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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100086
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/66 20060101AFI20230710BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230710BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B65D75/66
B65D33/00 C
B65D33/25 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000489
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 隆行
(72)【発明者】
【氏名】九十九 勇二
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN13
3E064HP03
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA15
3E067EA17
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】包装フィルムの内面側に貼り合わされた開封用テープを引っ張って開封する包装袋であって、引裂き開封の途中で開封用テープが千切れることがなく、大きく開封することができる包装袋を提供すること。
【解決手段】包装袋の表側包装フィルム11の内面側に開封用テープ13が貼り合わされ、この開封用テープ13の開封開始部において貫通孔11αが設けられており、この露出したこの貫通孔11αから前記開封用テープ13を引っ張ることにより、前記包装フィルム11を前記開封用テープ13の長手方向に沿って引裂いて開封する。そして、表側包装フィルム11には、前記開封用テープの外側であって、その長手方向に沿って延在する第1の弱化線11βと、開封用テープ13の側縁部から第1の弱化線に達する第2の弱化線11βとが施されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ねられた包装フィルム同士を周縁でシールして密封した包装袋であって、
一方の包装フィルムの内面側に開封用テープが貼り合わされており、この開封用テープの開封開始部において前記包装フィルムに貫通したスリット又は貫通孔が設けられており、このスリット又は貫通孔から前記開封用テープを引っ張ることにより、前記包装フィルムを前記開封用テープの長手方向に沿って引裂いて開封する包装袋において、
開封時に引裂かれる前記包装フィルムに弱化線が施されており、この弱化線が、前記開封用テープの外側であって、その長手方向に沿って延在する第1の弱化線と、開封用テープの側縁部から第1の弱化線に達する第2の弱化線とを含むことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記第1の弱化線が複数本設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
複数本の前記第1の弱化線のうち、前記開封用テープにもっとも近い弱化線と前記開封用テープとの間の距離が2mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
第1の弱化線同士の間の距離が2mm以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記第2の弱化線が、包装フィルムの引裂き方向に向けて斜め方向に延在する線から成ることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記第2の弱化線が、包装フィルムの引裂き方向に4mm進むとき、前記開封用テープの外側に向けて3mm以下の範囲で進む直線から成ることを特徴とする請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
前記第2の弱化線が複数本設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の包装袋。
【請求項8】
前記第2の弱化線同士の間の距離を開封用テープの長手方向に沿って測定したとき、その距離が2mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の包装袋。
【請求項9】
前記包装フィルムの厚さが30μm以上であり、前記第1の弱化線及び第2の弱化線が前記包装フィルムの厚さの15%以上の深さに設けられた線から成ることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の包装袋。
【請求項10】
前記包装フィルムが基材フィルムとシーラント層とを積層して構成されたものであり、この基材フィルムが、その層構成中に延伸フィルムを含むことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の包装袋。
