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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098065
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
B25J5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211390
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今岡 紀章
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707HS27
3C707HT12
3C707MS25
3C707WA13
3C707WM22
(57)【要約】
【課題】動力を用いずに姿勢を安定させることができるロボットを提供すること。
【解決手段】ロボットは、本体部と、本体部に接続された脚部と、本体部に配置された接触部と、脚部の下端および接触部の下端が支持面に接している場合に、支持面に接する閉リンク機構の一部を脚部と共に構成するリンク部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に接続された脚部と、
前記本体部に配置された接触部と、
前記脚部の下端および前記接触部の下端が支持面に接している場合に、前記支持面に接する閉リンク機構の一部を前記脚部と共に構成するリンク部材と、を備える、
ロボット。
【請求項2】
前記脚部の下端および前記接触部の下端が支持面に接している場合に、前記リンク部材は、前記支持面から前記脚部の下端が離れるような前記脚部の動作を妨げる、
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記脚部の下端および前記接触部の下端が前記支持面に接している場合に、前記支持面から前記脚部の下端が離れるような前記脚部の動作に応じて前記支持面に向けて移動するように前記リンク部材は構成されている、
請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記脚部は、
前記本体部に接続され、前記本体部に対して相対回転する第1の脚部材と、
前記第1の脚部材に接続され、前記第1の脚部材に対して相対回転する第2の脚部材と、を有し、
前記リンク部材は、前記第1の脚部材に対する前記第2の脚部材の相対回転に応じて、前記本体部に対して相対移動する、
請求項1から3の何れか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記第1の脚部材および前記第2の脚部材は、前記閉リンク機構の一部である平行リンク機構を構成している、
請求項4に記載のロボット。
【請求項6】
前記脚部は、前記本体部に接続され、前記本体部に対して相対回転する第1の脚部材を有し、
前記リンク部材は、前記第1の脚部材と一体的に前記本体部に対して相対回転するように構成されている、
請求項1に記載のロボット。
【請求項7】
前記脚部は、
前記本体部に接続され、前記本体部に対して相対回転する第1の脚部材と、
前記第1の脚部材に接続され、前記第1の脚部材に対して相対回転する第2の脚部材と、
前記第2の脚部材に接続され、前記第2の脚部材に対して相対回転する第3の脚部材と、を有し、
前記リンク部材は、前記第2の脚部材に対する前記第3の脚部材の相対回転に応じて、前記本体部に対して相対移動する、
請求項1から3の何れか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記第1の脚部材は、前記閉リンク機構の一部である第1の平行リンク機構を構成しており、前記第2の脚部材は、前記閉リンク機構の一部である第2の平行リンク機構を構成している、
請求項7に記載のロボット。
【請求項9】
前記接触部は、前記本体部の下側に配置されている、
請求項1から8の何れか1項に記載のロボット。
【請求項10】
前記本体部または前記接触部に配置され、前記閉リンク機構を動作させるアクチュエータをさらに備えている、
請求項1から9の何れか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
省エネルギおよび安全性の観点から、動力を用いずに、ロボットの姿勢が継続して安定していることが望ましい。特許文献1に開示されている搭乗型ロボットには、動力が発生しない電源オフの状態において、自重で搭乗姿勢にて安定するように、脚部の関節にストッパが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-150568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているロボットにおいては、ストッパが関節に設けられているため、ストッパによって関節の可動域ひいては脚部の可動域が制限される場合が考えられる。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するもので、動力を用いずに姿勢を継続して安定させることができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示のロボットは、本体部と、本体部に接続された脚部と、本体部に配置された接触部と、脚部の下端および接触部の下端が支持面に接している場合に、支持面に接する閉リンク機構の一部を脚部と共に構成するリンク部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のロボットによれば、動力を用いずにロボットの姿勢を継続して安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係るロボットの概要図
