(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098656
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】サンプリングシステム及びサンプル重量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20220627BHJP
G01G 13/22 20060101ALI20220627BHJP
G01G 13/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G01N1/04 A
G01G13/22
G01G13/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212174
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】武内 優貴
【テーマコード(参考)】
2F046
2G052
【Fターム(参考)】
2F046BA01
2F046BA07
2F046BB04
2F046BB07
2F046DA08
2F046FA11
2G052AD12
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA11
2G052CA40
2G052GA08
(57)【要約】
【課題】コーティング処理工程におけるサンプリング検査を自動化し、コーティング工程管理の効率化を図る。
【解決手段】サンプリングシステム1は、パンコーティング装置2から錠剤サンプル14を取り出すサンプル取得装置3と、取り出されたサンプル14を搬送しつつそのうちの所定数を重量測定用に振り分けるサンプル搬送装置4と、サンプル搬送装置4によって振り分けられた所定数のサンプル14の重量を測定するサンプル重量測定装置5とを有する。サンプル重量測定装置5は、サンプル14が貯留される重量測定ボックス31と、ボックス31の重量を測定する重量測定器32を有する。ボックス31は、重量測定位置Xと錠剤排出位置Yとの間で傾動可能に設けられ、重量測定後、ボックス31を錠剤排出位置Yに傾け、ボックス31内からサンプル14を排出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング装置内の被処理物をサンプルとして装置外部に取り出し、所定数の前記サンプルの重量を測定するコーティング装置用サンプリングシステムであって、
前記コーティング装置から前記サンプルを取り出すサンプル取得装置と、
取り出された前記サンプルを搬送しつつ、該サンプルのうち所定数を重量測定用に振り分けるサンプル搬送装置と、
前記サンプル搬送装置によって振り分けられた所定数の前記サンプルの重量を測定するサンプル重量測定装置と、を有することを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項2】
請求項1記載のサンプリングシステムにおいて、
前記サンプル搬送装置は、前記サンプルを1個ずつ吸引搬送する搬送ディスクを備え、
前記搬送ディスクは、前記サンプル重量測定装置に接続され所定数の前記サンプルを該搬送ディスクから離脱させるサンプル導入部と、前記サンプル導入部にて離脱しなかった余剰の前記サンプルを該搬送ディスクから離脱させるサンプル排出部と、を有することを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項3】
請求項2記載のサンプリングシステムにおいて、
前記サンプル搬送装置は、前記サンプル取得装置から供給される前記サンプルを前記搬送ディスクに1個ずつ供給するサンプルフィーダをさらに有することを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のサンプリングシステムにおいて、
前記サンプル重量測定装置は、前記サンプル搬送装置から供給される前記サンプルを貯留する重量測定容器と、前記重量測定装置の重量を測定する重量測定器と、前記重量測定装置を傾動させる容器駆動部と、を備え、
前記重量測定容器は、所定数の前記サンプルを収容した状態で前記重量測定装置によってその重量が測定される重量測定位置と、該重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出するサンプル排出位置の間で作動することを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項5】
請求項4記載のサンプリングシステムにおいて、
前記重量測定容器は、一端側を中心に傾動自在に設けられ、
