたコンピュータとして構成されている。情報処理装置200は、各燃料電池車両100A~100Eの車両通信装置190と双方向に通信するセンタ通信装置290を備えている。
【0014】
図2は、本実施形態における出力電圧予測システム10の構成を示すブロック図である。燃料電池車両100の制御部130は、車両データ取得部131と、車両データ記憶部132と、車両データ送受信部133とを有している。車両データ取得部131、および、車両データ送受信部133は、制御部130の記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによってソフトウェア的に実現される。車両データ記憶部132は、制御部130の記憶装置に設けられている。
【0015】
車両データ取得部131は、燃料電池車両100に設けられた複数のセンサによって計測された計測値と、計測値が計測された時刻とが時系列的に表された時系列データを取得する。本実施形態では、複数のセンサには、燃料電池110の出力電流を計測する電流センサと、燃料電池110の出力電圧を計測する電圧センサとが含まれている。複数のセンサには、さらに、燃料電池110に供給される水素ガスの流量を計測するセンサと、この水素ガスの圧力を計測するセンサと、この水素ガスの温度を計測するセンサと、燃料電池110に供給される空気の流量を計測するセンサと、この空気の圧力を計測するセンサと、この空気の温度を計測するセンサと、燃料電池110に供給される冷媒の流量を計測するセンサと、この冷媒の圧力を計測するセンサと、この冷媒の温度を計測するセンサ等が含まれている。本実施形態では、時系列データには、これらのセンサによって計測された計測値の移動平均値が表されている。
【0016】
時系列データには、各時刻における各センサによる計測値の他に、各時刻における燃料電池車両100の累積走行距離と、燃料電池110の運転時間と、燃料電池110のオンオフ回数と、燃料電池110の出力電圧の変動回数とが表されている。累積走行距離は、燃料電池車両100に設けられたオドメータによって計測される。燃料電池110の運転時間、オンオフ回数、および、出力電圧の変動回数は、制御部130によってカウントされる。時系列データには、燃料電池車両100を識別するための識別情報が表されている。
【0017】
車両データ送受信部133は、車両データ取得部131によって取得された時系列データを、センタ通信装置290を介して、情報処理装置200に送信する。本実施形態では、車両データ取得部131によって取得された時系列データは、車両データ送受信部133によって即時に情報処理装置200に送信される。なお、車両データ取得部131によって取得された時系列データは、車両データ記憶部132に記憶されてもよい。この場合、車両データ送受信部133は、所定のタイミングで、車両データ記憶部132に記憶された時系列データを情報処理装置200に送信してもよい。
【0018】
情報処理装置200は、センタデータ送受信部210と、センタデータ記憶部220と、累積化部231と、対数変換部232と、フィルタ処理部233と、学習部240と、入力データ取得部251と、予測部252とを有している。センタデータ送受信部210、累積化部231、対数変換部232、フィルタ処理部233、学習部240、入力データ取得部251、および、予測部252は、情報処理装置200の記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによってソフトウェア的に実現される。センタデータ記憶部220は、情報処理装置200の記憶装置に設けられている。なお、学習部240のことを関係生成部と呼ぶことがある。
【0019】
センタデータ送受信部210は、センタ通信装置290を介して、各燃料電池車両100A~100Eから送信された時系列データを受信する。センタデータ記憶部220は、センタデータ送受信部210によって受信された時系列データを、燃料電池車両100A~100Eごとに記憶する。
【0020】
累積化部231は、後述する劣化指標量を、劣化指標量の累積量である累積劣化指標量に変換する。対数変換部232は、累積劣化指標量を対数変換する。フィルタ処理部233は、時系列データから所定の条件を満足する時刻のデータを抽出する。
【0021】
学習部240は、燃料電池110の出力電圧の予測値を算出するための予測モデルを生成する学習処理を実行する。予測モデルには、燃料電池110の出力電流が予め定められた電流範囲内のときの、燃料電池110の累積劣化指標量の対数と燃料電池110の出力電圧との関係が表される。予測モデルは、センタデータ記憶部220に記憶される。入力データ取得部251は、予測モデルに入力される入力データを取得する。予測部252は、予測モデルを用いて、各燃料電池車両100A~100Eに搭載された燃料電池110の出力電圧の予測値を算出する予測処理を実行する。学習処理の内容、および、予測処理の内容については後述する。予測部252による予測結果は、センタデータ送受信部210によって、各燃料電池車両100A~100Eに送信される。