図2図1に示すロボットの脚部の下端、接触部の下端および閉リンク機構が支持面に接している状態を示す図
図3】本開示の第2実施形態に係るロボットの概要図
図4】本開示の第3実施形態に係るロボットの概要図
図5】本開示の第1実施形態の変形例に係るロボットの概要図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態におけるロボット1について、図面を参照しながら説明する。以下では、ロボット1が載っている面に近づく方向を下方、当該面から離れる方向を上方、ロボット1が前進移動する際に向かう方向を前方、その逆方向を後方、前方を向くロボット1から左に向かう方向および右に向かう方向を左方および右方とする。図1においては、上側および下側がそれぞれロボット1の上方および下方であり、左側および右側がロボット1の前方および後方であり、紙面手間側および奥側がロボット1の左方および右方に相当する。
【0010】
ロボット1は、人および物品などを搭載して移動する搭載型ロボットである。なお、ロボット1は、人や物を搭載するものに限られない。図1には、支持面Sに位置しているロボット1が示されている。支持面Sは、地面および床面などである。
【0011】
ロボット1は、本体部10、搭載部20、接触部30、脚部40、および、閉リンク用サブモジュール50を備えている。
【0012】
本体部10は、例えば直方体状に形成されている。
【0013】
搭載部20は、本体部10の上側に配置され、人および物品などを搭載可能に設けられている。
【0014】
接触部30は、支持面Sに接触可能に設けられている。接触部30は、本体部10の下側に配置され、例えば直方体状に形成されている。本体部10、搭載部20および接触部30は、一体に設けられている。接触部30は、下側面が支持面Sに接することができるように例えば平面状に形成されている。接触部30は、本体部10の下側に配置されているため、支持面Sに接触させやすい。なお、接触部30が本体部10の下側に配置されなくてもよい。
【0015】
なお、本体部10および搭載部20は、ロボット1の動作の自由度を増やすために、互いに相対移動したり姿勢を変えたりするように設けられてもよい。また、本体部10および接触部30は、ロボット1の動作の自由度を増やすために、互いに相対移動したり姿勢を変えたりするように設けられてもよい。
【0016】
脚部40は、本体部10に接続されている。脚部40は、2つあり、本体部10の左右両側にそれぞれ接続されている。脚部40は、本体部10を移動させるように動作する。すなわち、ロボット1は、二足歩行によって移動可能に設けられている。なお、脚部40の個数が2つに限定されないことは言うまでもない。図1乃至図5には、1つの脚部40のみが示されている。2つの脚部40は、同様に構成されている。以下、1つの脚部40についてのみ説明する。
【0017】
脚部40は、複数の脚部材41、複数の関節部42および複数のアクチュエータ43を備えている。脚部40は、脚部材41、関節部42およびアクチュエータ43を、それぞれ3つ備えている。なお、脚部材41、関節部42およびアクチュエータ43の個数が3つに限定されないことは言うまでもない。
【0018】
複数の脚部材41それぞれは、例えば直方体状に形成されている。複数の関節部42は、それぞれ軸線を1つ有している。関節部42は、軸線回りに回転するように動作する。軸線は、左右方向に沿って延びるように配置されている。なお、複数の関節部42は、ロボット1の動作の自由度を増やすために、それぞれ軸線を複数有してもよい。ロボット1の動作の自由度が増えると、例えば、支持面Sに凹凸がある場合においても、凹凸に対応するように脚部40を動作させることができる。
【0019】
第1の脚部材41aの第1端部には、第1の関節部42aを介して本体部10が接続されている。第1の関節部42aは、本体部10に対して第1の脚部材41aを軸線回りに相対回転させるように設けられている。
【0020】
第1の脚部材41aの第2端部には、第2の関節部42bを介して第2の脚部材41bの第1端部が接続されている。第2の関節部42bは、第1の脚部材41aに対して第2の脚部材41bを軸線回りに相対に回転させるように設けられている。
【0021】
第2の脚部材41bの第2端部には、第3の関節部42cを介して第3の脚部材41cの第1端部が接続されている。第3の関節部42cは、第2の脚部材41bに対して第3の脚部材41cを軸線回りに相対回転させるように設けられている。
【0022】
