(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010012
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】プローバ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113754
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】安永 隆史
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD09
4M106DD10
4M106DD23
4M106DH22
4M106DH44
4M106DH45
4M106DJ02
4M106DJ07
(57)【要約】
【課題】プローブカードの真空吸着のための真空圧力の低下を防止することが可能なプローバ及びその制御方法を提供する。
【解決手段】 プローバ(1)は、ウェーハを検査するためのプローブを有するプローブカード(14)と、プローブカードが吸着されるプローブカード吸着ユニット(18)と、第1真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第1真空源(VC1)と、第2真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第2真空源(VC2)と、第2真空吸着ラインに設けられた逆流防止手段(C6~C10)と、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着した後に、第1真空源による吸着に切り替える制御装置(40)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを検査するためのプローブを有するプローブカードと、
前記プローブカードが吸着されるプローブカード吸着ユニットと、
第1真空吸着ラインを介して前記プローブカード吸着ユニットに接続されており、前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第1真空源と、
第2真空吸着ラインを介して前記プローブカード吸着ユニットに接続されており、前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第2真空源と、
前記第2真空吸着ラインに設けられた逆流防止手段と、
前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着した後に、前記第1真空源による吸着に切り替える制御装置と、
を備えるプローバ。
【請求項2】
前記プローブカードの吸着状態を検出するための圧力センサを備え、
前記制御装置は、前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着し、前記吸着状態が正常吸着状態となった場合に、前記第1真空源による吸着に切り替える、請求項1に記載のプローバ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2真空源による吸着から前記第1真空源による吸着への切り替える際に、前記第2真空源による吸着を維持したまま前記第1真空源による吸着を開始した後、前記第2真空源による吸着を停止して、前記第1真空源のみによる吸着に切り替える、請求項2に記載のプローバ。
【請求項4】
前記第1真空吸着ラインと、前記第2真空吸着ラインとは、共通真空吸着ラインを介して前記プローブカード吸着ユニットに接続されており、
前記圧力センサは、前記共通真空吸着ラインに設けられる、請求項2又は3に記載のプローバ。
【請求項5】
前記第1真空吸着ラインに設けられた第1電磁弁と、
前記第2真空吸着ラインに設けられた第2電磁弁とを備え、
前記制御装置は、前記第1電磁弁を遮断状態にし、且つ、前記第2電磁弁を連通状態にすることにより、前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着し、前記第2電磁弁を遮断状態にし、且つ、前記第1電磁弁を連通状態にすることにより、前記第1真空源による吸着に切り替える、請求項1から4のいずれか1項に記載のプローバ。
【請求項6】
第1真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第1真空源と、逆流防止手段が設けられた第2真空吸着ラインを介して前記プローブカード吸着ユニットに接続されており、前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第2真空源とを備えるプローバの制御方法であって、
前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着するステップと、
前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着した後に、前記第1真空源による吸着に切り替えるステップと、
を含むプローバの制御方法。
【請求項7】
前記第2真空源により前記プローブカードを前記プローブカード吸着ユニットに吸着するステップと、
前記第2真空源による吸着の後、圧力センサからの出力に基づいて、前記プローブカードの吸着状態を検出し、前記吸着状態が正常吸着状態となった場合に、前記第1真空源による吸着に切り替えるステップと、
を含む、請求項6に記載のプローバの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプローバ及びその制御方法に係り、半導体ウェーハ上に形成された複数の半導体デバイスの検査を行うためのプローバ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、ウェーハレベル検査では、半導体ウェーハ(以下、ウェーハという。)上に個々の半導体デバイスに対応する複数のチップが形成された段階で、半導体デバイスの電極(パッド)をテスタに接続し、テスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイスが出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。