【請求項11】
前記第1の弱化線及び第2の弱化線が前記基材フィルムに設けられた線から成ることを特徴とする請求項10に記載の包装袋。
【請求項12】
前記基材フィルムが、その層構成中に、極性基を有する樹脂層を含み、前記第1の弱化線及び第2の弱化線が、レーザー光の吸収によって設けられた線から成ることを特徴とする請求項11に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封用テープを用いて開封する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋を構成する包装フィルムの内面側に開封用テープが貼り合わせた包装袋は公知である(特許文献1参照)。
【0003】
この包装袋200は図3に示すようなものである。なお、図3は包装袋200全体を示す平面図で、図4にその要部を説明するための説明用要部断面図を示す。図4(a)は図3のX-X線における説明用要部断面図、図4(b)は図3のY-Y線における説明用要部断面図である。また、これに対応して、開封時の要部を説明するための説明用要部断面図を図5に示す。図5(a)は開封時における図3のX-X線における説明用要部断面図、図5(b)は開封時における図3のY-Y線における説明用要部断面図である。
【0004】
この包装袋200は、表側包装フィルム21と裏側包装フィルム22とを重ね、その周縁で互にシールして密封したものである。もっとも、図3において裏側包装フィルム22は表側包装フィルム21の背後に隠れているから、図示されていない。また、この図3において、a,b,c,dは、それぞれ、周縁シール線を示す符号であり、「a」は左側シール線、「b」は右側シール線、「c」は上部シール線、「d」は底部シール線を示している。また、左側シール線aと上部シール線cとが交わる角部には幅広のシール部(以下「開封開始部用シール部」という)eが設けられている。
【0005】
そして、これら表裏の包装フィルム21,22には、その内面にプラスチックジッパー24が貼り合わされている。プラスチックジッパー24は凹型咬合テープ24と凸型咬合テープ24とで構成されており、この両者24,24は互いに咬合った状態で表側の包装フィルム21に貼り合わされている。この例では、凸型咬合テープ24が表側包装フィルム21の内面に接して貼り合わされている。
【0006】
そして、図4(b)に図示のように、これら凸型咬合テープ24と凹型咬合テープ24の中でも凹型咬合テープ24は開封開始部用シール部eまで延在しており、一方、凸型咬合テープ24は開封用テープ23に達するまで延在していない。
【0007】
次に、表裏の包装フィルム21,22のうち、表側包装フィルム21の内面側には、開封用テープ23が貼り合わされている。この開封用テープ23は、前記開封開始部用シール部eの内部を通って、左側シール線aから右側シール線bまで、図示包装袋200の左右方向に延在している。
【0008】
そして、このため、開封開始部用シール部eでは、図4(a)から分かるように、表側包装フィルム21の内面側に開封用テープ23が貼り合わされ、凹型咬合テープ24は開封用テープ23と剥離容易に貼り合わされている。
【0009】
そして、この開封開始部用シール部eにおいては、開封開始部用シール部eを貫通したスリット又は貫通孔20aが設けられている。すなわち、このスリット又は貫通孔20aは、表側包装フィルム21、開封用テープ23、凹型咬合テープ24及び裏側包装フィルム22のすべてを貫通している。なお、スリット又は貫通孔20aは、図3に図示のように、開封用テープ23を切断して、その切断した開封用テープ23の端部を囲む形状に設けられ、こうして囲まれた領域を開封開始部20としている。このようにスリット又
は貫通孔20aが開封開始部20を囲む形状を有しているため、この開封開始部20から開封用テープ23を引っ張って、包装袋200外側に容易に引き出すことが可能となっている。
【0010】
また、この開封開始部用シール部eの内部であって、前記スリット又は貫通孔20aよりも引裂き方向側には、スリット又は孔20bが設けられている。スリット又は孔20bは、凹型咬合テープ24及び裏側包装フィルム22を貫通して、しかも、開封用テープ23を貫通しない深さに設けられている。
【0011】
以上の説明から明らかなように、この包装袋200は、次のように開封して使用するものである。すなわち、前記スリット又は貫通孔20aに指を差し入れて、このスリット又は貫通孔20aに囲まれた領域を開封開始部20Aとして、この開封開始部20Aを引っ張ることにより、まず前記スリット又は孔20bで凹型咬合テープ24及び裏側包装フィルム22とが切断され、次に、開封用テープ23が凹型咬合テープ24から剥離する(図5(a)参照)。そして、さらに引っ張ることにより、表側包装フィルム21が開封用テープ23の長手方向に沿って引裂かれて開封することができる。
【0012】
なお、この包装袋200は、ジッパー24を使用して、開封した包装袋200を再封することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2018-188196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、図4に示すように、包装袋200を構成する包装フィルム21は、基材フィルム21の内面側にシーラント層21を積層して構成されていることが通常である。