アクチュエータ43は、関節部42それぞれに配置され、関節部42を動作させるものである。アクチュエータ43は、例えばサーボモータである。アクチュエータ43は、制御装置(不図示)によって制御され、関節部42を動作させる。関節部42が動作することにより、脚部40が動作する。
【0023】
閉リンク用サブモジュール50は、脚部40に接続されている。閉リンク用サブモジュール50は、脚部40と共に、後述する閉リンク機構の一部を構成するものである。閉リンク用サブモジュール50は、脚部40の動作の妨げにならないように動作するように構成されている。
【0024】
閉リンク用サブモジュール50は、2つの脚部40それぞれに配置されている。図1乃至図5には、閉リンク用サブモジュール50を構成する複数のリンク部材51およびリンク部材51同士またはリンク部材51と他の部材との接続点52が簡略された図形で示されている。具体的には、リンク部材51は太線にて示され、接続点52は円形にて示されている。閉リンク用サブモジュール50は、4つのリンク部材51を備えている。接続点52それぞれにおいて、リンク部材51同士、または、リンク部材51と他の部材は、左右方向に沿って延びる軸線回りに相対回転可能に連結されている。なお、接続点52にベアリング等の機械部品が配置されていても良いことは言うまでもない。
【0025】
第1のリンク部材51aの第1端部には、第1の接続点52aを介して第1の関節部42aが接続されている。第1の接続点52aの軸線は、第1の関節部42aの軸線と同軸に配置されている。第1のリンク部材51aは、第1の関節部42aおよび第1の脚部材41aに対して、第1の接続点52aの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0026】
第1のリンク部材51aの第2端部には、第2の接続点52bを介して第2のリンク部材51bの第1端部が接続されている。第2のリンク部材51bは、第1のリンク部材51aに対して、第2の接続点の軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0027】
第2のリンク部材51bの第2端部には、第3の接続点52cを介して第3のリンク部材51cの第1端部が接続されている。第3のリンク部材51cは、第2のリンク部材51bに対して、第3の接続点52cの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0028】
第3のリンク部材51cの第2端部には、第4の接続点52dを介して接触部30が接続されている。第3のリンク部材51cは、接触部30に対して、第4の接続点52dの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0029】
第4のリンク部材51dの第1端部には、第2の接続点52bを介して第1のリンク部材51aおよび第2のリンク部材51bが接続されている。第4のリンク部材51dは、第1のリンク部材51aおよび第2のリンク部材51bに対して、第2の接続点の軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0030】
第4のリンク部材51dの第2端部には、第5の接続点52eを介して第2の脚部材41bが接続されている。第4のリンク部材51dは、第2の脚部材41bに対して第5の接続点52eの軸線回りに相対回転させるように設けられている。
【0031】
また、閉リンク用サブモジュール50、第1の脚部材41a、第2の脚部材41b、本体部10および接触部30によって、閉リンク機構が構成されている。閉リンク機構は、第1の脚部材41aおよび第2の脚部材41bが移動することにより動作する。
【0032】
また、閉リンク機構は、第1のリンク部材51a、第4のリンク部材51d、第2の脚部材41bおよび第1の脚部材41aが平行リンク機構を構成するように設けられている。具体的には、第1の接続点52aの軸線と第2の関節部42bの軸線の距離と、第2の接続点52bの軸線と第5の接続点52eの軸線との距離が一致し、かつ、第1の接続点52aの軸線と第2の接続点52bの軸線との距離と、第2の関節部42bの軸線と第5の接続点52eの軸線との距離が一致する。
【0033】
よって、第4のリンク部材51dは、第1の脚部材41aに対して平行移動する。したがって、閉リンク機構が動作したときにおける第2の関節部42bに対する第2の接続点52bの位置を容易に推定することができる。なお、閉リンク機構は、第1のリンク部材51a、第4のリンク部材51d、第2の脚部材41bおよび第1の脚部材41aが平行リンク機構とは異なるリンク機構を構成するように設けられてもよい。
【0034】
さらに、閉リンク機構は、第1乃至第3のリンク部材51a,51b,51c、本体部10および接触部30が平行リンク機構を構成するように設けられている。具体的には、第1の接続点52aの軸線と第2の接続点52bの軸線との距離と、第4の接続点52dの軸線と第3の接続点52cの軸線との距離とが一致し、かつ、第1の接続点52aの軸線と第4の接続点52dの軸線との距離と、第2の接続点52bの軸線と第3の接続点52cの軸線との距離が一致する。よって、閉リンク機構が動作したときにおける第2の接続点52bに対する第3の接続点52cの位置を容易に推定することができる。
【0035】