【0022】
図3は、燃料電池110の単セルの電流密度と過電圧との関係を示す説明図である。図3において、横軸は、単セルの電流密度を表しており、縦軸は、単セルの出力電圧を表している。図3には、単セルの理論起電圧が破線で表されている。一般に、電流密度が大きいほど過電圧が大きくなるので、図3に実線で示すように、電流密度が大きいほど出力電圧は小さくなる。過電圧は、活性化過電圧と、抵抗過電圧と、濃度過電圧との3つの要素によって構成されている。燃料電池110のように、固体高分子形の燃料電池では、電流密度が比較的小さい低電流密度域では、活性化過電圧は、濃度過電圧や抵抗過電圧よりも大きい。
【0023】
燃料電池110が劣化すると、活性化過電圧が大きくなる。燃料電池110の劣化とは、例えば、燃料電池110の触媒が溶出することや、一酸化炭素によって触媒が被毒されることによって、触媒の表面積のうちの発電に寄与する部分の表面積である触媒有効表面積が小さくなることを意味する。燃料電池110の劣化は、燃料電池110の運転時間が長期化することや、燃料電池110のオンオフ回数が多くなることや、出力電圧の変動回数が多くなることによって進行する。また、燃料電池車両100に搭載された燃料電池110では、燃料電池車両100の走行距離が長いほど、燃料電池110の劣化が進行している可能性が高い。燃料電池車両100の走行距離や、燃料電池110の運転時間や、燃料電池110のオンオフ回数や、燃料電池110の出力電圧の変動回数のように、燃料電池110の劣化の進行度合いの指標となる量のことを劣化指標量と呼ぶ。
【0024】
図4は、本実施形態における学習処理の内容を示すフローチャートである。図5は、対数変換処理前後の時系列データを模式的に示す説明図である。図6は、フィルタ処理前後の時系列データを模式的に示す説明図である。この学習処理は、情報処理装置200に所定の開始命令が供給された場合に、情報処理装置200によって開始される。情報処理装置200には、所定のタイミングで開始命令が供給される。本実施形態では、情報処理装置200には、1ヵ月に一度の周期で開始命令が供給される。
【0025】
まず、ステップS110にて、累積化部231は、センタデータ記憶部220に記憶された各燃料電池車両100A~100Eの時系列データを読み込む。次に、ステップS120にて、累積化部231は、各燃料電池車両100A~100Eの時系列データに表された劣化指標量を、劣化指標量の累積量である累積劣化指標量に変換する累積化処理を実行する。この際、累積化部231は、各劣化指標量のうち、既に累積量として表されている劣化指標量については累積化しない。例えば、燃料電池車両100の累積走行距離は、既に累積量として表されているので、累積化部231は、累積走行距離を累積化しない。累積化処理が施された時系列データは、対数変換部232に送信される。
【0026】
ステップS130にて、対数変換部232は、累積化処理が施された各燃料電池車両100A~100Eの時系列データに表された累積劣化指標量を対数変換する対数変換処理を実行する。本実施形態では、対数変換部232は、図5に示すように、累積劣化指標量を累積劣化指標量の自然対数に変換する。対数変換部232は、累積劣化指標量を累積劣化指標量の常用対数に変換してもよい。対数変換処理が施された時系列データは、フィルタ処理部233に送信される。
【0027】
ステップS140にて、フィルタ処理部233は、対数変換処理が施された各燃料電池車両100A~100Eの時系列データから、所定の条件を満足する時刻のデータを抽出するフィルタ処理を実行する。本実施形態では、フィルタ処理部233は、燃料電池110の出力電流が所定の電流範囲内であるという条件を満足する時刻のデータを時系列データから抽出する。上述した電流範囲は、燃料電池110の過電圧における活性化過電圧の占める割合が所定の割合を超える範囲に決定される。上述した割合は、少なくとも50%である。フィルタ処理部233は、燃料電池110の出力電流が所定の電流範囲内であるという条件を満足し、かつ、他の条件を満足する時刻のデータを時系列データから抽出してもよい。例えば、フィルタ処理部233は、燃料電池110の出力電流が所定の電流範囲内であり、かつ、燃料ガスの流量が所定の流量範囲内であるという条件を満足する時刻のデータを抽出してもよい。図6には、一例として、燃料電池車両100Aについての時刻t1から時刻t3までのデータのうち、上述した条件を満足する時刻t1のデータと時刻t3のデータが抽出される様子が表されている。フィルタ処理部233は、フィルタ処理が施された時系列データ、つまり、上述した条件を満足する時刻のデータが表された時系列データを学習部240に送信する。なお、ステップS130の処理とステップS140の処理とは、順序が逆であってもよい。つまり、累積化処理が施された時系列データに対してフィルタ処理が施された後に、フィルタ処理が施された時系列データに対して対数変換処理が施されてもよい。