【0003】
近年の半導体デバイスの微細化及び高集積化の進展により、ウェーハ上の電極が小型化しており、1枚のウェーハに形成されるチップの個数が非常に多くなってきている。それに伴って、プローバでの1枚のウェーハの検査に要する時間も長くなっており、スループットの向上が求められている。そこで、スループットの向上を図るため、多数本のプローブを多段状に配置して複数個のチップを同時に検査するマルチステージ式のプローバが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチステージ式のプローバは、複数の測定ユニット(測定部)を備えており、各測定ユニットにそれぞれ設けられたヘッドステージにプローブカードをそれぞれ吸着保持して、ウェーハチャック上のウェーハに対してウェーハレベル検査を行う。
【0006】
図12は、5個の測定ユニットSU1~SU5におけるプローブカード14-1~14-5の真空吸着を1つの真空源VC10により行う例を示している。
図12に示す例では、1つの真空源VC10から伸びる真空吸着ラインL20が、真空吸着ラインL20-1~L20-5を介して、測定ユニットSU1~SU5のヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ接続されている。この場合、プローブカードの吸着前に行う在荷チェック時に、真空吸着ラインL20-1~L20-5のいずれかで空吸いが発生する場合がある。このような空吸いが発生すると、真空吸着ライン(L20及びL20-1~L20-5)の全体で真空圧力が低下し、プローブカード(14-1~14-5)がヘッドステージ(18-1~18-5)から脱落する場合がある。
【0007】
このような空吸いに起因する真空圧力の低下を防止するためには、
図13に示すように、測定ユニットSU1~SU5ごとに、プローブカード14-1~14-5を吸着するための真空源VC11~VC15をそれぞれ設けることが考えられる。
【0008】
しかしながら、
図13に示すように、測定ユニットSU1~SU5にそれぞれ専用の真空源VC11~VC15を設ける場合、プローバの設置、運用及び維持のためのコスト(ファシリティコスト等)が増加するという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プローブカードの真空吸着のための真空圧力の低下を防止することが可能なプローバ及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るプローバは、ウェーハを検査するためのプローブを有するプローブカードと、プローブカードが吸着されるプローブカード吸着ユニットと、第1真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第1真空源と、第2真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第2真空源と、第2真空吸着ラインに設けられた逆流防止手段と、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着した後に、第1真空源による吸着に切り替える制御装置とを備える。
【0011】
本発明の第2の態様に係るプローバは、第1の態様において、プローブカードの吸着状態を検出するための圧力センサを備え、制御装置は、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着し、吸着状態が正常吸着状態となった場合に、第1真空源による吸着に切り替える。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプローバは、第2の態様において、制御装置は、第2真空源による吸着から第1真空源による吸着への切り替える際に、第2真空源による吸着を維持したまま第1真空源による吸着を開始した後、第2真空源による吸着を停止して、第1真空源のみによる吸着に切り替える。
【0013】
本発明の第4の態様に係るプローバは、第2又は第3の態様において、第1真空吸着ラインと、第2真空吸着ラインとは、共通真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、圧力センサは、共通真空吸着ラインに設けられる。
【0014】
本発明の第5の態様に係るプローバは、第1から第4の態様のいずれかにおいて、第1真空吸着ラインに設けられた第1電磁弁と、第2真空吸着ラインに設けられた第2電磁弁とを備え、制御装置は、第1電磁弁を遮断状態にし、且つ、第2電磁弁を連通状態にすることにより、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着し、第2電磁弁を遮断状態にし、且つ、第1電磁弁を連通状態にすることにより、第1真空源による吸着に切り替える。
【0015】
本発明の第6の態様に係るプローバの制御方法は、第1真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第1真空源と、逆流防止手段が設けられた第2真空吸着ラインを介してプローブカード吸着ユニットに接続されており、プローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着保持するための第2真空源とを備えるプローバの制御方法であって、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着するステップと、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着した後に、第1真空源による吸着に切り替えるステップとを含む。
【0016】