前記容器駆動部は、前記重量測定容器の他端側を押し上げることにより、前記重量測定容器を一端側を下にして傾かせ、前記重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出させることを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項6】
請求項5記載のサンプリングシステムにおいて、
前記重量測定容器は、前記一端側に開口形成された開口部と、前記開口部に揺動自在に取り付けられたフラップドアと、を有し、
前記フラップドアは、前記重量測定位置においては前記開口部を閉鎖し、前記サンプル排出位置では前記開口部を開放することを特徴とするサンプリングシステム。
【請求項7】
コーティング装置内からサンプルとして取り出された被処理物の重量を測定するサンプル重量測定装置であって、
前記サンプルを貯留する重量測定容器と、前記重量測定装置の重量を測定する重量測定器と、前記重量測定装置を傾動させる容器駆動部と、を備え、
前記重量測定容器は、所定数の前記サンプルを収容した状態で前記重量測定装置によってその重量が測定される重量測定位置と、該重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出するサンプル排出位置の間で作動することを特徴とするサンプル重量測定装置。
【請求項8】
請求項7記載のサンプル重量測定装置において、
前記重量測定容器は、一端側を中心に傾動自在に設けられ、
前記容器駆動部は、前記重量測定容器の他端側を押し上げることにより、前記重量測定容器を一端側を下にして傾かせ、前記重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出させることを特徴とするサンプル重量測定装置。
【請求項9】
請求項8記載のサンプル重量測定装置において、
前記重量測定容器は、前記一端側に開口形成された開口部と、前記開口部に揺動自在に取り付けられたフラップドアと、を有し、
前記フラップドアは、前記重量測定位置においては前記開口部を閉鎖し、前記サンプル排出位置では前記開口部を開放することを特徴とするサンプル重量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体のコーティング工程におけるコーティング量の経過観察に用いられるサンプリングシステムに関し、特に、パンコーティング装置に付属し、取り出したサンプルを一定量保管し、重量測定し、排出することを自動にて行う自動重量測定装置を備えたサンプリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等を被処理物とする粉粒体のコーティング処理では、コーティング工程管理として、処理中の錠剤等を取り出してコーティングの進行状況を確認するサンプリング検査が実施される。サンプリング検査は、コーティング処理の間定期的に行われ、コーティングパン(以下、適宜「パン」と略記する)内から一定量の錠剤等のサンプルを取り出し、その重量を測定する。そして、サンプル重量から錠剤等表面のコーティング皮膜量を算出し、それに基づいてコーティング膜厚を計算してコーティングの進行状況を把握する。
【0003】
このようなサンプリング検査は、従来、コーティング処理中に一旦パンを停止させて処理中の被処理物をすくい出してサンプルを取得し、その重量を測定する方式が一般的であった。しかし、このような方式は、コーティング処理を止めることなくサンプリング検査を行うことができず、生産性が低下するという課題がある。このため、近年では、パン内に吸引管を挿入設置して被処理物を吸い出したり、コーティングパンの内部に、回転中のパンから錠剤等を取り出すためのサンプル排出ガイドを設置したりすることにより、一定量のサンプルを自動的に取得する方式も多く用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、パンコーティング装置から一定量のサンプルを取り出すための吸引式のサンプリング装置が開示されている。そこでは、取り出されたサンプルは、サンプル取得部に一時的に溜められる。サンプル取得部には、フラップドアが設置されている。サンプリング装置の吸引を止めると、サンプル取得部の負圧が解除され、フラップドアが重力によって開き取り出したサンプルが排出される。排出されたサンプルはさらに重量測定装置に運ばれ、そこでサンプルの重量が測定される。この際、サンプル数も計数され、サンプル数とサンプル重量からコーティング皮膜量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-292753号公報
【特許文献2】特開2001-335147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パンコーティング装置からのサンプル取り出しが、特許文献1のような装置によって自動化されても、重量が測定されたサンプルは手動により重量測定装置から排出される。また、サンプル数のカウントも手動や目視による場合が多く、サンプリング検査過程全体が全自動化されておらず、コーティング処理の効率化の点で改善が求められていた。