【0028】
ステップS150にて、学習部240は、フィルタ処理が施された各燃料電池車両100A~100Eの時系列データを読み込んで機械学習を実行することによって、予測モデルを生成する。予測モデルは、複数の累積劣化指標量の対数のうちのいずれか1つを説明変数とし、出力電圧を目的変数とした一次関数として表される。
【0029】
本実施形態では、学習部240による機械学習のアルゴリズムは、線形回帰である。より具体的には、学習部240による機械学習のアルゴリズムは、Elastic Netである。学習部240による機械学習のアルゴリズムは、Elastic Netに限られず、例えば、Lasso回帰でもよい。Elastic Net、および、Lasso回帰では、正則化項の働きによって、入力された複数の累積劣化指標量の対数のうち、寄与度の低い累積劣化指標量の対数の重みをゼロにできるので、説明変数となる可能性がある複数の累積劣化指標量の対数を入力することができる。なお、時系列データに含まれる累積劣化指標量の対数が1つである場合には、機械学習のアルゴリズムは、リッジ回帰でもよい。
【0030】
本実施形態では、学習部240は、各燃料電池車両100A~100Eの時系列データを用いて各燃料電池車両100A~100Eに共通の予測モデルを生成する。なお、学習部240は、燃料電池車両100A~100Eごとに複数の予測モデルを生成してもよい。例えば、学習部240は、燃料電池車両100Aの時系列データを用いて燃料電池車両100Aのための予測モデルを生成し、燃料電池車両100Bの時系列データを用いて、燃料電池車両100Bのための予測モデルを生成してもよい。
【0031】
ステップS160にて、学習部240は、センタデータ記憶部220に予測モデルを記憶させる。その後、学習部240は、この処理を終了する。本実施形態では、情報処理装置200は、1ヶ月後に、再び、この処理を開始する。1ヶ月の間に、各燃料電池車両100A~100Eから新たな情報が送信されることによって、センタデータ記憶部220に記憶された時系列データには新たな情報が追加される。1ヶ月後に実行される学習処理によって、新たな予測モデルが生成されて、センタデータ記憶部220に記憶された予測モデルが更新される。
【0032】
図7は、本実施形態における予測処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、情報処理装置200に所定の開始命令が供給された場合に、情報処理装置200によって開始される。情報処理装置200には、所定のタイミングで開始命令が供給される。本実施形態では、情報処理装置200には、1ヵ月に一度の周期で、つまり、予測モデルが更新された際に開始命令が供給される。なお、この処理のことを出力電圧予測方法と呼ぶことがある。
【0033】
まず、ステップS210にて、予測部252は、センタデータ記憶部220に記憶された予測モデルを読み込む。次に、ステップS220にて、入力データ取得部251は、予測モデルに入力される入力データを取得する。入力データには、各燃料電池車両100A~100Eに搭載された燃料電池110の累積劣化指標量が含まれている。入力データ取得部251は、時系列データを用いて算出される時刻と累積劣化指標量との関係に基づいて、所定期間経過後の燃料電池110の累積劣化指標量の推定値を算出し、この推定値を入力データとして取得する。例えば、入力データ取得部251は、時系列データに表された最新の時刻における累積劣化指標量と、この最新の時刻よりも1ヵ月前の時刻おける累積劣化指標量とを用いて1日当たりの累積劣化指標量の増加量を算出し、この増加量を用いて1ヵ月後の燃料電池110の累積劣化指標量の推定値を算出する。累積劣化指標量の増加傾向が不均一である場合には、入力データ取得部251は、累積劣化指標量の推定値が最大になるように累積劣化指標量の推定値を算出してもよい。入力データには、さらに、各燃料電池車両100A~100Eに搭載された燃料電池110の出力電流や燃料電池110に供給される水素ガス流量等が含まれている。累積劣化指標量の対数を除いて、図6のステップS140に示したフィルタ処理で用いた条件と同じ条件を満足する値が入力データとして用いられる。
【0034】
ステップS230にて、予測部252は、入力データと予測モデルとを用いて、入力データに表された条件下での燃料電池110の出力電圧の予測値を算出する。本実施形態では、予測部252は、入力データに表された燃料電池110の累積劣化指標量を対数変換し、累積劣化指標量の対数を予測モデルに当てはめて、入力データに表された条件下での燃料電池110の出力電圧の予測値を算出する。各燃料電池車両100A~100Eに搭載された燃料電池110の出力電圧の予測値を算出する。なお、予測部252は、予測モデルを用いて、出力電圧が予め定められた閾値以下になる時期を予測してもよい。