また、上記のように、閉リンク機構が動作したときにおける第2の関節部42bに対する第2の接続点52bの位置を容易に推定することができる。つまり、閉リンク機構が動作したときにおける第2の関節部42bに対する第3の接続点52cの位置を容易に推定することができる。関節部42の動作は、アクチュエータ43を介して制御装置によって制御されている。よって、制御装置は、関節部42の動作に基づいて第2の関節部42bの位置ひいては第3の接続点52cの位置を容易に推定できる。なお、閉リンク機構は、第1乃至第3のリンク部材51a,51b,51c、本体部10および接触部30が平行リンク機構とは異なるリンク機構を構成するように設けられてもよい。
【0036】
また、ロボット1は、移動姿勢および待機姿勢をとることができる。
【0037】
移動姿勢は、図1に示されるように、ロボット1が脚部40によって立っている姿勢である。移動姿勢においては、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sに接しており、かつ、接触部30の下側面が支持面Sに接していない。ロボット1は、移動姿勢である場合に脚部40が動作することで、移動することができる。
【0038】
待機姿勢は、図2に示されるように、第3の脚部材41cの下側面および接触部30の下側面が支持面Sに接している姿勢である。第3の脚部材41cの下側面は、脚部の下端に相当する。接触部30の下側面は、接触部の下端に相当する。
【0039】
ロボット1が移動姿勢である状態から接触部30を下方に移動させるように脚部40が動作することで、ロボット1の姿勢が待機姿勢になる。ロボット1の電源がオフされる場合に、ロボット1の姿勢が待機姿勢にされる。
【0040】
ロボット1が待機姿勢である場合、本体部10は、2つの第3の脚部材41cの下側面および接触部30の下側面が支持面Sに接することで支持されている。また、ロボット1が待機姿勢である場合、ロボット1の重心は、上面視において、2つの第3の脚部材41cの下側面および接触部30の下側面に囲まれた領域内に位置する。つまり、ロボット1が待機姿勢である場合、ロボット1の姿勢は自重にて安定している。ロボット1が待機姿勢である場合に、搭載部20に人および物品などが搭載される。
【0041】
ロボット1が待機姿勢である場合に、閉リンク用サブモジュール50は、支持面Sに接するように構成されている。具体的には、ロボット1が待機姿勢である場合に、第3の接続点52cを含む第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部が支持面Sに接する。
【0042】
また、閉リンク機構は、脚部40の下端および接触部30の下端が支持面Sに接している場合に、支持面Sから脚部40の下端が離れるような脚部40の動作を妨げる。具体的には、ロボット1が待機姿勢である場合に、閉リンク機構は、支持面Sから第3の脚部材41cの下側面が離れるような脚部40の動作に応じて、第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cが支持面Sに向けて移動する。
【0043】
具体的には、図2に示される太線の矢印のように、第2の脚部材41bが第2の関節部42bの軸線回りを図2の時計回りに移動することにより、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れる場合、第4のリンク部材51dが前方に向けて移動する。第4のリンク部材51dが前方に向けて移動することにより、細線の矢印に示されるように、第3のリンク部材51cは第4の接続点52dの軸線回りを図2の時計回りに回転する。第3のリンク部材51cが第4の接続点52dの軸線回りを図2の時計回りに回転することで、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部が支持面Sに向かって移動する。
【0044】
しかしながら、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部は支持面Sに接しているため、実際には、第3のリンク部材51cおよび第2のリンク部材51bの移動ひいては閉リンク機構の動作は妨げられる。閉リンク機構の動作が妨げられることにより、第2の脚部材41bの移動ひいては第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れるような脚部40の動作が妨げられる。すなわち、第3の脚部材41cの下側面は、支持面Sに接したままである。つまり、ロボット1が待機姿勢である状態においてロボット1の姿勢を継続して安定させることができる。上記のように、ロボット1が待機姿勢である場合、電源がオフされている。よって、動力を用いずにロボット1の姿勢を継続して安定させることができる。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態におけるロボット1について、主として第1実施形態とは異なる点について図3を用いて説明する。
【0046】