本発明の第7の態様に係るプローバの制御方法は、第6の態様において、第2真空源によりプローブカードをプローブカード吸着ユニットに吸着するステップと、第2真空源による吸着の後、圧力センサからの出力に基づいて、プローブカードの吸着状態を検出し、吸着状態が正常吸着状態となった場合に、第1真空源による吸着に切り替えるステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、逆流防止手段が設けられた第2真空吸着ラインを用いることにより、空吸いが発生して真空圧力が低下しても、プローブカードを正常に吸着保持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチステージ式のプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るマルチステージ式のプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る逆流防止手段の形態を表した模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るプローバの測定ユニットを示す正面図である。
【
図5】
図5は、測定ユニットにおいてプローブカードを吸着するための構成を抽出して示すブロック図(一部断面図)である。
【
図6】
図6は、プローブカードの吸着状態を示すブロック図(一部断面図)である(正常吸着状態)。
【
図7】
図7は、プローブカードの吸着状態を示すブロック図(一部断面図)である(吸着不完全状態)。
【
図8】
図8は、プローブカードの吸着状態を示すブロック図(一部断面図)である(カード無しの状態)。
【
図9】
図9は、圧力センサによる測定値と閾値の例を示すテーブルである。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係るプローバの制御方法(プローブカード装着時)を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係るプローバの制御方法(プローブカードの状態確認時)を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、マルチステージ式のプローバにおける真空源の例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、マルチステージ式のプローバにおける真空源の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明に係るプローバ及びその制御方法の実施の形態について説明する。
【0020】
[プローバの吸着機構]
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチステージ式のプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るプローバ1は、複数(本実施形態では5個)の測定ユニットSU1~SU5を含んでいる。測定ユニットSU1~SU5には、それぞれプローブカード吸着ユニット(ヘッドステージ)18-1~18-5が設けられており、プローブカード14-1~14-5は、それぞれヘッドステージ18-1~18-5に吸着保持される。
【0022】
本実施形態に係るプローバ1は、プローブカード14-1~14-5をヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ吸着保持するための吸着機構100として、2個の第1真空源VC1及び第2真空源VC2(以下、「第1真空源VC1」、「第2真空源VC2」を、それぞれ、単に「真空源VC1」、「真空源VC2」という。)を含んでいる。真空源VC1及びVC2は、相互に独立した真空源であり、例えば、プローバが設置される工場等の真空源、真空ポンプ又はエジェクタ等である。
【0023】
真空源VC1は、真空吸着ラインL1-1~L1-5を介して、ヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ接続されている。真空源VC1は、プローブカード14-1~14-5をヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ吸着保持するためのメインバキュームとして機能する。
【0024】
真空源VC2は、真空吸着ラインL2-1~L2~5を介してヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ接続されている。真空源VC2は、プローブカード14-1~14-5をヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ吸着保持するためのサブバキュームとして機能する。
【0025】
本実施形態では、プローブカード(14-1~14-5)の在荷チェックからヘッドステージ(18-1~18-5)への吸着までの工程をサブバキュームとして機能する真空源VC2により行う。ここで、在荷チェックとは、プローブカード(14-1~14-5)が測定ユニット(SU1~SU5)にロードされたか否かを確認することをいう。そして、プローブカード(14-1~14-5)の吸着状態の確認後にメインバキュームとして機能する真空源VC1に切り替える。
【0026】
真空源VC2に接続する真空吸着ライン(L2-1~L2-5)には、それぞれ逆流防止手段としての逆止弁(
図2のC6~C10)が設けられている。本実施形態では、在荷チェックからヘッドステージ(18-1~18-5)への吸着までの工程を、逆止弁(C6~C10)が設けられた真空吸着ライン(L2-1~L2-5)を介して行うことにより、在荷チェック時の空吸いに起因する真空吸着ラインL1の真空圧力の低下を防止することができる。
【0027】
以下、真空源VC1及びVC2及び真空吸着ライン(L1、L2等)の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、真空源VC1及びVC2は、それぞれ真空吸着ラインL1及びL2に接続されている。真空吸着ラインL1は、真空吸着ラインL1A及びL1Bに分岐しており、真空吸着ラインL1Bは、真空吸着ラインL1-1~L1-5及びL3-1~L3-5に接続されている。一方、真空吸着ラインL2は、真空吸着ラインL2-1~L2-5に接続されている。