【0007】
本発明の目的は、コーティング処理工程におけるサンプリング検査を自動化し、コーティング工程管理の効率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサンプリングシステムは、コーティング装置内の被処理物をサンプルとして装置外部に取り出し、所定数の前記サンプルの重量を測定するコーティング装置用サンプリングシステムであって、前記コーティング装置から前記サンプルを取り出すサンプル取得装置と、取り出された前記サンプルを搬送しつつ、該サンプルのうち所定数を重量測定用に振り分けるサンプル搬送装置と、前記サンプル搬送装置によって振り分けられた所定数の前記サンプルの重量を測定するサンプル重量測定装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、サンプル取得装置によりコーティング装置からサンプルを取り出し、サンプル搬送装置によって、取り出されたサンプルを搬送しつつ、該サンプルのうち所定数を重量測定用に振り分ける。そして、サンプル搬送装置によって振り分けられた所定数のサンプルの重量をサンプル重量測定装置によって測定する。これにより、コーティング装置から取り出したサンプルのうちの一定数量のものの重量を正確かつ確実に測定でき、コーティング装置におけるサンプリング検査処理の全自動化を図ることが可能となり、コーティング工程管理の効率化が図られる。
【0010】
前記サンプリングシステムにおいて、前記サンプル搬送装置は、前記サンプルを1個ずつ吸引搬送する搬送ディスクを備え、前記搬送ディスクは、前記サンプル重量測定装置に接続され所定数の前記サンプルを該搬送ディスクから離脱させるサンプル導入部と、前記サンプル導入部にて離脱しなかった余剰の前記サンプルを該搬送ディスクから離脱させるサンプル排出部と、を有するようにしても良い。この場合、前記サンプル搬送装置に、前記サンプル取得装置から供給される前記サンプルを前記搬送ディスクに1個ずつ供給するサンプルフィーダをさらに設けても良い。
【0011】
また、前記サンプリングシステムにおいて、前記サンプル重量測定装置は、前記サンプル搬送装置から供給される前記サンプルを貯留する重量測定容器と、前記重量測定装置の重量を測定する重量測定器と、前記重量測定装置を傾動させる容器駆動部と、を備え、前記重量測定容器は、所定数の前記サンプルを収容した状態で前記重量測定装置によってその重量が測定される重量測定位置と、該重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出するサンプル排出位置の間で作動するようにしても良い。
【0012】
さらに、前記重量測定容器は、一端側を中心に傾動自在に設けられ、前記容器駆動部は、前記重量測定容器の他端側を押し上げることにより、前記重量測定容器を一端側を下にして傾かせ、前記重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出させるようにしても良い。この場合、前記重量測定容器に、前記一端側に開口形成された開口部と、前記開口部に揺動自在に取り付けられたフラップドアと、を設け、前記フラップドアは、前記重量測定位置においては前記開口部を閉鎖し、前記サンプル排出位置では前記開口部を開放するようにしても良い。
【0013】
一方、本発明のサンプル重量測定装置は、コーティング装置内からサンプルとして取り出された被処理物の重量を測定するサンプル重量測定装置であって、前記サンプルを貯留する重量測定容器と、前記重量測定装置の重量を測定する重量測定器と、前記重量測定装置を傾動させる容器駆動部と、を備え、前記重量測定容器は、所定数の前記サンプルを収容した状態で前記重量測定装置によってその重量が測定される重量測定位置と、該重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出するサンプル排出位置の間で作動することを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、重量測定容器を重量測定位置に配し、所定数のサンプルを収容した状態で重量測定装置によってサンプルの重量を測定する。重量測定後、重量測定容器をサンプル排出位置に傾動させ、重量測定容器内のサンプルを容器外に排出する。これにより、コーティング処理中のサンプルの重量測定、排出が自動で行われ、パンコーティング装置におけるサンプリング処理が自動で確実に実施される。
【0015】