第2実施形態において、閉リンク用サブモジュール50は、上記の第4のリンク部材51dを備えていない。また、第1のリンク部材51aは、第1の接続点52aの軸線回りに第1の脚部材41aと一体的に本体部10に対して相対回転するように設けられている。また、閉リンク用サブモジュール50、本体部10および接触部30によって、閉リンク機構が構成されている。第2実施形態において、閉リンク機構は、第1の脚部材41aが移動することにより動作する。
【0047】
さらに、上記のように、第1乃至第3のリンク部材51a,51b,51c、本体部10および接触部30が平行リンク機構を構成するように設けられている。また、第1の接続点52aの軸線と第1の関節部42aの軸線とは同軸である。よって、閉リンク用サブモジュール50が動作したときにおける第1の関節部42aに対する第3の接続点52cの位置を容易に推定することができる。第1の関節部42aの動作は、アクチュエータ43を介して制御装置によって制御されている。よって、制御装置は、第1の関節部42aの動作に基づいて第3の接続点52cの位置を容易に推定できる。
【0048】
ロボット1が待機姿勢である状態において、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れるように脚部40が動作する場合について説明する。図3に示される太線の矢印のように、第1の脚部材41aが第1の関節部42aの軸線回りを図3の時計回りに動作することにより、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れる場合、第1のリンク部材51aは第1の接続点52aの軸線回りを第1の脚部材41aと一体的に図3の時計回りに回転する。
【0049】
第1のリンク部材51aが第1の接続点52aの軸線回りを図3の時計回りに回転することにより、細線の矢印に示されるように、第3のリンク部材51cは第4の接続点52dの軸線回りを図3の時計回りに回転する。第3のリンク部材51cが第4の接続点52dの軸線回りを図3の時計回りに回転することで、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部が支持面Sに向かって移動する。
【0050】
しかしながら、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部は支持面Sに接しているため、実際には、第3のリンク部材51cおよび第2のリンク部材51bの動作ひいては閉リンク用サブモジュール50の動作は妨げられる。よって、上記の第1実施形態と同様に、動力を用いずにロボット1の姿勢を継続して安定させることができる。
【0051】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態におけるロボット1について、主として第1実施形態とは異なる点について図4を用いて説明する。
【0052】
第3実施形態において、閉リンク用サブモジュール50は、第5乃至第7のリンク部材151e,151f,151g、および、第6乃至第9の接続点152f,152g,152h,152iをさらに備えている。第6乃至第9の接続点152f,152g,152h,152iは、左右方向に沿って延びる軸線を1つ有している。
【0053】
また、第4のリンク部材51dの第2端部は、第1実施形態とは異なり、第2の脚部材41bに接続されていない。
【0054】
第4のリンク部材51dの第2端部には、第5の接続点52eを介して第5のリンク部材151eの第1端部が接続されている。第5のリンク部材151eは、第4のリンク部材51dに対して、第5の接続点52eの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0055】
第5のリンク部材151eの中央部には、第6の接続点152fを介して第2の関節部42bが接続されている。第6の接続点152fの軸線は、第2の関節部42bの軸線と同軸に配置されている。第6のリンク部材151fは、第2の関節部42bに対して、第6の接続点152fの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0056】
第5のリンク部材151eの第2端部には、第7の接続点152gを介して第6のリンク部材151fの第1端部が接続されている。第6のリンク部材151fは、第5のリンク部材151eに対して、第7の接続点152gの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0057】
第6のリンク部材151fの第2端部には、第8の接続点152hを介して第7のリンク部材151gの第1端部が接続されている。第7のリンク部材151gは、第6のリンク部材151fに対して、第8の接続点152hの軸線回りに相対回転するように設けられている。
【0058】
第7のリンク部材151gの第2端部は、第9の接続点152iを介して第3の関節部42cが接続されている。第9の接続点152iの軸線と第3の関節部42cの軸線とは同軸に配置されている。第7のリンク部材151gは、第9の接続点152iの軸線回りを第3の脚部材41cと一体的に回転するように設けられている。
【0059】
また、閉リンク用サブモジュール50、第1の脚部材41a、第2の脚部材41b、第3の脚部材41c、本体部10および接触部30によって、閉リンク機構が構成されている。第3実施形態において、閉リンク機構は、第3の脚部材41cが移動することにより動作する。