【0035】
ステップS240にて、予測部252は、燃料電池110の出力電圧の予測値を用いて、燃料電池110のメンテナンス要否等についての情報が表されたメンテナンス情報を生成して、メンテナンス情報を出力する。燃料電池110の出力電圧の予測値が予め定められた閾値以下である場合には、メンテナンス情報には燃料電池110のメンテナンスが必要であることが表される。燃料電池110の出力電圧の予測値が予め定められた閾値を超える場合には、メンテナンス情報には燃料電池110のメンテナンスが必要でないことが表される。本実施形態では、予測部252は、燃料電池車両100A~100Eごとのメンテナンス情報を生成して、各燃料電池車両100A~100Eに対応するメンテナンス情報を各燃料電池車両100A~100Eに送信する。その後、予測部252は、この処理を終了する。各燃料電池車両100A~100Eに送信されたメンテナンス情報は、各燃料電池車両100A~100Eに設けられた車載モニタに表示される。
【0036】
図8は、本実施形態における予測モデルMD1と計測値との乖離度合いを示す説明図である。図8において、横軸は、燃料電池110の累積運転時間の対数を表しており、縦軸は、燃料電池110の出力電圧を表している。図8には、累積運転時間の対数を説明変数とし、出力電圧を目的変数とする予測モデルMD1が実線で表されている。
【0037】
ところで、燃料電池110の出力電圧Vは、Tafel式を用いて、下式(1)で表される。下式(1)において、Vは開回路電圧、Aは定数、icatは触媒表面積当たりの電流密度、iは交換電流密度である。
V=V-A×ln(icat/i) ・・・(1)
【0038】
燃料電池車両100に設けられた電流センサによって計測される燃料電池110の出力電流iと、触媒の表面積当たりの電流密度icatとの関係は、下式(2)で表される。下式(2)において、Sは触媒の電気化学的に有効な表面積、つまり、触媒の表面積のうちの発電に寄与する部分の表面積である。
i=S×icat ・・・(2)
【0039】
触媒の電気化学的に有効な表面積Sと累積劣化指標量Pとの関係は、下式(3)で表される。下式(3)において、C1およびC2は定数である。触媒の電気化学的に有効な表面積Sと累積劣化指標量Pとの関係は、例えば、サイクリックボルタンメトリを用いた試験によって確認できる。
ln(S)=C1-C2×ln(P) ・・・(3)
【0040】
式(1)~(3)を整理してicatとSとを消去することによって、下式(4)を得ることができる。下式(4)において、V、A、(i/i)、C1、および、C2は定数である。
V=V-A×ln(i/i)+A×(C1-C2×ln(P)) ・・・(4)
【0041】
図8には、出力電圧の計測値P1~P5が丸印で表されている。計測値P1~P4は、予測モデルMD1を生成するための学習処理に用いられた計測値であり、計測値P5は、予測モデルMD1と計測値との乖離度合いを確認するために計測した計測値である。式(4)より、累積劣化指標量Pの対数と出力電圧Vとの関係は線形である。そのため、予測モデルMD1による予測値と計測値P5とはほぼ一致している。
【0042】
図9は、比較例における予測モデルMD2と計測値との乖離度合いを示す説明図である。図9において、横軸は、燃料電池110の累積運転時間を表しており、縦軸は、燃料電池110の出力電圧を表している。図9には、比較例として、学習処理において対数変換処理が実行されない場合の予測モデルMD2が二点鎖線で表されている。図9には、図8と同じ出力電圧の計測値P1~P5が丸印で表されている。累積劣化指標量Pと出力電圧Vとの関係は非線形である。そのため、比較例における予測モデルMD2による出力電圧の予測値と計測値P5との乖離度合いは、本実施形態における予測モデルMD1による出力電圧の予測値と計測値P5との乖離度合いよりも大きい。
【0043】
以上で説明した本実施形態における出力電圧予測システム10によれば、予測部252は、燃料電池110の累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係を一次関数で表す予測モデルを用いて、燃料電池110の出力電圧を予測する。上述したとおり、本実施形態では、燃料電池110の累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係は線形である。そのため、予測モデルを用いて、燃料電池110の出力電圧を精度良く予測できる。特に、本実施形態のように、燃料電池車両100に搭載された燃料電池110では、過電圧に対する活性化過電圧の割合が大きくなりやすく、累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係は線形になりやすい。そのため、上述した予測モデルを用いて、燃料電池110の出力電圧を精度良く予測できる。