【0015】
基材フィルム21には、単層構造のフィルムが使用されることもあるし、多層構造のフィルムが使用されることもある。いずれの場合であっても、基材フィルム21がその層構成中に延伸フィルムを含んでおり、しかも、比較的厚い場合には、開封用テープ23を引っ張って引裂き開封する際に、その途中で開封用テープ23が千切れてしまうことがあった。
【0016】
この原因は明確ではないが、基材フィルム21中に含まれる延伸フィルムの延伸方向と引っ張る方向とが交差する結果、開封用テープ23が耐え切れずに破断するものと推測できる。
【0017】
本発明はこのような背景のもとでなされたもので、包装フィルムの内面側に貼り合わされた開封用テープを引っ張って開封する包装袋であって、引裂き開封の途中で開封用テープが千切れることがなく、大きく開封することができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、請求項1に記載の発明は、互いに重ねられた包装フィルム同士を周縁でシールして密封した包装袋であって、
一方の包装フィルムの内面側に開封用テープが貼り合わされており、この開封用テープの開封開始部において前記包装フィルムに貫通したスリット又は貫通孔が設けられており、このスリット又は貫通孔から前記開封用テープを引っ張ることにより、前記包装フィルムを前記開封用テープの長手方向に沿って引裂いて開封する包装袋において、
開封時に引裂かれる前記包装フィルムに弱化線が施されており、この弱化線が、前記開封用テープの外側であって、その長手方向に沿って延在する第1の弱化線と、開封用テープの側縁部から第1の弱化線に達する第2の弱化線とを含むことを特徴とする包装袋である。
【0019】
前記第1の弱化線は1本に限られず、複数本設けられていてもよい。この場合、複数本の前記第1の弱化線のうち、前記開封用テープにもっとも近い弱化線と前記開封用テープとの間の距離が2mm以下であることが望ましい。また、第1の弱化線同士の間の距離は2mm以下であることが望ましい。
【0020】
また、前記第2の弱化線は、包装フィルムの引裂き方向に向けて斜め方向に延在する線から成るものであってよい。例えば、この第2の弱化線を、包装フィルムの引裂き方向に4mm進むとき、前記開封用テープの外側に向けて3mm以下の範囲で進む直線から成るものとすることができる。
【0021】
また、この第2の弱化線を複数本設けることも可能である。このとき、第2の弱化線同士の間の距離を開封用テープの長手方向に沿って測定したとき、その距離は2mm以下であることが望ましい。
【0022】
なお、これら第1の弱化線及び第2の弱化線は前記包装フィルムの厚さの15%以上の深さに設けられた線から成ることが望ましい。
【0023】
次に、前記包装フィルムは基材フィルムとシーラント層とを積層して構成されたものであってよく、この基材フィルムは、その層構成中に延伸フィルムを含むものであってよい。この場合、前記第1の弱化線及び第2の弱化線は前記基材フィルムに設けられた線から成ることが望ましい。この基材フィルムが、その層構成中に、極性基を有する樹脂層を含んでいる場合、レーザー光の吸収によって形成された線によって、前記第1の弱化線及び第2の弱化線を構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては2種類の弱化線、すなわち、開封用テープの外側であって、その長手方向に沿って延在する第1の弱化線と、開封用テープの側縁部から第1の弱化線に達する第2の弱化線とを含むため、包装フィルムが延伸フィルムを含んでいたり、あるいはこれに加えて100μm以上の厚いシーラントフィルムを使用している場合でも、引裂きのために引っ張った場合でも、開封用テープが千切れることがなく、設計とおりに大きく開封することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の実施の形態に係り、その包装袋の平面図である。
図2図2は本発明の実施の形態に係り、その要部を説明するための要部拡大平面図である。
図3図3は従来の包装袋に係り、その平面図である。
図4図4は従来の包装袋に係り、図4(a)は図3のX-X線における要部断面説明図、図4(b)は図3のY-Y線における要部断面説明図である。
図5図5は従来の包装袋に係り、図5(a)は開封時における図3のX-X線における説明用要部断面図、図5(b)は開封時における図3のY-Y線における要部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係り、その包装袋の平面図であり、図2はその要部を説明するための要部拡大平面図である。
【0027】
この包装袋100の主たる構造は、前述の包装袋200と同様である。すなわち、包装袋100は、表側包装フィルム11と裏側包装フィルム12(図示せず)とを重ね、その周縁で互にシールして密封したもので、図中、「a」は左側シール線、「b」は右側シール線、「c」は上部シール線、「d」は底部シール線、「e」は開封開始部用シール部を示している。
【0028】