【0060】
また、閉リンク用サブモジュール50は、第5乃至第7のリンク部材151e,151f,151gおよび第2の脚部材41bが平行リンク機構(第2の平行リンク機構に相当)を構成するように設けられている。具体的には、第2の関節部42bの軸線(すなわち第6の接続点152fの軸線)の軸線と第7の接続点152gの軸線との距離と、第3の関節部42cの軸線(すなわち第9の接続点152iの軸線)と第8の接続点152hの軸線との距離とが一致し、かつ、第6の接続点152fの軸線と第3の関節部42cの軸線との距離と、第7の接続点152gの軸線と第8の接続点152hの軸線との距離が一致する。
【0061】
よって、第6のリンク部材151fは、第2の脚部材41bに対して平行移動する。したがって、閉リンク用サブモジュール50が動作したときにおける第3の関節部42cに対する第7の接続点152gひいては第5の接続点52eの位置を容易に推定することができる。なお、閉リンク用サブモジュール50は、第5乃至第7のリンク部材151e,151f,151gおよび第2の脚部材41bが平行リンク機構とは異なるリンク機構を構成するように設けられてもよい。
【0062】
また、第1のリンク部材51a、第4のリンク部材51d、第5のリンク部材151eおよび第1の脚部材41aが平行リンク機構(第1の平行リンク機構に相当)を構成するように設けられている。具体的には、第1の接続点52aの軸線と第2の関節部42bの軸線(すなわち第6の接続点152fの軸線)の距離と、第2の接続点52bの軸線と第5の接続点52eの軸線との距離が一致し、かつ、第1の接続点52aの軸線と第2の接続点52bの軸線との距離と、第6の接続点152fの軸線と第5の接続点52eの軸線との距離が一致する。
【0063】
よって、閉リンク用サブモジュール50が動作したときにおける第5の接続点52eに対する第3の接続点52cの位置を容易に推定することができる。また、上記のように、閉リンク用サブモジュール50が動作したときにおける第3の関節部42cに対する第5の接続点52eの位置を容易に推定することができる。つまり、閉リンク用サブモジュール50が動作したときにおける第3の関節部42cに対する第3の接続点52cの位置を容易に推定することができる。なお、閉リンク用サブモジュール50は、第1のリンク部材51a、第4のリンク部材51d、第5のリンク部材151eおよび第1の脚部材41aが平行リンク機構とは異なるリンク機構を構成するように設けられてもよい。
【0064】
ロボット1が待機姿勢である状態において、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れるように脚部40が動作する場合について説明する。図4に示される太線の矢印のように、第3の脚部材41cが第3の関節部42cの軸線回りを図4の時計回りに動作することにより、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れる場合、第7のリンク部材151gは第9の接続点152iの軸線回りを図4の時計回りに回転する。
【0065】
第7のリンク部材151gが第9の接続点152iの軸線回りを図4の時計回りに回転することにより、第5のリンク部材151eが第6の接続点152fの軸線回りを図4の時計回りに回転する。
【0066】
第5のリンク部材151eが第6の接続点152fの軸線回りを図4の時計回りに回転することにより、第4のリンク部材51dが前方に向けて移動する。第4のリンク部材51dが前方に向けて移動することにより、細線の矢印に示されるように、第3のリンク部材51cは第4の接続点52dの軸線回りを図4の時計回りに回転する。第3のリンク部材51cが第4の接続点52dの軸線回りを図4の時計回りに回転することで、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部が支持面Sに向かって移動する。
【0067】
しかしながら、第2のリンク部材51bの第2端部および第3のリンク部材51cの第1端部は支持面Sに接しているため、実際には、第3のリンク部材51cおよび第2のリンク部材51bの動作ひいては閉リンク機構の動作は妨げられる。よって、上記の第1実施形態と同様に、動力を用いずにロボット1の姿勢を継続して安定させることができる。
【0068】
<変形例>
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0069】
例えば、第1実施形態において、第2の関節部42bに配置されている第2の関節部42bを動作させるアクチュエータ43を、第3のリンク部材51cひいては閉リンク機構を動作させるように接触部30に配置してもよい。上記のように閉リンク機構が構成されているため、リンク部材51は、第1の脚部材41aに対する第2の脚部材41bの相対回転に応じて、本体部10に対して相対移動する。よって、接触部30に配置されているアクチュエータ43が閉リンク機構を動作させることで、第2の関節部42bを動作させることができる。第2の関節部42bにアクチュエータ43が配置されていない場合、脚部40の軽量化ひいては脚部40の動作の制御の容易化を図ることができる。
【0070】