前記サンプル重量測定装置において、前記重量測定容器は、一端側を中心に傾動自在に設けられ、前記容器駆動部は、前記重量測定容器の他端側を押し上げることにより、前記重量測定容器を一端側を下にして傾かせ、前記重量測定容器内の前記サンプルを容器外に排出させるようにしても良い。この場合、前記重量測定容器に、前記一端側に開口形成された開口部と、前記開口部に揺動自在に取り付けられたフラップドアと、を設け、前記フラップドアは、前記重量測定位置においては前記開口部を閉鎖し、前記サンプル排出位置では前記開口部を開放するようにしても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のサンプリングシステムによれば、コーティング装置内の被処理物をサンプルとして装置外部に取り出し、所定数のサンプルの重量を測定するコーティング装置用サンプリングシステムにて、コーティング装置からサンプルを取り出すサンプル取得装置と、取り出されたサンプルを搬送しつつその所定数を重量測定用に振り分けるサンプル搬送装置と、サンプル搬送装置によって振り分けられた所定数のサンプルの重量を測定するサンプル重量測定装置と、を設けたので、コーティング装置から取り出されたサンプルを、サンプル搬送装置によって搬送しつつ所定数を重量測定用に振り分け、その重量をサンプル重量測定装置によって測定することが可能となる。したがって、コーティング装置から取り出したサンプルのうちの一定数量のものの重量を正確かつ確実に測定でき、サンプリング検査を自動化し、コーティング工程管理の効率化を図ることが可能となる。
【0017】
本発明のサンプル重量測定装置によれば、サンプルを貯留する重量測定容器と、重量測定装置の重量を測定する重量測定器と、重量測定装置を傾動させる容器駆動部と、を備え、重量測定容器が、所定数のサンプルを収容した状態で重量測定装置によって重量が測定される重量測定位置と、重量測定容器内のサンプルを容器外に排出するサンプル排出位置の間で作動するようにしたので、コーティング処理中のサンプルの重量測定、排出を自動で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態であるコーティング装置用サンプリングシステムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図1のシステムにて使用されるサンプル搬送装置の構成を示す説明図である。
【
図3】
図1のシステムにて使用されるサンプル重量測定装置の構成を示す説明図である。
【
図4】サンプル重量測定装置の構成を示す説明図であり、重量測定ボックスが錠剤排出位置Yとなった状態を示している。
【
図5】重量測定装置における重量測定ボックスの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるサンプリングシステム1の全体構成を示す説明図である。当該サンプリングシステム1は、パンコーティング装置(粉粒体処理装置)2にてコーティング処理中の錠剤(被処理物)を装置外に取り出し、その重量を測定してコーティング処理の進行状況を把握するシステムである。
図1に示すように、サンプリングシステム1は、パンコーティング装置2からサンプルを取り出すサンプル取得装置3と、取り出されたサンプルを搬送しつつ所定数のサンプルを重量測定用に振り分けるサンプル搬送装置4と、所定数に振り分けられたサンプルの重量を測定するサンプル重量測定装置5と、を備えた構成となっている。
【0020】
パンコーティング装置2からは、サンプル取得装置3によってサンプル(コーティング処理中の錠剤)が取り出される。取り出されたサンプルは、サンプル搬送装置4(以下、搬送装置4と略記する)によって搬送されつつ任意に設定した錠数が振り分けられサンプル重量測定装置5(以下、重量測定装置5と略記する)に送られる。重量測定装置5では、所定錠数のサンプルの重量が測定される。重量測定装置5で得られたデータは、パンコーティング装置2の制御装置6に送られて解析される。制御装置6は、サンプル重量から錠剤等表面のコーティング皮膜量を算出し、それに基づいてコーティング膜厚を把握しコーティング処理状況を検出する。
【0021】
パンコーティング装置2は、回転ドラム(コーティングパン)11を使用した粉粒体処理装置である。回転ドラム11内には、コーティング対象の被処理物として錠剤10が収容され、そこにコーティング液を噴霧することにより、錠剤10のコーティング処理が行われる。サンプル取得装置3は、吸引式のサンプリング装置であり、回転ドラム11内に延びる吸引管12にてドラム内の錠剤10を吸引する。回転ドラム11から吸引された錠剤10は、サンプル収容室13内にサンプル14として貯留される。サンプル収容室13では、吸引停止に伴い、サンプル14の自重にて底部ドア15が開き、サンプル14は収容室下方に配された搬送装置4に送給される。
【0022】
図2は、搬送装置4の構成を示す説明図である。