【0044】
また、本実施形態では、劣化指標量として、燃料電池車両100の走行距離と、燃料電池110の運転時間と、燃料電池110のオンオフ回数と、燃料電池110の出力電圧の変動回数が用いられる。これらは、いずれも燃料電池110の出力電圧の低下との間に相関関係を有するので、燃料電池110の出力電圧を精度良く予測できる。
【0045】
また、本実施形態では、学習部240は、複数の燃料電池車両100A~100Eから取得された時系列データを用いて予測モデルを生成する。そのため、燃料電池110の出力電圧を精度良く予測できる。特に、本実施形態では、学習部240は、機械学習によって予測モデルを生成するので、燃料電池110の出力電圧の予測精度を高めることができる。
【0046】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態における出力電圧予測システム10bの構成を示すブロック図である。第2実施形態では、累積化部231、対数変換部232、フィルタ処理部233、入力データ取得部251、および、予測部252が、情報処理装置200bではなく、燃料電池車両100bの制御部130bに設けられていることが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0047】
本実施形態では、各燃料電池車両100bの制御部130bは、車両データ取得部131と、車両データ記憶部132と、車両データ送受信部133と、累積化部231と、対数変換部232と、フィルタ処理部233と、入力データ取得部251と、予測部252とを有している。情報処理装置200bへの時系列データの送信に先立って、累積化部231は、累積化処理を実行し、対数変換部232は、対数変換処理を実行し、フィルタ処理部233は、フィルタ処理を実行する。車両データ送受信部133は、フィルタ処理後の時系列データを情報処理装置200bに送信する。
【0048】
情報処理装置200bは、センタデータ送受信部210と、センタデータ記憶部220と、学習部240とを有している。センタデータ送受信部210は、フィルタ処理が施された時系列データを各燃料電池車両100bから受信して、センタデータ記憶部220に記憶する。学習部240は、学習処理を実行して、予測モデルを生成する。本実施形態では、学習処理において、累積化処理、対数変換処理、および、フィルタ処理は実行されない。センタデータ送受信部210は、予測モデルを各燃料電池車両100bに送信する。予測モデルは、各燃料電池車両100bの車両データ記憶部132に記憶される。
【0049】
本実施形態では、予測処理は、各燃料電池車両100bの制御部130bによって実行される。車両データ記憶部132に記憶された時系列データには、予測モデルが生成された後に計測された最新情報が含まれている。入力データ取得部251は、車両データ記憶部132に記憶された時系列データを用いて算出される時刻と累積劣化指標量との関係に基づいて、例えば、1ヵ月後の、燃料電池110の累積劣化指標量の推定値を算出し、この推定値を入力データとして取得する。予測部252は、入力データと予測モデルとを用いて、入力データに表された条件下での燃料電池110の出力電圧の予測値を算出する。予測部252は、燃料電池110の出力電圧の予測値に応じたメンテナンス情報を燃料電池車両100bの車載モニタに表示させる。
【0050】
以上で説明した本実施形態における出力電圧予測システム10bによれば、燃料電池車両100bは、情報処理装置200bから受信した予測モデルを用いて、自車の制御部130b上で予測処理を実行できる。そのため、自車に関する最新情報を用いて出力電圧を予測できる。
【0051】
また、本実施形態では、燃料電池車両100bは、フィルタ処理を施された時系列データを情報処理装置200bに送信する。そのため、燃料電池車両100bから情報処理装置200bに送信される時系列データの量を少なくできる。
【0052】
C.他の実施形態:
(C1)上述した各実施形態の出力電圧予測システム10,10bでは、燃料電池車両100,100bは、燃料電池110の出力電圧を計測する電圧センサを備えており、電圧センサを用いて燃料電池110の出力電圧を計測することによって燃料電池110の出力電圧を取得している。これに対して、燃料電池車両100,100bは、燃料電池110の出力電圧を計測する電圧センサを備えていなくてもよい。この場合、燃料電池車両100,100bは、燃料電池110の出力電圧を推定によって取得してもよい。例えば、制御部130,130bは、下式(5)を用いて燃料電池110の出力電圧を推定できる。下式(5)において、Qは燃料電池110の発熱量を表しており、iは燃料電池110の出力電流を表しており、Eは燃料電池110の理論起電力を表しており、Vは燃料電池110の出力電圧を表している。