なお、第2実施形態において第1の関節部42aに配置されているアクチュエータ43を、第3のリンク部材51cひいては閉リンク機構を動作させるように接触部30に配置してもよい。上記のように閉リンク機構が構成されているため、リンク部材51は、第1の脚部材41aと一体的に本体部10に対して相対回転するように構成されている。よって、接触部30に配置されているアクチュエータ43が閉リンク機構を動作させることで、第1の関節部42aを動作させることができる。第1の関節部42aにアクチュエータ43が配置されていない場合、脚部40の軽量化ひいては脚部40の動作の制御の容易化を図ることができる。
【0071】
さらに、第3実施形態において第3の関節部42cに配置されているアクチュエータ43を、第3のリンク部材51cひいては閉リンク機構を動作させるように接触部30に配置してもよい。上記のように閉リンク機構が構成されているため、リンク部材51は、第2の脚部材41bに対する第3の脚部材41cの相対回転に応じて、本体部10に対して相対移動する。よって、接触部30に配置されているアクチュエータ43が閉リンク機構を動作させることで、第3の関節部42cを動作させることができる。第3の関節部42cにアクチュエータ43が配置されていない場合、脚部40の軽量化ひいては脚部40の動作の制御の容易化を図ることができる。
【0072】
また、第3のリンク部材51cの第2端部は、接触部30に接続されているが、本体部10に接続されてもよい。また、第3のリンク部材51cの第2端部が本体部10に接続されている場合、第1実施形態において第2の関節部42bに配置されている第2の関節部42bを動作させるアクチュエータ43を本体部10に配置してもよい。そして、第3のリンク部材51cの第2端部が本体部10に接続されている場合、第2実施形態において第1の関節部42aに配置されている第1の関節部42aを動作させるアクチュエータ43を本体部10に配置してもよい。さらに、第3のリンク部材51cの第2端部が本体部10に接続されている場合、第3実施形態において第3の関節部42cに配置されている第3の関節部42cを動作させるアクチュエータ43を本体部10に配置してもよい。
【0073】
また、図5に示されるように、第1実施形態に係るロボット1が待機姿勢である場合に、第1の脚部材41aの第2端部の上側面が搭載部20の下側面に接するように脚部40および搭載部20を設けるようにしてもよい。第1の脚部材41aの第2端部の上側面が搭載部20の下側面に接するときの第1の関節部42aの角度は、ロボット1が移動姿勢である場合において脚部40が動作したときにおける第1の関節部42aの角度の範囲外に設定されている。第1の脚部材41aの第2端部の上側面が搭載部20の下側面に接する場合、第1の脚部材41aが第1の関節部42aの軸線回りを図5の時計回りに回転することにより、支持面Sから第3の脚部材41cの下側面が離れることを妨げることができる。
【0074】
また、ロボット1が待機姿勢である場合、電源がオフであるが、電源がオンされていてもよい。ロボット1が待機姿勢であり、かつ、電源がオンされている場合において、アクチュエータ43に制御信号が出力されずに動力が発生しない状態においても、上記のようにロボット1の姿勢を継続して安定させることができる。
【0075】
また、ロボット1の待機姿勢において第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cが支持面Sに接していないように閉リンク用サブモジュール50を構成してもよい。ロボット1の待機姿勢において第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cが支持面Sから離れている場合、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから離れるように脚部40が動作したとき、第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cは支持面Sに接するまで実際に移動する。すなわち、第3の脚部材41cの下側面が支持面Sから実際に離れる。よって、ロボット1の待機姿勢において第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cが支持面Sに接していない場合においても、ロボット1の安定性が継続して確保されるように、ロボット1の待機姿勢における第2のリンク部材51bおよび第3のリンク部材51cと支持面Sとの距離が定められている。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示は、ロボットに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 ロボット
10 本体部
30 接触部
40 脚部
41a 第1の脚部材
41b 第2の脚部材
41c 第3の脚部材
43 アクチュエータ
50 閉リンク用サブモジュール
51a 第1のリンク部材
51b 第2のリンク部材
51c 第3のリンク部材
51d 第4のリンク部材
151e 第5のリンク部材
151f 第6のリンク部材
151g 第7のリンク部材
S 支持面
図1
図2
図3
図4
図5