そして、表側包装フィルム11の内面には凸型咬合テープ14が貼り合わされ、裏側包装フィルム12の内面には凹型咬合テープ14が貼り合わされて、これら凸型咬合テープ14と凹型咬合テープ14の両者は互いに咬合っている。そして、凹型咬合テープ14は開封開始部用シール部eまで延在しており、一方、凸型咬合テープ14は開封用テープ13に達するまで延在していない。
【0029】
そして、表側包装フィルム11の内面側には開封用テープ13が貼り合わされており、この開封用テープ13は開封開始部用シール部eの内部を通って、左側シール線aから右側シール線bまで、図示包装袋100の左右方向に延在している。なお、凹型咬合テープ14と凹型咬合テープ14とは剥離容易に貼り合わされている。
【0030】
また、この開封開始部用シール部eにおいて、開封開始部用シール部eを貫通したスリット又は貫通孔10aが設けられており、従来の包装袋200の場合と同様に、このスリット又は貫通孔10aは、表側包装フィルム11、開封用テープ13、凹型咬合テープ14及び裏側包装フィルム12のすべてを貫通して、このスリット又は貫通孔10aで囲んだ領域を開封開始部10としている。いる。また、この開封開始部用シール部eの内部であって、前記スリット又は貫通孔10aよりも引裂き方向側には、スリット又は孔10bが設けられている。スリット又は孔10bは、凹型咬合テープ14及び裏側包装フィルム12を貫通して、しかも、開封用テープ13を貫通しない深さに設けられている。
【0031】
この包装袋100においては、前述の包装袋200と異なり、開封用テープ13が貼り合わされた表側包装フィルム11に2種類の弱化線11α,11βが施されている。
【0032】
この2種類の弱化線11α,11βのうち、第1の弱化線11αは、開封用テープ13の外側であって、その長手方向に沿って延在している。この第1の弱化線11αは、開封時に表側包装フィルム11を引き裂く引裂き線が開封用テープ13の側縁部からはずれたとき、この引裂き線を誘導して、開封用テープ13が千切れることを防ぐもので、このため、引裂きを予定している終端まで延在していることが望ましい。
【0033】
また、この第1の弱化線11αは、開封用テープ13の両側にそれぞれ1本ずつ設けても良いが、加工時にその位置がずれた場合でも、確実に第1の弱化線11αが開封用テープ13の外側に位置するように、開封用テープ13の両側にそれぞれ複数本の第1の弱化線11αを設けることが望ましい。この実施の形態に係る包装袋100においては、開封用テープ13の両側にそれぞれ2本ずつ第1の弱化線11αが設けられているが、これに限らず、開封用テープ13の両側にそれぞれ3本以上設けてもよい。いずれにしても、これら第1の弱化線11αのうち、開封用テープ13にもっとも近い第1の弱化線11αと開封用テープ13との間の距離z1は2mm以下であることが望ましい。この例では、開封用テープ13の幅z0は2mm、距離z1は1mmである。なお、第1の弱化線11αを複数本設けた場合、これら第1の弱化線11α同士の間の距離z2は2mm以下であることが望ましく、また、前記距離z1と等しいことが望ましい。この包装袋100では、第1の弱化線11α同士の間の距離z2は、前記距離z1と同じ1mmである。
【0034】
次に、第2の弱化線11βは、引裂き線が開封用テープ13の側縁部からはずれたときに、その引裂き線を第1の弱化線11αまで誘導するもので、このため、開封用テープ13の側縁部から第1の弱化線11αに達している。このため、この第2の弱化線11βは、図示のように、表側包装フィルム11の引裂き方向に向けて斜め方向に延在する線で構成されている。また、前記引裂き線を無理なく第1の弱化線11αまで誘導するため、表側包装フィルム11の引裂き方向に4mm進むとき、開封用テープ13の外側に向けて3mm以下の範囲で進む直線から成ることが望ましい。なお、第2の弱化線11βは直線に限らず、曲線であってもよいが、曲線から成るばあいにも、第2の弱化線11βは、表側包装フィルム11の引裂き方向に4mm進むとき、開封用テープ13の外側に向けて3mm以下の範囲で進むことが望ましい。
【0035】
ところで、この実施形態に係る包装袋100では、開封用テープ13の側縁部から、これから2番目に位置する第1の弱化線11αに達するまでに引裂き方向に進む距離y1が4mmである。前述のように、開封用テープ13にもっとも近い第1の弱化線11αと開封用テープ13との間の距離z1が1mm、第1の弱化線11α同士の間の距離z2も1mmであるから、開封用テープ13の側縁部から2番目に位置する第1の弱化線11αに達するまの距離はz1+z2=2mmである。すなわち、この包装袋100では、第2の弱化線11βは、表側包装フィルム11の引裂き方向に4mm進むとき、開封用テープ13の外側に向けて2mm進む直線で構成されている。
【0036】
なお、第1の弱化線11αが複数本設けられている場合には、第2の弱化線11βは、複数本の第1の弱化線11αの全てに達していることが望ましい。また、第2の弱化線11βの終点は、複数本の第1の弱化線11αのうち、開封用テープ13から最も遠い位置に配置された第1の弱化線11α上に位置することが望ましい。第2の弱化線11βによって誘導した引裂き線を確実に第1の弱化線11αに繋げるためである。
【0037】