【0029】
真空源VC1は、真空吸着ラインL1Aを介して、プローバ1のローダユニット(不図示)等に接続されている。この真空源VC1により、ローダユニット内部にあるウェーハ搬送用アームにウェーハWを吸着して搬送することが可能となっている。真空吸着ラインL1Aには、ウェーハ搬送用アームへのウェーハWの吸着の実行及び解除を行うための電磁弁と、ウェーハWの吸着状態を検出するための圧力センサを設けてもよい(いずれも不図示)。
【0030】
また、真空源VC1は、真空吸着ラインL1B及びL3-1~L3-5を介して、各測定ユニットSU1~SU5に設けられたプローバ構成機器に接続されている。ここで、プローバ構成機器とは、例えば、各測定ユニットSU1~SU5の内部に設けられたクリーニングユニット(プローブ16に付着した削りカスなどの付着物を除去するためのユニット)等である。各真空吸着ラインL3-1~L3-5には、クリーニングユニットの吸引の実行及び停止を行うための電磁弁と、クリーニングユニットの状態(吸引の実行、吸引力の低下及び停止)を検出するための圧力センサを設けてもよい(いずれも不図示)。
【0031】
真空源VC1は、真空吸着ラインL1B及びL1-1~L1-5を介して、各測定ユニットSU1~SU5に設けられたヘッドステージ18-1~18-5に接続されており、ヘッドステージ18-1~18-5にプローブカード14-1~14-5をそれぞれ吸着するための真空圧力を発生させる。
【0032】
真空源VC2は、真空吸着ラインL2及びL2-1~L2-5を介して、各測定ユニットSU1~SU5に設けられたヘッドステージ18-1~18-5に接続されており、ヘッドステージ18-1~18-5にプローブカード14-1~14-5をそれぞれ吸着するための真空圧力を発生させる。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係るマルチステージ式のプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、メインバキューム(真空源VC1)側の真空吸着ラインL1Bには、圧力センサS1及び真空レギュレータR1が設けられている。
【0035】
圧力センサS1は、真空吸着ラインL1B内における圧力を検出し、プローバ1の制御装置(
図4の符号40)に出力する。制御装置40は、圧力センサS1による測定値に基づいて、真空源VC1の稼働状況及び真空吸着ラインL1B内における真空レベルを検出することが可能となっている。
【0036】
真空レギュレータ(真空用圧力調整弁又は減圧弁)R1は、真空吸着ラインL1B内における真空レベルを調整する。
【0037】
真空吸着ラインL1Bには、各測定ユニットSU1~SU5に対応して設けられた真空吸着ラインL1-1~L1-5が接続されている。真空吸着ラインL1-1~L1-5には、それぞれ電磁弁V1~V5が設けられている。
【0038】
電磁弁(第1電磁弁)V1~V5は、制御装置40からの司令に応じて、それぞれ真空吸着ラインL1-1~L1-5の連通状態(以下、ON)と遮断状態(以下、OFF)の切り替えを行う。電磁弁V1~V5がONの場合には、真空吸着ラインL1-1~L1-5を介して、メインバキューム(真空源VC1)により、ヘッドステージ18-1~18-5にプローブカード14-1~14-5をそれぞれ吸着することが可能になる。一方、電磁弁V1~V5がOFFになると、プローブカード14-1~14-5の吸着状態が解除される。
【0039】
また、
図2に示すように、サブバキューム(真空源VC2)側の真空吸着ラインL2には、圧力センサS2が設けられている。
【0040】
圧力センサS2は、真空吸着ラインL2内における圧力を検出し、プローバ1の制御装置40に出力する。制御装置40は、圧力センサS2による測定値に基づいて、真空源VC2の稼働状況及び真空吸着ラインL2内における真空レベルを検出することが可能となっている。
【0041】
真空吸着ラインL2には、各測定ユニットSU1~SU5に対応して設けられた真空吸着ラインL2-1~L2-5が接続されている。なお、
図2では、図示の便宜上、真空吸着ラインL2-1~L2-5と、真空吸着ラインL1-1~L1-5とを別々のラインとして図示しているが、本実施形態では、真空吸着ラインL2-1~L2-5は、それぞれ吸着側(
図5の合流位置CP)で真空吸着ラインL1-1~L1-5に合流し、共通真空吸着ライン(
図5の符号L4)を介してヘッドステージ18-1~18-5に接続する(
図1参照)。真空吸着ラインL2-1~L2-5には、それぞれ電磁弁V6~V10及び逆止弁C6~C10が設けられている。
【0042】
電磁弁(第2電磁弁)V6~V10は、制御装置40からの司令に応じて、それぞれ真空吸着ラインL2-1~L2-5の連通状態(以下、ON)と遮断状態(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態(以下、OFF))の切り替えを行う。電磁弁V6~V10がONの場合には、真空吸着ラインL2-1~L2-5を介して、サブバキューム(真空源VC2)により、ヘッドステージ18-1~18-5にプローブカード14-1~14-5を吸着することが可能になる。一方、電磁弁V6~V10がOFFになると、プローブカード14-1~14-5の吸着状態が解除される。
【0043】
逆止弁C6~C10は、真空吸着ラインL2-1~L2-5内における空気の流れを、吸着側から真空源VC2側への向きのみに限定する。逆止弁C6~C10を設けたことにより、真空源VC2側において、空吸い等に起因する真空圧力の低下が生じた場合であっても、真空源VC1側の真空圧力が低下するのを防止することができる。これにより、真空圧力の低下によるプローブカード14-1~14-5の脱落を防止することができる。
【0044】
本実施形態では、真空吸着ラインL2-1~L2-5に逆止弁C6~C10を設けたが(
図3(A)参照)、これに限らず、電磁弁V6~V10の測定ユニット吸着側の開放ポートにプラグをする構成としてもよい(