図2に示すように、搬送装置4には、サンプルフィーダ16と搬送ディスク17が設けられている。サンプルフィーダ16は振動式パーツフィーダとなっており、サンプル収容室13から搬送装置4に送給されたサンプル14は、サンプルフィーダ16によって順に搬送ディスク17側に送られる。搬送ディスク17の側周面18には周方向に沿って吸引孔19が複数設けられている。搬送ディスク17は、吸引孔19によってサンプル14の側周面を吸着し、サンプル14を1個ずつ周方向に吸引搬送できるようになっている。サンプルフィーダ16によって送られてきたサンプル14は、サンプルフィーダ16に臨むサンプル取得部21にて搬送ディスク17にキャッチされ、周方向に回転搬送される。
【0023】
サンプル取得部21から約90度回転した位置には、重量測定装置5に連通する測定錠搬送路22が設けられている。搬送ディスク17によって吸引搬送されるサンプル14は、測定錠搬送路22のあるサンプル導入部23に至ると、エアノズル24によって吹き飛ばされる形で測定錠搬送路22に送給される。この際、測定錠搬送路22には、所定の個数(例えば、50個)だけサンプル14が送り込まれる。測定錠搬送路22は、重量測定装置5と接続されており、したがって、当該システムでは、重量測定装置5に対し予め定めた所定個数のサンプル14が正確かつ確実に供給される。
【0024】
一方、サンプル14は、重量測定を予定する個数よりも多く採取される。このため、測定錠搬送路22に所定個数を送った後は、余剰のサンプル14は、サンプル排出部25に設けられた余剰錠排出路26から排出される。サンプル排出部25は、サンプル導入部23から約30度回転した位置に設けられており、サンプル14がそこに至ると、吸引孔19による吸引が停止されると共に、エアノズル27によって吹き飛ばされ余剰錠排出路26に送られる。余剰錠排出路26に送られた余剰のサンプル14は、余剰錠排出路26の下端に配された排出容器28に収容され、廃棄あるいは再度回転ドラム11内に戻される。
【0025】
図3,4は、重量測定装置5の構成を示す説明図である。
図3に示すように、重量測定装置5は測定錠搬送路22の下方に配されており、測定錠搬送路22から来たサンプル14が貯留される箱状の重量測定ボックス31(重量測定容器、以下、ボックス31と略記する)を備えている。ボックス31の下には、ボックス31の重量を測定する重量測定器32が配設されている。ボックス31は、ヒンジ33を中心に重量測定位置Xと錠剤排出位置Yとの間で傾動可能に設けられている。また、ボックス31の一端部側は開口しており、その開口部34には、ヒンジ35によって揺動自在に支持されたフラップドア36が取り付けられている。重量測定装置5にはさらに、ボックス31を位置X・Y間で作動させるための容器駆動部37が設けられている。
【0026】
ボックス31の上面には、測定錠搬送路22の下端開口部22aに対向して錠剤導入孔38が形成されている。錠剤導入孔38の周囲には、測定錠搬送路22の下端部22bの下方を囲むように周壁39が立設されている。周壁39は、ボックス31が重量測定位置Xにあるとき測定錠搬送路22の下端部22b下方を囲む一方、ボックス31が錠剤排出位置Yに傾動する際には、周壁39と下端部22bが当接しないよう四周のうち2辺が切り欠かれている。
【0027】
容器駆動部37は、ボックス31を傾動させるための容器駆動ロッド41と、ロッド41を伸縮させるためのエアシリンダ42とを備えている。容器駆動ロッド41は、ボックス31が重量測定位置Xのときは、ボックス31から下に離れた位置に待機している。一方、ボックス31を錠剤排出位置Yに傾動させるときは、容器駆動ロッド41は伸張してボックス31の他端側下面31aに当接し、ボックス31を押し上げる(
図4,5参照)。容器駆動ロッド41の伸張によってボックス31が一端側(フラップドア36がある側)を下にして傾くと、フラップドア36が自重にて開き、ボックス31内のサンプル14が開口部34からボックス外に流出する。このとき、開口部34は排出容器28に臨んで開口し、ボックス31内のサンプル14は、排出容器28に流入する。
【0028】
このようなサンプリングシステム1では、次のようにして、コーティング処理中の錠剤をサンプリング取得し、その重量測定を行う。この際、下記の一連の処理は、制御装置6により全自動にて実施される。ここでは、まず、サンプル取得装置3により、回転ドラム11内からサンプル14を取り出す。サンプル取得装置3では、図示しない吸引装置によってサンプル収容室13内を負圧とし、回転ドラム11内からサンプル錠剤を吸引し貯留する。所定量以上のサンプル14を取得した後、吸引装置による吸引を停止する。これにより、サンプル収容室13内が大気圧に戻り、サンプル14の自重によって底部ドア15が開放され、サンプル14が搬送装置4のサンプルフィーダ16に送られる。
【0029】