また、この第2の弱化線11βは、開封用テープ13の両側にそれぞれ1本ずつ設けても良いが、表側包装フィルム11を引き裂く引裂き線を確実に第1の弱化線11αに誘導するため、第2の弱化線11βを複数本設けることが望ましい。図示のように、この包装袋100では、第2の弱化線11βを3本設けている。なお、このように第2の弱化線11βを複数本設けた場合には、第2の弱化線11β同士の間の距離y2を開封用テープの長手方向に沿って測定したとき、その距離y2が2mm以下であることが望ましい。この包装袋100では、距離y2は1mmである。
【0038】
ところで、表側包装フィルム11は任意のフィルムでよいが、その厚みは30μm以上であることが望ましく、また、このとき、前記第1の弱化線11α及び第2の弱化線11βの両者は前記包装フィルムの厚さの15%以上の深さに設けられた線から成ることが望ましく、この場合、表側包装フィルム11を引き裂く引裂き線を確実に誘導して、開封用テープ13が千切れることを防ぐことができる。なお、この表側包装フィルム11が比較的厚いフィルムで構成されている場合に、本発明の利点が好ましく生かされる。例えば、130μm以上の厚みのフィルムである。
【0039】
また、表側包装フィルム11が、基材フィルムとシーラント層とを積層して構成されたもので、しかも、基材フィルムが、その層構成中に延伸フィルムを含むものである場合にも、本発明の利点が好ましく生かされる。基材フィルムは単層構造又は多層構造であってよい。単層構造の延伸フィルムとしては、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエステルフィルムあるいは延伸ポリアミドフィルム等である。また、多層構造でその層
構成中に延伸フィルムを含む基材フィルムとしては、これら延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエステルフィルムあるいは延伸ポリアミドフィルムから選択した2種類以上のフィルムを積層したもので構成することができる。
【0040】
一方、シーラント層としては、慣用のシーラントフィルムを使用することができる。慣用のシーラントフィルムは、一般に、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンから成る無延伸フィルムである。
【0041】
ところで、炭酸ガスレーザーの光は、エステル基やアミド基等の極性基に吸収される一方、無極性基には吸収されないことが知られている。そこで、前記基材フィルムとしてその層構成中に、極性基を有する樹脂層を含むフィルムを使用し、一方、シーラント層として慣用の無極性のポリオレフィンフィルムを使用して、これら基材フィルムとシーラント層とを積層して表側包装フィルム11とした後、この表側包装フィルム11に炭酸ガスレーザーの光を照射すれば、この光は基材フィルム内の極性フィルムに吸収されて第1の弱化線11α及び第2の弱化線11βの両者を形成することができる。なお、このとき、無極性のシーラント層は前記光を吸収しないから、このレーザー光による影響を受けない。極性基を有する樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルムを例示できる。
【0042】
本発明者の検討によれば、延伸ポリエステルフィルム(厚み12μm)と延伸ポリアミドフィルム(厚み15μm)とを積層して二層構造の基材フィルムとし、その延伸ポリアミドフィルム側に直鎖状低密度ポリエチレンから成るシーラントフィルム(厚み100μm)を積層して、表側包装フィルム11(厚み130μm)とした後、炭酸ガスレーザー光線を照射して、この表側包装フィルム11の厚みの20.3%の深さの第1の弱化線11α及び第2の弱化線11βの両者を形成したところ、開封開始部10から開封用テープ13を引っ張って表側包装フィルム11を引き裂き開封したところ、開封用テープ13が千切れることなく、設計とおりに大きく開封することができた。
【0043】
また、延伸ポリエステルフィルム(厚み12μm)と延伸ポリアミドフィルム(厚み15μm)とを積層して二層構造の基材フィルムとし、その延伸ポリアミドフィルム側に直鎖状低密度ポリエチレンから成るシーラントフィルム(厚み120μm)を積層して、表側包装フィルム11(厚み150μm)とした後、炭酸ガスレーザー光線を照射して、この表側包装フィルム11の厚みの18.0%の深さの第1の弱化線11α及び第2の弱化線11βの両者を形成した場合にも、開封用テープ13が千切れることなく、設計とおりに大きく開封することができることが確認できた。
【符号の説明】
【0044】
100:包装袋 10a:貫通したスリット又は貫通孔 10:開封開始部
11:表側包装フィルム
11α:第1の弱化線 11β:第2の弱化線
13:開封用テープ
14:プラスチックジッパー 14:凸型咬合テープ 14:凹型咬合テープ
y1:第2の弱化線11βが、開封用テープ13の側縁部から、これから2番目に位置する第1の弱化線11αに達するまでに引裂き方向に進む距離
y2:開封用テープ13の長手方向に沿って測定したときの第2の弱化線11β同士の間の距離
z0:開封用テープ13の幅
z1:開封用テープ13にもっとも近い第1の弱化線11αと開封用テープ13との間の距離
z2:第1の弱化線11α同士の間の距離
a:左側シール線 b:右側シール線
図1
図2
図3
図4
図5