図3(B)参照)。すなわち、電磁弁V6~V10のOFF時に測定ユニット吸着側へ空気が流入するのを防ぐ逆流防止手段が設けられていればいずれでも良い。例えば、逆流防止手段の別の形態として、電磁弁V6~V10にON、OFFとなる2ポート電磁弁を採用しても良い(
図3(C)参照)。
【0045】
なお、圧力センサS1及びS2には、真空圧力(ゲージ圧力)の閾値を設定可能としてもよい。この場合、圧力センサS1及びS2は、真空圧力の測定値が閾値よりも高いか否かを制御装置40に出力するようにしてもよい。ここで、真空圧力の測定値が閾値よりも高い場合をON状態(真空状態)、閾値よりも低い場合をOFF状態(非真空状態)としてもよい。
【0046】
[測定ユニット]
次に、測定ユニットSU1~SU5について、
図4等を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るプローバの測定ユニットを示す正面図である。なお、測定ユニットSU1~SU5の構成は略同一であるため、各部の符号の枝番を省略し、測定ユニットSU、プローブカード14及びヘッドステージ18等として説明する。
【0047】
図4に示すように、測定ユニットSUは、ウェーハチャック12、プローブカード14及びヘッドステージ18を備える。
【0048】
ヘッドステージ18は、測定ユニットSUの筐体の一部を構成するフレーム部材(不図示)に支持されており、プローブカード14が着脱自在に装着固定される。ヘッドステージ18に装着固定されたプローブカード14は、ウェーハチャック12のウェーハ保持面12aと対向するように設けられる。なお、プローブカード14は、検査対象のウェーハW(デバイス)に応じて交換可能である。
【0049】
プローブカード14には、検査対象のウェーハWの各チップの電極パッドの位置に対応して配置された、カンチレバー又はスプリングピン等の形状の複数のプローブ16が設けられている。各プローブ16は、図示しないテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドから各プローブ16を介して各チップに電源及びテスト信号が供給され、各チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。
【0050】
プローブ16は、バネ特性を有し、プローブ16の先端位置より接触点を上昇させることにより、電極パッドに所定の接触圧で接触する。また、プローブ16は、電気的検査を行うときに、電極パッドがオーバードライブの状態で接触されると、プローブ16の先端が電極パッドの表面にめり込み、その電極パッドの表面にそれぞれ針跡を形成するようになっている。
【0051】
ウェーハチャック12は、ウェーハWを真空吸着して固定する。ウェーハチャック12は、検査対象のウェーハWが載置されるウェーハ保持面12aを有しており、ウェーハ保持面12aには複数の吸引口28が設けられている。吸引口28は、ウェーハチャック12の内部に形成された吸引路30を介して真空源VC3に接続されている。なお、真空源VC3は真空源VC1を兼用させても良い。
【0052】
ウェーハチャック12の内部には、検査対象のウェーハWを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば、最低で-40℃)で電気的特性の検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、ヒータ、熱流体を循環させるもの、又はペルチエ素子を使用することが可能である。
【0053】
ウェーハチャック12は、アライメント装置20に支持固定される。アライメント装置20は、ウェーハチャック12をX、Y、Z、θ方向に移動することで、ウェーハチャック12に保持されたウェーハWとプローブカード14との相対的な位置合わせを行う。
【0054】
アライメント装置20は、ウェーハチャック12を支持固定してウェーハチャック12をZ軸方向に移動し、かつ、Z軸を回転中心としてθ方向に回転するZステージ(Z軸移動・回転部)22と、Zステージ22を支持してX軸方向に移動するXキャリッジ(X軸移動台)24と、Xキャリッジ24を支持してY軸方向に移動するYキャリッジ(Y軸移動台)26とを備えている。
【0055】
Zステージ22、Xキャリッジ24及びYキャリッジ26は、例えば、モータを含む機械的な駆動機構を含んでおり、ウェーハチャック12をZXY方向にそれぞれ移動自在に構成される。さらに、Zステージ22は、Z軸(プローブカード14とウェーハチャック12とが対向する方向に平行な回転軸)を回転中心としてθ方向にウェーハチャック12を回転自在に構成される。機械的な駆動機構としては、例えば、サーボモータとボールネジとを組み合わせたボールネジ駆動機構により構成されていてもよいし、リニアモータ駆動機構又はベルト駆動機構等で構成されていてもよい。なお、Zステージ22、Xキャリッジ24及びYキャリッジ26は、制御装置40によりウェーハチャック12の移動距離、移動方向、移動速度、加速度を変更可能に構成されている。
【0056】
制御装置40は、プローバ1を構成する各部を統括的に制御する。制御装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等の汎用のコンピュータによって実現可能であり、操作入力を受け付けるための操作部及び表示部を備える。制御装置40は、プローブカード14によるウェーハレベル検査の際の動作(例えば、ウェーハチャック12へのウェーハWの吸着及び吸着状態の解除等)の制御などを行う。
【0057】
図5は、測定ユニットSU1においてプローブカード14-1を吸着するための構成を抽出して示すブロック図(一部断面図)である。
【0058】
図5に示すように、真空吸着ラインL1-1は、アダプタ50を介して、測定ユニットSU1のヘッドステージ18-1に接続されている。真空吸着ラインL2-1は、真空吸着ラインL1-1に設けられた電磁弁V1に対してヘッドステージ18-1(吸着)側で真空吸着ラインL1-1に合流している。
【0059】