Q=i×E-V ・・・(5)
燃料電池110が劣化すると、燃料電池110の発熱量Qは大きくなる。発熱量Qは、燃料電池110に供給される冷媒の温度を計測する温度センサの計測値、燃料電池車両100に設けられた外気温センサによって計測される外気温の計測値、および、燃料電池車両100に設けられた車速センサによって計測される車速の計測値を用いて推定できる。出力電流iは、燃料電池車両100に設けられた電流センサによって計測できる。理論起電力は、予め定められた定数である。また、サイクリックボルタンメトリを用いて燃料電池110の出力電圧を推定することもできる。燃料電池110が劣化すると、電圧の三角波を燃料電池110に印加した際に電流センサによって計測される出力電流は低下する。予め行われる試験によって出力電流と出力電圧との関係を取得し、この関係と電圧の三角波を燃料電池110に印加した際の出力電流とを用いて、燃料電池110の出力電圧を推定できる。
【0053】
(C2)上述した各実施形態の出力電圧予測システム10,10bでは、学習部240は、機械学習によって、累積劣化指標量の対数と出力電圧との一次関数を表す予測モデルを生成している。これに対して、学習部240は、機械学習を用いずに、累積劣化指標量の対数と出力電圧との一次関数を取得してもよい。また、例えば、予め行われる試験によって作成された、累積劣化指標量の対数と出力電圧との関係を表すマップあるいは一次関数が、情報処理装置200のセンタデータ記憶部220、または、燃料電池車両100bの車両データ記憶部132に記憶され、情報処理装置200に設けられた予測部252、または、燃料電池車両100bに設けられた予測部252は、上述したマップや一次関数を用いて、出力電圧の予測値を算出してもよい。
【0054】
(C3)上述した第2実施形態の出力電圧予測システム10bでは、燃料電池車両100bに設けられた対数変換部232が時系列データの対数変換処理を実行している。これに対して、燃料電池車両100bに対数変換部232が設けられずに、情報処理装置200bに対数変換部232が設けられてもよい。この場合であっても、燃料電池車両100bに設けられたフィルタ処理部233によって、燃料電池車両100bにてフィルタ処理を実行できるので、燃料電池車両100bから情報処理装置200bに送信される時系列データの量を少なくできる。
【0055】
(C4)上述した各実施形態の出力電圧予測システム10,10bは、燃料電池車両100,100bは、車両通信装置190を備えている。これに対して、燃料電池車両100,100bは、車両通信装置190を備えていなくてもよい。この場合、例えば、情報処理装置200,200bと双方向に通信する通信装置を備える診断装置が燃料電池車両100,100bの制御部130,130bに接続され、制御部130,130bは、当該通信装置を介して、時系列データや予測モデルを送受信してもよい。
【0056】
(C5)上述した各実施形態の出力電圧予測システム10,10bは、複数の燃料電池車両100A~100Eを備えている。これに対して、出力電圧予測システム10,10bが備える燃料電池車両100は、1台でもよい。この場合、燃料電池車両100に学習部240と予測部252とが設けられてもよい。
【0057】
(C6)上述した各実施形態の出力電圧予測システム10,10bは、燃料電池車両100,100bと、情報処理装置200,200bとを備えている。これに対して、出力電圧予測システム10,10bは、燃料電池車両100,100bではなく、燃料電池110を電源として航行する船舶や、燃料電池110を電源として飛行する航空機を備えてもよい。
【0058】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細ナビゲーション装置書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…出力電圧予測システム、100…燃料電池車両、110…燃料電池、112…水素タンク、115…二次電池、120…走行用モータ、130…制御部、131…車両データ取得部、132…車両データ記憶部、133…車両データ送受信部、190…車両通信装置、200…情報処理装置、210…センタデータ送受信部、220…センタデータ記憶部、231…累積化部、232…対数変換部、233…フィルタ処理部、240…学習部、251…入力データ取得部、252…予測部、290…センタ通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10