サンプルフィーダ16に送られたサンプル14は、フィーダの振動に伴い、サンプル取得部21に順に移動し、そこで搬送ディスク17に吸着される。搬送ディスク17では、各吸引孔19に1個ずつサンプル14が吸着される。搬送ディスク17の側周面18に吸着されたサンプル14は、サンプル導入部23に向かって水平に回転搬送される。サンプル導入部23では、一定数量のサンプル14がエアノズル24によって測定錠搬送路22に送られる。この際、余剰となったサンプル14は、サンプル排出部25にて余剰錠排出路26から排出容器28へと排出される。
【0030】
サンプル導入部23から測定錠搬送路22に送られたサンプル14は、測定錠搬送路22を下って下端開口部22aに至り、ボックス31上面の錠剤導入孔38からボックス内に収容される。このとき、ボックス31は、水平状態の重量測定位置Xにあり、フラップドア36が閉じ開口部34が閉鎖されているため、ボックス内からサンプル14が流出することはない。一定数量のサンプル14がボックス内に収まると、重量測定装置5によって容器の重量が測定される。重量測定装置5で得られた重量データは、制御装置6に送られて解析される。この場合、ボックス31の重量は予め分かっているため、制御装置6では、重量データからサンプル重量を演算し、それに基づいてコーティング量を算出する。
【0031】
サンプル14の重量測定を行った後、容器駆動部37のエアシリンダ42を作動させ、容器駆動ロッド41を伸張させる。これにより、
図5に一点鎖線にて示したように、ボックス31の他端側が押し上げられ、ボックス31が傾斜しフラップドア36が自重にて開き、開口部34が開放される。このため、ボックス31が傾くと、ボックス内のサンプル14は開口部34からボックス外に流出し、排出容器28に流入する。排出容器28内に入ったサンプル14は、前述のように、余剰サンプルと共に廃棄あるいは回転ドラム11内に戻される。
【0032】
このように、本発明によるサンプリングシステム1では、パンコーティング装置2から個々に吸着搬送された錠剤サンプル14を、一定数量となるようにボックス31に導入する。これにより、規定個数のサンプル14を正確かつ確実にボックス31に送ることができ、正確かつ確実に供給でき、作業員による計数作業を省くことが可能となる。また、ボックス31にて重量測定を行った後は、容器駆動部37の傾斜機構により、ボックス31を傾斜させ、傾斜により開くフラップドア36からサンプル14を排出する。これにより、サンプルを測定装置から手動にて取り出したり、排出させたりする作業が不要となり、サンプリング検査の効率化が図られる。したがって、コーティング処理工程において、一定数の錠剤サンプルの重量測定を自動で行い、さらに、このサンプルを自動的に排出することが可能となり、パンコーティング装置におけるサンプリング検査処理が全自動化され、コーティング工程管理の効率化が図られる。
【0033】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、錠剤の搬送をディスク吸着にて行っているが、搬送手段はディスクには限られず、例えば、ベルトコンベヤーやシュートなど、種々の方法を使用し得る。ただし、ディスク搬送は、ディスク外周に設けた吸着孔に一錠ずつ錠剤を吸着して搬送するため、確実に一定数量の錠剤を重量測定装置に供給することができる。また、ディスク近傍に光学検査装置(例えば、近赤外線検査装置:NIR)などを配置することにより、搬送途中の錠剤をリアルタイムで測定でき、工程管理(Process Analytical Technology)の面からもディスク搬送は有用である。
【0034】
また、前述の実施形態では、ボックス31を傾動させる機構として、容器駆動ロッド41とエアシリンダ42を用いた構成を示したが、重量測定ボックスを傾斜させる手段としては、ワイヤ等によってボックスを持ち上げるなど、他の種々の昇降機構を用いてことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、薬や健康食品などの錠剤以外にも、ガムやチョコレートなどの菓子や他の食品のコーティング処理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 サンプリングシステム
2 パンコーティング装置
3 サンプル取得装置
4 サンプル搬送装置
5 サンプル重量測定装置
6 制御装置
10 錠剤(被処理物)
11 回転ドラム
12 吸引管
13 サンプル収容室
14 サンプル
15 底部ドア
16 サンプルフィーダ
17 搬送ディスク
18 側周面
19 吸引孔
21 サンプル取得部
22 測定錠搬送路
22a 下端開口部
22b 下端部
23 サンプル導入部
24 エアノズル
25 サンプル排出部
26 余剰錠排出路
27 エアノズル
28 排出容器
31 重量測定ボックス
31a 他端側下面
32 重量測定器
33 ヒンジ
34 開口部
35 ヒンジ
36 フラップドア
37 容器駆動部
38 錠剤導入孔
39 周壁
41 容器駆動ロッド
42 エアシリンダ
X 重量測定位置
Y 錠剤排出位置