真空吸着ラインL1-1とL2-1の合流位置CPよりもヘッドステージ18-1(吸着)側の共通真空吸着ラインL4には、圧力センサS3及びS4が設けられている。圧力センサS3及びS4には、相互に異なる真空圧力(ゲージ圧力)の閾値が設定されており、圧力センサS3には、圧力センサS4よりも絶対値が大きな閾値が設定される(
図9参照)。以下の説明では、圧力センサS3及びS4により測定された真空圧力の測定値がそれぞれの閾値よりも高い場合をON状態、測定値がそれぞれの閾値よりも低い場合をOFF状態とする。すなわち、圧力センサS3及びS4がともにOFF状態の場合には真空度が低い状態(以下、低真空状態という。)、圧力センサS3及びS4がともにON状態の場合には真空度が高い状態(以下、高真空状態という。)、圧力センサS3がOFF状態で、かつ、圧力センサS4がON状態の場合には真空度が低真空状態と高真空状態の中間の状態(以下、中真空状態という。)となる。
【0060】
ここで、本実施形態に係る真空吸着ラインL1B、L1-1~L1-5及び共通真空吸着ラインL4が第1真空吸着ラインに相当し、真空吸着ラインL2、L2-1~L2~5及び共通真空吸着ラインL4が第2真空吸着ラインに相当する。
【0061】
次に、測定ユニットSU1において、プローブカード14-1をヘッドステージ18-1に装着(吸着)する手順について、
図5を参照して説明する。
【0062】
まず、プローブカード14-1を吸着する前に、制御装置40により電磁弁V6をOFF(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態)にする。そして、制御装置40は、圧力センサS3により真空圧力の測定値を取得し、圧力センサS3がOFF状態の場合(高真空状態以外の場合)に、プローブカード14-1が未ロード状態であると判断して、プローブカード14-1の吸着を開始する。
【0063】
なお、本実施形態では、圧力センサS3により在荷チェックを行うようにしたが、圧力センサS4により在荷チェックを行ってもよい。
【0064】
次に、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をOFFにし、且つ、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をONにする。これにより、サブバキューム(真空源VC2)からの真空圧力により、プローブカード14-1がヘッドステージ18-1に吸着される。
【0065】
プローブカード14-1がヘッドステージ18-1に吸着されると、共通真空吸着ラインL4内の圧力が低下し(真空圧力が高くなり)、圧力センサS4とS3が順にON状態になる(高真空状態)。なお、プローブカード14-1の吸着時には、電磁弁V1は閉じられているので、真空吸着ラインL1-1の真空源VC1側における圧力(圧力センサS1による測定値)は変化しない。
【0066】
次に、制御装置40は、圧力センサS3がON状態になった後に、電磁弁V1をONにする。そして、電磁弁V1がONになってから(真空源VC1による真空圧力が安定してから)指定時間経過後に電磁弁V6をOFFにする。これにより、サブバキューム(VC2)による吸着からメインバキューム(VC1)による吸着に切り替わる。
【0067】
次に、制御装置40は、圧力センサS3及びS4による測定値を取得し、プローブカード14-1の吸着状態を判定する。そして、圧力センサS3がON状態の場合には(
図6参照)、プローブカード14-1の装着工程が正常に終了する。
【0068】
図6~
図8は、プローブカード14の吸着状態を示すブロック図(一部断面図)である。
図9は、圧力センサS3及びS4による測定値と閾値の例を示すテーブルである。
【0069】
図6は、プローブカード14がヘッドステージ18に正常に吸着されている状態(正常吸着状態)を示している。この場合、圧力センサS3及びS4はともにON状態であり、プローブカード14と受け部18Aとの間の空間が高真空状態に維持されており、プローブカード14の吸着力が十分な状態となっている(
図9の例(1)参照)。
【0070】
図7は、プローブカード14がヘッドステージ18に正常に吸着されていない状態(吸着不完全状態)を示している。この場合、プローブカード14とヘッドステージ18の受け部(例えば、環状のパッキン等)18Aとの間に隙間が生じており、この隙間から空気(AIR)が流入している。このため、プローブカード14と受け部18Aとの間の空間における真空圧力が低下し、圧力センサS3がOFF状態で、かつ、圧力センサS4がON状態の中真空状態となっている(
図9の例(2)参照)。
【0071】
図8は、プローブカード14がヘッドステージ18に保持されていない状態(カード無しの状態)を示している。この場合、圧力センサS3及びS4はともにOFF状態(低真空状態)である(
図9の例(3)参照)。
【0072】
なお、本実施形態では、プローブカード14の吸着状態の判定のために、異なる閾値が設定された2個の圧力センサS3及びS4を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、閾値を複数設定可能な圧力センサを用いてもよい。
【0073】
[プローバの制御方法]
(プローブカード装着時)
次に、プローブカード14をヘッドステージ18に装着する手順について、
図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、測定ユニットSU1(電磁弁V6)におけるプローブカード14の装着を例にとって説明し、他の測定ユニットSU2~SU5の場合については説明を省略する。
【0074】
まず、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をOFFにし、且つ、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をONにして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を行う(ステップST10)。
【0075】
次に、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を判定する(ステップST12)。ステップST12において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態以外の場合、すなわち、圧力センサS3がOFF状態の場合には(
図7~
図9参照)、制御装置40は、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して、リトライ・リカバリ処理に移行する(ステップST14)。
【0076】
一方、ステップST12において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合、すなわち、圧力センサS3及びS4がともにON状態の場合には(
図6及び
図9参照)、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をONにして、メインバキューム(VC1)によるプローブカード14の吸着を開始する(ステップST16)。そして、指定時間(ディレイ)の経過後(ステップST18)、制御装置40は、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をOFF(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態)にして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を停止する(ステップST20)。これにより、メインバキューム(真空源VC1)による吸着に切り替わる。
【0077】
次に、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を判定する(ステップST22)。ステップST22において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態以外の場合、すなわち、圧力センサS3がOFF状態の場合には(
図7~
図9参照)、制御装置40は、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して、リトライ・リカバリ処理に移行する(ステップST24)。
【0078】
一方、ステップST22において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合には、プローブカード14の装着工程が正常終了する。
【0079】
本実施形態によれば、在荷チェックからヘッドステージ(18-1~18-5)への吸着までの工程を、逆止弁(C6~C10)が設けられた真空吸着ライン(L2-1~L2-5)を介して行うことにより、在荷チェック時の空吸いに起因する真空吸着ラインL1の真空圧力の低下を防止することができる。
【0080】
(プローブカードの状態確認時)
次に、プローブカード14をヘッドステージ18に装着後、プローブカード14の状態の確認時の処理について、
図11を参照して説明する。
図11に示すプローブカード14の状態の確認は、例えば、プローバ1の測定ユニットSUの初期化時、プローブカード14の交換時(交換の開始時及び終了時)、又はウェーハレベル検査の開始時(ロット開始時)等に行われる。なお、以下の説明では、測定ユニットSU1(電磁弁V6)におけるプローブカード状態確認を例にとって説明し、他の測定ユニットSU2~SU5の場合については説明を省略する。
【0081】
まず、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を判定する(ステップST30)。ステップST30において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合、すなわち、圧力センサS3及びS4がともにON状態の場合には(
図6及び
図9参照)、プローブカード14の状態確認が終了し、通常オペレーション(ウェーハレベル検査等)が可能な状態になる。
【0082】
一方、ステップST30において、プローブカード14の吸着状態が吸着不完全状態の場合、すなわち、圧力センサS3がOFF状態、圧力センサS4がON状態の場合には(
図7及び
図9参照)、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をOFFにし、且つ、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をONにして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を行う(ステップST32)。そして、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を再度判定する(ステップST34)。
【0083】
ステップST34において、プローブカード14の吸着状態が吸着不完全状態の場合には、制御装置40は、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して(メンテナンスコール)、プローブカードの状態確認が終了する。
【0084】
一方、ステップST34において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をONにして、メインバキューム(VC1)によるプローブカード14の吸着を開始する(ステップST36)。そして、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を再度判定する(ステップST38)。
【0085】
ステップST38において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態以外の場合には、制御装置40は、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して(メンテナンスコール)、プローブカード14の状態確認が終了する。
【0086】
一方、ステップST38において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をOFF(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態)にして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を停止する(ステップST40)。これにより、メインバキューム(真空源VC1)による吸着に切り替わる。これにより、プローブカード14の状態確認が終了し、通常オペレーション(ウェーハレベル検査等)が可能な状態になる。
【0087】
一方、ステップST30において、プローブカード14の吸着状態がカード無しの状態の場合、すなわち、圧力センサS3及びS4がともにOFF状態の場合には(
図8~
図9参照)、制御装置40は、サブバキューム(真空源VC2)側の圧力センサS2のセンサ状態を取得して、真空源VC2の状態及び真空吸着ラインL2及びL2-1の真空源VC2側の状態を判定する(ステップST42)。
【0088】
ステップST42において、圧力センサS2がOFF状態の場合には、制御装置40は、真空源VC2側の異常を操作者に報知して(メンテナンスコール)、プローブカード14の状態確認が終了する。
【0089】
一方、ステップST42において、圧力センサS2がON状態の場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をOFFにし、且つ、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をONにして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を行う(ステップST44)。そして、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を再度判定する(ステップST46)。
【0090】
ステップST46において、プローブカード14の吸着状態がカード無しの状態のままの場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をOFF(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態)にして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を停止させた後(ステップST48)、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して(メンテナンスコール)、プローブカードの状態確認が終了する。
【0091】
一方、ステップST46において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL1-1側の電磁弁V1をONにして、メインバキューム(VC1)によるプローブカード14の吸着を開始する(ステップST36)。そして、制御装置40は、圧力センサS3及びS4のセンサ状態を取得して、プローブカード14の吸着状態を再度判定する(ステップST38)。
【0092】
ステップST38において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態以外の場合には、制御装置40は、プローブカード14の吸着状態の異常を操作者に報知して(メンテナンスコール)、プローブカード14の状態確認が終了する。
【0093】
一方、ステップST38において、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態の場合には、制御装置40は、真空吸着ラインL2-1側の電磁弁V6をOFF(真空源VC2側遮断で、かつ、測定ユニットSU側開放状態)にして、サブバキューム(VC2)によるプローブカード14の吸着を停止する(ステップST40)。これにより、メインバキューム(真空源VC1)による吸着に切り替わる。これにより、プローブカード14の状態確認が終了し、通常オペレーション(ウェーハレベル検査等)が可能な状態になる。
【0094】
本実施形態によれば、プローブカード14の吸着状態が正常吸着状態以外であることを検出した場合に、サブバキューム(真空源VC2)を用いることにより、プローブカード14のずれ等により空吸いが発生して真空圧力の低下するのを防止しつつ、正常吸着状態に移行することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、真空吸着ラインL2-1~L2~5は、真空吸着ラインL1-1~L1-5にそれぞれ合流した後にヘッドステージ18-1~18-5に接続されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、真空吸着ラインL2-1~L2~5と真空吸着ラインL1-1~L1-5とを互いに独立(合流せずに分離)として、真空吸着ラインL2-1~L2~5がヘッドステージ18-1~18-5にそれぞれ直接接続されていてもよい。この場合、真空吸着ラインL1-1~L1-5と真空吸着ラインL2-1~L2~5の両方に、プローブカード14の吸着状態検出用の圧力センサを設けて、メインバキューム出力時及びサブバキューム出力時における吸着状態の判定は、それぞれ真空吸着ラインL1-1~L1-5と真空吸着ラインL2-1~L2~5に設けられた圧力センサを用いて行えばよい。
【符号の説明】
【0096】
1…プローバ、SU1~SU5…測定ユニット、100…吸着機構、VC1~VC3…真空源、L1、L1A、L1B、L1-1~L1-5、L2、L2-1~L2-5、L3-1~L3-5…真空吸着ライン、S1~S4…圧力センサ、R1…真空レギュレータ、V1~V10…電磁弁、C6~C10…逆止弁、12…ウェーハチャック、14-1~14-5…プローブカード、16…プローブ、18-1~18-5…ヘッドステージ、20…アライメント装置、22…Zステージ、24…Xキャリッジ、26…Yキャリッジ、28…吸引口、30…吸引路、40…制御装置、W…ウェーハ、